第一分寮の日常 前編

『第一分寮の日常(前編)』

 私立瀬能学園高校はN県の、都市部から少し離れた場所にある共学校だ。
 歴史は古く、名もそれなりに有名。
 格式からの門の狭さも多少あるものの、偏差値・運動・文化両部活動の質も高く、教師陣も優秀な人材を揃えており教育機関としての評価も高い。
 いわゆる”名門校”である。

 さて、そんな瀬能学園の少し変わった点として分寮の存在がある。
 学園には遠地からの入学希望生も多いため、付随して数百人単位で生活できる寮があるのだが、それとは別に少人数制の分寮が存在するのだ。
 以下は、その分寮での日常である。

 ”瀬能学園第一分寮日誌”
 ◇瀬能学園第一分寮 特別規則◇ (表紙と共に“第一女子分寮”の“女子”の部分が線で消されている。)

 ◇1.お互いへの敬意を忘れない。
 ◇2.騒ぐのは程ほどに。
 ◇3.タバコは絶対ダメ。
 ◇4.お酒も基本ダメ。寮長以外。
 ◇5.ご飯は食堂でできるだけ全員一緒に。日直・部活動は別途用意します。
 ◇6.ゴミは燃えるゴミ・燃えないゴミ・ペットボトルに分類することし、ゴミ置き場に置いておくこと。寮長チェック入ります!
 ◇7.備品はだいじに。
 ◇8.欠席、遅刻や体調不良はすぐ寮長に相談すること。
 ◇9.男子は友達でも連れて入るのはダメ。(線で消されている。)
 ◇10.他、必要に応じて寮長及び寮生で会議を開き、追記すること。
 ◇11.冷蔵庫・冷凍庫・戸棚の食品・お菓子に名前が書いてあったら食べない!
 ◇12.……………………

【朝食前】
 皆さん、おはようございまっす!
 アタシは加々見花(かがみ・はな)。
 私立瀬能学園の1年生で、水泳部に所属。
 そう、皆さん期待のスク水美少女!
 ……、いや、競泳水着ですけど。

 アタシがここ、名門の瀬能学園に入学したのは一応スポーツ推薦ってコトになる。
 てっぺんからつま先までド庶民のアタシが推薦で受かったときはそりゃもう家族や親戚がひっくり返るような騒ぎだった。
 実際通ってみたら、名門だろうが高校は高校なんだけどねー。
 最初は緊張してましたが、今やクラスメイトの家柄よりもテストの成績と水泳のタイムの方がよっぽど心配ですとも。
 ……たまにすんごい家の人が地雷みたいにいるんだけど。

 ともあれアタシは、学園のプールで自主トレ(偉いでしょ?)を終えて、住んでいる寮の廊下を食堂に向け歩いています。
 ここは瀬能学園第一分寮。
 瀬能学園の敷地内にある、女子寮・男子寮とは別の“分寮”です。
 なんでそんなのがワザワザあるかっていうのはアタシもよく知らないんだけど。

「お早う、ハナちゃん。自主トレお疲れさま~」
「おはよう、花ちゃん」
「あ! おはようございます、つばめさん、灯ちゃんも!」

 お、ちょうど曲がり角で同じ寮の人達にばったり。

 最初に挨拶してくれたのは、この寮の寮長をしている佐倉つばめ(さくら・つばめ)さん。
 監督室を兼ねた101号室に住んでる。
 学生じゃなくて、この寮の家事・運営一切をまかされてる年齢不詳のお姉さんである。
 明らかに30歳は超えてない。っていうか超えてたらアタシはこの世を呪うかも。持ってるモノ違いすぎです的な意味で。

 金色にも見えるくらい、明るい茶色の長いゆるふわ髪(パーマじゃなくて天・然!)、ゆったりしたサマーカーディガンとロングスカートが大人っぽい。
 その上、チェックのエプロンが違和感を与えない母性オーラも滲み出てる。
 思春期の男子女子が思う『理想のお姉さん』を体現した様な人だ。
――そして何より、服を押し上げる二つのモノ!
 ゆったりした服とエプロン付けててまだこの迫力!!
 思わず凝視してしまうのも致し方ないってもの。

