EDEN 第2章

- Dark Side of EDEN vol.2 -

 今日は土曜日。ぼくは館の2階のベランダからコーヒーカップ片手に、ひたすらぼんやりとしていた。特に何を見るでもなく、のんびりと時間と共に移り行く景色を楽しんでいた。今のぼくには、昨日の凶悪な心理状態が自分のことながら信じられないくらいだ。それは、今ここにかなたがいないからかも知れない。穏やかな時間の中、ぼくは昨日の出来事を反芻した。あともう少しして、ぼくが暗示を与えた通りにかなたが来れば、ぼくはさらに暴走するのだろう。だからこそ、この静かに流れる時間を満喫した。...まるでちからを蓄えるかのように。

 お昼も近くなった頃、桜に囲まれた道を、制服を着たかなたが近づいて来るのが見えた。その瞬間を待ちきれないかの様な、急ぎ足で。
 ぼくは声が聞こえるぐらいに近づいてから、かなたに声をかけた。

「いらっしゃい!ぼくは2階にいるから、あがっておいでよ」

 かなたはぼくを見上げ、頬を紅潮させてにこやかに微笑んだ。手に持っている箱をぼくに見える様に持ち上げながら、はずんだ声で挨拶した。

「こんにちはっ。お邪魔しますね。あの、おいしいケーキを買って来たんです。いかがですか?」
「ありがとう、いただくよ。ドアは開いてるから、入っておいで」
「はいっ」

 ぼくは、横のテーブルの上の空のカップを手に取り、少し考えてから紙パックの紅茶を用意した。自分にも淹れると、ちょうどかなたが部屋のドアをノックした。もともと開けておいたドアから、顔を覗かせてこちらを伺う様子は、なんだか妙に可愛らしかった。特に、これから起こることを期待するような、かなたのワクワクした表情が。

「天気がいいから、ここでお茶しようか。紅茶で良かったかな?」
「はいっ、ありがとうございます。このケーキ、駅前のケーキ屋さんのなんですけど、私達の学校で、おいしいって評判なんですよ!どうぞ!」
「ありがとう。さぁ、座って」

 ぼくとかなたは向かい合わせに座ると、ケーキと紅茶を楽しんだ。会話はあまり無かったけど、幸せそうにケーキを口に運ぶかなたを見て、それがとても自然に感じられた。でも、人を支配する...そんな暗い欲望を持っているのも、確かにぼくの一面だった。かなたが食べ終わるのを待って、ぼくは昨日の続きをする事にした。

「かなた...『催眠状態』になるんだ」
「あ...」

 急速にかなたの瞳から意思の光が失われていくのを、ぞくぞくするものを感じながら見つめた。今日は色々試してみて、かなたの全てをぼくのものにするつもりだ。

「さぁ、かなた。こっちにおいで」
「...はい」

 ベランダに隣接する部屋は、少し大きめのベッドがあった。ぼくはベッドに腰掛けると、かなたに命令を出した。

「服を脱ぐんだ。そう、全てを」
「はい」

 なんの躊躇も無く、かなたは制服を脱ぎ始めた。畳まずに足元に放置する。下着姿になるとぼくは昨日との違いに気が付いた。

「かなた、服を脱ぐのをやめて、ぼくに下着を良く見せて」

 かなたは軽く足を開くと、腰の後ろに手を組んでぼくの方を向いた。昨日は飾り気の無いパンティーとスポーツブラだったのが、今日はおしゃれな下着を着ている。パンティーとブラがセットになっているようだ。ぼくの頭に『勝負パンツ』なんて言葉が浮かんでくる。かなたは先程のぼくの命令を拡大解釈したものか、そのままゆっくりとその場で回って見せた。今気が付いたんだけど、すでに秘裂のあたりは濡れているようだった。顔も興奮してきてるせいか、ほんのりと赤みを増している。すぐにでも押し倒したい気分だけど、ぼくはもう少し我慢することにした。

「綺麗だよ、かなた。次はぼくのひざの上に、向こうを向いて座るんだ。...昨日の快感を思い出して。これから君の体は、どこをどうされても気持ち良くなるんだ。何度でもイケる。それは凄く気持ち良くて、幸せな事だよ、いいね」
「はい。...ぁはんっ!」

 ぼくはかなたの髪の毛を一房手に取ると、軽く音を立ててキスをした。指先で髪をすくと、摘んだ指で捩ってみる。かなたは目を閉じて眉間に皺を寄せると、体ごと仰け反って高い声で喘いだ。
 次に、ベッドに爪を立てている右手を手に取って、指をぼくの方に向けさせた。そのまま、中指の付け根から舌を這わせ、爪の先を口に咥える。一段と高くなる、かなたの喘ぎ声。ぼくのズボンを通して、かなたの愛液が染みるのが感じられた。
 かなたの肩越しに、おしゃれなブラに包まれた胸が見えた。フロントホックのようだ。ぼくはブラを外して、胸を顕わにした。谷間に汗を浮かべ、乳首を勃起させて、荒い呼吸に上下する胸は、とても綺麗だった。

