とある王国の悲劇 剣姫編4 後編

剣姫編 4(後編)

「あぁ? この程度の仕事もこなせないのか?」
 とある私室内で怒声が響く。
 怒鳴っている男は、少し嫌味な程着飾っていた。
「しかし殿下、このような無理難題は……」
「――黙れ、無能大臣が!」
 大臣と呼ばれた男は渋々引き下がる。
 殿下には思い付いたように無理な仕事を押し付けては、失敗を責める悪癖があった。
 一種の退屈鎬の遊びかも知れないが、それで失脚させられれば堪らない。
 しかし王位継承権第一位の殿下の心証を害しては同じ事である。
 断るという選択肢は無かった。
「しかし……」
 大臣が身の破滅を感じつつ尚も言い募ろうとした時、扉から声がかかった。
「……外まで丸聞こえですよ。もう少し声を落としたらいかがですか?」
 柔らかく優しげな声。品も良さも感じられる。
 声の方を見れば、声と同じ印象を与える女性が立っていた。
「あまり怒ってばかりでも仕方ありません。少しは寛容な気持ちも必要ですよ」
 女性は微笑みながら歩み寄ってきた。
 大臣には救いの女神に見えた事だろう。
 殿下に意見出来る人間は、陛下の他には1人しかいない。
 ここに居る、殿下の婚約者たる隣国の王女だけだ。
「お……俺はただ……しっ……失敗を……だな……」
 殿下がしどろもどろに答える。
 その間に王女が目配せで大臣を下がらせる。
 大臣は感謝の礼をしながら足早に退出した。
「悪ふざけも程ほどにしないと、誰も付いてきませんよ」
 溜息交じりに、窘めるように言う。 
 殿下は叱られた子供のような表情をしていた。
(全く、何時まで経っても子供なんだから……)
 王女は内心呆れていた。
 
 隣国同士で交流が盛んだった為、幼い頃から2人は引き合わされた。
 無論、両国の結び付きを強くする為である。
 しかし子供だった2人には政治など関係無く、仲良く育っていった。
 殿下は立場から我侭な少年に育ち、どこか大人びた王女がそれを窘める。
 そんな微笑ましい関係だった。
 しかし、子供は何時までも子供ではいられない。
 先に意識しだしたのは殿下だった。
 それは初めて参加した舞踏会だった。
 別人のように華やかに着飾った王女を見て、激しく胸が震えた。
 見惚れて、目が離せなかった。
 普段の屈託無く笑う笑顔では無く、上品に微笑む彼女。
 そこに居たのは紛れも無い一人の貴婦人だった。
 それに比べて自分はどうだ。
 衣装こそ負けては居ないが、内面はだたの腕白小僧だ。
 この歳になると2人が将来どうなるのか理解していた。
 果たして自分が釣り合うのか?
 堪らなくなり、少年は会場から走り去った。
 その日から、王女に気後れする様になってしまった。
 王女の態度は全く変わらない。
 だが舞踏会の姿がちらついて、まともに見れなかった。
 それは今でも同じだった。

「それより、今日は時間取れますか?」
 王女の質問に、殿下がはっとする。
「……時間?」
 その反応に、王女の表情が暗くなる。
「……今日は私の誕生日ですよ。お忘れですか?」
「忘れてなんかいるものかっ!」
 殿下は慌てて机の引き出しを探り、小さな小箱を取り出した。
 そして王女に駆け寄る。
「……誕生日おめでとう。これ、受け取ってくれるかい?」
 真っ赤な顔でそう言うと、王女の目の前で小箱を開けた。
「……まぁ」
 そこには絢爛華麗な装飾を施した指輪があった。
「……これを私に?」
「……気に入ってくれるかい?」
 どこか怯えたような表情で殿下が尋ねる。
 それが可笑しくて、つい笑みがこぼれる。 
 それを肯定と受け取った殿下も、ほっとしたように笑みを浮かべた。
 その時、すっと王女の手が差し出された。
 殿下は意味が分からず、王女の手と顔を交互に見る。
「もうっ! 嵌めて下さらないの?」
 そう言われてやっと気付いた殿下が、慌てて指輪を嵌める。
