友達以上、兄弟未満 アフターディ

アフターディ:くすぐり天国?くすぐり地獄?

「ねぇ、トッコに何か『お礼』したいんだけどぉ、何か良い案ない?」
 晃(こう)と付き合いだして、一ヶ月経っている。もう勉強が終わって、いつものラブラブタイム。今日は晃のお父さん・・・私も最近、おじさんでなく、お義父さんと呼んでいる。恥ずかしいけど・・・は、一泊出張でお留守。私はトッコの家に泊まるとウソをついて、晃の家にお泊まり。えへへ・・・。
 私たちの関係が「ここまで来ている」のを知っているのは、今のところトッコと霞ちゃんだけ・・・。二人とも信用できる親友だし、たまにはノロケも聞いて欲しいから教えている。

 いつものように、私の特等席・・・晃の膝の上で、私は幸せに浸りながら、トッコへの『お礼』を何にすれば良いか晃に聞いてみた。トッコとは、私の親友「佐伯 塔子(さえき とうこ)」さんのニックネーム。
 私たちは、毎日Hしているわけではない。どちかがHしたくなれば、暗黙の合図を送る。晃が私の背中をサワサワするか、私が晃の指を口に咥えるのがそれだ。今日は、二人ともこのラブラブタイムを楽しみたい気分で、まったりとした雰囲気を楽しんでいる。

「お礼? お礼だったら、佐伯さんの喜びそうな物・・・、ヌイグルミなんかどう?」
 思った通り、人の良い晃は「良い意味での」お礼と受けとめている。でも、私の言うお礼は・・・。
「そっちのお礼じゃなくて、『お礼参り』のお礼」
 本来『お礼参り』というのは神社とかに、願い事がかなった時に感謝してお参りする事だってのは知ってるけど、最近は悪い意味・・・仕返しの隠語の方が有名。

・・・トッコには、思い知らせなくちゃ。

 晃と私が付き合っている事で、未だに冷やかし・・・と言うのか、からかってくるのは、トッコと、霞ちゃんだけ。霞ちゃんというのは、天然少女の「井上 霞(いのうえ かすみ)」さんの事。天然少女の名の通り、何者も、学校の先生ですら、霞ちゃんに太刀打ちできない。しかも、本人はからかっている自覚がないのが分かっているだけに、お礼する意味もない。お礼なんかしたら、返り討ちに合って討ち死にしそうだし。

「そっちの『お礼』かぁ・・・。それだったら、後催眠くらいしかないんじゃない?」
 晃が私の髪を撫でながら話す。私はそれだけで、蕩け(とろけ)そうな幸福を感じる。
 晃も私と同じ考えみたい。何かトッコが仕掛けてきたら、こちらから言葉・・・キーワードで発動する後催眠を与えておくのが一番安全かも。
「どんなのが良いかなぁ。あんまり酷いのは、ダメだしぃ」
 私の幸福感を伝えたくて、晃の背中に回している腕に力を入れる。結果的に、胸を擦りつける事にもなるけど・・・。

 私はもちろん晃も、トッコのからかいには、悪意がないのを知っている。限度を越えたからかい方をしないのも知っている。あくまで親友だからこそ許せるからかいだし、このからかいがあるから、他の人達が余計なおせっかいを私たちにかけてこないのも事実だ。
 いろいろと影で、私たちを(いわれのない)中傷から守ってくれているのも、トッコだ。だから、トッコが嫌がる事はしたくないし、するつもりもない。
 後催眠は相手が受け入れるから効くのであって、相手が受け入れないようなことは、後催眠として働かないことも酷くないものを選ぶ理由だ。

