十二の指環 第一章 巨蟹編

第一章 巨蟹編

 ついに、残っていた第四の適合者が契約を果たしました。これにより、参加者が揃いましたので、遊戯にして遊技[ゲーム]を正式に始めさせていただくことを、ここに宣言します。形式としては指環を適合者同士に奪いあうという形式にさせていただきます。また、正式にゲームが始まりましたので、これより名称を『適合者』より『契約者』および『参加者』へと変更させていただきます。
 そして、最後に参加した契約者には、ペナルティとして、遊戯にして遊技[ゲーム]に関する情報を一切こちら側から与えず、自力で獲得していただきます。とは言うものの第四の契約者には聞こえていませんが、ね――――――

*     *     *

 次の獲物はどうしようか―――――――――
 とか何とか考えていた気もするが、そんな危なっかしいことはしない。しっかりこの指輪について下調べをしなければならない。まずはこの指輪、あのどでかい月が言っていたことを調べ、仮説を立て、それを実証することから始めた。だが、これを人に聞くのはまずいので、図書館、インターネットを駆使して調べることにした。

『《よろしい。汝を十二のうちの一つ、第四の適合者として、参加を認める。汝は月の象徴とし、その力を授けん。この言葉を、魂に刻みつけよ。活動の水、感得の象徴、適応の可能性よ。隠されし力を表すは【赤の住処】。力の使い方は指環から引き出せ、それは汝の意のままに》』

 この言葉さえ調べれば、同じく指環のこともわかるだろうと考えた。とは言うものの、これを丸パクリしてググッても、出てくるはずもない。そこで、単語単語で調べていった。そうしてわかったのは幾つかあり、それに推測を交えてみた。

1。『十二』というのは、黄道十二宮、つまり十二星座のことだ。おそらくこれは間違いない。なぜなら、俺の指環に刻まれている69というマーク、これは巨蟹宮、かに座を象徴する。しかも、黄道十二宮の中で巨蟹宮は四番目。さらに、俺を精神世界で話しかけてきたと思われる月。月は、かに座を表す天体らしい。よって、指環の力は巨蟹宮が元となっている。

2。能力は、思考操作だけではない。ただ思考操作だけならば、こんなに謎だらけではない。キーワードはおそらく、『活動の水、感得の象徴、適応の可能性よ。隠されし力を表すは【赤の住処】』。このへんだろう。

 活動の水。蟹座を表すだけではない。水とは潜在能力を表すことと冷静なことを表し、、それを活動させることで思考の高速化、ハイレベル化だ、と推測してみる。

 感得の象徴。蟹座の基本的性格を表すだけではない。しかし、これはそのとおりに従い、何かを感得、つまり獲得できるということだろう。意味的に物理的なものではなく、知識、技術などを得られるものだろうと思う。

 適応の可能性。その名のとおり、これは素直に適応力と取ってもいいだろう。おそらく、運動能力の向上と、その場に馴染む雰囲気的なものを身につけていると思いたい。

 【赤の住処】。どれだけ考えても、わからなかった。赤といえば赤真珠、蟹の色である。蟹や真珠の在処、それは海の中ではないのか?隠されし力、とは沈んでいるものを表す隠喩か?謎だ。今のところ保留しておく。気が向いたら再考する。

3。それから、『指環の使い方は指環から引き出せ』の言葉だが、指環から使い方を聞くという意味ではなく、指環から引き出すのが使用方法だ、という意味だろう。さらに発展させていくと、自らが考え、たどり着いた形を引き出せるのではないか、というところにまで達した。つまり、それについて学び、自分なりの力を想像し、確固たる力を創造したものがこの指輪のの能力なのだろう。
 

「ふう。まあ、これぐらいかな」
 気取って文章を書くのは、正直ものすごく疲れる。自分の文体ではないし、まとめながら書いていくのは苦手である。なのにわざわざまとめたのには理由がある。自分で分かりやすくし、かつまとめていくと新たな発見があったりするから、というのが理由である。例を上げてみると、そうだな、読書感想文とかを書くときの読み方をすると、普通に読んでいるときとはまた違った発見がある。それは、この時こいつはどう思っていたんだ、なんでこんなことをしたんだ、と考えながら読むからだろ?
「あ。蟹は堅い殻で防衛と抵抗、よくわかんないけど繁殖とかも表すんだ・・・。なんか繁殖ってイメージ合うな」
 これは指環と関係があるだろうか?感覚的に、どちらも指環がなんとなく正解と言っているような気がする。今までも、さっき書いた推測のことはなんか指環が合ってるよ、と言ってくれるような気がして、しかもそれがすべて自分でしっくり来る考えだったからなんか嬉しかった。
「んじゃ追加、っと」
 またパソコン片手、本机の上で調べながら書き込んでいく。防衛は………繁殖は………
 その作業は、夜遅くまで続いていたという。

