彼女はペットε!(イプシロン!)

 くぅ~。こんにちはです。くうです。
「彼女はペットNAND!(なんど!)」の続きです。完結編です。
 2人の続きが見たい方はどうぞです~。
 べた~な展開なのです~。

 みゅうのプロフィールです。
 自称猫。外見少女。猫目。猫舌。
 好きなもの・子持ちししゃも、旬の魚の塩焼きor煮付け、刺身全般(特に本マグロ)
 特技・垂直跳び、反復横跳び、柔軟、寿司屋の早食い、引っ掻く
 好きな人・ご主人様、アルクェイドさん

 くうのプロフィールです。
 自称犬。外見少女。鼻が利く。動体視力が良い。
 好きなもの・松坂牛のしゃぶしゃぶ、飛騨牛のロース、大田原牛のハンバーグ
 特技・シャトルラン、フルマラソン、水泳、焼肉の大食い、噛み付く
 好きな人・ご主人様、ハチ公

――――――――――――――――――――

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 ども。森繁大我(26)です。
 経理課の平社員やってます。
 相変わらず長いものには巻かれてます。

 そして俺には凄く美人な彼女が居ます!
 しかも課長なんです!
 彼女の名は柊映子(30)。付き合って半年になります。
 え?腰が低いですか?
 ・・・・・・
 ふう。つい丁寧語が癖になってたな。

 で・・・そんな俺はすっかり映子さんの尻にしかれてる・・・
 課長と付き合えて結婚の影もちらついている・・・
 に・も・か・か・わ・ら・ず!
 最近は冷たい映子さんに少し不満。本当に俺のこと愛してるのか?
 俺はもっと刺激が欲しい・・・

 有名な司会者が「男は絶対浮気する」って言ってたけどホントだな~。
 ・・・っておいっ!!あかんやん!!殺されるやん!!

 10月上旬・AM9:00・・・経理課・・・

 さ、今日も仕事に精を出すか。
 
「皆~。ちょっと聞いて」
 お、珍しく課長から話があるみたいだ。
 課長に言われて皆が注目する。う~ん。さすが課長。

「こんな時期なんだけど。中途採用の子が入ることになったの。紹介するわ」

 課長の側にはすんごく可愛い女の子が・・・
 うおっ!服の上からでも胸の膨らみが・・・
 う~ん。映子さんの貧乳(ごめん!)と比べるとたまんないぜ・・・

「彼女は倉田麻理さん。企業名は明かせないけどヘッドハンティングよ」
 課長に紹介されてグラマーちゃんがぺこりと頭を下げた。
「は、初めまして!皆さん、宜しくお願いします!」
 へぇ~。優秀なんだ。すごいな~。
 でも緊張している感じの戸惑った顔が堪らん。

「森繁君。彼女を宜しく」

 課長が俺を麻理ちゃんに紹介している・・・
 ・・・・・・え?お、俺っすか??

「か、課長!お、俺が指導なんて・・・」
「バカね!中途採用だから仕事に関してはあんたより出来るわ。あとは機械の説明とか社内の案内とかをしてあげればいいのよ!」
 ・・・あ、そういうことっすか・・・
 俺が一番ダメってことね。俺が抜けても差し支えないってこと?納得っす・・・

 麻理ちゃんが俺の元にやってきた。
「宜しくお願いします。森繁さん」

 にこっと笑ったその笑顔。癒されるな~。
 ・・・か、可愛い・・・

 話を聞くと麻理ちゃんは22歳。
 そしてこの街はまだ初めてらしい。
 よしよし。手取り足取り教えて差し上げようぞ。って何をだ!俺!

 同日PM12:30・・・

 さて、飯でも食べに行くかな。
 勿論映子さんと!
「映子さん。飯行きません?」

 映子さんは少し不機嫌そうに俺を見てきた。
「・・・見て分からない?私はまだ仕事があるのよ。それより倉田さんを食事に誘ってあげなさい。まだ慣れないだろうから」
「・・・は、はい」

 何だ?俺が麻理ちゃんに靡(なび)いたらどうする気なんだ?
 それとも・・・俺が他の女と会っていても妬かないのか?

「森繁さん。どこかおいしいランチ知りませんか?私この辺りは詳しくなくて」
 麻理ちゃんがランチに誘ってきた。
 映子さんは・・・気にする様子もなく仕事中。
 えっと・・・

「じ、じゃあ俺と一緒に食べに行く?」
「え?いいんですか?お願いします!」

 そんなこんなで2人でランチに。
 ま、そこで俺と課長が恋人関係であることも話したんだけど。
 ちょっと驚いてたな。やっぱり俺と映子さんじゃ不釣合いなのか?

 10月下旬・PM7:00・・・公園・・・

 さて、すっかり日課になった公園通い。
 もしかしたらここに「自称猫みゅう」か「自称犬くう」が居るかも・・・とついつい覘いてしまう。

「わう~~~っ!!よるな!です!!へんたいです!!」

 お、お?おおっ??おおおおおっ!!!!
 どうやら居るみたいだ!!あの鳴き方は「くう」だな?
 で、何かもめているような・・・

「へっへっへっへ・・・おじさんと遊ぼうよ~」
「がう~~っ!!へんたいです!!くるなです~!!」

 ん?汚らしい太いおっさんがくうを襲ってる!!
 こ、これは助けなければ!!

