黒と白 06.摩天楼

06. 摩天楼

 影一の狩場がある繁華街の外れに建つハイテクオフィスビル。
 地下3階、地上18階。当時最新鋭の技術を注ぎ込み建てられたそれは、最高のセキュリティを誇り、地下にはスーパーコンピューターまでもが設置されている。

 そのビルのオーナーでもあり、最上階に事務所を構える”Office・Shiratori”
 人材派遣とコンサルティング会社としてここ数年来急速に業績を伸しつつあったが、特にこの1年の間の成功はライバル会社の度肝を抜いていた。
 経営の建て直しからキャバクラ嬢の派遣まで、ほとんどの業種を網羅する登録社員の中には、日本を代表する有名企業をCEOとして立直らせた世界的にも名の知られる者や、数々の賞や特許を取得した技術者などもおり、世界中の企業がこの会社との取引を望んでいる。
 それらの高名な人間がなぜ、社員数50人にも満たない..しかも内勤者は全て2~30代の女性のみ という中小企業の専属登録社員として名を連ねているのか?
 破格の報酬でヘッドハンティングしようとする者も少なからずいたが、彼らは頑なにこの会社への執着を見せていた...。

 広々としたエレベーターホールに降り立ったその男は、世界トップクラスのオフィスにはそぐわない、無精髭と薄汚れた作業服といった格好をものともせず、大股で廊下を闊歩してゆく。
 その男の存在に気づいた社員は全ての作業を取り止め、慌てて立上がると、斜め45度の角度で礼をしたまま男が通り過ぎるのを待っている。

 男はそんな連中を意にも介さず、最奥に構える”PRESIDENT”と表示された部屋のドアの中へと消えて行った。
 ..と同時にオフィスにも先程の喧噪が戻っていく。

「!!」

 その部屋の主である白鳥茜も例外ではなく、持っていた書類を放り投げると、椅子を跳ね飛ばしながら立上り、極上の歓迎を讃えた笑顔で近寄ってくる。

 最高級のブランドスーツをいとも簡単に着こなし、後ろでまとめられた髪は一糸たりとも乱れていない。
 普段であれば、すっと通った鼻の上に乗せられた眼鏡の奥には、全てを見透かすかのような強い光が宿っているはずなのだが...それも今は、甘えた少女のように男に媚びる物でしかない。

「ご主人様!お迎えにも上がらず申し訳有りません。今日は突然、どうなさったのですか?」

 茜は何か自分に問題がありはしないか、必死で思いを巡らせている。

「なんだ。用事がなければここには来るなってか?」

 不機嫌そうな影一の表情を見取ると、自分の今の失態にみるみると顔の血の気が失せていく。

「まさか!その様な事を私が..あの..も、申し訳ありませんでした。それと..おかえりなさいませ」

 影一はニヤニヤしながら明らかに彼女の狼狽を楽しんでいる。

「いや。”狩り”にも飽きてきたんでな、寄ってみた。何か情報は入っていないのか?」

 作業着の上着を脱ぎ捨て、先程まで茜が座って居た豪華な椅子に どかっ と腰をおろすと、ズボンのポケットから出したくしゃくしゃの煙草を咥えながら机の上を物色し始める。

 茜は床に捨てられたぼろぼろの上着を丁寧に拾い上げ、皺を伸ばし、ハンガーに掛けた後、自分では使う必要の無い高級そうなライターをポケットから取り出し、恭しく煙草に火を点けた。
 そして引出しから灰皿を取り出すと、ゆっくりと膝を床に付き、影一の前に両手で捧げ持つ。

 影一はそんな彼女に見向きもせず、灰をトンッと落とすと目の前の資料に目を通していった。

「ああ?これだけしか集ってねえのか?お前自分の仕事が忙しいからって手を抜いてるんじゃねぇだろうな?」

「いえっ、とんでもない。全社員共これらの情報収集を最優先させております。ただ、ご主人様のお目にかないます程の人間はそれ程多くはございませんので...。
 あの...それと、ご主人様?」

「なんだ?」

「あの、今”自分の仕事”とおっしゃられたのですが...この会社も社員もご主人様の物です。私にはこのような事業など全く必要ではありませんし、もともと私の物などは存在しません。全てご主人様に捧げ、ご主人様の為に培って来た物です。それを、私が、ご主人様の命令よりも仕事の方を優先させるなどということが.....」