「あとは実地体験のみ。誰を実験台にしようかなぁ」
 思わず鼻歌なんか歌っちゃったり。
 けれど、これがなかなか厄介だった。
 学校関係なら、せんせ、は4日後だし、クラスメイト、というのは時間が限られすぎているし、チャンス自体も少ない。せんせはただラッキーだっただけなのだ。
 鳩姉はじゃまするとごはんが食べれなくなる。どころか鷹姉にまでバレるおそれがある。帰ってくるのは遅いけれど、勘がとても良いのだ。鷹姉が休みなのは土日だから、せんせを調教するのとかぶるし・・・
「そだ。近所の奥さんにすればいいんだ」
 それならば迷惑がかかっても俺には降りかかってこないし、時間的余裕もあるだろう。なにより、ハーレムを作るためには実験が必要だし、いろいろ実験してしまった美女、というのをハーレムに加えたくはない。
 計画を立てよう。この二日間は学校を休み、近所の奥様方を犯し尽くす。
 あとの二日間はクラスメイト。力を把握しているのでおそらくたやすい。
 土曜日はせんせのマンションで、いろいろやる。
 日曜日は鷹姉を落とし、あわよくば鳩姉、かな。
 めどが立ったならすぐ行動。
トゥルルルル、トゥルルルル
「あ、帳野学園ですか?こほっこほっ。千鳥せんせにかわって頂けるでしょうか」
 学校、せんせに電話をかけ、[えっちな鈴]というキーワードでトランスに落としこみ、二日間休むことを当然、何か適当な理由をでっち上げさせる。
「これで休む準備はできた。じゃあ、遊びに、いや、休みに行こうかな」

 とはいうものの、あてはない。この阿仁間町[あにままち]に、若妻なんていたっけか?まてまて、三十ぐらいまでならOKだから、俺には関係ないか。このへんで子供が小学生くらいっていうと・・・
 牛島さん、虎沢さん、猫田さん、か?とりあえずここから近いのは牛島さん。奥さんのネットワークっていうのはものすごいから、抱くついでに聞き出せばいいかな。
 そうと決まれば早速移動だ。自転車で三分くらいの距離だ。すぐに着くだろう。

 ピーンポーン ピーンポーン
「はーい、牛島でーす」
 感じのいいお姉さん的な人が出てきた。名前の通り牛のようなおっぱいだ。
「あら?あなた確か、時原さんちの達史くんよね?こんな昼間に、どうしたの?」
「いえ、別に・・・」
 その時にはすでに、牛島さんの髪に、サラリと触れることが成功していた。つまり、俺の能力がすでに効くということだ。
 『そんなことはどうでもいい、すぐに静かにして寝室に通さなければ』
 そう強く思い、思考を操る。
「んっ・・・。そうね、こんなことしている場合じゃないわ。さ、上がって頂戴」
「わかりました。お邪魔します」
 一応神妙に頷いておいて、さっさと入ることにする。噂になっても困るからだ。けれど、ここに来る際、商店街を通ったが、何も言われなかった。『適応』が効いているからだろうか?だが、牛島さん相手には通用しなかった。いや、相手が一対一だと反応しないのか?まだまだ調べる余地はありそうだ。

「さあ、牛島さん。そこに裸で寝転がってください」
「え?い、いきなり何を言い出すの?け、警察を呼ぶわよ!」
 昼間に来ていること、寝室に通すこと以外は何もしていないので、当然とも言える反応だ。ここで、少しどうするか考えてみる。指環の能力の、思考高速化?を使ってみることだ。
 引き出すのには、強いイメージが必要かな、とも思ったので、一応呪文とかも考えてみた。どこかの伝奇小説ではないが、指環の使用方法からして、自己陶酔が必要ではないかと考えたからだ。

――――――我こそは蟹。我こそは活動の水を表すものなり。ならば、我に力を授け、我に指環の力を引き出させ給え。我が望むは力より知識。知識より考察。されば、それに適せし力を、我に授けしことを命ずる!

