EDEN 第1章

- Dark Side of EDEN vol.1 -

 そこは不思議な土地だった。2Kmも行けば普通の街並みが広がっているし、高校や商店街、映画館だってあると判っているのに、ここで目にしている光景は、まるで昔の映画の中の1シーンのように現実感が希薄だった。
 周りには一軒の家も無く、見渡す限りが桜の木で覆われている。印象が暗くないのは、木々の間隔が適度に開いているためだろうか。
 桜の木に囲まれた小道を進むと、突き当たりに垣根に守られる様に庭があり、門から庭を進むと、その建物があった。
 瀟洒な洋館。そんな言葉の似合う建物に、自分が関係する事なんてないと思っていた。ましてやこれから住む事になるなんて...。2階建ての、周りを綺麗な花や木に覆われたその館は、とても歴史を感じさせない清潔さでもって、僕を祝福してくれている様だった。

 僕は天野雄一、今年で19歳になる。大学受験に失敗して、自宅で浪人生活を満喫しようと考えていた所、祖父が亡くなり、祖父の館が僕宛ての遺産として譲渡された事を知らされた。
 ぼくは祖父のお気に入りで、祖父が遊びに来る度に、いろいろお土産をもらっていたものだった。館の譲渡は、祖父の最後の贈り物なのかもしれない。
 相続に関する手続きは弁護士である父に手伝ってもらった。名実ともに僕のものとなった館を見ながら、それなりに裕福な家に生まれついた事に感謝する。
 この館をどうするか、判断は全て僕に委ねられている。そこで、本格的に受験勉強を開始する前の息抜きと、館の状態の視察を兼ねてここに来る事になった。自炊などはやりなれているし、街からも近いので、ちょっとした旅行のような気分で...。

 館の中に入ってまず僕がした事は、館の探検だった。ただ、探検とは言っても館の状態の確認、施錠の確認、場所によっては空気を入れかえる必要があるか、などの判断をしつつなので、面白くはあるけど、あまり手を抜けない作業になっている。
 館は基本的に2階建てで、屋根裏部屋と地下室があるのが特徴だった。部屋数が多く、掃除の手間を考えると少し憂鬱になった。でも、屋根裏部屋から見た景色は、味気ない街並みに慣れきった僕にとってとても新鮮だった。自然に囲まれた土地...遠くに街並みが見えて、そのギャップが気持ち良く感じられた。夜には真っ暗な中に、遠く街の明かりが見えるんだろう。ベッドもある事だし、今夜はここで眠る事に決める。
 最後に地下室を見た時は、さすがに驚いた。そこには、ぼくには使い方の判らない機材や装置が山積になっていた。そう言えば祖父は、いわゆるマッドサイエンティストという人で、科学に関係する事なら、ある意味無差別に手を出していた人だった。ぼくには、そこにある物が祖父の発明品なのか、それとも開発用の道具なのかも判別できなかった。
 その中で、不思議なものを見つけた。「EDEN」とラベルの貼られた、お洒落なデザインの香水瓶だ。
 なぜ不思議かというと、偏屈な祖父は一人暮しで生涯女性に縁が無く、また香水を買う様な人ではなかったからだ。それに、香水を地下室に保管するというのも変な話ではある。
 僕は香水を嗅いでみた。スプレーの一吹きで不思議な香りが漂う。それはなんとも形容しがたい、とても不思議で気持ちのいい香りだった。
 ぼくはしばらくぼうっとしていた様だった。ふと我に返ると、取り敢えず僕は香水瓶と、そばに置かれていた、「EDEN」と記入されたノートを持ち、1階に戻った。

 早速庭のテーブルでコーヒーを飲みながらノートを読むと、面白い事が書いてあった。「EDEN」とは祖父の手によって作られた、人の被暗示性を高める効能がある香水なのだそうだ。
 先程自分で嗅いだ時、ぼうっとした事を思い出す。あの時誰かに暗示をかけられたら、かかってしまうという事なのだろうか?

