中2の血脈 中編

中編

 真っ白な背景の部屋で、悠生は女の人を裸にして、抱きしめていた。オッパイに吸いついて、もう片方のオッパイを手で強く掴む。柔らかくて白い肌は、昨日の「母」、悠美の体の感触。その裸の女の人も、悠生に触られることを嫌がっていないようだった。彼女が悠生の肩から腕にかけて何回もキスをすると、彼女の長い髪が悠生の肌をくすぐる。そんな女性の柔らかくて温かい体を、力強く、全力で抱きしめる。彼女が鼻から吐息を漏らした。

「何をしてもいいんですよ。悠生様。」

 その声は、母のオットリとした優しい声ではなかった。伸びのある若い声。冷静さを保ちながら、本当の優しさと生真面目さを覆い隠しているようなトーン。悠生は聞き覚えのある声に気がついて、顔を上げてみた。体は確かに悠美の裸だったけれど、首から上は、昨日会ったばかりのスミレさんのものだった。スミレさんがニッコリと微笑む。
 

「あっ・・・ごめんなさいっ。」

 思わず体を起こして、悠生が声を出した。そこは寝室。そしてベッドの上には悠生と悠美がいた。ベッド脇には、東宮スミレさんが立っていた。

「あれっ・・・、僕・・・。夢? ・・・」

「おはようございます、悠生様。勝手にお邪魔しております。」

 スミレさんは小さく咳ばらいをしていた。

「おはようございます。悠生様。勝手にご奉仕させて頂いておりますっ。」

 悠美は悠生のモノから口を離すと、ニッコリと顔を横に傾けながら、深々とお辞儀をする。朝っぱらからフルヌードだった。

「・・・あ・・・。ごめんなさい。」

 悠生は悠美がまだ両手を添えている、自分の股間に気がついて、赤くなった。オチンチンが完全に勃起して上を向いている。そこへ悠美が奉仕をしていたのだ。おかしな夢を見てしまった理由がわかった。

「御児宮家の男子として、開眼された後は、これが自然なことでございます。悠生様はこれからも睡眠中に体がより強く作り替えられ、目覚める頃には必ず・・・コホン・・・、「朝立ち」があると思います。それをスムーズに射精に導くのも、悠美の仕事です。」

 スミレさんの説明に、「母さん」は裸のまま、何度も笑顔で頷いている。

 裸の「母さん」・・・、『御児宮家の男子』・・・。悠生は昨日の出来事を思い出す。昨日の記憶も含めて、全部夢だったのではないかと一瞬思ったが、スミレさんの言葉と、そして今ここにスミレさんがいることで、あれは夢ではなかったのだということを理解させられた。

「何をしてもいいんですよ。悠生様。」

 さっきのエッチな夢の中で、スミレさんは言っていた。今よりももう少し柔らかい笑顔の、夢の中でのスミレさん。切れ長の目とスラリと通った鼻筋。悠美とはまた違う、凛とした美少女のようなスミレさんの美貌。悠生はいつの間にか、良からぬ企みを試してみたくなった。

 悠美に口でオチンチンを愛撫してもらいながら、悠生が昨日のような、ネットリと鈍く輝く、液体金属のようなものを思い浮かべる。すると下腹部あたりから、テニスボール大の、重金属のような粘液の塊が浮かび上がった。それを、姿勢よく立っているスミレさん目がけて、飛ばしてみる。

『スミレさんも裸になって。僕らと同じように、エッチな気持ちになってよ。』

 悠生が念をこめた、その銀色の物体は、スミレさんの体から30センチほど前のところで、ビチャッと飛び散った。まるで見えない壁に当たって破裂したかのような様子だった。飛び散った銀色の物体は、スペースシャトル内の無重力空間の映像のように、細かい粒がユラユラとその場で浮遊して、やがて薄く消え去っていった。

「悠生様・・・。一族の間での交わりは、子孫を残すことの出来る確率が低いため、避けるべきこととされております。それに私は今、貴方を教育する係です。お控えください。」

 スミレさんは、色々と複雑な感情を押し込めるように、しばらく黙りこくっていたが、やがて口を開いて説明をしてくれた。彼女にすべてを見透かされたと感じた悠生は赤くなって下を向いた。

「悠生様。下に、悠美が朝食の支度を済ませてくれています。いちど溜まったお精を出して頂いた後で、お着替えを済ませて降りてきてください。」

 スミレさんは一礼すると、少し足早に寝室を出て、階段を下りて行った。

 軽蔑されたのかもしれない。そう思うと、悠生のオチンチンは、悠美にしゃぶってもらいながらも、少しだけ萎んだ。

 それでも、朝立ちしていたオチンチンを、寝ている間から舌で奉仕されていた悠生は、すぐに悠美に、今日1回目の射精に導かれてしまう。悠美の喉の奥に叩きつけてしまった、濃い精液を、悠美は少しムセて咳をしんがらも、嬉しそうに飲みこんでくれた。着替えも手伝うと言い張る悠美のしたいようにさせて、悠生はゆっくりとリビングダイニングに降りる。スミレさんは襖を締め切った和室の中で、何かゴソゴソしていた。

「悠ちゃん。ママの朝ご飯、召し上がれ。・・・しっかり噛まないと駄目よ。」

 薄手の花柄ワンピースとエプロンに身を包んだ悠美は、いつもの過保護で天然気味の美人母と変わらない物腰になっている。トーストとサラダとミルクと自家製イチゴジャム。悠生が食卓テーブルについたら、悠美がベーコンと目玉焼きに取り掛かる。出来立ての目玉焼きを出したがる、いつもの「母」のルーティンだった。陽気に鼻歌を歌いながら悠生に背中を向けてフライパンを振る悠美。ここだけ見ると、悠生のいつもの退屈な日常が帰ってきたようだった。

「あ・・・あれ? ・・・悠ちゃん・・・・。ママ・・・、どうしたのかしら?」

 悠美はフライパンを置くと、急にエプロンの紐に手をまわして、解き始める。困ったような顔をしながら、エプロンを床に落としたままワンピースのチャックに手を伸ばして、スルスルを服を脱ぎ始める。トーストを齧ったまま、唖然としている悠生をそのままに、悠美はパステルピンクのブラジャーもパンティーも脱ぎ捨ててしまって。悠生が食事をとっているテーブルの上に、足をのせると、椅子を使ってテーブルに上がり込んでしまった。食事が並ぶテーブルの隙間を見つけて裸のお尻をペタッとつけると、悠美は垂れ気味な両目を見開いて、パチクリさせながら、右手をピンッと上に伸ばして、挙手をした。

「母さんっ、何やってるの?」

「と・・・、止まらないの・・・。体が勝手に・・・。悠生様? ・・・・」

 リビングと繋がっている、和室の襖が勢いよく開かれる。ダイニングのパニックの様子を聞いてか、和室に閉じこもっていたスミレさんが飛び出てきたのだ。さっきまで後ろで束ねられていた髪の毛が、ほどかれて肩にかかっていた。

「悠生様、『残響』ですっ。昨日の貴方の『鬼御玉』の飛散した粒子がまだダイニングに残っていて、悠美と悠生様が近づいたのに反応して、昨日念じたことをまた悠美に実行させているんです。」

「どっ、どうすればいいの?」

「悠ちゃんっ、スミレさんっ・・・私・・・また・・・、あぁんっ。」

 悠美はテーブルの上、全裸で右手をピンッと上に伸ばしたまま、左手で自分の股間を弄って喘ぎ始める。オロオロしている悠生のもとへ、シャツの第2ボタンを留めながら、スミレさんが駆け寄ってきた。そしてスミレさんが右手をかざして、水平に空中を滑らすと、悶え狂っていた悠美は、憑き物が落ちたかのように、正気を取り戻し、恥ずかしそうに右手を下し、左手を股間から離した。

 スミレさんがホッと胸を撫で下ろす。悠美は恥ずかしそうに股間を隠しながらテーブルを降りて、下着や服を集め始めた。

「こんなに残響があるとは、私も想像しておりませんでした。悠生様の力は、まだ開眼したばかりですが、私の予想を上回る、強力なもののようです。これからも、強く何かを念じた後は、その場から思念を浄化させて立ち去ることを気にかけておいてください。」

 スミレさんはまだ少し驚いているのか、悠生の頭では理解できない言葉を色々と投げかけていた。その様子を感じ取った、冷静さを取り戻してきたスミレさんが悠生の肩にそっと手を添える。

「全て、頭で理解しようとしなくても結構ですよ。悠生様の体と、そこに流れる血が、すべてを知覚されていると思います。まずは実地でそのお力の使いこなし方を覚えてまいりましょう。」

 そこまで言ったスミレさんの表情は、昨日の冷静沈着な教育係の顔に戻っていた。

「あ、ありがとう・・・。あと・・・これって、今朝から出来てるみたいなんだけど、普通のこと?」

 悠生が腕を上げて、スミレに見せる。朝起きたら、肘の下あたりに、幾何学模様の痣が浮き出ていた。まるで般若の面を幾何学的にしたようなデザインの痣・・・。

「はい。こちらは御児宮家の男子に共通する痣です。学校に行く際に気になるようでしたら、リストバンドか何かで隠しましょうか? 何かお持ちしますね。」

「・・・・そうなんだ・・・。ちょうど、何種類かリストバンド持ってるから、つけておこうかな・・。」

「持ってるんですか? ・・・それはそれは・・・。」

 スミレさんは少し意外そうな顔をする。悠生はまた少し、顔を赤くした。以前に自分の中の妄想の設定で、「リストバンドで痣や古傷を隠す」という、小道具を使って悦に入っていたことがあったのだ。

