誰が為に銃声は鳴る 外伝「疾風の女盗賊」(後編)

外伝 「疾風の女盗賊」(後編)

第2章

 次の朝早く、レックスとマリッサは駅に来ていた。さすがに全裸はマズいので、マリッサは下着だけは着けて貰っていた。
 しかしマリッサはどうしても下着に馴染めなかった。昨日までは当たり前に着けていた筈なのに、違和感があって動きづらい。
 レックスは夜になったらこの邪魔な布切れを取ってくれると言っていた。楽しみだ。
(人間はよくこんなもの着けて歩いてるね。邪魔くさくてしょうがないよ・・・・・・でも人間の姿してる以上、レックスに迷惑かける訳にもいかないしね)
 一晩宿を借りた事によってマリッサはレックスに恩義を感じていた。そして自分に指一本触れようとしなかった事に対する寂しさも。

 レックスは制止に入ろうとした駅員に通常の十倍の運賃を払って黙らせると、マリッサを伴って汽車に乗り込む。
 人々が眉をひそめ自分を見ているのがマリッサには心地いい。
(あぁ・・・・・・恥ずかしい・・・・・・あたしは牝犬だから、恥ずかしいのが気持ちいい・・・・・・)
 うっとりと目を細める。既に下着には淫靡な染みが浮かんでいた。

 汽笛を鳴らし汽車が動き出すとレックスは食堂車に向かう。
 レックスはテーブルに着くが、マリッサは当然床の上だ。運ばれてきたTボーンステーキに手を使わずにかぶりつく。なかなか噛み切れずに悪戦苦闘している内に、口の周りはソースと肉汁と涎でべとべとになっていた。

「・・・・・・汚ねぇな・・・・・・ちょっとこっち来いよ」

 マリッサを呼び寄せるとレックスは口の周りの汚れを舌で舐め取っていく。

 嬉しい! マリッサの胸は喜びで爆発しそうだった。
(ご主人様にやっと構って貰えた! あたしも何かお返ししなきゃ!)
 初めてレックスの事をご主人様と認める。いや、心の中では既に認めていたのかも知れない。
 おずおずと舌を伸ばし、レックスの口や頬を舐めていく。レックスが嫌がる素振りを見せたらすぐに止めるつもりだったが、そういう様子は見せなかった。それがまた嬉しい。
 だんだんとマリッサの舌の動きは大胆になっていった。
 彼女にとってはただの親愛表現のつもりだったが、傍から見ると濃厚なキスシーンにしか見えない。
 周りから聴こえてくる囁き声と蔑んだ視線がマリッサをますます興奮させていく。
(あんたがた人間には分からないんだろうね。信頼するご主人様に可愛がって貰う事がどれ程幸せな事なのか・・・・・・可哀想に・・・・・・)
 マリッサは夢のような気分でレックスの口を舐め続けていた。

 客室に帰ってからもマリッサの疼きは収まらない。潤んだ視線は真っ直ぐにレックスに向けられ、胸の谷間を強調するように両手の間隔を狭め、腰をくねくねと揺すっている様はまさに発情した牝犬そのものだった。
 その様子を見て淡々とレックスが尋ねる。

「抱いて欲しいのか?」

 その言葉にマリッサは身を竦ませる。確かに抱いて欲しかったが自分は犬だ。わざわざ犬を抱く物好きがいるとは思えない。それに犬とセックスした男としてレックスに悪評が立つのも嫌だった。彼に迷惑をかけたくない。
 そんな彼女の気持ちを見透かしたかのようにレックスは続ける。

「お前は確かに牝犬だが、ラッキーな事に体は人間だ。傍目には人間同士のセックスにしか見えねぇから安心しろ。ま、どうしてもやりたくねぇってんなら、俺はどっちでもいいけどよ」
「そんな事ないよ!」

 マリッサは思わず叫んでいた。

「あたしだって、今すぐ抱いて欲しいんだ。でもあん・・・・・・ご主人様に迷惑がかかると思って・・・・・・レックスさえよかったらあたしを完璧なご主人様だけの牝犬にして欲しいんだよ・・・・・・」
「そうかよ。じゃあ抱いてやるぜ。さっさと下着を脱ぎな」

