……障子の内と外で、話をしたり、笑ったり、それから谷川で二人して、その時婦人(おんな)が裸体になって私が背中に呼吸(いき)が通って、微妙な薫の花びらに暖かに包まれたら、そのまま命が失せても可い!
 泉鏡花『高野聖』より

高野聖異聞

 おや、あんたは馬にされてしまったのかね。  なに、驚かんでもええ。  猿が喋るわけがない?  そう言うおまえさんも姿は馬でないか。  それに、別に言葉を話しておるわけではないよ。なんというか、声に出さずともわかるんんじ

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