 正直、意味よりはインスピレーション。カッコよさを優先した言葉だし、即興で考えているに過ぎない。けれども、雰囲気は出たし、盛り上がった。
 そして、自分でも信じられないぐらい、効果は出た。
「な     に     ?     な     に     を     い     っ     て   い      る      の     ?」
 すごく、すごく、まるでスローモーションカメラを見ているかのように、遅く感じる。某死神漫画で、超人薬とやらを飲んだらこうなるのではないか、というくらい遅い。だが、テヅカ先生の短編漫画のように、周りだけではなく、自分の動きもじれったくなるくらい遅くなっている。だが、ゆっくり考えるのは十分すぎるほどありがたい。

 あれ?じっくり考えると、思考操作、操りに使えるのってまだ他に考えついてなくない?もしかして、今俺やばい状況?焦れば焦るほど、何も思いつかない。そうしている間にもゆっくり、ゆっくりとときは進んでいくので、牛島さんが動き出している。

 自問自答は続く。
『千鳥せんせと同じ感じにする?』【いや、それだと自分が安心してしまって危機的状況の時に自分が困る。それは避けたい。】『じゃあどうするの?』【そうだ、なら他の能力をうまく使うか!】『それができたらとっくにやってるじゃん』【じゃあどうすればいいんだよ】『それができないから今困っているんでしょ?』【だったら簡単だぜ】『へえ、なにさ』【聞きたいか?】『ああ、そうだね。でも奇遇だね、俺も思いついたよ』【じゃあいっせーのーででいうか?】『いいよ?聞いて驚くなよ』【その言葉、そっくりそのままお前に帰すぜ。じゃあ行くぞ、いっせーのーで】

【『新しい能力を今作り出せば良い!』】

 ありがとう俺の天使と悪魔。だけど、それはどうやってやるんだ?
【『昨日知ったことから考えればいんじゃない?俺らの知ったこっちゃないし』】
 こっんの意見が一致したからって一気に仲良くなりやがって・・・。だが言っていることには筋が通っている。ちょうど周りが遅くなっているんだ。しかも、楽観的に見るならば思考の高速化だけでなく、ハイレベル化もある、はずだ。なら、考えつけないはずがない!
 そういえばあったなあ、こんな知識が!
 蟹とは月、月といえば兎、月の兎はすなわち妖精。妖精は非現実や永遠の幼児を表し、そこから、無意識の操作、夫や妻に化けるなどのイタズラをするものへと至る。そこから導けることは、誤認能力を手に出来るということだ!
 行ける。その感触が指環から伝わってきて、すぐに使用する。

―――――我こそは月の象徴にして兎の精。其れ即ち、妖精が一員、玉兎。されば、妖精の力、この手に有らん。我、それを使用せしことをここに告げん!

『俺は牛島さんの旦那さんだ』

 調べてみないとわからないが、おそらくこれは俺の姿を利用した幻術。ならば、誰から見ても俺は牛島家の旦那さんに見えるのだろう。

「あら?あなた?なんでここにいるの?」

 俺が変わったことにびっくりしている。いつの間にか思考加速を解いていたようで、声も動作も、普通に聞こえる。ここで思考操作のコンボを使う。すでに夜、今から愛の営みだ、お前はすごく昂っている、と。

「んっ・・・ふうっ・・・」
「どうした?」
「あなた・・・」
「お、おい」
 いきなり唇を奪われる。
 んちゅっ、ちゅっちゅうちゅばっ
「どうしたんだ?こんなに激しく」
「あそこがぁ、うずいて仕方ないのぉっ。それに、最近、ね?」
「ああ、そうだな」
 どうも、最近セックスレスだったご様子だ。そういえば最近、鳩姉から旦那が出世したとかなんとかとか聞いた覚えがあるようなないような・・・。ま、楽しませてもらいますか!
「今日は、激しくするぞ」
「ええ、あなた。美香を思いっきり抱いてぇ」
 そう言うと、俺は牛島さん、いや美香の服をどんどん脱がしていく。すぐに、パンツとブラジャーだけになった。
 う~ん?どちらから脱がすべきか。よし、天使と悪魔に聞いてみようのコーナーです!

