指と玩具 第五話

第五話

 ガラッ。
 俺が扉を開けるのと同時にあずさがと目があった。
「おはよう!折笠君早いね!!」
 元気一杯のあずさ。
「おはよう。楠本さんこそ早いんだね」

 クラス中を見渡すが、来ているのはあずさと俺だけだ。
「私はいつも早いの。花瓶の水とか変えなきゃいけないし」
 そうしてあずさの癖なのか、くすっと笑う。

「あはは。そうなんだ。楠本さんは偉いね」
 鞄を置きながらまた社交辞令を交わしてやる。
「そ、そんなことないよ・・わた、私は学級委員長だし・・・」
 おなじみの照れっぷりだな。

「お、折笠君。学園にはもう慣れた?」
 照れを隠そうとしてるのかあずさが聞いてくる。
 椅子を引いてあずさの方に向けて座り、答える。
「まだ昨日来たばかりだから。・・でも楠本さんの案内でだいぶ分かるようにもなったし」
(照れてる照れてる。顔が真っ赤だ)
 俺があずさをからかっていると次第にクラスメートが登校してきた。

 ほぼ集まったクラスメートは横目で見るなり直視するなりで、
 視線が一つの場所へ注がれている。
 堀江だ。
(くく。げっそりしているじゃないか。文字通り擦り切れるまでやったんだろうな)
 顔色は悪く、ボーとしている。
 まるで別人だ。
 ――――っつ!!!
 また視線を感じる。あの視線だ。
(どこだ・・・・?)
 さりげなく、教科書を出しながら視線の主を探す。
(このクラスからじゃない。廊下からだ)

 いた。あいつだ。
 後ろのガラス扉からチラリと見えたあの姿。
 今、後ろを向くのはあまりに不自然だから見はしないが・・・・

(くく。喜べ、お前の顔は覚えた)
 それは俺の中でターゲットがあずさから変更された瞬間だ。

 そうだ、昼休みにでも、光に全生徒名簿を用意させよう。
 此処の制服を着ているには此処の生徒であることは間違いない。
 だったら調べるのはたやすいことだろう。
 くくく。

 ・・・それからチャイムがなると同時に、
 あの視線は感じられなくなった。
 きっとクラスでHRが始まるのだろう。

 そしてすぐに光がHRを始めにやってくる。
「おはよう。みんな」
 また、おっとりとした顔だ。

 行事連絡をする光を、
 ショートヘアーの生徒が呼び止める。
「光ちゃん。耳赤いよ?大丈夫?」
(あれは・・・剣持 秋穂)
 ・・・ふふふ。昨日のうちに男も女も含めて、
 クラスメートの名前とちょっとした情報は暗記している。
 例えば・・・・・
 あいつは二年から陸上部へ入っていて、
 それまでは報道部だった。
 質問の仕方が様になっているはずだ。
 それから、性格は明るく活発で噂好き。
 
 と、こんなもんだ。

「先生またボーとしちゃって。ピアス引っ掛けちゃったの」
 そういって顔を赤らめる。もっとも、もじもじしているのは別の理由だろうが・・・・・
「光ちゃんおっとりしすぎだよぉ」
 秋穂がそう言うとクラスに笑いが巻き上がる。

 ふっ
(・・・・・・・・?)
 何だ?今、秋穂のやつこっち見て笑わなかったか?

(ふふ。思い違いだろう。気にするまででもないな)

 やがてHRも終わり、
 傑作なことに一時間目は化学だった。
(はっはっは。堀江のヤツあんなに興奮して)
 さっきまでボーとしていた堀江が発情し、
 視線は豚の体に注がれ・・・息も荒い。
(お、股間を弄り始めた)

 堀江の変化に気づいた周りからはひそひそ声も聞こえてくる。
 周りが変化に気づくことくらいは予想していたのだが、俺の唯一の誤算は、
 堀江が暗示どおり見つからないように股間を弄くってはいるが、
 ・・・・・・匂いが・・・・な。
 実にイカ臭いのだ・・・・・。

 授業が終わり、休み時間になっても堀江はもう俺のもとへは来ない。
 座ったまま、ずっと妄想してやがる。
 うれしそうにへらへら笑って。

(いい事をした後は実に気持ちが良いものだな。はっはっは)
 爽やかな風が吹いてくるようだ。実に清々しい。
 その瞬間だけだったが。

 あ~~~~~う~~~~~~
 かぁ~~~~~~~~~~~~
 きぃ~~~~~~~~~~~~
 何だこの退屈な授業は!!!
 こっちは聞きたい事なんかない!!!!
 ぐぁぁぁぁぁぁぁ。
 しかもごつい男か!!

