DEOPET 第2話

2話・~悦に入る~

 ターゲットが奥まで入り、能力が届かない龍正・・・
(とりあえず狩野が受付に現れるまで慌てないでおこう・・・その間はそうだな・・・今まで得た狩野の情報の整理でもするか・・・)

 狩野は現在27歳・・・
 彼女がこの仕事についたのは23歳。ちなみに大卒だ。
 そしてあの診療所を訪れたのはその年。
 そのきっかけは・・・・・・・・・・

 2024年6月某日・・・
 樹莉は行きつけとなったバーで一杯飲んでいた。
 色々と探していて一番しっくり来たのがこのバーだった。

 その日の樹莉はなれない仕事へのストレスから、かなりの量のお酒を飲んでいた。

 そんな樹莉に1人のスーツの男が近寄ってきた。
「大丈夫ですか?そんなに飲まれて・・・」
 さりげなく樹莉の横に座る。
「ん~?誰よあんた」
 樹莉はかなり酔っていて、冷静さを失っていた。
「あ、僕は飛騨雄介といいます。31歳です。これでも精神科医をやってるんですよ」
「へ~。で、そのお医者さんが何~?」
 もうすでに樹莉の目はトロ~ンとしている。
「精神科医やってますとね。いろいろと分かる訳ですよ。例えば貴女は・・・なれない職場でストレス感じてるでしょ?」
(真新しいスーツで女一人お酒。しかもまだこの土地に慣れていない様子。どうやら間違いないだろう)

「あ、わかる?すごいな~。いや~セクハラしてくるお客さんとかがムカつくんだよ。でもちゃんと笑顔作らないといけないじゃない?頭にきたおっさんに『やめてください』って言っただけで上司からお叱り受けたんだよ?信じらんないっつーの!」
(ってことは受付系か?)
「まあまあ。落ち着いてください」
 しばらく樹莉は自分の不満をタラタラとはっちゃけた。
 文句も言わずに聴き続ける雄介。

「でも自棄酒は身体に悪いですよ?医者ですからおすすめ出来ませんね」
「やっぱり?わかってんのよそれぐらい。でもねえ?」
「あ、よかったら僕がリラックス法でもお教えしましょうか?」
「え?どんなのどんなの?」

(よ~し。食いついてきた。それにこんだけ酔ってりゃいける!)
 雄介はライターを取り出し、火をつけた。
「ちょっとこの火を見てください」
「うん・・・」
「じ~っと・・・じ~っとです・・・」
 ・・・・・・・・・

 雄介はライターを左右に動かし始める。
「・・・・・」
(よし。目で追ってる)
「しばらく見てると、火が小さくなったり大きくなったりするのに気付くと思います」
「・・・・・」

 ライターを前後にも動かす。
「あ・・・ほんとだ・・・・」
 樹莉の目が虚ろになってきた。苦しそうに、しきりに瞬きする。
「だんだんとこの炎が大きくなってきます・・・・しかし目を逸らすことは出来ません・・・この炎から視線が逸らせない・・・」
「あ・・・」
 樹莉が顔をしかめる。
「すると目が熱くなってきましたよね?・・・でも目を逸らせない・・・・」
「ぁ・・・・」
 樹莉の瞬きが更に増える。口が開いている。

「3つ数えるとこの火が消えます・・・すると・・・すうっと深いところへ降りていきます・・・とっても気持ちいいですよ・・・」
「・・・・・」
「1、2、3!」
 カクンと首をうなだれ、あごがその豊満な胸につく。
「あなたはと~っても気持ち良いところにいます・・・と~っても気持ちいい・・・このままここにいたいと思うぐらいです・・・」

「私の声だけが心地よく頭に響いてきます・・・それはあなたにとって幸せな事です・・・私の声の通りに動くと・・・より幸せな気持ちを得られますよ・・・・あなたの両手にとっても軽い風船がつけられました・・・どんどん軽くなる・・・軽すぎて腕が持ち上がっていきます・・・」
 樹莉の腕がふらりと上がって、両腕は真っ直ぐに上に伸ばされた。
(そろそろ時間がまずいな・・・とっとと暗示だけ埋め込むか・・・・)

「あなたはここでお酒を飲みすぎ、今日の事は思い出せません・・・・・しかし、飛騨雄介という精神科医に会ったことは覚えています・・・・・あなたは彼から名刺を受け取った・・・・・しばらく話すと彼は帰り、一人で酔いつぶれるまで飲んでいた・・・・・この名刺を思い出すと、ストレスで悩んでいたあなたは、この診療所を訪れてみたくなります・・・・・そのことで頭が一杯になります・・・・・」
「・・・・・」