 一つ、私なら受け入れそうな・・・既に受け入れてしまったんだけど・・・、後催眠が頭に浮かんだ。でも、これは絶対ダメ。念の為、晃にも釘を刺しておく。
「・・・Hな後催眠は、ダメだからね」
 うっ、思い出したら、ちょっと体の奥が熱くなって来ちゃったかも・・・。
「分かってるよ。こんなのや・・・、こーんなのダメだよね」
 笑いながら、晃が私の耳たぶを指で擦ったり、唇につんつん突ついたりする。これは、私にかかっている後催眠。私の耳や唇は、晃に触られるととっても感じやすくなっている。普通のカップルでも感じやすいと思うけど、後催眠がかかっている分、当社比五倍!くらい感じやすいと思う。

・・・ひゃ、やぶ蛇だったぁ。

「ダメだったらぁ。先に『お礼』の内容考えるの」
 晃に見えないように、親指を中にした握りこぶしを作って、後催眠を振り払う。この握りこぶしも後催眠。これをすれば、自分の意思で催眠から覚めるようにしてもらっている。
 後催眠が切れれば、気持ち良さの度合いが低くなる・・・。けど、気持ち良いのは確かだ。Hのスイッチが入りかけてるけど、懸命にその誘惑と戦う。
 『先に』と言った時点で、『後でH』の約束をしてしまったような気がする。

「うーん、じゃぁ、こんなのどう・・・(ごしょごしょごしょ)・・・」
 Hのスイッチ入りかけてるのに、耳元で小さな声で話すのは、晃がイジワルだからだ。後催眠かかってなくても、私の耳は感じやすくなっている。
「うん、それで良いと思う」
 『お礼』の内容が決まったトコロで、目の前にある晃の指を口に咥える。Hしましょうの合図。もちろん、握りこぶしは解いている。
 トッコに、いつ、どうやって後催眠をかけるかは「後日、要相談」ってことで・・・。

★★★★★★★★★★★★

「(あむ、あむ、あむ)」

 晃の指を咥えれば、それだけで私の体はHモード全開になる。後催眠で、私の口は性感帯そのものになっている。口の中の指を動かされるだけで、逝っちゃう事もある。キスや、フェ・・・フェラチオなんかしたら確実に逝かされてしまう。
 もちろん、晃限定。晃以外の人の指や、まして、おちん・・・アレなんて口に入れようと考えるだけで寒気がする。
 この後催眠がいつまでも効いていると言うのは、私がこの内容を受け入れている・・・好きだと言う事なんだけど。好きって言うのは「H」がでなく、「晃」がだよ。

「茜ちゃん、好きだよ」
 最近Hの最中、特に催眠にかかっている時は、「茜」でなく「茜ちゃん」と呼ばれる。
 耳元で囁いて、耳たぶを甘噛みしたりキスしたりする。これだけで、私のアソコは晃の愛情(えーっと、晃のアレ、男の子の事ね)を受け入れる準備ができあがる・・・平たく言えば、濡れている。おっぱいの先も、ブラに擦れて痛いくらいになっている。
「ねぇ、今日、催眠かけて良い?」
・・・コクン・・・。
 今日はこのまま指で逝かされないようだけど、何か企んでいそうな気配・・・。でも、Hモードに入っている私は、それに反対する気力はない。声が出せないので、頷く事で了解の返答をする。

「じゃあ、眠ってください」
 唇から指を引き抜いて、私を優しく抱きしめ、まぶたにキスをする。これも後催眠。まぶたにキスする事と、キーワードが対になっていて、これで私は深い深い催眠状態に陥る。
 力の抜けた私の体を優しく支えながら、私に暗示を与えてくれる。ご想像通りの暗示。
「茜ちゃんの体、僕が触るトコロ全てが敏感になって、感じやすくなるよ」
 さわさわと、私の全身・・・特に胸やアソコ、太ももの内側なんかを優しく撫で回す。唇や、首筋、耳、鎖骨の辺りも忘れない。
 ほらね。でも、この単純な暗示は、たぶん晃の想像以上に私に働いていると思う。だって今手で触っているところだけじゃなくて、物理的に晃と触れ合っているところ、座っているお尻や、晃にもたれ掛かかっている頭や顔、晃が支えるために背中に回している腕が当たっている部分も感じやすくなるから。ついでに、あのー・・・アソコの中も・・・ここは、まだ触れ合っていないけど・・・。

