いいなり古文書 ~第1話~

~第1話~

 みなさん、こんにちは!
 健二です。

 さてさて、不思議な古文書を手に入れた経緯については、この前お話した通りです。
 ここからは、その古文書を使いまくったムフフ生活について、お話していきましょうか。

 こんな素晴らしい可能性を秘めたアイテムを手に入れたら、男の考えることは一つでしょう!
 特に僕のような性欲旺盛なヤツの考えることは…《ハーレムを作りたい!》これに尽きます。
 それも、今まで僕に見向きもしなかった女性達を我が物にすることこそ、男のロマン!
 やり方はちょっと歪んでいるけど、読んでいただいている男性の方々なら、この気持ちを共有してもらえますよね!

 ということで、そのための第一歩は環境づくり。
 僕が羽目を外しても受け入れてくれたり、ハーレム作りに没頭していても生活できる基盤を作らなきゃ!

 そこで、まず住環境。
 不動産屋の社長でも傘下に入れて物件提供させようかとも思ったけど、そんなことはこれからいくらでも出来そうだし、今はあまり興味がない。

 それよりも、他人の生活に勝手に入り込んでのパラサイト生活の方が、刺激もありそうでそそられる~。
 もし飽きてしまったり何か問題が発生したら、宿替えすればいいし…。

 さてと…そうと決まれば後はターゲット選び。

 誰にしようかな…

 ……………。

 あまり考えるまでもなく、一人の女性の顔が浮かんできました。
 その女性はアパートの斜め上の部屋に住んでいる25歳くらいの多分OLさん。
 肩の下あたりまでのセミロングヘアと、スーツ姿がよく似合う可愛らしい女性で、前から“あんな人と付き合えたらいいなぁ~”と思ってたんですよねー。

 朝夕時々見かけるけど、挨拶交わす程度で、お互いまだ名前も知らない関係…。
 でも、これが今日を境にあらゆる段階を一気にすっ飛ばして、共同生活に入れるかもしれない期待感!
 あの人には、全てのプライバシーを曝け出してもらいましょう!
 なにせ、ハーレム計画の最初の犠牲者…いえいえ、選ばれし優れた女性なのですから…。

 期待感に胸膨らませ、彼女の帰宅を待つ僕…。
 とりあえずは偶然を装わなければならず…
(別に後で記憶操作しちゃえば問題なさそうだが…とりあえず最初はスマートに…)
 部屋の窓からずーっと駅方向への道を眺めながら待つこと一時間。

 向こうの方から歩いてくる彼女を発見!
 この辺はお店もちらほらある、比較的人通りも多い場所なので、夜6~7時は歩きでも大丈夫な所。

 タイミングを計り、外に出ると…
 よっしゃ!ちょうどアパートの敷地内に彼女が入ってきた~。
 おー、今日は紺のスーツに黄緑色のブラウスですか~。相変わらず可愛いなー。
 …って見惚れてる場合じゃない!

 さぁ、勇気を出していこう!
 読者の皆さんも、このときの胸の高鳴り…容易に想像していただけますよね!

「あ、どうもこんばんはー」
『あ、はい、こんばんは』
 (可愛い声!)
「お仕事帰りですか?」(白々しい…)
『え?、ええ…』
「そうだ!すみません、ちょっとお聞きしてもいいでしょうか?」(わざとらしいけど…いけいけっ!)
『え、何ですか?』
「実は、これの意味が分からなくて困ってたんです…分かりますか?」

 すかさず古文書を見せるナイスな僕…。
 彼女は怪訝そうな顔しながらも、もともと人がよさそうな顔立ちのとおり、手にとってその古文書を眺めてくれました。

『……………』

 やった!
 骨董品屋の店主と同じように、無機質な目つきで心ここにあらずの放心状態!
 さぁ、時間がない!用意していた質問と要求を完了させなければ!

「もしもし、聞こえますか?」
『はい…聞こえます…』

 うおーっ…この感動、皆さんにも分けてあげたい!!
「あなたの名前は?」
『藤木美帆です』
(美帆ちゃんね!…うーん…名前も可愛い!)

