左目の悪魔 第2話

第二話 カフカの夢

「んふ・・・・、はあ・・・」

 昏い部屋に女の喘ぎ声が響く。白い肌がぽっかりと浮かび上がる。

 初夏のひざしを避けた部屋はしかしクーラーひとつなくその身体からは

 汗がしたたり落ちる。

「はあ、はあ、ふふ・・・」

 女は自ら自分を慰めていた。右手が己のパンティの中に潜み怪しく蠢いている。

「はあ、もうすぐ・・・もうすぐよ・・・もうすぐ生まれる・・・・」

 まるで呪文のように何度もそうつぶやく。

 女はひどくうつろでそれでいて狂気をはらんでいた。

 やがて女は笑いとともに絶頂に達した。

「ん・・・・・」「むぅ・・・・」「むに・・・・」「くぅ・・・・」

 さっきから考え込んでいる彼女の眉毛が上がったり下がったりしている。

 悪いがその百面相は笑いを誘う。

 黙っていればお人形のような純和風美少女たる彼女はあまりに表情がありすぎた。

「ぷっ」こらえきれなくなった俺はつい、笑ってしまった。

 途端、彼女に睨み付けられる。

「何みてんのよ!」がん!ついでにひざを蹴られた。

 この、強暴で表情豊かな絶世の美少女は名を二ノ宮葵(にのみやあおい)という。

 何の因果か3ヶ月前から俺の彼女である。

 申し遅れたが俺は峰岸志狼(みねぎししろう)彼女の同級生で元親友だ。

 左目にちょっと変わったペットを飼っているがごくごく普通の小市民のつもりである。

 俺たちは2週間後に控えた期末テスト対策のためこうして放課後を図書館で勉強という実に学生らしい活動を行っていた。

 この学校の図書館というのは校舎とは別棟になっている。

 2階建なのだが2階の部分は1階の四分の一程度の面積しかなく残りは吹き抜けになっていてなかなか開放感がある。

 また、吹き抜けの周りはテラスのようになっており、ここにも椅子とテーブルが並んでいる。俺達はそのひとつに向かい合って座っていた。

「いや、そろそろ休憩しようかなってな」

「む、もうできたの?ちょっと見せなさいよ!・・・・・げ、もう終わってるしぃ 志狼ってもしかして頭良かったの?」

 というか、こいつは俺をどういう目で見てるんだ?