「これで、茜ちゃんの体は、とっても感じやすくなったよ。ゆっくり立ち上がって、服を脱いで」
 いつもは、優しくベットに寝かされて、晃が服を脱がせてくれるんだけど・・・、このパターンだと・・・。
 私が服を脱ぎ終わると、晃も生まれたまんまの姿で、ベットの上であぐらをかいている。
 いつの間にか、晃の男の子にコンドーさんが被されている。
 コンドーさんは、クラスメートの女の子全員からのプレゼント。しかも、3ダース。トッコが中心になって皆からカンパを集めてくれた。でも、トッコは『《冗談》で渡したら、茜、真っ赤になって面白いよ!』と冗談を強調している。だから、私たちがホントに使ってるなんて、トッコと霞ちゃん以外は知らない。
 晃の赤ちゃんは産みたいけど、まだ少し早い。もしも赤ちゃんが授かったら、誰がどう反対しても産むつもりだけど、授からない努力するのは当然だ。
 世の中のカップルは、外だしが避妊だって信じてる人がいるけど、あれは確率50%が45%に下がるくらい。気休めにしかならない。

・・・今日は、私の好きな体位・・・。

 対面座位だっけ? 名前はよく覚えていないけど、座ったままの晃の腰を跨ぐように愛し合う形。見掛けはエッチィけど、私に取っては特別な体位。晃の膝の上・・・私の特等席に、座ったまま愛し合うので、効果は抜群。特等席に座った私は、それだけで幸せになれるから。

・・・ぽん、ぽん・・・。

 晃が、自分の太ももの当たりを二回叩く。ココに来なさいの合図。これも後催眠。私はベットに登り膝立ちで進み、晃の腰を跨いで座る。私の腕は晃の首というのか、肩の当たりを掴んでいる。まだ、晃の男の子は受け入れていない。
 まずは、優しく唇が触れるだけのキス。左手で私の耳を、右手で胸への優しい、くすぐるような愛撫も。
「・・・ふっ、うん・・・ん・・・」
 だんだん、キスが濃厚になり、愛撫も強く激しくなってくる。時々、右手と左手が責める部分を入れ替える。これが有名な三点責め?
 体の奥が燃えているのに、まだ、アソコは愛してくれない。私は切なくなって、腰をもぞもぞさせる。催眠で敏感になっている体は、同時に焦らしにも弱くなっている。
 晃の唇が私の唇から外れ、頬から耳の方に移動していく。移動していくのに、所々で立ち止まり舌でちろちろと、刺激するのも忘れない。

・・・もしかして、晃ってテクニシャンって言うやつ?

「・・・やっ、ふん・・・」
 耳たぶを甘噛され、軽く達してしまった。いつの間にか、左手で抱き寄せられ、右手でお臍の辺りを愛撫してくれていた。
 晃の手は、そのままするすると下へと向かい、私の大事なところの回りを撫で回してくる。でも、肝心なところへのタッチはまだない。
 恥ずかしいけど、限界まで足を大きく開く。晃の右手は、中心に近づいてきても、すぐに遠ざかってしまう。晃の手を追い掛けて、腰をもじもじさせると、晃が耳元で呟く。
「茜ちゃんの体は、動かない」
 その瞬間、私の体は動かなくなった。

