EDEN 第4章

- Dark Side of EDEN vol.4 -

 朝。誰にも等しく訪れ、希望をもたらすもの。1日の始まりにして、闇を払拭するもの。なのにぼくは最低な気分のまま、白む空を眺めていた。どんよりと疲労が体の芯に残っているのに、目だけがさえて、眠ろうという気にならない。
 目をつぶると、昨日のかなたの微笑みが浮かんでくる。明らかに無理をして微笑んでいるのが判る...恐らく、ぼくを気遣っての微笑みなのだろうけど、それがますますぼくの心を責め付けていた。
 結局ぼくは、一晩かけても有効な打開策を考える事ができなかった。『EDEN』...全ての発端のあの香水を使う事も考えたけど、それは人の記憶...心を弄ぶ事だと思う。ぼくはかなたに対して使ってしまったけど、誰彼構わず使うには微かな恐怖すら感じた。そうして前に進む事が出来ないぼくは、自分だけが可愛い最低な人間なのではないだろうか?ぼくの思考は、ゆっくりと自己嫌悪の泥沼にはまって行くようだった。

 何もする気になれず、ただ外を眺めて無為に時間の流れるままに過ごしていたぼくは、携帯の着信音で我に返った。いつもの癖で、電波の強さを示す棒が全て立っているのを確認してから通話ボタンを押した。携帯電話から、クリアなかなたの声が聞こえてきた。

「こんにちは、雄一さん。今、全部の事情を話そうと思って、ゆかちゃんを連れて来てるんですが、雄一さんにも来て頂けますか?」
「判った。どこに行けばいい?」
「昨日の...木の所です。道から外れた...」
「5分だけ、待っててくれるかい。急いで行くから」
「済みません...お待ちしてます」

 ぼくはふと、最後の”済みません”が気になった。会話の流れからは不自然な所はないのだけど、なにかが違う気がした。時間が無いので、身嗜みだけ確認して、ぼくは駆け出した。きっと、会えばなんとかなる...そんな根拠の無い思いに急かされながら。
 外に出たぼくは、既に夕方に近い時刻と知って愕然とした。ぼくはなんて意味の無い時間を使ってしまったのだろう。ぼくが時間を無駄遣いしている間に、かなたはゆかさんと話しをする段取りを取っていたというのに。つくづく自分が嫌になったけど、せめてかなたは悪くないのだと...全て自分が悪いのだと...そうゆかさんに認めてもらうために最大の努力をしようと心に誓い、走り出した。

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「...え?...どうして...?」

 昨日の場所に辿りついたぼくは、そこに誰もいないのを知って愕然とした。木々に遮られて視界が悪い中、誰の姿も見えなかった。ぼくは深呼吸をして強引に心を落ち着けると、携帯を取り出した。もしかしたら、待ち合わせ場所をここにしたというだけで、まだかなたは移動中なのかもしれない。電波が届いている事を確認して、ぼくはかなたにリダイアルした。...困った事に、かなたは電波の届かない所にいるようだった。ぼくは、仕方なくここで待つ事にした。昨日も座っていた石の上に腰掛けて。

 30分程待っただろうか、ぼくの携帯から着信音が流れた。かなたからだった。ぼくは焦って通話ボタンを押した。

「あの...わたし、かなたです。ごめんなさい...。準備があったから、直接雄一さんのお家に来たんです」
「...準備?...準備って一体...?」
「携帯で話すのはちょっと難しいので...お家に帰って来て頂けますか?」
「それはいいけど...」
「それでは、2階でお待ちしてますね」
「判ったよ。じゃあ、後で...」

 携帯を切ると、胸の内側で漠然とした不安が渦巻いた。なんだか、今日のかなたの行動は、彼女らしくない...そう、感じられた。話すと判る事だけど、かなたは頭がいい。それは、勉強が出来るとかそういう事ではなく、周りの人や状況に合わせた気配りができるという頭の良さだ。少しおとなしげな印象は受けるけど、少なくとも人に失礼な事をするような娘では無いはずだった。
 それに、1回目と2回目の電話で、声の明るさが違っていた。1回目の時は、なんだか声が暗く感じられたのに、2回目の時はなんだか浮かれている様にすら感じられた。館に帰る道の途中で、ぼくの頭は疑問符で一杯になっていた。
 玄関を開ける時、鍵をかけていなかった事を思い出した。だからかなたは中に入ることが出来たんだろう。でも、それは新しい疑問でしかなかった。かなたの行動に関する違和感...2階に向かうぼくの足は、自然と重くなった。

