ガドガドガード 第一話

第一話

1.

 広い部屋があった。その広い部屋の一番奥に、背の高い玉座があった。
 そしてその玉座は真っ赤だった。まるで血を塗りたくったような、ただの赤ではない、深い赤、これぞ深紅とでも呼ぶべき色で、玉座は一色に塗られていた。広い部屋は白く、その玉座との対比が、巨大な人の体表に大きな傷があるようで、酷く痛々しくも見えた。
 その玉座には、上下とも青い服を着た、長身の男が座っている。その白い肌と服から欧米人という察しがつく。
 その男の目の前には、黒髪の、とある鋼校の制服を着た女が傅いていた。
 だが、彼女は息をしていなかった。そして、ぴくりとも動かなかった。
 部屋の両脇にある巨大な窓からの光も、そしてその光によって生み出された影も、止まったように変化はなく、その部屋には無音の世界が広がっていた。
 だが、男だけが荒い息をし、部屋の中を見回していた。
 数秒後、男が小さくつぶやく。

「そして、時は動き出す……で、いいんだよネ?」

 誰に問うているのかすらわからないその呟きの直後、全てが動き出した。
 女が途中で止められていたかのように少しだけ息を吸い、そして吐いた。
 窓の近くの床では鳥の影と、そして風に揺れる樹の枝の影が動いている。
 男は再び周囲を見回し、満足げな笑みを浮かべた。
 そして、時の動き出した世界で、女が顔を上げ、問う。

「あの、ジョーズ様、今部屋を見回しておられましたが、もしかして、一度お止めになられたのですか?」

 ジョーズと呼ばれた男が、にやりと嫌な笑顔を浮かべながら返答する。

「止めはしたけど、特に何もしてないから気にしない方がいいヨ」

 ジョーズの流暢な日本語は、いったいどこの国の人間が日本語を習ったのか気になるほど、妙なイントネーションだった。

「さすがに、これだけスゲエ力を手に入れると、何度も試してみたくて仕方がないんだヨ」
「中途半端に壊れた言葉も無駄な体力もお使いになるのはおやめください。確かに素晴らしい力ですが、それだけの力には、リスクも伴うものです。現に元の持ち主は二十歳にして――」
「まあまあ、堅いこと言わないでくれないかネ。ワタシは特別製なんだからネ」

 女の口を塞ぎ、答えるが、急に目を鋭くして、ジョーズは本題に話を戻した。

「ところで、なぜ幹部であるキミが、直接そんな辺鄙な学校へ向かうのかネ?」
「学校全体が、何らかの支配するタイプの『ガード』に乗っ取られている可能性があります。女学生を一人捕らえて催眠によって情報を聞き出そうとしたところ、すでに洗脳された形跡がありました」
「(´・∀・`)ヘー」
「床に顔文字なんか書いて遊ばないでください」

 女の叱責の声も聞かず、ジョーズは長い腕にマジックを持ち、足下の床に落書きを連ね続ける。顔文字の下には、何かの表を書き始めた。

「ワタシは落書きが好きでね、あー、それと、キミを失いたくない、ってのはわがままかネ」
「わがままです。幹部とはいえ、わたくしもジョーズ様の尖兵ですよ? ジョーズ様の敵となりうるものを排除すること、もしくは組織に引き込むのがわたくしの仕事です。いえ、そもそもわたくしがいかに支配のタイプの『ガード』に強いか、ジョーズ様もわかっていらっしゃいますよね」
「( ´_ゝ`)フーン」

 いかにもどうでもいいという返事と同時に、先ほどの顔文字の横にもう一つ絵文字が追加された。
 女はため息をつき、立ち上がる。

「…………ジョーズ様に話しても無駄なようなので、もう行って参ります」
「おっと、行く前にイっておかないかネ?」

 そう言って、ジョーズが女に右手を向けると、その手の平から、太く、どす黒い触手が現れて、しゅるんと女の体に巻き付いた。

「まだ、午前九時ですが」
「いや、キミがそんな可愛い格好をしているのは珍しいじゃないカ。我慢なんて無理だヨ」
「……何のためにわたくしが制服を手に入れたかお分かりですか?」

 触手は濡れた光沢で光っており、それに包まれた女の肌も、そして制服もすでに濡れてしまっているように見える。
 だが、女はそのおぞましい触手に包まれながらも、すでに息を荒くさせていた。
 顔も心なしか赤い。ジョーズを見つめるその瞳も少し潤んでいる。

「とはいえ、すでにスイッチが入ってしまいました……ジョーズ様のせいで、行くのは明日になりますね……あ……」

 ジョーズは左手を向け、その手の平からもう一本触手を生やし、それを女の股間へと向かわせる。

「だいじょぶだいじょぶ。行くのは無理でも、今日は百回はイかせてあげるからネ、由美」
「それでは、夜になってしまいます……ん、あっ」

 その言葉から、ジョーズ・ジュローゼと時岡由美のまぐわいが始まった。

2.