「・・・やぁ、晃くんのイジワルゥ・・・」
 晃が私の事を「茜ちゃん」と呼ぶのと同時に、私も「晃」ではなく「晃くん」と呼ぶようにしている。甘えているような感じで、甘々度がアップするからだ。
 私の降参のセリフを聞いて満足したのか、やっと大事なところに触ってくれる。谷間を押し開くように、指二本で上下に優しく愛撫してくれる。
「もう、蕩けちゃってるね」
 私の中に、晃の指が二本・・・たぶん、中指と薬指が忍び込んでくる。それだけで、背中がぞくぞくする。
「・・・ひゃーふ・・・」
 晃がアソコに刺しこんだ指の腹で、私の中、天井を擦りだした時、なんとも情けない声をだしてしまった。体に電流が走る。

・・・にちゃ、にちゃ、にちゃ・・・。

 天井を擦りながら、晃の指が私の中をゆっくり出入りする。Hな音が部屋に響き渡る。
 もちろん、この最中も左手で私の背中を、口では私の耳を愛撫してくれている。上半身が抱き寄せられているので、興奮したおっぱいが晃の体に触れて気持ちが良い。

「茜ちゃんのココは、僕専用だよ。他の人に見せる事も、触らせる事もできない。他の男が触っても茜ちゃんは全然気持ち良くならない。でも、僕が触るとこんなに気持ち良くなる。僕の指が出入りするたびに、気持ち良さがアップしていく」
 ちょっと笑ってしまうけど、晃はいつまでも私を独占したいらしい。毎回、同じ暗示を繰り返す。こんな暗示を与えなくても、私が晃以外の人を好きになったり、Hな事をするはずないのに・・・。

「・・・やっ、ひゃ、ひゅ・・・」
 あと一歩というトコロで、晃が指を抜き取ってしまう。いつも思うけど、なぜ、晃は私が逝く一歩手前のタイミングが分かるんだろう。
「舐めて・・・」
 今日の晃は、いつにも増して「いじめっ子」モードだ。指はやっぱり、中指と薬指だった。目の前に差し出された晃の指を、涙を浮かべながら口に含む。口の中に、私の味が広がる。私は一生懸命、舌先で指全体から私の味を舐め取った。
 涙を浮かべながらでも、口の中に晃の指が入ってくると、それだけで感じてしまう自分が悲しい。
「もう、茜ちゃんの体は動くよ」
 逝きそうで逝けなかったのと、いじめられていたので、切なくなり倒れるように、晃にもたれ掛かる。

「いじめてゴメンね。好きだよ、茜ちゃん」
 これは晃の常套手段。途中までいじめて、最後に優しい言葉をかける。わざと演出しているのか、本心で謝っているのか分からないが、これで私の中でいじめられていた記憶は封印される。晃は卑怯者だ。
 晃は右手で私の頭を抱き、左手で私の腰を引き寄せる。晃の男の子は元気過ぎるので、そのまま晃の太ももの上を滑っていくだけでは、私の中には入らない。
 晃のおなかに、私のおなかがくっ付いた時点で、私は腰を浮かせ位置を合わせる。晃は右手で、男の子の位置を微調整をする。でも、私はこれ以上、腰を下ろさない。
「茜ちゃんの中に入りたい」
 晃の言葉を合図に、おずおずと腰を落としていく。私は体重をかけて、晃の男の子を私の中に迎え入れる。
「・・・ふっ、うん・・・」
 奥まで入り切ったところで、小さな頂きに登りつめた。

 私が落ち着くのを見計らって、晃は男の子を少し引き出したり奥に押しこんだりする。いつもと違って、ストロークが短い。かと言って、私に動くように指示はしない。
 いつもなら、晃は私の腰に手を回して・・・、えーっと、愛してくれると言うのか、責めると言うのか、その手の動きをするんだけど・・・。今日は、違う。
「茜ちゃん、今動いてる範囲を覚えておいてね」
「??」
 短いストロークを、ゆっくりしたペースで繰り返す。私が焦れるのを待つつもり?
 晃は少しのけぞる感じで、後ろに手をついている。私は晃の首から手を離し、晃の腰に手を置いて倒れないようにする。騎乗位に移るわけじゃないよね?

