復讐 二日目

二日目

 二日目。

 昨日はあれから体育倉庫の中で日が沈んだ後も何度も加奈の体を貪り、快感を覚えさせると共に体の芯まで僕の虜にしてやった。

 おかげでイクとまではいかないものの、好きと耳元で囁けばあそこを濡らすほどにまで恋心を育て上げた。

 加奈には萩山達に気付かれないようにと学園内での僕への接触は禁止しているが、代わりに歯が浮くような内容のメールが何通も僕の携帯へ送信されてきて鬱陶しい。

 とりあえず送信履歴だけは消すように返信しておいたけど、これから邪魔にならないか不安だ。

 もっと僕に夢中になったら余計な事はしないように躾けてよう。

 機嫌が良さそうな加奈の後姿を見てはぁ、と小さく溜息をつくと僕はまた授業を聞き流しながら机で隠した携帯で情報を読み取っていた。

 今度は海野千恵の情報だ。

 一番前の席に座っている千恵を遠目で覗いてみる。

 校内でも屈指の成績を誇る千恵は、長い黒髪をなびかせて真面目に授業を聞いていると思いきやその机には形だけ教科書が開かれているだけで一度も顔が前を向かない。

 一番後ろからでは見えにくいがどうやら授業とは関係の無い参考書を開いて一人、堂々と違う事をしている。
 教師もその事に気が付いていながら千恵を責め立てようとはしない。

 どういうことかと不思議に思った僕は再び携帯に書かれた千恵の情報に目を向けた。

「・・・・・・」

 情報によると千恵が先生に注意されないのは祖父がこの学園の理事に当たるからだそうだ。

 学園を経営する家柄という理由からか、千恵の両親はかなり教育的で千恵は幼い頃から英才教育を受けていたらしい。

 千恵自身も頭が良かった為、英才教育の甲斐あって千恵は両親、そして周りから期待される秀才へと成長した。

 しかし千恵が勉強を続け、品行方正であり続けたのは両親の期待を裏切りたくない一心からだった。

 子供らしい遊びも知らず、心だけを無理矢理成熟させていく。

 そんな生活は千恵の中の歯車を狂わせて、心に影を作った。

 それでも何とかこの学園に入るまで我慢して押さえ付けていた気持ちはこの学園に入ることでより一層祖父と両親の期待、教師の期待を身に受けてより重くなり千恵を苦しませる。

 我慢に我慢を重ね続けた結果、張り詰めた糸が切れ千恵はある日衝動に駆られ、地元から少し離れたコンビニで万引きをした。

 初めての犯罪。
 衝動的なものとはいえ自分が犯してしまった罪に千恵は一週間まともに睡眠を取れなかった。

 一週間の間に体の中で渦巻く罪悪感。
 顔を向ける人間が全て自分の罪を知っているような気がして、胃がむかむかとする。

 だがどこか不思議と心が軽くなった事が千恵をさらに困惑させた。

 やってはいけない事。

 しかしストレスがまた爆発するまでに膨れ上がり消化する術を他に知らない千恵は、その禁忌を犯すスリルが味わいたくてまた商品に手を伸ばす。

 月に1、2回だった万引きは週単位に変わり、そしていきなりの終焉を迎える。

 いつものように商品を鞄に入れた瞬間に背中を叩かれた。
 驚き振り返り、顔を見るとそこには同じクラスの女子生徒がいた。

 萩山沙織だ。

 反応できず、商品を鞄に入れたまま萩山に腕を引かれ、人通りの少ない所まで連れて行かれると千恵は泣きながら萩山に許しを乞った。

 誰にも言わないで欲しいと。
 なんでもするからと。

 だが人生の終わりのように絶望した千恵が見たのは意外なものだった。

 笑いながら萩山が鞄から取り出したのは、千恵と同じくレジを通していないコンビニの商品だったのだ。

 萩山の話を聞くと萩山が万引きしているのはほとんど自分と同じ理由で、結局その日は愚痴を聞かされた形で終わったが、何とも思ってはいなかった萩山に急に親近感が沸きあっという間に二人は親友となる。

