ヤリマンファイル 第2話

■第2話 ゆいちゃん

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 昨夜、坊主頭のヤクザに散々蹴りを入れられた脇を優しくさすりながら、萬次郎は6畳一間の寮の片隅で、煎餅布団にひっくり返りながら黒い手帳をパラパラと捲っていた。

 息をする度に肺の肋骨辺りがズキンと痛んだ。しかし、そのおかげで、当分の間、堂々と工場を休む事が出来るようになった。

 顔をボコボコに腫らした萬次郎は、この休みを利用して、この手帳に書いてある女達を片っ端からヤリまくってやろうと密かに企んでいたのだった。

 診断書は全治一週間だった。肋骨も全然折れてなかった。

 萬次郎は、診断書を工場長に提出しながら、「しばらくの間、実家で療養して来ます」と、いかにも死にそうな表情で嘘を付いた。そして、わずかながらの見舞金を工場長から掠め盗ると、ピンピンした体で寮を後にしたのだった。

 新宿東口の喫茶店で黒い手帳を見つめる萬次郎は、まずはどの女から喰ってやろうかと手帳に書かれた女達の個人情報をもう一度順番に見直した。

 一人一人の個人情報を眺めていると、その女がどんな女なのだろうかと言う妄想が膨れ上がり、既にその時点で萬次郎のちんぽの先はヌラヌラと濡れた。

 ムハムハと興奮してしまった萬次郎は、とりあえず、まずは簡単に1発抜いておこうと思い、勤務先や住所が新宿と書かれている女を探す事にした。

 新宿の女は、昨夜のあざみちゃんの他に3人いた。

 『名前・箕輪ゆい/年齢・19才/住所・東京都杉並区東高円寺・・・/携帯・090-1295-8・・・/勤務先・パーラーいすず新宿店/暗号・家庭の医学は役立たず』

 『名前・田中順子/年齢・23才/住所・東京都新宿区・・・/携帯・090-7723-8・・・/勤務先・新都物産株式会社OL/暗号・また携帯をトイレに落としましたよ竹中君』

『名前・大前松子/年齢・45才/住所・東京都足立区・・・/携帯・090-7554-1・・・/勤務先・日本海かまぼこ株式会社東京工場/暗号・お母さん』

 そんな萬次郎は、箕輪ゆいという19才の少女に目を付けた。パーラーいすずなら、ここから歩いても数分だ。とにかく彼女の顔を見てから決めようと、東口の喫茶店を後にしたのだった。

 パーラーいすずは、どことなく70年代の雰囲気を漂わせるオシャレなカフェだった。

 客はほとんどが女性で、いや、よく見ると全員が女性で、男の客は萬次郎1人だけだった。

 窓際の小さな席にその暑苦しい太った体を押し込んだ萬次郎は、メニューを見るフリをしながら店内をソッと見回した。

 真っ白な店内には、鮮やかなオレンジ色をしたエプロンの店員が3人いた。どれも若くて可愛い。その中でも、萬次郎は、ほんわりと茶髪に染めた髪をツインテールに縛った小さな女のコが気に入った。まるで妖精のように可愛い少女だ。

 そんな萬次郎のテーブルには、ストレートに髪を肩まで伸ばした綺麗系の女の子がやって来た。彼女は、このオシャレな店の雰囲気には似合わない薄汚い萬次郎を、横目でチラッと見ながら「何にいたしますか?」とサラリと言った。

「あぁ・・・じゃあ・・・えっと・・・アイスティーを・・・」

 本当は、『生クリームとバナナのビッグチョコアイスパフェ』というのを注文したかったが、しかし、さすがの萬次郎でもそのくらいの空気は読めた。ここで自分がそんなモノをムシャムシャと喰い始めれば、瞬く間に店内は恐怖の坩堝と化すのだ。

 萬次郎は、飲みたくもないアイスティーを注文すると、すかさずその髪の長い娘に聞いた。

「この店に、箕輪ゆいさんってお見えになりますか?」

 さっさと立ち去ろうとしていた黒髪少女は、一瞬戸惑った表情を見せながら、「はぁ・・・」と小さく頷いた。そして、訝しげに萬次郎の額の汗をジロジロと見つめながら、「呼んで来ましょうか?」と、恐る恐る言った。

「はぁ・・・できれば・・・」

 おもわずそう答えてしまった萬次郎だったが、しかしまだ何の作戦も出来ていない。

 ゆいちゃんが来たらなんて話せばいいんだよ・・・などと焦りながら、慌ててグラスの水の一口でゴブっと飲み干すと、斜め前の席でそれをジッと見ていた女子高生が恐ろしそうにキュッと眉を顰めた。

 店の奥の観葉植物の裏で、黒髪少女とツインテールの女の子がヒソヒソと話しているのが見えた。2人は、観葉植物の葉っぱの隙間から萬次郎をジッと見つめながらヒソヒソと言葉を交わしている。