 何の変哲もない、一般的な鋼校の教室。だが、その教室では教師による授業と、そしてある、普通教室では行われるべきでないことが、同時進行中だった。
 真ん中の列、一番後ろの席に座った裸の男の周囲に、三人の半裸の女学生がまとわりついていたのだ。
 髪の長い一人は男の握りしめられた右手を女陰に入れて四つんばいになって腰を振り、

「あぁぁぁぁぁ、龍二様ぁぁぁぁぁぁ」

 髪の短い一人は男の握りしめられた左手を女陰に入れて四つんばいになって腰を振り、

「いいですっ! 龍二様、最高ですぅぅぅぅ!」

 最後の髪を一つにくくった一人は男の腰の上で、男の肉棒を女陰にくわえ込みながら、腰を振っていた。

「龍二様、もっと、もっとくださいっ、もっとぉっ」

 龍二様と呼ばれた男は目をつむったままほとんど微動だにせず三人に快楽を与え続けており、三人は上からも下からも涎を流しながら幸せそうな笑顔を浮かべていた。
 だが、黒板から推測するに国語の教師であろう、眼鏡をかけた女は、まるでそれに気付いていないようにひたすら説明と共に板書をしている。
 急に後ろを振り向いた女教師は龍二の腰の上でひたすら腰を振る女を見て、言った。

「じゃ、小島さん、二十七ページの十四行目から……あ、いや、二十八ページの二行目だけでいいわ。その行を、二回、お願い」
「あ、あ、あ、はい、二十八ページ、あ」

 小島は喘ぎながら龍二の机の上の教科書をめくる。その間両手の支えを失った腰は止まり、代わりに龍二が小島の腰を持ち、動かし始める。
 急に女陰を満たしていた手をはずされた二人の女は、切なそうにして龍二を見るも、そのまま四つんばいで順番を待った。

「えと、二行目、い、い、「いらっしゃいませえッ。」、あ、来る、来る、龍二様ぁぁぁっ、せーえきっ、せーえきくらさいっ!」
「そらよっ!」

 たった一行の、それも台詞だけをちゃんと読めた小島の女陰に、龍二の精液がぶちまけられる。

「熱っ、せーえきっ、龍二様のせーえきっ、私の子宮に、あああああっ、い、「いらっしゃいませえッ。」、イ、イクぅぅぅぅぅぅっ」

 小島は大きくびくんびくんと体を反らせて何度も震わせたあと、机の上にうつぶせで上半身を横たえた。

「あんたって、ほんと、つくづく趣味悪いわよね……普通そんなこと思いつく?」

 失神した小島から肉棒を抜いて、右手を入れていた女の女陰に肉棒をつきこむ龍二に右隣の席の女が訊ねる。

「国語の授業だけはいつも予習してるからな」
「知識はあっても、頭の使い方は馬鹿極まりないわよね」

 そう言って龍二につっかかる女は、茶髪のツインテールで、なぜか制服ではなく、赤いワンピースを着ており、そして分厚い眼鏡をかけていた。

「ところで、みく、ちゃんとノート取ってるか?」
「取ってるわよ、馬鹿、あとでちゃんと百円払いなさいよ、アホ」

 そう答える『みく』と呼ばれた女の目の前では、白い煙のようなものがシャープペンと消しゴム、そしてボールペンを操り、ひたすらノートに教科書にと、右往左往して書き込んでいる。

「俺に支配されてるのに、酷い言いようだな、おい」
「私に限って、精神までは支配できないってのはあんたが言ってたことじゃない。つーか誰のおかげで学校ごと乗っ取りなんてできてると思ってんのよ」

 龍二が冗談めかして言うと、みくはさらに酷い言い方で切り返した。

「あのさ、お前さ、もしかしてさ」
「あはっ、いくっ、いくっ、出してっ、出してっ」
「何よ」

 もうすぐ絶頂であろう喘ぎ声はスルー気味に会話が続く。

「もしかして、俺怒らせておしおきされたいとか思ってない? こいつらに嫉妬してんの?」
「んあああああああああっ!」
「な、何言ってんのよ、馬鹿、馬鹿、んなわけないでしょ、アホ、馬鹿、死ね、馬鹿、死ね」