 早速俺はおっさんに後ろから飛び掛った。
「待て~っ!!くうさまが嫌がってるだろうが~っ!!」

「あぁ?何やおのれはっ!!」

 しかしあっさりと振りほどかれて顔面に一発・・・
 -バキッ!-
 あかん・・・やられてもうた・・・

「このガキ・・・あっ!ちくしょう!あの子はどこだ!!邪魔しやがって!!」
 おっさんの声が聞こえる・・・
 うう・・・どうやら今の間にくうは逃げたようだ。

 おっさんはくうを探して公園の外に出て行った・・・

 いてててて・・・と、とりあえずベンチに座ろう・・・

 数分後・・・
「くぅ~~。だいじょうぶです?なんでたすけるです?たすけなくても『でんこうせっか』でにげれるです~」
 くうが暢気に側によってきた。こ、こいつ・・・助けるんじゃなかった・・・あわよくばお礼にペット化してくれると考えた俺が甘かった・・・

「くぅ。これつかうです」
 くうが濡らしたタオルを咥えていた。
 俺は受け取って頬に当てた・・・な、何か臭い気がする・・・

「あ、ありがとう・・・で、でもコレって何のタオルですか?」
「ごみといっしょにすててあったです。もったいないです」
「ぐはっ!!!!」
 ま、まあ・・・悪意は無いだろうから・・・ありがたく思っとくか。

「おにくやさんです。いいにおいです」
「ぐ・・・」
 生肉の強烈な匂いか・・・
 い、いかん。吐き気が・・・

 で、くうが俺を見ながら一言・・・
「わうっ!おれいしてあげるです!」
 お、お礼・・・ま、まさか?まさかまさか!?

 くうがベンチの上に立った。あの~・・・一筋のラインが丸見えなんですけど・・・
「わうっ♪わうっ♪きゅ~となえがおと~♪あついは~とで~♪みんなのあいどるな~の♪(ですっ!)みゅうにねが~いを~♪くうに~いのりを~♪ささ~げた~らたすけにく~る~の~♪(ですっ!)においをかぎわけ~♪(Wow!Wow!くうさま~!)まっはのはやさで~♪(Wow!Wow!くうさま~!)あ~なたにす~てきな♪ま~ほ~う~のぷれぜ~ん~と~♪(するですっ!)」

 ・・・・・・な、何ですか突然・・・しかもどこかから合いの手が・・・
「あ、あの!?くうさま!?何をなさってるのですか?」
「わうっ?おうたのぷれぜんとです。まだ2ばんがあるです。おとなしくきくです」
「い、いえ・・・お歌はもう結構ですので・・・」
「わうっ?しんえいたいのひとたちはよろこぶです・・・こまったです・・・」

 し、知らなかった・・・親衛隊なんてものができてたのか?
 まあみゅうやくうを俺だけが知ってるっていうことは無いよな。
 ペット化してくれるんだから神様のごとく奉ったりする人も居るよな。
 さすがにロリ系には受けるよな・・・コスプレとかさせてみたら可愛いよな・・・
 メイド服とか着ちゃったりなんかしちゃったりして・・・「わうっ!ごしゅじんさまっ♪ごほうしするですぅ♪」・・・って言ってみたりしちゃったりして?・・・いいじゃん。受けるよ。マジ。理性なんか吹っ飛んで思わずぶち込んじまうよ。うん。
 いかんいかん。妄想してしまった・・・しっかりしろ俺!そっちに興味は無いはずだろ!

「わうっ!じゃあだれか『ぺっと』にしたいひとをいうです。べつのおれいするです」

 っ!!!!キタ―――――(゚∀゚)―――――ッ!!!!

「ま、ままままま、マジっすか!!?」
「わう。ま、ままままま、まじっすです~」
 相変わらずどこかずれてるけど、とりあえずチャンス到来!!
 どうしようかな・・・

 映子さん・・・
 でもなあ・・・ちょっとマンネリ気味だな~・・・

 !!い、居るじゃないか・・・俺がペットにしたいと思う人物が1人・・・

 結局俺は映子さんではなく・・・
 職場の新人のグラマーな倉田麻理ちゃん(22)を選んだ。

「わうっ!ではいってくるです~。でんこうせっかです~!!」
 くうは相変わらずの超スピードでペット化しに行った・・・う~ん。明日が楽しみ・・・
 はっ!ついつい麻理ちゃんを選んでしまった!!
 ・・・ま、なんとかなるだろ。

――――――――――SIDE 倉田麻理――――――――――

 同日PM7:30・・・麻理自宅・・・

 仕事から帰ってきた私は、上着をソファの上に放り投げた。
「はあ~。忙しい職場だわ~。給料はいいんだけどね・・・」
 -ぴんぽ~ん-
 あら、誰かしら。モニターを見ても誰も居ない。悪戯?

 -ぴんぽ~ん-
 まただ。嫌だなこういうの・・・気味が悪い。
 私は勇気を出して扉を開いてみた。

「わうっ!」
 何かが足元から飛び掛ってきた。
「きゃあぁっ!?」

「麻理たんです!麻理たんはペットです~」
「えっ!?」

 ・・・・・・
 気がつくと私はリビングのソファに横になっていた。
「・・・あ、あれ?何か今あったような・・・」
 何かひっかかるんだけど・・・まあいいか。そのうち思い出すでしょ。
 私は軽く夕食を作ることにした。

「麻理ちゃん。何作ってるの?」
 っ!?男の人!?
 慌てて振り返った。そこには見慣れた人が立っていた。彼の名は・・・そう、森繁さん。
 何故此処に!?・・・と言おうとした。うん。言うつもりだったのよ。