「まあ、人並みってとこだ」

「むっ!」また葵の眉がはねあがる。本当にからかうと楽しいやつだ。

 ちなみに俺はそんなに頭がいいわけではない。結構な見栄坊なので夜にこっそり勉強しているだけだ。

 頭がいいといえば、葵の方がそうだろう。普段は勉強なんぞしないくせにちょっとこつを教えるとすぐに物にしてしまう。まあ、しゃくだから本人には言わないが。

「おや?」俺のセリフに葵が目を向ける。

「どった?」

「いや、うちのガッコにあんな娘いたっけ?」

 俺の視線の先にはショートカットの美少女がいた。なんというかアンニュイ系の美少女で釣り合わない鼈甲のメガネなんかをかけている。

 背丈は中くらいで、制服から伸びた手足はすっきりと引き締まっていた。

 彼女は図書館にいるというのに勉強もせず、さりとて本を読むでなし、外の景色をぼんやりと眺めている。

「ああ、秋月さんね。秋月風華(あきつきふうか)。1年A組に転校してきた謎の転校生」

「謎なのか?」

「いやねえ、転校生の枕詞よ」

「そうなのか?」

「まあ、それはさておき、まもなく夏休みだっていうこんな時期の転校生ってのもめずらしいでしょ。それになんか不思議な人らしいわよ、委員長に聞いた話だと」

「不思議?」

「いや、詳しくは知らないけどあんまりクラスに打ち解けてないとかあるとか」

「ふーん」

「彼女美人よね」

「だな」

「・・・・・・ほう、それで君はさっきからみつめているのかなあ?」

「・・・ああ」

「あんた話聞いてる?」

「ああ」

「聞いてないでしょ」

「ああ」

「・・・・まあ、別に見るのをとがめだてする気はないけどねぇ、あたしといるときぐらいあたしを見なさいよねえ・・・」

「・・・・・妬いてんのか?」

「しっかり聞いてるじゃない!!」

 なんというか美少女は好きだが目の前の美少女をからかうのはもっと好きなのだ。

 さらにいえばその美少女が好きなのだが、ああ葵、お前ってなんてかわいいんだなんてことは、本人に向かってこんなところで言うつもりはない。

 日本の高校生というのは伝統的に恥ずかしがりやなのだ。
 
 葵をからかったりからっかったりからかったりしながら俺は放課後を過ごした。

 件の美少女はいつのまにかいなくなっていた。

「ぴんぽーーーーーん」

 夕方5時過ぎ。この季節だとまだ明るい。葵と分かれた俺は学校から二駅離れた駅前のマンションにやってきた。

「はあい」若い女性の声がインターフォン越しに聞こえる。

「俺」

「今あけまーす」

 扉の内側に入ると一人の美女が俺を迎え入れてくれた。

「よ、先生。元気だった?」

 彼女はうちの学校の男子生徒に一番人気のある教師だ。

 軽くウエーブのかかった長い黒髪。おっとりして色白の美貌。

 そしてスリムなボディラインにそこだけが強調された大きな胸。

 同年代の少女にはない大人のムードを備えた女性である。

 一色天音(いっしきあまね)25歳。いかにも隣のお姉さん風な音楽教師であった。

「はい。峰岸くん・・・。いえ志狼様」

 彼女はその白い顔をうっすらとピンクに染めそう答えた。

 彼女は薄手の白いシャツに短めのスカートといった格好だ。ちょっと女子大生風であるが、あくまでハイソな感じがした。

 俺は彼女の腰を抱き寄せてキスをする。無論抵抗しない。

 俺の舌を彼女の舌が受け止める。マンションのワンルームにピチャピチャと舌の交わる音が響く。俺はしばらくその感触を味わった。

 ついでに手をたわわなお尻にまわし、その肉の量感を味わう。

 俺が手を離すと天音は崩れ落ちそうになる。顔はさっきよりさらに上気してすでにいいとこのお嬢様というより、おねだり好きなお姉さんといった感じだ。

「先生。ちゃんと言ったとおりアレ付けてる?」

「・・・はい」先生は恥ずかしそうに俯いて答えた。

「そう、じゃあ確認させてもらおうかな」

 俺達はベットに移動した。

「じゃあ、見せて」僕が命じると天音はするりとスカートを落としベットに座り込む。彼女が付けているシルクのパンティはすっかり濡れて変色していた。

 俺は思わずつばを飲み込む。慣れてるつもりでもやはりどきどきする。

 天音はすらりと伸びた脚を抱え込むようにし両手をパンティの縁に掛けた。

 一度呼吸をする。そうとう恥ずかしいようで顔が真っ赤だ。

 それからするすると脱ぎ出した。もちろん濡れた部分がくっついて最後まで残っていた。

 天音の股間には俺の目をさえぎるものが何もなかった。

 彼女には陰毛がない。その部分にむかい濃い色が沈着しているほかはつるつるの肌だ。俺が剃ってしまったからなのだが。

 その生まれたての赤ん坊のような女性器からは、その容貌にふさわしくないものがはみ出ていた。そうバイブだ。彼女の性器には黒いバイブがささったままだったのだ。

 俺は彼女に連絡を取ったとき命令を下しておいた。

 バイブのスイッチを入れたままにして出迎えろ。それから一度でもいくことは許さないと。

 俺が着くまでのおよそ30分くらい、彼女は己の中に黒いバイブを入れたまま悶え続けていたはずだ。

「先生。ちゃんと我慢していた?」俺の質問にうっすらと涙を浮かべながら天音は答える。

「・・・・はい・・・ちゃんと、志狼様の命令通り我慢してました・・はあ」

「あの、・・ん・・ですから・・・あま・・ねにご褒美をください・・・」