。。。

 家を出て、いつも通りの時間に登校をする。いつもと違っているのは、悠生の隣には白衣をまとった楚々とした美人が同行しているということだ。すれ違う通行人が思わず振り返る。悠生は昨日までの凡庸な自分では考えられない登校シーンに、密かな優越感を覚えていた。

 悠生の通う桜木台学園は郊外の学園都市にある。快速に乗る必要があるのだが、都心から離れる方向の電車であるため、逆方向の路線よりは空いている。それでも、朝の通学時に座ることが出来るのは稀だった。

「悠生様のお力は急速に目覚めていくと思われます。あらゆる機会を修練に使ってまいりましょう。まずは身体操作です。昨日の悠美とは違って、通りすがりの見知らぬ他人の動きを操ることで、アウラを素早く集中させて鬼御玉を飛ばす方法、そしてその力の調整度合を覚えて頂きます。」

 それなりに混雑している車内で悠生に話すために、スミレさんがその、綺麗な顔を近づけて、耳元で囁く。息が顔にかかると、悠生は密かにドキドキした。

「まずはこれまでとは違う、出来るだけ小さな鬼御玉を、素早く出すことを心がけてください。相手は誰でも結構です。悠生様が知らない人、これまで関係を持ったことのない他人に投げかけてみてください。」

 悠生は言われた通り、出来るだけ小さい、銀色の球体を出そうとしてみた。早く出そうと思ったが、なかなか簡単には、重金属のような球体は目の前に現れてくれない。他人が大勢ひしめき合っている場所で出すのは、昨日や今朝のように自宅で出すのとは具合が違うようだった。

「あっ・・・、やっと出た。」

 下腹部に力をこめて、鳩尾あたりから「鬼御玉」とスミレさんが呼んでいる球体をやっと捻り出す。ピンポン玉程度の大きさの銀色の球体が、ユラユラと形を変えながら鈍く光って浮いていた。

「もっと小さくて良いのですが・・・。とりあえずこちらを、どなたか悠生様の興味を引いた方に投げかけてください。」

 スミレさんに言われて、車内を見回してみる。悠生が敢えて選んだのは、長椅子に腰かけて、文庫本を読んでいる、OLさんだった。お姉さんタイプの美人が好みだったためだ。ユラユラと浮遊していただけの「鬼御玉」に意志をこめる。念じると、その球体はお姉さんの体の中へ、吸い込まれるように入っていった。読書中だったお姉さんが、一瞬、下腹部を守るように屈み込んで、怪訝な顔をする。球体が入った瞬間に、小さな衝撃を感じたのだろうか?

「もっと小さな鬼御玉を、もっと早く、優しく入れられるように練習しましょうね。でも、まずは結構です。あの方の動きを、怪しまれない程度に操ってみてください。」

 怪しまれない程度・・・。悠生は迷ったあげく、まだ少し眉をひそめながら読書に戻ろうとするお姉さんに対して、
『頬っぺたを掻いて』

 と念じた。

 文庫本が投げ出されて、座っているお姉さんの前に立つサラリーマンに当たった後、床にベシャっと開かれたまま表紙を上にして落ちた。

「キャッ。ごめんなさい。」

 お姉さんはまるで、ひきつけを起こしたみたいに左手をビクンッと伸ばした。その勢いで、手に持っていた本を投げ出してしまって、頬っぺたをポリポリ掻き始めた。向かいに立つサラリーマンが、文庫本を拾い上げて、お姉さんに渡してくれる。お姉さんはまだ頬っぺたを掻きながら、もう片方の手で恐縮して受け取った。お姉さんが綺麗な人のためか、前のサラリーマンも親切だ。

「悠生様、やはり力みすぎです。もっと軽く、優しく念じてあげるだけで、自然な動きを作り出すことが出来るのですよ。」

 スミレさんが説明しながら、スラリと長い人差し指を伸ばす。指で指し示すようにしたその爪の先から、ヒュッとビーズ玉くらいの大きさの、銀色の球体が飛び出す。見逃しそうなくらいの小さな玉は、空中を素早く滑っていきながら途中で2つに分かれる。そしてさっきの読書中のお姉さんと、その前のサラリーマンの体に、スルッと入っていった。入る瞬間に、それまでよりもスピードを落としたような気がする。そのせいか、お姉さんもサラリーマンさんも、何も気がつかないといった様子だった。

「あれ?」

「おや?」

 サラリーマンさんとOLのお姉さんは、どちらからともなく手を伸ばして、紳士的に握手をした。自分たちの行動を少し照れながら見守るように、顔を赤くしている。

「あまりに奇抜なことをさせると、不審に感じられてしまいますが、小さな鬼御玉を速やかに動かせば、ある程度の操作までは、自分たちの行動だと思ってくれます。人間の意識はすべての体の動きを制御しているわけではないですから。体の動きを、意識が追認することも多いのです。」

 サラリーマンさんがOLさんの手を握ったまま、もう片方の手を吊革から離して上体を屈ませる。そして握っているお姉さんの手を少し捻って、手の甲にチュッと口づけをした。

「おやっ・・・しっ・・・失礼。」

「あっ・・・いっ・・・いえ・・・。」

 サラリーマンさんが謝ると、お姉さんも赤くなった顔を隠すようにして文庫本で覆うように読書に戻る。2人はあからさまにギクシャクし始める。

「ここまでいくと、不審に思われる、ということです。」

 スミレさんが平然と言った。悠生はもう少し、読書中の綺麗なお姉さんに悪戯をしてみたくなった。

『お姉さん、足を開いて。パンツを見せてください。』

 悠生は優しく念じたつもりだった。それでも、まだ力が入りすぎているのだろうか? お姉さんは困ったような顔で自分の膝がプルプルと震え始めるのを見ていた。一生懸命、我慢しているようだったが、数秒後。

「キャアッ・・・。なにこれっ・・・。」

 膝が反発しあう磁石みたいに、パカッと開く。あまりの勢いに、タイトなスカートがビリッと破れてしまった。ベージュのストッキングの下に淡い水色のパンツが見えてしまう。車内が小さくどよめいた。お姉さんは恥ずかしそうに、開いた文庫本で股間を隠す。悠生は自分で自分の悪戯が止められなくなっていた。

『隠しちゃ駄目。バンザイして』

「ばっ・・・バンザーイッ・・・・。やだぁ・・・・。」

 文庫本が放り投げられる。ハゲたオジサンの頭にバサッと当たった。綺麗なOLのお姉さんは、両手を上に伸ばして、指は全て開ききって、両足は「Mの字」に開いたまま、バンザーイと叫んだまま、固まってしまった。真っ赤だった顔は、血の気を無くして白くひきつってきた。

「た・・助けてくださいっ・・。」

 悲鳴のようなお姉さんの声。近くで立っていたオバサンが、スカーフを首から解いて、お姉さんの太腿と股間を覆い隠してあげた。車内のざわつきが、大きくなる。

『自転車こぐみたいに、足をグルグルさせてみて』

 両手をあげたままのお姉さんが体をズリ落として、両足を交互にグルグルと回す。キビキビとした動きは、何かのエクササイズのようだ。オバサンのスカーフは跳ね上げられてしまって、お姉さんのパンツが再び露出する。

 次に何をさせようか考えていた悠生の腕を、スミレが掴んでたしなめた。

「そこまでです。悠生様。長い時間、本人のしたくないことをさせて、意識を自由にさせておくというのは、対象にとって負担が大きいです。それに、ここまで不自然なことをさせては、みんなが騒ぎ出しますよ。」

 スミレに言われて、悠生は我に返った。・・・また力み過ぎたようだ。さっきお姉さんに「バンザイして」と念じた時も、両手を上げて欲しかっただけなのだが、お姉さんは両手を開いて本を投げ出し、「バンザーイ」と声に出して叫んでしまった。悠生の指示が曖昧だったのだろうか。

「悠生様。もっと対象の奥深くへ鬼御玉を入れて、相手に馴染むような小さく心地良い振動を与えてあげれば、抽象的な指示だって正確に相手に伝えることは出来ます。鍛錬あるのみですね。」

 悠生の反省を見透かすように告げると、スミレさんは手をあげて、スーッと水平に振った。まるで霧のような、小さな粒が車内全体に広がっていく。その霧に当たると、騒いでいた通勤、通学の乗客たちは、みんな落ち着いて、無表情になってスマホや新聞、本に顔を戻す。ボーっと窓の外を見ている人もいる。電車の中は、少し不気味なくらい静かになった。ふとOLのお姉さんを見てみると、バンザイのポーズで両足を上げてグルグル回しながら、無表情で真っすぐ上を向いている。ハイヒールの足は両隣に座る人たちに時々ぶつかっているのだが、お姉さんも乗客も、誰も見咎めようとしない。

「皆さんに落ち着いてもらって、不自然な出来事の記憶を無くしてもらいます。悠生様も、私がいないところで、問題になるようなお力の使い方をされるのは、こういうことが出来るようになってからにしてくださいね。」

