友達以上、兄弟未満 赤い髪の魔女

赤い髪の魔女

 夢を見ている。自分でも、夢を見ているのが実感できる。白い靄(もや)の中を、ゆっくり歩いている。一人だけど何も不安にならない。

「茜ちゃん、久しぶりね」
 優しい声に振りかえったら、懐かしい顔が見えた。
「おばちゃん・・・ううん。お義母さん!」
 小学生の時に亡くなった晃のお母さんの顔があった。思い切って、お義母さんと呼んでみた。だって、晃のお母さんなら、将来、私にとって義理のお母さんになるんだから。
 いきなり「お義母さん」と呼んだことに戸惑ったのか、少し驚いた顔をしている。
「お義母さんって、呼んでくれるの?」
「はい。ご挨拶が遅れました。晃と、結婚を前提に付き合っています」
 元気に一礼して答える。結婚なんてまだまだ先だけど・・・、でも今言わないと、今度いつ会えるか分からないから。年不相応のセリフに自分でも笑ってしまう。

「(くんくん)晃ちゃんの匂いがする・・・。もしかして、もう最後まで、しちゃったのかな?」
「・・・はい・・・」
 私の髪の匂いをかいでお義母さんが問い掛ける。お義母さんは、こんな明け透けな性格だったかなと、疑問に思うけど正直に答える。うちのお母さんやお父さんには言えないけど、お義母さんには包み隠さず伝えておきたい。
「でも、まだ子供産むには早いわね。きちんと避妊してる?」
「・・・はい・・・」
「コンドーさん、足りてる? どこで買ってるの?」
「友達、トッコと霞ちゃんがクラスの女の子から、カンパ集めて買ってくれたの。すぐ無くなって、晃が買ってきてくれてる。私も買いに行きたいけど、恥ずかしいから」
 恥ずかしいけど、答える。あっ、トッコとか霞ちゃんって言っても、お義母さん分からないかな? 私の大事な親友なの。
「ふーん。じゃあ、クラスのみんな、あなた達の関係を知ってるの?」
「付き合ってるのは、学校中みんな知ってる。でも、ここまでしちゃってるのはトッコと霞ちゃんしか知らない。カンパ集めるときに、トッコが『冗談で渡すんだ』って強調して言って回ってたから」
 さすがに『お座り記念日』や『お姫さまダッコ記念日』までは恥ずかしくて言えない。
「家族には・・・茜ちゃんのお父さんやお母さんは、知ってるの? お兄ちゃんは?」
「ううん。まだ付き合ってるのも言ってない。お兄ちゃんには絶対言えない」
「なんで?」
「お兄ちゃん、シスコンだから・・・。晃に殴りかかりそうで怖い」
 そう、うちのお兄ちゃんは、筋金入りのシスコン。その上、熱血野郎で、空手の段持ち。今は彼女がいて、大学の近くで同棲していて家に居ないけど、彼女が出来るまでは私が晃以外の男の子と話をするだけで怒る始末だった。お兄ちゃんにとっては晃は弟分で、私に近づくのを許した唯一の存在だった。
「もう、お兄ちゃんも、シスコン卒業してるわよ、たぶん。今日、思い切ってみんなに言ってみたら? 私たち交際してますって」
「・・・でもぉ・・・」
「大丈夫。お姉ちゃんに任せなさい」
「!!」
 お義母さんはキスしてきた。頬なんかじゃなくて、唇に・・・。しかも、舌が入ってるぅ!

・・・お義母さんじゃなくて、お姉ちゃん?? キス!? 舌まで入れるなんて!!