 指輪の嵌った手を見て王女が嬉しそうに微笑むと、すっと殿下に寄り添った。
 軽く顎を上げ、目を閉じる。
 流石に王女が何を期待しているのか気付き、殿下の顔が真っ赤になる。
 両肩に手を置き、ゆっくりと唇を近付ける。
 その時、舞踏会での王女が頭を過ぎった。
 ――自分はまだ王女に見合う男になっていない。
 直前で止まり、慌てて体を離した。
「……あ、後で部屋に行くよ」
 そう言うと背中を向けてしまった。
 王女はまたか、というような表情を浮かべて言った。
「……お待ちしてますね……」
 身を翻し、退出する。
 扉を閉める時、殿下の背中に小声で言った。
「……意気地なし……」

「くそっ!」
 ――意気地なし。
 王女は確かにそう言った。
 微かな小声だったが、殿下には確かに聞こえたのだ。
「俺だって……俺だって……」
 悔しさに体が震える。
 暴れ出したい衝動を何とか堪える。
「おいっ! 誰か居ないかっ!」
 声高に叫ぶと、一人の侍女が入ってきた。
「お呼びで――きゃっ!」
 殿下は乱暴に侍女を引き寄せると、机に仰向けに押し付けた。
「ほらっ! いつものようにしやがれっ!」
 侍女は尻を突き出すと、衣服を捲くり上げた。
「……どうかこの嫌らしい私に、御慈悲を下さい……」
「……いいだろう……」
 それを満足そうな目で見下ろし、自らの怒張した男根を取り出す。
 そして、ろくに濡れてもいない秘部に突き入れた。
「あぁあぁああぁぁっ!」
 侍女が痛みに叫ぶ。
「どうだ、これがいいんだろう?」
「あぁ……はいぃぃ……ありがぁ……とぉう……ござぁいぃ……ますっ!」 
 侍女が痛みに耐えながら答える。
「そうだろう、そうだろう」
 そう様子に殿下は快感を覚えていた。
「俺だって……俺だって……」
 殿下の頭に最早侍女の事など無かった。
 ただ、自分の衝動を抑える為だけの腰を振り続けていた。
 扉の向こうにはまだ侍女が2人控えている。
 その顔には苦痛と諦めの表情が浮かんでいた。

「よし、準備は出来たかな」
 王女が鏡を見て自分の姿を確認する。
 やや気合の入った衣装と化粧が、王女の気持ちを代弁していた。
「うん、今日こそは2人の仲を進展させないと……」
 はしたないと思いながらも、鏡の自分に言い聞かせた。
 殿下がどういう訳か、自分に気後れしているのに気付いていた。
 その所為で2人の関係がうまく行っていないのも。
 ……いったい自分の何処に気後れする必要があるのだろう。
 王女はいくら考えても、理由が分からなかった。
 気後れなら寧ろ自分の方だと思った。
 殿下は押しも押されぬ王位継承権第一位。
 次期国王なのである。
 それに引き換え自分はどうだ。
 政略結婚で他国に送り出されている時点でわかる。
 自国では自分は決して重用されていない。
 今回の結婚に失敗すれば、どうなるかわからない。
「それに……」
 王女は殿下を愛していた。
 幼い頃から殿下を見てきて、その人となりも知っている。
 本当は優しく、人を思い遣れる人物なのだ。
 王になる才覚も十分にある。
 だが、今の殿下は焦っていた。
 その理由も明白だ。
 まずは現国王。
 剣1つで王座に座った冒険王。
 そして何より、もう1人。
 圧倒的な強さと美しさを誇り、人民からも慕われている剣姫。
 この2人とどうしても比べられてしまうのだ。
 特に後者が殿下を追い詰めていた。
 次期国王としての、その重圧は想像を絶する。
 その所為で殿下は苦しみ、本来の良さを台無しにしてしまっている。
 自分が支えになる事で、せめて重圧からは開放してあげたかった。
 それが、今の王女の真摯な願いだった。

 ――その時、扉を軽く叩く音がした。
 こんな時間に来るのは1人しかいないはずだ。
「はい、今開けますね」
 王女は笑みを浮かべ扉を開けた。
「ありがとっ」
 滑り込んで来たのは、王女が想像もしない人物だった。