 -ドクン!-
 突如異変が起きた。胸の辺りに変な感じが起きた。
「あ・・・あ・・・」
 何も言えなくなった。訳がわからない。この感じ・・・
 -ドクンッ!-

「麻理ちゃん?どうしたの?」
 馴れ馴れしく私の側に寄ってきた。
 お尻を触られた。でも・・・嫌な感じはしない・・・
 -ドクンッ!ドクンッ!-
 変な感じが胸の奥からじわじわと全身に広がっていく・・・
 彼は・・・彼は・・・私の大事な人?なの?・・・
 一度頭に浮かんだその感覚が離れない・・・彼は大事な人・・・当たり前のこと・・・
 -ドクンッ!ドクンッ!-
 心臓の音が全身に響く・・・長い沈黙・・・思考が鈍っていく・・・

「あ・・・えっと・・・なんでもないの。ちょっと疲れてるのかな?ごめんね。すぐ作るから。座って待ってて」
 私は笑顔でそう言うと、棚からフライパンと鍋を取り出した。
 さて、腕によりをかけて手料理を振舞うぞ♪ご主人様に♪
 -ドクンッ!

「えっ!?」
 そこで正気に返った。何してるの私・・・森繁さん?誰も居ないじゃない。
 でもさっきの感じは何?私は何?意識してるの?妄想?幻覚?
 何よ今のご主人様って!しかも嬉しそうに!ごく当たり前みたいに!

「ああもうっ!しっかりしなさいよ!悪いけど森繁さんよりもっといい男がいっぱい居るでしょ!」
 しっかりするためにも、先にシャワーを浴びることにした。
 浴室の前で服を脱いでいく・・・

「綺麗だよ。麻理ちゃん」
 -ドクンッッ!!-
 まただ!!森繁さんの声・・・身体が震える・・・これは恐怖?期待?
 ドキドキしながら振り返った。あれ?ここ・・・私の部屋じゃない・・・ここは・・・ホテル?何で・・・森繁さんとホテルに・・・居るの?
 男と女が2人でホテル・・・といえばすることは一つ・・・
 誘った?私が?・・・うん。私が誘ったんだ。何故?好き?好きだから?

 -ドクンッ!ドクンッ!!ドクンッッ!!!-
 森繁さん・・・好き。
 私は思った言葉を口にした・・・
「沢山・・・下さい・・・ご・・・しゅじん・・・さま・・・」
 恥ずかしさに身体が熱くなる。
 これからしてもらえるんだと思うともっと熱くなる。
 気に入ってくれるかな?私の胸・・・
 ご主人様が私をぎゅっと抱き寄せた。私もそれに答える・・・
 ああ・・・暖かい・・・こうしてるだけで幸せ・・・

 ・・・・・・っ!!!!????
 また妄想!?何よこのやけにリアルな感覚は!!胸が激しくバクバクしてる!
 全裸で立ち尽くしている私・・・
 何か虚しい・・・本当なら抱き合ってるのに・・・ご主人様と・・・
 っ!!!!????
「やだっ!もうっ!!」

 慌てて中に入ると、シャワーを捻った。
 シャワーの音の中でも、全身を激しく流れる血液の音が聞こえる。
「・・・どうしちゃったのかな・・・私・・・」
 シャワーの熱が私の身体を温め・・・火照らせる。
 シャワーが私の理性を流していく・・・
 頭がぼ~っとしてきた。少し熱すぎたかな・・・
 何か・・・変だよ。私・・・
 助けて・・・ご主人さま・・・

――――――――――SIDE 森繁大我――――――――――

 同日PM9:30・・・映子自宅・・・

 映子さんもう帰ってるかな?
「ただいま~」
・・・まだみたいだ・・・

「映子さんは課長だから忙しいんだよな~・・・こんなんで結婚生活やっていけるのか?」
 俺はレンジで出来るご飯をチンとして夕食を食べる。

 -プルルルルル!プルルルルル!-
 自宅の電話が鳴る。
「ん・・・映子さんか?」

 ディスプレイには電話番号が表示される。登録されていない番号だ。
 とりあえず電話に出る。
「はい?どちらさまですか?」

「あ、あのっ・・・わ、わたし・・・倉田麻理です・・・こ、こんばんは」
 早っ!!!!も、もう終わってるのか?くうもみゅうに劣らず凄いな・・・
 そうか。犬だから猫より速いってか。ん?いやいやいや、あいつは人間だろ。
 っていうかどうやって家を探し出したんだ?

「あ、麻理ちゃん。どうした?」
 い、いかん!緊張で声が裏返った・・・

「あ、あの・・・お、おかしいと思いますが・・・私を飼ってくれませんか?」
「は、はい??」
 今なんて・・・飼ってくれ?それとも買ってくれ?
 映子さんとはタイプが違うのか?個人差があるのか?

「お、お願いします!!でないと頭が変になりそうで・・・」
「わ、分かった。じゃあ桜栄ホテルって知ってる?」
「は、はい。うちの近くです・・・」
「じゃあ今から1時間後にロビーで会おう」
「分かりました!楽しみにしてます・・・ご、ごしゅじんさま・・・」

 -ピッ-
 ・・・・・・
「うわ~~~っ!!弾みでホテルで会う約束しちまった~~っ!!しかもご主人様だと~っ!!怖いぐらいに上手く行ってるな・・・こ、こうしちゃ居られない!!映子さんが帰る前に出なければ!!・・・そ、そうだ!夕食のゴミも・・・」

 とり合えず俺は着替えてホテルに向かった・・・・・・

 PM10:00・・・桜栄ホテル・・・

 や、やば・・・1時間どころか30分で着いちまったよ・・・

「ごしゅじんさま・・・こっちです・・・」
 声のしたほうには麻理ちゃんがそわそわしながら立っていた。
 げっ!向こうはもっと先に来てたよ!!