★★★★★★★★★★★★

 一気に、目が覚めた。そして、目の前に、晃のお母さんじゃなくて『赤い髪の魔女』の顔があった。
 『赤い髪の魔女』それは、ショートヘアを真っ赤に染めた姿を初めて見たときの私の印象。面と向かって呼ばないけど、心の中ではいつもこう呼んでいる。霞ちゃんはもっと酷くて『赤鬼(あかおに)のお姉さん』なんて呼んでいる。しかも、うちの両親やお兄ちゃんが居る時でも・・・。霞ちゃんに悪気がないの分かってるから、誰も文句言わないけど。
 今日は、お兄ちゃんと赤い髪の魔女が二ヶ月振りに帰って来ると聞いて、私は昼過ぎに晃のところから帰ってきた。シスコンのお兄ちゃんは帰ったときに、私が留守だと不機嫌になるから。
 昨日の晩は晃のお父さんが居なかったので、例のごとくお泊まり。昨夜は張り切り過ぎて・・・もちろん、晃が!!・・・疲れていたので、ちょこっとお昼寝してしまっていた。その寝起きを襲われたのだ。

 さっき、お義母さんの夢を見ていたのは、晃に催眠術で『会いたいけど、会えない人の夢を見る』ように、繰り返し暗示を与えてもらっていた成果。カウンセリング・催眠療法の一環で、目的の夢を見させると言うのがあったので、それを今日試してた。
 その暗示と寝惚けていたせいで、赤い髪の魔女をお義母さんと見間違えていたらしい。

★★★★★★★★★★★★

「おね、おね、おね・・・キ、キ、キス・・・舌、舌、舌・・・」
「『お姉ちゃん、なんでキスするの? 舌まで入れて』って言いたいのかな?」
 コクコク。壊れた人形のように首をカクカクする私を、赤い髪の魔女は笑いながら抱きしめるくる。

 赤い髪の魔女・・・もとい、「お姉ちゃん」は、血の繋がった姉ではない。私の兄・・・暁(さとる)お兄ちゃんの恋人・・・今は婚約者の「御陵 京子(みささぎ きょうこ)」さん。
 お姉ちゃんの家庭事情は少々複雑。ご両親と中学生のとき火事で死別し、お姉ちゃん自身も一年近く入院生活。お兄ちゃんと同学年だけど、一歳年上。
 引き取られた親戚が最低最悪で、高校入学と同時に一人暮らしを始めた。その後、いろいろあって、うちの両親が法的な後見人になって、気が付けばお兄ちゃんとくっ付いていた。お兄ちゃんがアプローチした結果だけど。
 今はお兄ちゃんと一緒の大学に通い、大学の近くのアパートで一緒に暮らしている。私の両親も公認。
 高校時代から真っ赤に染めたショートの髪がチャームポイント。見掛けは不良ぽいけど、そんな事はない。子供好きで曲がった事が大嫌い。高校時代、お兄ちゃんと一緒にいくつかの伝説を残しているらしい。

★★★★★★★★★★★★

「もう、茜ちゃんのファーストキスは、私が貰うつもりだったのにぃ。前から言ってたじゃない、ギョウと付き合ってるのは、茜ちゃんのそばに居たいからだって!」
 お姉ちゃんはお兄ちゃんを、「暁(さとる)」でなく音読みで「ギョウ」と呼んでいる。
 抱きつく力を緩めず、危ないセリフを真顔で言うお姉ちゃんは、ちょっと怖い。冗談と分かっているけどね。
 お姉ちゃんは高校時代から、よくうちに泊まりに来る。その時、私のベットで一緒に寝ている。私は抱きしめられて眠るのは「まだ」良いんだけど、起きた時たまにパジャマの前ボタンが開けられている。ホントに冗談よね?