 彼女の中でバイブは動きをやめていない。小さな振動音が聞こえていた。

「よし、じゃあご褒美をあげるから、よつんばいになるんだ」

 俺の命令に嬉々として従う彼女。

 むっちりとした尻が俺に向かって突き出された。

 俺はベットに腰掛けると彼女に突き刺さったバイブの先端をぐっと握り締める。

「ふ・・あああ・・・・」

 俺が片端を固定したせいで彼女の中をけずる力が増大したのだ。

 天音の身体がぶるっとふるえた。

「先生、もうちょっと我慢するんだぞ」俺はそう声をかけバイブの抜き差しをはじめる。

「ああああああ・・・」途端に天音の美声が空気を振るわせた。

 名前の通り美しい声である。ちなみに声楽もやっていたそうだ。

「ああ、だめ!もう!だめ・・・!すぐいっちゃう!いっちゃいます!!」

「いいぞ、先生!好きなだけいっちゃえ!」

「ああ、やだ!すごい、でも志狼様のがいいっ!こんなんじゃいや! お願いします、入れてください!」

「だめだ!先生はこのおもちゃでいくんだ!たかがこんなおもちゃで気をやるんだ!」

「ああ・・・!いく!・・うらみます・・・。ああ、いく!いく!」

 俺の股間ははちきれそうだが、今日は時間がまだある。とにかく強暴な何かが俺を支配していてそれが彼女に屈辱的な方法をせまった。

「ああ!だめ!だめ!いく!いく!ああ、ご主人様!いく!ああああああああ・・・」

 彼女の身体は一度びくんと震えるとベットにつっぷした。

 俺の呼吸も荒くなっている。

 それにしても「うらみます」とは、本当にいいとこのお嬢様なんだな先生は。

 俺は気をやった先生の見事な身体を見下ろすと股間からバイブを抜いてやった。

 どうやら気死している彼女を放ったまま風呂場へと足を向けた。

 ちゃんと俺を迎える準備ができていたらしく風呂にはお湯が貼ってあった。

 俺はすっかり元気な息子を掴むと湯船に腰を下ろす。

 ゆっくりと息をはきながら先生のことを考えていた。

 もし君に、他人を自由に操る能力があるとしてどうします?

 という質問をされた日本の男子高校生はまずまちがいなく

「好きな女あるいはいい女を自由にする」と答えるだろう。

 そう考えないやつは多分どこかおかしい。

 そして俺の場合その能力を手に入れてしまったわけだ。

 俺の左目に宿った悪魔はいまは何食わぬ顔をして普通の目のような振りをしているが他人を自在に操れる能力がある。催眠術なんて生易しいレベルではない。

 まさしく洗脳、マインドベントってやつだ。

 俺だって人並みに性欲はある。まあ、葵というハイレベルな彼女はいるがそれはそれってやつだ。そもそも俺も葵も両親同居で二人っきりになるチャンス

 なんてそうはない。加えてお嬢様な葵はやたらとお稽古事が多いのだ。

 俺達はするときはホテルを利用してるわけだがいつもいつもデートはホテルというわけにもいかん。そんなこんなで葵を抱けるのは2、いや3週間に一度という普通の高校生では考えられないようなスパンなのであった。

 そんなわけで健全な高校生である俺は困った。

 そして考えた末に出した結論がこれである。「性奴を作ろう」

 いや、怪しげなキャンペーンのコピーではない。俺はまじめなのだ。

 ひとつには俺の性欲。そしてこの左目の同居人のエサ。あとはまあ実験というか修行というか。それ以上は突っ込まないでくれ。

 散々悩んだ俺は、条件を絞り込んだ。

 まず複数はまずい。ある程度裕福で一人暮しの女性だ。そうでないとゆっくり楽しめない。

 そうすると生徒は無理だ。そうやって綿密な下調べで浮かび上がった一人が彼女、一色天音だったわけだ。

 俺の能力を持ってすればハーレムも夢ではない。いや簡単にできるだろう。

 しかし、そんな無理をすれば必ず歪みが生ずる。歪みが大きければ大きいほどばれやすくなるのだ。天音にしたって美人で未婚の若い女性の部屋に俺みたいな若い男が出入りしているのを目撃されれば噂になるだろう。

 そうすれば、どこから漏れるかわからないのだ。俺はこのマンションの出入りにしたって細心の注意を払っている。

 そこまで考えたところでドアが開いた。

 上半身も脱ぎ、素っ裸になった天音が入ってきた。

「志狼様。お背中をお流しします」

 彼女が歩くたびに大きな胸がぷるんと揺れる。

 それでも形はくずれず、乳輪が小さな美しいバストだった。

 特に乳首の色がきれいなピンクなのだ。

 俺は彼女を誘った。

「とりあえずこっちに入りな」

 俺は自分の膝の上に天音を座らせた。ざばあーーーーー。

 二人も入ったためお湯が大量にこぼれ出る。

 彼女は甘えるように俺に頭を押し付けてきた。俺は浮力で浮いた胸を掴みゆっくりと揉みこんでやる。

「はあ・・・・」

 天音の声が甘えたようになる。

 そうしながら彼女を手に入れたいきさつを思い出していた。

 ピックアップした女性たちの調査を行っていたときだ。

 俺はこのマンションの前に立ってその外観を眺めていた。思わず住所を間違えたかと思う。

 あまりにも立派過ぎたからだ。築3年というこの新しいマンションはセキュリティもしっかりしており入り口が暗証番号形式になっていた。

 駅前、徒歩2分という立地条件を加味すると途方もない家賃となる。本当に彼女が住んでいるのだろうか?