 周りの人が不審な目で俺を見ている・・・
「わ、分かったからその呼び方はやめてくれよ・・・」
「で、でも・・・そうじゃなきゃ頭が狂いそうで・・・」
 う、げに恐ろしきはくうの力よ・・・

 ここまで来たら引き換えせん!!男見せるぜ!!
「じゃ、チュックインを・・・」

「あ、待ってください!待ってる間に済ませました・・・その・・・課長にばれたらまずいと思って私の名前で・・・これ・・・鍵です・・・」
 !!むう・・・な、なんと出来たペットなんだ・・・課長も見習って欲しいぜ。
 ・・・うっ。尻にしかれてる俺にはとても言えない台詞だ。

 そして俺たちはホテルの一室へ・・・むふふふふっ・・・

 PM10:10・・・1207号室・・・

 部屋に入った俺は・・・なんといきなりベッドに押し倒された。
「お、おい・・・シャワーを・・・」
「い、いいんです・・・このままで・・・ご主人様の匂いを嗅ぎたいんです・・・」

 ま、まあ俺も麻理ちゃんの匂いを・・・
 ・・・・・・あれ?良い匂い・・・
 ??って麻理ちゃんはシャワー浴びて来とるっ!!!!
 い、一体どこにそんな時間が・・・
 ま、まさか!俺に電話した時点で準備万端だったのくわぁっ!!?
 な、なんと言う出来たペットなんだ!う~ん。いとおしい・・・

 とり合えず俺も麻理ちゃんも服を脱ぎ捨てて再びベッドイン・・・

「お願いします・・・麻理にたくさん下さい・・・ご主人様・・・」
 そう言って麻理は仰向けになった。
 なるほどなるほど。俺の好きにしていいってことか・・・
 つくづく。映子さんより利口な。
 じゃ、まずはその豊満な胸を揉み揉み・・・

「ん・・・・・・ん・・・・・・」
 必要以上に声を我慢しているな。
 まあ当然か。ここはラブホじゃないんだし。
 それにしても・・・すんげえ弾力!!
 ごめんなさい映子さん・・・俺、こっちがいいっス!巨乳がいいっス!
 もみもみもみもみ・・・・・・
 もみもみもみもみ・・・・・・
 もみもみ。

「あ、あの?いつまで・・・」
 ??はっ!夢中になってた!!なんと言う巨乳だ!これは呪いだ、虜になる呪い。心の中でシャナクを唱える。うん。無意味だな。
 そういえばグラマーとデブは紙一重だってなんかの雑誌で見たな・・・
 ってことはこの娘は相当運がいいんだな?って何考えてんだ俺。

 よ~し!俺のテクニックで!!
 そのおま○こをゴッドフィンガーで攻めるぜ!!
 ・・・・・・

「ん・・・・ん・・・・」

 なかなか感じてくれない・・・
 確かに俺の女性経験が映子さん一人って言うのもあるけど・・・
 う~ん・・・手ごわい・・・マグロか?
 じゃあさっきの声も我慢してたわけじゃなくて・・・

 ま、いいか。だってペットだし。俺飼い主だし。
 俺が気持ちよければいいよな!うんうん。

 というわけで俺はペニスを挿入・・・とおおっ!

「んあっ?・・・うんっ!」
 お・・・急に喘ぎ始めた・・・
 と言うことははめれば良い気持ちなのか?

「あんっ!あんっ!!ふっ!!」

 う・・・凄い締め付け・・・き、気持ち良い・・・
 ひょっとして相性抜群?
 麻理ちゃんは指を咥えながらよがっている。
 いいなあこの表情。表情と書いて「かお」と読む。また何考えてんだ俺。

「た、大我さんっ!大我さんっっ!」
 健気に俺の名を呼び続ける麻理ちゃん。
 マジ可愛い!

 や、やばい・・・出る!
「だ、出すぞ!いいか!?」

「んっ!!わ、私も!!い、イッちゃう!!」

 -ドクンッ!!ドクンッ!-
「んん~~~~っ!!」
 麻理は射精と同時に絶頂を迎えた。
 声を噛み殺していたが、そのまま失神してしまった・・・

 翌朝(土曜)・・・AM6:00

「森繁さん!森繁さん!!」

 麻理ちゃんの柔らかい声だ・・・
 う・・・もう朝か・・・
 朝・・・・・・・・・げっ!!寝ちまってたあ~~~っ!!!
 お、俺って奴は!いつも肝心なときに!!
 あれか?満足したら寝るタイプか?俺は!

 目を開けると昨日の余韻からか顔を赤らめた麻理ちゃんが・・・いや、だから・・・その顔は反則だって。
「あ、あの・・・ずっと携帯鳴ってましたよ??」
「・・・マジで?」
「マジです」

 そ~っと見てみる・・・
 げっ!映子さんから・・・着信もメールも・・・
 メールの内容は・・・
 大体が俺を心配するメールだ。早く連絡しなさいとか。とり合えず返信・・・友達と飲んでて酔いつぶれて泊めてもらったってことに・・・

「あの?森繁さん?」
 麻理ちゃんが心配して聞いてきた。

「ん?ああ。大丈夫だ。気にするな」
 気にするなって俺が言うのもおかしな話だが・・・

「森繁さん・・・もう・・・会えません・・よね?」
 ちょっと困ったような麻理ちゃんの声。
「えっ?」
 思わず間抜けな返事をしてしまった・・・
 これって・・・あれだよな?
 でもいいのか?俺でいいのか?