 その部屋から、声が聞こえていた。ぼくとかなたが、始めて結ばれた部屋。近付くにつれて明瞭になるその声は...快感を表す喘ぎだった。ぼくは一瞬躊躇して...扉をノックした。喘ぎは止まなかったけど、かなたの声が聞こえてきた。

「雄一さん、お待ちしてました。お入り下さい」
「...開けるよ」

 ぼくが見た光景は、衝撃的なものだった。まるでそれは、2匹の蛇が絡まり合うかの様に淫靡な光景だった。ベッドに女の子座りをしているゆかさんを、かなたが抱きしめている。2人とも裸で、かなたの愛撫をゆかさんが受けているようだった。かなたの手が蠢く度に、ゆかさんは嬌声を上げている。かなたはぼくの方に目を向けると、微笑みながらゆかさんの耳元に口を寄せて、その一言を囁いた。

「ゆかちゃん、『催眠状態』になりましょうね」
「...うん...」
「うふふ...可愛い...。雄一さんもそう思いませんか?」
「かなた...これは一体...!」

 かなたは艶やかに上目遣いで微笑むと、ぼくの方に歩いて来た。今まで、ぼくがかなたをリードする立場だったのが、この場ではかなたに支配されていた。気圧されていると言ってもいい。ぼくはかなたがぼくの首に抱き付くように腕をまわしてくるまで、動くことが出来なかった。
 かなたが何をしたのか、実のところ想像出来ていた。『EDEN』...だけど、なぜゆかさんに使ったのか、それだけが判らなかった。

「雄一さん...お分かりだと思いますけど、ゆかちゃんに『EDEN』を使いました」
「なんで...」
「ゆかちゃんは昨日、映画館からずっと私達のことを追っかけてたんだそうです。見られてたんです...私達」
「...」
「それで、私が雄一さんに弱みを握られて...おもちゃにされているって...考えたんです。...外側から見れば...そう見えるのかも知れないですけど...でも...でもっ」
「...」
「私を助ける為に...ゆ...ゆういちさんを訴えるって...ゆかちゃんがっ...!...わたし...イヤなことなんて、な...何もないのに...!」

 だんだん余裕がなくなって、嗚咽交じりになるかなたの声を聞きながら、ぼくは、かなたの背中に腕をまわして、力一杯抱き締めた。やはり...全てはぼくの責任だった...。かなたは、今まで溜め込んでいたものを吐露するように、腕に一層ちからを込めて、泣きながら続けた。

「わ...わたしっ...ゆういちさんが...すきなのにっ...ゆか...ひぐっ...ゆかちゃんが...だから...だからっ!」
「...かなた...」
「ほんとは...わたしの...こっ...ひぅ...こいびとです...って、紹介して...祝って...ほしかったのに...っ!」
「...かなた...」
「...うぅっ...ゆっ...ゆぅいちさんっ...わたし...わたしっ...」
「かなた...もういい...もういいんだ...」

 ぼくはかなたを抱き締めたまま、頭を撫で続けた。それで少しでもかなたの心が休まれば...そう願いながら...。

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 そうして、どれくらい経っただろうか...かなたは真っ赤に泣き腫らした目でぼくを見上げ、いたずらっぽく微笑んだ。

「...ごめんなさい、取り乱しちゃって...。あの...わたし...雄一さんに掛けられた暗示...ぜんぶ覚えてるんですよ...」
「...えっ?...全部?」
「はい。だって雄一さん、記憶を弄ろうとはしませんでしたもの。干渉したのは、感覚と...恋心だけでしたよね」
「そういえば...」

 いたずらを共有するように、楽しげに微笑むかなたを見ながら、ぼくは最初に掛けた暗示を思い出した。
---ぼくのことが好きになる
---ぼくの為なら、どんな事でも出来る
---ぼくに尽くす事が幸せ
あの時、支配欲の赴くままに、ぼくはそう...暗示を掛けたんだった。

「でも、誤解しないで下さいね...。最初は暗示のせいかも知れませんけど...今は本当に雄一さんのことが好きなんです。一緒にいて、どれだけわたしが幸せだったか...。あの...えっちな事もたくさんされちゃいましたけど....」
「苦しくは...無いかい?無理はしてない?ぼくに出来ることなら...どんな事でもするよ...暗示を解くのだって...」