「茜ちゃんダメよ~。晃ちゃんの匂いプンプンさせてちゃお父様たちにもばれるわよ」
 お姉ちゃんはうちの両親を「お父様・お母様」と呼んでいる。これはお兄ちゃんと付き合う前から。
「えっ、ウソ!」
「シャンプーよ。シャンプーの匂い・・・。ほら、晃ちゃん家のって、普通のヤツにトニック系のを足してるでしょ。それで、分かるのよ」
 焦って自分のシャツの匂いをかぐ私に、お姉ちゃんが種明かしをしてくれた。
 そうだった。御子神家も宮咲家も女性陣は女物のシャンプーを使っているけど、男性陣は匂いが甘過ぎるってトニック系を使っている。晃だけはトニックのスカッと感が嫌いだと言って、女物のシャンプーにトニック系を少し足して使っている。
 晃はこれで甘い匂いが押さえられると言っていたけど、私は、そんなに匂いが違うとは思ってなかった。私の匂いに対する考えが甘かったのね。それとも、晃の匂いと言う事で、無意識にこの匂いが好きだったのかも・・・。
「お父さんたちにもばれてるかな・・・?」
「うーん。たぶん大丈夫だと思うよ。お父様も御子神のおじ様も自分達がトニック使ってるから、茜ちゃんの匂いにまで気が付かないと思うよ・・・ギョウもニブチンだから大丈夫。でも・・・」

・・・お姉ちゃん「でも」で、言葉切らないで怖いじゃない!

「・・・お母様には、気付かれてるかもね・・・」
 ニヤって笑いながら、お姉ちゃんは言う。「にっこり」じゃなく「ニヤっ」。この辺りの言葉の区切り方、笑うタイミングはトッコに似てる・・・。正確にはトッコがお姉ちゃんのしゃべり方を真似てるんだけど。お姉ちゃんはトッコや霞ちゃんとも仲が良い。
 硬直して動けない私を抱きかかえたまま、「私もお母様に見破られたのよ」とか「ごまかすために自分の家の匂いのする物を全て宮咲家の物と同じにした」とか話してくれる。
 参考になったけど、お母さんにばれてしまった今となっては少し遅いような・・・。まだ100%ばれたと決まったわけじゃないけど。

★★★★★★★★★★★★

「こら、お京(きょう)。茜で遊んでないで、離してやれよ」
 お姉ちゃんの話しが一段落した頃に、開いたドアの隙間から、顔だけだしてお兄ちゃんが声を掛けてきた。お兄ちゃんはお姉ちゃんを「お京」と呼んでいる。「は~い」と答えるが、お姉ちゃんは私を離してくれない。

「それより、ギョウ、面白いの見せたげようか?」
 私を膝の上に抱きかかえなおし、お兄ちゃんを部屋に呼びこむ。「なんだよ」と言いながら、お兄ちゃんは私たちの前に座る。
「ほら、これ」
 にこにこしながらお姉ちゃんが差し出したのは、ケータイ電話。色違いだけど、トッコと同じタイプで写真が撮れる最新型。
「・・・これが・・・な・・な、なにぃぃぃぃぃ!!」
 お兄ちゃんは何気なく見ていたのに、急にうろたえだした。しかも、尋常ではないうろたえ方。
「?」
 不審に思って、お兄ちゃんが持っているケータイを覗きこんで、私は硬直してしまった。

「これが、今、茜ちゃんの中学で有名な『お座りタイム』。それも最初に座ったときの『お座り記念日』の写真・・・(ピッ)・・・ほら、別の角度から撮ったのも」
「・・・」
 無言で、ケータイを親の仇のように睨みつけるシスコン男。嬉々として『お座りタイム』や『お座り記念日』を丁寧に説明する赤い髪の魔女。
 ケータイの写真がキレイなのは、内蔵のカメラで撮ったのでなく、デジカメで撮ったのをケータイに移したからだろう。

・・・お、お兄さま、顔色、優れません事よ。何かあって? おほほほほ。

「まだ、あるよ・・・(ピッ)・・・これが、『お姫さまダッコ記念日』。ほら、ここ押せば、ページめくれるから。十枚くらいあるよ」
「・・・(ピッ、ピッ、ピッ)・・・」
 真っ青な顔で、黙ってページ送りで全ての写真を見ている、熱血空手段持ちシスコン男。見てきたように『お姫さまダッコ記念日』を説明する赤い髪の魔女。