 冷静に淡々と、スミレさんが説明する。悠生はその言葉を耳に入れながらも、目はOLのお姉さんに釘付けになっていた。不自然なポーズをとりながら、無表情で放心している、美人OLさん。その姿は、何か悠生の衝動を掻き立てるものがあった。きちんとした身なりの大人の女の人。たぶん職場ではマドンナ扱いされているはずの美人さんが、今は悠生やスミレさんの思うがままに操られている。そしてこの瞬間は、何が起こってるのかもわからないくらい、放心している。破れてしまったタイトスカートもそのままに・・・。

「悠生様、聞いてますか? ・・・あ・・・。コホン、わかりました。あの方がお気に召されたのしたら、次の駅で降りましょうか。」

 スミレさんが小さく咳払いする。だんだんと日常の、抑制されたざわめきを取り戻しつつある車内で、スミレさんが小さく、何かを念じたようだった。それは悠生も鬼御玉を入れている、OLさんの内部で小さな振動が感じられたので、わかったことだった。

「あ・・あれ? ・・・悠生君?」

 急に我に返ったように正気を取り戻した美人OLさんは、悠生とスミレさんが立つ、3メートルほど先のあたりに手を振ってくる。ホッとしたような様子のお姉さんが、立ち上がって近づいてきた。

「悠生様。あの方の記憶を弄らせてもらいました。貴方のことを前の彼氏だと『おぼえて』頂いています。一緒に次の駅で降りましょう。」

 年の差も身長差もある悠生に対して、綺麗なお姉さんは親し気に近づいてくる。悠生の心臓が高鳴った。

「こんなところで会うなんて、変な縁ね。・・・私、・・その、スカート破れちゃって、ピンチなの。今更なんだけど、助けてくれるかな?」

 耳元で内緒話のように囁いてくる綺麗なお姉さん。悠生は生唾を飲み込みながら、慌てて頷いた。アナウンスが入って、次の駅が近づいてくる。スミレさんと悠生とお姉さん。3人はドアの近くへと足を進めた。

 モデルのようなルックスの、綺麗なOLさんは、少し複雑な心境を抱いているように、はにかみながら、悠生をチラチラと見下ろしてくる。小さい歩幅で歩きながら、スカートの破れ目をキツく握りしめているけれど、その隙間からはベージュのストッキングと健康的な太腿が、足を伸ばすたびに見えてしまっていた。

「この近くで、替えのスカートを売っているところを、私が探してきます。貴方と悠生様は、ここで待つか、着替えの準備のためにお手洗いで待っていて頂ければ結構です。・・・積もる話もあるでしょうから。」

 スミレさんはそこまで言ったあとで、悠生にぐっと顔を近づけて小声で囁いた。

「この方は今、悠生様をただの前の彼氏だと思っているだけではありません。貴方のことを、今でも大好きだったと『おぼえて』頂いています。悠生様の思うようになされても、怒らないはずですよ。それでは、行ってきますね。」

 妄想のような話を、真顔で語るスミレさん。悠生は、昨日の悠美とのことを思い出して、思わず股間が固くなった。本当に、電車にたまたま乗り合わせただけの、社会人の美人OLさんと、・・・通りすがりにセックス出来たりするものだろうか?

 悠生はお姉さんと向き合って、何を喋るべきか、考えてみた。

「あの・・・、ゴメン。名前、何だっけ。」

 親密な表情を見せていたお姉さんが、一瞬強張る。大人なのに、その場でボロボロと涙を流し始めた。

「ひ・・・ひどい・・・。私、今でも貴方のこと・・・、ずっと・・・なのに・・・。」

「うっ、うわっ・・・。どうしよっ。」

 立ち去ろうとしていたスミレさんが、小さく溜息をついて、戻ってくる。わずかに手を動かして、泣き崩れるお姉さんを指さした。するとお姉さんのナカで、小さな振動が起こる。お姉さんは立ち上がって「気をつけ」の姿勢になった。

「私の名前は松倉里絵です。製薬会社の営業部に勤めています。元カレの悠生君のことが今でも大好きで、再開出来たら、どんなことでも喜んで受け入れます。私の名前を忘れられてしまっていたことは、たった今、忘れました。」

 まるでドラマで見たこのある、就職の面接のシーンのように、お姉さんは「気をつけ」の姿勢のまま、ハキハキとしゃべった。まっすぐ前に顔を向けて、遠くを見つめている。タイトスカートが破れたままの、美人なOLさんが駅のホームで直立不動になって何かを表明している。通り過ぎる人たちがチラチラと振り返っていた。

「これで大丈夫です。悠生様。鬼御玉は使い方に慣れれば、相手の記憶や考えを読み取ることも出来ますので、これからは親密な人間関係という暗示をかけてある相手に、ストレートに名前を尋ねるようなことは、慎んでくださいね。それでは、15分ほど、自由にお過ごしください。」

 振り返ると、さっきまで無表情で直立不動になっていたお姉さんが、目が覚めたように周りを見回していた。

「・・・え・・・、私・・・。涙? ・・・どうしたんだろう。・・・・悠生君と、久しぶりに会えたから、知らない間に、泣いちゃってたのかも。」

「あ・・・あの・・、里絵さん。・・・ちょっとあっちの方で、休憩しようか。」

「やん、もう。悠生君。前みたいに、里絵って呼んでよ。」

 ビジネススーツのお姉さんは、ちょっと甘えたような声を出して、悠生との距離をグッと詰めてくる。横から腕を絡めて、恋人同士のように腕を組んで歩く。悠生の身長が足りなくて、少し背伸びをして歩かなければならない。通勤・通学時に、この、カップルのラブラブぶりを見せびらかして歩くような状況は、若干の気まずさと照れくささも感じるが。それ以上に誇らしい気持ちになる。

「悠生君・・・、もう彼女とかいるのかな?」

「いない・・・よ。」

 即答出来てしまうのが悲しい。一瞬、悠美とのエッチのことを思い出したが、あれを説明するのは不可能だと思われた。

「本当? 嬉しいっ・・・。あのね、私、悠生君に、会ったら、絶対言おうって決めてたことがあるの。」

 里絵が絡めた腕をさらに強く組む。悠生の二の腕に、柔らかい胸が押しつけられる感触があった。

 駅のホームから階段を上がって連絡通路を通ると、公衆トイレがあった。体の不自由な人用のトイレが空いている。まるでデートの途中のような2人が立ち尽くすには、あまりロマンチックな場所ではなかった。それでも、腕に大人の女性の胸の感触を得ている悠生は、勇気と何かを振り絞ろうとしている。

「あの・・、里絵。ちょっとこの中に隠れて、キスとかしようか?」

「ウフフ。なんだか、隠れて、悪いことするみたいで、楽しいね。」

 美人OLさんが悪戯っぽい笑顔を見せて、クスクス笑う。2人でトイレの個室に入った。自動のドアが閉まりきる前に、悠生は里絵に抱き寄せられて、唇を重ねた。プルッと柔らかくて弾力のある、女の人の唇の感触。高級そうな口紅の匂い。里絵さんの口が、何かを求めるみたいに少し開いた。悠生が少し躊躇いがちに舌を入れると、それが吸いこまれるように里絵の口の中に招き入れられる。今日初めて会った女の人と、舌を絡めあった。

 唇を重ねて、舌を吸いあいながら、悠生が里絵さんのスーツの中に手を入れる。シャツの上から、ブラジャーのパッドの感触。そしてその下でムニュッと形を変える、オッパイの感触があった。しかし、体を捻るようにしながら、里絵さんの細い手首が、そっと悠生の手をどけた。

「うんっ・・・・。駄目よ・・。ホテルか・・・、私の家に行かない? ・・・ほら、私、ちょっと潔癖症気味で・・。」

 口を離して、里絵さんが訴える。清潔そうな髪や服装から、里絵さんの言葉には説得力があった。それでも、いきりたっている悠生を納得させることは出来ない。少し恨めしそうに、悠生が里絵さんの顔を見つめた。心の底から念じて、里絵さんの下腹部に入ったままになっているはずの、「鬼御玉」を振るわせようとする。

『里絵さんは、今すぐここで裸になる。僕とここでセックスがしたくて、我慢出来ない。エッチのことしか考えられない。清潔とか不潔とか、どうでもいいんだ。セックスがしたい。セックスをするんだ。』

 ブブブブ、ブルブルブルブルッ

 鬼御玉が、これまでに悠生が経験したこともないぐらい大きく震える。目を見開いた里絵さんは、思わずおヘソの下あたりを両手で押さえて、体を屈ませた。

(や、やりすぎた?)