 かなたは寂しそうに微笑ながら、首を横に振った。ぼくの一言は、かなたを傷つけたのかもしれなかった。今のかなたは、ぼくの暗示という甘い鎖に心を縛られて、その状態を積極的に受け入れている...そしてそれに自分自身で気が付いているのだから。そんなかなたに暗示を解くとぼくが言うのは、それこそ今まで弄んでいた事になる。その一言は、言ってはいけない一言だったのではないだろうか。

「でしたら...ずっとわたしを...わたしとゆかちゃんを、側にいさせて下さい。そうしたらわたし達、幸せになれるんです」
「ゆかさんも?」
「はい...ゆかちゃんにも、わたしと同じ暗示を掛けてあります。...みんなが幸せになるのに...これが一番いいと思うんです」
「かなたは、それでいいの?君と同じ位、ゆかさんを大事にするっていう事だよ?」
「...はい。きっと、ゆかちゃんだからだと思うんですけど、独占欲って感じないんです。雄一さんがいて、ゆかちゃんがいて、ずっと3人で楽しくいられたら、それが幸せだと素直に信じられるんです」

 自分の胸に手を置いて、自分自身と対話するかのように話すかなたは、その言葉に疑いをかけらも感じていないようだった。ぼくは、覚悟を決める事にした。ぼくの全てで2人を守ると。ぼくはかなたに、ゆかさんに、そして自分自身に誓いを立てた。

「誓うよ...。2人を幸せにする」
「嬉しいです...」

 かなたはぼくにキスすると、ぼくから身を離してゆかさんに向かった。今まで催眠状態に陥っていたゆかさんは、虚ろな瞳を中空に向けていたのだが、かなたはゆかさんを優しく見詰めると、耳元で囁いた。

「ゆかちゃん。いまから3つ数えると、ゆかちゃんの意識が戻るわ。そうしたら、愛しい雄一さんにたっぷり愛してもらいましょう...すごく、幸せな気持ちになれるわ...1...2...3!」
「...え...かなたちゃん?...あ、ゆういちさんっ!」
「わっ」

 ゆかさんは催眠状態から覚めてぼく達を認めると、ぼくに向かって満面の笑みを浮かべて飛び付いて来た。自分が裸という事も気にならないようで、ぼくに抱き付くと、胸に顔を押し付けて、すりすりとほお擦りする。

「ふふっ。ね、ゆういちさん、しよっ」
「あ...あの...ゆかさん?」
「ゆかって呼んで。ぼくね...ゆういちさんの事、だぁいすきっ、だよっ」
「ゆかさん?」
「ゆ、か!友人のゆに、香りのかっ!”ゆかさん”なんて呼ばれたら、ぼく泣いちゃうぞっ!」

 ぼくは、あまりのテンションの高さに、ついかなたの方を見てしまった。たぶん、助けを求めるような情けない顔をしていたんだと思う。かなたはくすくすと小さく笑うと、握りこぶしを自分の胸に引き付けて見せて、声を出さずに口だけを動かした。
”ふぁいとっです!”
 ぼくは、ゆか...さんを見下ろした。かなり小柄で、頭がぼくの胸の高さにある。お腹に当たる胸の感触も、かなり未成熟であることを示していた。まるで子犬の様に、無垢な瞳でぼくを見上げているゆかさんに、本当にしてもいいものか、躊躇した。でも、後には引けない...二人を幸せにすると誓った以上、これも通過儀礼なのだと...ぼくは自分を納得させた。

「友香...」
「うんっ」

 嬉しそうに笑って、ぼくを見上げて目を閉じる友香に、ぼくはキスをした。何度も、何度も。回数を重ねる毎に友香の顔が赤らんで来て、興奮して来た事が判る。キスに慣れていないのだろう...最後の方ではキスとキスの間に、苦しそうに息継ぎをしていた。それでもがんばってキスを続ける様子が可愛らしかった。

「ん...ふはぁっ!...」

 長めのキスをした後、友香は立っていられなくなったらしく、ずるずるとぼくの足元にしゃがみ込んだ。ぼくは、友香を抱き上げると、そのままベッドに向かった。友香の体は驚くほど軽く、華奢に感じられた。脱力した友香をベッドに下ろして、ふと気になって振り返ると、かなたが潤んだ瞳でぼくを見詰めていた。