 麻理ちゃんは顔を真っ赤にして続ける。
「で、出来れば・・・もっと・・・そ、その・・・私・・・あんなに感じたの初めてで・・・とっても気持ちよくて・・・ご、ごめんなさい!迷惑・・・ですよね?ご主人様とか言っちゃって・・・強引に呼び出して・・・どうかしてました。私。忘れてください・・・」

 忘れるなんて出来るわけ無いじゃないか!
 こ、これは聞いてやるべきだろ・・・
 何たってくうに頼んだのは俺だからな。

「ああ。俺もよかったよ。そうだ。これからどこかに行かないか?」
「お昼までなら・・・いいですよ・・・」

 そして2人は良いムードで深い口付けを・・・
 う~ん。不倫の始まりか~・・・
 頑張れ俺っ!負けるな俺っ!

――――――――――――――――――――

――――――――――SIDE ????――――――――――

 私は経理課係長の吉岡信久。45歳。
 存在感も薄くたいして人望も無いしがない中年だ。

 同日・PM2:00・・・中央広場・・・

 唐突だが、私には小さなお友達が居る。

「うみゅ~。またおじさんです。おはようです~」
 来た来た。この子は『みゅう』というそうだ。
 この少女はどうやら自分のことを猫だと思っているらしい。
 しかも何故か全裸なのだが・・・さすがにやましい気は起きない。

 ある日私が話しかけたときからお友達になった。

「やあ。みゅうちゃんはいつも元気だね」
「うみゅっ。とうぜんです。で、おじさんはかぞくとあえたです?」

 家族・・・
 仕事ばかりで家庭を顧みなかった私は、妻と娘に逃げられてしまった・・・
 しかも私より年下の女性に課長の椅子を奪われてしまった。世の中は難しい・・・
 そんな寂しさを紛らわせてくれるのがこの子だ。

「う~ん。まだ会えないんだよ」
「みゅ~。それはかわいそうです。さびしそうです」

「ほら、お茶でよかったかい?」
 私は缶のお茶をみゅうちゃんに差し出した。

「みゅ~。ありがとです~。いただくです~・・・んみゅんみゅ・・・ぷは~っです~」
 みゅうちゃんがのほほんとした笑顔を見せた。
 ははっ・・・こんなことで喜んでくれるなんて。
 私ももう少し娘に構ってやるんだったな・・・

――――――――――――――――――――

 同日PM3:00・・・中央広場・・・

 大我は麻理を送った後、映子の自宅へと急いでいた。
「やべ~~・・・どう弁解しよう・・・」

 そして大我は係長とみゅうを見つけた。
 2人は仲良くベンチに座っている。
 そして信久からみゅうに話しかけている。
「・・・あれは・・・係長とみゅう?何で2人が仲良く座ってるんだ?」

 みゅうは信久の背広を羽織ってパンをかじっていた。

 とりあえず大我は気づかれないように2人の後ろを通り過ぎる。
 2人の会話が聞こえる。

「うみゅ~。おじさんはすきなひとがいるです?」
「そうだな~。課長みたいな女性だったら・・・仕事への理解もあるし・・・上手くやれるかもな」
「みゅ?かちょうです?しってるです!おじさんにあげるです~」
「はっはっは。私にくれるか?楽しみにしてるよ」
「みゅっ。じょうだんじゃないです!ほんきです!」

(みゅうが・・・映子さんを係長に!?ま、まさかペット化する気か!!)
 その話を聞いた大我は慌てて映子の自宅に走り出した。

 PM3:40・・・映子自宅前の大通り・・・

「おとをききわけ~♪みがるなうごきで~♪」
 大我の前をみゅうが走り去る・・・やはり向こうが速い。

 たまらず大我は叫んだ。
「みゅうさまっ!!待ってください!!」

「ごしゅじんさま~の♪・・・んみゅっ?」
 大我の呼びかけでみゅうが足を止めた。

「うみゅ・・・そうです。けちなたいがです。なんです?いそがしいです」
 みゅうはしばらく大我を見つめて思い出したようだ。

「た、頼みます!!課長だけはやめてください!!」
「・・・いやです!おじさんにぷれぜんとするです!」
「お願いだ!!この通り!!」
 大我はその場で土下座する。

「うみゅ・・・だめです。みゅうはぺっとにするだけです。やることをやるだけです。さらばです~」
「みゅうさまっ!!!!」
 大我の制止を振り切ってみゅうは走り去った・・・

「くっそ~~っ!!絶対止めてやる!!」
 大我は家へと急ぐ。
 そして・・・途中で一台のタクシーとすれ違ったことに彼は気がついていなかった・・・
 そう。彼女達の仕事は速い。

――――――――――SIDE 柊映子――――――――――

 同日・PM4:00・・・映子自宅
 -ぴんぽ~ん-

 大我君かしら。まったく。こんな時間まで何やってんのよ。
 -がちゃっ-
 扉を開いてみると・・・あれ?誰も居ない・・・

「うみゅ~。たしかにかちょうです~」

 ・・・え?下から声がする。
 下を見ると全裸で四つん這いになった女の子が・・・
 ????あれ?そう言えば前にもあったことがあるような・・・

「え~っと・・・あなたは誰?そして何の用かな?」
 私はかがんでその少女に目線を合わせた。

「うみゅ。かちょうはおじさんをしってるです?」
「え?おじさんって?」
 そんな漠然とおじさんって言われてもねえ。
 叔父さんの親戚なのかしら?