「ご、ごめんなさいっ。里絵さん、大丈夫?」

 悠生が駆け寄って、しゃがんでお腹を押さえている里絵さんに触れる。里絵さんは手のひらを見せて、少し悠生を下がらせた。

「だ・・大丈夫・・・じゃ・・・、ないの・・・。私・・・、え・・・、エッチが・したいっ。・・・もう・・・、どうでも・・・・。ぁあああっ。」

 何かを我慢するように、自分の体を押さえつけていた里絵さんが、スーツのジャケットの胸元を両手で掴む。そしておもむろに両手を強く激しく引き離した。ジャケットのボタンがブチブチっと飛んでしまう。

「もうっ・・・こんなのっ・・・・・いらないっ。」

 里絵さんはジャケットを投げ捨てると、淡いピンクの開襟シャツも両手で握りしめて、胸元から引き裂いてしまう。小さめのボタンがまたいくつもブチブチと飛んでいく。モカブラウンの上品そうなブラジャーが見えてしまう。破れたシャツが、トイレの床に放り投げられた。もともと破れ目が出来ていたタイトスカートは、さらにあっさりと破られて、脱ぎ散らかされてしまう。暴れる里絵さんは、そのまま収まりがつかないというように、パンティストッキングもビリビリに、散り散りに破っていく。普通に脱ぐよりも時間がかかっていそうだが、突き上げてくる衝動を抑えきれないといった様子だ。

「服なんてっ・・・いらないっ、いらないのっ・・・。ほら、里絵。裸よっ。どうっ? 悠生君。」

 ブラジャーもパンツも剥ぎ取って脱ぎ散らかして、やっと里絵さんは少し楽になったような表情を見せる。両手を大きく開いて、悠生の前に立つと、嬉しそうにターンをきめて、悠生にその裸を見せつけた。

「みんな、この体、スタイルがいいって褒めてくれるのよ。どうかしら。・・・綺麗? 悠生君。」

 色んなものから解放されたような無邪気な笑みを浮かべて、全裸の里絵さんが嬉しそうにクルクル回って飛び跳ねる。自分から言うだけあって、里絵さんの裸はメリハリがあって、女性らしさと健康的な引き締まった部分とがきれいに整っていた。オッパイはツンと上を向いている。お尻もキュッとしたハート型。悠生の目を引き付けて離さなかった。

「う・・ん。凄く、綺麗。」

 褒められると、里絵が飛びついてきた。

「じゃっ・・・・しましょっ。エッチ。」

「い、いや。ここで、大丈夫?」

「どこでも、大丈夫。セックス出来たら、里絵、なんでもいいの。」

 喜々として悠生の制服を脱がしにかかる、全裸の美人OLさん。潔癖症だと言っていたはずなのに、裸のまま駅の公衆トイレの床に膝をついて、悠生のズボンのチャックを下してくる。

「・・・じゃ、しよっか。」

 悠生が「力」を使ってこうしたはずなのに、松倉里絵さんのあまりの変貌ぶりに、心なしか、たじろいでしまっていた。それでも、里絵さんの生まれたままの姿。抜群のスタイルを目の当たりにすると、生唾を飲みながら手を伸ばしてしまう。オッパイを押してみると、ムニュニュッと指を押し戻してくる。乳首は固く大きく立ち上がっていた。

「里絵さんのここって、・・・いつも、こんな感じ?」

 悠生が人差し指と親指で、里絵の乳首を摘まんでみる。里絵が気持ちよさそうに、フッと息を漏らしながら震えた。

「やんっ・・。いつもはもっと小さくて、色ももっと薄いピンク。でも、今はすっごくイヤラシく大きくなっちゃった。里絵がヤラシイことしか、考えてないから。」

 摘まんでいる乳首が、まるで鼓動に合わせてさらに大きくなろうとしているように、ビクンビクンと脈打っているように感じられた。それともこれは、悠生の鼓動だろうか。摘まんでいるうちに、どちらのものか分からなくなる。服を脱がしてもらいながら、悠生は口を伸ばしてその、摘まんでいた乳首に吸いついた。

「いぃっ・・・。強く吸って。・・・軽く、噛んでくれてもいいのよ。里絵、イタ気持ちいくらいのも大好き。・・・ヤラシイ子なの。」

 自分で言いながら、言葉でさらに陶酔していくような口ぶりで、美人OLさんがおねだりをしてくる。やっと裸にしてもらった悠生は、自分よりも背の高いお姉さんの裸にむしゃぶりついた。自分の制服は破られなくて良かった。心の片隅でそんなことを考えていたが、ナイスバディを抱きしめて揉みしだいて舐めまわすうちに、悠生もセックスのことしか考えられなくなっていた。手をお姉さんの、張りのある太腿の付け根に伸ばす。手入れのされているアンダーヘアーはシットリと濡れていた。

 お姉さんの全身にはいつの間にか玉のような汗が浮かび上がっている。薔薇の匂いと思われる香水の香りに、生き物の匂いが混じっているように思える。発情した里絵さんが、全身の毛穴から発散し始めた、ムッとするようなメスの匂い。その匂いは、太腿の付け根あたりから一番強く漂ってくる。毎日清潔に洗って、お手入れに余念がないはずの美人OLさん。なのに悠生の「力」一つで、発情したメスになって、体全体でオスを誘ってしまっているのだ。股間から立ち上ってくるヤラシイ匂いと、トロトロの液。さっきまで、すまし顔で通勤中に読書にいそしんでいたお姉さんの、動物への変貌を証明しきっていた。指を、気持ち強引にお姉さんの割れ目の中に突っ込んでみる。イタ気持ちいのが大好きと白状していた里絵さんは、嬉しそうに喉を鳴らした。まるで戯れる猫のようだ。今度は人差し指と中指の2本。根元が隠れるまで突っ込んでみる。手の甲を濡れたアンダーヘアーがくすぐる。お姉さんのヌルヌルのヴァギナの中で、指を開いて「Vサイン」を作ってみた。

「はぁっ・・・いいのっ。・・・好きっ・・・。」

 松倉里絵さんの声が裏がえる。指を抜くと、手首まで垂れるほど、どっぷりとメスのエキスが指を包んでいた。

「オチンチン・・・。指の次は、悠生君のオチンチン入れて。」

 里絵さんはうつぶせになると、両膝を立ててお尻をぐっと突き出してきた。潔癖症のはずの美人OLは素っ裸で公衆トイレに四つん這いになっている。突き出されたお尻は大きく開かれて、お手入れされたヘアーの隙間からはっきりと、赤くてヌルヌルした、お姉さんの内部が剥き出しになっていた。お尻の穴まで見せつけて、里絵さんは四つん這いでおねだりする。その腰に両手を当てて、悠生は脱ぎ散らかされたお姉さんのシャツの上に両膝をついて、真っすぐ上を向いていた自分のモノを亀頭から抑えつけてヴァギナに押し込んだ。

「あぁあああっ・・、いいっ・・・。セックス・・・してるっ・・・嬉しいっ。」

 髪を振り乱しながら、お姉さんが首を限界まで捻って、後ろを振り返る。結合してる部分を見て確かめて、喜んでいるのだ。それほどまでに、セックスがしたくて仕方がなかったのだ。悠生が腰をグラインドさせると、お尻をねじるように振って、膣を限界まで締めつける。全身を蛇が蛇行するようにその場で脈打たせて、精一杯。全身全霊でペニスの感触を味わっている。松倉里絵さんは髪の毛から足の爪先まで、全身でセックスの喜びを味わい尽くそうと、うごめいていた。その性獣のような美人OLを、バックで犯しながら悠生も汗を散らして腰を振る。

「いぃいいっ。いひぃいいいいいっ。りえっ、せっくす・・・してるぅううううううっ。」

 自分から腰を打ち付けてきながら、里絵さんは背中を弓なりに反らして激しく動く。歯を剥き出して噛みしめてエクスタシーを貪る。振り返って結合部分を確かめながら喜び喘ぐ里絵さんの顔は凄い形相になっている。サイドの髪の毛が何本も口の中に入っているが、全く気にならないように噛みしめていた。ピストンするたびに、締めつけが強くなってくる。搾り取ろうとする膣壁の強い力のせいで、悠生のペニスはいつ暴発してもおかしくない状況。それでも、このイク寸前の状態を少しでも長く我慢しようとする。この寸前の我慢が、狂おしいほど気持ちいい。

「あぁああああああ、りえぇええええ、いくぅううううううううううっ、いくのぉぉおおおおっ。」

 涎をダラダラたらしながら、美人OLさんは顔をくしゃくしゃにして咽び泣く。悠生が激しく腰を振ると、その揺れで豊満なバストがパチンパチンと里絵の鎖骨のあたりを打って音を出す。腰から手を離した悠生が、暴れるオッパイを両手で鷲掴みにした。少し強すぎるくらい、握りしめる。指の間からオッパイの肉がムニュッとはみでる。里絵さんはそれを全く拒まない。それどころか、痛みをも貪るようにして喘ぎ狂う。オッパイを掴みながら、里絵さんの上体を持ち上げるようにして、悠生は最後に一突き、限界まで奥へとオチンチンを押し入れて、自分に射精を許した。

 ビュボッ、ビュッ、ビュッ、ビュッ

 視界が、頭の中が真っ白になる。脳のヒューズが焼き切れたように、マグネシウムの発火のように、悠生は眩しさで、全身がバラバラになったように感じた。里絵さんと繋がったまま、里絵さんのビジネススーツや下着の上に重なるように倒れ込む。脱力したまま、動かなくなる悠生。里絵さんは対照的に、時々思い出したかのように、ビクンビクンと体を痙攣させる。そのたびに、何か熱い液体が吹きかけられるのを悠生の内腿は感じた。ペニスはさっきまでの摩擦と快感のせいで、麻痺したかのように痺れている。心地よい放心だった。

「悠生様、やはりまだ、「お力」を使う時に、必要以上に力んでしまっているようですね。里絵さんの声が駅中に響いていましたよ。処理に時間がかかってしまいました。」

 スミレさんの声がする。トイレの自動ドアは鍵を掛けることも忘れていたようで、スミレさんの淡々とした口調に合わせるようにして、機械的に開いていく。裸でトイレに転がっている、恥ずかしい姿を晒してしまった。悠生が膝に力を入れて、起き上がる。同時に自分のズボンを手探りで引き寄せた。