 影一は大きく手を振りながら茜の言葉を制し、あきれたような表情を向ける。

「わかった、わかった。お前の言いたい事は分かってる。だがお前はどうも理屈っぽいんだよ。この俺に説教食らわす奴隷なんざ、世界中でお前位のもんだ。他の牝共が聞いたら腰を抜かすぜ」

 茜は思い出したかのように、小さくしょげ返っている。

「申し訳ありませんでした。よく考えればご主人様の御心など私にも判っていたはずですのに。至らぬことを申しました」

「おしおき、だな」

「はい。よろしくお願いいたします」

 茜はつい込み上げてしまう嬉しそうな表情を主人に悟られ無いよう、顔を下に向けながら、これから起こる出来事に思いをはせていた。

 ガチャッ

 社長室のドアが開き、そこから現れた人物を認めると先程と同じく全社員が立ち上がろうとする。

 軽く手を上げ、それを制すると

「ああ、かまわん。仕事を続けろ」

 社員たちは席に付こうとしたが、彼の手に握られた物の先を見て取ると、何人かは立ち尽くし、何人かは椅子に座り損ない派手にひっくりかえっている。

 影一の手に握られた鎖の先は茜の細い首を締め付ける太く真っ赤な首輪につながっており、その他には主人以外の目には未だ晒した事の無かった真っ白い素肌をほんのりとピンク色に染めて、欲情を表すのみであった。
 犬の様な四つん這いのその両股には革製の拘束具が嵌められ、その間に取り付けられた金属製の棒の為に足を閉じることはできないでいる。
 大きく垂れ下がった乳房は尚も美しい形を保ち、その先端に取り付けられた鈴が彼女の居場所を皆に知らせている。
 その姿勢の為に大きく割り開かれた尻の間には敢て何も嵌められておらず、、恥ずかしい両穴を衆視に晒している。そして、そこからだらだらと流れ続ける淫液は太股をつたい、フロアにまるでナメクジの這った様な跡を残していった。

 だが、ほとんどの社員はその美しい雇い主の痴態に見とれながらも、思い出した様に通常の業務に戻って行く。

 既に飼われている社員達にとってそれは見慣れたオフィス内の風景ではあったが、今までは自分たちを調教する主人を常にサポートする側であった社長が、今はただ、惚けた瞳でこちらを見つめるばかりなのが新鮮で、羨ましそうに腰をもじもじさせている者もいる。
 とはいえ、彼女たちは既に一人前の奴隷である。勝手に自慰を始める者などはいない。

 しかし今日は何人かの来客もあり、端に仕切られたブースの中では打ち合わせや契約が行われている。
 少しすると、話を終えて出て来た数人の客が、今までは僅かな憧れを持って見るのみだった女社長の痴態に、目を見開いて立ち竦んでいた。

「こ、これは、な、なんという...」

 息を飲み、立ち尽す客達の前まで行くと、その飼主は牝犬に向かって告げた。

「ほら、しっかりご挨拶しねぇか。大事なクライアントなんだろ。”お前の仕事”のな」

 朱を塗りたくった様に顔を赤らめながらも茜はのそのそと向きを変え、高々と尻を掲げると両手で双丘を割り開きながら、震える声を絞り出す。

「本日は、私共のオフィスへ、ようこそ、いらっしゃいました。これからも、末長く、お付き合い戴くための、友好の印に、私のこの、汚い、おまんこと、アナルをご覧下さい。そして、もし、宜しければ、掻き回しても戴ければ、茜は嬉しく、思います」

 羞恥に全身を震わせながらも命じられた言葉を発する茜の開発され尽くした体は、興奮しいやらしい液を溢れさせている。

 そのうちの一人が、書類を ばさっ と落とすと、取憑かれた様に恐る恐る手を延ばし、その秘部へ触れてみた。

「あぁん」

 憧れの女社長の反応に気を良くしたのか、今度はもう少し大胆に指を奥まで差し入れ、グチャグチャと掻き回し出した。

「あうっ、んっ。くぅぅっ。あん、あっ、く、うぅぅぅ」

 その淫らな喘ぎに彼らの理性はあっと言う間に吹っ飛んでしまった。

 皆が我を忘れ、男を惑わす妖艶な体に夢中で纏わり付いている。
 アナルに指を出し入れする者、乳房をぐにゃぐにゃとこね回しながら乳首に挟まれた鈴付のクリップを引っ張る者、先程の男はしつこくお〇んこを広げ奥まで覗き込んでいる。