 そう思っていると本人、一色天音先生が帰ってきた。一瞬どうしようかと思ったがなにやら先生の様子がおかしい。何かにおびえているようだった。

 俺は結局物陰に身を潜めることにした。

 彼女がマンションの中に姿を消すと、後を付けるように中年の男が現れた。

 サラリーマンスタイルだがどことなくよれよれで、おそらく独身に間違いないだろうといった男だった。

 男はしばらくマンションを見上げていたがその場を立ち去った。

 様子を見ていると3軒ほどの先のビルの物陰で何かをやっている。

 なにか携帯ラジオのようなものを取りだしイヤホンを耳に当てていた。

 そして携帯電話を取り出すとどこかに電話をしたのだった。

 左目の能力で何をやっているかは見えるが音までは拾えない。しかし男の様子からだいたいのことは察することができる。こいつは一色先生のストーカーだ。

 おそらくいたずら電話の真っ最中というわけだ。

 そういえば、最近先生に元気がない様子だったことを思い出す。

 要領の悪そうな一色先生の困っている様子が見えるようだった。

 ひとつ思案した俺は先生のマンションへ入っていった。

 郵便受けには馬鹿丁寧にフルネームで先生の名が入っている。その番号を押すとしばらくしてインターフォンから先生の声が聞こえてきた。

「すんません。一色先生ですか?僕2年D組の峰岸志狼です。大事な話しがあってこんな時間に悪いと思ったんですが来ちゃいました。開けてくれませんか?」

 しばらくして扉が開いた。

 いたずら電話に一人で応対するのが怖くなったのかもしれない。とにかく道は開かれたのだ。

 後はまあ出たとこ勝負といくか。

「すいません。こんな時間におじゃましちゃって」しおらしい生徒を装いながらずかずかと中に入っていく。入ってしまえばこちらのものだ。

「ちょっと峰岸くん・・・」俺を制止しようとする先生の言葉を遮った。

「先生。今困ってるでしょう」

 先生は奇妙な表情をしたが、俺はそれを無視して奥に進んだ。

 部屋はワンルームだった。しかし十分広い。先生の趣味なのか淡いピンクでまとめられた居心地のよさそうな部屋だった。

 俺は左目の力を使い盗聴器を探した。案の定何箇所かに設置してある。

 俺の左目には盗聴器の発信する電波がいらついた青に見えた。

「先生ドライバー持ってます?」

 30分後には5個の盗聴器を先生に見せることになった。

「もう、ありませんよ。全部壊しちゃったから心配しなくて大丈夫」

 とはいったが、彼女は真っ青になって震えている。

 そりゃそうだろう、今までのプライベートが垂れ流しだったんだから。

「一体誰が・・・・・」

「さあ、そこまでは俺もわかりませんけど、悪質なストーカーってやつだと思いますよ」

 俺は30分かけて彼女のマンションをチェックした。浴室からトイレまでだ。

 いいマンションだった。手抜きはないし材質もいい。東向きの角部屋。収納もばっちりピアノが置いてあるのがいかにも彼女らしかった。

 はっきりいって彼女の給料で借りられるマンションではない。

 とてもパトロンがいるようには見えないから親が裕福なのだろう。

 まあ、性格から察してもわかることだけど。

 彼女は俺の条件にぴったりの女だった。

 そんな俺の思惑も知らずに、なんだか先生の目はすっかり俺を頼ってるようだ。

 俺はもう大丈夫ですと帰ろうとすると、

「ああ、ごめんなさい。今お茶入れるから飲んでいって」と引き止めてきた。

 よっぽど心細いんだろうな。

「先生・・・これはその、俺みたいなガキの言うことじゃないかもしれませんが、いたずらの相手を撃退してくれるような人はいないんですか?」

 先生はきょとんとしてる。

「つまり、その彼氏とか・・・」鎌をかけてみた。彼氏の有無でやり方は変わってくるからだが

「あの、あたし男の人と付き合ったことないの」と俺より8才も年上の彼女は恥ずかしそうに告白した。

「えええ!嘘でしょう!先生みたいなきれいな人が?」

「やだ、峰岸くんからかわないで、もう」