 よぼよぼの爺か!!

 ミイラか!!

 此処は地獄か!!?

 かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!
 俺は”心の中”で頭をかきむしり机に激しく頭を打ち込み、
 教壇のやつらをそれぞれ30回は血祭りにあげるのだった。

 そして悪夢のような授業も4時間が過ぎた。
 言うなるところの昼休み。
 さっそくあずさが駆け寄ってくる。

「折笠君。今日はお弁当?」
「いや、今日もパンだよ」
 心なしかげっそりとした顔で爽やかに答える。

「そう、私も。食堂へ一緒に行かない?」
「もちろん。こっちからお願いしたいよ」
 優等生らしく教科書や筆記用具をきちんとしまいこみ、
 あずさと食堂へ向かった。

 食堂に近づくにつれ辺りは賑やかになってくる。
 それに比例して俺の気持ちも高まっていく。
「折笠君・・・大丈夫?顔色悪いよ?」
 そりゃそうだ。まったく血を吐くかと思ったぞ。
(それも・・・もう少しの辛抱だ)

「折笠君の分もパン買ってきてあげようか?」
 あずさは心配そうに俺を見つめるが、
 もちろん返事はNOだ。

「大丈夫だよ。ありがとう。優しいね楠本さん」
 ぽっと顔が赤くなるのが分かる。
「は、早く行こっ!!売り切れちゃうっ!!」
 そう言って俺の手を引き、走り出した。

 ざわざわざわ。
 むぎゅう・・・ぎゅう・・
 押しつぶされる感触が心地よい。
 ぎゅううう。
 そしてぷよぷよとした胸の感触。
 俺はこのために学園に来ているのかもしれん。
 俺は手早くパンを買うと押し抜ける振りをして、
 尻に触りまくり波にもまれる。
 かーーーーーーーーーーっ!!
 これだよコレ。
 今日は胸にも挑戦だぁ♪
 ぷにぷに。むぎゅむぎゅ。
 ぷああああああああああああああ!!!

「・・・はっ!!いかんいかん。落ち着け」
 俺は我に返り、花園を抜けることにする。

 花園を抜けるとあずさがもう待っていた。
 息が上がっているようだ。
「折笠く・・っはあ・・・よく無事だった・・ね」
(俺はむしろリフレッシュしたぞ)
 それからあずさの息が整うのを待ち。
 また昨日と同じ場所へと移動するのだった。

「折笠君は前の学校でもパンだったの?」
 俺は今日の獲物”フルーツ・チョコ・サンド”を嚥下してから答える。
「いや、いつもは姉さんが作ってくれるんだけどね。最近仕事が忙しいらしくて。
楠本さんは?」
「両親が私を置いて外国へ出張しちゃったの。自分で作ってもいいけどなんか味気なくて」
 笑っているが寂しいのは見え見えだ。
「僕は両親が死んじゃってもう居ないけどね」
 俺はそう言うと”熊・パンチ”という飲み物にストローをさして飲みだす。

「え、あ・・ごめん」
 あずさがすまなそうな顔をして食事の手を止める。
「気にしてないし、言ったとおり姉さんがいるし」
 にっこりと微笑んでやる。

「・・・うん。・・・ごめん」
「だから楠本さんが謝ることないってば」
 場が重くなる。
(もうちょっと気の利いた女だと思ったが。・・・・では)

「じゃあ、お詫びに明日、楠本さんが僕のお弁当を作ってくることで」
「・・・・・・・・っえ!?」
 俺の突然の提案にあずさははっと顔を上げる。
「えっと・・その・・私のお弁当なんかで良いの・・?」

「僕は楠本さんのお弁当だから良いんだけど」
(・・・・寒すぎたか?)