「ご・・・ごめんなさい。・・・僕、そんなに強く力を使っちゃったのかな? ・・・まだ、効果に自信が無くて、つい、力み過ぎちゃうんだと思う。」

 スミレさんが小さく溜息をついて、寝ている里絵さんのもとへ歩み寄った。

「効果ですか。・・・・よくご覧ください。悠生様が力み過ぎると、発情しすぎてしまった女性は、こうなってしまうんです。」

 両手で肩を抱き起すように、スミレさんが里絵さんの頭を上げる。里絵さんはその美貌が台無しになるくらい、緩みきった顔で放心していた。笑っているような口からは涎が、鼻からは鼻水、イってしまっている目からは涙が流れ出ている。スミレさんが上体を起こしてあげると、里絵さんはうわごとのように呟いた。

「・・・しぇっくす・・・うれひぃ・・・。」

 里絵さんを助け起こそうと近づいた悠生は、靴が水たまりを踏んだような音を聞いて下を向く。ほのかなアンモニア臭。里絵さんの太腿の間を中心に、脱ぎ散らかされたビジネススーツや下着が、水たまりに浸ってしまっている。里絵さんは、イキすぎて失神した後で、お漏らしまでしてしまっていたようだった。

「里絵さん・・・、こんなところで、お、オシッコまで。」

「・・・場所は、別に間違いでは、ないとは思いますが。」

 冷静さを失わないスミレさん。確かに悠生がよくよく考えてみると、ここはトイレだった。しかし、スミレさんのその指摘が必要だったかどうかは、後まで疑問として残った。

。。。

 スミレさんは上下のジャージを里絵さんのために調達してきてくれていた。早朝に開いている服屋さんがないので、登校中の体型が似ている学生さんに「おねがい」をして貸してもらったとのことだった。学生さんは明日もこの時間帯に駅を使うようなので、里絵さんが洗濯したジャージを返せば良いらしい。しばらく放心状態だった里絵さんも、スミレさんが一度指をさすと、無表情で立ち上がると、自分の体をトイレットペーパーで拭いて、道具箱からブラシとバケツを出してきて丁寧に掃除を始めた。まったくの無表情で全裸のまま、トイレ掃除に励む松倉里絵さんの姿は、また悠生を少し興奮させた。濡れて汚れた下着やビリビリに破れた服は、紙袋に入れて、里絵さんは下着も身に着けずに、紺のジャージを着こんでいった。「都立鎌塚高校」と胸元に書いてあるジャージ。その胸元は、ノーブラの里絵さんのオッパイの曲線をはっきり見せてしまってた。

 お洒落で清潔そうだった美人OLさんは、会社に遅刻して、ノーパン、ノーブラ、知らない高校のジャージの上下で出社することになる。それでもスミレさんによると、「適当に誤魔化して1日働いて、朝の出来事は気にしないように指示をしたので大丈夫です」ということだった。真面目そうなスミレさんが平然と告げる姿は、少し怖くもある。鬼ヶ嶽の郷の人たちは、やはり外の世界とは違う感覚を持っているようだった。

「もし今の里絵さんが先ほどの性交で、悠生様のお子を身籠ってくれたなら嬉しいのですが、残念ながらその可能性は低いです。少ない統計ですが、大体5万回の性行為で一度の受精確率ですから、あまり1人の女性に執着していても、仕方がないと思います。」

 ジャージ姿で颯爽と電車に乗る、美人OLさんを見送りながら、ホームでスミレさんは悠生に語った。

(5万回で一度・・・。毎日10回以上、セックスをしても、・・・・・12年以上かかるってこと? ・・・それって、セックス三昧で人生終わっちゃわない?)

 眩暈を覚える悠生、スミレは悠生から視線を投げかけられて、何も言わずに頷いた。

「残念ながら、学校の勉強や就職といったことに時間や気力を割いている余裕はあまりありません。悠生様はその人生を、何万人もの若い女性とのセックスに注ぎ込んで頂かなければならないのです。私たち、郷の者が、全力でそれをお手伝いします。悠美や周囲の人間が、悠生様の身の回りのことは全て行います。悠生様は、先祖から伝わるその血の継承のことだけをお考えになって、子作りに励んでください。」

 悠生の眩暈は、弱まるどころか立ちくらみのように強くなって、うずくまりたくなる。これは果たして、辛いことなのだろうか、楽しいことなのだろうか?

「僕には、趣味を持ったりする権利もないの?」

 スミレさんはニッコリと微笑む。笑うとその美貌が際立つ。いつもは冷静沈着に立ち振る舞っているが、やはり東宮スミレさんは美人だった。

「いえ、趣味や遊びは大切です。御児宮家の男子も動物ではないですから、種馬のように生殖活動ばかりしていては、その根源的な精力も減退してしまいます。趣味を多く持って、よく遊んで、精神的な刺激を多く受けるということは、大事だと言われております。御児宮家の莫大な財産の一部が悠生様にも委ねられますので、一生遊ぶお金に困ることはないと思います。先ほどの、勉強も、仕事も、もしそれが遊びとして機能するなら、気が向いた時にやって頂いて結構です。」

 荒唐無稽な訪問販売のセールストークを聞いているような気分になる。余りにも都合が良い話過ぎやしないか? ・・・少し考えた後、悠生は結局、考えることを諦めた。

「ちょっと、今の僕には、全部理解することは無理みたいです。おいおい、考えます。」

 スミレさんは、もう一度微笑んでくれる。

「そうですね。心の赴くままに、好きなことをしてください。考え過ぎは良くないですから。」

 今、一番したいこと・・・。悠生は、自問自答しながら、ふと、また悪戯心がムクムクと大きくなるのを感じていた。

『無理かもしれないけれど・・・、スミレさん、さっきの里絵さんの半分くらいでいいから、エッチになってよ。』

 不安げな思いを反映するかのように、小粒な鬼御玉が空中に出現して、フラフラとスミレさんに近づく・・・が、スミレさんの体に入る前に、バラバラに散って霧消してしまった。

「悠生様、もう少しスムーズに鬼御玉を投げかけなければ、一族の者はもとより、・・・神職者や精神力の強固な一般人にまで跳ね除けられてしまいますよ。」

 余裕の表情で告げるスミレさんは、教育者の顔になっていた。

「ご、ごめんなさい。」

 しばらく無言で悠生を見据えるスミレさん。悠生はワルさが露見した小学生のようにうなだれていた。

「先ほどのお手洗い、きちんと片付いているか、もう一度見てまいりますね。悠生様はここで少しの間、お待ちください。」

 足早に歩き去るスミレさん。体の不自由な人用の大きなトイレに入った知的な美女は、しばらくの間、トイレから出てこなかった。悠生は結局、学校に30分以上遅刻することになった。

。。。

 悠生が教室に入ると、世界史の担任、三浦瑞穂先生は、咳払いをしただけ。遅刻を咎めなかった。それどころか、白衣を着たスミレさんが一緒に入ってくることを、止めようとすらしない。スミレさんが右手をスッとかざすと、生徒たちもノートや黒板に視線を戻した。

 今の悠生にはうっすらとだが、感じることが出来る。スミレさんのまわりから、霧のような細かい粒子となっている「鬼御玉」が拡散して、先生やクラスメイトたちに入っていく。注意していなければわからないような微量な震えで、『気にせずに授業に集中してください』と指示をしているのだ。スミレさんの力の使い方は、悠生の武骨な鬼御玉と違って、しなやかで優雅だった。

「悠生様、先ほど、他人の体・行動を操作する方法、他人の感情、主に衝動を操作する方法を習得されたと思います。復習してみましょうか。」

 当たり前のように悠生の隣に座ったスミレさんが、悠生に話しかける。いつも悠生の隣の席に座っている高遠瀬奈は、教室の一番後ろの席に文句一つ言うことなく席替えしていた。

(体を操作・・・。さっきは「バンザイして」って両手を上げさせるだけのつもりで里絵さんに念じたら、声まで出して万歳させちゃったから、今回はそこから復習かな。)

 悠生が、出来るだけ小さな鬼御玉を出そうと気をつけながら下腹部に力を入れる。へそのあたりから、ポコッと、パチンコ玉程度の重金属みたいな液体が浮かび出た。それの球体がプカーっと教室の上へ浮かび上がる。スーパーで買った商品から値札のシールを剥がす時のような慎重さで、かすかに念じてみる。鈍い銀色の光を放つ液体金属のような球体は、何十という小さな粒に分かれて、教室中に散らばった。

『みんな、両手を上げて、バンザイのポーズをしてみよう。何も言わないでいいよ。』

 悠生がやんわりと念じると、クラス中の両手が上がる。三浦先生が眼鏡の弦に手を当てた。

「みんな・・・、どうしたの?」

 先生に聞かれて、やっと悠生のクラスメイトたちは、自分たちが両手を伸ばしていることに気がついて、ざわめきだす。「怖―い」と騒ぎだす女子もいた。悠生が慌てて念じると、みんなの両手が机の上におりる。騒ぎはまだ収まっていなかった。

「怖い、何、今の?」

「わかんない、霊とか通ったんじゃない?」

 年頃の女子中学生は、オカルト話が大好きだ。三浦先生が教卓をパンパンと叩いて、みんなの集中を促した。

「みんな、落ち着いて。ほら、ちゅうもーく。先生に注目しなさい。」

 三浦先生の言葉を聞いて、悠生はなぜか(チャンスだ)と感じる。もう一つ、小さな鬼御玉を滑らかに飛ばした。

「ほらっ、みんな。ちゅーもーっく。」

 三浦先生はそう言ったところで、両手を自分のスカートの裾に持っていく。悠生の念じた通りの行動をしてくれた。グレイのスカートの裾を両手で掴むと、「注目」という言葉の後で、自分でスカートの裾を、胸元まで引っ張り上げたのだ。