(じとーっ)
「あらまあ」
「毎朝見すぎだよ、花ちゃん……」

 つばめさんが、何時ものように苦笑いしながらタオルを頭にかぶせてくれる。
 シャワー後に軽く拭いてきたとはいえ、ふわふわタオルの感触は嬉しい。しかしいつの間に持ってたんだろ?
 おっとり天然お姉さんだけど、仕事の手際は意外にも(失礼?)かなり良い。
 いくらこの分寮が少人数制で、自分達でやることはでやるって言っても、実質一人で支えるのは相当なコトだろう。
 実際、この分寮ができたのは彼女が理由だって噂がある。
 とある格式高い家のお嬢様が、年上の元家庭教師と学生時代に駆け落ち、しかしその旦那さんは、若くして亡くなり、彼女とお腹の娘は後に残され――。
――その後、実家を出るときに分捕った内部資料を盾に実家と交渉、この寮の建設と運営を勝ち取ったという。
 まぁ、本当かどうかはともかく、いつもぽわぽわな空気を放ちながらもこの寮の管理を不足なく引き受ける、我らがすーぱーお母さんなのである。
 ちなみに娘の名はすずめちゃん。既に将来美人になることが確定している、ちょーかーいー我が寮のマスコットである。

 可愛いと言えば、忘れちゃいけないアタシの親友、さっき挨拶してくれたもう一人、山科灯(やましな・あかり)ちゃん。
 部屋は103号室。
 同学年でも小柄気味なアタシと同程度の身長。スタイルだってアタシと同じくらい。……同じくらいだってば! ……最近ちょっと胸の成長に差がついてるけど、つばめさんの前じゃねぇ。
 青がかった長い髪をツインテールに。今日のリボンの色は藍色。
 我が学園の白い夏服が半端なく似合ってる。
 まるで人形のように整った顔立ちだけど、全身からでる「私、大人しいです」「いじめないで」オーラがお姉さん、お兄さん、そしてアタシをもれなくイケない妄想に誘う、小動物系エンジェル生命体である。

「エンジェル生命体って……宇宙人?」
「灯ちゃんが天使なのは私も賛成だわ~♪」
「わぷぅ!?」

 ほうら、つばめさんもメロメロ。
 そんな彼女だけど、意外性のあるプロフィールもある。
 一つ、吹奏楽部に所属していて、楽器はまさかのティンパニ。
 小柄な体格からはありえない存在感でリズム(あれもはやビートじゃない?)を刻む様は圧巻の一言である。

 そしても一つ、彼女の実家の“山科家”は、化粧品関係を中心に、二代で財を築き上げた、大企業の総元なのである。
 歴史ばかりでお金のない貴族肌の家の人は、彼女の家を“成金”っていう。
 でもそんなの気にもとめず、寧ろ本当に格式高い家のお歴々と何故か交流をもつのが彼女の父親。
 彼女がこの瀬能学園にきたのは、吹奏楽もあるけど、そういう家の知り合いが何人かいるからなんだって。
 アタシもお父さんに一回会ったことあるけど、普通にチョビ髭のナイスミドルだった。
 人は見かけで分かんない、よねぇ。

 そんなアタシは、自分のことを顧みる。
 髪は赤、もちろんショート。
 スタイルは……細さには自信がある。胸やお尻は成長中。中ったら中。
 目が大きいのがトレードマークで、自分でも結構イケてると思う。ちょっと猫目過ぎるけど、それだって弱点じゃないはず。
 そう、アタシだって結構な美少女なのだ。美少女なのだ! (大事なことだから以下略)
 そんなアタシと灯ちゃんは、学園でも結構有名で、“一年の子犬姫・子猫姫”って呼ばれて、結構モテる。……“花”と“灯”って、名前逆じゃない? とは私も思うけど。
 ちなみに部屋は灯ちゃんの隣の104号室。

 そう、気付いたかもしれないが、第一分寮は学園有数の美女・美少女の集うところなのだ。
 これがすずめさん効果だ! (ババーン!)
 ……ま、一名を除いてだけど。
 ……除くのはアタシじゃないよ?

「それじゃ、灯ちゃん分も補給したし、私はそろそろ行くわね~。今日の朝食は気合い入れたから期待してて。」

 お、それは楽しみ。
 練習後の腹がなるでぇ!