 くすっ。
「うん。分かった明日作ってくるね。ふふ・・期待しててね?」
(たいした自信じゃないか)
「期待しないで待ってるよ。”あずさちゃん”」

「・・・ぶぅ・・・・・って、え!?な、何?折笠君今」
 一瞬すねた顔が驚きに溢れる。
「聖夜で良いよ。あずさちゃん」
 あずさの顔が見てられないほど顔が真っ赤になる。
「・・あ・・・うん・・・聖夜・・くん」

 それから和気藹々と食事を楽しんだ後、あずさと別れあの女のことを調べるため、
 職員室へ向かったのだが。
「ちょっといい?折笠くん」
 職員室が見えたところで俺は誰かに声をかけられた。
「・・・・えっ?」

 振り返るとそこには二人の少女。
(秋穂と・・・・・・確か暮井 友美だ)
 たしか友美は秋穂と一年から同じクラスだった。
 友美も報道部だったが秋穂と同じ時期にマネージャーとして陸上部へ移っている。
(そういやこいつら休み時間はいつも一緒にいたような気がするな)
 とは言っても言葉どおり昨日今日の話なんだが。
 友美の性格は内気というかオドオドしているらしい。
 活発な秋穂とは合いそうにないんだが、まぁ通じる所もあるんだろう。

「ちょっと・・話があるんだけどな♪」
 知美は秋穂の後ろで隠れ、秋穂は意地悪そうな笑みを浮かべている。
「ていうか、ついて来たほうが良いよ。折笠君のた・め・に・も♪」
(はぁん?俺のためだと?・・・・まぁいい。あの女のことは放課後に回すとでもしよう)

「分かった。で、どこへ行けばいいのかな?」
「いいからついてきなさいって」

 秋穂たちに連れられ、職員室からはどんどん離れ、グラウンドを突き抜け、さらに進む。
 ようやくたどり着いた場所は・・・・・・・
「ここは・・・・・?」
 さっきまで秋穂の後ろに隠れていた知美がやっと口を開く。
「ぼろっちぃけど、ここは体育倉庫よん。まぁ薄汚れてるのを見れば誰も来ないのわかるでしょ?」
(・・・・・・・・・・・は?)
 誰だコイツは。内気じゃなかったのか?
 話し振りというか、態度がまるで変わっている。

「っぷぷ。折笠、もしかして友美の変わりぶりに驚いてる?」
「いや、そんなことないよ」

「ね~ぇ。そんな事ど~だっていいから早くしようよ~」
 俺の用事を早く済ましたいのか、昼休みを惜しんでいるのか友美が急かし立てる。
(それにしても変わりすぎだな・・・・)

 体育倉庫には鍵はかけられていなかったが、
 扉を開けるとかび臭い匂いが漂ってくる。
「うっわ~。相変わらずくっさいね~ココ」
 友美が鼻を押さえながら手を仰ぐ。

「でも、人が来ないからいいんじゃない?」
 と言いつつ秋穂も顔をしかめてはいるが。

 俺はというと、こんな匂いなんか屁でもない。
 むしろ快適とさえ感じるぞ。
 ヘドロが溜まった下水道。
 生ゴミを囲んで寒さをふさぐ日々。
 自分が腐っているのではないかと思えるような腐敗臭。
 誰もいない公園で体を洗う。
 何不自由なく暮らしたお前らには分からんだろうがな。
 ・・そう・・・分かってたまるか・・・

「ど~したの?黙っちゃってぇ?折笠く~ん?」
 俺ははっと我に返る。
「・・・あぁ・・・ごめん。で、話って?」

 その言葉を聞くと、秋穂と友美が顔をそろえてにんまりと笑う。
 そして秋穂がポケットから何かと取り出した。
(・・・・・デジカメ?)

「私はね、もと報道部だったからデジカメはいつも持ってるんだ~。
ところで何が写ってるか分かる?」
 カメラを掲げ、何かを撮るふりをする秋穂。
「いや。分からないけど・・・?」

「じゃ、こっちは~?」
 今度は友美がポケットから何か取り出す。
(ボイス・・・レコーダー・・・)

 ・・・・分かった。きっとアレだろう。
 おそらく見られていたのだ。

 友美がボイスレコーダーの再生ボタンを押す。
 ――・・あむぅ・・・くちゅ・・ちゅぱ――
 ――・・っああん――
 プチッ
「分かった?折笠くん」
(くく。やっぱりな・・・・)
「分かった。で、僕はどうすればいいの?」
 無抵抗の証として、俺は両手を上げる。