 つまりバージンなのかこの目の前の美女は?これはもう決まりだった。

 彼女ほどの好物件は他にはありえない。

「先生。心細くないんですか?」

「ええ・・・・、ちょっと寂しいけどもう慣れちゃったわ。一人だと気楽だしね」

「もったいないなあ。なんなら俺が彼氏に立候補しようかな」

「何言ってるの、こんなおばさん捕まえて、もう」

「でも先生には保護者が必要ですよ。先生のような人は誰かに支配されていた方が幸せですからね」

「峰岸くん・・・?」

「だから先生。俺は先生を支配することに決めました」

 そうやって俺は左目の力を、悪魔の力を解放した。

 俺が彼女を奴隷にして真っ先に命じたのは健康診断。そしてピルの服用だった。

 念のため彼女の部屋の鍵も代えさせた。

 そうして俺は彼女を調教していくことにしたのだ。

 はじめは「ご主人様」と呼ばせてみたりしたが気恥ずかしいので止めさせた。

 しかし、俺の支配下にあることをいたく気に入ってる彼女はどちらかというとそう呼びたいようだ。

 俺は「峰岸くん」でいいと言ったのに「志狼様でいきましょう」とにっこり微笑まれてしまったのだ。

 彼女いわく折衷案だそうである。それでも感情が高ぶるとご主人様になってしまうのだ。

 まあ、それをネタにまたいじめる俺もどうかとは思うのだが・・・・。

「先生、さっきは気持ち良かった?」

「ええ、・・・・はい」

 天音は羞恥心が異常に強い。

 そのせいか絶対に逆らえないのにどもりながら返事をする。

「じゃあ、先生は俺に会うまでこんなに気持ちのよくなったことはある?」

「いえ、ありません」

「じゃあ、俺の奴隷になれてよかったんだ」

「はい・・・・志狼様のものになれてわたしは幸せです」

 俺はかわいいことをいう奴隷の股間に右手を這わす。

「ああん」

「ここはどこだい?」

「く・・・クリ・・ト・・リスです」

「もっとはっきりと言って」

「は、はいクリトリスです」

「誰のクリトリスだ?」

「あ、天音のクリトリスです」

「どんなクリトリスだ?」

「あ・・いつも・・・志狼様に・・・触ってもらいたがってる・・・天音のいやらしい・・クリトリス・・ん・・・です」

 俺がゆっくりと揉みこんでいるせいか途中から声がかすれてきた。

「先生はいやらしいんだな」

「ちが!・・・いえ・・・・、わたしは・・・本当は・・・いやらしいメスなんです」

「はあ、教師の癖に・・・・いつも志狼様のこと・・ばかり・・ん・・考えています」

「教室で生徒に教え・・ながらも・・・んああ・・心の底では・・ああ・・・志狼様に・・・・貫かれている時のことばかり・・・考えているんです・あああ」

 俺の指が彼女の肉の輪をくぐると熱に浮かれたように勝手にしゃべりだした。

「んあ・・・はう・・・・ふ・・・・」

「ああ、・・・いい・・・・。志狼様の指・・・・・すごくいい・・・・」

「先生は今何がしたい?」

「あ、はいごしゅ・・・・いえ志狼様に抱かれたいです・・・。でも・・」

「ん?でも?」

「さっきいかせてもらいましたから、今度は志狼様のものをしゃぶらせてください」

 うーん、なんというか可愛いやつだな。無論教え込んだのは俺だがちゃんと頬を染めながら言うところがそそるではないか。

「よし、じゃあ体を洗ってもらおうかな」

「はい」

 ここで俺達は湯船を出た。

「じゃあ、志狼様、そこに寝そべってください」

 この風呂場にはいわゆるマットが用意してある。結構広いので寝そべることも十分可能だ。

 彼女はボディソープを泡立てると自分の胸にたっぷりと泡をぬった。

「失礼します」そういうと俺の上に重なってきた。体重をすべて預けないよう調整しながらその大きな胸を俺にこすりつけていく。

 ふくよかな感触に勃起した乳首の固さがアクセントになって俺の興奮を誘う。

 体全体を使って俺に泡をこすりつけた先生は、やがて自分の行為に濡らしてしまったのか顔が赤い。

 呼吸もあやしくなっていた。

「先生、次は足を洗ってくれ」

「わかりました」従順な先生は俺の躾通り自分の股間にボディソープを塗った。

