生徒会ゲーム 第8話

第8話

 最近の可児田樹は、学校へ向かうにも足取りが軽い。朝一番にスマホをチェックすると、小峰駿斗と清橋優奈から添付つきの着信が入っている。開いてみると、2人が全裸で互いの体に生クリームを塗りたくって舐めまわしているプレイの写真。恥ずかしい写真にバカップルは嬉しそうな表情で収まっている。変態カップルは今週も順調なようだ。もともと1週間の予定だった変態カップル暗示。あまりにもハマッてしまったので、若干マイルドな暗示にして、経過観察をさせてもらっているのだ。

 朝の1時限目が始まるよりもずいぶん前に登校する。今日はどんなことをして遊ぼうか。そう考えているだけでも、混雑するバスの車内も気がまぎれる。窓ガラスにはうっすらと、吊革に掴まりながら、ニヤニヤしている地味な高校生の顔が映っている。周りから見ると、さぞ気持ち悪い光景だろう。それでも樹は気にしない。ここにいる全員が、すれ違えば振り返るような美少女、美女たちを自分は思い通りにしているんだ。そう思うだけで、樹は卑屈な思いを抱え込む必要がない。地元では有名なお坊ちゃん、お嬢ちゃん校に通っているということが、昔はコンプレックスの一つだった。それが今や、その名門校のトップの生徒たちを軒並み従えているという思いが、樹の気を大きくしている。

 バス停から高校へ向かう坂道も、樹の妄想は途切れない。芹沢澪は、今頃朝練で汗を流しているだろう。颯爽と軽やかに体を動かしながら、部員たちに号令しているに違いない。鶴見栞は図書室で読書に集中しているだろうか。清橋優奈はまだ、武道場で鍛錬している小峰駿斗のことを考えながら、自宅でいそいそとお弁当を作っている頃かもしれない。そして高倉沙耶は背筋を伸ばした綺麗な姿勢で、道を歩きつつ、少しはにかんだ表情で周りの生徒たちに挨拶を返しているのだろうか。

 全員が、この学校中の生徒に憧れられ、夢想されている生徒会メンバー全員が、今朝早く、ほぼ同時刻に、ベッドの中でオナニーしながら目を覚ましている。頭に思い浮かべているのは樹のこと。樹に抱かれて、涎を垂らして喘ぎまくっている自分の姿を想像しながら、エクスタシーとともに朝を迎えている。そんな恥ずかしい目覚めを経て、汗だくの体をシャワーで鎮めてから登校していることなど、素知らぬ顔で部員たちや生徒たちと接しているのだろう。そんな彼らと顔を合わせるのが、樹の密かな楽しみだ。彼と視線を合わせた生徒会役員たちは、顔を赤らめて目を逸らすのだろうか、今日は悔しそうに彼を睨みつけるのだろうか。それとも不意に快感の余韻を感じて、目を潤ませるのだろうか。毎朝、そのリアクションが新鮮で微笑ましい。

 男子の生徒会メンバーも、樹の足元にかしずいて、ひれ伏している自分を思い浮かべながら立派な朝立ちから夢精しているはずだ。こちらへの指示や反応チェックは、樹の興味が薄い分、おざなりになりがちだが、いい加減な暗示を刷り込みすぎて、ゲイの役員を作ってしまうことが目的ではないので、最低限の注意は必要だ。あくまでも樹のゲームや遊びの標的は美少女たちなのだが、樹の体は一つしかない。彼女たちを効率良く弄ぶためにも、男子の体は必要なのだった。

 週3回。月、水、金の昼休みは、樹に生徒会女子メンバーたちが奉仕する、ダイレクト・サービスデーと決めている。清橋優奈、鶴見栞、芹沢澪、高倉沙耶。この4人が裸になって、樹に体を張ったご奉仕を行う。生徒会室の真ん中で寝そべる樹の服を丁寧に脱がして、4人が同時に樹の体中を愛撫する。キス。舌先でのお掃除。綺麗な指や若い乳首を駆使した愛撫。股間には常に誰かの顔が寄せられている。樹のモノがそそり立ってくれば、美少女たちは順繰りに上に跨って、温かく濡れた膣の中に樹のペニスを迎え入れて腰を上下させる。快感に我を忘れそうになる樹だが、最低限の冷静さは保たなければならない。これもゲームの一種。そして樹はいつも審査委員長の重責を担っている。グループ・エッチの後は常に、最下位のパフォーマーを選び出して、罰ゲームを与えなければならないのだ。

 技術点、芸術点、やる気や取組みの姿勢など、多角的に採点して、彼女たちを評価する。もちろん、評価の中身はほとんどの場合、彼女たちに明かすことはない。実際のところ、いい加減で気まぐれなものだ。しかし頭のいい子たちが揃っている生徒会。彼女たちが自分で勝手に、「今回は技術が足りなかったのかもしれない」、「やる気がないのを隠し切れなかったのかもしれない」、「急に甘噛みされた時に、素のリアクションを返してしまったのがいけなかったのかも」・・・等々、あれこれ分析しながら反省してくれる。

 そしてもう一つ、審査には重要な要素として、彼女たちがお互いに採点しあって最下位を投票するという仕組みを織り込んでいる。審査委員長が6割。自分たち自身の票が4割の議決権。そして樹は常に、女子たちの自己推薦を聞いてから、自分の票を入れている。一切の隠し事や自制を、暗示で取り除いた女子たちの採点は、なかなかシビア。このチームメイトの目があるから、女子たちは一切、気を抜いたサービスをすることが出来ないのだ。懸命に樹のペニスを咥え、タマをしゃぶって、体中を舐めまわして体をクネらせる。全身で男を喜ばせるために躍動する。そして昼休みが終わるころ、また身だしなみを整えて、楚々として午後の授業を平然と受ける。

 体を張ったサービスにかけては、常に有利なのは澪だろう。そのメリハリあるナイスボディは女子でも憧れるようなゴージャスさ。豊満な胸が顔を埋めてくるだけで、男子だったらみんな窒息しながらニヤケてしまう。ハリのあるヒップと、アクロバティックな体勢にも堪える運動能力。寝そべる樹に、ほどよい程度に体重をかけながら、残りは自分の手足で重みを支えて奉仕を続ける体力がある。この体のボリューム感は、なかなか日本人女子には出せないものだ。