「物分り良いね~。さっすが優等生~」
 と、友美。

「折笠はお金持ちのお坊ちゃまっぽいから、お金もたくさん持ってるよね。あはは」
 と今度は秋穂。

「なんていうか~。私たちお金もってないし、か弱いから守って欲しいな~」
 そういって友美はキャハハと癇に障る笑いを上げる。
「とりあえずは、逆らったらばら撒くからさ。先生や他の人・・あっ、もちろん光ちゃんにも黙っててね。
 ・・・と、時間がないから放課後またここで”ゆっくり”話そうね?折笠」

「いや、生徒指導室にしよう。ここより快適だし、あそこは自由に使えるから」
「そりゃ、光ちゃんと朝っぱらからヤり合う仲だもんね~きゃははは。
 いいよ。ここよりはマシだもんね。ね?秋穂」

「・・そうね。じゃ、放課後に生徒指導室で待っててね。あははは」

 そう言い残して秋穂と友美はそそくさと体育倉庫から去っていく。
 また目標チェンジだ。
 昼間と言うのに薄暗い体育倉庫。
 そこで俺は一人、次の計画を立て始めた。

「二人・・・・か。コイツらじゃ厳しいだろうな」
 人差し指と親指を眺める。
「だったら・・・・・・切り札の登場か?
 いや、三日目で切り札は情けないな。それもあんなやつら相手に」
 そうだ。切り札は取っておくから切り札なのだ。

「やっぱり一人一人呼び出すかな・・・・・」
 ふぅ、とため息を一つ漏らすと俺は体育倉庫を後にした。

 ガラッ。
 チャイムギリギリで俺は教室に戻る。
 秋穂と、すっかり内気になった友美と目が合う。

 だが、教室ではばれたくないのかプイっと目をそむけると二人で話し出す。
 俺は小さくため息をこぼすと席につく。

 大きな利点は授業中、あの二人の落とし方を考えられ、
 午後の三時間の退屈な授業から逃れることが出来た。

 帰りのHRが終わるとすぐに教室を出た光を職員室前で呼び止める。
「光先生」
 周りに人がいるんだ。呼び捨てはまずい。
「何かしら?折笠君」

 そういって光が俺のもとへと近づいてくる。
 周りに聞こえないくらいの小声で言う。
「光。指導室の鍵を持って来い」
 また光も周りに聞こえないくらいの小声ではい、と呟くとすぐに職員室に入っていく。

「ご主人様・・私もすぐに行きますね・・・」
 嬉しそうに呟くが今回は違う。
「今日は来なくていい。用事がないなら帰って一人でオナってろ」
「・・ぇ・・・・・・・・はい・・・・」
 よっぽど不満なのか、とぼとぼと職員室へ帰っていく。

 職員室へ向かうのを見送ると俺はすぐに生徒指導室へと向かう。
 別に焦っているわけじゃない。
 胸の高まりのせいだ。
 早く、早く堕としたくて仕方ないのだ。

 ガチャリ
 一発で鍵を開けると俺はソファーに座る。
 だが、また立ちうろうろと歩く。
 ドサッ。
 カツカツカツ。
 ドサッ。

 何十回目にソファーに座ったとき、静かに扉が開いた。
「あはは。待った?」

 扉のほうを見ると・・・・・・・
(秋穂一人・・・・・?)

 体操服姿の秋穂一人。

「あ、私クラブがあるからこんな姿だけど良いでしょ?」
 秋穂一人。体操服姿。ブルマーからはみ出す肉付きのいい太もも。
 不満なものか。くくく。

「ふふ。今デジカメは友美が持ってるから、奪おうとしても無駄だからね?
 あ、もしかして襲い掛かっちゃうとか?あはは」
 俺の向かい側のソファーに深く座ると、ポケットからスタンガンを取り出す。
「襲い掛かってもいいけどね?あはは」
(どこから持ってきたんだコイツ)

「暮井さんは?」
 バチバチッ
「友美はカラオケだって。ま、あの子が約束破るのはいつものことだけど」
 バチバチッ
「とりあえず私のど渇いたから、コーヒー。ブラックでね」
 スタンガンのスイッチを入れたり切ったりしながら俺に言う。
 バチバチッ
「お金はもちろん折笠持ちね」