 それからというもの千恵にとって萩山は心を許せる友達となり、萩山が誘うままに万引きで解消するストレスを僕へのいじめで補うようになった。

「・・・・・・ふぅん」

 つまり、鬱憤を晴らす為だけに僕に罵声を飛ばし嘲笑を浴びせたわけだ。

 頭の中で僕を嘲り笑い、見下した千恵の顔が浮かび怒りがふつふつと沸き上がる。

 こいつも許せない。
 もとより許すつもりは無いけど、こいつも一生を無茶苦茶にしてやる。

 千恵を陥れるに相応しい方法はすでに思いついている。

 僕はすでに興味を失った千恵の過去を最下部までスクロールする。

 そしていつもと同じように例のページへ飛んだ。

 カタカタ、と携帯を操作し新しい常識を書き込んでいく。

 当然ながら千恵は自分の身に何が起ころうとしているのか気付くよしも無い。

 よし、これでいい。

 僕は書き込んだ文を見直して更新する内容を送信する。

「・・・・・・っ」

 その瞬間、びくんと体を震わせて千恵の体が崩れた。

 座席が一番前ということもあり、ペンが床に落ちる音と共に教室の視線を集めたが幸いすぐに立ち直ったおかげで派手な騒ぎにはならなかった。

 千恵本人もまた何事も無かったようにしれっとした態度でペンを拾い机に向かいだしたので周りは何も声を掛けない。

 教師も声を掛けるかどうか躊躇していたが余計な事をしないほうがいいと思ったのか、悩んだ末に保身の為また授業に入った。

 周りのひそひそ声から察するに勉強のしすぎとでも思われているみたいだ。

 ふふ、今のはちょっと冷や冷やしたかな。
 まあ最悪クラス全員の意識を操作すればいいだけだけど、今度からは少し気をつけよう。

 苦笑しながら僕はウェブから切断すると、加奈に協力を仰ぐ旨を伝えるメールを送る。

 すると送信して数分も経たないうちに加奈からメールが返ってくる。

 その期待通りの内容が書かれたメールを見てほくそ笑むと、僕は携帯を閉じてポケットに大切にしまう。

 あと数時間で千恵に復讐ができる。

 黒い期待を胸に秘めながら僕はくだらない授業に耳を傾けた。

 昼休み。

 僕は加奈に萩山達には適当な理由を付けて離れさせ、こそっとトイレの個室に呼び出していた。

「はむ・・・ぺろ・・・んちゅ・・・ぺろ・・・」

 トイレの床に膝を着いて、言うがままに口淫奉仕に応じたのはいいがどうしても初めての口奉仕であるためにたどたどしく、性感を感じる部分とそうでない部分を不規則に舐められ正直気持ち良くはなかった。

「もっと裏筋にそって舐めてみて・・・そう、それからカリ首をくすぐる様に」
「ふ、ん、れろ・・・ちゅ、ちゅぱ・・・ふぉう?」
「うん。それから咥えて、唇で締め付けながら口を上下に動かして」