『やっぱりパンティーでしょ!』【はあ?何言ってるんだブラジャーだろ?】『なんでさ!』【いやいや、大事なところは最後で、先に胸だろ…】『先に大事なところを見なきゃ意味無いでしょ?』【おいしいものは最後にとっておかないと】『はあ?美味しいものは先に食べるんだよ!』【そっちがその気ならなぁ・・・】
 お、悪魔が本気モードに入るみたいだ。
【いいか胸がしっかり描かれているモノは少年漫画青年漫画でも多々あるがしかし女の大事なところヴァギナだけはだめになるんだぞマンスジでもいけない股間の茂みもいけないどころか台詞にさえいけないこれこそが世間でも大事であり大人だけが楽しめるものとして扱われている証拠なんだよ!】
 おお、なんだかしらんが説得力がある。か、格好イイ。これが漢というやつか。
【はぁっ、はぁっ、はぁっ、疲れたぜ】
 前言撤回。体力が落ちた中年のエロオヤジみたいです。
 でも、ここは頑張った悪魔さんに免じてブラジャーからいきますか。
 
 するり、ぶるん
「あ・・・」

 こんな感じだった。え?女の人ってこんなに男と違うの?揉んでみる。

 むにゅむにゅ
「あんっ・・・いや」

 こんな感じ(以下略

 どうしよう。これだけで突っ込みたくなってきた。ここは我慢して、いろいろなところを触らせてもらう。首筋、胸、背中は手のひら全体で撫でるように。尻、臀部、陰部、太ももは舐めるように。
 特に、感じていると思うような声を上げた背中を重点的に苛めて、もとい触ってみる。
 続けていると、段々パンツが濡れてきた。俺の手で感じているのだろうか?
「感じているのか?」
「あ、あなた。なんで、いつもより、上手なのっ。あっそこ、そこイイっ」
 さらに続けてみる。
「もう、もう我慢できないの。挿れて、挿れてくださいっ」
「おいおい、待ってくれよ、俺の方はまだまだなんだ」
 ちゅっ、ちゅっちゅばっ すりすりっ
 フェラ、パイズリと流れるように一気にやってくれた。正直、もうキツイ。
「わかった、わかったから」
 するりと愛液でべとついたパンツを下ろす。ここで俺は、初めて大人の女性のアソコを生で見た。
「おおぉっ・・・」
 思わず歓声を上げてしまう。さっきのフェラとパイズリの悔しさが残っていたので、まだ入れるよりも、一回逝かせたいという気持ちがあった。だから、容赦遠慮無く責めさせてもらう。
 まずは舐める。しつこく、しつこく、舌が蛇だというイメージを持って。ズルリ、と湿った亀裂に舌が抵抗なく入っていく。中で上下左右に動かしてみる。
「ああっ・・・きやっ」
 次は指。まずは一本入れる。舌についていた唾液のせいもあるのだろう、第三関節までするりと入った。少し伸び気味だった爪でひっかいてみる。
「うぎゅううあぁぁああ」
 思いもよらず、大きな悲鳴が出た。だが、それと連動して愛液もダラダラと出始めた。
「あれ?美香ってもしかしてマゾ?」
「ふうっふうっふっふっ」
 余裕が無いようで、俺の言葉が理解できていないようだ。だが、マゾの一言にビクリと体が動いたのは見逃さなかった。一気に指を四本にまで増やす。
「アウウッ」
 さらに親指をゆっくり、ゆっくりと入れていく。もう亀裂は、こちらから見ると穴のようになっていた。中で握りこぶしをすると、もう元気が出ないのか、声を出すほど痛くないのか、ビクリとまた大きく体をくねらせただけだった。
 そのまま、おもいっきり動かす。鬼畜?知ったことか。
 ずぼっずぼっ ぎゅぼっぎゅぼっ
「ああああああああああああっ」
 さすがにフィストファックは我慢に耐えなかったのか、絶叫が響き渡る。けれど、その声には喘ぎという成分が混じっているのも事実だ。その証拠に、蜜壷から愛液が溢れてきている。
「あんあっあ、はっ、あっ、イク、イクうううぅぅぅ」
 やはりというかなんというか、イッてしまった。ここからは普通のセックスでいいかな。
「じゃあ、抱くぞ」
「早く、早くしてえ。もうが、まん、出来ない」
 ぬるりという音と共に、俺のものが美香のアソコに差し込まれる。そして、大きく円を書きながらグラインドする。
 気持ちイイ、これが女なのか。これがこの感触なのか。この指環を持っていなければ一生感じることのなかった女の味を見ていると思うと、さらに喜びが増してくる。