 
 ――ぷちっ。
 その態度に、俺のどこかで何かが切れた音がする。

「・・・・喉が渇いたのか?」
 俺の言葉遣いの変化に秋穂が身を上げる。
「・・?」
「喉が渇いたのかって聞いているんだけど?」
(ん?なんかおかしいな)
「そ、そうよ。だからコーヒー買ってきてって言ってるじゃない」

「・・・後で満足するまで飲み物を飲ませてあげるよ。それより今は・・・・」
「な、何よ・・・」

「奴隷になってもらうよ。僕のために喜んでケツを振り乱す立派な奴隷にね」

「・・は・・・な、何言ってんの?いいの?写真もレコーダーも持ってるんだよ?」
「そんなこと知ったことか。ばら撒きたきゃばら撒け。俺は痛くも痒くもない」

 俺の態度が自分が予想していたものとはあまりに違ったのだろう。
 さっきまでの威勢もどこかへ行ってしまいすっかり取り乱している。
「近づかないで・・・近づかないでっ!!」
 バチバチッ!!
 秋穂の持っているスタンガンから本格的に火花が散る。
「近づいたら分かってるでしょうねっ!!?」
 構わずに足を進める。
「知るか。そんなおもちゃなんぞ、恐くもなんともない」

「・・・っひ・・・・ちょ、ちょっと・・・・」
 目の前まで迫った俺に秋穂は思い切ってスタンガンを突き出す。
 が、
 ガキィーン!!
 俺のつま先がスタンガンを弾き飛ばす。
 蹴り上げられたことを理解した秋穂が、
 転がり落ちたスタンガンを拾おうとするが遅い。
 俺は広げられた手の甲を革靴で思い切り踏みつける。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「どうした?拾えばいいだろう」
 そのままつま先でグリグリと踏みにじってやる。
「痛いっ痛い痛い!!!」
 秋穂のもう一方の手がスタンガンを掴もうとする瞬間に、
 俺はスタンガンを拾い、スイッチを入れる。
 バチバチッ!!
 俺の手にしたスタンガンを見て、秋穂の顔が恐怖で歪む。
「スタンガンを試したことはあるか?楽しいか?」

「ないっ!!ないです・・・楽しくない!!」
 それを聞くと俺はスイッチを切り、手を踏んでいた足で今度は肩を踏みつける。
「ひぐ!!あぁぁ痛・・・痛い・・・」

「自分のおもちゃは先に自分で試すものだ。意外に楽しいかもしれんからな」
 その言葉にスイッチを切ったことで一瞬ほっとしていた顔がまた恐怖に歪みだす。
 バチバチッ

「う・・嘘でしょ・・冗談でしょ!!?・・謝るから・・写真も全部捨て」
「うるさい」
 バチバチッ!!!
「ぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
「楽しいか?」
 必死に逃げ出そうとするが、スタンガンにより弛緩してしまった筋肉と、
 俺に押さえつけられた肩のため動けない。
「た、助けて・・・謝るから、だから、だから」
「うるさいと言っているだろう」
 バチバチッ!!
「・・・ぎゃいいいいいいいいいいいいいい!!!」
 衝撃には耐えられないのか秋穂は悲痛な叫びを上げる。

 それから飽きるまで電撃を与え、気絶しかけていた秋穂の髪の毛を掴み、
 顔を持ち上げ、額に人差し指を突き刺す。

 これは余談なのだが、気絶している、しかけている。もしくは眠っている相手に人差し指を突き刺すと、
 催眠の深度を深める必要がないのだ。
 実に便利だが、親指と同じで面白くない。

 うつ伏せになり涎を垂らしている秋穂を、机の上に仰向けに乗せると暗示をかけ始める。

「秋穂。聞こえるな?」
「・・・・は・・ひ・・・」
(よし。聞こえているな)
 コイツと友美は奴隷に堕ちる前に、少し苦しんでもらうことにしよう。
 そうせんと何故か気が済まない。

「秋穂。さっきは恐かったか?」
 さっきのことを思い出したのかビクンと体を収縮させる。
「こ・・・わい・・・・・」
 
「助かりたいか?」
「・・・た・・すけ・・・・て・・・・」

「お前は助かるテストを出された。そしてお前はテストを受けた。そうだな・・・?」
「・・・てすと・・・・・」
 疑問に思おうが思うまいが関係ない。
 とりあえず、心に刻み付ければいいのだ。
「テストを受ける条件は、何が何でも守る。死ぬまで一生だ」
「い・・・しょう・・・守る・・・・」
「だって助かりたいもんな」
「・・・はい・・・」

「これから目が覚めると俺がいいと言うまで体が動かせず、口の中も性感になる。
一回イクごとに性感は少しずつ上がっていくからな。さぁ、三つ数えて手を叩くと、
お前は目が覚める」
 いち。
 に。
 さん。
 パンッ!!