・・・今日、晃の命日になるかも・・・。

「こ、こ、これ、なんだ。つ、つ、付き合ってるのか?」
 コクン。晃のお墓の前で手を合わせる自分の姿が目に浮かぶ。
「なに、うろたえてるのよぉ。茜ちゃん、もう15歳よ。付き合っててもおかしくないでしょ。それとも、晃ちゃんが気に入らないの?」
「・・・いや、そんな事ないけど・・・そっそーだよな、もう15歳だもんな・・・。晃だったら、晃なら、許せるか・・・」
 お姉ちゃんの言葉で、少し落ち着きを取り戻したお兄ちゃん。「まだ誕生日が来てないから14歳です」と言ってはいけないのだけは分かる。
 一応、晃の命日が今日になることはなくなったようだ。まだ下を向いて、ぶつぶつ言っているけど。

「でも~、茜ちゃん、もうしちゃったらしいよ。さっき白状したしぃ」
「・・・」
 時が止まる。

・・・お姉ちゃん。なんて事を・・・そんなに晃を殺したいの?

「もー・・・したのか? 一生に一度しかない大事な物、くれてやったのか?」
 お兄ちゃんが正座して聞いてきた。お兄ちゃんが正座した時は、真剣な証拠。晃も真剣な話をする時・・・謝るときが多いけど・・・に正座するのは、お兄ちゃんの影響が大きい。
 コクン。お兄ちゃんは『言いたくない事は秘密にしてても構わない』でも『聞かれたことにウソをついてはいかん』が口癖。小学六年のとき、些細な事でウソをついてしまった事がある。その時、お尻ぺんぺんされた・・・当時11歳なのに幼児みたいにホントにされた・・・悪夢が蘇る。晃を庇おうと考える前に、条件反射で頷いてしまった。
「・・・」
 声も無く持っていたケータイを落とす、熱血空手段持ちシスコン男。にこやかに笑っている赤い髪の魔女。世界の終わりが来た事を予感する私。

・・・やっぱり、今日、晃の命日なんだ・・・。ごめんね、晃。

★★★★★★★★★★★★

「もー、二人とも、世界が終わったような顔しないで良いでしょ! 15歳なら『キス』の一つや二つしててもおかしくないわよぉ。二人は15年間、ずーっと付き合ってきてたようなもんじゃない」
「・・・(えっ?)・・・」
 えっと、「あれ」じゃなくて「キス」? 普通は「一生に一度の大事な物」って言えば、「ファーストキス」じゃなくて「あれ」でしょ?

「ギョウなんか知り合って半年で、しかも告ってきたその日に『ゴーイン』に、私のファーストキス奪ったくせに・・・、妹が『ゴーイ』の上でキスしたくらいで、文句言わないの!」
「・・・で、でもぉ・・・」
 やけに「強引」と「合意」を強調しながら、フォローしてくれるお姉ちゃん。でも、お兄ちゃんの言う「一生に一度の大事な物」って、本当に「ファーストキス」なの?
「ギョウ、もう茜ちゃんは大人なんだから、シスコン卒業しなさい! 晃ちゃん、いじめちゃダメよ。お父様たちの前じゃ二人が付き合ってるのも気付かない振りしてあげるのよ。晃ちゃんの前でも、知らない振りしてあげなさい。良い? 分かった?」
「・・・わかった・・・」
 お姉ちゃんは捲くし立てるよう言い放ち、物言いたげなお兄ちゃんを隣りの部屋に追いやる。お兄ちゃんの反応を見る限り、お兄ちゃんの言う「一生に一度の大事な物」とは、本当に「ファーストキス」だったみたい。