「えっと...恥ずかしいんだけど?」
「あの...がんばって我慢しますから...見ていても...いいですか?」

 微妙にずれた返答をするかなたは、良く見ると腰をもじもじとさせている。どうやら友香ちゃんとのキスを見て、興奮してしまったらしい。かなたが望むのなら、ぼくは叶えてあげたい...。ぼくは苦笑すると、かなたにキスして囁いた。

「判ったよ。見ててもいいから...待ってて...」
「...はい」

 かなたは立っているのも辛いのか、近くの椅子を引き寄せると、ベッドが良く見える位置に腰掛けた。上気した顔をぼくに向けると、にこやかに微笑んだ。

「はい。私の準備は大丈夫です。...ゆかちゃんをたっぷりと可愛がってあげて下さいね。...私...人のを見るのって、初めてなんです。...ドキドキしちゃいます」
「...」

 ぼくはなるべくかなたから意識を逸らして、服を脱ぎ捨てた。そして、友香ちゃんに負担を掛けない様に、仰向けに横たわる友香ちゃんに覆い被さった。まずは、胸から刺激を与える事にする。重力に押し潰されて少年のような胸の、乳首周りを舌で舐めて、吸う。右の胸から左の胸へ、そしてまた右へ。友香はその都度、激しく反応した。

「ひぁっ...ゆっ...ゆういちさんっ!...はっ!...あんっ...!」

 ぼくは、胸に刺激を与え続ける様に手を置いて、友香の体の下の方へ下りていった。無駄な脂肪のないお腹を伝い、可愛らしいおへそを経由してさらにその下へ。そこでは、興奮のあまり顔を出したクリトリスと、このまま続けるのをためらわれるようなサイズの濡れた秘裂があった。ぼくはそのままクリトリスを咥えて、舌で刺激を与えた。

「ああっ!...だっ...だめっ...ぼく、ぼくぅっ!!」

 腰も、足のつま先まで硬直させて、友香が絶頂に達したのが判った。ぼくは、友香の愛液で濡れた唇を腕で拭うと、また上に戻って友香にキスをした。
 友香は、強烈な快感に息も絶え絶えな状態で、それでもぼくを抱きしめる。ぼくに、想いの深さを教えるように...。ぼくは、最後の確認を取る事にした。

「このまま...続けてもいいの?」
「...うん。」
「とても痛いと思うよ...」
「それでもいいよ。...ぼくを、かなたちゃんと同じにして...。同じ様に、愛して...幸せにして...」
「...誓うよ」
「うん。...嬉しいよ、ぼく。だから...」

 ぼくは友香に最後まで言わせず、唇をキスで塞ぐと、ぼくのものを友香の秘裂に当てて、軽く上下に擦り付けた。

「...いくよ」
「はいっ!」

 ぼくはそのまま、ゆっくりと腰を前に突き出した。ぼくの侵入を阻むきつい膣壁、そして最後の抵抗を示す処女膜...ぼくはそれらを押し退け、一番奥まで辿り着いた。サイズのせいだろうか、ぼくのものは、全て入りきらずにいた。

「んっ!」

 友香の体が硬直するのが感じられた。ぼくはそのまま身動き出来ずに友香の顔を見詰めた。友香の目から涙が一滴流れるのを、ぼくはキスで拭った。そのまま、顔に、首に、耳に、肩に、腕に...ぼくの唇の届く所全てにキスをした。

「ぁん...ねぇ、ぼく...もぉだいじょうぶだから...動いて...。ゆういちさんも気持ち良くなって...。その方が、ぼくも嬉しいの...」
「判った...。ゆっくりするから...」
「うん...おねがい...あぁっ!」

 ぼくは友香に体をくっつけて、ゆっくり小刻みに動き始めた。友香の中は熱くて、狭くて、ぼくはとても長持ちしそうになかった。自然と腰の動きが荒々しくなっていくのを、止められなかった。友香の呼吸も、だんだん切羽詰ったものになって行く。

「ゆっ...友香...もう...イクよ...」
「うん...きて...きてっ...!...んぅっ...うぁああっ!!」

 その瞬間、ぼくは分身をきつく締め付けられ、抜く間もなく友香の中に放出していた。ぼくが吐き出す度、友香の中がリズムを合わせるかのように伸縮した。ふいに愛しさを感じて、小さくあえぐ友香にぼくはキスをした。