「あ・・・あれ・・・私・・・か、体が」
 秋穂の目が俺を捉えると、顔がたちまち恐怖の色に染まる。
「っひぃ・・・・あ・・・」

「さぁ、テストの始まりだ。助かりたいんだろう?」
「・・・あ・・・テスト・・?でも・・・」

「何だ忘れたのか?」
「・・・あれ?私・・・」

「仕方ない。もう一度言うから今度は良く聞け。テストのクリア条件は、
”俺が飽きるまでお前が俺の奴隷になると誓わないこと”だ」

 すぐに秋穂が思い出す。
「・・え、ああ。そうね・・・・そうよ」
「誓った場合はお前から喜んで俺に一生を捧げるんだったよな。
俺のために生き、俺にすることされることを、喜びとして生きていくんだったよな」
 俺の言葉を心に刻みながら、またゆっくりと思い出していく。
 言っていることはとんでもない事なんだが。
「そうね・・・うん・・・そうよ。飽きれば終わりだもんね。絶対誓わないし・・・」
 そして秋穂が唾を飲み込んだところで、変化が始まりだす。

「・・・んん!!?」
 そう、口の中が性感になっているため喋る事はおろか、唾を飲み込むことも刺激に変わるのだ。
「あ・・あ・・何!?・・・あふっ・・あぁん」

 すぐに俺は秋穂を覗き込むと、口の中に指を二本突っ込む。
「あぁ・・・むぅ・・あぐっ」
 そして乱暴にかき混ぜてやる。
「むぅ・・んん!!!あぶ・・はぁ・・ああん」
「ひぃ・・・あぁん・・ひん・・・ぁああああ」
 ビクビクッ
(イったか)
 まだまだこれからだ。そう”これから”なのだ。

 指を三本に増やすと、またかき混ぜ始める。
 時には口内を擦るように、そして舌を摘んだり。
 また乱暴にグチャグチャとかき混ぜたり。
「んふぅ~!!あぅ!!あぅ」
 ビクビク
「はっ・・はむぅ!!んっ・・・ちゅ・・」
 イクたびに感度が少しづつ上がっていくのだ。くく。
「あぁ・・・いひぃ!!ああん。むぐぅっ!」

 いつの間にか秋穂の舌が俺の指に絡んでいた。
「気持ちいいか?」
 爪で口内を引っかきながら聞いてやる。

「はぁ・・ひっ・・ひっ・・気持ひ・・よく・・ひゃんか・・あぁぁ!!」
 ビクビクッ
 そんな事を言っているがイク度に感度が上がるんだ。
 もう舌が口の中に触れるだけでもイってしまうかも知れないな。

 俺が指を引き抜くと秋穂がまたビクビクっと体を震わせる。
「俺はトイレに行ってくるからな。しばらく待ってろ」
 唾液でどろどろになった指を秋穂の体操服で拭うと、
 俺は生徒指導室を出て鍵を閉める。

 それから三十分後。 

 ガチャ。
「すまんすまん。遅くなった」

「あぶぅ・・・あぁぁ。ひぃっ・・」

 くく。すっかり快感の虜じゃないか。
 何度イったか知らないが、
 今の秋穂は唾を飲み込むだけでもイってしまうようだ。
「ああっ・・・くふぅ・・」
 ビクンと体が跳ね、達する。
 ブルマーもぐちょぐちょに湿っている。

 俺は動けない秋穂に近づき、上から顔を覗き込む。
「調子はどうだ?秋穂」

「あっ・・ひぃ・・もう・・許して・・・あうっ」
 汗かと思ったら目から涙がこぼれている。
 俺はにやりと笑い言ってやる。

「”生意気なことして申し訳ありませんでした。私のご主人様”だ。言ったら許してやる」

「あ・・・な、なばいきな・・ごと・・して・・・がぁっ!!」
 言いかけて途中でイってしまう。
「最初からだ」
 またぽろぽろと涙がこぼれ出す。
「なばいきなこと・・じて申し・・ぎぃいい!!」
 また体が跳ね性感が上がる。

「最初から」
「なばいきなぁぁぁ!!」
 ビックン!