 だけどそんなのは些細な問題だ。
 知らないのなら教えればいい。

 どうせ僕の喜ぶ事なら何でもする女なんだ。
 すぐに覚えるだろう。

「ふ・・・じゅぶっ、じゅる、ん、んっ、じゅぶぶっ」

 僕に言われた通り、唇でペニスを挟みながら顔を行き来させる加奈。

 どうせまた教えないと気持ちよくないだろうと思っていた僕の予想を良い意味で裏切って、加奈の小さな口で頬張られると媚肉のような圧迫感があって予想以上に気持ちがいい。

 しかも小さな舌が往復運動の間にペニスを擦るので、経験のなさが逆に僕のペニスを喜ばせる結果となった。

「良いよ、加奈」
「ぢゅぶっ、じゅるっ、じゅぼ、じゅぼ、んっ・・・じゅるるるっ」

 僕が褒めると嬉しそうにして加奈はより一層早い動きで僕のペニスを責め立てた。

 零れる唾液をとっさに吸い取ろうとしてペニスに与える無意識の刺激が堪らない。

「で、出るよ・・・加奈っ」
「ふ・・・ん・・・んんっ・・・」

 醜悪な形をしたペニスから吐き出される、特有の青臭さを持ったネバネバした精液。

 それも体の中に吐き出されたこともあるそれをいきなり出すと言われれば、普通は嫌悪し顔を背ける。

 しかし加奈は今日フェラを要求した時に見せたように、強い意志を持って逆に受け止めようとペニスを深く咥えて口の中に含む。

 それが加奈が見せた加奈なりの愛情表現なのだろう。

 いいさ。こいつが愛情を見せたいのなら僕もそれを利用するまで。
 飛び散った精液を集めるのは面倒だから丁度いいし。

 僕は加奈の頭を押さえると、遠慮なく口の中に精液を吐き出した。

「ぐ・・・ふぅ・・・・・ぅぅう」

 張ったペニスが脈打ち、びゅる、びゅるっと音を立てながら精液は勢い良く加奈の口にぶちまけられる。

 そして射精が終わると押さえつけていた加奈の頭を離して口からペニスを抜く。

「加奈、口を開けて見せて」
「う・・・ぷぁ・・・ふぁい・・・」

 微笑みながら口を開けた加奈の口には唾液が混じった精液がいっぱいだった。

 好きな人に口の中に溜まった精液を見せながらこんなに嬉しそうにして、加奈は本当に頭が弱い女だなぁ。

「加奈、飲み込まないでいいから」
「ふぁ? ほうふるほ?」
「それはね・・・」

 加奈にこれからのことを説明しながら、僕はポケットからあるものを取り出して渡す。

 これでこっちの準備は完了だ。

 後は放課後を待つだけ。









「あら、もう来てたの? もしかしていじめられるのが好きとか?」

 放課後、いじめに使われる場所の一つである使われていない教室に入ってくるや否や千恵は僕に罵声を浴びせた。

 弱者を嬲る喜びに染まったその表情こそ変わらないが、今日はいつもと明らかに違う事があった。

 それは入ってきたのが千恵一人だという事。

 しかしそれもそのはず。

 萩山は木曜日も塾のため不在。
 特に木曜日は授業時間が長いので萩山は学校が終わるとすぐに塾へと向かう。

 残された二人は主犯の萩山を抜いていじめをする気はないのか、水曜・木曜日は呼び出されることはないのが決まりだった。

 しかし今日行動を起こしたのは萩山ではなく、千恵によるものだった。

 何故今日に限って都合良くと思うかもしれないが、これは千恵に書き込んだ内容が効果を発揮しての事。

・何故か分からないが今日はストレスが溜まって、ひどく苛々して仕方がない。

 プロフィールを見た以上、この文だけで千恵が僕を呼び出すことは簡単に予想が付いた。

 もともと千恵が僕を呼び出すのは心の平穏を保つ為。

 苛々して仕方がないならどうにかして吐き出さないといけない。

 万引きと僕と選択肢が二つあると思うだろうが、そこで出てくるのが今日が授業時間が長い木曜日であるという事。

 知っての通り千恵が万引きするのは地元から離れたコンビニである為に、放課後からそこ向かってではどうしても帰りが遅くなってしまう。

 となると僕に鬱憤をぶつけるしかないというわけだ。

「今日は・・・一人・・・?」
「そんなこと関係ないでしょ。それとも多い方が興奮するの?」

 こっちだってお前が一人で行動を起こせるとは思ってないよ。

 加奈からもお前に付き添うように頼まれたっていうメールが届いてるし。