 萬次郎は、あのツインテールの女の子が箕輪ゆいである可能性が高いと思うと、大声を出して泣き出したいくらいに嬉しかったが、しかしそんな事をすれば、斜め前の席にいる女子高生が失神してしまうといけないだろうからと泣き叫ぶのを遠慮した。

 観葉植物の裏から2人の少女に見つめられながら、萬次郎は慌てて黒い手帳を取り出した。

 何か、話しのきっかけはないものかと、黒い手帳に記されている箕輪ゆいのデーターをもう一度読み直す。

 ふと、住所の欄に東高円寺と書いてあるのを見た萬次郎は、以前、あの辺で下着泥棒を繰り返していたのを思い出し、東高円寺の町並を頭に思い描いた。

(確か、あの時は・・・パンツを盗んだ後、近くの大きな公園のベンチでセンズリしたはずだ・・・あの公園、なんて言う名前だったっけなぁ・・・あっ!そうだ、確かその公園の裏に小学校があったんだ、そこで用務員のおっさんに追っかけられた事があった!で、公園の前にももうひとつ小学校があって、どうしてこんな近くに小学校が2つもあるんだ?って思ったんだ!そうだ、そうだ、2つ並んだ小学校だ・・・・)

 そうこうしていると、ツインテールの女の子は恐る恐る観葉植物の裏から出て来た。そして戸惑いながらも萬次郎のテーブルに近付いて来た。

「箕輪ですけど・・・」

 ゆいはオレンジ色のエプロンにシルバーのおぼんをあてたまま突っ立っていた。そして不審そうな表情で萬次郎の顔を覗き込む。

「久しぶり・・・元気だった?」

 坊主頭をタンコブだらけにした萬次郎は、何も考えずにいきなりそう笑った。そんな萬次郎を見たゆいは、その穫れたてのじゃがいものような見知らぬ男に益々ビビった。

「どこかで・・・お会いしましたか?・・・」

 ゆいはシルバーのおぼんで防御するかのように、おぼんを胸に押し付けながら怪訝そうに萬次郎にそう聞いた。そんなゆいの真っ白で柔らかそうな頬は生クリームのように輝いていた。

「池島ですよ、覚えてませんか?」

 萬次郎はデタラメな名前を言った。萬次郎は焦ってデタラメな名前を使う時は、決まって池島か高倉だ。

「池島さん・・・ですか?」

 そう言いながら首を傾げるゆいは、まさしく妖精系の美少女だった。

「ほら、東高円寺の公園近くの小学校で一緒だったじゃない・・・」

 公園近くの小学校と言えば、どっちの小学校とも言えるだろうとタカをくくっていた萬次郎は、東高円寺周辺に小学校が20校も点在している事実を知らない。

「小学校?・・・」と首を傾げていたゆいだったか、しかししばらくするともうどーでもよくなったのか、「あぁ、はい・・・」と引き攣った表情で頷きながらも萬次郎に愛想笑いを浮かべた。

 そんなゆいを見て、とたんにホッとした萬次郎は、「いやぁ、偶然この店に来たんだけど、ゆいちゃんに良く似たウェイトレスさんがいたから、もしかしたらそうかなぁ~なんて思って、聞いてみたんですぅ」などと呑気なデタラメを吐いた。

 そうしながらも、萬次郎はゆいの足下から頭のテッペンまで素早く観察した。

 顔はかなり可愛い。リカちゃん人形を思わせるその大きな目。プリンと弾力性のありそうな薄ピンクの唇。そして透き通るように白い頬は、まるで赤ちゃんのようにプニュプニュと柔らかそうだった。

 しかもスタイルも良かった。小さいながらもスラリと伸びた背には、顔、腕、胴、足、が均等に取付けられ、まるでフィギュアのように完璧だった。エプロン越しにプクッと膨らんだ胸は手の平サイズで、ショートパンツから伸びる足は細いながらもムチムチとし、そのムチムチ感はベッドに入ったらさぞかしエッチになるだろうと予感させた。

 そしてなによりも、ゆいが醸し出しているその雰囲気がいい。ふんわりとした少女でありながらも、しかしメイクやヘアースタイルは狂いもなくキッチリと決めている。そう、ゆいはオシャレで可愛い妖精のような都会の女の子なのだ。

 萬次郎は、そんなゆいを見つめながら、思わずいやらしい想像を思いめぐらせてはアレコレと卑猥に視姦し、そしてぐひひひひっと下品な笑顔を見せた。

 そんな薄気味悪い萬次郎の笑顔に、ゆいだけでなく斜め前に座っている女子高生も同時に「ギョッ」と表情を硬直させた。

「そ、それでは・・・ごゆっくりどうぞ・・・」

 ゆいは、顔を硬直させたまま愛想笑いを浮かべ、そのまま店の奥へと飛ぶように逃げて行った。

 萬次郎は、そんな可愛らしいゆいの声を、じんわりと心で溶かすように受け入れ、もうすぐあの可愛い声が卑猥な声に変わるのだと想像しては、1人密かに身悶えたのだった。

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 店を出た萬次郎は、さっそくパーラーいすずの裏口を探した。しかし、パーラーいすずがあるビルは、隙間なくビルに囲まれており、従業員用の出入口らしき裏口は見当たらなかった。