「あれ、珍しいですね? 何かあったんですか?」
「今朝は『アレ』が無かったから、時間に余裕があったのよねぇ。」
「へぇ、ホントに珍しい……。」
「ホント、これが続けば良いけど…ま、無理かなぁ。仕方ないわよね男の子だもの。
 我慢して体調崩されるよりは、ね?」
「ですよね……やっぱり、そうですよね」
「今日はお祝いがあるから、夜も豪華にするし、忙しくなるわぁ。二人もがんばりましょう?」
「「はい!」」

 去って行くつばめさん。後ろ姿がほんわか色っぽい。
 灯ちゃんは今日の夜のことを考えて、頬が赤らむくらい嬉しそう。
 ま、無理ないよね。新しい寮生が来て、しかも大好きな知り合いなんだし。

 それはそれとして“アレ”がなかったってのは気になる。
 ほぼ毎日だったのに?
 今度は何たくらんでるのかなぁ、お兄。
 どーせエロいコトなんだろうけど。
 そういや今夜の新しい入寮生って……。

「お、花に灯ちゃん」
「……!」
「あっ……」

 噂をすれば2階から登場。
 201号室に居住する、この寮唯一の男子生徒。
 ちょっと笑った顔が暗キモく、間違っても女子にはもてないだろう容姿と所作。
 成績だけ良くてギリギリこの学園に補欠入学した、アタシの幼なじみのお兄である。

「ふたりとも、『おはよう』」
「x、xxx先輩、おはようございます!」
「…おはよー。」

 お兄は階段を降りながら、朝の“挨拶”をする。
 ……いや、するために近づく。
 そのまま近づいて、アタシの前で立ち止まる。
 少し中腰に。
 アタシは覚悟を決めて、目を閉じる。

――お兄は、そのままアタシにキスをした。

 しかも速攻で舌を入れての、ディープキス一本勝負。
 舌が私の口内をぬらぬらと動き回る。
 慣れてることなのに…ただの“挨拶”なのに…なんか…ヒワイ……。

 しばらくされるがままにされる。
 終わったときには肩で息をしてる有様だった。

「……、ん、『良いよ』花。堪能した」
「……なんっか、ドンドン、うまく、なっていくよね……!」
「そりゃ、毎日のことだもんな。挨拶もちゃんとできないようじゃ、失格でしょ。
 ね、灯ちゃん?」
「は、はい……」

 そりゃ、そーなんだけど。
 お兄からまともなこと言われるのはなー。

「さて、灯ちゃん、とりあえず……」

 そうこうしてる間に、次は灯ちゃんの番。

「『スカート捲り上げて、パンツ見せてよ』」

 そう来たか。
 通常なら速攻ふん縛られて通報されて人生フィニッシュな言動だけど、この場では違う。
 これは“挨拶”。しないのは礼儀にもとる。

「は、はい……」
 灯ちゃんは、躊躇いながらもスカートをたくし上げ、オレンジと白のストライプを見せつけた。

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 ◇12.●月●日1日だけ、xxxがこの寮、それとアタシ、加々見花の部屋に入ることを許しまーす。何か合ったらお仕置き! (線で消されている)

 ◇13.本項以上の全ての条項に限らず、xxxを本寮、および202号室の住人として認める。
 誰もこれに違和感を覚えない。また、“第一女子分寮”は“第一分寮”に名を改める。
 なお、第一分寮の住人に入ることが許される男子はxxxのみである。

 ◇14.挨拶は、人との交流を深める重要な儀礼であり、本寮の寮生・寮長はみなこれを疎かにしてはならない。

 ◇15.当寮の居住者のうち女性(寮長やその家族を含む)は、202号室の住人、xxxとの挨拶に際しては、キス(舌入れ可)によるものとする。

 ◇16.15号の規定は、下着を見せる行為、及びxxxの任意による身体的接触でも可とする。ただし、どれにするかはxxxの自由で、全てでもかまわない。xxxからの制止の許可があって初めて挨拶が終了する。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 と、まぁこの寮の特別規則に基づき、お兄との挨拶は少し特殊。
 たかが挨拶、されど挨拶。
 一応瀬能の生徒なんだし、絶対疎かにできない。

 だから、灯ちゃんがショーツを触られながら柄について質問攻めにあい、真っ赤な顔で“いやいや”しても。
 服の上から胸を触られ、身悶えしながら唇を何度も奪われても。

 お兄が満足するまで“挨拶”は続くのだ。
 ……アタシと扱い、違いすぎない?