 所詮お前が強気な態度を取れるのも周りに誰かがいるからだろ。

「あんたのその情けない顔を見ていたら本当に腹が立って仕方ないわ。ねぇ、いつものようにごめんなさいって、惨めでごめんなさいって土下座してよ」

 興奮した顔で僕に命令する千恵。

 だけど僕は無表情を保ちながらその場に立ち尽くしたまま行動を起こそうとはしない。

 只でさえ苛々してる上そんな僕の様子を見せられて、頭に血を上らせた千恵がマシンガンのように僕に雑言を浴びせようとしたまさにその時、教室にノック音が響く。

 こんな空き教室まで来て、ノックをする人間なんて一人しかいない。

 加奈だ。

 千恵も加奈が来たことに気付き、安心してドアを開けた。

 予想通りドアの向こうには加奈が立っていて、千恵は快く加奈を教室の中に迎え入れた。

 何故わざわざノックをしたのか問いかけようとして止める。
 両手に紙コップを持った加奈の姿を見れば聞くまでもないからだ。

「遅かったわね」
「ん、途中で飲み物買ってたから。はい、これ千恵の分」
「ありがとう、気が利くわね」

 千恵は加奈にお礼を言うと、何の疑問も抱かずに手渡された紙コップの中身に口をつけた。

 一口飲むと、それを机の上に置いてまた僕に侮蔑の目を向ける。

「馬鹿そのものな顔をして何を見てるのよ?」

 何の言葉も返さず黙り込んでいる僕を嘲り笑い、千恵はまた紙コップを手に取る。

 そしてまた一口。

「ん・・・コク・・・」

 紙コップを再び机の上に置いて僕に言葉を浴びせると思われた時、千恵は何を思ったのか置いたばかりの紙コップを口元へと運ぶ。

 コク、コクと白い喉がジュースを嚥下していく。

 千恵は口を離さずにコップを傾けて一度に残った中身を飲み干していく。

「ん・・・ふぅ・・・ん・・・美味し、い」

 最後の一滴まで飲み干して千恵はじっと空になったコップを見つめていた。

 満たされた顔半分、物足りないという表情も混ざっている。

「加奈・・・悪いんだけどそのジュースも貰っていい? なんだか変に喉が渇いちゃって」
「うん、いいよ」

 酔った目をしながら千恵は加奈からコップを受け取ると、またジュースに口をつけだす。

 ジュースに夢中で気付かなかっただろうが千恵に手渡す加奈の目は猫のように悪戯な輝きを放っていた。

 しかし加奈の異変にも気付かない様子で夢中でジュースを飲み干す千恵。

「美味しい・・・凄く・・・」

 二杯目のジュースもあっという間に無くなり、千恵は幸せそうな顔で呟く。

 だがそれも束の間で千恵はまたすぐに物足りなそうな顔をする。

 迷った顔ををしていた千恵はいつまでもジュースを飲んでいる場合じゃないと仕方なく僕に向かい合うが、その顔にはどこかぎこちなく落ち着かない。

 なんとか出した言葉も覇気がなく、途切れ途切れで千恵らしくないものだ。

「ね・・・ねえ加奈、悪いんだけど・・・今のと同じものまた買って来て貰えないかしら」
「またあ? 流石にお腹が水分で膨れちゃうよ?」
「え、ええ・・・そうなんだけど・・・なんだかすごく喉が渇いて・・・ね、お願い」
「ん~、じゃあ・・・ふふ・・・代わりにこれ飲みなよ」

 不気味に微笑みながら加奈はポケットからスポイトを取り出した。

 中には得体の知れない白く濁った液体が詰まっている。

「・・・何・・・それ?」
「なんだと思う?」

 目を細くして尋ねる加奈には不気味な迫力がある。

 それを見てようやく加奈がいつもと違うのに気が付いたのか千恵は逃げるように一歩後ろに下がった。

「分から、ないわ・・・」
「飲んでみたら分かるよ?」
「い、いえ・・・遠慮しておくわ。そんな得体の知れないもの飲みたくない・・・」
「え~、でも”これを混ぜたジュース”さっきまで美味しい美味しいって飲んでたじゃない」
「混ぜ・・・って、加奈・・・」

 また一歩下がる千恵を見て加奈はスポイトの先を口に含み、中の液体をほんの少し押し出す。

「えへへ、ちょっと苦いけど・・・美味しい」
「な、何なのよそれ」
「これ? せーえきだよ。東宮君の・・・精液」
「か、加奈っ!? 貴女何を言ってるのっ、どうしてそんなもの」
「五月蝿いなあっ、ごちゃごちゃ言わないで飲みなさいよっ」