 毛がそってあるのでうまく泡がたたない。俺は足を開いてまず右足にまたがらせた。

 彼女は俺の足を跨ぐとそっと腰を下ろしてきた。彼女の割れ目が俺の足に押し付けられる。

 なんともいえない感触が俺のものを激しく勃起させた。

 天音はそれをみてさらにトロンとした表情になる。

 彼女はそのまま俺に覆い被さるように体重を預けてくる。

 そして天音はまるでセックスしているように腰を揺らしだした。

 もちろんその行為は彼女の女性器を著しく刺激する。

 天音の眉間にしわが寄り口は必死につむんでいる。

「もっと力をこめないとちゃんと洗えないだろ」そういうとまた従順に返事をした後、さらに激しく腰を上下しだした。

「ああ・・・・、ああん・・・ふああああ・・・・」

 とうとう喘ぎ声が口を割った。その声は風呂の中にこだました。

 はじめはぎこちなかった動きもかなりスムーズになっている。

 胸も、乳首がちょうどこすれる高さに固定され揺れていた。

 もはや、俺の体を洗うという名目も忘れたのか己の気持ちのいいところを必死にこすっている。

「ああ、んん・・・はあ・・・はああ・・・・」

 俺はそんな彼女が高まっていくのを十分に堪能してからこう告げた。

「先生。もういいよ」

「え?・・・・ああ?」

「もう足はいいから、しゃぶってくれる」

「あ、ああ・・・・はい・・・」

 彼女は自分が没頭していた行為を恥じ入り顔を赤く染めた。

 一旦俺にシャワーをあびせ泡を洗い流したあと彼女は俺の股間に顔をうずめた。

「ん・・・・うぐ・・・」

 ぴちゃぴちゃという音と共に暖かく濡れた口が俺を包み込んだ。

 はじめてさせたときに比べると随分うまくなった。

 的確に俺のポイントをついてくる。ちゃんと手も使ってふぐりのほうもやわやわと揉んでくる。

 徐々に高まってきた俺は先生を促した。

「先生・・」

 天音は俺の意を汲んで深く激しく顔をふりだした。

 どんどんたまらなくなってくる。天音はみだらにそしてかわいく顔を振っている。

 自分の逸物に一心不乱になっている大人の女性を見ながら、やがて俺は彼女の口の中にたっぷりと精液を放った。

 ベットの上に成熟したそれでいてみずみずしい体が寝そべっていた。

 何もつけていない。股間を開き何も隠していなかった。

「お願いします。来てください・・・」

 すでにそこはぐっしょりと濡れ前技の必要がない。

 俺は彼女の中に入っていった。

 天音は20才のときにレイプ未遂事件の被害者となっている。

 その後男性恐怖症に陥った彼女はいままで彼氏をつくることをしなかったのだ。

 俺が彼女を支配しなければますます恐怖症は強まり一生女の喜びを知らずに過ごしたかもしれない。そういう意味で彼女は俺に支配されることを望んでいるし俺の与える快楽に自ら陥っている。

 俺の肉が彼女の濡れた肉を食らい、激しく突き上げる。天音の柔らかな身体は隅々まで興奮し、甘い、彼女特有のなんともいえぬ香りを振りまいていた。

「ああ、いい・・・ご主人様・・・もっと・・・もっと・・・ああ・・・天音は幸せです・・・あああ・・・」

「いく・・・・いく・・・いきます・・・天音はいっちゃいます・・あああああああ・・・!!」

 天音の膣がぎゅっと狭まり俺を締め上げた。俺はそれに合わせ最後の一突きを送り込むと彼女の中に盛大に放出したのだった。

 俺が天音の中にたっぷり3回出し終わると8時を回っていた。

 別に門限はないがあまり遅いと晩飯をかたずけられてしまう。俺は家に戻ることにした。

 エレベーターを降り、出口へ向かう途中コンビニの袋をぶらさげた女とすれ違った。

 それは昼間図書館でみた秋月という転校生だ。

 俺と彼女は一瞬目を合わせたが何事もなく二人はすれ違った。

 そう、そのときはまだ何の前兆も感じ取ることができないでいたのだった。

< to be continued >

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