【朝食】
「いやー、朝からお腹いっぱい! 余は満足じゃけえのう!」
「花ちゃん、将軍様と何かが混ざってるよ……」
「察するに下駄カランカランの番長かしら?」
「……ふ、はぅっ……」

「?? アリサ先輩、番長って、なんですか……?」
「え、嘘。コレがGeneration gap?」
「いや、アリサ姉。アタシら一つ下だし。何で今、現地人アピールしたのかも分らないし」
「何よ、Characterは大事よ?」
「いやいや、発音凄い良いけど! いつもそんなしゃべり方じゃないじゃん! キャラ付けは最初からしてよ!」
「At this late hour(今更)、ですよね……。」
「灯ちゃんにうつったー!?」
「しかも毒舌……。恐ろしいコ……!」
「……ン、ァ、は…!」

 私は佐倉つばめ。この第一分寮の寮長をしています。
 年齢は企業秘密、この寮の寮長になった経緯もヒミツ。
 ……大事な約束のため、よ。他はそのうちね。
 ちなみに寮長じゃなくて寮母か寮監じゃないの? って質問も受け付けません~。

 私はこの寮のいわゆる“お母さん”である。
 テーブルに座って寛いでいる彼女らや、もう食べ終わって学園に向かった他の子達、みんな大事な“妹”で、“娘”。
 本当の娘もいて、今は寮長室で寝ているのだけれど…今は置いておきましょう。

 テーブルに座っているのは、花ちゃん、灯ちゃん、そしてアリサちゃん。

――アリサ・風城・リアウォーター。
 二年生で、203号室の住人。
 近年、日本ほか、アジアに大規模進出する財閥系外資企業の専務の娘。
 日本名と現地名、両方名乗っているのは、色々ワケがあるみたい。
 まぁ、女は秘密があった方が綺麗になるわよね。

 プラチナブロンドをセミロングにし、黒のヘアピンでアクセント。
 幻想と現実の境目を切り取ったかのような、妖精めいた美貌。
 細い腰を中心とした、スレンダー気味の完璧なモデルスタイル。
 透き通るようなブルーアイと真っ白な肌、何より肉付きと細さの絶妙なバランスの美脚は女性のアタシでも感嘆するわ。
 部活動はせず、気ままな生活だけど、たまに雑誌モデルをしているらしく、学園でもかなり有名な美少女だ。
 まぁちょっとその、クール、というか、全般的に面倒くさがりなコなんだけど…。

 今朝も、xxx君の挨拶を無関心で受けて、xxx君の方を引かせていたし。
 ある意味浮世離れしていると言えなくもないわね。

「…アン…ン…」
 あ、あら、ごめんなさい。変な声が漏れてしまったわね。
 皆のお喋りを邪魔したくなくて、必死に我慢してるんだけど

 そうそう、xxx君ね。
 彼も私の大事な“弟”。
 少し……かなり困ったさんだけれど、ある意味一番可愛いかも。

 その彼は今……

「……ン、ヤァン」

――私のおっぱいを触ることに夢中になっている。

 他の子よりご飯を急いで食べる彼(もっと味わって食べて欲しいのだけど)。
 皆の分のコーヒーやお茶を入れる私。
 入れ終わったとみるや、待ってましたとばかりに後ろから抱きついてくるのはいつものこと。
 私は何時ものようにテーブルに手をつき、自分と彼の身体をささえる。

 最初はエプロンの上から、重みを確かめるようにじっくり。
 でもすぐに乱暴になって、エプロンをはぎ取り、カーディガンの開いた胸元に右手を突っ込んでブラの上から荒々しく揉みしだく。
 ベージュのブラに包まれた胸が、ぽよんぽよんと跳ね回る中、開いた左手でスカートの上からお尻をまさぐるのも忘れない。
 そしてうなじに吸い付き、舐め上げるの。
 や……ちょっと、もう……!