 油断をしている者と、確かな目的を持っている者。

 その意思の違いか身長差が違うにもかかわらず狼狽する千恵に飛び掛り組み伏せた加奈は、スポイトを無理矢理口元へと宛がった。

 口を閉じて抵抗するが細いスポイトの先は容易に唇の間に差し込まれて、加奈の手によって僕の精液が口内へと押し出される。

「ふぅぅっ・・・むぶうううっ」
「せっかく東宮君が出してくれた精液なんだから吐き出しちゃ駄目だってっ」

 すぐさま吐き出そうとする千恵の行動を先読みして、加奈は手で口を塞ぐ。

「ぐうっ!?」

 いきなり口を押さえられ、勢いが逆流した精液が弾みで喉を通り、呻き声を漏らす千恵。

 しかし驚いたのもほんの一瞬で数秒の後、千恵の顔はあのジュースを口にしていた時のように蕩け、嫌がっていたはずの精液を自ら飲み込み始めた。

 トリップしたように虚ろな瞳。

 加奈の小さな体を押しのけようともがいていた体は力が抜け、だらんとだらしなく床に横たわっている。

「東宮君の精液美味しいでしょ?」
「ふああぁぁ・・・美味、しい・・・体が溶けそう・・・」
「・・・これなーんだ?」

 加奈はごそごそとポケットを探ると、憔悴した千恵の目の前にあるものを突き出した。

 僕の精液が詰まったスポイトだ。

 それを目にした千恵の目が爛々と輝き、脱力した体が動力を取り戻したように目覚めた。

「あああ、せーえきっ」

 大好きな玩具を目にした子供のように加奈の手にしたスポイトに手を伸ばすが、マウントを取っている加奈はあと少しで届くといったところで意地悪く持ち上げる。

「加奈ぁ、せーえき・・・頂戴ぃ、お願いっ」
「そんなに欲しい?」
「ほ、欲しい・・・欲しいぃっ」

 騒ぎ立てる千恵を一瞥して加奈が僕の方を見る。

 僕は加奈に頷いて合図すると、加奈は心得た顔をしてスポイトの先を千恵の口に捻りこんだ。

「全部一気に出しちゃおっと」
「ん、んんぅ・・・んちゅううっ」

 射精したようにスポイトの先から勢いよく精液が飛び出るのに合わせて、少しでも多く口にしようと千恵はスポイトの先をを吸う。

 僕に悪口雑言を浴びせかけて喜んでいた顔とは一変してうっとりとした幸せそうな間抜け面だ。

「ふぅぅぅっ、ん、ごく、ごく・・・んはぁぁ・・・あ・・・・・・・・・か、はっ・・・・・・ぎぃぃぃぃぃ、きひぃぃぃぃっ」

 精液を喜んで口にしたものの、飲み込んで数秒後に千恵は突然頭を抱えてのた打ち回る。

 その衝撃で吹き飛ばされた加奈は小さな叫び声をあげて、僕の元へと駆け寄ってくる。

「あ、頭ぁ、い、イク、イクっ、あ゛ぁああ、ぎゃうううううううっ」

 舌を突き出しながら白目を剥いて悶え苦しむ千恵のただ事ではないその様子に不安になった加奈が溜まらず僕に問いかけた。

「と、東宮君・・・大丈夫なの・・・すごく苦しんでるけど・・・ま、まさか・・・死んだり・・・しないよね」
「・・・もしそうだったらどうする?」

 真顔で答える僕を見て、加奈の顔が蒼白になる。

 そしてもう一度千恵の様子を見てから、加奈はぎゅっと強い力で僕の腕を握り締めて言う。

「わ、私が、東宮君の代わりに・・・なるよ・・・絶対に東宮君は私が守るから・・・安心して・・・?」
「ぷっ、あは、あははははははははっ。冗談だよ。嘘嘘、死んだりしないって」
「で、でもあんなに苦しそうにしてるよっ!?」
「違うって。ほら、よく見てみなよ。本当に苦しそうにしてる?」