 生まれ持った天性のボディの魅力で樹を喜ばせようとする(最下位に選ばれまいとする)澪に比べて、栞は常に研究熱心。試行錯誤を繰り返して懸命に新たな奉仕を開発してみせる。最初に樹のお尻の穴を舐めてきたのも栞。胸や尻、手足や舌以外に、股間のアンダーヘアーでサワサワと樹の敏感な部分を撫でてきたのも栞のアイディアだった。こうした、今では女子全員の基本的ルーティンになっているような動作の数々も、彼女が最初に編み出したものが実に多い。ちなみに樹は射精する際、わざわざ栞の顔にかけることが多い。鋭く整った日本美人の顔にかける醍醐味もあるが、なによりこの優等生のメガネのレンズに樹の精液がかかる様子が、妙に樹の征服欲を満たしてくれるのだ。

 優奈は奉仕の丁寧さ、一生懸命さは評価されるが、時折パフォーマンスにムラが出がちだ。おっとりとしたお嬢様は競争に慣れていないのか、いざ樹のペニスを4人で舐めるというような場合でも、口で奪い合う瞬間に、わずかに後れをとってしまう。眉を「ハの字」にまげて、しょんぼりと樹の内股あたりをペロペロなめているのは、いつも優奈のパステルピンク調の柔らかい顔だった。そして時折、プレイの途中に、他の男子のことを考えているような素振りを見せる。ふと目を閉じて、妄想に没頭しながら腰を振っていたりする。そんな「困った子」優奈だが、意外と審査委員長である樹の採点は悪くなかったりする。一生懸命にご奉仕しながらも、彼氏への操を忘れない、このお嬢様を弄くることが、樹に「寝取りプレイ」のような興奮を与えているのではないかと、栞は分析している。

 最後に生徒会長の高倉沙耶がいる。彼女は栞が観察する限り、「ズルいほど色んなオカズを盛り込まれている」競争相手だ。まず沙耶は校内一番人気を誇るルックスの美少女。もちろん綺麗系の澪や日本人形のような栞、小動物的にカワユイ優奈も、見た目で遜色はないはずだ。しかし沙耶の整った顔立ち、透明感、そして時折はにかむような女の子らしい表情は群を抜いている。そして絶対的生徒会長というオーラだ。おそらく、綺麗な一般人と一流の芸能人との間にも、こうしたオーラの違いというものがあるのではないか。さらに沙耶には、樹の執拗なまでの暗示の「ギア」がたくさん盛り込まれているようだった。樹が沙耶の体をジッと見つめると、沙耶の体はすぐに赤く火照り、全身の毛孔からフェロモンのような甘酸っぱい汗を浮かべる。目が潤んで下のお口が緩んでいく様子が、女の栞には良くわかる。そんな、盛りがつくような「発情」を誰の目にも明らかなくらい見せつけながら、それでもまだ、口では嫌がっていたり、顔は困っていたりするのが、優等生の沙耶だ。

 そんな沙耶に樹が自分から、少し体を動かして愛情表現を見せる。瑞々しいオッパイを指先でツンツンとつついたり、お尻をぺチンとはたいたり、気まぐれに肌に吸いついたりする。すると、まだ口や顔では嫌がりながら、体は大胆にハードなペッティングを返す。自分の乳首を樹の唇に押しこんだり、両足を開いて四つん這いになってお尻を樹の顔に押しつけたり、舌を激しく高速で動かして、派手に音を立てて樹の体中を掃除したり。いつの間にか馬乗りになって「いやいや」と首を左右に振りながら、腰はハードに上下前後にグラインドしていたりする。親友の女子たちを押しのけてまで樹に乗りかかって抱きついて、その身をクネらせて押し付ける。そして樹がイク瞬間、必ず沙耶も仰け反って昇天していたりする。他の3人にとっては、脅威ともいえる競争相手だった。

 そんな4人が、時に同時に、時に順繰りに、樹の体に自分の体を擦り付け、樹の体の隅々までを舐めまわし、おぼつかない知識をフル稼働させながら競い合って樹を絶頂へと導いていく。時に手持無沙汰になった女子は、同じく手の空いている女子を優しく愛撫する。自分の番が回ってきた時に一番イヤラシイ体になっているように、お互いを高めあっておくのだ。昼休み直後の生徒会室は、いつも甘酸っぱい、性の匂いが充満する部屋になっていた。

 最近の樹の関心は「暗示のバランス」だった。月、水、金のグループ・エッチで派手に女子たちをハメまくる。そこで選ばれた罰ゲームの挑戦者には、敢えて弱めの悪戯を与える。あまりにもゲームがセックスそのものという催し物の後に、同じくセックスに特化した罰ゲームを与えていては、すぐに生徒会は崩壊してしまうだろう。学校のなかで密かにゲームを続けていくためには、派手なゲームの後の罰ゲームは大人しめで日常にそくしたものを。そして一見地味なゲームの後には、ぶっ飛んだ暗示を与えて罰とする。そうしたギャップを与えてこそ、振り幅の大きな楽しみ方を続けていけるのだと考えるようになっていた。

 今回、「グループ・エッチゲーム」で最下位に選ばれたのは清橋優奈。プレイの消極性を栞や澪に指摘されてしまった。親友である澪と栞を交互に見つめながら、無言で頬を膨らませている優奈。その彼女のオデコを樹がチョンっと触れただけで、おかんむりのお嬢様は遠くを見ながら放心してしまった。

「優奈ちゃん。みんなゲーム本番で相当体を張ってもらってるから、罰ゲームはそんなにハードなものにしないから安心してね。貴方はこのあと目が覚めてから明後日にある次のグループ・エッチゲームの時まで、誰かが『プー』とか『ブー』とか口で言うと、その瞬間、自分がオナラをしてしまったと勘違いします。それが僕の暗示のせいだと何度自分に言い聞かせても、音の感じ、体の感触、その他、どれをとってもリアルな自分のオナラだと感じてしまうんです。では目が覚めます。3、2、1。はいっ。」

 ポカンと口をあけて、半分笑顔のような放心顔を見せていた優奈が、両目をパチクリさせて周囲を見回す。服を着ながら、沙耶も栞も澪も、少しだけ拍子抜けした思いだった。この程度の軽い罰ゲームだったら、必死で避けるために、女を捨てて樹相手に腰を振る必要があったのだろうか?