「みゅ。おじさんはおじさんなのです。みゅうはかちょうをぷれぜんとするのです」
「え?え?ええ????」
 訳が分かんない・・・どういうこと?

「みゅ~。かちょうはおじさんのぺっとなのです~」

 あ、あれ?何なのよそれ・・・
 ??あ、頭がずしっと重く・・・
 そ、そうだ。これって大我くんの時も・・・

 お・じ・さ・ん・・・
 おじさんって・・・なんだ。係長の吉岡さんなのね。
 吉岡さん・・・え?何よこの感じ・・・
 わ、私は・・・何なのよコレは・・・
 そう言えば大我くんの時もこんな・・・気持ちに・・・
 ど、どうすれば・・・
 あ・い・た・い・・・
 会いたい・・・たまらない・・・何よコレ・・・
 私は大我くんがいるのに・・・

 そ、そう・だ・・・で・ん・わ・・・
 電話しなくちゃ。まずはあって話をしないと・・・
 あって何するのかな・・・そうだ。食事・・・誘おう・・・
 そしたら・・泊まって・・・せっくす・・・
 ・・・ごしゅじんさま・・・
 ・・・あ・い・た・い・・・

――――――――――――――――――――

――――――――――SIDE 吉岡信久――――――――――

「吉岡さん。今から会えますか?」
 柊君からそんな電話を貰って私は会社の前に居る。

 同日PM5:20・・・会社前・・・
 ほどなくして一台のタクシーが停まった。
 中から柊君が降りてきた。
 かなり色っぽい服を着ている・・・妖艶さをかもし出している。

「あの・・・これからホテルのディナーでもどうです?」
 柊君が私の反応をうかがいながら誘ってきた。
「あ、ああ。ぜひ」
 私は考えることなく即答してタクシーに乗り込んだ・・・

 PM9:00・・・グランドホテル・・・

「いや~。ご馳走様でした。とっても楽しかったですよ」

 私がお礼を言うと柊君は私にしなだれかかってきた・・・

「あ・・・私ちょっと酔っちゃったみたい・・・」
 色っぽい表情で私を見上げてくる・・・まさか・・・
「ねえ吉岡さん・・・・・・・・・泊まっていかない?」
 誘っているのか?私を・・・

「し、しかし・・・柊君には彼氏が居るのでは・・・」
 彼氏という言葉を聞くと柊君の表情が一変した。

「彼氏?別れました。最低なのよあいつ。私が朝まで仕事しているのに浮気してたんです!!私が面倒見てるのに!!・・・ねえ・・・寂しいの・・・私吉岡さんみたいな優しくリードしてくれる人が・・・スキ・・・」

 私は・・・意を決してフロントに向かった・・・

 PM9:30・・・1502号室・・・

 私は柊君を支えながら部屋に入った。
「柊君・・・」

 柊君はするすると服を脱ぎ始めた・・・
「嫌です・・・映子って呼んでください・・・ごしゅじんさま・・・」

 私は柊君・・・いや、映子君の美しい裸体に魅入っていた・・・
「美しいよ・・・映子君・・・」

 映子君をそっとベッドに寝かせる・・・
 まるで壊れ物のようだ・・・

 まずはキスをする・・・
 映子君も手馴れたように私に応えてくる・・・

「ん・・・はむ・・・」

 私はその日・・・映子君と繋がってしまった・・・

――――――――――――――――――――

――――――――――SIDE 森繁大我――――――――――

 時は流れ・・・11月下旬・PM11:00・・・
 俺はあの日、ふられてしまった・・・
 みゅうを阻止しようとしたあの日、帰った俺の目の前には別れを告げる手紙があった。
 そして数万のお金と共に「荷物をまとめて出て行って」と書いてあった。

 俺が浮気したこともどういうわけかあっさりと分かっていたらしい。
 そして俺は安いホテルに滞在することになった。

 映子さんはどうやら・・・係長のものになってしまったらしい。
 俺は一度映子さんに話しをした。が・・・たった一言・・・

「信久さんは優しいのよ・・・とっても・・・」

 そう寂しそうに言って映子さんは去っていった・・・
 それ以来仕事でしか話をしてくれない。

 俺は・・・映子さんに優しくなかったんだろうか・・・
 あれほど言うことを聞いていたのに・・・
 それとも・・・俺の思う優しさと映子さんの思う優しさが違っていたのだろうか・・・

「大我さん?聞いてます?大我さん」
 考え事をしていて聞いていなかった。麻理ちゃんだ。

「・・・ん?何だい?麻理ちゃん」
「・・・来週の金曜ですよ。空いてますか」
 お誘い・・・でもなぁ、なんだろうかこの空虚感は・・・

「・・・・・・ごめん。その日はちょっと」
「そうですか・・・じゃあ今度誘ってくださいね」
「ああ。分かったよ」
 何故だろうか。あれほど気に入っていた麻理ちゃんも今は抱く気がしない・・・
 嫌いになったわけではない。そうじゃないんだけど・・・なんだかなぁ。
 これじゃあまるで愛人じゃなくてお友達だ。

 翌日(月曜)・PM9:00・・・ホテル付近の路地・・・

「くぅ~~。たいがです~。どうしてここにいるです?」
 独特の聴き慣れた声がして振り返った。
 失意の俺の前にくうが現れた・・・

「くぅ~。げんきがないです~。どうしたです?かちょうにおこられたです?」
 失意の中、くうののほほんとした喋り方と明るい表情が俺を癒す。
 俺は・・・ただただくうに頼み込んだ。

「お願いします!!課長をもう一度・・・もう一度ペット化してください!!そうしたら俺は俺の気持ちを打ち明けます!!それでダメなら諦めます!!」

 今度は交換条件になるものは何も無い・・・
 当然ダメだと思っていた・・・

「・・・くぅ。わかったです。このまえのおれいもかねていってくるです。こんどははなしたら(放したら)だめです」
 くうはそう言って走り去った。
 これで・・・これでもう一度チャンスが!