 一人が絶頂を迎える中、みくは腕を大きく振り、龍二を指さす、すると罵詈雑言のたびに白い煙から投げ出されたカッターだの鉛筆だのが龍二に向かっていく。
 龍二はすぐさま堅いままの肉棒を抜き、両腕で身を守ろうとした。が、あまり意味がない。
 みくの顔は耳まで真っ赤になっており、煙も何かを投げるたびに合わせて赤くなっていく。

「うわ、馬鹿、やめろ! やば、触らないと支配できな――」

 元より龍二は裸のため、体のいろいろなところにいろいろなものが突き刺さる。
 彼の必死の形相と、その間抜けな姿も相まって、痛々しい。

「死ね、死ね、死んじゃえ、馬鹿、小島なんかに出してんじゃないわよ! 死ね、アホ、死ね」
「ちょ、おま、痛、やっぱり嫉妬、うは、痛、やめ、ちょ、俺無防備だって」

 そして英和辞書が股間に激突。音速で。

「ぎゃあああああああああああああああっ」

 龍二はその場に昏倒し、泡を吹き始めた。
 だがそれでも、国語の授業は続いており、ちょうど今終わるところであった。

「あ、ちょっとやりすぎちゃったかな……てへっ」

 可愛くごまかすも、龍二のいろいろなものが突き刺さった瀕死体は、かなり洒落になっていなかった。
 教室は濃く、そしてピンク色になった――ずっとあったが気をつけなければわからないほど薄かった――霧に覆われていた。

3.

 昼休み。そこは体育館倉庫。スポーツ用品やマットが並び、人があまり訪れない場所である。

「あのー、一体何があったのか詳しく、小一時間ほど問いつめたいところですが……」

 高校生の割には背の低い、中学生でも通りそうな、その上顔の整った美少年がみくに問う。
 少年はマットに寝かせられた虫の息の龍二の瀕死体を目の前にして、頭を抱えていた。

「彰くんも、こうなりたいのかなー?」
「ごめんなさい。みくさんに質問をするなんて大変おこがましいことでした」

 笑顔なのに額にシャープを三つも浮かべたみくに、少し怯えながら彰(あきら)も笑顔で謝罪する。

「じゃあご命令通り『治療』しますよっと」

 彰が龍二の胸のカッターが深く刺さった傷に手を差し伸べると、その部分に赤い光が生まれ、そして傷が急激に治り、カッターがはき出され始めた。
 続いて、目をそらしつつも、余りにも痛々しい股間、三角定規の突き刺さった額、と次々と『治療』していく。

「でも、あくまで僕の『オーラ』は自然治癒力を高めるだけですから、一応、龍二さん、病院に連れて行った方が……自然治癒である以上体力は消耗しますし」
「口答えしていいのかなー?」
「あはははは………………ごめんなさい」

 そんなシャープなやりとりを何度か繰り返したあと、龍二は虫の息ながら体自体は元に戻っていた。
 そして、一分ほど後に龍二の目が開かれる。

「あー、その、なんだ、とりあえず」

 少し疲れた顔の彰に目を向け、

「彰、サンキュ」

 続いてなぜか顔の赤い、おまけに瞳の潤むみくに目を向け、

「……お前はおしおきだ」

 楽しそうに言う。
 みくは一瞬嬉しそうな笑顔を浮かべたが、はっとしたように彰を見て、

「いやあああああああ、助けてぇぇぇぇぇぇぇっ!」

 とわざとらしく控えめに叫ぶ。

「じゃ、逃げれば?」
「馬鹿、逃げれないじゃないのよ、あんた、あたしの体もう動かないじゃないのよ、馬鹿」

 龍二が問うと、みくはいかにも動けませんといった感じで腕と足を震わせる。

「あのさー、俺今お前支配してないぞ? 動けないとしたら、お前の意思のせいだろうな」
「……ふぇ? 嘘、そんなわけないじゃない! 馬鹿、アホ、あたしがあんたに優しくクリトリス舐められたいとかあたしの胸にたくさん出して欲しいとかおまんこにおちんちんつっこまれて何度も何度もイかされたいとか思ってるわけないじゃん! つーか彰くんがいるのにおしおきとかいうなっ!」
「思ってんじゃん……今は口だけちょっと素直にいじったけどな……」