「んぁ、はっ...あっんあっああぁんっ!だっダメっイクっ!イクイクイクイク、あぁああああっ!」

 ぼくは、両手を使って胸を刺激した。乳首を摘み、しごき、つぶし、胸全体を揉み...それはかなたにどれだけの快感を与えたのか、彼女は今日一回目の絶頂に押し上げられた。
 ぼくは、かなたをベッドに横たえると、パンティーを脱がした。すでに愛液で滴る程に濡れたパンティーを、ベッドの脇のテーブルに置いた。まだ余韻の覚めない様子で、荒い息をつきながら、かなたは脱力した様に横たわっている。ぼくも、服を全て脱ぐと、痛い程に固くなった分身にコンドームをかぶせた。昨日の夜のうちに購入したコンドームは、初めて付けたわりに、うまくフィットした。

「かなた、目を開けて。これから、最後までするよ。...いいね?」
「...はい。......嬉しい...」

 ぼくは、かなたに覆い被さると、そのまま突き入れた。昨日指で確かめた場所で、柔らかく抵抗する処女膜を感じたけど、ぼくは止まらなかった。熱く、柔らかく、きつい...そんないろいろな感触がぼくの分身にまとわりつく。そして、ついに抵抗を突き抜けた。

「あぐっ...ああぁ!」

 やはり痛いのだろうか。かなたは歯を噛み締め、目に涙を滲ませて、ぼくにしがみつくと、顔をぼくの胸に押し付けた。ぼくのこころに、罪悪感が生まれた。両足と片腕で自分の体重を支えると、ぼくは右手をかなたの頭の下に回し、ゆっくりと撫でた。耳元に口を寄せ、そっと囁く。

「少し痛むかも知れないけど、すぐに気持ち良くなるよ。大丈夫。ぼくの言う事を信じるんだ...」
「はい。雄一さん...!」
「続けるよ、かなた」
「お願いします...あぁっ!」

 暗示が効いたのか、かなたの体の緊張がほぐれるのが感じられた。ぼくは、ゆっくりと前後に動かした。もう、かなたは痛みを訴えなかった。ぼくが突き入れる度、喘ぎ声が高まる。喘ぎ声に連動するかのように、強弱を付けて締まるようだった。
かなたの中はすごく気持ち良くて、すぐにもイってしまいそうだ。ぼくは動くのを中断して、かなたに囁いた。

「かなた、これからぼくが君の中で動くたびに、どんどん気持ち良くなっていくんだ...でも、イクことは出来ない。ぼくがイクのを感じるまでは、ね。そして、ぼくと一緒にイクことで、いままでよりも凄い快感を感じるんだ。いいね」
「はひっ!あっあっんくっ...あ~!」

 ぼくは、腰の動くのを再開した。今度は自分が達するまでは止めないつもりで、激しく突き入れた。かなたの体が汗を吹き出し、嬌声は連続して止まる事がない。

「あぅッ、んあっ...ゆっ!ゆうぃちさんっっ!たすっ...たすけてっ!ああっ!ゆういちさんっ! ゆういちさんッ」

 かなたは、ぼくが刺激を与えているのに、まるでぼくが救いの手を差し伸べているかのように、ぼくに縋りついてきた。力一杯ぼくを抱きしめるかなたとぼくの間で、かなたの胸が形を変えるのが感じられた。もう、意味のある言葉もでないようで、それでも切れ切れに、かなたはぼくの名前を呼んだ。ぼくも、限界だった。

「イクよ、かなたっ!あぁあああっ!」
「ひっ!ゆういちさんっ!あはぁあああっ!」

 .
 .
 .