「ゆ、優奈。まぁ、そんな大したことない罰ゲームで良かったじゃん。ホッとしたよ。」

「そうよ。私たち、心配したんだから。」

 澪と栞が優奈が服を着るのを手伝ってあげる。2人とも、さっきのゲームの審査中に、優奈に厳しい指摘と採点をしてしまったことを、申し訳ないと思っている。仲間を売ったようで罪悪感に苛まれているのだが、いつも樹が『審査タイム』と言うだけで、心に思い浮かんだことを隠せなくなってしまうのだ。

「もぉ~。2人とも、酷いよ。私ばっかり・・・。」

「ごめんよ。今度パフェ奢るから・・。」

「ホント?」

 温和で、少し浮世離れしていると言われている優奈が、一瞬で顔色を明るくする。あっさり仲直りしそうな雰囲気に、樹が少しだけ水を差してみた。

「おっ。優奈ちゃんの澪ちゃん、栞ちゃんに対する『ブー』イングも収まりそうだね。」

「きゃあっ」

 両目を真ん丸に見開いた優奈が、背筋を伸ばして、両手でお尻を押さえる。制服を着る途中だったので、まだシャツとベストにショーツの姿。スカートがはけていない格好で「気をつけ」の姿勢、プラス両手はお尻。顔からは火が出るような様子だった。

「優奈ちゃん、どうしたの? ブーイングって言っただけだよ。」

「ひゃっ・・・ごめんなさいっ!」

 弾かれたように前に飛ぶ優奈。恥ずかしさに身をよじりながら、右手で体の後ろをブンブンと仰いでいる。

「優奈。こんなのただの暗示だよ。信じるなって。」

「そうよ。私たち友達でしょ? もしも本物だって、気にする必要ないわ。」

「そんなの・・・。澪ちゃんたちが経験してないから、そんなこと言えるんだよ。・・・私、すっごく恥ずかしいよ~。もう駄目。駿君にも嫌われちゃう。」

 目に涙を貯めて、まだスカートを履いていない優奈がジリジリと生徒会室の扉へ向かう。両手を体の後ろにして、樹や澪たちには背中を見せないように横歩きしている。

「駿斗が優奈を嫌いになるわけないだろ。暗示だけで、実際にはオナラも出てないんだし。」

「そうよ。優奈落ち着いて。」

「わかるけど・・・・、この感じ・・・リアルすぎて、怖いよ~。」

 耳まで赤くなった優奈が、扉に手をかける。慌てて澪と栞が優奈に飛びかかって、スカートを履かせるべく押さえつけた。

「おっ、おい! スカート履いてから出ろよ。」

「そうよっ。優奈。気をしっかり!」

 栞が励ます。樹も声をかけてあげることにした。

「そうだよ、優奈ちゃん。スカート無しで外に出ちゃったら、みんなに笑われちゃうよ。プー、クスクスって・・・。」

「うひゃぁっ!」

 樹が一声かけた途端、澪と栞を突き飛ばしてまでして、清橋優奈が跳ね上がる。半分履いたスカートを手で押さえながら、恥ずかしさに堪えきれずに扉を開いて、生徒会室から飛び出してしまった。

「優奈~! ちゃんと履け~!」

「帰ってきて~っ。」

 澪と栞が、スカートを膝上まで履きかけで、逃げ惑うように走る優奈に声をかける。お嬢様の情けない格好を見て笑いながら、樹も最後の声をかけた。

「そうだよー。戻っておいでよ。ブーメランみたいに。」

「わぁっ・・・・。もうやだ~。」

 飛び上がってお尻を押さえながら、ベソをかいて走り去る優奈。心配した澪と栞が追いかける。栞は去り際に樹を振り返って睨みながら口を動かした。「おぼえてなさい」と口が動いたような気がした。

 十分に笑った樹が、生徒会室の扉を閉めて振り返る。肝心の生徒会長は、まだ制服を半分も来ていなかった。樹は心で笑いを押し殺しながら、咳払いをする。

「オホンッ。あの、高倉会長。みんな教室に戻ったみたいだけど、君だけ全然制服着れてないみたいだね。・・・何か、自分の裸を少しでも長く見られたい事情でもあるの?」

 ボンヤリとした目で、顔を赤らめながら丁寧に、そしてゆっくりとシャツに腕を通していた沙耶。今度はその高倉沙耶が、弾かれたように我に返る。

「ばっ・・・・そっ・・・そんな・・・。変なこと、言わないでっ・・・。人に気が付かれないように、制服の皺を直していただけだからっ。」

 慌てて服を着込む会長。さっきまでこちらを向いていたのに、急に樹に背中を向ける。白いシャツがスベスベの背中を覆い隠していく。

 クスクス笑う樹を置いて、高倉沙耶が逃げるように生徒会室を後にする。廊下を走らないように早足で進む沙耶。両足をキビキビと動かすたびに、履いたばかりのショーツが股に張りついた。湧き出るように止まらない愛液と、少しずつ内部から降りてくる樹の精液。ついさっきまで、必死で媚を売って、元ヒキコモリの劣等生に中出ししてもらっては、髪を振り乱してよがっていた自分を思い出す。あれはゲーム。仕方がないこと。懸命に自分に言い聞かせるが、ショーツに吸収される粘液の大部分が、精液を上回って自分自身の愛液となっていることに気が付くと、自分の体を呪いたい気持ちになっていた。

 樹は笑いを噛み殺しながら、生徒会室を見回してみる。体育館倉庫から借り出したマット。優奈がネット通販で買ったローション。そして床に散らばっているのは、これから素知らぬ顔で授業を受けることになる女子たち4人のブラジャーだった。白、水色のフリル、藤色は大人っぽさとサイズからして澪のだろう。そして真紅の網ブラはフェティッシュなお嬢様、優奈のものに違いない。カップ数も様々だが、若々しい女の匂いを染み込ませたブラが、花の散った後のように散乱している。全員、樹が『生徒会のシエスタ』中に与えた指示を忠実に、意識することもなく実行していた。ブラを着けるのを忘れたまま、教室に戻っているのだ。きっとみんな、樹の言葉通り、授業の途中で自分がノーブラでいることに気が付くのだろう。次の休み時間に、慌ててここに駆け戻ってくるに違いない。その時の4人の顔を思い浮かべると、樹はまた悪戯っぽく笑った。