「最初から」
 再び冷たく言い放つ。
「あ、あはっ・・もう・・・も・・無理っ・・・ひあぁぁ!!!」

「無理じゃない。早くしろ」
「あぁ・・なば・・ぐひぃぃああああ!!!」 
 ふむ。目が白目を向きかけているな。限界か?

「・・・・俺に忠誠を誓うか?秋穂」
「ちゅ・・・はうあ!!」
 ビクンッ

「早くしないと廃人になるぞ。奴隷になるか?。一生を俺に誓うのか!!?」
「ちかっ・・誓ひますっ誓ひますっ!!」
 ビクンビクンッ
「ひあぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁ」

 よし・・・・言った。

「これで口の性感は元に戻るが、今感じていた快感は俺が言うと、口にもマンコにも移っていく。
 もちろんアナルにもだ」
 
 一匹の奴隷が一言一句逃すまいと俺の言葉に聞き入り、
 そのまま心に刻んでいく。
「普段はいつも通りに俺に接しろ。奴隷になるときは俺が示してやる。いいな」
 ・・・・・・・・・
「・・・・はひぃ。ご主人様ぁ」

 とろけた顔で俺を見つめる秋穂。
 人間”変えられれば”変わるものだ。
 ブルマーの中に手を入れ、
 愛液を指にたっぷりとつけてやるとそのまま秋穂の口に突っ込んだ。
「舐めろ」
「・・・はむぅ・・・あむ・・・」
 秋穂は俺の指に舌を巻きつけて丹念に舐め取っていく。

「よし。もういいぞ」
 指がふやけるまで舐めさせてからその指をまた秋穂の体操服で拭う。

「さて、お前はもう体が自由に動く。机から降りろ。
 降りたらすぐにケツを上げて手でマンコを広げろ」
 とっさに机から降りると秋穂はブルマーを少しずらし言われたとおりにする。
「あはっ・・これでいいですか?ご主人様?」
 処女膜が割れ目から、のぞいている。
「完璧だが、俺を脅そうとしたのは許せんな。罰はちゃんと受けてもらう」

「はひっ!!あぁぁごめんなさい!ごめんなさいぃ!!」
 罰を受けることより、自分の過ちを嘆く秋穂。
 体勢は崩さないが、目からは溢れんばかりの涙がこぼれ出している。

「よし。じゃあさっそく」
 俺は秋穂のほうへ近づいていく。

「目を閉じるな」
 恐怖できつく閉じられていた目が恐る恐る開かれていく。
”むかついたら腕でもぶち込めばいい”
 スーと息を吸い込み、握りこぶしを作り一気にぶち込む!!!!
 ぶちぃっ!!
「ひぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
 目が大きく開かれ、割れ目からは血が流れ出す。
 もう少しお仕置きしなくちゃな。
「我慢しろっ!!」
 ミシッギシッ
「ひぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃあ、あぐがああああああああああ」

(もうそろそろいいか)
「秋穂っ!!さっきの快感がまた戻ってくるぞ!!」

 とたんに傷みは快感に変えられる。
 もっとも、痛いことは痛いのだろうが。
「くく。まだ痛いか?」
 ミシミシと音を立てながらさらに腕を出し入れしてやる。

「ぎぃぃいい!!あぁぁぁぁ!!きもち、気持ちひぃぃぃぃ」
 ぎちゅ!!ぐちゅう!!
「・・あはぁ・ぎ・・はふっ・・はぁん!!」
・・・やれやれ・・・・噴出した潮と血のせいであたりは水浸しだ。
「ああぁっ!!あはぁっきも、気持ちいいのぉ!!あぁん」
(おっと、この辺にしておかんと壊れるな)
 そして一気に引き抜いてやると、
「ひぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁ!!」
 秋穂はひときわ大きく体を弓なりにそらすと気を失った。
 また、潮を噴いて。

 しばらくしてから秋穂を無理やり叩き起し、汚した後片付けと鍵を光に渡すように命じ、
 俺は生徒指導室を出た。
(喉が渇いてるんだからたっぷりと飲めよ)

< つづく >

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