「...まさかね」

 そんな危険なものが、あんなところに放置されているとは考え辛い。ぼくは祖父の冗談と思うことにした。第一、そんな効果のある薬が存在していたら、色々恐ろしい事にもなりそうだし。

「こんにちは」

 ぼくは突然掛けられた声に驚いた。ここは敷地内だし、この周りには何も無いので、誰かが入り込むなんて思いもしなかったから。
 そちらを見てみると、高校生ぐらいだろうか、紺のブレザーを着て腰までかかるストレートの髪をしたおとなしそうな女の子が笑いかけていた。

「こんにちは。君は?」
「私、北条かなたっていいます。天野雄一さんですか?」
「そうだけど、どうして知ってるの?」

 ぼくは、この女の子に興味をそそられた。
 興味深々といった様子でこちらを見ているその顔は、美少女と言っても差し支えないくらい整っているし、ね。

「私、おじいさんから、よくお話を伺っていたんですよ。『この家は、孫の雄一に譲る!』って。それに、雰囲気もなんとなく似てますし」
「...そうかな?」

 祖父は、良く言えば豪快な人で、結構強引な所があったと思う。僕が釈然としない顔をしていると、かなたさんは面白そうにくすくすと笑っていた。大人しそうだけど、人見知りはしないようだ。どうせする事も無いし、彼女にコーヒーを勧める事にする。

「私、ここのお庭がとても好きなんです。誰も来ないし、日当たりはいいし...日向ぼっこしたり、本を読んだりするのにとっても素敵な場所ですよね。おじいさんにはいつでも来てもいいって言われていたんです。...あの、これからもお邪魔してもいいですか?」
「今は僕しかいないし、大丈夫だよ。まだ、この館をどうするかも決めてないし、ね」

 そうして僕とかなたさんはしばらく祖父の話題で盛り上がった。
僕の知らない祖父の一面をネタに、僕達は楽しい時間を過ごした。

「あの、これは...?」

 会話の途切れたタイミングで、かなたさんは、テーブルの上に置きっ放しにしておいたEDENを、興味にかられたように手に取った。先程からちらちら見ていたのは気付いていたんだけど、こちらから何かを話すのは言い訳じみていると思えたので、そのままにしてい
たんだ。それに「被暗示性を高める香水なんだ」なんて、説明できる訳もないし。
 香りに興味があったのか、かなたさんはぼくが止める間も無く、EDENを自分に吹きかけた。
 ---なんで突然?
 ---もしこの香水が有害なものだったら?
 ---祖父のノートに書いてある事が真実だったら...?
ぼくは緊張し、かなたさんの様子を観察した。

 かなたさんは、さっきまでのにこやかな表情はそのままに、目から感情という色が抜け落ちていった。ひとの表情が、目だけでこれ程印象が変わるものと判り、驚いた。
先程のぼくも、こうだったんだろうか?そして、驚いた事がもうひとつ。
ぼくの中が、凶悪な感情が身動ぎしたのが感じられた事。
他人を自分の思い通りにする、そんな支配欲が...。
 彼女を僕の好きな様に操る...。それは、とても魅力的な事に感じられた。もちろんそれは犯罪だし、実際にどれだけの効果があるのかも判らない...そんな理性の声も、ぼくのそんな欲望の前にすぐに沈黙した。

 ぼくは、かなたの目の前に開いた手を突き付けた。表情はまったく動かなかった。目も、どこか遠くを見るように、反応しなかった。次に、突然目の前の手を左右に動かしてみる。やはり反応無し。
 やはり、ノートに書いてあった通りの効果があるのだろうか?ぞくぞくするものを感じながら、次のステップに行くことにした。

「かなたさん...ぼくの声が聞こえるかい? 返事をするんだ」
「...はい、聞こえます」

 その声に抑揚は無く、いつか見た番組の催眠術にかかった女性の声を思い出させた。あの時は、そんなに都合よく、なんでも言うことをきかせられるなんて嘘っぽいと思ったものだけど。
 ぼくは、彼女の背後にまわると、どきどきしながら彼女の肩に手を置いた。かなたはぼうっとしたまま何も反応しない。

「かなた、これからぼくが色々質問するけど、君は全て正直に答えなければいけない...」
「...はい」
「君の学校は、女子高かい?」
「いいえ...共学です...」
「お風呂で、体はどこから洗う?」
「...左腕からです...」
「今日履いてきたパンティの色は?」
「...」

 ぼくが適当に聞いた質問に、かなたは答え辛そうにしている。EDENが効いていないのかと、ぼくは一瞬動揺した。でも、本当に効いていないのなら、こんな質問されたら逃げ出すと思うんだけど...。
 それとも、心理的に抵抗があるのだろうか。確か、普通ではない事をさせる場合、それをする事が正しい、または気持ち良いなどの動機付けが必要だったように思う。
 早速試してみる事にした。