 レックスの言葉に心から感謝し、マリッサは下着に手をかける。しばらく手を使ってなかったのでちょっともたつく。本当に邪魔な布切れだ。
 下着を放り出すとマリッサはレックスの方に尻を向ける。犬の正常位をとったつもりだったが、レックスは言う。

「せっかく人間の体持ってんだ。人間の体位でやろうぜ。俺の上に乗れよ」

 マリッサはレックスの指示に従い、横になったレックスの上に跨る。そしてレックスの陰茎を優しく掴むとゆっくりと自分の秘所にあてがっていく。
 充分濡れていたマリッサの秘裂はずぶずぶと容易くそれを飲み込んでいく。

「んっ、あはぁぁぁんん!」

 根元まで怒張を挿入すると、もうマリッサは止まらなかった。激しく腰を打ちつけ、快感を得る事に必死になる。子宮に届く位、奥深くまでレックスのモノを咥え込んだかと思うと、今度は抜けるギリギリまで体を持ち上げ、一気に突き通す。レックスの牡チンポに体の中を蹂躙されるのはたまらなく幸せだった。
 結合部からぐちゅぐちゅといやらしい水音を響かせながら、マリッサは叫ぶ。

「あぁっ、しあわせぇっ、んんっ、ごしゅじんさまのチンポ、あっ、凄く、きもちいいのぉっ、ひゃあぁぁん!」

 レックスは下から手を伸ばしマリッサの豊満な胸を揉みしだき、乳首に指を這わすと好きなように弄ぶ。

「はぁああっ、気持ちいいっ、もっとぉっ、もっと、ご主人様のっ、あぁっ、好きなようにっ、あぁんっ」

 クリクリと乳頭を愛撫されながらマリッサはレックスがより弄びやすいように、レックスの手の平に胸を一層強く押し付ける。
 この時ばかりはマリッサは自分が人間の姿をしている事に感謝していた。
(はぁ、人間の格好、んっ、してなきゃ、こんなっ、体位でなんか、はぅっ、出来ないもんね、あんっ、それにご主人様のっ、顔を見ながら出来るのも、んぁっ、幸せっ)
 マリッサに呼吸を合わせるように腰を動かしながら、たまに小さな呻き声を上げるレックスがとても愛しく感じる。

 客室のドアはレックスの意向で開け放たれていた。たまに通りかかる乗客が驚愕の表情を浮かべて足早に通り過ぎる。
 レックスの計算どおり、マリッサの体はドアの方に向いていたのでそういった客とモロに目が合う。その度に羞恥と興奮でマリッサの肉壷は波打つように蠢き、レックスの肉棒をぎゅうぎゅうと締め付ける。ついにマリッサは叫びだす。

「ああっっ、お願いぃ、見ないでぇ、はあぁん、、恥ずかしいからぁ、うぅん、恥ずかしいからもっと見てぇっ、あああっ、見られるの、ああっ、気持ちいいのぉっ!」

 支離滅裂な言葉を吐きながら、マリッサは至福の快楽を味わっていた。皆に見て貰いながらご主人様に抱かれる、これ以上の幸せがこの世にあるだろうか?
 激しく腰を上下させていたレックスにもそろそろ限界が迫っていた。短い言葉で告げる。

「そろそろ、出すぞっ」
「ああぁっ、出してぇ、ご主人様っ、いやらしい牝犬のあたしに、いっぱい種付けしてぇっ! ああああぁぁっ! イクっ! イクゥゥッッ!!」

 大量の精液が放出されるとマリッサは体を震わせながら、レックスの上に倒れこむ。
 しばらく絶頂の余韻に浸っていたがやがて結合したまま、舌でレックスの汗ばんだ体を丁寧に清めていく。
 それは親愛表現であると同時に初めての愛情表現でもあった。
(あたしはご主人様の飼い犬なんだ。いっぱい尽くしてもっと可愛がって貰わなきゃならないね・・・・・・)
 瞳を淫蕩に染めながら、マリッサはレックスの飼い犬である自分に誇りを感じるのだった。