 しかしその次の休み時間。生徒会室に戻ってきたのは4人ではなく、3人だった。生徒会書記の清橋優奈はこの間、保健室で休んでいたためである。5時限目の授業が地理だったのだが、ロシアの現大統領の名前をクラス全員で復唱した際に、顔を真っ赤にした優奈は過呼吸で卒倒してしまったらしい。可愛らしい優奈を全員で慈しんできたクラスメイトたちは、クラスが誇るアイドル、生徒会書記の失神に慌てる。授業がストップする混乱の中、倒れている優奈は、うわごとのように「窓を開けて。換気をお願い」と女友達に頼み続けていたそうだ。

。。。

 ハードなゲームの罰はソフトに。そしてソフトなゲームの罰はハードに。樹はここのバランスを取りながら、出来るだけ楽しみを長引かせようとする。思いっきり非日常的なゲームを強制した後には、日常に潜り込むような罰を与えようとした。そして、本番のゲーム自体なソフトな悪戯だった場合は、罰をハードなものにする。この日の放課後は、生徒会メンバー全員集合で、みんなで楽しめるソフトなゲームをすることにした。

「はい、じゃあみんな、さっそくだけど、パンツ一丁になろうか。」

「・・・全然、ソフトじゃねえじゃん。」

 澪がぶつくさと文句を言うが、全員逆らうことは出来ずにゲームマスターである樹の言葉に従う。今は昼と違い、佐倉陸、小峰駿斗、湯川倫太郎という男子生徒会メンバーたちも揃っているということが、女子メンバーたちの恥ずかしさを倍増させていた。お互い、背中を向け合って服をソロソロと脱いでいく。何度体験させられても、この男女入り混じって、自らの意志で裸にならされる瞬間の恥ずかしい気持ちは慣れるものではなかった。

「じ、じゃあここに、ゆ、ゆ、優奈ちゃんに買ってもらった、スーパーボールがあります。ほら、子供の頃に遊んだことあるでしょ? 男の子だけかな?」

 樹が机の上に腰を下ろして、ゴム製の、蛍光色に塗られたボールをポンポンと床に落とす。ピンク、オレンジ、赤、紫。やや大きめのゴムボールは床に当たると、さらに勢いを増して跳ね上がった。

「こ、こ、このボールを、手を使わずにキャッチしてもらいます。パンツの中に上手くキャッチすることが出来たらポイントだよ。両手でパンツを伸ばしてボールをキャッチしましょう。男女混合で、順番に投げる人を交代してください。キャッチを明らかに失敗した人がいたら、隣の人がお尻を叩いてあげてください。最後に一番ポイントが低い人が、罰ゲームだよ。」

 こんな不格好なゲームの時に限って、樹は男女混合でプレイさせる。沙耶も栞も、隣の男子を気にしながら、少しだけパンツのゴムを引っ張って、ボールをキャッチするために体勢を整えた。両足を肩幅に開いて、腰を少し突き出すような体勢。

「きゃっ・・・ちょっと倫太郎。こっち見るなよ。スケベッ!」

 少しだけ首を伸ばして栞のパンツの中を覗き込もうとした湯川が、鶴見栞に強い調子で非難される。

「そ・・・そんなの気にしてると、ボール捕れなくなるぞ。集中しろよ。」

「はい、オーライ。こっちこっち~。」

 左手でショーツのゴムを伸ばして、右手を振る澪。ボールを投げる役は佐倉陸からだった。

「じゃ・・・いくよ・・・。ホラッ。」

 陸が、ゲームマスターである可児田樹の指示した通りに、スーパーボールを床に叩きつける。オレンジ色のゴムボールは、勢いよく跳ね上がって、今度は天井にぶつかった。ぶつかるたびに勢いを増すようにして上下左右に暴れるボール。そのゴムボールを追いかけて、パンツを前に伸ばした男女が、キャーキャー言いながら右往左往する。体裁など拘っていられない。ボールを救い上げやすいように、足を開いて腰を落とした体勢で、懸命にボールを追う。ボールに群がる生徒会メンバーたちは体がぶつかり合う。胸が弾んで揺れる。互いの伸ばされたパンツが重なり合った。

「おっ。やった。」

 運動神経抜群の小峰駿斗がブリーフの中にボールをキャッチする。運よく零れ落ちたら拾おうと構えていた沙耶が、うっかり駿斗のブリーフの中を見てしまって小さな悲鳴を上げる。駿斗のイチモツはブリーフをはみでて外へ出る。彼のお尻が、清橋優奈につねられた。

 次のピンクのボールも、駿斗がキャッチする。ダイビングして膝立ちになり、スライドしながらボールをブリーフに入れる。溜息をつく他のメンバーを尻目に、振り返った駿斗は、優奈に向かって腰を突き出した。

「ほら・・・。1ポイント。やるよ。」

「駿くぅ~ん。」

 感動的な恋人同士の助け合い。しかし傍目には、自分のパンツを引っ張りあった男女2人が、パンツ越しに何かを受け渡しているという、異様な光景だった。

「じゃあ、僕もボール投げ役に追加させてもらおっかな?」

 陸から駿斗にボール投げ役が変わる際に、何を思ったか、樹も投げ役に加わることになる。片手には沢山スーパーボールが入った籠。

「じゃあこの玉は澪ちゃん狙いかな?」

「おっ。ありがたい」

 端にいた芹沢澪めがけて、樹がボールをバウンドさせながら放り投げる。澪は持ち前の運動能力を駆使して、右足を限界まで伸ばしながら、ショーツでボールを受け止める。股間に直撃したらしく、少しの間、蹲ったが、立ち上がって次を要求する。鬼コーチの千本ノックに立ち向かうスポ根少女のようだ。