「・・・お姉ちゃん・・・」
「ふふ、これで良いのよ。大きな事実を隠すには、小さな事実だけを伝える。その方が、隠しやすいのよ。隠してるだけで、ウソついてるわけじゃないし」
「あの、でも・・・」
 お姉ちゃんもお兄ちゃんの口癖を知っているのだろう。でも、あれで不承不承(ふしょうぶしょう)でも納得している我が兄を不憫に感じるのは気のせい?
「大丈夫だって。ギョウの頭の中じゃ、あなた達はまだまだ子供・・・。それにね・・・ギョウって、トーーッンでもなく奥手だからあれで納得してるのよ・・・」
 奥手だって言っても、最近のTVとかで若年層の性の氾濫をなげくニュースなんてイッパイあるのに。お兄ちゃんってホントは、おバカ?
「でもね。もう少し、ギョウには二人ができちゃってる事は黙ってた方がいいかもね。お父様たちにもね」
「・・・うん。ありがとう、お姉ちゃん」
 感謝の念を伝えたくて、お姉ちゃんの胸に頭を擦りつける。晃ほどじゃないけど、お姉ちゃんに抱かれるのも悪くない。

 後でケータイの写真のことを聞いたら、トッコや霞ちゃんから毎日のように、私たち二人の様子をメールで聞いていたらしい。それで『お座り記念日』や『お姫さまダッコ記念日』を細かく知っていたわけ。
 しちゃってる事はトッコも霞ちゃんも秘密にしてたから知らなくて、今日シャンプーの匂いで初めて気付いたらしい。

★★★★★★★★★★★★

 その晩、御子神家を交えた夕食・・・週末は晃のお父さんも招いて食事するのが通例・・・で、晃の口から「私たち、付き合ってます」宣言が出た。
 ちょっとは驚いたようだったけど、どちらの親もお兄ちゃんほど取り乱す事もなく、快く了承してもらえた。お兄ちゃんだけ少し不満そうだったけど。

 これで、嬉し恥ずかしの親公認の恋人同士。秘密の交際だったわけじゃないけど、親に認めてもらえるのは嬉しい。

 後で晃に聞いたら、お姉ちゃんから何かを言われて宣言したのでなく、家族がみんな集まる機会を待っていたとのこと。そう言えば、お兄ちゃんたちも、家族(含む御子神家)が揃った席で交際宣言した。当時、何の気負いもなく御子神家を家族の一員と考えていたお兄ちゃんに感謝した記憶がある。

 日曜は、お姉ちゃんに買い物に付き合わされた。お姉ちゃんから、いっぱい勝負下着を買ってもらったのは、お兄ちゃんには絶対言えない秘密。ドラッグストアでコンドーさんをイーッパイ・・・二ヶ月分くらい・・・、プレゼントされたのも、お兄ちゃんには言えない。

★★★★★★★★★★★★

「じゃあ、また来月くらいに帰って来るから」
 お兄ちゃんたちは、日曜の夕方帰っていった。二人の愛の巣へ。

「あっ、そうそう。これ、茜にプレゼント」
「なに?」
 お兄ちゃんたちが帰った後、私の部屋に来たお母さんが小さな箱をくれた。早速、箱を開けると・・・。

「お母さん、まだ『おばあちゃん』って呼ばれたくないからね」
 箱の中には、婦人用体温計・・・普通の体温計より目盛りが細かく排卵日が分かりやすくなっているもの・・・があった。
「使い方、分かる? 朝起きたら布団の中で基礎体温計って、毎日記録するのよ。で~も、基本はコンドームをきちんと使うこと・・・京子ちゃんに買ってもらったんでしょ。ほら、そんな顔しない。お父さんやお兄ちゃんたちには黙っててあげるから」
 顔を真っ赤にして、何もしゃべれない私。お母さんはクスクス笑いながら、部屋を出ていく。いつからばれてたのか聞くのが怖い。もしかして『初めて』の日から?

「それと、トッコちゃんや霞ちゃんトコに『泊まってる』のも、黙っててあげるからね。御子神のおじさんに感づかれないにするのよ」
 ドアの隙間から顔だけ突っ込んで、お母さんはにっこり笑うと、今度こそ出ていった。

・・・ひゃーん。ウソついて晃のトコに泊まってるのも、ばれてんじゃん!

< つづく >

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