 僕が指差した先には悶絶しているように見える千恵の顔があった。

 確かに傍目には死にそうに見える様でもよく見れば実際は違う。

 その口は大きく喜びに歪み、暴れまわっているのは脳が受ける快楽に体が耐え切れないからだった。

「どう見える?」
「なんだか・・・変だけど・・・凄く気持ち良さそう・・・・・・ひゃうっ!?」

 僕の体に寄りかかった加奈のお尻を揉んでやると、加奈は驚いた声を上げて身を竦ませた。

 だけど僕は手を止めるどころか、さらに下へと伸ばし優しく触れる。

 加奈も抵抗はしない。

「あいつは今気持ち良くなってるんだよ。加奈みたいにね」
「あ、んっ・・・でも、どうして?」
「加奈に頼んでジュースに入れて貰った精液に薬を混ぜておいたんだよ。その薬を摂取すると精液が麻薬みたいに脳に作用してああやってトランスするようになるんだよ」

 僕はそれらしいことを加奈に説明したが、それらは全部でまかせだ。

 そんな便利な薬は入れてないし聞いたこともない。

 加奈に渡したのは全部僕の精液しか入っていない。

 しかし千恵が貪るように口にしたのにはやはり理由がある。

 あの不思議なウェブページに書き込んだ結果だ。

・東宮拓哉の精液を飲むと幸福感が体中に溢れる。
・さらに何も考えられないほどに強烈な快感が襲う。
・受ける快楽は精液の濃ければ濃いほど強く、ストレスや不安が消え去り満ち足りた気分になる。