 レックスが自分の飼い主であると認めてから、マリッサの態度は急激に素直になったので二人の旅は順調そのものだった。
 レックスはマリッサが主に活動拠点にしているいくつかの町を聞き出し、必ずそこで下車する。

 そこでマリッサはレックスの指示通り四つん這いで歩き、彼女の知り合いがいそうな所で小便かオナニーをさせる。その繰り返しだった。
 もちろんマリッサは嬉々として従う。知り合いに見られた方がより恥ずかしくて気持ちがいいし、なによりレックスの命令だ。逆らう理由など何も無かった。

 そうこうしている内に夜になり、やっと邪魔な下着を取って貰える。夜風が乳首や秘所を優しく撫ぜるのが気持ちいい。
(この気持ちよさを知らないなんて、人間って本当に可哀想だよ・・・・・・ご主人様に感謝しなくちゃ)
 マリッサはわざと秘所を見せ付けるようにレックスの前を歩き出す。ご主人様に見られてる、そう考えるだけで彼女の花弁はじっとりと湿ってくるのだった。
(ご主人様が少しでも興奮してくれたら嬉しいんだけどね)
 そんな思いのマリッサにレックスが声をかける。

「そろそろ最後にするか・・・・・・帰りの時間もあるしな。この町でお前の知り合いが一番集まりそうな酒場はどこだよ?」

 マリッサが教えた酒場に彼女は一人で入っていく。もちろん全裸だったが、ナイフ・ホルスターを肩に掛け二本足で歩く。この酒場では人間として振舞うように命令されていた。
 当然のようにテーブルに登り、足を大きく広げると真っ赤になりながら宣言する。

「今から、あたしはここでオナニーする。もし嫌じゃなかったら・・・・・・見ていておくれ」

 体勢と羞恥に染まった顔の表情は全く合っていなかったが、そのとろんと欲情した目つきは男達の獣欲を誘うには充分だった。
 ポカンとしていた男達から次第に歓声があがり、酒場中を包んでいく。気の早い奴はもうコインを投げていた。
 盗賊の癖に身持ちが堅く、ナイフの腕もあり、高嶺の花だと思っていた女が目の前でオナニーすると言っているのだ。異常さは感じたが酒に酔っている事もあり、興奮の方が遥かに強い。
 
「けっ、天下のダーク・ウィンド様も変態女だったって事かよ。オナニーだけでいいのか? なんだったら俺がもっと気持ちよくしてやるぜ?」

 そして酒に酔って興奮しているという事は、当然こういう奴も現れる。見事な体躯の男がマリッサの方に近づこうとした次の瞬間、男の足元の床にマリッサのナイフが突き刺さっていた。
 酒が入って赤ら顔だった男の顔が一気に蒼白になる。男の目にはいつ抜いて投げたのかも分からなかった。
 この酒場に入る前にレックスにこれはナイフだと言われてやっと思い出したが、マリッサの腕自体は衰えていない。

「あたしに指一本でも触れてごらん。只じゃ済まさないよ」

 凄みのある口調で男を、酒場全体を威圧する。
(あたしの体に触れていいのは、ご主人様だけなんだ)

「無粋な奴のせいで盛り下がっちまったね。見るだけなら、いくら見ても・・・・・・いや、見て欲しいんだ。頼むよ・・・・・・」

 そこまで言われて断る理由は無かった。大男は店から叩き出され、酒場は再び熱狂的な空気に包まれる。

「それじゃ、始めるよ・・・・・・」

 そういうなり、マリッサは股間の割れ目に沿って右手を這わせる。

「はっ、はぁあっ、あぁっ」

 すぐにマリッサの秘裂からはぐちゅぐちゅと淫靡な音が響き出す。男たちの野卑な視線に晒されている。その事がマリッサを一層興奮させていた。
(ああんっ、こんな奴らに見られちゃってるぅっ! 悔しいのに、恥ずかしいのにっ・・・・・・もっと見ておくれよっ、下品な視線でマリッサをもっと犯してぇっ!)
 マリッサは男達をもっと興奮させたかった。そしてその視線で自分も興奮したい。
 左手は豊満な乳房をなぞって乳輪をクルクルと撫で回し男達に扇情的な笑みを向ける。