「あー、ホント、いつ触っても最高だよ。つばめさんのおっぱい。
 このままずっと一日中触っていたい。」

 そう耳元で囁きながら、カーディガンを上に捲り上げ、私のおっぱいを震わせる。
「ン…xxx君、一日はダメに決まってるでしょ? 褒めてくれるのは嬉しいけど、早く、ね……?」
「早くなに? なんか義務っぽいなぁつばめさん。アリサみたいだよ?」
「どうでもいいけど、私を巻き込まないでよ」

 前から冷静な声でツッコミを入れるアリサちゃん。

 私がこうやってxxx君に襲われ、身体を良い様にされていても誰も何も言わない。
 それもそのはず。これは規則に基づく、当然のコトなのだから。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 ◇17.寮長、佐倉つばめは、202号室の住人、xxxの身体的健康、文化的活動を含む全ての寮生活に責任を負う。食事、洗濯、清掃等の提供は勿論、xxxが性的欲求を訴えた時には、いついかなる時も、あらゆる求めに恙なく応じること。物理的事由以外に、断ることは許されない。

 ◇18.寮長、佐倉つばめは、寮生活のあらゆる事柄において、202号室の住人、xxxを最優先すること。その中には、自身や子供も含まれる。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

「……しかしアレだね、ホントにお兄はおっぱい星人で下着フェチだね」
「いいじゃん。だってエロくない? あのつばめさんが、実はけっこう地味系下着を好んでるのとか、でも地味系に包まれたドエロボディが逆にめちゃめちゃエロいとか、知ってるのはかつての旦那さんとオレだけなんだぜ? ほーら、モミモミー」
「……ッヤン! …」
「いや、こう毎朝見てたら、正直アタシ達も知っちゃってるけど……」
「てか、エロエロ言い過ぎ。このエロバカ」
「……でもなんで、先輩はおっぱい星人なのに、私や花ちゃんのおっぱいも触るんですか?
 挨拶とか、『アレ』の時」
「え? アタシ最近触られてないけど……」
「え、私ここ最近毎日……」
「さてはアレね、同じような大きさの胸の子の、片方だけ揉み続けたらどうなるかっていう実験」
「チッ……」
「「バレたって顔した!?」」

 花ちゃん達と話を続けながらも、オッパイを触る手は緩めない。
 寧ろ一層荒々しくなる。
 下着の好きなxxx君は、ブラの上から触るのが好きだ。
 今もブラを剥ぎ取るのでなく、オッパイを揉む勢いで無理矢理とれないか試しているらしい。
 ホック壊れちゃうから控えて、って言ってるのに……。

「ね、変だと思わない? つばめさん、オレにこうされてさ」
「……ッ、へ、変って……?」
「だからさ、オレに毎日、こうされてさ」
「こう……? ン……」

 またも耳元に囁いてくる。
 お尻にはスカート越しに擦りつけられている固い感触。
 もうすぐコレが…。

「毎日毎日、オレにオッパイ好きなだけモミモミされて」
「……ンッ…」
「パイズリもしてよくシて貰ってるよね」
「ハァ、ハァ、えぇ……xxxくん、ァン! はさむの、大好き、だものね…」
「おっぱいだけじゃなくて、セックスも、色んな体位でシたし」
「そ、そう……ッ…ね……」
「朝だけじゃなくて、お風呂に入ってるときに乱入したり、夜這いも良くするよね」
「すず、めの……前、では……控えて欲しい、ヤン、わ……」
「それはそれで興奮するけどね。
 最初につばめさん抱いたときにはさ、興奮しすぎて一日中くらい部屋に籠もりっぱなしでヤらせてもらったよね。我慢できずにその次の夜も夜這いして、セックスもフェラもアナルも一通りシた。そうそう、アナルは処女だったっけ? アレは良かったー」
「えぇ……アレ、は、すごかったわ……」
「オレの食事だけ特性の滋養強壮メニューだし、他のみんなには無い昼食も作って貰ってるし? 『文化的活動』のために遊びに行くのに、おこづかい貰うなんて毎週だし。
 ま、主につばめさんに使う道具買ってるんだけど」
「……ムダ……使いはァ、ダメだって…もう…」
「無駄じゃないよ。今度また有効活用してあげるね。
 それからオレが『アレ』……『添い寝』に行った女の子の部屋の整理も、朝にしてくれてるでしょ?
 アレ、ホント助かるんだよなー。一昨日の灯ちゃんとかヤりすぎちゃって」

