ごくごくありきたりな話

 『べたなやつ』がいる。
 標準語で言う『意外性のない者』と言ったところだが彼には関西方面のこの言葉がぴったりである。

 ある日べたな主人公によくあるように偶然若い魔女を召還する事に成功した彼は三つの願いをかなえてもらえるというこれまたべたべたな展開になった。
 先ず彼は

「一つ目の願いはお前の身体だ~」

 と魔女で筆おろしを済ませ二つ目は

「美由紀先生の身体~」

 とこれまた誰もが予想できる行動をとった。しかし当然そんなものに二つも使ってしまった彼には一種の焦りが生じ始めた。

「もうかなえられる願いも一つしかないのか。金か世界征服か?いずれにしても次は慎重に考えなきゃ」

 とぶつぶつとつぶやきだしあれやこれやと考えていたがあくまでも彼は小心者でべたである。
 最後の願いも結局彼が通う学校のマドンナ的存在である涼子という事で落ち着いた。

「ふ~!ここまでべたべたなご主人様は初めてだわ。では最後の一つは彼女という事で契約終了ね。美由紀先生の時と同じように涼子さんは永久にあなたの思うがままだから。それじゃばいばい!もう二度と私を呼ばないでね」

 と言い残し今回のご主人に手応え無さを感じながらそそくさとその場を消え去った。

 彼の最後のターゲット『春木 涼子』このいかにもという名前の彼女はもちろん容姿端麗、成績優秀、運動神経抜群、性格最高といったところである。

≪やっぱり涼子ちゃんはかわいいな~。もうすぐ僕の物にしてあげるから楽しみにしててね≫

 一時間目からどうしても左前の彼女に目がいってしまう彼だった。

≪あ~!涼子のせいで全然授業に身が入らない≫

 とすでに二年生の時授業についてこれなくなっていたのを涼子のせいにしていた彼は

≪とにかく先ずこっちを見てもらおうかな≫

 といきなりありきたりな事を考えた。

「あれ?」

 涼子は授業中にもかかわらずどうしても右後ろが気になりだした。

(とにかく右後ろに振り向かなきゃ)

 涼子は3秒ほど振り返るとなぜか右後ろの同級生を見つめてしまった。

(右後ろは高橋君よね?)

 なぜ授業中にもかかわらず彼の方に振り向いてしまったのか涼子には理解出来なかったが二三度首をかしげると再び授業に集中しだした。

≪んんん~!かわいい!かわいい!物凄くかわいい~!やっぱり涼子ちゃんで正解だよな。次は・・・・・≫

「へっ?」

(どうしてかしら?胸をまさぐりたくてしょうがないわ。乳首いっぱいいっぱいいじくりまわしたい)

 涼子は少しだけ抵抗を試みたがもちろん欲望には耐えきれなかった。左右のクラスメートを期にしつつやがて涼子は意を決したようにお気に入りのシャープペンを手放すと両腕で胸をまさぐり始めた。
 初めはブレザーの上から静かにこすっていたがどうしても乳首をこねくりまわしたい衝動にかられ左手を服の中に忍ばせフロントホックを震える手ではずし乳首を愛撫しだした。

(あああ~ん!気持ち良い!みんなにばれたらどうしよう!でもやらなきゃ)

 涼子はただ無心で乳首をこねくりまわしていた。

 度々『ピック』と反応している涼子の後ろ姿を楽しんでいた彼は

≪あんなに夢中になってホントかわいいな~!次は右指に唾を濡らしてクリちゃんでもいじってもらおうかな≫

 と全くもってべたな事を念じ始めた。

(とにかく指を濡らさなきゃ)

 優等生な彼女はこんな状況でも周りを警戒しつていたが中指と人差し指を二本たてると夢中でなめ始めた。

『ちゅぱっちゅぱ』

(早く!早くクリストリスいじくらなきゃ)

 小刻みに震えている指をクリストリスまでもってきた涼子は指を押し当てると少しずつゆっくりと愛撫を始めだした。

『くちゅくちゅ』

(かはぁ~!痺れちゃう)