「茜ちゃん、僕の指を見て・・・」
「??」
 晃は腰の動きを止めて、私の目の前に右手をかざす。指は五本とも伸びている。
「じっと見ていると、指が黄色く光ってくるよ」
「・・・やだぁ・・・」
 晃の考えが読めてきて、私は焦る。でも、もう遅い。晃の指が黄色く光ってくる。私は涙を浮かべるが、晃は許してくれない。
 終わったはずの「いじめっ子」モードが、さっきよりパワーアップして戻ってきた。
「今度は、コッチの手も光ってくる」
「・・・」
 晃が右手を引っ込めて、左手をかざした。もう、声も出ない。
「茜は逃げようと思っても、逃げられない。僕のおちんちんを引きぬこうとしても、引きぬけない。さっき動いていた範囲でしか、腰を動かせない」
 逃げようと思ってたのに、先手を打たれてしまった。ついさっきまでの、甘々ムード「茜ちゃん」から「茜」に呼び方が変わってるぅ。
「黄色い光だと、どうなるか覚えてるよね」
「・・・」
 涙目で睨むが、晃は一向に動じない。指が光る暗示は、あれ以来よく使っている。黄色が何を示しているか、当然覚えている。

「ほら、間違えて抜けないように、僕にしっかり抱き着いて」
 晃が体を起こしてくる。私の体は、私の意思に反して、晃の体にしっかり抱きついてしまった。
「もっと、ぎゅぎゅーっと、抱き着いて」
「・・・(ぎゅ)・・・」
「はい。もう、茜の手は僕の体を離すことができない」
 うーー、手がしっかり晃にくっ付いて離れない。これで完全に、晃から離れられなくなった。
「黄色い光に包まれた、僕の手で触られたところは・・・とっても、くすぐったい」
「・・・ひゃ~!・・・」
 晃の手が私の背中を一撫でした。体をよじって逃げようとするが、自分で晃を抱きしめているので逃げる事ができない。体をよじると、おっぱいを晃に押し付けるようで感じてしまう。
「くすぐったくても、また触って欲しくなる」
「・・・ひゃぅぅ・・・」
 同じように、背中を撫でられて、声が漏れる。でも、また撫でて欲しくなる。
「今日は、おちんちんが入っているよね。くすぐられた瞬間、僕のおちんちんの存在が大きくなるよ」
「・・・やっ、ん・・・ひゃん・・・」
 今度は、お尻を撫でられた。腰を上げて逃げるが、すぐ、腰を下ろしてしまう。腰を上げ下げする動作は、セックスそのものだ。
 くすぐられた瞬間、おなかに力が入る。同時に私の中も収縮する。私の中で男の子が今までにない動きで、擦り上げらる。それは、感じた事のない新しい快感。

「どう、今まで感じた事のない快感でしょ?」
「・・・ひゃ・・・だめ・・・晃ちゃ、ん、許し・・・て・・・」
 晃は私にしゃべる暇さえ与えずに、私の腰や背中、首筋や耳までつんつん突つきまわす。その度に、私は変な声を上げて逃げ惑う。
 晃の男の子が私の中で暴れまわる。実際には、私が晃の膝の上で暴れまわっているんだけど。
「茜の中、いつもよりも強く締め付けてるよ。茜も気持ち良い?」
「・・・だめ、やっ・・・だっ、て・・・」
「しょ・う・じ・き・に、こ・た・え・て」
「・・・ひゃ、気持、ち、良い・・・ふっ、です・・・」
 催眠術にかかっているので、隠し通せなかった。自分で感じている事を声に出すと、一段と感じやすくなってくる。
「正直者の茜ちゃんは、もっと、気持ち良くしてあげる」
「・・・ひゃ、ふっ・・・やっ・・・あん・・・」
 晃は左手で私を強く抱きしめながら、耳の中に舌を入れてくる。左手の手は、私の背中を一周して、左わき腹から左のおっぱいを触れる。右手は、お尻や背中をつんつん突ついている。体をよじるたび、おっぱいも私の中も晃の体に摺り付けられて気持ち良い。