――――――――――――――――――――

 PM11:00・・・信久の自宅(一軒屋)付近の路地・・・

 くうは信久の自宅へと走っていた・・・
「わう~~っ!!がんばるです~~っ!!」

 と、そこに1つの影が立ちはだかる。
「がう~~~っ!!このにおいは・・・みゅうです~!!」
 くうが威嚇する。

 宣言通りみゅうが現れた。
「ふーーーーっ!!やっぱりくうのはしるおとだったです!!なにするです!!『かちょう』は『おじさん』のです!!」

 どうやらくうを阻止しようとしているらしい。
 くうとみゅうが睨みあう・・・

「がうっ!!どく(退く)ですっ!!『たいが』は『かちょう』をあいしてるです!!」
「んみゃっ!!『おじさん』は『かちょう』をだいじにしてるです!!『かちょう』もよろこんでるです!!」
「がうぅっ!!『かちょう』は『たいが』にきづいてほしいのです!!」
「んみゃぁっ!!ちがうです!!『おじさん』がすきなのです!!」
 要約するとみゅうは友達である吉岡を優先しているらしい。
 そしてみゅうよりも義理堅いくうは、大我を優先しているらしい。

「がう~~~~っ!!」
「ふーーーーーっ!!」
 まさに一触即発の空気が流れる。

「があああうっ!!」
「ふしゃああっ!!」

 くうとみゅうの取っ組み合いの喧嘩が始まった・・・

 信久の家からは映子の喘ぎ声が漏れていた・・・

――――――――――SIDE 森繁大我――――――――――

 くうが映子さんをペット化しに行った翌朝・・・
 翌日(火曜)・AM5:00・・・
 何も連絡が無い・・・おかしい・・・
 普通ならとっくに連絡があるはずなんだ。
 ご主人様~って言ってくるはずなんだ・・・

 まさか・・・くうに何かがあったんじゃ・・・
 まさかまさか・・・車に撥ねられたり・・・警官に保護されたり・・・
 もしそうだとしたら俺のせいで・・・
 心配になった俺は連絡先を頼りに吉岡係長の家に向かった・・・

 AM8:00・・・信久の自宅付近の路地・・・

 俺の目の前に傷だらけで倒れているくうが居た・・・
 俺が抱え上げるとくうはぐったりとしていた。
「くうっ!!ごめんな!俺のために・・・」
「・・・くぅ~」

 とり合えずコンビニで包帯や絆創膏を買いまくってくうに手当てをする。

 しばらくしてくうが気がついた。

「くぅ~~・・・ごめんです・・・ともだおれです・・・」
 どうやら相手も傷を負っているらしい・・・
 だがとりあえずはくうを手当てしなければ!

「・・・俺が間違っていた・・・俺自身が行くべきだったんだ・・・」
 俺の言葉を聞いたくうは、まっすぐに俺を見つめてきた。
「くぅ・・・だったらくうにかまわず(構わず)いくです!おもいをぶつけるです!!」

 そうだな・・・その通りだ。俺が自分で言わなければ!
 くうに促されて俺は会社に向かった・・・

 AM10:30・・・経理課・・・

 遅刻だ・・・だが構わない・・・なるようになれだ!!

「森繁ぇっ!!大幅な遅刻よ!!何を考えてるの!!このバカ!!お前今年で何年目だと思ってんだ!!学習能力ゼロのバカかお前は!バカ猿!」
 映子さんが俺を叱りつける・・・呼び捨てだから怒りモード突入か。
 だが!今回ばかりは俺も退けない!!

「な、何よ・・・な、何か言いたいことでもあんの!?い、言ってみなさいよ!」
 映子さんが怯んだ・・・俺が真剣だからだ・・・

「俺は!映子さんが好きなんですっ!!浮気したのは俺が悪かった!!でも映子さんが好きなんだ!!失って気づいたんだ!!俺には映子さんが必要なんだ!!」
 周囲がし~んと静まり返った。
 皆が俺達に注目してる・・・そうだ。俺はこれが最後の挑戦なんだ!