 ・
 ・
 ・

「はぁ...はふぅ...。」

 友香は至福の涙を流しながら、ぼくの体の下で脱力した。背中に回された手が、力を失ってベッドに落ちた。その表情に苦痛の色が残っていない事を見て、ぼくは多少安心した。友香にとっての最初の記憶が、苦痛だけのセックスでは可哀想だから。
 ぼくはそっと友香の中から抜き出そうとした。ぼくの分身は、精液と愛液と...少量の破瓜の血で彩られていた。

「あっ、ちょっと待って!」
「え?」
「もう少しこのままで...いて欲しいの。...だめ?」
「いいよ。...痛むの?」

 ぼくの背中に再び手を回した友香は、ぼくの胸に頭をこすりつける様に、頭を振った。ぼくは、友香に体重をかけないように、体を向かい合わせに横たえた。

「うふふっ...あっ...」
「ん...どうしたの?」

 子猫がじゃれ付くようにぼくにまとわりついていた友香が、ぼくの背後を見て、驚いたように声を上げた。ぼくは一瞬、友香が何を見たのか思いつかなかったけど、すすり泣くような声が聞こえてきて、かなたの存在を思い出した。背中を向けて横になったこともあって、すっかりかなたの事を忘れてしまっていた。
 恐る恐る振り返ると、椅子に座ったかなたが切なそうにオナニーをしていた。ぼくと友香のセックスを見て、我慢しきれなくなったのだろう。両手を足で挟み込むようにして、クリトリスと膣の両方を刺激しているようだ。すすり泣く声は、哀しいからというより、感極まった為に出ているらしい。友香は微笑むと、かなたに声を掛けた。

「かなたちゃん...おいでよ...一緒にしよっ!」
「あん...あ...ゆかちゃん...?」
「ひとりでするより、気持ちいいと思うよ...ゆういちさんもまだ大丈夫だよね?」
「大丈夫だけど...ごめん、少し回復の時間が欲しいかも...」
「判った...んっ...ふぅう...」

 友香は挿入しっぱなしだったぼくの分身を抜くと、ベッドに腰掛けた。惜しげも無く汗に濡れた裸身を晒すと、中途半端な快感にぼうっとしているかなたに手を差し伸べた。かなたは、友香に誘われて、ふらふらとベッドに近付いてくる。

「ゆういちさん、ベッドに座って...うん、そう...。綺麗にしたげるね...ふたりで...」
「えっ?...うっ!」

 ぼくの前に跪いた友香は、小柄な体をぼくの太腿の下に潜り込ませて、ぼくの分身の裏側の根元から先端まで、思いっきり出した舌で舐め上げた。そのまま先端を口に咥えると、舌をつつくように、撫で上げるように、纏わりつくように躍らせた。

「だっ...だめだ...汚い...うあっ...」
「だいじょうぶだよ。不思議な味だけど、ゆういちさんのだから、気にならないよ...そういえば、ぼくのも混ざってるんだよね...あ、かなたちゃんも一緒にしよっ。ぼくがこっち側するから、かなたちゃんはそっちね」
「うん...はぁ...む...」
「あむ...ん」

 この間かなたにしてもらった時も、かなりの快感だったけど、今回はさらに比べ物にならないくらいもの凄かった。2人の舌が、手が、ぼくの分身に想像も出来ないほどの快感を与えている。ぼくの分身は、あっというまに破裂寸前になった。

「あん...ゆういちさん、もう大丈夫だね...じゃあ、ぼく達2人いっぺんに...いいかなぁ?」
「うん...じゃぁ、2人で抱き合うようにして、ベッドに寝てくれる...かな」
「...はい。」
「うんっ...じゃあ、ぼくが上になるね」

 かなたが仰向けに横たわり、その上に友香が四つん這いで跨った。友香はかなたの足の間に自分の足を入れて、かなたの股を開かせた。そのままかなたに密着すると、胸に頬擦りした。

「なんだか、ぼくとかなたちゃんがしてるみたいだよね、この姿勢って...」
「うふふ...さっきは私と友香ちゃんでしてたのに、今はなんだか恥ずかしいね」
「うん、でも...これからもっとすごいことするんだよ...。ゆういちさん、かなたちゃんから入れてあげて...」
「えっ?...んあぁっ!!」