「これは沙耶ちゃんかな。」

「あっ・・・はいっ・・・。」

 若干優しめにボールが放られる。こうした運動にはそれほど慣れていないのか、沙耶はボールがバウンドするのに自然と体が合わせて動いてしまうかのように、股間を上下させながらボールを待った。赤い玉が落下していくのを、腰をグラインドさせて、掬い上げるような体勢でパンツでキャッチ。自分がどんな格好をしているのか想像するだけで頬が赤くなるが、罰ゲームのことを思うと、そんなことに構ってなんていられない。

「ちょっと倫太郎っ! 私たち、まだゼロだよっ。」

「しょ・・・しょうがないな・・・。じゃ・・・さ。ゴニョゴニョ。」

 パンツを前に引っ張りながら、ガニ股の姿勢のままで栞が隣の幼馴染みに文句を言う。倫太郎が耳元である作戦を囁くと、栞は不服そうに体を震わせていたが、小さく頷いた。

「樹くーん。こっちお願いしまーす。」

 倫太郎が首をねじって可児田樹に、間の抜けたような声をかける。樹が見てみると、向かい合った倫太郎と栞は、お互いのパンツの裾を引っ張って、一つの大きな布地にしていた。確かにこれなら、キャッチ出来る面積は増えたように見える。ただお互いの性器は互いの目に丸出しになっているのだろうが・・・。倫太郎のアイディアを面白いと思った樹が、いくつかボールを同時に放ってあげる。

「右右っ。もっと左っ。」

「きゃっ・・・ちょっと、待って。・・・こっちにも1個っ。」

 互いに文句を言い合ったり、勝手な指示を出し合っているようで、このカニ歩きのカップルはなかなか息が合っている。倫太郎のトランクスと栞の水色ショーツには、次々とスーパーボールが入っていく。

 小峰駿斗はその間にも、彼女の清橋優奈に向けて、優しいボールを投げ続ける。自然、芹沢澪と高倉沙耶が、あぶれてしまうようなかたちになった。

「おいっ。こっちもチャンスをくれよっ。このまま罰ゲームってなったら、不公平だぞ。」

 澪がアッサリと不平を漏らす。

「だって、栞ちゃんたち、面白いアイディア出してくれるんだもん。・・・澪ちゃんたちも、ボールが欲しかったら、ただ待ってないで、もっとアピールしないといけないんじゃない?」

 樹の上から目線での応対に、澪がイラッとした顔を見せる。

「澪ちゃん。そんな雰囲気悪くなるような顔しちゃ駄目だよ。みんなで腐らずに盛り上がって、アピールを競うのが、『チームワーク』でしょ?」

 樹に言われた瞬間に、澪の体に電流が走ったような反応をする。恥ずかしさを押し殺しながら、澪がさらに足を開いて、ぐっと腰を下ろす。ショーツが千切れそうに引っ張られるのも構わずに、膝近くまで下ろしてしまった。両手は股間に伸ばす。大切な皮膚の割れ目を、ゆっくり指を入れるようにめくるようにして開いた。

「ほらっ・・・これでどうだっ・・・こっちよこせよ、ボール。ほらっほらっ。」

 両手でヴァギナを開いた澪は、腰を落として体を上下に揺する。豊満な胸がブルンブルンと暴れた。樹は喜んで澪にボールを放る。思わず自分もスーパーボールを澪に向かって投げてしまった駿斗が、優奈のジトッとした視線を感じて下を向いた。

「それじゃぁ、小峰君もボール捕る側に回っていいよ。僕が一挙にボール出すから。ほらっ。ほ~ら、こっちにも。」

 1個ずつ放るのが面倒臭くなった樹が、2つ3つと、握れる限りのボールを一挙に投げつける。四方八方に散らばって跳ね回るスーパーボール。それを追いかけながら、パンツ一丁の男女がキャアキャアと跳ねる。罰ゲームを避けるために、必死になってボールを奪い合う。パンツのゴムを限界まで引っ張って、腰を前後に振りながら、スーパーボールを追い求める。樹はまるで、池に群がる大量の鯉に餌でもやっているような、豪快でリッチな気分になってきた。

「ほらほら、こっちだよ~。」

 樹が体の向きを変えて、今までと違う方向にボールを3つ投げてみる。慌てて沙耶が、澪が、駿斗が群がる。倫太郎と栞のペアは、カニ歩きでドタドタと遅れてやってくる。高校の頂点ともいえるエリートたちを翻弄してボールをばら撒きながら、右往左往する彼らを見るのは、樹のこれまでの鬱屈を空中に霧散させるほど胸のすく光景だった。

 籠のスーパーボールがすべて無くなった頃、生徒会メンバーたちはぐったりと両手を床について、荒い呼吸に背中を揺らしていた。汗をかいた体を投げ出して、横になっている子もいる。全員、トランクスやブリーフ、そしてパンティーを複数のスーパーボールでモコモコとさせていた。必死の思いでキャッチした、宝物である。

「じゃあ皆さんの計測が終わったみたいですね。鶴見さん、順位を報告してください。」

 会計だからという理由だけで、こうした数を数える係は栞に任されていた。自分自身も競技者として、フラフラになった体を起こして、息を整えながら栞が報告する。

「は・・・はい。1位は優奈の13個。2位は澪の8個。3位は駿斗の7個。4位は陸の6個です。」

「きゃー。駿くん、ありがとうっ。」

 優奈が駿斗に飛びついて、そのまま「抱っこちゃん」の姿勢になる。肌を合わせた瞬間に、優奈のショーツの中のゴムボールがお尻の方へ位置を変えた。

 澪も小さくガッツポーズ。豊かなバストがブルンっと揺れる。

「5位は同点で5個の倫太郎と私。なので最下位は4個の沙耶です。」

 ガックリと肩を落として床に跪く生徒会長の高倉沙耶。右腕で胸を隠したまま蹲る。姿勢が変わったことで、ショーツのお尻の部分から、スーパーボールが1つ、はみ出して床に落ちる。黄緑色のスーパーボールは、持ち主、沙耶の気分とは対照的に、元気よく床を跳ねていた。