 晃が果てるまで、私は大波小波含めて、四、五回逝かされてしまった。今日は、いつもと全然違う部分で体力を使い果たした。
 晃は新しい快感だけで気持ち良かったかもしれないけど、私は普段使わない筋肉を無理に使わされて疲れ切ってしまった。

★★★★★★★★★★★★

「バカ、バカ、バカ、バカ・・・晃なんて、嫌い、大っ嫌い!!」
「ごめんなさい。今回はやり過ぎました。絶対、もうしません」
 催眠術が解けた瞬間、私は大声で晃のバカ者を怒鳴り続ける。本当は、仁王立ちして怒鳴りつけたいけど、体の何処にも力が入らない。
 さすがに、晃も心から悪いと思っているのか、今は土下座して謝っている。晃は裸のままだから、カッコ悪い事この上ない。片や私の方には、晃がタオルケットをかけてくれているので、まだ、救いがある。

「ホントに、反省してる?」
「はい。してます。申し訳なく思ってます・・・嫌いにならないで下さい」
 晃は私が「嫌い」と言うと、一気に気弱になる。「大嫌い」なんて言ったら、可哀想になるくらい落ち込む。私は駆け引きで「嫌い」なんて言わない。だから、この言葉を言った時は、ホントに怒っていると晃も理解している。
「・・・じゃあ、許してあげるから、私の言う事聞いて・・・」
「何でも聞きます。だから許してください」
 晃の態度があまりにも殊勝だったので、許してあげる事にした。でも、まだ不機嫌な振りをする。
「シャワー浴びたいから、連れてって」
「はい」
 晃が私を起こすために、手を差し出す。でも、それを私は無視する。
「だめ。ダッコして行って。お姫さまダッコぉ!」
「・・・はい、よろこんで・・・」
 ダダっ子のように足をじたばたさせる。晃はそんなに大きくないが、力はある方かも知れない。だって、私の体を軽々と持ち上げるから。でも、今日は辛いかもしれない。ここ・・・晃の部屋は二階、バスルームは一階。途中の階段がキツイだろう。

 晃は、「よっこいしょ」の掛け声もなしに、私をお姫さまダッコした。そのまま、部屋を出て階段に向かう。
 階段の前まで来て、さすがに晃に悪いと思って声を掛ける。
「降りた方が良い?」
「うーん、大丈夫。でも、頭打ったら危ないから、もっと僕にしがみついて」
 なかなか、気丈なお答え・・・。私は言われた通り、晃の首にぎゅっとしがみつく。足も壁に当たらないように、少し内側に曲げておく。
「よっ、ほっ、とっ」
 なんかおどけた掛け声を上げて、階段を降りていく。思ったより、晃は力があるようで、期せずして、惚れなおしてしまった。
 これは、落ちないか落ちないかとドキドキしているのを、恋のときめきと誤解する「ナントカの法則」なんだろうけど、そんなのはどっちでも良い。私が晃に恋してるのは変わらない事実なんだから。
 バスルームに入ったら、私を椅子に座らせて、シャワーで汗を流してくれる。そして、改めて私の特等席に座りなおした後、全身をくまなく洗ってくれた。洗いっこでなく、一方的に洗ってもらうのは初めてかも知れない。なかなか気分が良い。今度、また、晃が無茶をしたらこれをしてもらおう。

 すっかり機嫌が直ったけど、まだ不機嫌な表情は消さない。シャワーを終えた私は、また晃にお姫さまダッコされて晃の部屋に戻る。行きはお互い裸ンぼだったけど、帰りはバスタオルで包まれている。
 その後は、晃はジュースを持って来たり、シーツを代えたり、甲斐甲斐しく働いた。その間、私はパソコンチェアに座ったまま、晃の働きを見てるだけ。