「王子様っ? どうしてっ?」
 王女が困惑している隙に、王子は部屋の中へと入っていく。
「へぇ~、これが王女様の部屋なんだ。綺麗な部屋だね」
 遠慮無く見回すと、今度は王女を嘗めるように見た。
「今晩は一段と綺麗だね。随分とおめかししてるし」
 どこか大人びた笑みで言った。
「お、王子様? 困ります。この後来客の予定なのです」
「知ってるよ。今日は王女様の誕生日だからね。兄上が来るんでしょ?」
 すっと近付きながら王子は言う。
「だから、そんなに綺麗にしてるんでしょ? 兄上の為に……」
「わ、わかっているのなら、早く出て行って下さい」
 王子の自分を見る目が、明らかにいつもと違う。
 本能的に危険を感じた王女は、一刻も早く王子に出て行って欲しかった。
「大丈夫だよ、兄上はまだまだ来ないよ」
 王子は余裕の笑みを浮かべる。
「昼間自分の侍女と頑張ってたからね。多分まだ寝てるよ」
 そう言って可笑しそうに笑う。
「――なっ!」
 ――殿下が下々の娘と姦淫に耽っている。
 そんな噂話を王女も聞いた事があった。
 信じたくは無かったが、どこかで疑っている自分もいた。
「こんなに綺麗な王女様がいるのにね。酷い兄上だね」
 意地悪く笑みを浮かべて、更に歩み寄る。
「そんな可哀想な王女様に、僕から贈り物があるんだ」
 そう言うと、羽織っていた外套を床に落とした。
「――なっ!」
 驚いた事にその下は全裸だったのだ。
「僕が慰めてあげるよ」
 王子が手を広げながら王女に近付く。
「なっ……なっ……」
 状況から考えれば、王女は怒鳴りつけるか悲鳴を上げるべきだったろう。
 だが、王子の股間の巨大な物を見た時から、目が離せなくなっていた。
 それはあまりにも王子に合っていない、凶悪といってもいい物だった。
「どうかな? 僕は気に入っているんだけど」
 王子が自慢げに語る。
「それに、これを見ただけで女の人は発情しちゃうんだって」
 確認するように王女をじっと見た。
「王女様も興奮してる?」
 王女は否定したかった。
 ましてや相手は弟のように思っていた王子である。
 なのに、この体の疼きは何だ。
 熱く火照り、興奮で足元が覚束無い。
(逃げなくては……) 
 恐怖に駆られ逃げようとしたが、よろめき寝台に座り込んでしまった。
「誘ってくれてるの? 積極的だね」
 勘違いした王子がゆっくりと顔を近付けてくる。
「やっ……やめてっ……」
 無理やり視線を股間から逸らし、王女が拒否する。
 だが、体の火照りは増すばかりだった。
「どうして? 兄上だって楽しんでるんだよ?」
 不思議そうな顔で尋ねる。
「そうかも知れませんが、私は殿下を愛しています!」
 王子を睨み付けながら言った。
 その瞬間、王子の顔から笑みが消えた。
「……やっぱり、そうだったんだ……」
 その目はもはや何も映していない。
「……王子?」
 急に様子の変わった王子を不安そうに見る。
「……僕にはね……何も無いんだよ」
 暗い声だった。
「ただ兄上より遅く生まれてきたってだけで……ただそれだけでっ!」
 声が大きくなっていく。
「地位もっ! 好きな人もっ! 何もかも兄上が持ってっちゃうっ!」
 すでに叫び声だった。
「知ってる? 城の皆が僕の事を陰で何て呼んでるか?」
 自虐的な笑みを浮かべ、問う。
「……必要ない王子、だってさ」
 王女は何も言えなかった。
 王子の気持ちはよくわかる。
 自分も同じような立場だからだ。
 心から不憫に思った。
「……だからね」
 その気持ちも、次の王子の言葉に消え去った。
「好きな人くらいは、僕が貰ってもいいでしょ?」
 王子が王女に素早く覆い被さり、唇を奪った。
「――んんっ!」
 王女は唇を割って侵入してくる異物に喘ぐ。
 あまりの事に混乱し、抵抗すら出来ない王女の舌に、何かが絡みついた。
「――っ!」
 その感覚に王女の体が震える。
(何なの? これは……舌?)