 ぼくは、かなたに負担をかけないように身を起こすと、後始末を始めた。かなたは汗と愛液と、少量の破瓜の血で汚れていたので、用意していたタオルでそっと拭う。よっぽど激しく達したからか、かなたは目を覚ます様子はなかった。ぼくは、手持ち無沙汰なので、お昼ご飯を作ることにした。ぼく自身も体力を使ったので、お腹がすいてきていたし、ぼくの手料理を見て、かなたがどんな顔をするかも興味があったから。
 ぼくは、くすくす笑いながら1階に降りていった。今ある食材から、トーストとサラダ、カリカリベーコンとスクランブルエッグ、コンソメスープを選択する。でも、これって朝食のメニューだと思うけど。全部の準備を30分で済ませて、1階の食堂に並べた。かなたを起こしに2階に上がりながら、悪戯めいたことを思いついた。

「かなた、目を覚まして。お昼を用意したんだけど、食べない?」
「ん~。...あっ、ごめんなさいっ。わたし、どれくらい寝ちゃいましたか?」
「1時間も無いと思うけど?」
「ごめんなさい、わたし、あの......こういう事、はじめてで...」

 胸を隠すように毛布を抱き込みながら、赤くなってそういう彼女は、とても可愛かった。ぼくは軽くかすめるようにキスをすると、びっくりした顔のかなたに、微笑みながら囁いた。かなたにとって、絶対の力を持つ言葉を。

「かなた...『催眠状態』になるんだ」
「あ...」
「かなた、これから下に降りて食事をするけど、かなたはこのままの格好で食べるんだ。裸でいることが恥ずかしいけど、服を着ることも、体を隠すことも出来ない」
「はい...」
「さぁ、それじゃあご飯にしようか」

 ぼくは、素足に直接スリッパを履いた、ぺたぺたという足音を聞きながら、食堂へ降りていった。足音のリズムが微妙に一定じゃないのは、やっぱりまだ痛むんだろうか、と考えて、ぼくは少し罪悪感を感じた。

「さぁ、そこに座って。飲み物はオレンジジュースでいいかい?」
「は...はい。あの...わたし...」
「ん?なに?」
「...いえ、なんでもありません。...これ、雄一さんが作ったんですか?」
「大したものじゃ無いけどね。両親は健在なんだけど、家にいないことが多くて、気が付いたら料理が出来るようになってた」
「わぁ、これだけ出来たらすごいですよ。あの、いただきます」
「どうぞ」
「あ...美味しいです。このドレッシング、市販のものじゃないですよね」
「うん。サラダオイルをベースに、いろいろ手を入れてるよ」

 ぼくとかなたは、そんな取り留めのない会話をしつつ、食事をとった。かなたは体をぼくに見られていることで恥ずかしく感じているようだけど、体を隠せないという暗示のせいで、どうしていいか判らなくなっているようだった。さっきから顔を紅潮させ、腰をモジモジさせている。

「...ごちそうさまでした。とっても美味しかったです」
「どう致しまして。じゃ、片付けるね」
「わたしにもお手伝いさせて下さい。ごちそうしてもらうだけじゃ、悪いですから」
「そう...。それじゃあ、食器を洗うのをお願いしてもいいかな?」
「えっ?...はい」
「エプロンはここにあるのを使って...うん、似合うよ」

 そのエプロンはぼくが普段使っているもので、飾り気は全然なくて、ただ実用本位のものだけど、かなたが素肌に直接着ると、まるで純白のドレスのように見えた。ぼくは椅子に座ってにこにこしながら、かなたが食器を洗うのを見ていた。可愛いお尻がふりふりと動いて、とても魅力的だった。ぼくに見られているのを意識してか、かなたの口数が少なくなった。驚いたことに、愛液が彼女の腿の内側を一筋伝うのが見えた。

「お疲れ様。エプロンはそこに脱いでおいて。...こっちにおいでよ」
「エプロンを脱ぐんですか?]
「そうだよ。いくら似合っても、エプロンを着続けるのはおかしいでしょ?」
「...はい...」

 かなたが全裸になってこちらに歩いて来るのを見て、ぼくの分身はまた固くなった。かなたはそれを目にとめたようで、赤い顔が一層赤くなった。ぼくもなんだかつられて、恥ずかしくなる。かなたはぼくのすぐ目の前で立ち止まると、椅子に座ったままのぼくを上目遣いで見つめた。興奮している彼女のその目付きに、ぼくはぞくぞくするものを感じた。それは、ぼくが確かに今、かなたを支配していると実感できたからだと思う。

「そこに跪いて、ぼくのズボンのチャックを開けるんだ。昨日と同じ様に、君の口でしてもらうよ」
「...はい」

 かなたは瞳を期待に潤ませて、震える手でぼくのズボンに手を掛けた。少し苦労してぼくの分身を取り出すと、まるで熱いもので火傷したかのように小さく悲鳴をあげると、手を引っ込めた。

「あぁ...!」

 そのまま、溜息とも感嘆の声ともつかない声を出すと、ぼくのものに両手を添えた。先端部にキスをすると、そのまま唇を横にすべらせた。熱い唇は根元まで下がり、今度は舌でチロチロと刺激しながら、先端に戻って来た。それは、ただ咥えて舌を踊らせた昨日の動きと異なり、明らかにぼくに奉仕するための技術的なものが感じられた。焦らす様に先端部を舌で刺激し、一気に口の中に吸い込む。舌の上で裏筋を刺激し、喉の奥まで進める。頬をすぼめ、舌を踊らせながらゆっくりと引き抜く。ぼくは、その快感に耐えることは出来ず、彼女の口の中に、大量の精液を放った。かなたは突然の事にびっくりした顔をしたけど、そのまま全てを嚥下した。