 みくはますます顔を赤くし、

「いやあああ、あたしもう死ぬー、お嫁に行けないー」

 ほんの少しの間のあと、また泣き叫ぶ。

「安心しろ、俺が嫁に貰うから」
「あー、僕は消えた方が良さそうですね……」

 ひたすら赤い顔で叫ぶみくを見て、とりあえず彰は逃亡――

「まあ待て彰、今日はいわゆる『さんぴー』という奴を体験してみたりしなかったりしないか?」

 しようとしたが、龍二に足を掴まれ、阻止される。

「どっちなのかよくわかりませんが……僕も支配できる以上、強制的に参加させてもいいはずですよね?」
「お前の意思で決めて欲しいんだよ。お前は面白いからな」
「あたし無視して勝手に話進めてんじゃないわよ、馬鹿、アホ!」

 龍二は立ち上がりながら、そう怒鳴るみくの右足を掴むと、つぶやく。

「感度二倍」
「え? あ、やめ」

 みくは足を踏み外して後ろに倒れ込む。

「感度三倍」
「ああっ、なんで、足、だけなのにっ」
「えーと、僕は……」

 呆然としている彰がぺたんと座り込む。いや、彰が少しびっくりしている以上、座らされたというのが正しいだろう。

「お前は少し待ってろ」

 龍二は彰に答えると、立ち上がり、倒れたみくを持ち上げる。

「あふっ」

 その抱き上げられた背中だけでも感じているらしく、高い声をあげる。

「馬鹿、馬鹿、本気で彰くんの前でやる気なのっ!?」
「当たり前じゃん。前でも何も参加してもらうつもりだし。お前後ろも使えるだろ?」
「だからそういうこと言うなあっ」

 龍二がマットの上にみくを載せると、みくは急におとなしくなり、小さな声で喋る。

「あたしがあんたをここに持ってくるまでどんだけ大変だったかわかる? あんたが気絶したから『ハック』の支配が切れて、霧の光学迷彩化とかでなんとか隠して、二時間もかけてここまで持ってきたのよ? だからさ、だからさぁ……」
「だから、なんだ?」
「ご褒美に、優しく、でも激しく、お願い……」

 意識はしていないだろうが、甘い声で矛盾したことを龍二の耳元に囁く。
 そして龍二はそれに返答せずに、みくを剥いでいく。
 まず眼鏡から。潤んだ瞳が、レンズを通さずに龍二の目に入る。

「お前、やっぱりコンタクトにした方がいいぞ」
「僕は眼鏡かけたままの方がいいかな……」
「分厚い眼鏡萌えー、ってか?」
「いえ、みくさんが似合ってるだけです」
「お前ちょっと黙ってろ」

 第一次性癖大戦の結果、彰の口が封じられた。

「どっちでもいいけど、早くしてよぉ」
「お前いったん吹っ切れると淫乱だよな」
「うー。言葉責めより早く下、下!」

 子供っぽいワンピースのスカートをたくし上げ、下着だけ脱がす。龍二が少しだけ肉芽をいじってやると、

「あ、いいっ、もっとっ」

 みくはさっそく腰をくねらせて喘ぎ出す。
 続いてワンピースの胸をはだけさせ二人にとっての準備完了。
 彰が何か言いたそうにしているがまだ口は封印中。なにやら小さなうめき声が聞こえる。

「ほら、キスして、キスー!」

 みくがそう言いながら龍二の背中に両手を置き、目をつむる。

「一応言っておくが、あくまでおしおきだからな?」
「ふぇ?」

 すでに龍二の首筋に吸い付きだしたみくに警告。

「だから、今日は一時間はイかせない。で、その後一時間ぶっ続けでイかせる」
「…………龍二、あたしを壊すつもり……?」
「俺を半殺しにしたんだからそのくらいは耐えなきゃなー?」