 くちゃ、くちゃっ、ずりゅっ、にゅちゃっ、ぐにゅぐにゅっ、じゅぽ、じゅぽっ

 その乱暴な愛撫を体中で受けながら茜は、陶酔仕切った瞳で自らの主人を見続けている。

「あ、はぁっ、はぁっ、あうっ、んんぅ、はぁぁぁん、あん、あん、あん、あっ、くっ、うぅぅぅぅん」

 無論、普段で有れば主人以外の愛撫に感じる事などあり得ない自殺物の行為であるが、今は主人の命令で行われている”おしおき”である。その男達の指はいつも使われているバイブや張型と同じ存在だ。

 その内その中の一人が、我慢しきれなくなったのかズボンのチャックを開き、はちきれんばかりのそれを無理やり引っ張り出すと、茜の最奥を目がけて突進していった。

 茜はそれを認めると目を見開き、一気に血の気を失ったが、主人の許し無く逃げる姿勢を取ることは許されない。

 その時...。

 パンパンッ

 影一の両手が二つ叩かれると、忘我の霧に包まれていたクライアント達がふと我に返ったように振り返り、影一の目を見つめ、時が止まった。

「そこまで!茜はまだまだ必要だ。お前達なんかに払い下げる訳にはいかねーよ...お帰りはあちらだ」

 顎先が くいっ とエレベーターの方に向けられるとクライアント達はのそのそと身支度を整え、歩きだした。

「あゆみっ!こちらさん方に駒になった者の作法を教えといてやれ」

「かしこまりました」

 すぐ横のデスクで仕事をしていたOLが立ち上がり、ふらつく顧客達をエレベーターホールへと追って行く。

 それを見届けると影一は手に持っている鎖をぐっと引き上げ、茜の顔を覗き込んだ。

 彼女は切れ長の目尻を情けなく下げ、先ほどの情欲も消し飛ばして、化粧をぐちゃぐちゃにしながらすすり泣いている。

「もう..捨てられるのかと..思いました」

「ちょっとは懲りたのか?」

 影一はそばに転がっている椅子を起こすと背もたれを抱える様にして腰を下した。

「はい。もう二度とご主人様に反論など致しません」

「ははははっ、そうだな...。だが、お前の意見も大事な情報の一つだ。今日の所はちょっとしたお遊びだよ。気にするな」

 だが当の本人には冗談では済まされない。普段なら唇の一つも尖らせる所だが、今散々絶望のどん底を味わったばかりで、主人に少しでも反抗するような態度を取る気にはなれない。

 まだ体の震えも止りきらない、そんな茜の様子を見て取ると影一は鎖の根本を ぐいっ と引き寄せ、乱暴に唇を重ね、舌をねじ込んでいく。

 それにより一気に緊張が解けた茜は、首輪にぶら下がる様な姿勢で呼吸するのもままならないにも関わらず、舌は賢明に主人の愛撫に応えている。

 そんな様子を眺めていたOL達にざわめきが広がっていく。

「うわっ!ご主人様の口吻だっ。いぃなぁ。私もあんなの欲しいなぁ」

「なぁに言ってんのよ、あんた。ご主人様の口吻を戴けるのは世界中で3人しか居ないって話よ。あんた、白鳥社長と同じくらいのご奉仕ができるっての?」

「んー....駄目..無理!社長と同じって言えばお館の風見麻里さん位じゃないの?他の飼犬さん全部を知ってる訳じゃないけど、あの二人は別格よ。私なんかおばぁちゃんになってもかなわないわ」

「おばぁちゃんって...あんた後5年も経って体の線が崩れたりしたら私達はもうお終いなのよ。エステさぼってばかりいたら3年持たないかも..。ま、あんただったらその前に粗相してポイッ...かもね」

「げっ..がんばろ!..でも、さっき言ってた3人って社長と麻里さんと後一人は誰よ?」

「さぁ?私も知らないわ。前にあゆみさんが言ってたのをちらっと聞いただけだから」

「この中に居ないのだけは確かなようね?」

 二人が周りを見回すと室内のOL達は皆、羨ましそうに唇を舐めたりさすったりして欲情するばかりであった。

 そんな周りの羨望は目にも入らず茜は あうあうっ と言いながら必死に舌をのばしている。

 影一が彼女の顔色にチアノーゼの兆候を見て取ると、長く熱い接吻を終え、二人の唇は細い唾液の糸を紡ぎながら離れていった。

 持っていた首輪が放されると どさっ と床に転げ、完全に弛緩した体をぴくぴくと振わせながら、茜はうつろな瞳で主人を見つめ続けている。

「ご主人様。わたし..しあわせです」

 影一が自らの感情を隠そうと目線を反らした時、OL達の数々の潤んだ瞳が一斉に光っているのを見つけた。
 そして頭を軽く掻くと仕方なさそうに、肩を竦めながら大きな声で言う。