 と言う事は、バイトを終えたゆいは必ずこの階段を降りてくるはずだ。そう思った萬次郎は、階段が見わたせる歩道の隅にソッと身を隠し、ゆいが出て来るのをジッと待ち伏せしたのだった。

 どれくらい張り込みをしていただろうか、萬次郎は携帯を開いて時計を見ようとすると、パーラーいすずの白い階段がいきなりパッと明るくなった。

 そこを輝かせていたのはまさしくゆいだった。ヒラヒラっとした白いフレアのミニスカートに薄ピンクのタンクトップ。ほんのり茶髪をツインテールに縛った髪がやたらと似合う、そんな可愛い私服に着替えたゆいは、渋谷のギャル系キャバで働けば瞬間でナンバーワンとなり、とたんに胡散臭い芸能スカウトマン達が群がるだろうと思われるほどの可愛さだった。

 そんなゆいに見とれていた萬次郎は、慌てて携帯の時計を見た。時刻は6時10分。このまま家に帰ってくれるかどうかが問題だった。

 萬次郎は駅方面へ向かうゆいの後を追った。ゆいは恐らく電車に乗る。自宅に帰るのであれば電車を降りた駅で作戦を実行すれば良いが、しかし、この後に友達と会うなんてことになるとこれまた厄介だ。またしても張り込みをしなくてはならないのである。

 そんな事を考えながら、萬次郎はゆいのミニスカートから伸びる生足をジッと見つめつつ尾行したのだった。

 上手い具合にゆいは駅に行ってくれた。

 そんなゆいが乗込んだ電車は会社帰りのサラリーマンがムンムンと詰まっていた。

 ゆいを見逃してなるものかという必死な萬次郎は、そんなサラリーマン達を掻き分けて進んでいるうちに、気がつくとゆいの真正面に辿り着いてしまっていた。

 ゆいは吊り皮にぶら下がりながら、ぼんやりと携帯を覗いていたが、しかしいきなり目の前に現れた萬次郎と目が合うなり急にギョッとその目を大きく開いた。

 ゆいと目が合うなり、「あれ?」と、わざと驚いてみせる萬次郎は、「奇遇だなぁ」などと言いながら、あたかも後からグイグイと押されているようなフリをしながらゆいに密着した。

 あと数センチも近付けばキスができるくらいまで近付く萬次郎に、ゆいは明らかに恐怖の表情を浮かばせた。そして、そんな萬次郎に背を向けようと体を捻らせたが、しかし、不運にもゆいの小さな体はサラリーマン達に圧迫されており、首をひねるだけが精一杯だった。

 身動きできないゆいは、近寄って来る萬次郎の顔を防御するかのように2人の顔の間で携帯を開き、ニヤニヤと笑っている萬次郎を無視しながらひたすら携帯を見つめた。

 目の前のゆいから、なんともいえない甘い香りが漂って来た。これが都会の美ギャルの匂いなのかと萬次郎はその香りに酔いしれながら、同時に、そんな美ギャルのアソコはどんな匂いがするのだろうかと妄想しては巨大チンコを固くさせた。

「このまま家に帰るの?」

 萬次郎は、キラキラとデコレーションされた携帯に向かって呟いた。

 携帯をほんの少しズラし、そこから大きな目でジッと萬次郎を見たゆいは「そうです」と冷ややかに答えた。

「良かったら、お茶でもしませんか?」

 萬次郎はゆいを誘った。普通なら、女の子を誘うなど絶対に出来ない小心者の萬次郎だったが、しかし尻のポケットに黒い手帳がある限り、今の萬次郎はイケイケの強気だ。

 ゆいは、ガードしている携帯から洩れてくる萬次郎の口臭に耐えられないのか、静かに俯きながら「結構です」とキッパリ断った。

(ふん。そうやって強気でいられるのも今のうちだぜ・・・もうすぐオマエは、メス豚のように涎を垂らしながら僕のこれを欲しがるのさ・・・)

 萬次郎はそう思いながら不敵に微笑むと、ゆっくりと腰を突き出し、そのガッチンガッチンに勃起した巨大チンコをゆいの体に押し付けた。

 それは丁度ゆいのヘソの辺りに押し付けられていた。萬次郎の股間にゆいの柔らかな腹の感触が伝わって来る。

 ひひひひひっと小さな声を出して笑う萬次郎に、ゆいは、携帯で顔をガードしたまま「やめて下さい」と、ポツリと呟いた。

 その声がこれまた堪らなく可愛かった。今にも射精しそうな萬次郎は、一刻も早く目の前にあるこの柔らかな妖精に触れたくて堪らなかった。

 電車を降りると、ゆいはサンダルをツカツカと音立てながら早足で駅を出た。

 駅前の商店街を歩くゆいは、時々怯えながらも足を止めては後を振り返っていた。そして萬次郎がいない事を確認すると、ホッと安心した表情でまた歩き出した。しかし萬次郎は、ゆいに見つからないようにちゃっかりと尾行していたのだった。