「えっ・・・きゃぁっ・・・どうして?」

 主に男子生徒たちがどよめいた。スカートを限界まで引っ張り上げながら、若い三浦先生が花柄のパンツを教室中に見せている。白い足も付け根まで曝け出されてしまっていた。

「うおぉっ、すげぇ。」

「瑞穂先生、大サービスっ。」

 男子たちが低い声で感嘆する。先生が求めていた注目は、確かにガッチリと集められていた。三浦瑞穂先生は、両手を下ろそうと必死になるが、手は先生に逆らって、微動だにしてくれない。

「悠生様、言葉を思い通りに操ることは出来ますか? 先生で何か試してみてください。」

 スミレさんに促されて、悠生は念じてみる。大声になり過ぎないように、力の下限を心掛けた。三浦先生は、唇を震わせながら噛んでいたが、少し悠生が鬼御玉の振動を大きくしてみると、抵抗出来なくなって口を開く。

「みっ・・・みんな・・・。先生のパンツを・・・見なさい。み・・、みず・・ほ・・の、パンティー・・・よ。」

 辛そうな表情をしながら、瑞穂先生が嫌々、悠生の考えた通りのセリフを口に出さされる。スカートを捲り上げて、言いたくないセリフを言わされている眼鏡美女の苦しそうな表情は、なぜか悠生の股間を熱くさせた。

『ほら、この食いこみ、すごいでしょ・・・って言いながら、パンツを食いこませてよ。』

 悠生が念じてみると、瑞穂先生が泣きそうな表情になる。左手でスカートを限界まで捲り上げたままで、右手をスカートから離すと、パンツの布地に伸ばした。震える手で、パンツを握りしめて、中央の部分からグリグリと引っ張り上げる。痛そうに、顔をしかめている。

「ほ・・・、ほらっ・・・この、食いこみ・・・・うぅぅううう、すご・・い・・でしょ。」

 引っ張り上げられたパンツは、花柄模様が歪むほどに伸びてしまっている。見ていて痛そうなほどに股間に食いこんでいるパンツの布の両脇から、黒いヘアーがモサっと顔を出した。また男子たちの唸り声。半数以上の男子が、座ったまま体を「くの字」に曲げて、机に突っ伏した体制で顔だけを先生に向けていた。

 30人もいる中学生の生徒たちの前で、妙齢の瑞穂先生はスカートを捲り上げてパンティーが紐状になるほど強く引っ張り上げている。股間からはヘアーどころか、恥ずかしい割れ目の粘膜まで露出されてしまっていた。

「いやぁ・・・、なんで・・・。手が勝手に。やっ・・・足も・・・、もうやだっ。」

 真っ赤な顔でパンツを食いこませていた先生が、今度は右足をピンッと上に蹴り上げる。悠生が今、念じた通り、「Y字バランス」のポーズを見せてくれているのだ。体はそれほど柔らかくはないらしく、張り出した足の腱がブルブルと震えている。

『笑顔でポーズを決めて。「瑞穂、みんなの注目が大好き。大サービスよ」って言いましょう。』

 悠生の悪戯が止まらない。鬼御玉を震わせるだけで、真面目な女教師が思いのままに破廉恥な行動をとってくれるのだ。

「み・・・み・・ず・・ほ・・・、みんなの・・・注目が・・大好き・・だ、・・・だ・・・大サービス・・・よ。」

 唇が痙攣かと思うほどブルブル震えている。顔色が悪くなってきているようにも見える。それでも、瑞穂先生はこめかみをピクピクさせながらも悠生が考えたセリフを言ってくれた。Y字バランスでパンツと毛を見せたまま、体を固まらせている。

「先生、ふざけるのは、やめてくださいっ。」

「瑞穂先生、どうしたんですか?」

 ガリ勉の澤田千佳と級長の高瀬唯花が、声をかける。瑞穂先生はY字バランスのまま、プルプルと震えて困惑することしか出来なかった。

「悠生様。先ほどお伝えした通りです。神経質な人の体だけを支配して、意識をそのままにしておくと、ストレスに耐えられなくなる恐れがあります。最悪、精神的ショックに過敏に反応する、腸や内臓が異常をきたします。感情も操ってあげてください。」

「・・・ど、どうするの?」

「振動をより小刻みにして、相手の奥深くまで届けることを意識してください。・・・例えば、面白いという感情。これを湧き起こさせることは出来ますか?」

 スミレさんの説明通りにイメージしてみる。

『先生は面白く感じるようになる・・・。みんなも、すごく面白い。これは嫌な状況じゃぁ、ないんだよ。』

 鬼御玉を小さく小刻みに震わせることを考える。振動音が一段、高くなったように感じた。

「ふほっ・・・・。」

 苦しそうだった三浦先生が、過呼吸気味だった息を、一気に噴き出すような音を出した。

「ふっ・・・うふふふふっ・・・何かしら・・・。こんな、ポーズ。・・・先生、変ね・・・。あははははっ。」

 先生が眉を「ハの字」にして笑い始める。クラスのあちらこちらからも、クスクスと笑い声が起き始めた。笑い声はどんどんと大きくなっていく。

「こんなっ・・・授業中に・・。私、何やってるのかしら・・・あははっ、ねぇ? みんな。・・・何かしら、これっ。アハハハハハッ。」

 先生が高く伸ばした右足を手で支えたままの姿勢で、もう片方の手でお腹を抱えて笑う。いつもの大人しい瑞穂先生とは思えない、大口を開けた笑い声を教室に響かせる。釣られたように、生徒たちは全員が爆笑していた。机をバンバンと叩いて、椅子の上でお尻を跳ねさせるようにして笑い転げる。勉強一本槍の優等生、澤田千佳や、クラスのリーダー、高瀬唯花も、普段のイメージとは違う、涙を流しての大爆笑を見せている。美少女たちの、苦しそうなほど笑い転げる姿。これが全部、悠生の「力」によるものだと思うと、悠生はまた、興奮を感じていた。

『まだまだ面白いよ。みんな、笑いながら制服を脱いでみようか。裸を見せ合うと、もっと面白くなる。恥ずかしくても止められない。それが面白くてたまらないんだ。』

「ちょっ・・・何・・・私・・・・。脱いじゃってるんですけど・・・。」

 腹筋が痙攣するほど笑いながら、悠生の斜め前の女子が夏服のシャツのボタンを外していく。みんながお互いの様子を笑いあいながら、席を立って脱いでいく。

「うふふっ、ちょっと・・・みんな・・・なんで脱いでるの? ・・・あっ・・私もじゃん・・・おかしい・・・。」

「う・・・うちのクラス・・・は、裸族かって・・・。」

 笑いをこらえようとしながら、涙をぬぐいながら、爆笑に悶絶させられて、笑いあって肌を曝け出していく女子生徒たち。教卓の方を見ると、先生も涙を流して笑いながら、半裸状態になっていた。伸ばしたままの右足に、スカートとパンツがぶら下がっている。男子たちもスルスルと脱いでいくので、悠生は男に窓際を向いて並ぶように指示をした。朗らかに笑いながら窓の外を向いている男子生徒の列は、明るい体育会系のゲイボーイ集団のようだった。

 声も出ないくらい笑いつかれながら、クラスメイトの女子たちは夏の制服を脱いで、靴下もブラジャーもパンツも脱いで、自分たちの姿に笑い転げている。互いのオッパイやお尻を触りあってふざけている女子もいる。全員、裸を見せ合うことが面白くって仕方がない。ハイテンションではしゃぎ回っているのだ。発育の良い女子は体つきも女性っぽくなっている。普段大人しい読書少女の塚本麻未は意外な巨乳を見せてくれる。元気いっぱいのスポーツ少女、坂本愛は、少年のような体つきと貧乳を披露しながら、腰に両手を当てて快活に笑っている。お嬢様の藤坂尋乃は、両手で口を隠して、真っ赤になって白い肌を見せていた。

「尋乃ちゃーん。こっち向いて。」

 悠生が思い切って呼びかけてみる。普段は声もかけにくい、美形のお嬢様は、ニッコリ笑ってクスクス言いながら、口から両手を離して、ピョンピョン飛び上がりつつ手を振ってくれた。膨らみかけた可愛いオッパイが上下に揺れる。顔を真っ赤にしながら、裸で手を振り飛び跳ねる尋乃の大胆な姿に、みんな手を叩いて笑いあった。

「そろそろ、笑い過ぎて呼吸困難な子がいます。少し、笑いを抑えさせてあげてください。」

 スミレさんの忠告を聞く。悠生はすでに次の手を考えていたので、頷きながら念じた。」

『全員、苦しくなる前に笑いが収まるよ。でも、僕の言うことを聞くと楽しくてしょうがない。御児宮・・・、いや、宮野悠生の言葉は絶対だ。喜んで従おう。そして僕に体を見られていると、どんどんエッチな気持ちになるよ。』

「さすがというか・・・、ご本家の男の子は、教えられなくても色々と学んでいかれますね。」

 スミレさんが小さく溜息をつく。悠生はそれに鼻白むこともなく、教室中に散らばってクラスメイトや先生の下腹部に収まっている鬼御玉を、自由に震わせた。

「級長。セクシーポーズ見せて。」

 悠生が言うと、品行方正な級長の高瀬祥子が裸のまま、腰に左手を当ててモデルのようにポーズを決めると、髪をかき上げてみせた。

「うっふーん。」

 真面目な祥子は、少し顔を赤らめながら、ずいぶんと使い古されたセリフを口にする。恋肌色の乳首がこんもりと膨らんだ丸いオッパイの真ん中で揺れている。自分でポーズを決めておいて、そんな自分を笑うように、端正な顔を笑顔に崩した。