「ほら見えるかい? あたしのここもうこんなにビショビショなんだ。乳首も摘むからよく見てなよ」

 秘所を自分の指で左右に押し広げる。なるべく奥の方まで見えるようにした為、クリトリスが固く勃起し膣壁がひくひくと蠢いて、愛液が流れ出す様子がはっきりと見えた。
 そして宣言通り乳首を摘むと思い切り引っ張る。乳房が伸びきる限界まで引っ張るがマリッサには熱に浮かされたような快楽しか感じられなかった。

「も、もう我慢できねぇ!!」

 男の一人がズボンをひき下ろすと自分のチンポをしごき始める。

「な、なぁマリッサ。アレだろ? 体に触れなきゃいいんだろ? 俺もオナニー位させてくれよ」

 男の懇願にマリッサは妖艶な微笑みを返す。
(あんなにビンビンにしちゃって。可愛いね。それにあたしを見る、獣の様な目・・・・・・ゾクゾクする・・・・・・)

「ああ、構わないよ。あたしをよく見て、一緒に気持ちよくなってくれるなら大歓迎さ」

 その言葉を聞き、その他の男も一斉にズボンを下ろし自分のモノをしごき始める。一人の女を中心にして周り中の男がオナニーを始める。その異様な光景は魔女のサバトのようだった。
 マリッサ自身もその光景に興奮を覚え、アソコの中に指を出来る限り深く突っ込んでかき回していた。ぐちゅぐちゅと淫靡な音が酒場に木霊する。

「あはっ、ああぁっ、ほらっ、よく見てっ、恥ずかしいあたしをっ、くあぁんっ、もっと見てぇぇっっ!!」

 たった今まで自分の中に入っていた愛液のついた指を突き出した舌でいやらしく舐めしゃぶりながら、別の方の手でクリトリスを弄ぶ。

「あああっ、ダメっ、イキそうっ、ああはぁっ、もうっ、イクっ」
「俺もダメだっ! もう我慢出来ねぇっ!」
「俺もだっ! マリッサっ! 頼む、お前に掛けさせてくれ!」

 羞恥の快感に混濁した意識でマリッサは叫ぶ。体中から汗を噴き出し、指のストロークを一層速め自分自身を絶頂に誘っていく。

「いいよっ、いっぱいかけてっ、あたしの恥ずかしい体に精液いっぱいかけてぇっ、ああっ、あああぁぁぁっっっ!!」

 マリッサが絶頂に達するとほぼ同時に男達のザーメンが大量に彼女の体にかけられる。マリッサは飛びそうになる意識をなんとか繋ぎ止めながら、幸福感に酔いしれていた。
(ああ、こんな人前でオナニーして・・・・・・こんな奴らに体を汚される事がこんなに気持ちいいなんて・・・・・・)

 店の裏手で待っていたレックスの所に帰った時、マリッサは全身ザーメンまみれで、歩くたびポタポタと滴が垂れる有様だった。
 とりあえず、つけられてる様子は無い。つけて来たら殺すし、二度とこの店には現れないと念を押してきたせいだろう。
 レックスはマリッサの姿を見て顔をしかめる。

「ずいぶん派手にヤッってきたみてぇだな。向こうの方に井戸があったからさっさと洗って来いよ」

 ご主人様煮に嫌われたくない。その一心で慌てて四つん這いで駆け出していくマリッサを見送りながらレックスは考えていた。
(そろそろ仕上げの時間が来るな)

「いやああぁぁぁっっ!!」
 
 朝、最初に汽車に乗った町、スラムの一角にあるレックスの隠れ家にマリッサの絶叫が響き渡る。尤もスラムで女の叫び声など日常茶飯事だ。この程度の悲鳴で人が集まってくる事など無い。
 マリッサは素っ裸の自分の姿をなるべく隠しながら、部屋の隅でガタガタ震えている。普段の彼女を知っている者には信じられない光景だろうが、レックスにとっては予想通りのリアクションだった。