 接吻すら数える程度しかない王女には分からなかった。
 本来の舌がこんな動きが出来るはずが無い事を。
(あぁ……ああ……んっ)
 王子の舌は混乱する王女を蹂躙していく。 
 時に強く、時に優しく、絡み、吸い付き、うねる。
 それは、剣姫が王子にしてみせた舌戯そのものだった。
(あ……ぁあ……)
 余りにも甘美な誘惑に王女の心は麻痺していく。
(あぁ……殿下……たすけ……て……) 
 助けを求め扉に目を向けるが、殿下の入ってくる気配は無い。
 何時の間にか王女の舌は吸い出され、王子の口の中で踊っていた。
「あぁ……んっ……あぁぁああ……」
 王女から陶酔したような喘ぎが漏れる。
 王子は王女の舌を弄び、たっぷり絡ませた後で唇を放した。
 2人の間に唾液が糸を引いた。
「どう? 僕もなかなか上手でしょ?」
 王子が得意げに微笑む。
 王女は我に返り、自分が晒した痴態に愕然とした。
「兄上はこんな事してくれないでしょ?」
「なっ……」
 王女は言葉も出ない。
「もっともっと良くしてあげるからね」
 王子が子供特有の無邪気な笑顔で、慣れた手付きで服を脱がせ始めた。
「やっ! やめ……てっ!」
 王女が抵抗しようとするが、思うように体に力が入らない。
 それでも体を何とか動かすが、逆に脱がせる手助けになってしまった。
「協力してくれるの? 積極的だね」
 それは王子を楽しませただけだった。
「そっ……んな……はずあ……りませ……んんっ」 
 王子は衣服を剥ぎ取ると、王女に覆い被さった。
「じゃぁ、いくよ」
「やっ……やめっ!」
 王子の唇が軽く王女の唇に触れた後、王子の舌が首筋へ移動した。
 さらに鎖骨へと舌を這わせ、もっと下へと下がっていく。
「あ……ぁぁ……ぁあぁぁ……」
 余りの快感にきつく閉じた王女の瞼がわななく。
「ここも、気持ちいいんだよ」
 そう言うと、胸の膨らみを優しく愛撫し始めた。
「あっ! ぁぁぁあぁああああぁ」
 さらに先端に舌が触れる。
「ぁぁぁあぁぁぁあぁあぁぁぁああっ!」
 王女の体がびくびくと痙攣する。
 胸の先端が、王子の舌により硬く尖っていく。 
 その尖った先端が、更に強い快感を王女に与えていた。
「ああっ!」
 その快感の余り、王女は我を忘れて喘ぐ。
「どう? 王女様」
 その様子に気を良くした王子が満面の笑みで語りかける。
「とっても気持ちいいでしょ? 王女様の体もすっごく喜んでるし」
 言う通り、王女の体は熱く火照り、汗で妖しく濡れていた。
「う……嘘で……す……ぅ」
 快感に翻弄されながらも、王女は気丈に抗う。
 王女を支えているのは、偏に殿下への愛だった。
(もう少ししたら……きっと……殿下が来てくれる)
 それだけを信じ、耐え切るつもりだった。
「強情だなぁ、流されてしまえば楽になるのに……」
 王子が呆れたような声を出す。
「……そうだ! これならどう?」
 そう言うと、王子の目が鋭い光を放った。
 直視してしまった王女の目が眩む。
「ほら、僕を見て」
 次第に回復した目で王女が王子の方を見ると、そこには驚く物があった。
「で……殿下っ!」
 そう、愛する殿下の顔が、自分を見て笑っていた。
「この方が気分出るでしょ」
 殿下が無邪気に笑う。
「そん……な……こんな……こ……とが……」
「続きをするよ」
 そう言うと舌が愛撫を再開した。
 胸から臍、腰へと優しく体を這いながら下がっていく。
「あ……だ……だめっ……あぁ!」
 これは殿下では無い、王子がしている事。
 頭では分かっていても、そこに見えるのは愛しい殿下の姿である。
 殿下とこうなる事を想像した事もある。
 それが王女を興奮させた。
「ここも……こうして欲しかったでしょ?」
 舌が秘部を優しく舐め上げる。
「あぁぁぁぁぁああぁぁあぅっ!」
 舌が巧みに秘部を開き、潤いを吸い上げながら蹂躙する。
 その繊細な動きに王女の体は快感のあまり痙攣する。
(こ……れが……舌……?)