「澤田さん、グラビアクイーンの挑発ポーズしてみせて。」

 ガリ勉の澤田千佳は悠生に文句を言おうと口を開くが、ついつい笑いを噴き出してしまって、珍しい笑顔を見せながら背中を向けて四つん這い。お尻を突き上げて振り向いてみせる。スレンダーな優等生少女が披露する雌豹のポーズ。勉強一本だと思っていた千佳は、意外とこうした方面にも知識を蓄えているようだった。

「愛ちゃんは元気いっぱいの決めポーズとろうか。」

 悠生の言葉が終わらないうちに、快活な坂本愛は笑いながら机に駆け上がると、背中を向けて両足を大きく開くと、上体をグッとおろす。股の間から二カッと満面の笑顔を覗かせてダブルピース。みんな、自分の行動に気がつくと、後から手を打って笑っている。なんだか幸せな空間だ。異常で破廉恥で幸せな空間。教室の中に背中を向けている男子生徒たちにも見せてあげたいところだが、彼らは彼らで窓の外を見ながら、肩を組んで笑っている。あれはあれで、青春なんだろう。

「塚本と広田と清崎はレズビアンになって、3Pを見せて。水沢と日向野はペアのバレリーナ。尋乃ちゃんはこっちに来て。自分でオッパイをモミモミしながら。」

 みんな、悠生に声をかけられると、一瞬笑顔を強張らせるけれど、すぐに言われるがままに従ってくれる。そして行動のあとはキャッキャと笑いあう。そして僕の視線を感じると、少しモジモジと膝あたりを摺り合わせて、切なそうな、色っぽい表情でハニかむ。中学2年生にしては、マセた表情だ。

 真っ赤な顔で、クラス1のお嬢様、藤坂尋乃ちゃんが近づいてくる。まだ膨らみかけの丸くて可愛いオッパイを、両手でムギュムギュと揉みながら歩いてくる。ピンクの乳首が、タイ米みたいに小さく立っていた。

「尋乃ちゃん。いつも君の裸を見たかったんだ。近くでじっくり見せてね。」

「は・・・うふふっ・・・恥ずかしいの・・・、あんまり・・・見られたら・・・っ。」

 茶色がかった細い髪の、西洋人形のように可憐なお嬢様、尋乃ちゃんが全裸で、オッパイを揉みながら悠生のもとへ近づいてくる。自分で歩み寄っていながら、顔を横に反らして、恥じらっている。耳から鎖骨まで、真っ赤だ。それでも、こみ上げてくる笑いは止められない。

「悠生様、感情を自由に操ってみてください。笑いや発情だけでは、修行が偏ってしまいます。多様な人間の感情と、その動かし方をそれぞれ試していってください。体がそれを覚えていけば、次からは深く集中しなくても、簡単に操れるようになります。」

 教室の中で今、服を着ているのは悠生とスミレさんだけ。そのスミレさんが、悠生にレッスンを進める。悠生は、笑いながら近づいてきてくれた、お気に入りのお嬢様を、練習台にさせてもらうことにする。

『尋乃ちゃんは悲しい。とっても惨めな思いだ。』

「うぇええええっ・・・私、こんなことして・・・。もう、お嫁に行けない・・・。ふぇえええええええっ。」

 裸の尋乃ちゃんが急に泣き崩れる。ボロボロと涙を落としながら、まるで子供返りしたみたいに泣きじゃくる。それでも、両手は自分のオッパイをリズミカルに揉み続けている。

『尋乃ちゃん、怒っていいよ。頭にくるよね。』

「ひどいよぉおおおっ。私だって、私だって、怒るときは、怒るのぉおおおっ。」

 いつもお淑やかなお嬢様が突然悠生の机を蹴り上げる。鉄で出来ているはずの机の引き出し部分が、ベコっと音を立てて宙に浮いた。悠生は慌てて念じる。

『落ち着いて。・・・尋乃ちゃん、落ち着こう。』

 途端に藤坂尋乃の表情が和らぐ。ホンワカとした笑顔を浮かべると、両膝をついてその場に正座した。

「ふぅー・・・・。もう、すっかり夏ですねぇ。」

 目を細めて花鳥風月を愛でるように溜息をついた尋乃は、首を少しかしげながら、おっとりと悠生に話しかけた。正座でニコニコ語りかけながらも、両手はまだオッパイを揉んでいる。その落ち着いた良家の子女の所作と、なおもリズミカルに揉まれ続けている育ちかけのオッパイのギャップが、悠生の興奮をいっそう掻き立てた。

(そろそろいいかな?)

 スミレさんを見てみる。白衣の美女は、イエスともノーとも表情に表さなかった。

『尋乃ちゃんはどんどんエッチな気持ちになる。僕に何をされても拒まない。僕に見られると興奮する。僕に触られると感じる。僕を喜ばせると、女の子の幸せに浸るんだ。』

「夏ですよねぇ・・・ほんとに・・・。ちょっと、汗ばむ・・・くらい・・・。」

 さっきまでのノドカな雰囲気が、少しずつ変わっていく。尋乃ちゃんは、潤んだ目で悠生の方をチラチラと盗み見るようになっていた。胸を揉むたびに、肩をすくめて、吐息に色っぽい声が混じる。

「尋乃ちゃん、体、触っていい?」

「えっ? ・・・う、うん。み・・・宮野君が、そうしたいんだったら、・・・うん。でも・・・夏だし、・・・私、汗を・・・。」

 あれこれ口にしながら迷っているお嬢様。それでも拒絶はされなかった。そこで悠生は思い切って手を伸ばす。指先が肩に触れると、尋乃は電流でも走ったかのように、肩をすくめた。

「ひゃんっ・・・。・・・あ・・・、宮野君、やっぱり、・・・宮野君が、どうしても、触りたいなら、仕方がないんだけど、・・・私、今日、ちょっと変なの。」

 必死の思いで言葉を取り繕うお嬢様。生え揃って間もないといった具合のヘアーを内腿で隠すかのように、モジモジと足を擦らせた。

「どんな風に変なの? ・・・正直に言ってよ。・・ほら、こんな風に触られると、どうなの?」

「きっ・・・気持ちいいのっ・・・。割られると私、気持ちがよくて女の子の部分がムズムズするの。・・・やだっ・・・私、こんなこと、言うなんてっ。」

 尋乃は肘をオデコにつくぐらい上げて、オッパイを揉み続けながらも器用に肘と二の腕で自分の顔を隠した。その恥じらう仕草と、胸の愛撫とのギャップが凄い。

「大丈夫。みんな一緒に気持ち良くなるんだったら、恥ずかしくないよ。」

 悠生は、思ったよりも堂々とリードしている自分に驚く。女性経験も3人目ともなると、同い年の女の子くらいはリード出来るものなのだろうか。

『尋乃ちゃん以外のクラスの女子はみんな、裸のままでオナニーを始めよう。自分がいつもしているオナニーをここで披露するんだ。いつも想像している相手のことを声に出して言ってみようか。』

 笑いが響き渡っていた教室の空気が一変する。14人いる女の子がいっせいに発情すると、それだけで教室の空気がここまで変わるのだろうか。四方で、ピチャピチャと音が立つ、女子たちが口々に、知らない男の人の名前やアイドルの名前を切なそうに呼び始めた。アニメのキャラクターのような日本人離れした名前を口にするクラスメイトもいる。

『やっぱりみんな、僕の知らない男の名前を言うのは止めようか。いつもの想像の相手のことを考えていてもいいから、口から出てくるのは宮野悠生の名前になります。』

 悠生が念じると、一斉にみんな、「悠生」とか「悠生先輩」とか「宮野のオジサマ」とか口にしながら、オナニーに没頭する。寝転がって両手で股間をクチュクチュしている子。胸とアソコを同時に刺激している子。うずくまってうつ伏せのままでお尻をモゾモゾさせている子。立って机の角にアソコを擦りつけている子。十人十色だ。「悠生先生っ」という絶叫を耳にして教卓を見ると、教卓の上にのぼった三浦瑞穂先生が、アソコをパックリ開いたスクワットの体勢で、指を三本も、ズボズボと出し入れさせている。先生は今年で25歳のはずだが、「女子」という言葉にしっかり反応していた。真面目一徹な先生でも、ストレスがたまれば、なかなかハードなオナニーに励んでいるようだ。大人の世界は単純ではないようだった。

「どう? ・・・こんな状態なら、別に尋乃ちゃんも恥ずかしくないでしょ?」

 悠生が尋乃の肩に手を置く。素肌が触れると、またビクンっと尋乃が背筋を伸ばした。内股を限界まで絞り込んで、股間を押さえつけるようなポーズ。手は相変わらず、そろそろ赤くなっているオッパイをまだ揉み続けている。