「かなた、目を閉じるんだ...そう...真っ暗で何も見えない...ぼくの声以外なにも聞こえない...。とても安心できる、気持ち良い...」

 ぼくは、そう繰り返し言いながら、かなたの頭をゆっくりと回した。かなたは目を閉じ、気持ち良さそうな顔をしている。
確か番組の中で、催眠術をかける時に、こうしていたはず...。

「かなた...君はぼくのことが好きになる...ぼくの為だったらどんな事でも出来る...そうする事がとても気持ち良い...そうする事がとても幸せだ...君は、ぼくに尽くすことが幸せだ」

 そう、繰り返して囁くと、かなたは幸せそうな表情になった。ぼくは、再度試してみる。

「かなた...君が今日履いているパンティの色は?」
「...白です」

 そう答える表情は、口元も幸せそうに緩み、先程言い淀んだのが嘘のようだった。

「かなた...スカートをまくってぼくによく見せるんだ...。そう...足を開いて...」
「はい...」

 かなたは制服のスカートを胸のあたりに抱き込んで、椅子に腰掛けたままで足を開いていった。ここは屋外だというのに、その行動に逡巡はみられなかった。
 あまり飾り気のない白いパンティは、それでも僕を魅了した。ぼくは、背後から手を伸ばし、パンティ越しに彼女に触れた。そこは熱く、多少の湿り気を帯びているようだった。

「んっ」

かなたの表情を見てみると、気持ち良さそうではあるけど、快感に溺れる程では無い様だった。彼女を思い通りにしたいと思うぼくにとって、それは少し面白くないと感じられた。
 心や行動だけを支配するだけじゃ、足りない。髪の毛の一本、小指の先まで、この体の全てをぼくのモノに...そう、彼女の意思も感覚も全てぼくの思う通りにしたい。
 ぼくは、2つの暗示を試してみることにした。

「かなた、良く聞くんだ。君は、『催眠状態』とぼくから言われると、今の幸せで気持ちいい状態になるんだ。いつでも、どこでもだ。
 あと君の体は、ぼくに触られたり、弄られたり、舐められたり、キスされたりすると、ものすごく性的に感じる...。それはものすごい快感で、かなたはそれがとても好きになる。判ったね」
「...はい」

 ぼくは、暗示を与える間離していた指を、再度彼女の秘裂のあたりに触れてみる。

「ひぅっ! あっ...んぁあっ!!」

 ものすごい反応だった。彼女の顔だけでなく、首なども赤く色付き、汗が噴き出して、あえぎ声が止まることがない。ぼくは、かなたの耳に息を吹きかけながら、声を掛けた。

「どう? 気持ちいいかい、かなた?」
「っ! は...はいっ! きも、気持ちいいのぉっ! んぁ、あっあっあっああぁっ!」

 かなたが高ぶっているのが伝わってくる。それまでパンティー越しに軽く秘裂に触れていたのを、クリトリスのあたりと思われる部分に変えてみた。

「あんっ! こんなの、こんなの初めてっっ! くぁああっ!あっあっっあぁー!!」

 かなたの体が瞬間的につっぱり、それから弛緩していった。どうやら達したらしい。
パンティはすっかり愛液で濡れてしまい、彼女の形がはっきり浮き出ていた。ぼくは、彼女の前にまわった。

「ふふ、ぐしょぐしょだね、かなた。さぁ、パンティーを脱ぐんだ。...そう、腰を浮かせて...そうだね、パンティーはテーブルの上にでも置いておこう。ぼくに、大事なところを見せて...そう、良く見えるように、足を開いて...椅子に座ったまま、腰を突き出すようにして...いいよ、良く見える。...それに、綺麗だ...」

 ぼくの命令に従ったからか、それとも誉められたからなのか、かなたは幸せそうに、ぼくにはにかんで微笑んだ。
 ぼくは、かなたの胸元のボタンを外すと、前をはだけさせた。白いスポーツブラを押し上げて、乳首が勃起しているのが見えた。右手で軽く摘んでみる。

「ひゃんっ...あ...お胸、気持ちいい...っ!」

 コリコリと刺激を与えていると、かなたの息がまた荒くなって行った。ぼくは強引にスポーツブラを胸の上に押し上げると、あらわになった胸を、乳首を人差し指と中指の股で挟み込むようにして握った。かなたの胸は、小さくなく、大き過ぎず、ぼくの掌に吸い付くようだった。そのまま強弱を付けて揉んだ。