 樹莉は静かに耳を傾けている。他の客は口説いているように見えて気にしていないようだ。
「3つ数えると、あなたはこれから家に帰ります・・・・・一晩寝るといつもどおりのあなたに戻ります・・・・・1、2、3!さあ気をつけてお家に帰りましょう」
「はい・・・・」
 樹莉はゆっくり立ち上がって、ゆっくりした足取りで帰って行った。
(あ、会計は俺か・・・・ミスったな・・・・・)

 数日後・・・・飛騨診療所に一人の女性がやってきた
「ここ・・・だよね・・・う~ん・・・人気なさそうだ・・・」

「狩野樹莉さん。中へどうぞ~」
(あ、あのバーの女の人!まさかホントに来るとは・・・コリャ上玉だ)

「では催眠療法なんか試してみてはどうでしょう?」
「催眠療法?催眠術のことですか?」
「ははは。違いますよ。あっちはショーでこっちは医療です。よく間違われるんですよ」
「あ、そうなんですか・・・どうしようかな・・・時間もあるしお願いしようかしら」
「わかりました。すぐ準備しますよ」(そう、すぐにね・・・)
 ・・・・・・・・

 メトロノームで簡単に催眠状態に入り、ソファに身を預ける樹莉。
(しかし・・・こうしてみるとおっぱいでけぇな・・・・)
「コホン。あなたの中に私の声がしみ込んでいきます・・・・・とってもいい気分です」

「いまからあなたの心に問いかけます・・・・・それは自分自身です・・・・・あなた自身の確認の為の質問です・・・・正直に答えれば答えるほど、この声はあなたにしみ込んで、とっても幸せな気分になれますよ・・・・・」
「・・・・」
 樹莉はコクンとうなずく。
「あなたの名前は何ですか?」
「狩野・・・・・樹莉・・・・・」
「そうですね。ほらいい気持ちになってきましたよ」
「・・・・はい・・・・・」

「あなたのスリーサイズは?」
「・・・95・・・・62・・・・88・・・・」
「あなたの初体験はいつですか?」
「・・・・こ・・・・・高校・・・・・・・3ね・・・・ん」
「オナニーは月何回しますか?」
「・・・・1回くらい・・・・多い時は・・・・2回・・・・」
(こんだけの身体でウブな人なんだな)

「10数えるとあなたはすっきりした気持ちでいつもの自分に戻ります・・・・・目の前にはあなたが信頼できる先生がいます・・・・・先生の言う事なら何でも信じてしまいます・・・・・そしてあなたがストレスを感じる度・・・・・ここを訪れたくなります。分かりましたか?分かったら返事が出来ます」
「・・・・・はい」

「どうですか?軽く仮眠を取った気分は?」
「え?ええ、すごくすっきりしています・・・・先生凄いんですね!また来てもいいですか?」
「ええ。もちろんですよ」

 こうして樹莉は徐々に雄介に染められていった・・・・
 それはそれは徐々に、慎重に、しかし確実に・・・

「9・・・10!・・・どうです気分は?」
「あ・・・とてもいいです・・・・」
 -ドキッ-
(え?何この感じ・・・)
 樹莉は雄介をじ~っと見つめる。
「どうしました?」
(やだ・・・胸が高鳴ってる・・・これって・・・・あ、そうだ!)
「先生・・・私なんだか胸がドキドキするんです・・・診ていただけませんか?」
(先生に診てもらうんだったわ!なんで忘れてたのかしら・・・)
「え?でも聴診器は隣の部屋だし」
「あ、勿論直接お願いします。聴診器がなければ直接手で触れる。当たり前じゃないんですか?」
「え?ええ。そうですね。当たり前です・・・ククククク・・・」

 樹莉は上半身裸になってソファに身を預ける。
 雄介は手を当て、胸をやんわりと揉んでいく・・・時々乳首に触れるように・・・
「ぅん・・・・ぁん・・・・」
「確かに鼓動がやや速いですね・・・ところで樹莉さん。『ドキドキするのって何が原因』だと思います?」
「っ!!」
 すると乳首が硬く尖り、肌が赤く染まる・・・
(あ、そうよ・・・私・・・発情してるんだった・・・)
 雄介は胸から手を離し、樹莉の次の行動を待つ・・・
 樹莉が明らかに困惑している。