 どこで暗号を言うかが問題だった。

 もたもたして、自宅に入られてしまってはもう手の出しようがない。かといって、こんな人通りの激しい場所でいきなり欲情されても困る。

 萬次郎は、どこか最適な場所はないものかと、そのタイミングを見計らっていた。

 商店街を抜け、住宅街をそのまま進むと大きな団地群に出た。ゆいの自宅はこの団地なのだろうか、ゆいはそのマンモス団地へと向かう大きな階段をさっさと上って行く。

 もうここしかチャンスは残されていなかった。幸い、そのマンモス団地には所々に小さな公園があり、緑に囲まれた人気のない遊歩道も多い。そんな遊歩道の茂みに隠れながら尾行していた萬次郎は、ゆいが『D3』と記された団地に向かう1本の遊歩道に入り込んだのを見ると、辺りに人の気配がないのを確認しつついきなり茂みから飛び出したのだった。

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「ねぇ!」

 背後からそう聞こえる萬次郎の声に、一瞬ゆいの小さな肩がビクッと震えた。

 歩きながら「はっ!」と振り返ったゆいに、萬次郎は走り寄りながら「家庭の医学は役立たず!」と暗号を叫んだ。

 その瞬間、ゆいの足がピタっと止まった。

 ゆいは驚いたような表情で止まったまま、全速力で向かって来る萬次郎の顔を無言でジッと見ている。

 走って来た萬次郎はハァハァと肩で息をしながら、呆然と立ちすくむゆいの前で立ち止まると、びっくりした表情のゆいをジッと見つめ、そしてもう一度、念を押すかのように「家庭の医学は役立たず・・・」と呟いた。

 その瞬間、ゆいは一瞬フラッと体をよろめかせた。そして遊歩道脇のコンクリートに躓き、そのまま芝生の上にドテッと尻餅を付くと、フレアスカートから薄ピンクのパンティーを丸出しにしたのだった。

 ゆいは捲れ上がったスカートを直す事なく、いったい何が起きたの?っという感じでただただ呆然と萬次郎の顔を見つめていた。

 萬次郎はその隙にどこか手っ取り早く『抜ける場所』はないかと素早く辺りを伺う。

 そこから少し離れた場所に金網に囲まれた変圧器が近未来的な姿を曝け出していた。その裏は鬱蒼とした緑がどんよりと影を作っていた。

(あそこだ・・・)

 そう思った萬次郎は、さっそくパンツ丸出しで尻餅を付いたままの妖精に向かって、「こっちにおいで・・・」と手招いた。

 困った表情を浮かべながら困惑していたゆいだったが、しかし、しばらくするとゆっくりと立ち上がり、黙ったまま萬次郎が手招く方へとヨロヨロと歩き出した。

 子供のように小柄ながらも、ほどよく胸と尻をプルンと突き出したコケティッシュなゆいの体に、早くこいつを抱きたい!と気を焦らす萬次郎は、遠くのほうで子犬を散歩させている老人をチラチラと気にしながらも、ヨロヨロと歩くゆいを変圧器の裏へと誘導した。

 舗装されている遊歩道から、雑草が生え茂る変圧器の真裏へと行くと、そこには丁度いい具合にペシャンコになった段ボールが土の上に敷かれていた。誰かがそこに居たのだろうか、その段ボールの回りには食べ散らかしたコンビニの弁当と缶コーヒーが転がっていた。

 萬次郎はその段ボールのすぐ横にゆいを立たせた。正面の遊歩道からは完全な死角となり、後は鬱蒼とした森だ。ここなら誰にも見られる心配はない。

 萬次郎はいきなりゆいを抱きしめた。ゆいの背中が変圧器の金網にギギギッと押し付けられ、なにやらとってもSMチックだ。

 萬次郎は、ゆいのその小さな体をギュッと抱きしめながらも、まるでこの少女はウサギのように柔らかい、と思った。

 ゆいはまったく無抵抗だった。汗でぐっしょりと湿った腋の下から異様なニオイを放っている萬次郎の臭体に抱きしめられても、ゆいは顔色ひとつ変えず、ただボンヤリと目の前の森を見つめていた。

 そんなゆいを見て、脳天に熱湯をぶっかけられたかのように興奮した萬次郎は、無抵抗なゆいの体を触りまくった。手触りの良いTシャツの上から、手の平サイズの胸を揉みしだくとヒラヒラのフレアスカートの前にいきなりしゃがんだ。

 萬次郎は敢えてスカートを捲らず、頬を地面に押し付けながらスカートの中を覗いた。いつもネットで見ているパンチラ写真の現物が、見上げる萬次郎の目の前に広がる。

(すげぇ・・・すげぇよこれ・・・)

 萬次郎は、ゆいのサンダルを枕にしながらスカートの中を覗き込んでは、パンティーに包まれた股間にソッと指を伸ばした。モッコリと膨らんだ恥骨に人差し指の先をあて、そのままワレメに沿ってツツツーっと指を奥へやる。萬次郎の指が、ピタッと閉じていた太ももの中に割り込むと、ゆいは萬次郎が触りやすいようにとゆっくりと足を開いた。