 パンッパンッパンッ

 おもいっきり突く。柔肌が俺の体重を受け止めているいるので、存分に突くことが出来る。もう足元のシーツはベタベタで、この後どうするのだろうというくらい濡れきっていることも、興奮を後押しした。そして、コツンコツンと固いものが奥にある。これがウワサの子宮口というやつだろうか。大きい乳を揉みながらそんなことを考える。
「あふっ・・・当たってる、しっ、子宮口に、あ、あなたのがあたってるう…………だして、あなたの濃いの出してえええ」
「いいぞ、一緒に逝くぞ」
 ずんっ、ずうううん
 今までのより倍以上強く激しく突いた、その瞬間。目の前が真っ白になった。

 ドクッドクドクドクドクドクッ

 目の前が真っ白と同時に、俺のものからも真っ白な液体が放出される。美香からは、透明に近いサラリとした、けれど少し粘りのある愛液が勢い良く吹き出された。
 これが潮吹きというやつか。そんなことを思いながら、俺もチカチカとまぶたの下で白く光るものに身を任せた。

「―――――ふう」
 十一時ごろに一段落してことは終わった。さて、事後の相談にとりかかりましょう。
 美香には思考操作を使い、人形のようにただ質問に答えるだけの状態になってもらった。
「このへんの若妻について、知っていることをすべて話してくれ」
「はい。このへんには・・・・・・・・・・・」
 といった具合だ。手に入った新情報は、最近引っ越してきたばかりの若妻が、実際に存在するらしいこと。名前は相馬[そうま]さん。まだ二十歳前半で、夫がED、成人前からの付き合いなので処女らしい。今時そんな女なんかいるんだとびっくりしたが、指環を手に入れる前の自分を思い出し、納得した。
 他に、狙い目にするならというのは、最初に上がった人とは全く違う、犬飼さんだそうだ。二十後半で、精に淡白な夫を持ち、欲求不満をいだいているとも教えてもらった。そうと決まれば今から犬飼さん、明日あたり相馬さんをじっくり落としていこう。 
「お前は今日、家にいて、普通に家事をしていた。ただし、外出していたかどうか、と聞かれたらしろとことえろ、わかったな。それと、今日は外出禁止だ」
「はい。わかりました」
「それじゃあ、昼ごはんを作ってくれ。食べたら出て行く」
 お昼ごはんがすぐには終わらなかったのは、きっと俺のせいではない。

 牛島家を出ると、俺は美香に見えるよう誤認をかけた。これで怪しまれることもないだろう。えーと、犬飼犬飼・・・このへんの筈なんだが・・・あ、あった。あれが犬飼さんだろう。しかし若いな~、まだ二十代前半にしか見えないモデルのように整った美貌。きりっとした吊りめがちな感じは、さっきの美香と違って冷徹な感じを思い起こさせる。こういう手合いは、昔から思いっきり泣かせてみたかった。
 さっきので使っていない能力が感得だけになったので、今度はそれを活かしてみたい。多分雰囲気とかは常時発動系なんだろうし。

 ぴーんぽーん  ぴーんぽーん

「はい、なんでしょうか」
 外見から受けるイメージ通り、固めで高く透き通った声である。
「すみません、牛島ですが・・・」
「ああ、美香さんですね、上がってください」
 あれ?用事も何もいっていないのに上がってください?
「この前の愚痴の続き、聞いてもらえるんですね?」
 なるほど。同じセックスレス同士、気があったというわけか。まず発見その一。誤認を使うと、声、カメラにも本人として扱われるのは分かった。さらに、服装なども本人に見える、とも美香から聞いた。だが、口調の問題はどうなるのだ?さっきの美香は発情して気にしなかったみたいだが、こいつには手を加えていない、どう聞こえるんだ?
「ああ、上がらせてもらう」
「どうぞ、台所に」
 違和感を全く感じていないところを見ると、口調も再現されるようだ。しかし都合いいな、これ。
 落とし方を考えてみよう。
【『やっぱりここは』】
 おまえらは今回黙ってろ。今忙しい。
 まずは愚痴の方から聞いてみるか。
「昨日もね・・・・・」