 加奈に渡したスポイトは三つで、一つは5倍の水で薄めた精液でジュースに混ぜるように言った。

 そして抵抗する千恵の口に入れたのは2倍の水で薄めたもので、最後が原液だ。

 千恵が飲めばそこら辺のドラッグとは比べ物にならない快楽を得ることが出来る。

「はぁん・・・ん、千恵も・・・私みたいに気持ち良くなってるの・・・?」
「さあ、セックスしている時くらいかもね」
「んん、じゃあ・・・幸せなんだね」

 僕はにっこりと微笑む加奈の手を僕のズボンの前へと誘う。

 膨らんだそこに手が触れると、心得たように淫蕩な笑みを浮かべて加奈は自分から大胆に手を押し付けた。

「あは、おっきくなってる」

 ズボンのファスナーを下ろし、その隙間から加奈の小さくて可愛らしい手が隆起したペニスを出した。

 加奈の手はすごくつるつるして滑らかで気持ちがいい。

「ねえ、どうしたらいいの?」
「ん、出してくれただけでいいよ」
「え?」
「今日はあいつにやらせるから。加奈はもういいよ」

 ペニスを握っている加奈の手を押し退け、僕はぐったりと倒れている千恵の元へと歩いていく。

 床に倒れこんだ千恵の顔は幸福感に満ち溢れていて、悩みなど一切消えてしまったように薄笑いを浮かべている。

 見ると体は小刻みに震えており、股間部一面大きな水溜りが出来ている。

 近づくとアンモニアの特有の強い臭いが鼻を突いた。

 おそらく下着を濡らしているのは小便だけじゃないだろうけどね。

「・・・幸せ?」
「あ・・・は・・・はぁ、はぁ・・・・・・幸せぇぇ・・・」
「もっと幸せになりたい?」
「あ、は、はいっ、もっと幸せになりたいっ」

 欲望で濁った千恵の目がまた鈍く光り、ふらふらとしながら顔を上げる。

 まだ体に快感が残っているのか力が入らない千恵は立ち上がれず、四つん這いの格好で僕と向き合う。

 そしてそんな千恵の目の前に大きくなったペニスを突き出して言う。

「ちんちんの先から精液が出ることくらい知ってるだろ?」
「はぁ・・・はい・・・知ってます」

 羨望のため息を吐きながら口を近づけようとする千恵の顔を手で止める。

 頭の中が僕のペニスでいっぱいになっている千恵はもどかしそうな顔をしながら僕の方を見た。

「今まで好きなだけ罵声を浴びせられていた人に舐めさせたくないんだけど」
「・・・ぁ、ぁぅ・・・ごめんなさい、ごめんなさい・・・」
「それにお前は加奈と違って萩山寄りの人間でしょ」
「て、手を切りますっ、東宮君の精液が貰えるなら、沙織とはすぐに手を切ります、だから、東宮君の精液下さいっ」
「自分の為に友達を裏切るの? 最低だね」

 僕が侮蔑の目で見ると、千恵は言葉を失って悲しそうな目をする。

 二人の立場はすっかり逆転してしまった。

「僕の言う事ちゃんと聞ける?」
「・・・・・・は、はいっ、聞けます、何でも聞きますっ」

 僕が与えたチャンスの言葉を受けて、絶望に沈んでいた千恵の表情がぱっと輝く。

 その瞳に嘘偽りはない。

 まぁ最初じゃ流石に何でも、というわけにはいかないだろうがそれでも精液を与え続けていればそのうちその言葉も本当になるだろう。

「舐めて気持ちよく出来たら飲ませてあげるよ」
「は、はいっ・・・んちゅ、はあ、ん、んちゅう、ちゅぱ、ちゅっ」

 顔から手を離した瞬間、飢えた獣のような顔をした千恵が僕のペニスにむしゃぶりついた。

 懸命に舐め始めたのは良いけど、男のものに奉仕をするなんて初めての経験になる千恵の動きは加奈と同じくたどたどしい。

 だがそこは頭の良い千恵であり、僕が少しでも感じた部分をすぐに察知しては覚え、凄い速さで上達を見せる。

 でも千恵の場合、頭が良いというよりは貪欲で淫乱と言ったほうがいいのかもしれないな。

「・・・っ」

 ペニスを口に含み、強烈なバキュームフェラでペニスを吸い立てられ腰が痺れる。

 しかも、本能的に感じているのか竿に添えられた手は激しく上下に動いてペニスを扱いている。

「で、出る・・・っ」
「く、下さいっ、せーえきっ、せーえき、せーえきっ・・・はむっ、ふむっ、ぺちゃ・・・ちゅぷっ」

 僕がもうすぐで発射すると知り、血相を変えた千恵に急激に吸い立てられ目の前がちかちかと光る。

 射精感がすぐそこまで来ているのを感じると、僕は千恵の口から無理矢理ペニスを引き抜き千恵の眼前で扱いて最後の刺激を与えた。

 波打つペニスから勢い良く飛び出した白濁液が千恵の顔を白く染める。

「ぶあっ、ふぁあ、精液ぃ・・・精液いっぱぁい・・・」

 完全にイッた目で顔にこびり付いた精液を一心不乱にかき集めて飲み込む千恵。

 そこには優等生の面影はない。

 僕は夢中で精液を嚥下する千恵の長い黒髪を乱暴に持ち上げて顔を近づけさせた。

 だが千恵は嫌がることもなく、まだまだ続く快楽の余韻に浸ったまま焦点の合わない目を僕に向けた。

「もっと欲しい?」
「あああぅぅぅあああ、はっ、はっ・・・ほ、欲しいっ、もっろ、もっろ欲しいれふっ・・・あ、あらま、ぐるぐるするのお、あへぇ、へへへへっ」
「じゃあ、分かっているよね」

 僕の言葉に必死に頷く壊れた千恵の姿を見てまた一つ胸のわだかまりが消える。

 加奈の方を見ると、僕が嬉しそうにしているのを見て自身も自分の事のように本当に喜んでいる。

 まさか本当は好きでもない男の為に友達を売ってるとは夢にも思わないだろう。
 こいつもすでに壊れている。

 ふふ。

 あと一人。

 残った最後の一人を追い詰める姿を思い浮かべながら僕はまた千恵の口に硬くなったペニスを捻じ込んだ。

< 続く >

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