第四話(下) 《4》 “シャリン、シャリン……” 板張りの部屋の中、涼やかな鈴の音が響き渡る。 “シャリン、シャリン” それらは部屋の中央で舞う、一人の少女が左手に持つ採物(えりもの)が奏でる音だ。 短い柄に、いく
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その瞳は今までに見たこともないほどに『黒』く、そして底知れず、深く、暗く……
しかしその奥には、そこにある物は確かに………
碧色の黄昏 第四話(上)
第四話(上) 《1》 プルルルル……… 電子音が鳴り渡る中、ホームに着いた電車から人々が降り立つ。 足早に改札へと向かう人の流れ。 その中に一人だけ、ホームの中程に立ち止まる人影があった。 「ふう……」 大きな
もっと読む碧色の黄昏 第三話
第三話 《1》 「練習、終わります!」 「「ありがとうございましたっ!!」」 早朝の日が射し込む板張りの剣道場の中に、女生徒達の凛としたかけ声が唱和する。 木観塚 弥生(きみづか やよい)は剣道の面の上にかけてあった
もっと読む碧色の黄昏 第二話
第二話 《1》 …目の前の視野が、すうっと狭まるように感じた。 膝から力が抜け落ち、彼は崩れ落ちるように床に膝をついた。 “ガタ…ッ!”/p> 「きゃっ!」 「先生っ!!」 生徒達が悲鳴を上
もっと読む碧色の黄昏 第一話 後編
第一話 後編 《5》 裕美は、一糸もまとってはいなかった。 服の上からでもはっきりとわかる、その均整のとれた26歳の成熟した肉体が、惜しげもなくさらされている。 仰向けに寝ていてもその存在を主張する、豊かな、形のい
もっと読む碧色の黄昏 第一話 前編
第一話 前編 《1》 “キーンコーン…”/p> 「ああ、時間みたいだな。 じゃあ、今日の授業は、これまで」 教卓の上の資料をまとめながら、和人はそう言って授業を終えた。 「注目~、礼っ」 日
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