 三十分ほど過ぎた頃、なんとなくこの家の関係が見えてきた。
 犬飼さんは見かけによらず、結構色事が大好きらしい。趣味という趣味は特に無し。つきあっているときは結構していたものの、ご主人は数年も過ぎるとそんな生活にも飽き、最近ご無沙汰らしい。激しくよりは、しっぽりゆっくり段々高め合うものが好きらしく、決して色狂いというわけではない。どちらかというと、愛を確認するためにヤッているみたいだ。とは言うものの、体が疼くのは抑えられないらしく、普段から自慰はかなりの頻度で行っていると自分で言っていた。
 うらやましい話だ、と世間のモテない方々は思うだろう。俺もその一人だ。女の子と接点はたくさん持っているし、事実いい雰囲気になったことも多々あるんだがあと一歩でなんかあって離れていくんだよな。しかも結構良く解らん理由もあったし・・・
 そんな話は置いておいて、そろそろピンク色の空気へと変えようか。聞きながら考えるのも面倒くさいし、すこしばかり時間を遅くしよう。
 いくぜ、すたー・ぷらちな・ざ・w―――ゲフンゲフン。えーすみません、ご迷惑をおかけしました。
 気をとり直して・・・
 いくぜ、くろっくあっp―――これもだめだっちゅうの!
 真面目にやろう。
 いくぜ、思考加速!
 
 世界を置いていくような感覚が、ある。急流から池へと泳ぐところの流れが一瞬で変わったような、そんな感覚だ。
 ふむ。おそらくは、ご愛用のバイブがどこかにあるだろう。それを利用して、このタイプの鼻っ柱を折ってやりたい。
 だったら、これをああしてこうして、こうすればこうなるはずだから、いやこれはああなるか?・・・
 これで行こう。コードネーム〔前後不覚実行大作戦〕。ネーミングセンスないな自分。

*     *     *

 時間が戻ってきた。まるでジェットコースターみたいな時間の流れのように感じてしまう。なんどもこんな描写があるのは気持が悪いからです。ご了承くださいませ。
 まずは、犬飼さんにバイブのところまで案内させる。今回は、意識せずに自分の体が動いていて、自分でそれに違和感を感じない、という思考操作の発展の実験でもある。
「それでね、あのひとったら・・・」
 違和感なく話を続けているあたり、成功、実用化が可能のようだ。
 何気なく戸棚を開き、何気なく大きめの箱から俺の勃起時よりも少し小さいくらいのバイブを手渡す犬飼さん。
 箱の中には、特殊プレイに使うと思わしきものがゴロゴロあった。だが、バイブ以外使用された形跡はなく、おそらく遊びで買ってしまって使い道がないのだろうと推理した。さらにその箱も持って居間へ連れて行く。
 

 自覚のないまま服をするすると脱がせる。まるでストリップショーだなと思いながらも箱の中身を出して使い方を考えていく。いよいよ下着だけになったご様子だが、そこからの動きがノロノロとしている。まあ、脱げとしか命令を下していないので、本人の意思も介入してきてしまうのだろう。だが、ゆっくりではあるがしっかりと脱ぎだしている姿には支障を感じないので、誤認の力を使い、俺以外にはいつもの犬飼さんにしか見えないよう、聞こえないようにしておく。近所の人達に感づかれてはいろいろ面倒なのだ。これでもかというチキンな俺に、少し泣きたくなってきた。
 とりあえずはこんなどうでもいいことを考えているうちに、全裸になった犬飼さんがいた。意識を現実に向かせ、体は動けないように命令で動きを束縛する。
「えっ、あっ、キャーーーー」
 そんな慌てふためく犬飼さんに、思いっきりバイブを、尻の穴、つまりアヌスに差し込む。
 腸液もローションも何もなかったところに不浄の穴を貫かれた犬飼さんは、当然悲鳴をあげる。
「ぐぎゃあああああああああ」
 これだけでは当然終わらない。箱の中にあったメンシレータムを乾いたヴァギナに塗りこむ。これでもかというくらいたっぷりと。みんなも使ったことぐらいはあるだろう?薄く肌に塗るとスッとした気持ちが味わえるアノお薬だ。クイガーバームとも似ていると思う。だが、それを薄い程度ではなく、厚塗りすると神経が鈍いとされている足の裏などでもヒリヒリとした激痛が走るそうだ。ちなみに俺は鳩姉に目の下に塗られて強制的に起こされたことがあるからわかる。正直言って、地獄にほかならない。
 だが、その倍以上の量を敏感なヴァギナに塗りこむのだ。
 当然、それだけの痛みであるはずもない―――――――――
「ぐああああああああ―――――――」
 あ、気絶した。意識は落ちてもソコはピクピクと痙攣しており、懸命に害をなす液体を洗い流そうと愛液を分泌していた。気絶した時点で倒れ、ソファーにシミが出来ているのだが、良いのだろうか?
 まあ気絶してしまったものは仕方が無いか、と気を取り直そうとした。
 が、俺は気づいてしまった。俺の能力は、今のところ自分の体か他人の意識を司るもの。犬飼さんを動かすためにはどう使うというのだ?
・・・はぁ。自分の体を使って計画通りにするしか無いのか。適応のおかげで運動部並みに身体能力は上がっているものの、俺より背が高く、体重も同じくらいの相手を庭まで運んで行きたくはない。だが、仕方がない。泣き喚くところを見るためには!

