校門から校舎へと続くまっすぐな道の、左右に並んでいる桜は六分咲といったところだった。 せっかくなら満開の中を歩きたかったな。そんな贅沢なことを考えてしまってしかたないと思う。 だって、今日は私――脇坂倫(わきさか・
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入学式を終え、教室に入ると、みんな落ち着かないのか少しざわついている。
チャイムの音が聞こえると、出席簿を手に先生が教室へと入ってきた。
「それでは、最初に自己紹介をしてもらいましょう」
すごく綺麗な先生が一礼をすると、教室をゆっくりと見回す。