 魔弾№.5<誤認>。
 その名の通り相手に誤認識を与える事が出来るこの魔弾は、相手が納得出来る理屈さえ用意すれば簡単な刷り込みも行う事が出来る。尤もその為には相手の事をある程度知っている必要があったが。
 それでも誤認識を与える程度なら<洗脳>のように抵抗される事もないし、<恋慕>のように浸透に時間が掛かる訳でも無い。
 かなり使い勝手のいい魔弾ではあったが、きっかり24時間で全ての効果が切れ、その間の記憶も全て取り戻すという致命的な弱点があった。
 もちろん途中で解除する事も出来るが、効果時間が短くなるだけであまり意味がない。

 しかしレックスはその弱点を逆手に取る事を思いついていた。その為に手間隙掛けてマリッサを連れまわしたのだ。
 マリッサが今まで築いてきた、人間関係、信頼関係をぶち壊し、衆人環視の中でセックスする。レイプを心の底から憎んでいるマリッサにはそれは精神的にレイプされたのと同じ事だろう。
 レックスの予想通りマリッサは怯えた少女のような目をして震えている。今、彼女の自我は崩壊寸前まで追い詰められていた。
 酷薄な笑みを浮かべ、レックスは<洗脳>の魔弾をマリッサの額に撃ち込む。それは彼女の脳に浸透し、その瞳から急速に意思の光を奪っていく。

「マリッサ、恥ずかしがる事なんてないんだぜ?」
「・・・・・・恥ずかしがる事なんてない・・・・・・?」
「そうだ。お前はやっぱり牝犬なんだよ。ただし、俺専用のだ。人間に様に考え、動く事も出来るが俺の言う事には絶対に逆らえない、牝犬だ」
「・・・・・・あたしは牝犬。レックスの言う事には逆らわない・・・・・・」
「俺に絶対服従し、俺の為だけに生きていく事がお前の望みであり、喜びだ・・・・・・そう考えるととても幸せで気持ちがいい」
「・・・・・・レックスに尽くすのがあたしの生き甲斐。んっ、んぅん・・・・・・凄く気持ちいい・・・・・・」

 マリッサは切なげに腰を揺すりアソコに手を伸ばす。じわりと股間が湿っていく感覚が気持ちよかった。
(・・・・・・生き甲斐、あたしの生き甲斐はレックスの・・・・・・ご主人様の命令通り生きていく事・・・・・・あぁ、ご主人様の声を聞くだけでこんなに気持ちいい・・・・・・)
 その様子を見ながらレックスは続ける。

「いいか、マリッサこの言葉を繰り返せ。繰り返すたびにお前の快感は倍々に積み重なっていき、お前の心の中で絶対の真実になる・・・・・・お前は俺の『忠実で淫乱な牝犬』だ」
「あたしはご主人様の忠実で淫乱な牝犬・・・・・・ふぁっっ」

 マリッサの体がビクンと跳ねる。それは肉体の快楽とはまた違った、脳の中のスイッチが直接押された様な快感だった。
(凄い、凄い気持ちいい! やっぱりご主人様の言う通りすればいいんだね。・・・・・・あたしは忠実で淫乱な牝犬なんだ・・・・・・)
 マリッサは快楽に身を任せる事にする。そしてご主人様からの命令を何度も繰り返す。

「あたしは忠実で淫乱な牝犬、あはぁっ、あたしは忠実でいんらっ、んなめすいぬぅっ、ああっ、はぁぁん、あたしはあぁぁっ、ちゅじつでっ、いんらはぁんなぁ、あ、ああぁっ、めすいぬぅっ、あらあっはぁっしぃはぁっ、ちゅうっ、っちゅうぅじつでぇっ、いなんなぁっ、はぁぁぁっ、あっ、めすいにゅうぅっっ!! あっ、あっああああぁぁぁぁっっっ・・・・・・」