 下から見上げるパンティーのクロッチには、テラテラと輝くシミが早くもじんわりと広がっていた。

(暗号を聞くと、ココが濡れるんだろうか・・・・)

 萬次郎は、昨夜のカラオケボックスのあずみも、暗号を聞いただけでアソコをグッショリと濡らしていたのを思い出した。

 ふと気付くと、ゆいは足下の萬次郎をジッと見下ろしていた。

 一瞬、元に戻ってしまったのかと慌てた萬次郎は、念の為、もう一度「家庭の医学は役立たず!」と叫んだ。

 しかし、ゆいはそんな暗号に何の反応も示さず、人形のようにただジッと萬次郎の目を見ているだけだった。

 そんな人形のようなゆいにビビった萬次郎は、ゆいの視線から逃げるかのようにヒラヒラのスカートの中に頭を潜り込ませ、じっとりとシミ付く股間にハフハフと唇を押しあてた。そんなゆいのスカートの中は洗濯洗剤の香りが漂っていた。

 ふいに、スカートの外から、「あぁぁん・・・」という微かな呻き声が聞こえて来た。その声を聞き、催眠術はまだまだ効いていると安心した萬次郎は、その湿った股間をパンティー越しにジョリジョリと舐めた。妖精のような美少女の汁は、丁度いい塩梅の塩っぱさだった。

 パンティーの股間が唾液でグチョグチョになるまで舐め尽くすと、そのままスルスルッとパンツを下ろした。ツルンっとした白ネギのような足の根元に栗毛色の陰毛がサワサワと生えていた。

 萬次郎は、すかさずゆいを金網に凭れさせると、ゆいの左足を自分の肩の上に乗せ、まるで八十年代のビニ本のように卑猥に開かされた股間を覗き込む。

 ゆいの真っ白な股間に、まるで鋭利な刺身包丁でスパっ!と斬ったかのようなワレメが痛々しく輝いていた。ワレメの色は全体的に肌の色と同色だったが、しかし、一部だけペロンと捲れた小陰唇がほんのりとサーモンピンクに染まっていた。

 それは紛れもなく綺麗なオマンコだった。萬次郎がいつもお世話になっている大久保の4千円デリヘルで働いている醜熟女の干しアワビとは明らかに違う別物だった。

 萬次郎は人工的に作られたかのようなゆいのそのワレメを優しく指で開いて見た。閉じていた薄ピンクの小陰唇がネチョッと開かれると、中から、まるでハチミツの瓶をひっくり返したかのようにトロトロとした透明の汁がネトーッと糸を引いて滴り落ちた。

(スゲェよ・・・普通こんなに濡れねぇだろ・・・)

 そう思いながらふとゆいの顔を見ると、またしてもゆいは真顔でジッと萬次郎の目を見ていた。

 ゆいのその真顔にドギマギとした萬次郎は、念の為にともう一度「家庭の医学は・・・役立たず・・・」と呟いて見るが、しかしゆいは何の反応も見せず、ひたすら黙ったままジッと萬次郎を見つめている。

「あのぅ・・・・」

 焦った萬次郎は小さな声でボソっとゆいに話し掛けた。

「お店・・・楽しい?・・・」

 実につまらない事を聞く萬次郎。

 するとゆいはジッと萬次郎を見つめたまま「楽しくない・・・」っと、まるで交通安全の腹話術の人形のように口だけパクパクっと動かした。

 そんなゆいの仕草を見ておもわず「プハっ!」と噴き出しそうになった萬次郎だったが、しかしそんな笑いをグッと堪えた。素人の女の子と話す機会などファーストフードの店員以外に滅多にない萬次郎には、たとえ相手が催眠術にかかっていようとも、これはとっても貴重な体験なのである。

 気を取り直した萬次郎は、ゆいの顔にもっとその脂っぽいデカ顔を近づけながら聞いてみた。

「どうして楽しくないの?・・・」

 するとゆいは急に表情を暗くし、少しだけ唇を尖らせながら「オーナーが嫌いなの・・・」っとポツリと呟いた。

「オ、オーナーって男?それとも女?」

「・・・おじさん・・・」

「ど、どうして?・・・そのおじさんエッチな事とかしてくるの?・・・」

 ゆいは無言でコクンと頷いた。

 萬次郎の指にはゆいのヌルヌルのワレメが絡み付いている。そんな状態でそんな話しを聞いていた萬次郎は、いったいこの美少女は喫茶店のオーナーにどんないやらしい事をされているのかと、むやみやたらに大妄想しながら、大きくゴクリと唾を飲み、恐る恐る聞いた。

「ど、どんな事を・・・されるの?・・・」

「・・・・スカートの中に手を入れるの・・・」

「ス、ス、スカートの中!・・・・で、どこを触られるの?・・・」

 萬次郎が目玉をギョロギョロさせながら聞くと、ゆいは「ここ・・・」っと言いながら、今まさに萬次郎が触っているワレメを、デコレーションされた可愛い爪をキラキラさせながら指差した。

