世界の中心から東に進むことおよそ10000マイル、最果ての海の上に、ジパングという国がある。 八つの大島から成ることをもって、かの地の民は自らの国を八洲(やしま)と呼び、またその豊饒を誇って秋津洲(あきつしま)とも称
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神経を焼く燐粉を撒く毒蛾、田を覆い尽くす飛蝗、死を招く尸虫(しちゅう)。
余人には窺い知れぬ理由を以って蟲師たちが使役する、災いを呼ぶ蟲たちは、八洲における最大の恐怖の一つだった。
彼が運ぶ着物に植え付けられているのは『淫蠱』の卵。
人の魂を穢(けが)し精を貪り尽くす妖虫である。