 ブラはとっくに剥ぎ取られ、二つのオッパイを両手でこねくり回されてる。
 手をグニグニと五本別々に動かしたり、乳首のまわりを指で回したり、私の弱いところを知り抜いている仕草だから油断できない。
 たまに舐められる耳やうなじ、首筋からの刺激もある。
 スカートは捲り上げられて腰に。
 ずっと彼の分身がショーツ一枚越しに擦りつけられ、たまに思い出したように掴み上げられる。
 正直、会話を続けるのも厳しい。

 ……それにしても、何が言いたいのかしら、xxx君。
 彼が言っているのは全部今更で、当たり前のことよ。
 xxx君の管理は、私の寮長としての仕事でも一番重要なこと。
 “添い寝”の後の清掃もそうだ。ちゃんと朝にやっておかないとxxx君も相手の女の子も学校に行けなくなっちゃう。
 なにせただの“添い寝”なのに、毎回精液や他の体液で大変なことになってるんだから。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 ◇19.当寮の居住者のうち女性(寮長やその家族を含む)は、202号室の住人、xxxが夜に部屋を訪ねた場合、一晩共に同じベッドで寝る。その際にxxxの快眠のために行うあらゆる行為を拒否してはならない。この“添い寝”は原則当番制とするが、xxxが任意で決めることもできる。また、寮長、佐倉つばめは、この“添い寝”の後始末を業務の一環とする。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

「ね、ホントに変だと思わない? つばめさん?」
「……なに、も、…ハァ、ハァ、変じゃ、ない、わ……」
「へぇぇ。何で? どうして?
 アナルも、騎乗位とかも、旦那さんとはシたことなかったんだろ?」

 両手と口で私の身体を思う存分蹂躙しながらも、彼の質問は止まらない。

「つばめさん、Mなの? それともヤリマン?」
「アァァン!」
 私をなじりながら、両方の乳首を力強く抓って引っ張る彼。
 何てことを言うの!
 そんなわけない。
 何故かって、それは……。
 “規則で決まっていることだから”……でも、それ以上に……。

「あなたは、大事な、私の、…ッ! …家族、だもの……」
「…! ……ヘェ」

 私の言葉に思うところがあったのか。
 おっぱいを鷲づかみにしていた手の力が緩まる。

「……そもそもさ、オレは男子で。ここにいるはずないのに。それでも、変に思わないの?
 つばめさん」
「何、を……?」
「オレが将来、すずめちゃんを奴隷に下さいって、言っても…?」
「……私から、説得は、してみるッ、けれど……最後は、あの子の意思、ね……」
「そう来たか…」
 確かにその答えでもオレの方を優先してるよな、と、ブツブツ呟く彼。
 ………?? 何か変なことを言っただろうか。

「ま、いいよ。
 ホント……だから好きだよ、つばめさん」
 一人で納得しながら、胸から手を離し、自分のズボンとパンツをずりさげる。
 露わになる大きな一物が、ベージュのショーツに包まれた私のお尻に向く。
 すでに局部は、お漏らししたようにグッショリしてる。
 彼は、愛おしそうに私のお尻をショーツの上からなで回した後、そのショーツもずり下げてしまう。
 そして現れる陰部。
 そこに腰を持ってきて、また耳元に囁く。

「好きだからさ、つばめさん。お願い……オレの子供、産んでよ」
――え……?
 ズプッ……

「アァッ――!」
 ……ちょっと待って!
 囁きに答える間もなく、勢いよく貫かれる私。
 心の驚愕に関係なく、待ち望んだ感触に身体が歓喜に震える。

 身体が……?
 本当に、“身体”だけ……?

「相変わらず食いつき良いなぁ。毎日年下の男を咥えてる穴とは思えないよ!」
「イヤ! イヤァ!」
「何がイヤ? オレの子供産むのが? 旦那さん以外の子供孕んじゃうのが!?」
「…………ッ!」
「でも、オレが求めたらいつでもオレとセックスするでしょ?
 毎日中だししてんだよ、そりゃいずれ孕むって!」
「そ、う、だけ、ど……!」

 赤ちゃんは…違う! もっと…大事な……!