。。。

「それじゃあ、罰ゲームのチャレンジャーになった、生徒会長の高倉沙耶さん。ちょっとこっちに来ましょうか?」

 後ずさりしようとする沙耶だが、樹が両手を広げるのを見ると、まるで重力の方向が変わったかのように、樹のいる方に全身が引っ張られてしまう。必死で抵抗しながらも見る間に両手を大きく広げて、樹の体に抱きついてしまった。そのまま後頭部とチョコンと触られると、沙耶の全身から力が抜ける。まるで自分の頭が炊飯ジャーになって、パカッと蓋が開かれてしまったような気分。空っぽになって開け放たれた、この頭の中に今は何を入れられても、一切抗えない気分だった。悔しいけれど、それは悪い気分ばかりではない。妙に突き抜けた解放感がある。そして全身は空気の抜けた浮き輪のように、弱々しく樹の体にすがっていた。

「沙耶ちゃんは今日、僕にしてくれたみたいに、たまにはここの生徒会男子メンバーの性欲を処理してあげようか。みんなの憧れ、問答無用のスターなんだから、君がそそって溜め込ませた精液くらいは、君が処理してあげてもいいよね。だけど、沙耶ちゃんのオマ○コだけは、この僕専用のモノだから、それ以外の自分の体を駆使して、佐倉君、小峰君、湯川君に思いっきり中出しさせてあげよう。この3人の精子を溢れ出るくらい中に出させたら、君の暗示は消えるよ。それまで沙耶ちゃんは、セックスのことしか考えられない、性獣だ。全身が性感帯で全身で牡を求める、セックスモンスター。アナルセックス・クイーンなんだよ。ほら、3、2、1。」

 肩をポンっと叩かれる。それだけで沙耶は、弾かれるように身をクネらせた。

「ひっ・・・やぁん・・・。樹君・・・。こんなの・・・。もう・・・。」

 膝を床に落とした沙耶。目がイってしまっている。床に寝そべりながら、自分の全身を手で撫でさすり始めた。

「はぁあ・・・我慢できない・・・・・みんなぁ、助けて・・・・」

 寝転がった沙耶が膝を立てる、背を弓なりにして、お尻を突き上げる。発情期の猫みたいに豹みたいに、体をよじった。倫太郎を、陸を、駿斗を見ながら、舌なめずりをする沙耶。清楚な優等生の素顔は蒸発して無くなっていた。優奈が本能的に駿斗の手をギュッと握る。熱にうなされるような目つきの沙耶が、四つん這いのまま、3人に近づいてきた。

「私・・・変になっちゃった・・・。みんな、沙耶を助けて・・・。滅茶苦茶にして欲しいの。」

 止めに入ろうと思った澪が、思わず足を止める。尊敬する生徒会長が発しているのは、色気というよりも妖気に近いような、怪しい淫蕩さだった。

「こんなになっちゃってるのよ・・・。ほら・・・早くぅ~。」

 おねだりするような目で男子の仲間たちを見上げながら、沙耶が自分の乳首を摘まむ。両乳首は鼓動のたびに血液の巡りを表すように、ビクビクしながら固く上を向いていた。下に伸ばした両手でショーツを掴むと、細い腕に力を入れて、一気に白いショーツを引きちぎってしまった。3つのスーパーボールがこぼれて跳ねる。さっきまでのゲームでどれだけ引っ張っても破れなかったパンツが、あっさり千切れて一枚の布に成り果てた。

「人助けならしょうがないっ。」

「おっ、おいっ。倫太郎ってば!」

 飛びついたのは湯川倫太郎、栞が捕まえようとして手を伸ばしたのだが、触れることも出来なかった。こういう時に限って、この身のこなし。栞は軽蔑の舌打ちをした。

「あぁん、湯川君っ。嬉しいっ。イヤラしい沙耶を見てっ。湯川君の好きにしてぇぇええっ。」

 感極まったように抱きついて倫太郎の肩を甘噛みする沙耶。倫太郎も我を忘れて沙耶の美乳にしゃぶりつく。倫太郎のトランクスを下ろそうとする本人と沙耶の手が、もどかしくぶつかり合う。やっとオッパイから口を離すと、すぐに生徒会長の口が重なる。他の生徒会メンバーに見せつけるようにして舌が絡み合った。その迫力に、見守る残りのメンバーは思わず息を呑んでしまう。生徒会長は髪を振り乱して広報部長を抱きしめる。背中に回した両手で爪を立てるように力を入れて体を密着させた。

「沙耶ちゃんっ・・・。罰ゲームだから、しょうがないよねっ・・・。ごめんねっ。」

 呼びかけられた沙耶が、喘ぎながら首を何度も縦に振る。呆けたような緩んだ笑顔。潤んで赤くなった目。完全に発情していた。誘い込むように体を反転させて床に四つん這いになる。「どうぞ」と差し出すような素振りで膝を大きく開いてお尻を突き出した。倫太郎が少し緊張した様子を見せる。「後ろ」にするのは初めての体験だった。

「倫太郎っ。早く済ませてやれよっ。」

「あっ。そうだ。こっ、これを使ってあげてっ。」

 澪が声をかけると、思い出したかのように優奈がローションのボトルを手に取って駆け寄る。お嬢様の優奈に、こんな特殊な経験があるようで、意外と冷静に行動していた。

「じゃぁ・・・、沙耶ちゃん。つけるよ。」

 右手に垂らしたローションをベトッと沙耶のお尻につける倫太郎。沙耶は冷たい感触にお尻をビクッと動かす。倫太郎が触れるたびに、腰を動かすのだが、それは性感帯を刺激された時のような反応に変わっていった。

「はぁぁぁ、気持ちいい・・・。沙耶をもっと触って。」

 暗示を刷り込まれて、本人とは違う人格になっていると頭ではわかっていても、声はいつもの生徒会長。その口からおねだりの言葉が出る。喘ぎ声が出る。それを聞くだけで、男子の生徒会役員たちは体の芯から疼いてしまう。倫太郎は沙耶のお尻の穴。その恥ずかしいすぼまりをほぐすようにして、ローションのベットリついた指でマッサージをしてやった。指を動かすたびに、四つん這いの沙耶が悶える。ストレートの髪を振り乱す。その姿は樹が暗示をかけた通りの、性の獣になりきっているようだった。