 涼子はもう我慢しきれないといった感じだ。

 そんあ涼子の後ろ姿を楽しんでた彼もさすがにこのまま涼子に続けさしてクラスのみんなにばれてしまい変態のレッテルをはられる事を怖れ先ず教壇に立っている美由紀には

≪生徒の涼子が授業中オナニーするのは当然の事だから気にならない≫

 と念を押し涼子には

≪決して指は止まらない。快感さらにさらに増してくる。でも絶対声をたてちゃ駄目だよ≫

 と命令した。

(あぁぁぁ~!狂っちゃいそう。身体中が痺れる)

 迫り狂う快感が支配しても声をたてられない涼子は涙目になりながらただひたすら身体中を愛撫していた。

≪そうだ肝心な事を忘れていた。もちろんおかずは『高橋君』だよ≫

 すると涼子の頭の中に彼のイメージがとたんにあらわれだした。

(へっ?なんで彼なの。でもなぜかこの乳首をいじくってる左指は高橋の左指、クリストリスをいじくっている右指は高橋君の右指と思いたい)

 身体中が痙攣をおこし半狂乱になっている涼子を尻目にべたな彼はさらに追い打ちをかけていた。

≪俺にいっぱいいっぱい愛されてとっても幸せだよ≫

(狂っちゃう!狂っちゃう!高橋君に愛されている。高橋君にいっぱい愛されているんだわ)

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

 初めて経験する快感を涼子の身体に残し校内中に授業終了ベルが鳴り響いた。

「ふう」

 と大きく息を吐いた後涼子はあきらかにとまどっていた。

(私ったらどうしちゃったの?授業中にあんな事するなんてどう考えても異常よ。それもどうして高橋君が出てきたのかしら)

 考えれば考えるほど涼子にはどうしても納得がいかず席を時間を忘れうずくまっていた。涼子がようやく正気に戻ったのは

「大丈夫?」

 と言うクラスメイトからのありきたりな言葉だった。ただ今回涼子にとってありきたりでなかったのはそのクラスメイトが先ほどオナペットにしてしまった高橋である事、そして自分と彼以外はすでに部活で出ていってしまっている事だった。

「顔色凄く悪いよ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「保健室まだ空いていると思うから行った方が・・・・・」

 今まで同じクラスというだけでろくにしゃべった事がなかった彼がまくしたてているのとは対照的に涼子は言葉すら発する事が出来なかった。

「本当に大丈夫?」

「身体は元気なんだけど。今日の私ちょっとおかしいの」

 なぜそんな事を言ったのか涼子にも分からなかったが黙って過ごそうとしてもついつい口が勝手にすべりだし始めた。

「どうおかしいの?」

「さっきの授業中どうしても胸とクリストリスをいじりたくなって我慢できなかったの」

(私何を言ってるの)

「へっ?それは異常だね。我慢できなかったって事は授業中にいじくっちゃったりしてたの?」

 こっくりうなずいた涼子の顔はみるみる赤く染まりはじめた

「よく授業中にするんだ」

「しません。そんな事」

「そんな事って!でも今日喜んでしてたんでしょ」

「喜んでだなんて・・・・・・」

「じゃあ気持ち良くなかったのかい」

「凄く気持ち良かった」

「そうだろ!春木さんて実はとてもすけべなんだね」

「違います」

 少し語気を強めた涼子に彼は少しためらったが

「ごめん。ごめん。でも涼子ちゃんもてるからいっぱいエッチとかしてるでしょ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「ひょっとしてまだ経験してないとか」