 私の心の声も届かず、彼は腰の勢いを強める。
 立っていられず、テーブルに上半身を投げ出す。
 それでもxxx君は、おっぱいの手に果実を搾るように力を加え、突起を刺激し、攻めを強める。
 対して私は、苛烈な攻めと執拗な言葉責めの両方に、言葉にならない声を出す。
――そして彼は、そんな私に、引導を渡すのだ。

「そもそもさぁ、しっかりくわえ込んで悦んでるじゃない、つばめさん?
――オレがいなかったら、その身体どう慰めるの?」
「………!!」

 そう。確かに、彼との行為は義務感によるもの。
 でも度重なる行為で強制的に彼に慣された身体は、心は

 ……彼の行為を待ち望んでる……!!

「ハハ! 分かった!? つばめさんは、もうオレ専用なんだよ!
 オレがいなくちゃ生きていけないの!」
「――! ――!」
 パン、パンと鳴る音と、鳴る度に墜ちていくような気持ちになる私。
 そして……

「イくよ! 受け止めて! 孕んでよつばめさん!」
「あ……!」

――!
―――……。

 ……結局、その一発で私も達してしまった。
 同時に、彼の分身を私の真ん中で受け止める。
 何日シても、慣れない。常に背徳感と、それを上回る喜びが身を震わせる。

 余韻で動けない私に口を寄せ、口づけをした後、彼はうなじに吸い付く。
 昨日付けられたキスマークと同じ場所。毎日の行為の終わりの合図。
 ……恐らく、一生消えない証になる。

 それでも、受け入れるしか無い。
 彼が、この寮にいる限り、この日常は続くのだから。
 そして、この日常が続いて欲しいと思う自分も、確かにいて――

【登校】
 登校しながら、アタシは考える。

「おかしい。」
「何唸ってるの花ちゃん?」
「いや、今朝はお兄、つばめさんに一回しか出してないじゃん? いつもは、パイズリしてもっかい別の体位で、って、3回くらいしてるのに」
「……そういうのこんな登校中に言うのどうかと思うよ?」
「別に良いじゃん、お互い処女でもないんだし」
「それはもっとダメだよ!」
「あ、そういや『アレ』も今朝は無かったんでしょ? あの、『夜這い』」
「そ、『添い寝』だよ……。」
「口ごもったら自分がサれた時のこと思い出してるのバレバレだよ灯ちゃん?」
「う……えと、その……。」
「んー、つまり、アレかな? 回数を抑えてる?」
「やっぱり毎日は疲れちゃうんじゃない?」
「毎日毎日、つばめさん特製の滋養強壮料理食べてる絶倫が?
 ないない。
 何か……予定があって、それに向けて溜めてる、とか?」
「さぁ……あ、予定って言えば、今日は新寮生歓迎会だね!」

 ああ、そういえば。
 今日は寮に新人が来るんだった。
 新人っていってももどっちも先輩なんだけど。

 一人は二年生の朋坂雪乃(ともさか・ゆきの)先輩。
 超のつく名門家系のお嬢様で、長く艶やかな黒髪をストレートに下ろし、ワンポイントのカチューシャも清楚さを邪魔しない、まさに大和撫子。
 茶道部所属って辺りも“お嬢様”! って感じ。
 背景の凄さに関わらず、本人は至って気安く話してくれる、完璧超人みたいな人だ。

 もう一人は三年生の森真響子(もりま・きょうこ)先輩。
 朋坂先輩の幼なじみで、家公認の“護衛”なんだとか。
 蒼黒の髪のロングポニーテールで、スタイル抜群だけど柔らかさよりも鋭さを感じる“女サムライ”

 正直、また我が寮の美少女枠が増えるのかと思うともう驚きより呆れが先に来る。
 しかし、新しい入寮者。
 お兄、やっぱり……。

「あー、溜めすぎててキツかったーー!
 夜に大事なイベントがあるから控えてたけど、やっぱつばめさんは別腹だわ。
 スッキリしたし、オレも行こうかな。
 つばめさん、昼飯ってできてます?」
「……今日、は、朝食に力入れちゃって…」
「えー、しょうが無いなぁ。じゃあ、つばめさんの財布から代金持って行きますね?
 あ、今週末、用事あるんで、それも一緒に」
「えぇ。ごめんね……財布は、いつもの場所にあるから……」
「了解です。じゃあ行ってきますね。ゆっくり風呂入って下さい。
 もうすぐママになる大事な身体ですもんね。と、あ、忘れてた」
「……どうしたの?」
「今日の新寮生歓迎会なんですけど、明日に延期にできません?
 新しく来るコに、大事な用事があって……」

< つづく >

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