「こ・・こ・・・ここって・・・どこ・・・」

 萬次郎はこのコケティッシュな少女に局部の名称をどうしても言って貰いたかった。

「ここは・・・ここ・・・」

 ゆいは真顔でもう一度そこを指差す。

「ここ、じゃわからないよ・・・な、なんていう場所?・・・」

「マンコ」

 それを聞いて大興奮した萬次郎は、猛然とその蜜穴にしゃぶり付いた。ほのかにプ~ンとイカ臭い蜜穴は、まるで大量のオブラートをグラスの中で溶かしたようにネバネバしていた。

 萬次郎は、ブチョ、ブチョ、っという下品な音を立てて舐めながら、「マンコ!マンコ!」とバカのように呟いては勃起したペニスをスボンから捻り出すと、そのままシコシコとペニスをシゴきながらレロレロと舌を連動させたのだった。

「あぁぁん・・・」

 頭上から、可愛い妖精のアエギ声が聞こえて来た。

 そのままゆいの小さな体を、足下に敷いてあったペシャンコの段ボールの上に荒々しく寝かせた。

 そして、寝転がせたままのゆいの股を人形のようにM字に開かせると、パックリと開いたワレメの下で、キュッと口を窄めている肛門が目に飛び込んで来た。

 萬次郎は、迷う事なく妖精の肛門に吸い付いた。一瞬、ウンチの香りが漂ったが、しかし、この妖精のような美少女が、バイト先のあのオシャレなカフェのトイレで「うんうん」と唸ってはここからうさぎのウンチのような小ちゃなウンコを捻り出したのかと想像すると、萬次郎はいてもたっても居られないくらい興奮してしまい、そのウンチの味が消えるまでソコを舐め尽くしたのだった。

「あぁぁん・・・早く・・・」

 肛門とワレメを交互に舐めていると、いきなり耳を疑うような言葉が聞こえて来た。

「えっ?」と慌てて顔をあげた萬次郎は、ペシャンコの段ボールに頬を押し付けていたゆいを見下ろした。

「なに?・・・どうしたの?」

 萬次郎は、ペニスをシコシコとシゴきながら、ゆいが初めて発したそのエッチな言葉をもう一度聞きたいが為に聞き直した。

「はぁはぁはぁ・・・早く・・・入れて・・・」

 ゆいは小さな胸をハアハアと大きく揺らしながら、苦しそうに呟いた。

「入れて欲しいの?・・・」

 萬次郎は、下半身をゆいの股の中へ潜り込ませながら、ペニスの先でワレメをツンツンと突きながら意地悪く聞いた。

 ゆいは、大きな瞳を潤ませながら、子供のようにコクンと頷いた。

 その表情が堪らなく可愛かった萬次郎は、再び聞いた。

「どこに入れて欲しいのかちゃんと言って・・・・」

 萬次郎は自分でそう言いながらも、これじゃあ三流官能小説だよ、と恥ずかしくなった。

「マンコ」

 ゆいのその言葉を聞いた萬次郎は、いきなり鼻から「ふんがー!」という凶暴な息を吐いた。今まで「ふんがー!」などと興奮するヤツなんて昭和の漫画の世界だけかと思っていた萬次郎は、本当に自分の鼻からそんな鼻息が出た事に驚きながらも、慌ててゆいの細い足を両腕に抱えた。

 ゆいの股間をバックリと開くと、そこに極太のペニスの先をニュルっと押し込んだ。

「あっ!」と、瞬発的にゆいの背骨がエビ反りに反り返った。

「痛い?」

 萬次郎が慌てて挿入進路を止めると、ゆいは「あん!入れて!奥まで入れて!」と、子供のようにだだをこね、そんなゆいの口からはチューインガムのような香りが漂い、ふんがーの萬次郎の鼻を著しく挑発した。

(なんだよ、こんな可愛い顔して、すげぇスキモンじゃん・・・)

 萬次郎は嬉しくなって、そのままスブブっと石焼きイモ級のドデカちんぽを根元まで刺した。

 ドデカちんぽを入れられてからのゆいの乱れかたは半端ではなかった。

 絶叫に近いアエギ声を、まるでターザンのように鬱蒼とした森に響かせながら、自らその細い腰を貪欲にコキコキと振って来るゆいは、あの白いカフェで見た妖精少女とはもはや別人だった。

 そんな変身したゆいを見て、ふと萬次郎は思った。

(あの暗号は、ただヤらせてくれるだけでなく、女を淫乱に変身させてもくれる暗号でもあるんだ・・・)

 そう思ったとたん無性に嬉しくなった萬次郎は、巨大ペニスをネチャネチャと音立てながら、ゆいの幼気な穴をホジリまくった。

 ゆいの穴はとても狭く、萬次郎の石焼きイモのようなペニスをピンクの膣壁でキュンキュンに包み込んでくれた。ピストンする度にその小さな穴から溢れ出すゆいの汁が、ゆいの肛門を伝っては下に敷かれた段ボールにジワっと黒いシミを作っていた。