「はい」

 彼は急に優越感にひたりだした。

≪そうなんだ!まだ処女なんだ。俺なんか魔女ともしたし美由紀先生ともやってるもんね≫

「じゃあ毎日SEXの事で頭いっぱいだろ」

「違います」

「さっきも好きなタレントの事とか想像してオナニーしてたんでしょ」

「違います」

「じゃあ誰とやってる事を想像してたの」

 涼子の抵抗がかなう筈無かった

「高橋君」

 しばらくその場を沈黙が支配したがそれを破ったのもやはり彼だった。

「人を勝手にオナニーのおかずに使われてはかなわないなぁ」

「ごめんなさい」

「今日は疲れただろうから部活休んで今からうちに来いよ」

「えっ?今晩は洋子と約束が」

「そんなものは当然キャンセルだよ。今晩うちの親帰り遅いからそれまでに処女もらってやるよ」

 涼子はショックのあまり最初何を言われたか分からなかった。

「そんな事・・・・・・・・・・」

 なかなか次の言葉が出てこない。嫌、出てこないと言うよりは正反対の事を考えている自分に支配されているといった感じだろうか・・・・

「えっ!何がそんな事なの?」

「そんな事・・・・・・そんな事・・・・・・とっても嬉しいありがとう」

「いいよいいよ。僕も今日ちょっと疲れてるけど涼子ちゃんの為に頑張るよ。では先に家で待ってるから友達の約束キャンセルして親にも出かける事ちゃんと言っとくんだよ」

 彼が去った後なんとか逃げようと思ったがどうしても沸き上がってくるもうひとつの感情に勝てず、気がついた時には彼の家の前に立っていた。

(ここに来てはいけないのにとうとう来ちゃったわ。でもなぜか凄く嬉しい)

「涼子ちゃんどうぞ」

 通された部屋はおせじにもあまりかたづけているとは言えない彼の部屋でやりかけのテレビゲームなどが散乱していた。

「では早速だけど処女もらってやるよ」

(いけない!逃げなきゃ。でもでも・・・・・・・)

「もうもらってくれるの。嬉しい」

 なぜか涼子の胸は感激でいっぱいになり焦る気持ちを抑えられなくなってきた。

「おいおい!服は僕が脱がしてあげるよ。涼子ちゃんよっぽど待ちきれないって感じだね」

 彼は不器用な手つきで一枚一枚脱がし始めた。

(とうとう下着だけになっちゃった。どうしよう・・・あっ!ブラまで・・・・後パンティーだけだわ早く早くおろして~)

 最後の一枚も無くなった涼子は彼が裸になるのを待ちきれないといった感じだった。

「とにかく最初はこれだね」

(凄くキスがしたい。舌をからましたい)

「ちゅぱっ、んんん・・・・・」

(ここで肩を抱きしめてくれて胸でももんでくれたら最高なのに)

「あっ!」

(嬉しい!気持ち良い!もっと乱暴にして~)

 はっきり言ってお粗末な愛撫だったが彼が涼子の肌に触れるたびに脳髄から多量のアドレナリンを放出した。

(かはぁ!痺れちゃう。もっといっぱい触って~なめて~キスして~)

 彼の右曲がりのいちもつを握りしめて離さなっかった涼子はどうしてもそれで自分の身体を貫いてほしいい欲求にかられた。

「お願い。早くこれをこれを・・・・・」

 しかし意外な事に彼は涼子を突き放し泣きそうになっている涼子に言い放った。

「んんんんん!でもどうしようかな?涼子ちゃん本当は僕の事あまり好きじゃないんでしょ」

 涼子は選択を迫られたがもちろん答えはひとつしかない。

「そんな事ないわ。あなたを心から愛してます。涼子はあなたのものです。お願いだからちょうだい~」

 言い終わるやいなや瞬間涼子の身体に甘美な痛みが走った。

(私は高橋君のもの。高橋君なしでは生きていけない。高橋君がすべて)

「あぁぁぁぁぁ~ん」

・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「私の処女もらってくれてありがとう。とっても気持ちよかったです」

 それから一時間くらいたっただろうか幸せいっぱいの笑顔で帰っていった涼子を後に彼にはある種の後悔が生まれていた。

「もう涼子ちゃんと美由紀先生は僕のものなんだけどやっぱりもっともっといろんな女とやりたいな。失敗したかな」

 でもこれはべたな主人公にありきたりな話しである。当然最後も誰もが想像出来る結末になっている。

「二組の松田でしよ、四組の大石にそれからタレントなんかも。やれたらいいな~」

 その時突然押入が光りだし中から奇妙なロボットが出てきた。

「ぼくニョラえもん~」

< 終 >

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