 時に柔らかく撫で、時に力強く突き立てる。
 確かにそれは常人の舌では不可能な動きだった。
 その変幻自在な舌の動きが、信じられない快楽を王女に与えていた。
「はぁ……ぁあぁぁあ……はぁあぁ……」
「気に入った?」
 そこから舌を放した殿下の顔が、王女を覗き込む。
「そ……そん……な……こと……」
 気丈に抗おうとする王女の秘部に指を滑り込ませる。
「あぁぁ……」
 王女の口から喘ぎ声が漏れる。
 違うと分かっていても、殿下に見詰められていては快感が勝った。
「こんなに濡れてるよ。いやらしいなぁ」
 秘部から放した指には、濡れた糸が引いていた。
「違います! その……姿が……」
 王女は真っ赤になりながら反論する。
「この兄上の姿の所為?」
「そうです……で……なければ……こんな……」
 弱弱しくも言葉を紡ぐ。
 そう、あの姿が悪いのだ。
 それは、どこか言い訳めいていた。
「そう……やっぱりそんなに兄上の事を……」
 殿下の顔が一瞬悔しそうに歪む。
「ま、いいや。取り合えず楽しもうよ」
 そう言うと覆い被さり、再び唇を奪った。
「あぁぁ……」
 王女が快感の声を出す。
 それを合図と受け取ったのか、王女の足が大きく開かれた。
「……えっ?」
「いいでしょ?」
 切羽詰ったような笑顔で言うと、いきなり秘部に突き込んだ。
「ぅあぁああぁあぁああぁぁぁっ!」
 十分に濡れていたとはいえ、今の王子の男根は異常な大きさである。
 まだ処女だった王女にとって、それは苦痛以外の何者でも無かった。
「やっ! ……めてっ……い…たい……のぉぉっ!」
 身を割かれるような激痛に王女がのた打ち回る。
 それを王子が全身で押さえ付けて、腰を激しく振っていた。
「王女様の中、暖かくて気持ちいい……」
 まさにそれは強姦だった。
 部屋に王女の悲鳴が響いた。

 それを部屋の隅で見ているモノがいた。
 壁の隙間から入り込んだ触手である。
(……全く、あれだけ教育したはずですが……)
 剣姫は触手を通して一部始終を見ていた。
 手を出すつもりは無かったが、流石にこれは見逃せなかった。
(……仕方ありませんね……)
 姫の溜息と共に触手が伸び、王子の肛門に突き刺さった。
「がぁっ!」
 王子はびくりと痙攣すると動きを止め、股間の怒張も抜けた。
「はぁ……はぁ……で……んか……?」
 ようやく一息付けた王女が、心配げに問い掛けた。
「ぅううぅ……もう大丈夫だよ、乱暴にして、ごめん」
 殿下の顔が優しげに微笑みながら、すまなそうに謝った。
 それは先程までの姿だけ殿下の王子では無かった。  
 そこに居たのは王女の良く知る、愛する殿下そのものだった。
「初めてひとつになれた所為か、嬉しくて我を忘れていたよ」
 照れ臭そうに言う。
「で……でん……か……」
 その顔と声を聞いて、王女が顔を赤らめた。
「今度は優しくするから……続けてもいいかい?」
(これは……夢……なの?)