 そんなゆいのいやらしいシミに興奮した萬次郎が、更に激しくカクカクカクカク!と腰を振ると、人形のように小さなゆいの体は、地震に遭遇したかのように萬次郎の腕の中で上下に激しく揺れた。

「気持ちいいか?」

「・・・気持ちいい!・・・」

「どこが?・・・」

「あそこ・・・」

「あそこじゃダメ、ちゃんと場所の名前を言って!」

「あん!マンコ!」

「もっと言って!」

「マンコ!」

「もっと言え!」

「マンコ!マンコ!マンコ!マンコ!マンコ!マンコ!マンコ!」

 そんなゆいの叫びと、萬次郎の腰の動きが連動していた。萬次郎の激しい腰の動きに連動して「マンコ!マンコ!マンコ!マンコ!」と叫ぶゆいの唇に、巨大ナメクジのような太った舌を捻り込んだ萬次郎は、ゆいのその温かい口内に身も心も蕩けてしまいそうだった。

 と、その時だった。森のしげみの中でガサッという音がし、そして何かが動いた。

 それでも萬次郎は腰のコキコキを止めようとはせず、顔だけ森に向けては茂みの中にジッと目を凝らした。

 するとそこには、薄汚れた中年のおっさんが細い幹に身を隠しながらソーっとこちらを覗いていた。

 おっさんの右手がゴソゴソと動いている。どうやら萬次郎達のセックスを見ながらセンズリをしているようだ。

 他人に覗かれながらセックスすると言うのも悪くない。いつも覗く側の萬次郎は、そう優越感に浸りながらも、わざとおっさんに見えるようにその結合部分を開いてやったりした。

 その度におっさんは、茂みの中で頭を上下左右に振りながら、更に良く見ようと必死になっていた。

 そんなおっさんを、まるで昨日までの自分を見ているような気がして急に哀れに思った萬次郎は、茂みの中のおっさんに「おいで」っと手を振った。

 いきなり手を振られたおっさんは、自分の背後をキョロキョロと見回し、後に誰もいない事を確認すると、人差し指で自分を指しながら「俺?」と不思議そうに口パクしたのだった。

 薄汚いチンポを曝け出したまま恐る恐る茂みから姿を現したおっさんは、ペシャンコの段ボールの上で喘ぎまくるゆいの枕元にゆっくりと腰を下ろした。恐らく、この変圧器の裏を寝ぐらにしているのだろう、どー見てもそのおっさんはホームレスにしか見えなかった。

 おっさんは、最初は遠慮がちにゆいの顔を覗き込んだりしているだけだったが、そのうち、シコシコとシゴく自分のペニスをゆいに見せつけたりし始めた。

「あんたの彼女?・・・」

 おっさんは、抜けた前歯を曝け出しながら、腰を振る萬次郎に笑いかけた。

「・・・まぁ、そんな所だ・・・」

 萬次郎はそう答えると、とたんに、こんな可愛い子が本当に自分の彼女だったら・・・という妄想に包まれ、おもわずニサッと微笑む。

 おっさんは、喘ぎまくるゆいに「気持ちいいか?・・・気持ちいいのか?」などと話し掛けては、そのチンカスで白くパリパリに乾いたペニスを、ゆいの頭上でシコシコとシゴいていた。

「おい・・・ゆい・・・おっさんのチンポ、しゃぶってやれよ・・・」

 まるで彼氏にでもなったつもりの萬次郎が、得意気にそう命令すると、おっさんは「と、とんでもねぇ!」と首をブルブルっと振った。

「いいんだよ・・・俺の女はよ、俺の命令は何でも聞くんだからよ・・・」

 萬次郎は自分のそのセリフに身震いした。一度でもイイからこんなセリフが言ってみたかったのだ。

 ホームレスのおっちゃんは、嘘だろ?っと言った表情で、喘ぐゆいと萬次郎を交互に見つめた。

 萬次郎はすかさずそのおっさんの激臭ペニスを指差しながら、ゆいに聞いた。

「これ、なに?」

 ゆいはペシャンコの段ボールの上で「あぁん・・・うぅぅん・・・」と喘ぎながら、チラッとおっさんのペニスを見た。

「これはなんていうモノ?」

 萬次郎はもう一度チンカスだらけのおっさんのペニスを指差してゆいに聞く。

「ちんぽ」

 ゆいがそう答えると、萬次郎は自慢げにおっさんを見てニヤリと笑いながら「な?」と威張った。

 おっさんは「へぇ~」と感心するかのように萬次郎とゆいを交互に見つめた。

 するとゆいがふたたび叫んだ。

「ちんぽ!くっさいちんぽ!」

 ゆいの声が静まり返った森に響き、重い沈黙が萬次郎とおっさんを包み込んだ。

 おっさんの表情にみるみると哀愁が漂い、そして萬次郎はいきなり「ぶはっ!」と噴き出したのだった。

「ほら・・・早くしゃぶるんだ・・・」

 萬次郎はゆいの体を両手で優しく包み込みながら、そのオシャレな香水の匂いが漂うゆいの首筋にキスをした。そして、萬次郎がゆっくりと体を起こすと、ゆいはゆっくりとおっさんに顔を向け、まるで池の中の鯉が餌をねだるかのように口を開いたのだった。