「気持ち...良かったですか?」

 かなたは赤い顔でぼくにそう尋ねた。ぼくは今の快感で息をするのも辛い程だったけど、なんとか息を整えて彼女に向き直った。跪いた彼女の頬から耳の後ろ、首筋までを撫でながら、疑問を口にした。

「すごく気持ち良かった...死ぬかと思ったよ。でも、どこでこんなやり方を知ったんだい?」
「...あの、学校の友達で、こういう事に詳しい子がいるんです。それでいろいろ勉強したんです。...雄一さんに喜んで欲しくて...」
「...かなた...」

 ぼくは、かなたの唇に思いを込めて、深くキスをした。ぼくの精液の、苦くてえぐいような味が残っていたけど、ぼくの今のこの気持ちを表現する方法が、他に思いつかなかったから。かなたは自分の方から舌を絡ませて、ぼくの気持ちに応えてくれた。

「今度は、一緒に気持ち良くなろう」
「はいっ」

 かなたを立ち上がらせると、今まで跪いていたあたりに愛液が滴っているのが見えた。ぼくのものを舐めて、かなたも気持ち良くなっていたことが判って、ぼくは嬉しくなった。椅子に座ったままのぼくに向き合うように、かなたを跨らせる。かなたの開いたそこは、熱い蜜をしたたらせ、ぼくが入るのを期待しているようだった。

「いくよ、かなた」
「はい。...んあぁっ!」

 かなたの秘裂は、今日処女を失ったばかりとは信じられないくらい、スムーズにぼくを受け入れた。かなた自身も、先程の暗示が効いているのか、その汗にまみれた顔には苦痛の色は伺えなかった。ぼくは安心して、かなたを喜ばすことに集中した。
 左手でかなたの腰に手を回すと、右手で胸を揉んだ。腰でかなたを突き上げるようにして、深く、強く入っていった。強烈な快感にかなたは悲鳴を上げながら、ぼくの頭を抱え込んで体を震わせた。

「あっ...ふぁあっ!いっいくッ!あああぁっ!」

 かなたの中がきつくぼくを締め上げると、かなたは一際大きな悲鳴を上げ、絶頂に達した。ぼくも危うく出してしまうところだったけど、先程口に出していたおかげで、なんとかこらえる事ができた。
 ぼくにしがみついて、荒い息を付くかなたの頬にキスをして、ぼくは再び腰を動かしはじめた。

「ひっ!あっあっあっあっ!だめっ!またっ...またイっちゃうよぉっ!止まらないのっ!ひぁんっ」
「もう少しでぼくもイクから、それまでがんばるんだよ。大丈夫、何度でもイっていいんだ。まったく辛くない、それどころかすごく気持ちいい。この快感を、ずっと味わってもいいんだよ」
「んあぁ、すごいっ!またっ...またイッちゃうのっ!ゆういちさんっ!すきっ!好きぃっ!!」
「いくよっ!かなたっ!!」
「ああああああっ!!」

 ぼくとかなたは、全ての力を使い切って、椅子の上でずっと抱き合ったまま、荒い息をついていた。ぼくは、酸素不足で朦朧とした頭で、せっかくコンドームを買ったのに、使用しなかった事を思い出した。かなたにシャワーを使わせたほうがいいのかも知れない。でも、抱き合ったこの状態が気持ち良くて、まだ当分は動く気にならなかった。

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 ぼくは、身支度をしたかなたを玄関口まで送ると、幸せそうに微笑むかなたに再度確認した。

「本当に送らなくていいのかい?」
「はいっ。この道をまっすぐ行って、すぐの所ですから。それに、まだ夕方ですし、大丈夫です。あの...明日もお邪魔していいですか?」
「うん。明日は、出来たら街を案内して欲しいかな。」
「はいっ!それなら、10時くらいにお邪魔しますね。今日はこれで、失礼します」
「うん。気を付けてね」
「はいっ」

 かなたはスキップしながら門の所まで行くと、こちらを振り返った。顔を赤くして唇を指先でなぞると、蕩けるような微笑を浮かべ、ぼくに手を振ると、そのまま走り去って行った。ぼくも、かなたの感触の残る唇に指でそっと触れて、幸せな気分でかなたの後姿を見送ると、ドアを閉めた。

eden3
< 続く >

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