「は、発情してるんです!鎮めてください!」
「・・・わかりました・・・」

 ついに樹莉が雄介に抱かれた・・・自ら進んで。
「ああ・・・いくぅっ!」
「イったらお前は奴隷になるんだ!淫乱な奴隷に!」
「あ!あ!・・・ああああぁぁぁぁっっ!!」
 -ビクッビクッ-
「お前は奴隷だ・・・奴隷だ・・・」
(あ、たし、は、ド、レ、イ・・・先生の・・・ドレイ・・・)

 数日後・・・
 樹莉はほとんどの時間を雄介の診療所で過ごしていた。
「ご主人様・・・樹莉を抱いてください・・・」
「ククク・・・いい子だ。じゃあ『淫乱な雌犬』になりなさい」
「!!くぅぅぅん!!くぅん・・・くぅぅん・・・」
(は、早く!早くわたしのおま○こにふっといおち○ち○を入れてえっ!!)
 樹莉は舌を突き出しダラダラをよだれを垂れる。

「樹莉。犬が服を着ているのはおかしいな。脱がせてやるからこっちへおいで」
「わうん!」
 シッポを振っているつもりなのだろうか、お尻をフリフリさせる。
 樹莉はトコトコと雄介の元へ歩み寄り、身を摺り寄せ、仰向けにねっころがる。
 いわゆる「服従のポーズ」というやつだ。
「はっはっはっはっ・・・」
「よしよし。お利巧さんな犬だな」
「わうん!」

「わうううぅぅぅぅんんっっ!!!」
 -ビクンビクッ-
 後ろから出されたと同時に、樹莉は気を失った。

 失神した樹莉を見下ろしながら雄介はつぶやく。
「まさかここまで上手く行くとはな・・・怖いくらいだぜ」
 その予感は見事に的中する事となるのだが、甘い思いはしばらく出来そうだ。

 8:20・・・とある食品会社
(・・・とまあ、狩野が洗脳された経緯はこういう感じだったな。お、出てきたか・・・「ライブラリー」発動!3人!)

 龍正は再び樹莉の心を探る・・・
(ん?なんだこの本・・・赤い本?見たこと無いぞ・・・・)
 その赤い本には何も書かれていない・・・
(あれ、待てよ・・・・一度だけ・・・どっかで・・・)
 その一度を龍正は思い出せなかった。
(使い方がわからん・・・ただ、分類が「状態」であるところだけがヒントか)

 17:00・・・同場所
(退社の準備か・・・時間交代制なんだな・・・・あ、また範囲外か・・・)

 龍正は樹莉が出てきたところを接触した。
「すみません。狩野さん。貴女のご主人様はいい人ですか?」
「!?え?何で?」
「あ、僕は彼の友達なんですよ」
「ああ、それで・・・ええ、とっても良い人よ。私はあの人のために生きてるの」
「ああ、それを聴けたら良いですよ。どうも」
 去っていく龍正を不思議そうに見る樹莉。
 龍正はうっすらと笑みを浮かべていた。
(完全に壊されてるな・・・奪いがいがありそうだ。なあ飛騨とやら)

 20:00・・・龍正の自宅・・・会議室
 龍正は麻衣の報告をまとめ、作戦を立てる。
 この席に優嘉は居ない。ふてくされて寝ている。
「さて、明日の作戦を練る・・・といっても明日は俺がターゲットを落とす」
「では私は?」
「俺のサポートに入ってくれ。出来れば麻衣がターゲットを誘い込んで、長々と会話して欲しい。その間に俺が何とか『調整』してみよう」
「わかりました」

 その会話をこっそりと聴いていた優嘉には思うところがあったのだろう。
(ふうん。明日が勝負の日なんだ・・・)

 龍正の部屋・・・
(にしても、雄介が狩野以外に欲しないところを見ると・・・狩野はよほどの身体なんだろうなあ・・・あわよくば俺もヤりてえ・・・)
 龍正はまだ見ぬ狩野の裸体を想像していた。
 -ガチャッ-
「っ!!?」
 入ってきたのは麻衣だった。
「・・・ぁ・・・あの・・・その・・・」
 まだ優嘉に遠慮しているようだ。だが「諦められない」のだろう。
 明らかに龍正の一声を期待している。
「・・・来いよ。麻衣」
「!は、はいっ!!」

 優嘉は龍正の部屋から漏れる媚声をオカズにオナニーしていた・・・
(うん・・・たまには・・・麻衣ちゃんに・・・させてあげないと・・・)

 21:00・・・飛騨の別宅
 飛騨のペニスを咥えながら、樹莉が今日の事を報告する。
「ご主人様。今日は不振な人物が・・・」
「何?・・・用心しとくか・・・樹莉、よく聴きなさい・・・お前は・・・・・」

 それぞれの夜は更ける・・・
 対決の日は近い・・・

< 続く >

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