 ハァハァと臭い息を吐くおっさんは、体をブルブルと震わせながら「俺、金ねぇからな・・・」と何度も萬次郎に念を押しながら、ゆいのポッチャリとした唇にその激汚のチンコを近づけた。

 普通の人間なら、そのあまりの汚さに失神すらしそうなチンコだったが、しかしゆいは恐る恐る向かって来るそのチンコにゆっくりとアゴをしゃくりあげた。

 目の前に迫って来た激臭チンコを、何の躊躇いもなく口の中にジュルっと滑り込ませたゆいは、半開きの目をボンヤリさせたまま、口の中でチュポチュポと音立てる。

「温けぇ・・・・」

 ゆいの小さな顔を、感動的に両手で押さながらおっさんがそう唸った瞬間、目の前のその異様な光景を目にしていた萬次郎は、堪え切れずに精液をぶっ飛ばした。

「うっ!」と、低く唸る萬次郎は、尿道を精液が走っていくのを感じながら、慌ててゆいのTシャツを捲った。

 手の平サイズのおっぱいが、やわらかそうにプルルンっと揺れ、おもわず萬次郎は、それにむしゃぶりつく。

 萬次郎の大量の精液はゆいの小さな膣の中に溢れ、ピストンされる穴の隙間からジュブジュブと洩れ出した。

 最高に気持ち良かった。こんなセックスをしたのは生まれて初めてだと、萬次郎はゆいの甘い香水に包まれながら、ゆいの小さな乳首を舌で転がしてはそう思ったのだった。

 一滴残らずゆいの膣の中に中出しした萬次郎がふと顔をあげると、妖精のような顔をしたゆいが、おっさんの毛ジラミだらけのゴワゴワ陰毛に顔を押し付けながら一心不乱にペニスをしゃぶっていた。

「・・・イッたの?」

 おっさんは抜けた前歯から赤黒い舌をヘビのようにニュルニュルと出しながら不気味に笑った。

「・・・やる?」

 萬次郎はヌポッ・・・と、汁まみれのペニスを引き抜きながら、おっさんに聞いた。

「嘘だろ・・・」

 信用していないおっさんは、疑うようにして笑った。

「いいよ、好きにしなよ・・・」

 萬次郎は、持っていたポケットティッシュでグダグダに濡れたペニスを包み込むと、オマンコがポッカリと口を開いたままのゆいの股間からソッと抜け出し立ち上がった。

「俺、あっちに行っててあげるから、ゆっくり楽しみなよ・・・」

 萬次郎がそう言いながら変圧器の裏から出ようとすると、おっさんが「後で文句言うなよ?」と疑問文で聞いて来たから、萬次郎は、「大丈夫よ」と捨て台詞を残して遊歩道へと出たのだった。

 遊歩道に出た萬次郎は、ブルブルと震えながらタバコに火を付けた。

 まさかこんなに上手く行くとは思ってもいなかった萬次郎は、今更ながら震えが止まらなくなって来たのだ。

 遊歩道には会社帰りのサラリーマンや、犬の散歩をする主婦達で賑わっていた。この平和を絵に描いたような彼らは、まさか今この変圧器の裏で、催眠術にかけられた少女がホームレスに犯されているとは、誰1人思ってもいないだろう。

 そう考えると、再び萬次郎は優越感に浸った。この手帳さえあれば、僕はこの世界をも征服できる、などととんでもない自信まで湧いて来た。

 そして、夕焼け空にゆっくりと煙を吐いた刹那、その何とも言えない絶叫が変圧器の裏から飛び出して来た。

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 それは、まさしく断末魔と言ってもいいほどの強烈な叫び声だった。

 遊歩道を歩くサラリーマンや、犬を散歩していた主婦達がビクッ!と足を止め、一斉に萬次郎に振り返った。

「何よー!ヤメてよ!誰かぁ!助けてー!」

 それはまさしくゆいの『素』の声だった。

 萬次郎は、すかさず背後の森の中に飛び込むと、バシっ!ギシッ!と小枝をなぎ倒しながら一心不乱に逃げ出した。

「うそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!・・・・」

 まるで発狂したかのような叫び声を背後で受けながら、萬次郎はその森を必死で駆け抜けた。

 そんな萬次郎は、顔面に小枝をビシバシと感じながら、そうか・・・この催眠術は約2時間しか持たないんだな・・・と心で呟き、その新たなる情報を手に入れた事に不敵にニヤリと笑い、そして不運にもレイプ魔となってしまった臭いちんぽのホームレスをふと思い出してはゲラゲラと笑ってしまったのだった。

< 続く >

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