 かなたの秘裂は、それまでの刺激ですでに愛液が滴る程に潤っていた。ぼくは自分の分身を手で押さえて、そのままかなたの中に突き入れた。それだけで絶頂に達してしまったかのように、大きな悲鳴をあげた。ぼくの分身をきつく締め上げるかなたの一番奥まで押し込み、ゆっくりと抜く。次に友香に慎重に挿入する。かなたが暗示を与えたのだろうか...友香の中のきつさはそのままに、友香の顔にはもう苦痛は見られなかった。ぼくは安心して、2人を交互に貫いた。その最中に、快楽に我を忘れたかなたが、友香にキスをするのが見えた。友香も舌を出して、ディープに応えているのが判る。ぼくは、2人の痴態に興奮して、そのまま精液を放出した。

 抱きしめあって荒い息を付く2人を見ながら、ぼく自身もかなり体力を消費したのを自覚していた。あと一回ぐらいはしてあげたいけど、すぐには使い物にならなさそうだ。その時、ぼくは部屋に入って来た時の、2人の淫靡な姿を思い出した。ぼくが回復するまでの間、2人で遊んでいてもらう事にする。

「さぁ、『催眠状態』になるんだ...」
「...はい」
「...うん」
「え?」

 友香からも返事が来た事で、ぼくは一瞬、何が起こったのが判らなかった。でも、深い催眠に掛かっている空ろな瞳を見て、やっと思い出せた...かなただ。かなたが友香に『EDEN』を使用して、Keywordを自分と同じ『催眠状態』にしたのだろう。ぼくはかなたに対して暗示を掛けるつもりだったけど、友香にも暗示を与える事にした。

「2人とも、これからぼくが3つ数えると、体中が性感帯になるんだ...クリトリスを刺激されると、とても気持ちいいだろ...今から、体がそういう状態になるんだ...気持ち良くて、何度でもイケる...じっとしてられない...さぁ、目の前の相手に...かなたは友香に...友香はかなたに...自分の気持ち良さを分けてあげよう...そうすると、相手も...自分も気持ち良くなれる...いいね...1...2...3!」

 その瞬間、2人の体が感電したかの様に激しく痙攣したのが見えた。

「ゆっ...ゆかちゃん...わたしぃっ!」
「ひぃんっ...かなたちゃぁ...ん...こんなの...ぼくっ...!」
「また...ああっ...また、わたしっ!!...んぁっ!」
「ぼくもっ...ぼく...きゃんっ...!」

 2人は抱きしめ合い、肌を寄せ合って、通常では考えられない程の快感を感じているようだった。絡ませ合う足、擦り付け合う胸、お互いの激しい喘ぎや呼吸までもが、全て快感に直結している...。その2人の痴態は、いつ終わるともなく続いていた。
 いつの間にか、ぼくの分身は、今まで以上に猛っていた。息をするのも忘れるくらい、目の前の淫靡な光景に見入っていたぼくは、いつ復活したかも記憶に無かった。でも、復活した以上、ぼくも加わる事にする。早速上にいる友香をかなたから剥がして、壁に背を預けるようにして座らせた。友香が軽いからできた事だ。そして、快感に息も絶え絶えになっているかなたの耳元に顔を寄せて命令する。

「かなた、これから君に入れるよ。...でも、それじゃあ友香が可哀想だから、君が友香のあそこを舐めてあげるんだ...いいね?」
「ふぁ...い...」

 あまりの快感にろれつも回らなくなっているかなたが、それでも懸命に、友香の秘裂に口を寄せるのが見えた。新しい刺激に、友香が頭を壁にぶつける位に仰け反る。ぼくは2人の様子に満足しながら、後ろからかなたに挿入した。ぼくを待ち望んでいたかなたの秘裂は、ぼくを苦も無く受け止めるだけでなく、自分から吸い込む様な動きをしていた。

「ああああぁぁっ!...ゆういちさんっ...わっ...わたしっ...!」
「...だめっ...かなたちゃん!...舌が...あたるぅ...っ!」
「ゆかちゃっ...あんぅ...ゆぅいち...さん...もぅ...わたし...」
「かなた...ちゃ...ゆう...いちさ...ん...ぼくも...」
「「ああああああぁっ!!」」

 ぼくが放出すると同時に、かなたと友香も絶頂に達した。そのまま2人とも、電池が切れたおもちゃのように、ベッドに倒れこんだ。ぼくも、後始末するだけの気力も尽きて、そのまま2人の傍らに座り込む。疲労よりも喜びを顔に浮かべている2人に、ぼくはこの幸せを甘受する事が出来るような気がした。

< 続く >

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