「そろそろかな・・・。って、いつがいいタイミングなのか、わからないけど・・。じゃ、会長・・・入れちゃうよ。痛かったら言ってね。」

「来てぇ、倫太郎君。沙耶に入れてぇ。」

 倫太郎は生唾を飲み込んだ。樹が沙耶に与えた暗示は、男子3人に中出しさせること。但し、アソコは樹専用のものだから、それ以外で・・・。そうなると、倫太郎は沙耶の後ろの穴に挿入するしかなかった。女遊びにはそれなりに慣れている倫太郎だが、長年、聖域のように扱ってきた生徒会長のアナルに入れることになるとは、考えもしない事態だった。

 お尻の穴を指で引っ張って開くようにしながら、自分のモノの先端を押し付ける。強い抵抗を感じながら、グッと押し込もうとする。反射的に沙耶の肛門がヒュッとすぼまってしまった。

「沙耶ちゃん、力を抜いて。しっかりローションを塗ってるから大丈夫。」

「こう? ・・・気持ちがよくて、つい力が入っちゃうの。ごめんなさい。」

 さっきまで狂乱のていで倫太郎にしがみついていた高倉沙耶が、わずかに冷静さを取り戻したような言葉を返す。その口調と内容のギャップが、また倫太郎のモノを一段階大きくさせてしまった。深呼吸を繰り返しながら少しずつモノを深く挿入していく。沙耶は下半身で暴れる痛みと快感に耐えながら、必死で体の力を抜いて、倫太郎を受け入れた。

 ローションの潤滑に助けられながら、少しずつ体を動かす倫太郎。沙耶はまだ、顔をクシャクシャにして苛烈な感触に耐えていた。痛みは快感と混ざり合って、今はただただ熱い。気持ち良い。沙耶の脳天まで突きあがってくるような熱に浮かされて、生徒会長は涙も涎も鼻水も垂れ流してよがり狂った。

「あっ出るっ。沙耶ちゃん、出しちゃうよ。」

「全部出してぇえええええっ。全部ぅううううううううううっ!」

 悲鳴のような声を張り上げて、沙耶が懇願する。強い締め付けに根を上げるように、倫太郎のモノが沙耶の直腸に向けて精を放った。それを貪欲に飲みこむように、沙耶の丸いお尻の肉が収縮する。腰が前後する。恍惚の表情で高倉沙耶が天を仰いだ。

「好き・・・・。お尻でするの、気持ちぃぃ。どうしよう。」

 緩んだ笑顔で沙耶が倫太郎の次を求める。愉悦に浸りながらイチモツを抜く広報部長。次は周りの目を気にしながら、副会長の陸がフラフラと前に出た。

「・・・俺の番なのかな? ・・・・どうしても?」

 沙耶は満面の笑みを、振り返って見せながら、お尻をプルプルと左右に振って見せる。

「陸。お願い。沙耶のここに入れて。」

 佐倉陸は、まだ踏ん切りがつかないという様子で、澪や栞に視線を送る。

「もう、こんな沙耶、見てられないよ。さっさとヤッて、元に戻してあげて。」

 陸が栞と澪の意志を確認してから、沙耶のもとに向かう。鶴見栞は陸の背中を見ながら、(こういうところが、ちょっとズルいよね。悪気はないんだろうけど)と密かに思った。陸は倫太郎と違って、女子を丁重に扱う。それでもどこかそれは、自分を悪者にしないようにという意識が働いているように、栞は時折感じていた。

「沙耶ちゃん。ゴメンね。」

 陸が高倉沙耶の腰に優しく手を当てる。沙耶は口元に涎を残したまま、屈託なく微笑んだ。

「早く来てぇ~。沙耶のお尻に、陸のを思いっきり突っ込んでぇ。」

 甘えた声。まだ倫太郎のつけたローションと精をお尻の割れ目から垂らしながら、沙耶が尻を振って陸の腰に押し付けてくる。沙耶の罰ゲームでの変貌ぶりを、可哀そうだと思う。自分がこんな暗示をかけられたらと思うと背筋が寒くなる。それでも、高倉沙耶の狂態を見せつけられて、股間はどうしても固く起き上がってしまっていた。

 角度を合わせることに苦労しながら、生徒会副会長が会長のお尻にモノを入れる。キツいすぼまりがゆっくりと副会長を中に受け入れた。スマホを出した樹が、嬉しそうに撮影している。友人たちの視線と、動画撮影しているレンズを感じながら、陸と沙耶がゆっくり腰を振り始めた。

「ふっ、ふぁっ・・・、ふんっ・・・。」

 口を開けたままの沙耶は後ろから責められるたびに、息が漏れるのをそのままにしている。その吐息が上ずる。明らかに感じている。アナルで気持ち良くなっていることを親友たちの前で曝け出してしまっていた。全身の力を抜くことに気を使っているせいで、顔の表情も緩みきっている。毅然とした生徒会長の姿は消え失せていて、そこには肛門の刺激を貪る雌しか残されていなかった。陸が沙耶の腰骨を掴む指の力をぐっと強める。もうすぐ出してしまいそうな予感。ふくらはぎに腱が浮き出た。

「沙耶ちゃん・・・イクよ・・。」

「あんっ・・・・あんっ・・・・いっぱい出してっ。」

 射精の瞬間に陸の視界がチカチカとフラッシュする。自分の予想よりも多く、合計6回も精を放つ。そのほとんどを沙耶は後ろで銜え込んだまま飲み干した。

「ふわぁぁぁぁぁ・・・・。バカになっちゃう。・・・もう・・・・、バカになっちゃうの・・・。」

 沙耶が床に寝そべって、頬っぺたを地べたにつけながら、うわごとのように繰り返した。お尻だけはまだ、膝立ちで宙に浮かして、物欲しそうにクネクネと左右に揺らしている。10円玉ほどの大きさにポカッと開いたままの、不浄な穴からは、白い粘液をトロトロと垂れ流していた。