「やっぱり、私・・・変なの・・・。宮野君に、触れられると・・・。」

「触れられると?」

 正直に答えるという悠生の暗示はまだ残っている。

「あげたくなっちゃうの・・・。私の・・・大事な、初めて・・・。」

 泣きそうな顔で抵抗していたが、ついに口を開いて、正直な気持ちをつまびらかにしてしまう。

「僕に・・・。くれたいの? 尋乃ちゃんの初めてって、ヴァージンのことだよね?」

 もう片方の手でも尋乃の肩を掴む。またヒクッと震えた尋乃が太腿を思わず動かすと、ピチャッと下から音がした。

「はうぅう・・・。大切な人が、・・・一生の相手って思える人が出来るまで、誰にも差し上げちゃ駄目って、お母さまに言われているのに・・・。どうしようっ・・・、尋乃の初めて、宮野君に差し上げたくなっちゃうっ。」

 潤んだ目に涙をためて、真っ赤な藤坂尋乃が隠すごとを出来ずに全て正直に説明してしまう。首をイヤイヤと左右に振りながら、手は今もオッパイを揉んでいる。そろそろ手が疲れている頃だろう。

『尋乃ちゃん、手はオッパイから離していいよ。でも僕に揉まれると、自分で揉んでいたのより何倍も気持ちいい。このオッパイは、僕に揉まれるために育ってきたんだってわかるよ。』

 ゆっくりと手が離れた尋乃のオッパイは、揉まれ過ぎてやはり赤くなっていた。まだ未成熟な丸い膨らみと、痛々しいほどに伸びて立った小ぶりな乳首。それを包み込むように悠生が揉む。悠美のものより、里絵のものよりも、固さが残る、若いオッパイ。左右同時に手のひらで円を描くように揉むと、尋乃はそれだけで体をビンッと伸ばし切って、顎を上げた。

「わかった? ・・・尋乃ちゃん。このオッパイは、僕のためのものだよ。・・・だから、尋乃ちゃんの初めても、僕に頂戴。」

 眉をひそめて、苦しそうに痙攣する尋乃。顎をあげて、爪先まで反らして喘いでいる。昨日からの経験のおかげで、これが女性のオルガスムということが見て取れた。尋乃はやっと呼吸を整えると、ポロリと涙を一粒流した。

「優しく・・・してね・・。怖いの。」

『痛くない。気持ちいい。幸せ』

 悠生が念じながら腰を落として尋乃の膝を立たせる。手で腰を浮かせるように指示してみせる。暗示のせいか、恥ずかしがり屋の尋乃が、悠生の誘導に従順に従って、体を隠そうとしない。生え揃ったばかりといった淡い茂みの奥で、普段は固く閉じられているはずのサーモンピンクの尋乃の割れ目が、ふやけたように口を開けて、トロトロと恥ずかしい液を垂らしていた。そこに悠生のいきり立った固いペニスを、グリッと押し込む。突き破るというより、引き裂くような感触があった。尋乃がぐっと目を見開く。

「えっ? ・・・痛くないっ・・・、気持ちいいっ・・・、幸せっ・・・。どうして?」

 率直な感想と疑問を、正直に口に出してしまう尋乃。悠生が念じた通りの感想を抱いてくれる尋乃の様子に、また満足を覚えた。

(どうしてって、鬼御玉の作用なんだけどね・・・。でも、せっかくだから、ロマンチックなストーリーでも信じてもらおうかな?)

『尋乃ちゃんは僕が「ホントだよ」と言った言葉はなんでも心の底から信じてね。』

「尋乃ちゃん。ロストヴァージンでも痛みを感じないで、気持ち良くなれるなんて、2人の体の相性が運命的に良いからだと思うよ。尋乃ちゃんのオッパイも僕に揉まれると最高に気持ち良かったでしょ? 君の体は、僕のオチンチンを入れるためにあるんだよ。尋乃ちゃんや僕とエッチするために生まれてきたんだ。ホントだよ。」

「本当ね・・・。私・・・、今まで、悠生君のこと、ただのクラスの、暗い男子だと思ってた・・・。ごめんなさい。私の体と心は、貴方のオチンチンをずっと待ってたのに、自分自身でそれに気がつかなかったの。」

 感激の涙を流す尋乃お嬢様。しかし、「暗い男子」という尋乃の単刀直入な言葉は、密かに悠生の心に引っかかった。悠生は少しだけ冷静さを取り戻して、さっさと射精を済ませることにした。

「ほらっ、ほらっ、尋乃。これがセックスだよ。教室で初めてのセックス。僕とだよ。」

 腰を振ると、藤坂尋乃の体は快感に反り返った。

「いいっ、いいぃいいっ、幸せっ・・・。お母さま、・・・ひろのっ・・・しあわせっ。」

 歓喜の喘ぎ声を上げる、初体験の中学生。尋乃はこのまま4回オッパイを悠生に揉まれて、4回果てた。そして膣内に射精されると、嬉しくて幸せでワンワン泣きながら昇天した。

「今日のノルマは・・・、あと8回かな?」

「余裕だと思います。初めてのクラス征服は強い達成感があると思いますから、平均的なノルマではもったいないです。あと10回くらい、射精出来ませんか?」

 白衣のスミレさんは、教室内で繰り広げられる狂態から目を逸らすようにノートに何か書き込んでいる。寝転がって股から血を流しながら、幸せを噛みしめて神様に感謝しているお嬢様をそのままに、悠生が立ち上がって見回す。クラス中の女子たちは全裸で、オナニーに没頭しながら口々に悠生の名前を呼んでいる。

「悠生先輩っ・・。もっと強く抱きしめてーっ。このっ、逞しい腕、大好きっ。」

 スポーツ少女の愛ちゃんが想像しているのは悠生本人とは明らかに違う男性のようだが、妄想くらいは自由にさせてあげておく。これから一人ずつ、悠生のオチンチンに貫かれて、膣の中いっぱいに悠生の精液を注ぎ込まれるのだ。どんなに真面目な子でも、悠生を嫌っている子でも、処女でも、不感症であっても、みんな鬼御玉が震えだすと快感に溺れながら愛液を噴き散らして、エクスタシーの中で悠生の精を子宮で受け止めるのだ。

「全員、オナニーしながら一列に並んで。」

 腕を組んだまま悠生が告げる。誰の声も気にならないような様子で自慰行為に励んでいた女子中学生たちが、誰からともなく悠生の前に整列し始めた。

。。。

 14人の女子生徒と1人の女教師。計15人の中にヴァージンは10人いた。読書少女の塚本が処女でなかったのは意外だったが、それ以上に意外だったのは三浦先生がヴァージン先生だったことだろう。正統派美少女の高瀬祥子とクールビューティー澤田千佳は予想通り処女。純情スポーツ少女の坂本愛はもちろん処女、キスもしたことがなかったらしい。不良っぽいファッションの広田エミリと、上級生と付き合っているという噂のある清崎桃はやはり処女ではなかった。不公平は良くない。今日一日で、全員が非処女になった。

『僕が「ホントだよ」と念押ししたことは、絶対の真実として信じこもう』

『宮野悠生に見られたり、触られたりするのは、女性として誇らしいことだから、嫌がっちゃ駄目。』

『他の男と付き合ってもいいけど、キスはノート越しにしか、しちゃ駄目。下心を持った悠生以外の男に肌を触られると、蕁麻疹が出る。僕に触ってもらうまで痒みが引かないよ。』

『下着はセクシーなものや面白いもの、悠生を喜ばせたり笑わせたりするようなものを身に着けよう。僕が見たがっていそうな時にはいつでも見せてね。もちろん、悠生が欲しがったりしたら、大盤振る舞いで無料プレゼントしてね。』

『悠生を楽しませることがこのクラスの隠された至上命題。僕が嬉しそうにしている間は、みんなとってもハッピーだよ。』

 床に寝転がる、十数人の女の子たちと一人の先生。裸で床に寝そべっている彼女たちの下腹部が、悠生が何かを念じるたびに、プルルっと震えるのが感じられる。悠生が女の子たちに次から次へと支持を念じているうちに、隣でノートを取っていたはずのスミレさんがポンッと肩を叩く。

「あの、悠生様。行動、感情、感覚の操作から心情や信念まで操ることが出来るようになって、色々と女の子を操りたいのはわかりますが・・・、あちらも・・・、そろそろ何とかしてあげませんか?」

 スミレさんが指示した窓側を向いて、悠生は思い出した。筋肉質なケツを並べて、クラスの男子たちがまだ一列に並んで裸で笑っている。肩を組んだ男たちにも、何か暗示を与えたほうが良いという、スミレさんの意図を汲み取った。

『あー・・・、男子はみんな、今日の出来事を忘れてね。・・・あと、明日から僕のパシリになろうか。みんなで精一杯、僕のために尽くしてね。わかったら、さっさと服を着ようか。』

 いっせいに男子生徒たちが後片付けに動き出す。スミレさんは表情を崩さないまま、小さく溜息をついた。

「悠生様、失礼ですが、あまりクラスにお友達がいらっしゃらなかったようですね。男の子たちに対する暗示が、極端に愛がないようです。」

 仕方がない。悠生は心の中で呟いた。特殊能力者は、孤独な存在なのだ・・・。

 少し、眠くなってきた。あくびをする悠生。スミレさんが優しく微笑んだ。

「お疲れでしょう。悠生様。少しお眠りください。貴方の「パシリさんたち」が後始末をしてくれるでしょうし、女の子たちも破瓜の出血が多い子は私が面倒を見ます。次の授業は自習にしてもらいました。何も心配しないで、お休みください。」

 一気に15回も射精をすると、さすがに体力の限界が来るのか、悠生は誰か女子の柔らかい体の上に倒れこんで、そのまま深い眠りに落ちていった。

< つづく >

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