「んあぅ...あっあっ...んぅっ...」

 ものすごい快感が襲っているのか、かなたは目をぎゅっとつぶって顔を赤くさせている。ぼくは、なにかの本で読んだ一文を思い出した。
 -女性の胸は、男性の掌の快楽-
 あってるけど、それだけじゃない。ぼくにとって、かなたの体、声、感触、反応...全てが快楽だった。
 ぼくは、白濁した愛液を滴らせている秘裂に左手を伸ばすと、中指をゆっくり指し込んでいった。この感触を、なんて表現したらいいんだろう。
熱い、吸い込まれる、揉まれる、締められる...気持ちいい!

 かなたも膣で快感を覚えているのか、もう声も出ない様子でのどをそらし、体を震わせ、半開きの唇からは、涎がもれていた。ぼくが少しずつ中指を進めると、その都度「ひっ!」とか「んぅっ!」とか短い悲鳴をあげていた。
 暫く進めると、なにか壁のような感触が中指を阻むのが判った。処女膜だろうか?ぼくは、それ以上進めずに入り口付近の出し入れをする。

「んくっ...ん~...あぁっあっあっあっ...」

 かなたの喘ぎ声が切羽詰って来た事で、彼女の絶頂が近いのが判った。
ぼくは親指の腹で、興奮して顔を出しているクリトリスを優しくこすった。
その瞬間、かなたは全身を痙攣させ激しく達した。

「ひぐっ! うぁ、ひああぁああぁぁっ!」

 激しく達したのは2度目、小さく達したのは、もう数え切れないくらいだったのだろう。かなたは全身の力を使いきってしまったかのように、椅子に体を預けた。
 .
 .
 .
 
 かなたは荒い息で、それでも幸せそうに微笑んでいる。それを見ているぼくの分身は痛い程に張り詰めていた。最後までいってしまおうかと思ったけど、彼女が処女だったこと
もあり、本番は翌日にまわすことにした。そのかわり...ぼくは別のところを使うことにした。ぼくはかなたの目の前のテーブルに腰掛け、声をかけた。

「さぁ、かなた...。目を開けるんだ。ぼくのズボンのチャックを開けて、ぼくのものを取り出すんだ」
「ふぁい...」

 先程の快感のせいか、舌の回っていない返事をすると、ゆっくりぼくのズボンのチャックに手をかけた。そのまま躊躇する様子も無くチャックを開け、ぼくの分身を優しく取り出した。

「かなた、それを舌で舐めたり、口で咥えたりして、奉仕するんだ。決して歯を立ててはいけない...判るね?」
「...はい」

 かなたは舌を出して先端を舐めると、口に咥え、頭を前後にスライドさせ始めた。それは嫌悪感のかけらも無く、愛しい相手に気持ち良くなって欲しいという思いが感じられた。女性経験が無いぼくには、拙いその動きでも強い刺激に感じられた。

「んっんっんっんっ。はっんんっ!」

 頭を振り、咥えながら舌を使うかなたの表情は、さっき程ではないが、快楽の表情を示している。
 そう言えば、ぼくから与えられる刺激は、すべて快感として捉える暗示を掛けていたんだった。ぼくは、かなたの表情を見ながら、そろそろ我慢できない程に高まっていった。僕はかなたの頭を両手で押さえ、強引に前後に動かした。

「んっんっんん~!」

 かなたの苦痛と快楽が入り混じった声を聞きながら、僕は乱暴に頭を動かし続けた。かなたは涙を滲ませながらも舌を動かし、僕に刺激を与える。それは、かなた自身の快楽の追求の為の行為だったのかも知れないけど、僕をいかせるには十分な刺激だった。
 僕は、大量の精液をかなたの口の中に吐き出した。ものすごい快感だった。ぼくがゆっくりかなたから離れると、彼女は全身の力が抜けた様に、椅子に背を預けた。捲くれあがったスカートから、椅子どころか足首まで愛液が滴っているのが見える。快楽を反芻しているのか、時たま体をびくっとさせながら、幸せそうに荒い息をついていた。
 口の端から、ぼくの精液が一筋流れた。

 ぼくは、その表情にぞくぞくしながら、自分の中に凶悪な欲望が潜んでいる事を認識した。
 そして、もう戻れない事も...

< 続く >

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