「お前ら仕事はしねーのか?」

 皆が慌てて自分のデスクへ戻ろうとした矢先。

「しねーんだったら楽しもうと思ったんだがな?」

 オフィス中に歓喜の嬌声が爆発した後、皆が一斉に制服やスーツを脱ぎ捨てていく。

 茜もようやく立上がると、優しい微笑みを浮べながら影一の服を丁寧に脱がしていった。

 我先に10人程が仰向けに寝そべると、その肉布団の上に裸の影一が倒れ込む。
 大の字になった主人のあらゆる所を上からも下からも、裏も、表も、舐めたり、乳首ををこすりつけたり、手や足の先を勝手にお○んこに突っ込んでいる者もいる。
 まるで公園の遊具で遊ぶ子供のように、貴重な財宝に辿り着いた冒険家のように、影一の全ての部分を求めていく。
 主人のどこかに少し触れただけでも感じてしまう牝犬達は、次々に嬌声をあげ、絶頂へと追いやられ、放心する。その度にあいた部分を他の牝犬達が狙って群がってくる。

 そんな狂宴がしばらく続くと、影一の体も周りの床も愛液と唾液でべちょべちょになり、それらの汁の中で溺れている様な錯覚すら覚えていた。

 3時間も経っただろうか...周りで動き廻っていたの牝犬達は全て横たわり、微かな喘ぎ声を発するだけの人形になっている。

 横で正座し、黙って見ていただけの茜はことの終りを見て取ると、愛しい主人の下へそっと近寄り、顔についた汁を舐め取り始めた。

 その目を閉じたまま茜の舌を感じつつ、彼女の髪を手鋤き、撫でる。

「茜、今日は射してやるよ。来な」

 茜は満面に歓喜の表情を浮べながら頭を床にゆっくりと着ける。

「ありがとうございます。ご主人様のお情け、頂戴致します」

 そう言い終えると寝そべったままの影一に跨り、ゆっくりとその怒張を自らの淫裂に取込んでいく。

「あ、はあぁぁぁぁぁぁっ...」

 溜息を付きながら、たっぷりとその感触を噛み締めた後、頬を主人の胸に擦りつけ、乳首にちとちろと舌を絡め、首筋を愛撫しながらそっと腰を上下させる。
 妖しく、媚びるようなその視線と、変幻自在に形を変える淫裂をねっとりとまとわりつかせ、影一の心までをも絡め取っていく。

 背筋にぴりぴりと流れる快感に、思わず我を忘れてしまいそうになる影一であったが、ふと思い直したように茜の腰を押さえつけた。

 膣内の全てで、その形状を確認するかのようにゆっくりと味わっていた茜であったが、ふいにその動作を止められ、玩具を取上げられた子供の様な困惑の表情で主人の顔を覗き込む。

 だが、腰の動きを制限した所で茜の貪りを止めることは出来なかった。
 ざわざわと蠢く膣壁で主人のそれをぐいぐいと引ずり込み、まとわらせる... 自身の肉棒が奥へ奥へと吸込まれる様な感覚は、蟻地獄でもがく蟻を彷彿とさせた。

 影一は思わず流されそうになる感情を押えつけ、一気に腰を突上げる。

「あっ、ああああはぁぁぁぁんん、うぅぅんんんん.....」

 一瞬で頭の中を真っ白にされた茜は貰った餌をじっくりと味わう事をあきらめ、されるがままに流されていく事にした。
 びちゃびちゃ と飛散る淫液にまみれながら、喉まで突通すかのように激しく突き上げる腰の上を、飛跳ね、舞わされ、やがて自分が人であることを忘れ去ったかのように頭を振り乱している。

 影一が、目の前で大きく揺れる乳房の頂きを指で潰すように引絞ると、その獣の様な攻防も終りを告げ、茜の神経を焼切るかのような絶頂が訪れた。

「あっ、あっ、あふっ、あっうぅ、あ、あ、あっ、あ、あ、ああああああああああああああああああああっ!」

 茜の膣壁が急激に収縮し、主人の肉棒を喰い締めた時..茜から影一に電流が流れ込むかのように快感が走り、比類無き名器のその中に今日初めての白濁液を大量に注ぎ込んでいく。

 影一はその時僅かに感じた幸福感を不思議に思いながら、ゆったりと茜の胸に意識を沈めていった。

< 続く >

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