「お・・・俺か。次は。」

 小峰駿斗が若干渋るような態度で腕組みしたまま立ち尽くしている。横に寄り添う清橋優奈は同情するような口調で囁いた。

「ほら、・・・沙耶ちゃんのためなんだし、早く終わらせてあげてよ。」

 全員の視線が、同情的に駿斗に注がれる。その雰囲気の変化に気がついているのは樹だけだろうか? 校内みんなの憧れ。エベレストかK2級の高嶺の花として、誰もが見上げてきた生徒会長、高倉沙耶。今は疲労困憊でなお、アナルセックスを乞う、ベトベト、ドロドロのセックスマシーンに変身してしまっている。その姿を親友1人1人に見せつけることで、沙耶の神秘性のベールは完全に剥ぎ取られてしまっている。いくら樹の暗示に支配されてしまっているという事実をみんなが共有していても、目で見て、耳で聞く沙耶のアへ顔、喘ぎ声、雌の匂いは偽物ではない。その記憶がみんなの脳裏に刻みこまれる。この中の誰一人、この瞬間のことを忘れはしないだろう。現にみんな、今の沙耶を、可哀そうな罰ゲームの犠牲者というよりも、少し手に余る変態少女という目で見ている。全員の沙耶を見る目が、変わっている。その確信が、樹の暗い征服欲を満足させる。

「じゃ・・・こんな具合かな?」

 駿斗が沙耶の体を担ぐように引きずり上げて、大きなペニスを沙耶のアナルに押し込んだ。他の男子の精液を垂らしている穴に入れるのは、気持ち悪そうな様子だった。最初の倫太郎の時のようなローションの前準備など無い。いきなりのインサート。沙耶は涎と涙と鼻水でくしゃくしゃの顔を上げて、悦びに浸った。

「いいっ・・・大きい。・・・小峰君のおチンチンッ・・・・沙耶に入ってる~。」

 快感によがり狂う生徒会長の体に突き立てるように、駿斗が逞しい体を動かしてピストン運動をする。振り回されるように沙耶の体がしなる。形のいい胸がブルンブルンと躍った。汗に濡れた髪が自分の背中を打った。白くて華奢な体を酷使させられながらも、沙耶は天国にいるような表情でよがり泣いた。

「もうすぐだっ・・・イクぞっ。会長。」

「はいぃぃ~。きてぇえええっ。」

 声を裏返しながら、沙耶が乞う。彼女のお尻の穴を限界まで広げていた小峰駿斗のイチモツが、濃く熱いスペルマをドクッ、ドクッと放出する。同時に沙耶も、今日何度目かの昇天を果たしていた。ブシュッとアソコから愛液を噴く。つたっていく太腿が火傷しそうに感じるほど、熱い愛液だった。

 3度目に床に転がる沙耶。全裸の体を隠そうともせずにゴロンと床に寝そべりながら、放心したように天井を眺めていた。お尻はまだポッカリと口を開けて、白い液を止めどもなく垂れ流している。足の間には自分の愛液が水たまりのような染みを作っていた。

「・・・・。はぁ・・・・、はぁ・・・・・。終わった・・・・。もう・・・終わりだよね。」

 沙耶が熱に浮かされたような表情から、少しずつ冷静さを取り戻していく。正気に戻ってきたようだった。

「沙耶ちゃん・・・これ、どうぞ。」

 優奈が近寄って、バスタオルを沙耶の体にかけてあげる。沙耶は恥ずかしそうに礼を言った。

「ありがとう・・・優奈ちゃん・・・。みんなも・・・、その・・・、協力してくれて、ありがとうね・・・。」

 やっとのことで体を起こして、生徒会長が男子メンバーたち一人一人を見据えながらお礼を言う。男子たちは目をそらしたまま、気まずそうに頷いた。

 鶴見栞は優奈の行動を脳裏で反復する。沙耶を気遣う、優しい優奈。それでも沙耶に触れるあと一歩というところで立ち止まって、立ったままファサッとバスタオルをかけた。いつもの優奈だったら、駆け寄ってしゃがみこんで、沙耶の肩に手でもかけながらバスタオルをかけてあげたのではないだろうか。

 しかし栞は優奈の行動を咎める気にはならない。それほど、直接目の当たりにする親友同士のハードなアナルセックスというのは、ショッキングだったのだ。沙耶の喘ぎ声は耳を塞ぎたくなるほど荒々しく、ヤラしかった。それこそ発情した動物のような・・・。

 沙耶にも罪はない。幻滅なんてしたつもりはない。それでも、栞は生徒会長をこれまで通りの目では見られなくなっている自分に気がついた。

『僅かに露出で興奮する性向を秘めていて、可児田樹の一言でド淫乱女に豹変出来る子』

 それは沙耶の落ち度ではないのに、これまでの完全無欠の清純なリーダー像からはギャップの大きすぎる、現状の高倉沙耶の姿だった。

(これまで信奉していたパーフェクトなイメージが崩れると、崇めていた自分が裏切られたみたいな気がしちゃって、沙耶に復讐心すら芽生えてる? 私、これじゃぁ、根暗なアイドルオタクと同じじゃないっ)

 栞は自分を奮い立たせるように頭を左右にブンブンと振ると、ウェットティッシュを手にして沙耶に駆け寄った。

「立てる? 会長。」

「ありがとう。栞ちゃん。」

 頬を赤らめて、目を潤ませたままのリーダーが栞を見上げる。体を起こした瞬間に、かかっていただけのバスタオルがめくれて、オッパイが見えてしまう。ゆっくりとタオルの端を持ち上げて、沙耶が胸を隠した。

「無理しないでいいんだよ。」

 汗で額や頬に貼りついた綺麗な沙耶の黒髪に、指を入れて整えてあげる。木目の細かい肌は、汗ばんで、僅かに脂ぎっていた。コトを終えた後の女の肌。栞は昔読んだ時代物の文学作品での描写を思い返していた。

「大丈夫・・・立てる・・・けど・・・・。・・・座れないかも。」

「大変だったからね。」

「うん・・・・・・・・・・・・・・凄かった・・・・。」

 労わるつもりで言った栞に対して、沙耶はボンヤリと目をさまよわせながら、僅かに口元を緩ませた。不安になる生徒会会計、鶴見栞の腕の中で、高倉沙耶は思い出しながらウットリとしていた。栞を心配させまいと、無理に笑顔を作ったのかと思ったが、そうではない。激しい交わりと、体に刻み込まれた快感を、思い起こして思わず笑みを溢してしまっているのだった。

「沙耶、・・・アンタ、正気に戻ってるんだよね?」

 栞が沙耶の頬をペチペチと叩いてみせる。

「ふ~ん・・・わかんない」

 沙耶があどけない口調で返す。表情はまだ、天国にいるような至福の笑みだった。

< つづく >

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