 絶頂の波がマリッサを何度も襲う。それは彼女が今まで体験してきた快感を軽く凌駕していた。汗の滴る体を床に投げ出しながら、体を小刻みに震わせる。秘所から流れ出す愛液は床に広がり、淫靡な染みを作っている。
 焦点の合わない目を中空に彷徨わせながら、なおもマリッサは誓いの言葉をブツブツと呟き続け、反射で体をガクガクと痙攣させている。
(あたしはご主人様の忠実で淫乱な牝犬・・・・・・あたしはご主人様の忠実で淫乱な牝犬・・・・・・あたしはご主人様の忠実で淫乱な牝犬・・・・・・)
 それはもはやマリッサの中で絶対の真理になっていた。ご主人様の為に生きる、そう考えただけで心は悦びに打ち振るえ歓喜の涙を流す。

「そろそろいいぜ。<洗脳>〝解除〟だ」

 これ以上やっても壊れるだけだ。そう判断したレックスが言うと、やっとマリッサの痙攣が収まる。しかし心の奥深くに刻まれたレックスに対する絶対の忠誠心は二度と失われる事は無い。マリッサはその事に誇りを感じていた。たった今水から上がって来たかの様に、全身から汗を滴らせながらレックスを熱い敬愛の視線で見つめる。
 本当は指一本動かしたく無い程疲れ果てていたが、ご主人様の前で寝転がるような醜態を晒したくは無い。
 
 レックスはついでとばかりにマリッサに<恋慕>の魔弾を撃ち込むが彼女はそれすら意に介さなかった。
(あたしはご主人様の忠実で淫乱な牝犬なんだ。何をされようがご主人様のやる事に従うだけさ)
 そんなマリッサにレックスが尋ねる。

「俺の牝犬になった感想はどうだ?」
「もちろん最高の気分だよ! 皆の前でした事はちょっと恥ずかしいけど、ご主人様の牝犬になる為には仕方ない事だしね」

 マリッサはありったけの忠誠の念を込めて即答する。その言葉を聞くとレックスはマリッサの側により、突然その唇にキスをする。
 彼女は驚愕したが、その驚きは悦びによるものでしかなかったので抵抗無く口を開き、レックスの舌を受け入れ自分の舌も絡ませていく。
(いきなりご褒美が貰えるなんて、凄い幸せ・・・・・・やっぱりご主人様は優しいね)

 レックスはマリッサの首筋に舌を這わせながらジーンズを脱ぎ捨て、そのままマリッサを床に押し倒し既に充分濡れていたマリッサの秘所に肉棒を一気に突き入れる。

「あはぁっ、あっ、あっ、はぁんっ」

 嬌声を上げながらマリッサは両足をレックスの腰の上に回し、しっかりと組んで彼のモノが絶対に抜けないように、より深くまで迎え入れられるようにする。
 ご主人様のモノに、絶対の忠誠を誓う逞しい牡に貫かれているという事は、彼女にとってなにものにも代えがたい至福の瞬間だった。
 恍惚の表情を浮かべながらマリッサは懇願する。

「はぁっ、んっ、もっとぉっ、もっと突いてぇっ、あんっ、ご主人様のチンポでっ、あたしをもっといやらしい牝犬にしてぇっ!」

 荒々しいストロークを繰り返していたレックスだが、その言葉を聞きますます腰のピッチを早める。午前中に一度したとはいえ、ずっと美女の痴態を見てきたのだ。そろそろ限界が迫っていた。

「ああっ、出してやるぜっ、淫乱な牝犬に、俺の精で種付けしてやるっ!」
「嬉しいっ! たくさん出してっ! ご主人様の精でいっぱい種付けしてぇっ!!」

 絶叫するマリッサに向けてレックスは大量の精液を放出する。その瞬間マリッサの意識は吹き飛び、かつてない絶頂感と多幸感に酔い痴れるのだった―――――。

エピローグ

 ―――――数日後。
 レックスの隠れ家のベッドの上でマリッサはレックスの耳に舌を這わせていた。レックスの腕が埋まる位豊満な乳房を押し付け、片手はレックスの陰茎を緩やかにしごき、もう片方の手は尻の穴を優しく愛撫している。