 あとは、また私の特等席・・・晃の膝の上に座って、髪を梳かしてもらう。特等席に座ったら、怒ってないのに不機嫌な表情はできない。
 いつの間にか、私は笑顔になって、ラブラブモードに入ってしまった。なんか、後催眠で嘘のつけない体にされているようだけど、まぁ、それも良しとしましょう。
 結局その日は、私が夕ご飯を作って、二人で食べた。いつも学校では、特等席に座って私が晃に食べさせている・・・晃のリクエスト、私は恥ずかしいから止めて欲しい・・・けど、今日は逆に、晃に食べさせてもらう。これもなかなか気持ち良い。今度、学校でも晃に食べさせてもらおう。
 夜になったら、ベットで抱き合って眠った。ラブラブ全開だぁ!!

・・・翌日、笑い過ぎで腹筋が筋肉痛を起こしたのは、誰にも言えない。

★★★★★★★★★★★★

 その数日後、ことの始まりだったトッコに「おもしろい催眠をかけてあげる」と騙して、『お礼』の後催眠をかけて差し上げた。

「大変だよ、茜。ここにキスマーク付いてるよ!!」
「・・・!!」
 体操服に着替える時、トッコが焦った調子で私の首筋を指で突ついた。反射的に首筋を押さえた私に、トッコが『ウソだよ~ん』っておどけている。もう更衣室には、私とトッコ、霞ちゃんしかいないが、心臓に悪い冗談だ・・・。
「トッコォ、今度、こう言う冗談言ったら、『お礼』するって言ってなかったけ?」
「・・・えっと、ごめん・・・」
 トッコは青い顔をして、廊下に逃げようとするが、一瞬早く、私がキーワードを唱える。
 なぜ逃げようとしたのかといえば、後催眠をかけたとき、きちんと効くかどうか確認したからだ。あの時は五分くらいで勘弁してあげたが、今日は何分に挑戦しよう?
「こちょ、こちょ、こちょ」
「・・・ひゃひゃひゃ・・・ごめん、許してぇ・・・ひゃひゃ・・・」
 実際にくすぐっているんじゃない。ただ、声で「こちょこちょ」と繰り返しているだけ。晃と相談して決めた『お礼』は、声に反応してくすぐったくなる後催眠。もちろん、逃げられないように、くすぐりが始まれば、足がすくんで逃げられないようにもしている。

「こーちょ、こちょこちょこちょ、こーちょこちょこちょ」
「・・・ひゃひゃ・・・ダメだって、ごめんって。だめ、許して・・・ひゃ・・・」
 誰も触ってないのに、身をよじって笑っているトッコ。それを横から、不思議そうな顔で霞ちゃんが見ている。
「私にも、できるのかなぁ・・・? こちょこちょこちょ」
「・・・ひゃ、霞ちゃんまで・・・だめ、だめだって。ひゃひゃひゃ・・・」
 霞ちゃんも私を真似て、「こちょこちょ」と言い出した。オマケで手を口の前にやってくすぐっているような振り付けまでしている。トッコは、私がしている時よりも、くすぐったそうに身悶えている。
 トッコが前々からくすぐりに弱いとは知っていたけど、ココまでとは思わなかった。
 晃にかけてもらったときは、「私の声」と「キーワード」に反応するようにしてもらってたんだけど・・・。霞ちゃんの声にまで反応するとは、トッコの潜在意識が「くすぐって欲しい」と願っているのかも?
 ちょっと珍しい症状なので、あとで晃に相談してみよう。

・・・まぁ、人間、十分くらいは笑い続けても死なないよね?

 床に転がって笑い続けるトッコと、子供のように限界を知らず、いつまでも「こちょこちょ」と言い続ける霞ちゃんを見て、私は思った。

・・・明日、筋肉痛で苦しんでね。トッコ。

< つづく >

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