黄金の日々 第2部の前に

第2部の前に

第1部のあらすじ

魔界で、退屈を持て余しながらも下僕の女悪魔たちを相手にだらだらと日常を過ごしていたシトリーは、ある日、魔界の上層部からの呼び出しを受けた。宮殿に赴いたシトリーは、その場で人間界への潜入工作を命じられる。それは、これまで何度となく繰り返されてきた魔界と天界との争いの下準備のためであった。そして、工作を行うターゲットとしてシトリーは、小国ながらも魔法王国として知られるヘルウェティアを選んだのだった。まず、国境付近の小村キエーザを押さえたシトリーは、邪教徒の魔手から逃れた少女の姿に身をやつしてヘルウェティアの都フローレンスの教会に潜入することに成功した。そして、教会を拠点に魔導院、騎士団を次々と攻略していき、ついには、ヘルウェティアの若き女王クラウディアを堕として、ヘルウェティアを自らの手中に収めたのだった。
そして、魔界が人間界へと侵攻する期日が近づこうとしていたのだった……。

第1部で登場した主要な人物

※シトリーとその下僕の悪魔

・シトリー……魔界の侵攻に先行して、人間界への潜入工作を命じられた悪魔。本来は天使だったが、後に魔界に堕ちてきた、いわゆる堕天使。黒髪に金色の瞳を持ち、人の心を操る能力に長ける。首尾よくヘルウェティアを手中に収めるが、当の本人は暇つぶし感覚でやっているフシがある。

・エミリア……シトリーの下僕の女悪魔。黒髪に真紅の瞳、猫耳という姿だが、実はシトリーと同じく天界から堕ちてきた堕天使。シトリーとはその頃から深い仲である。自身の姿を思いのままに変えることができ、また多少なら他人の姿も変化させる力を持っている。明るい性格でお調子者。

・ニーナ……シトリーの下僕の女悪魔。ローズピンクの髪に蝙蝠の翼を持つ夢魔(ナイトメア)。人に様々な夢を見せる能力を持ち、それによって生まれる感情や欲望を糧としている。のほほんとした口調で話すので暢気な性格に思われがちだが、やはり悪魔なので、かなり悪辣な悪夢を見せて恐怖や悲しみの感情を食べるのが好み。

・メリッサ……シトリーの下僕の女悪魔。床につきそうなほどに長いエメラルドグリーンの髪を持っている。魔界に生えるものから人間界に生えるものまで、ありとあらゆる植物を操る能力を持つ植物系の悪魔。シトリーの下僕の女悪魔の中では最も物腰も話し方も丁寧で常識的な性格だが、他の下僕たちと同じくシトリーのことを盲目的に崇拝している。

※シトリーの下僕になったヘルウェティアの人間たち

・アンナ……もとキエーザの村の教会の女司祭。人間界に来たシトリーの最初のターゲットにされた(第1部プロローグ、第1話)。金髪にダークグリーンの瞳に、少女のようなあどけなさを残す童顔がチャームポイントの美人。シトリーの魔の気を受けて、自分のことを信頼している相手に限るという条件付きだが、自分の言葉を相手に無条件で信じさせることができる力に目覚めた。本来は真面目で優しい人間で、シトリーや仲間たちに接する時にはその性格は変わらないが、ためなら親友のエルフリーデや師であるシンシアを平気で欺くという悪魔的な性格も芽生えている。

・エルフリーデ……ヘルウェティアの王国騎士団の若き女騎士。アンナとは幼なじみで親友。栗色の髪に黒い瞳で、性格はよく言えば直情径行型、悪く言えば向こう見ず。アンナのことを心配してキエーザの村に乗り込んできたが、そのアンナに欺かれて反対にシトリーの手に堕ちてしまう(第1部第2話)。シトリーの魔の気を受けたことにより人間離れした身体能力を身につける。実は少女姿のシトリーに萌えるアブナイ一面を持っている。

・ピュラ……ヘルウェティアの魔導長。クラウディアとリディアの魔法の師で、魔法王国と呼ばれるヘルウェティアでも随一の魔法の使い手なのだが、動物好きの性格をエミリアに利用されて体を乗っ取られてしまい、あっけなくシトリーの使い魔(下僕)に堕ちてしまう(第1部第3話)。赤紫の髪に紫紺の瞳を持ち、見た目には30代後半から40歳くらいの、大人の魅力溢れる美人なのだが、実際の年齢は誰も知らない。

・シンシア……ヘルウェティアの教会の女性幹部。学識豊かな才媛で、女王クラウディアの学問の師であり、教会の女司祭を束ねる立場にもある。厳格で曲がったことや不正を憎む正義感が強い一方で、教え子たちには限りない愛情を注ぐ母性本能の強い一面もある。その正義感と母性が仇となって、教え子のアンナと少女姿のシトリーの手に堕ちる(第1部第4話、第6話)。アンバーの長い髪が魅力の、肉感的な美人。

・リディア……魔導院に所属する少女。若いながらも魔法の腕は他に抜きんでており、現女王のクラウディアと共に天才と呼ばれている。白髪と見まがう淡い灰色の髪に青い瞳という風貌から、生まれた村では悪魔の取り替え子として忌み嫌われていたため幼い頃にピュラに引き取られる。実際に、遠い祖先に悪魔の血が混じっていて、それが隔世遺伝で発現したものらしい。魔力の強さもそれに由来するものと思われ、また、相手の精神を自分の思うままになる精神世界に連れ込むという特殊能力を持つ。それを逆手に取られて、シトリーとの記憶を刷り込まれてその下僕になる(第1部第5話)。その際に、シトリーの魔力を吸収して魔族として覚醒する。

・フレデガンド……女王クラウディアを守るヘルウェティアの親衛隊長。女の身でありながら親衛隊長を務めるだけあって剣の腕は一流。戦闘においては苛烈な速攻を得意とし、印象的なワインレッドの髪を振り乱して戦う様はまさに烈火の如くである。しかし平素は誠実で優しい人柄で、クラウディアからの信頼も厚い。エルフリーデの演技によってフィアンセとの仲に疑念を抱かされ、ニーナの見せる悪夢によって憔悴させられる。そのあげくに自らの手でフィアンセを手に掛けてしまい、そのショックでできた心の隙を突かれてシトリーの下僕に堕ちてしまう(第1部第8話)。

・クラウディア……魔法王国ヘルウェティアの若き女王。彼女自身も天才と称されるほどの優れた魔導師である。アクアブルーの髪に濃紺の瞳で、一見すると線の細い少女だが、優れた魔導師としての強靱な精神力と女王に相応しい心の強さを備えている。何者かが都で蠢動していることには早くから気づいていたが、ピュラの擬装もあって真相はつかめずにいた。ピュラをはじめとする自分に近しい人たちを堕とされ、正体を現したシトリーと対峙するが、リディアの精神世界に連れ込まれて、抵抗も虚しくシトリーの手に堕ちる(第1部第9話、エピローグ)。

< 続く >

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