 さっきまでとは全く違う、本当の殿下としか思えない姿。
(きっと私は痛みで気を失ったんだわ……)
 王女は心の中で都合のいい想像をしていた。
(だから……これは夢……)
 それは、自分に対する言い訳だった。
「……はい……お願い……します……」
 その言葉を聞くと、殿下は優しく微笑んだ。
 そして唇を奪い、ゆっくりを舌を絡ませた。
 今度はそれに王女も自ら応じる。
 2人の間を唾液が行き来した。
「あぁぁ……殿下……」
 王女から愛しげな声が漏れる。
「こうして貰うのを、夢見てました……」
 顔を真っ赤にしながらも、目を見て嬉しそうに語る。
「俺もだよ」
 殿下も優しく答える。
 その顔が王女を堪らなくさせた。
「あ……あの……殿下……」
 もじもじと、何かを言い出しにくそうな王女に、殿下が先に動く。
「それで、他にはどんな事を夢見てたんだ?」
 聞きながら胸を優しく愛撫し、舌を這わす。
「ひゃ……んんっ!」
「こんな事も……」
 今度は強く吸い、急に放す。
「あぁああっ!」
「……夢見てたかい?」
 言いながら更に激しく、しかし優しく愛撫し、舌を這わす。
(いっ……言えません……そんな……こと……)
 口で言わずとも、その表情を見れば明らかだった。
「……夢見てたんだ」
 図星を突かれ、王女が恥ずかしさから手で顔を覆う。
「そんな卑猥な夢を見る、淫乱な王女様だったんだ」
 言葉とは裏腹に、殿下の王女を見る目は嬉しげだった。
「ご……めんな……さい……きらわ……ない……で……」
 王女が弱弱しく懇願すると、殿下は口付けで答えた。
 しばらく熱い口付けが続いた。
「……もちろん、嫌わないよ」
 殿下の言葉に王女は心底ほっとした。
「なら、自慰もしたでしょ?」
「……っ!」
 一瞬の後、その意味を理解し王女は動揺した。
「し……してま……せ……ん」
 動揺しながら言っても説得力は無い。
「王女は嘘が下手だな」
 言いながら足を大きく開かせた。
「あぁっ!」
「たっぷり濡れてるな。今触ったら気持ちいいよ」
 言われ、王女にぞくぞくとした感覚が走る。
「知ってるでしょ?」
 殿下が王女の手を引き、秘部に触れさせた。
「触って。自慰する王女が見たいんだ」
「殿下……」
(なぜだろう……逆らえない……)
 王女はゆっくりと自らの秘部を弄りだした。
「あぁっ!」
 それは普段の自慰とは比べ物にならない快感を生み出した。
(こんな恥ずかしい事……いけないのに……)
 思えば思うほど、快感が増していく。
「見せて」
 殿下が顔を近付けた。
(殿下に……見られてる……)
 それが王女の羞恥を煽り、快感を増大させた。
 その快感が王女の指を大胆にさせる。
「可愛いよ」
 愛しい殿下の声。
 秘部の近くで感じる息遣い。
 体で感じる殿下の全てが、王女を乱れさせる。
「ぃっ……いつも……よりッ……感じ……るぅ……」
 王女は見るからに限界だった。
 今にも達しようとしていた。
「入れたいかい?」
「ふぇ?」
 急な質問に、王女は意味を掴めなかった。
「夢では、どんな風におねだりしたんだい?」
 殿下が顔を近付け、軽く接吻しながら問いかける。
「いじ……わるぅ……しぃ……ない……で……」
 流石に恥ずかしいのか、顔を背けてしまう。
「でも、ここは欲しがってるよ」
 催促するように、殿下の指が秘部を愛撫する。
「あぁあぁあぁぁっ!」
 その刺激に、王女の理性が飛んだ。
「いっ、入れて下さい! 殿下のをっ! 奥まで入れてぇぇぇっ!」
 王女が叫ぶ。
 それを聞き、殿下が満足そうに笑みを浮かべた。
「よくできたね。じゃ、行くよ」
 そう言うと、男根の先端を秘部に擦り付けた。
 秘部から溢れ出た滴を掬い取るような動きだった。
「じ……らさっ……ない……でっ!」
「わかったよ……」
 言うとゆっくりと突き入れていく。
「ひぁぁぁんっ!」
 秘部が押し広げられて行く感覚に、王女が喘ぐ。
 あまりの大きさに体が裂けるかのような感覚があった。
 だが、今の王女にはそれすら快感だった。
 夢にまで見た、愛する者との交わりだからだ。
 それが魔性の快感を生み出し、苦痛すら快感に変わっていた。
 ……いや、変えられていた……。
「ぁああぁ……なに……ひゃ……これぇ……」
 2人の結合部から濡れた音が響く。