 龍二はそう答えて、正常位でいきなり女陰に肉棒をつっこんだ。巨根だった。

「あ!? あはぁっ、いきなりっ、すごっ、凄いいっ、あ、あ、ああっ」

 すでに濡れていたらしく、みくはほとんど痛みを感じていなかった。
 最初から全力で腰を振る龍二。そしてそれに合わせて自ら腰を振るみく。
 狭い倉庫に水音が響く。

「よーし、彰、こっちゃ来ーい」
「はい、って、え、口戻ってる……」

 立ち上がって彰が近寄ると、龍二は腰を止め、ひっくり返る。
 座位で、腰は止めたままみくの後ろの穴を右手の人差し指でかき回す。

「うひゃっ、わっ、やめないでよっ、あ、後ろ、ああっ」
「動いて欲しいか?」
「うんっ! 動いてっ! お願いっ! あ、あ、でも、後ろも……欲しい、かも……」

 切なげに言う。すでにみくのリミッターは完全に外れてしまっていた。

「というわけで彰の出番だ」

 龍二が言うと、服の上からでもわかるほどに勃起したままの彰が、みくの後ろに立つ。

「本当にいいんですね?」
「みくが欲しがってるからなあ」
「あー、仕方なかったってことにしときましょう」

 彰がチャックを開けると、龍二は後ろに倒れ、騎乗位になった。

「ほら、自分で動け。後ろも入るからな」
「あぁぁぁっ、あ、あぁ、あ、あ」

 言うまでもなく、すでに動いていた。そして彰が後ろの穴につっこむ。
 その背の低さからは想像もできないほど大きい。
 さすがに龍二より小さかったのは彼が救われた所以だろう。

「うあっ、きつっ」
「あぁ、おしりっ、おまんこっ、いいっ! どっちもいいっ! イクっ、イクっ!」

 もう少しで絶頂を迎えられる、とみくが歓喜に震えたそのとき、

「はい、イクの禁止ー」

 龍二のやる気なさそうな声と、額に当てられた手によって、快楽のリミッターが取り付けられた。

「あっ、えっ、酷いっ! イきたいっ、イきたいよぉっ!」
「もう二度と俺にカッター投げたりしない?」

 ますます腰を早く、全力で振るみく。自ら両手で胸をもみしだいている。
 彰もそれになんとか合わせて腰を振っていた。
 さらに龍二がみくの肉芽を弄り出すと、

「うあああっ、投げたりしませんっ、しないからっ、イかせてよぉっ! 辛いよぉっ!」
「鉛筆も? 筆箱も? 教科書も? ノートも?」
「ぎいいいいいいっ、イきたいっ、イきたいっ、いやあっ……イきたいっ」

 獣のような叫びをあげ、すすり泣きはじめる。右手で乳首をつまみ、左手では肉芽をつまんでいた。
 いつもならとうにイっているであろう膨大な快楽を受け止めながら、それでもイクことができない苦しみに、本能が必死でイこうとしているかのようだ。
 もはや龍二は全く動いていない。

「おいっ、投げたりしないよな?」
「イぎだいっ! 投げないがら……お願いっ!」
「辞書は? 投げないよな?」

 いよいよもってみくは白目をむき、両手を龍二の胸の上に置いて一心不乱に腰を振る。

「じじょもっ、投げないがらぁっ……だずけてぇ、イぎたいよぉっ!」
「よーし、三十分に短縮だぁ、がんばれよー」

 結局すぐにはイかせてもらえないことがわかり、みくはさらに泣き叫ぶ。

「いやぁっ、そんあお死んじゃうっ、ひんやうよぉっ……」
「えーと、ほんとにイかせてあげないとやばくないですか? というか僕はそろそろやばいです」

 後ろの穴のきつさに耐えていた彰が口を開く。

「まー確かに感度三倍でも、三十分持たなかった奴結構いるしなぁー。よし、じゃあ――」
「あ、出ますっ!」

 一足早く彰が射精する。その肉棒に見合った大量の精液が直腸に流し込まれ、みくはイけないままその熱さを感じる。

「うああああああああっ、おひりっ、おひり出てるぅっ、あづいっ、イきだいぃぃっ!」
「イクのおっけー」

 リミッターがはずされ、直後に、

「がああああああああああああああああっ!」

 みくは玩具のようにがくがくと体全体を一分近くも揺らし、そして白目をむいたまま、龍二の胸の上で失神した。
 失神たというのに肢体は艶めかしく痙攣し、さらに失禁までしている。

「あーあー、もらしちまったか、あとでマット洗わないとなぁ」
「……大丈夫ですか? みくさん」

 龍二がみくの股間からちょろちょろと流れ出る黄色い液体を眺めて言うと、まだ息の荒い彰が肉棒を抜きながら気遣う。
 みくはかろうじて目は閉じたものの、まだ失神しており、何も聞こえていないようだった。

「さて、こっからイクのぶっ続けだ。こっちは割とみんな耐えてるぞ。一時間だ、がんばれよー」

 射精していなかった龍二がそう言い、すぐさま動き始める。しかも、

「感度百倍、あーでもこれは今までにないかな」

 彼にとっても前代未聞のレベルの操作によって、彰は地獄と魔王を傍で眺めることになり、みくは魔王によって地獄を体験することになった。

「ひぐっ、ぐあっ、ひぬっ、あらひ、もう……ひうううううううっ!」

 もちろんそれは神にもたらされる天国でもあったわけだが。

< つづく >

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