せめてもの催眠術師 第二話

第二話「マンションの中で」

 マユミのマンションは、綺麗なフローリングの2DKだった。マユミも準一流企業の主任なのだから、それなりの給料はもらっている。
 こじんまりとしているが、必要な家具はそろっている。寝に帰るだけの部屋としては、十分すぎるほどだろう。
 トモノリは、部屋の中に干してあるピンクのパンティーをジロジロと見つめた。ブラジャーも、果物の瓜が二つすっぽり入るほどのカップの大きさに目を見張る。
「こら、私の干してある下着をジロジロ見るなっ!」
 冷蔵庫から、トモノリの分のビールも取り出して持ってきたマユミが怒る。
「すっ、すいません……つい」
「女の一人暮らしの部屋に入って……デリカシー、つーもんがあるだろ」
 ため息をついて、テーブルの上にビールを置く。さっさとプルタブをあけて、ぐびっと飲んでしまう。
「じゃあ見るのは止めますから『せめて』姉さんの着ている下着を見せてくれませんか……服を脱いで」
 トモノリがそういうと「ああ、そんなことでいいのか」とマユミはスーツを脱ぎ捨てる。
 ストッキングも下着に入らなかったのだろう、するすると丸めて脱ぎ捨ててソファーに投げた。

 これまでの会話で分かるように、トモノリはちょっとした催眠術師だった。
 トモノリが『せめて』というと、譲歩していないのに相手には大きく譲歩したように誤解されて意見を聞いてもらえるのだ。
 不真面目で、仕事の手際の悪いトモノリが、容易に好条件の取引をまとめられるのも、この催眠術があるからだ。

 上下とも黒い下着だった。大人しい下着だが、密かにレースが高級感。
 服を脱ぎ捨てると、熟れたてのスイカのような爆乳であることがよく分かる。
 ウエストは細く、ヒップも大きくて安産型だ。
「おっぱいでかいっすね……」
「鍛えてるからな、Gカップはあるぞ」
 特に抵抗はないらしく、大きな胸を背を反り返らせるようにして見せ付ける。

「下着も取って見せてくれないっすかね……」
「おまえ、冗談も大概にしておけよ」
「じゃあ『せめて』その立派な胸でパイずりしてください」
 マユミは、すぐソファーに男を誘導して、ブラをつけたままで、なんとか乳ではさんでトモノリをいかせようとする。
 ぜんぜん、うまくいかない。やはり普通のブラジャーをつけてパイずりは無理なのだ。
「ああ、もう邪魔だな、ブラとってしまっていいか」
「はい」
 何も言わないのにマユミは結局、ブラをとってしまった。爆乳の割りに、意外にピンクで可愛らしい乳首が覗いている。
「ほれ、はさむぞ……おまえ先っぽぬるぬるしてるな」
「きもちいいからっす」
 指で、躊躇なくトモノリのチンコをグリグリする。それだけで、トモノリは射精してしまいそうだった。
 嫌悪感がないところを見ると、マユミの区分では指で触るのもパイずりに入っているらしい。
「うーん、こうやって乳ではさんで、こんなんで男は気持ちいいものなのか……パイずりなんてしてくれって言われたことないんだが」
 やったことないというのは本当なのだろう、慣れぬ稚拙さで、なんとか乳の谷間にトモノリのモノを挟み込んで、射精へ導こうと努力するマユミ。

「ああっ、出そう……」
「ほら、出しちまえ」

 ドピュヂュピュ!

 けっこうな勢いで、射精が胸からマユミの顔に飛んだ。青臭い精液の匂いに、口を歪めたように笑うしかないマユミ。
 マユミの性技というよりは、胸でこすられているという感動だけで高まって射精してしまった気分だった。
「舐めてくれないんすか」
「誰がそんなことをするかよ」
「じゃあ『せめて』お口で、俺のチンコ綺麗にしてくれないっすか」
 お安い御用だと、マユミは舌でペロペロと嘗め回して、尿道に残ったトモノリの精液まで吸い取ってくれた。
「苦くてまずいな、おまえの精液……少しは食生活に気を遣ったほうがいいぞ」
 そういって、なんでもないという顔でマユミは笑う。

< 続く >

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