「おくに……ぁあ……あたって……ぅぁ……あつくて……ひぇんなの……」 
 殿下の男根が深く突き入れられた時の感覚が、王女を昂らせる。
 あまりの快感に呼吸すら忘れそうだった。
「気持ちいい?」
 殿下が優しく囁く。
「いいの……あぁん……きもちぃ……ふぁ……いいよぉ……」
 王女の顔はすっかり惚けていた。
「わたしぃ……わったしぃぃ……もう……もうっ!」
 王女が限界を感じ、声を出す。
 その時、殿下の動きが止まった。
「……どうして……やめ……ちゃうの……?」 
 不思議に思って目を凝らした王女の見たものは。
「ばぁっ!」
 悪戯が成功して喜ぶ悪餓鬼のような顔を浮かべた、王子だった。
「そ……んな……えっ?」
 混乱する王女。
 何もかも分からなかった。

(……もう大丈夫ですね、王子)
(悪かったよ。ありがと、姫姉さま)
 そんなやり取りがあった後、触手が抜かれ離れて行く。
「王女様の秘部、随分締め付けてくるよ。もう達しちゃう?」
「そっ……んな……これは……ゆめ……では……」
 否定したい王女ではあるが、体の興奮がそれを許してはくれない。
「ほらっ、どうなの?」
 王子がゆっくりと腰を動かす。
「ぁあんっ!」
 それだけで王女は登りつめそうになる。
 しかし、その直前で王子は腰を止めてしまう。
「えっ……どうして……」
 懇願するような目を見て、王子が満面の笑みで問う。
「僕でいいの?」
 その言葉に王女が凍りつく。
(動いて欲しい……でも、殿下じゃない……もう我慢できない……いや、だめっ)
 思考が堂々巡りを繰り返す。
「お……王子が……動き……たいなら……」
 王女が言葉を紡ぐ。
 その目はどこか期待に満ちていた。
「ふ~ん……で、王女様はどうして欲しいの?」
 王子が追い討ちをかける。
「それは……」
 今でも秘部には怒張が入ったままだ。
 体は熱く火照っている。
 このままではおかしくなり、自分から腰を動かしてしまいそうだった。
 王子が動いてくれれば、言い訳ができる。
 だが、王子に本気で動く気配は無い。
 あくまで王女に言わせたいようだった。
「ほらほら、どうしたの?」
 王子が、王女を限界ぎりぎりに追い込む程度に動く。  
 だが、止めの一突きは何時まで待っても来なかった。
「お……おね……」
 遂に王女の理性が崩れだした。
(だめっ……でも……でんかが……でんか……でんかだって……)
 王女が見つけた言い訳は。
(そう……でんか……だって……たのしんで……るのよ……)  
 そんな苦しい言い訳だった。
「おねがい……もう……だめなの……」
 必死な顔で王子に懇願する。
「おねがい……します……おもいきり……ついてぇぇっ!」
「よく言えました」
 王子が動き出した。
 本格的に王女を達しさせる為の動きだった。
「ぁぁああぁああっ!」
(そうっ! これっ! これが欲しかったのぉ!)
 王女は乱れた。
 焦らしに焦らされ、もう限界だった王女には相手が誰とか関係なかった。
 ただ満足させて欲しい、それだけだった。
 王女の顔は淫蕩に溶け、一匹の雌となっていた。
 そして、とうとう望んだ瞬間が来た。
「わっ……たしっ! もうっ!」
「うん、出すよっ!」
 王子も応え、最後に深く突き込み放出した。
「ぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁああああぁあっ!」
 子宮いっぱいに熱い液体を出され、王女が女としての幸福感に包まれた。
 さらに収まりきらない液体が逆流し体を濡らすが、その感触すら幸せだった。
 全てを放出した王子が王女の体に折り重なる。
 その体を王女は優しく抱きしめた。
 それは本能だったのか……。
 しばらくすると、王女は体の中で王子の男根が硬さを増したのを感じた。
 王子が王女の目を見つめていた。
 王女は頷いていた。
 王子は嬉しそうに笑い、体を起こして動き出す。
 王女はそれに応えた。
(あぁ……でんか……ごめん……なさい)
 2人の交わりはまだまだ終わりそうに無かった。

 それを、触手がじっと見ていた。
(……おめでとうございます、王子)
 剣姫がニヤリと笑った。

< つづく >

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