*     *     *

「ん、んんッ」
 お、犬飼さんが起きたようだ。まだ痛みで体のいろいろなところが痙攣したりはしているものの、動きに致命的な支障はなさそうだ。
「あなた!私になにしたのよ!さっさと言いなさい」
 おーおー偉そうなことで。今の自分の状況を全くわかってないと見える。まあ、俺への誤認は犬飼さん限定で解かせてもらったし、犬飼さんにも他の人には犬にしか見えないようかけてある。まあ、名字通りということだろう。
「すぅいっちぃー、おん!」
「っ!?」
 犬飼さんが息を飲む音が聞こえる。当然か、今自分のお知りに突き刺さっているもののスイッチが俺の手にあるのだから。
 ヴィイイイイイン ヴィイイイイイイイン
 まずは弱から。未開発の尻穴だ、少々腸液で濡れていようが痛みは変わらないだろう。
「ぐうんんんッ」
 弱々しく悲鳴らしきものを上げる犬飼さん。
「あ、んんっ、はやく、こんなことをや、やめ、ああん、なさいっ」
「どうして?」
「け、警察を呼ぶわよ!」
「そんな状況で?俺がそんなことさせると思う?」
「私んんっ、は出来ぃっなくても、近所の目がある、わ」
「どうかなぁ。試しに呼んでみたら?」
「いいっ、のかし、ら?」
「どうぞどうぞ」
「助けて、熊澤さあぁんッ」
 最後の方は喘ぎと一体化していたが、確実に聞こえる大きさで叫んだ犬飼さん。だが、路上の熊澤さんとやらはこちらを一瞥しただけで何事も無く歩き去ってしまう。
「ど、どうして・・・」
「まあまあ、落ち着きましょうよ」
 言いながら、バイブのスイッチを一段階、中へと上げる。
 ヴォオオオオオン ヴォオオオオオオン
 中だというのになんだろうこの不吉感。どこかの保険医を思い出す。
「んんんんんんんんんんッ」
 恐ろしいことに、叫びの中から嬌声が混じりだした。参ったな、涙目ではあるがまだ泣くにはは程遠そうだ。
 仕方ない、あれを使うか・・・
 チャラリラッチャラー、何の変哲もない排水口用ブラシ~
 それを見て何をさせられるか悟ったのだろう、震える手足で逃げ出そうと試みている。俺はそんなもの気にもとめずに歩み寄り、おもいっきりバイブを抜いた。悲鳴が聞こえたようだが気のせいだろう。そのままチクチクゴワゴワとしたブラシをわざとゆっくりと突き入れていく。
 太すぎてはいらなそうだが、そんなものは無視して力任せに入れていく。
 泣きながら許して許してと叫ぶ姿に、目標達成のファンファーレが脳内に流れる。
 というわけだ、いれたばっかりだが抜く。だが引っかかって抜けない。
「いだい、いだいわぁぁぁぁ」
 呂律が回らなくなっているが、気にせず尻たぶに足をかけて引っこ抜く。腸内に多くのミミズ腫れができたようだが気にしない。
 そして、俺はメンシレータムが塗りこんであるヴァギナに避妊具をつけてズブズブと入れ始める。
 その性交は一時間も続いたという。

*     *     *
 ふう。なんだろう、大事なことを忘れている気がする。
 おおぅ。感得の実験、やってないじゃん。
 まあ、明日の相馬さんで使っていけばいいか。
 そんなこんなで指環の能力がほとんど掌握できたのはいいことだ!(ポジティブ!)
 それではまた明日。

< 続く >

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