「ご主人様に言われた事の調べがついたよ」

 レックスの耳に息を吹きかけながらマリッサは色っぽい囁き声で言う。レックスに言われていた事、それは付近の町の腕利きの情報を集めてくる事だった。
 レックスは自分の勢力を更に拡大させるつもりだった。その為にもっとたくさんの忠実な腕利きが必要と考え、マリッサにその情報を集めさせていたのだ。
 盗賊にとって情報は命綱だ。ほとんどの盗賊は情報屋を兼業していたし、マリッサも例外では無かった。
 本来なら高い情報料をふんだくる所だが、ご主人様から金を取るなんて考えられない。レックスが喜んでくれるだけでマリッサは最高の気分だった。

「まず、あたしの活動範囲じゃないけど、近くの町にレミィって賞金稼ぎがいるよ。こいつは最近かなり有名で・・・・・・」
「ちょっと待て、レミィだと?」

 突然話を遮ったレックスを心配げに見やりマリッサは答える。

「そうだけど・・・・・・どうかしたのかい?」
「・・・・・・いや、何でもねぇ。続けろ」
「う、うん。・・・・・・それでそのレミィって奴がかなりの腕利きって話だよ。なんでも保安官のクリステルなんとかって奴とべったりで、そいつの町を主な活動拠点にしてるって話だ。これは噂だからアレなんだけど二人で組んで解決出来無かった事件はないとか・・・・・・」
「なるほどな、他には?」
「後は、ここからちょっと離れた町なんだけど、フィルって賞金稼ぎが有名だね。ちょっと変わり者らしいけど、腕は確かだって。さっき言ったレミィって奴と半年くらいコンビ組んでたらしいけど、意見が合わなくて別れたって話だよ」
「変わり者なら俺もお前もそうじゃねぇか」

 唇の端を曲げて笑うレックスにマリッサはホッとする。レックスの機嫌がいいと嬉しい。

「あとこれもちょっと離れた別の町なんだけど、ジョーカーって呼ばれてるギャング子飼いの暗殺者も凄腕らしいよ。ただ、とんでもない乱射魔(トリガー・ハッピー)でそいつを飼ってるギャングも持て余してるって噂だから、こいつには近づかない方がいいかも知れないけど。それと・・・・・・」
「それと、何だよ?」
「何でかは分からないけど、ユーナってインディアンがご主人様を探してるらしいよ。この町の近くに来てるってさ」

 それを聞いた瞬間、レックスは今度こそおかしそうに笑い出す。それは忍び笑いのようなくつくつとした暗い笑いだった。
 不思議そうに自分を見ているマリッサに言い渡す。

「ちょっと、方針変更だ。お前はとりあえず今言った連中をもっと詳しく調べて、ついでに俺をこの近辺で見た奴が複数居るって情報を流せ。だが噂の出所は絶対にバレないようにしろよ」
「いいのかい? そんな事して?」
「もともと俺は賞金首だ、噂の一つや二つ関係ねぇ。その情報自体が嘘なんだからな。・・・・・・どうしても誘き寄せたい奴がいるんだよ」
「分かった。ご主人様の言う通りにするよ・・・・・・でもその前にさぁ・・・・・・」

 そう言うと全裸だったマリッサは足を大きく広げると指で秘裂を開いて見せる。股間からは既に大量の愛液が滴っていた。
 最初からレックスの命令に逆らう気などなかったが、とにかくご褒美が欲しかった。

「我慢の効かねぇ、牝犬だな。・・・・・・いいぜ、抱いてやる」

 のしかかって来たレックスの逞しい肉棒に貫かれながら、マリッサは自分がご主人様の牝犬になれた事に心の底から感謝するのだった。
(ご主人様、愛してる・・・・・・。あたしはご主人様の為ならどんな事でも出来る・・・・・・)
 マリッサは自分の中で何度もその言葉を繰り返す。牝犬としての絶対の忠誠をどんな時も忘れない為に―――――。

< 続く >

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