「では、美帆さん、僕は健二といいます。覚えてください」
『はい…健二さん…覚えました…』

「あなたにとって、私は大恩人です。何の恩人かなど必要ありません」
「あなたが生きていく上で、なくてはならない存在なのです。いいですね?」
『はい…健二さんは私の大恩人です…』

「大恩人は一緒に生活してご恩返しをするのが当然です。そうですよね?」
『はい…その通りです…』
(ここは大事なところ!念を押さねば!)

「今後あなたと僕が生活を共にすることに疑問を感じたり、嫌がることは決してありません」
「むしろ、大恩人に生活の中でご恩返しが出来ることは、あなたにとってとても嬉しく幸せなことです」
「それに、私達は前から一緒に生活していたのです。いいですね?」
『はい、一緒に生活して、健二さんにご恩返しすることは、とても幸せなことです…』
(はぁ…こんな可愛い女性にこんなこと言ってもらえるなんて…僕の方が幸せすぎる!)

「あなたはもうすぐ目覚めますが、今後僕が言うことやること全て“当たり前”のことです」
「ですので、あなたもそれを受け入れるのは“当たり前”のことですし、大恩人の要求は絶対です」
「そして、それに応えることがあなたの喜びです。いいですね?」
『はい…健二さんの言うことすることは全て当たり前のことです…』

「最後に、今後私が【落ちろ】と言ったら、あなたはまた今のような状態になります。いいですね?」
『はい…わかりました…』

 程なく彼女は目覚めました。
 さぁ、その結果やいかに!

『あ、あれ?』
『あ、健二さん!』
『健二さんも今帰ったのですか?』
 (涙が出るほど嬉しいこの反応っ!)

「そうだよ、グッドタイミングだね。実は鍵落として困ってたんだ。開けてくれる?」
『あ、はい!待ってくださいね!』
 そう言って、やや慌て気味で鍵を開けてくれました。
 当たり前のように部屋に入っていく僕を、まったく咎める様子もない美帆。
 初めて入る美穂の部屋…。
 一人暮らしの女性らしく、住みやすそうにまとめられていて、女性特有の甘い香りのする可愛い部屋。
 ここがしばらく間、僕の生活の場になるなんて…生きててよかった…。

「美帆、そこに座ってくれない?」
『あ、はい』
 とりあえずソファに座らせて…
「美帆、落ちろ」
『!! ………』

 よしよし、この効果も大丈夫っと。
 ついでに、美帆が敬語だと、共同生活としてはぎこちないからな。

「美帆、僕は君の大恩人だけど、目覚めたら僕には敬語を使わなくていい。わかったね?」
『はい…わかりました…』
「それから、美帆は今付き合ってる彼氏いるのかな?」
『はい…います…』

 幾分ガクッときたけど、まぁこれだけ可愛いんだから、彼氏くらい当たり前か。

「美帆の年齢は?」
『25歳です』(ズバリ!大当たり!)
「仕事は?」
『はい…○△商事の営業部です…』

 その他にも彼氏とは2年ほどの付き合いであること、月3~4回は外泊付きのデートをしていることなどを聞き出したところで目覚めた様子。

「美帆、今日彼氏と会う約束は?」
『え、無いよぉ』

 よしよし、敬語もなくなったぞ。これで余計に親近感湧くなぁ…。
「彼氏と会う約束なければ、二人でゆっくりしよう。…とりあえず一緒にお風呂入ろうか」
「いつもの“当たり前”の事だから、いいでしょ?」
『え…一緒にお風呂!?(そっか…健二さんが言ってるんだから、一緒に入って“当たり前”よね)』
『うん、一緒に入りましょ!(健二さんは大恩人なんだから、私が身体をキレイにしてあげなきゃ!)』

 やった! ついにやりました! 憧れの美帆とこんな急展開を迎えられるなんて…
 さぁ、いよいよ美帆の身体検査! …というところで、次回期待してね!

< 第2話に続く >

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