「なっ・・・ななななな・・・何をバカなことを言ってるの!!今は仕事中よ!!こんな人前で堂々とよくバカなことを言えるわね!!さっさと仕事しなさい!!バカ!!」
 映子さんが周囲の目を気にして慌てる。

「映子さんっ!!俺は絶対映子さんを幸せにするから!!」
「~~~~~~っ!!」

 -パシィィン!-
 映子さんが俺にビンタした・・・涙ながらに・・・

「バカっ!!今更遅いのよバカっ!!あんた一度だって私を愛してるとか口にしないし!!言いたいことがあっても黙ってるし!!私が話しかけても興味なさそうだし!!かといって自分からは話をしないし!!何を遠慮してんのよ!!今ぐらいの覚悟があるなら堂々と恋人で居なさいよ!!!!バカっ!!」

 そ・・・そういうことだったのか・・・
 俺が相手が課長だと思ってどこかで遠慮してたから・・・
 だから映子さんは寂しかったのか・・・
 だから俺は最近刺激が無いと感じていたのか・・・
 原因は俺にあったんだな。

「あんただって・・・ひっく・・・ひっく・・・あんただって・・・えぐっ・・・ご主人様したときは・・・後先なんか気にしないで・・・積極的だったじゃない・・・ひっく・・・なんで・・・日頃からそのパワーが出せないのよ・・・」
 皆が見る中で課長はわんわんと泣きながら思いを吐き出していた・・・

 PM12:30・・・

 お昼になると映子さんは係長と何やら話しこんでいた。
 そして映子さんが深々と何度も頭を下げていた。
 そして係長はそれを許すようにぽんぽんと背中を叩いていた。
 ??さっき泣いていたことを誤っていたのだろうか?

 と、俺は他人を気にしてる場合じゃなかった!
「麻理ちゃん・・・ごめん・・・もう会えない・・・」
 自分で手を出して自分でふるなんて・・・俺って最低・・・

「いえ・・・さっきの告白、良かったですよ?ですから私・・・頑張って振り向かせますから!」
「・・・え?」
 は、はい?今なんておっしゃいましたか??

「いいですよね?課長への愛が一途なら私に靡かないはずですよね?問題ないですよね?」
 こ、これは・・・迷惑だ!と言うべきなのか?い、いや。俺は靡かないぞ!

「あ、ああ。勿論だ。遠慮なく誘惑してくれ」
 と、いいつつも・・・誘惑されたら負けちゃうかも~
 何か上手いこと言われてしまった気が・・・

 PM5:00・・・

「森繁・・・あんたは反省文を書くこと・・・」

 課長にそう言われて俺は居残りをさせられることになった。
 まあ社会人にもなって遅刻したんだから仕方ない。
 それになんだかすがすがしいし・・・

「さて・・・始めるか・・・」
 課長も何やら書き始めた・・・

「あれ?課長は何で残ってるんですか?」
「・・・あんたのせいよ。あの後仕事にならなかったからその反省文・・・」
 確かに。えんえん(延々)泣いてたからな。

「そ、そうっスか・・・済みませんねぇ・・・」
「ホント・・・あんたにはつくづく迷惑してるわ・・・それから、電話のリダイアルぐらい消しておきなさい。あと洗濯かごに脱いだ服を入れるのも」
 課長が俺をバカにしたように笑みを浮かべた。
「げ・・・それでか・・・」

「でも勇気あるじゃない。私相手に浮気するなんて」
 ん。ちょっと怒ってる・・・もしかして妬いてくれてる?
「ち、ちゃんとけじめつけましたよ!もう絶対しません!映子さん一筋です!」

「・・・ホントかしら。そのたびに今日みたいな恥ずかしいこと言うの?」
 映子さんがまた俺をバカにしたように笑った。

「でも俺はいいもん見れたな~。課長があんな乙女みたいな一面を見せるなんて・・・」
 反撃!うははははっ!顔真っ赤にしてる~!!
「~~っ!!このバカっ!!さっさと書くっ!!」
 いてっ!課長のペンが飛んできた!

 PM7:00・・・

 俺たちは他愛も無い話をしながらようやく書き終えた。
 たかが反省文で2時間とは・・・時の流れは不思議なものだ。
「ふあ~~っ。終わった終わった」

「・・・じゃ、見せて」
 課長が俺の反省文を取り上げる・・・
 そして俺の顎を持ち上げてキスをする・・・
「っ!!?」
「ん・・・」

「よし!じゃあ始めちゃおっか!?」
 課長が悪戯な笑みを浮かべる。

「は、始めるって?な、何を・・・」
「あの時と同じように・・・ね?・・・ちゃんとリードするのよ?」

 課長はスーツを脱いでワイシャツのボタンを外している・・・
 これはまさか・・・

「準備はいい?私のご主人様っ♪」
「は、はいっ!!」

END

 翌年6月・・・
 教会で一組の結婚式が行われました。

 その様子を遠くから2人の少女が眺めていました。
 その2人は変わった少女で、2人とも服装は今風の少女でしたが、一人は猫耳に長い尻尾、もう一人は犬耳にふさふさの尻尾をつけていました。

 猫耳の少女が耳と尻尾をぴょこんと動かしました。
「うみゅっ。めでたしめでたしです。お幸せに~です」
 犬の少女が冷めた目で猫の少女を見ました。
「わうっ?おじさん側についたくせによく言うです~」

「んみゅっ!当然知ってたです!計算通りですっ!」
「わう~。あれからみゅうとくうが仲が悪くなったです。どう見てもみゅうが悪いです!」
「みゅ・・・ごめんです・・・そもそもペット化が解けるものだとは思って無かったです」
「くぅ~。その通りです・・・人それぞれで反応が違っちゃうです。霊力が他人に及ぼす影響がどうのこうのと叢雲(むらくも)たんは言ってたです」
「くぅ。ところで・・・課長を2回もペット化したです?」
「うみゅ?知らないです。1回です~。くうじゃないです?」
「わぅっ。違うです。くうは1回もしてないです」
「うみゅ~。不思議です~」
「わぅっ。人間は謎なのです~」
 さて、これでみゅうとくうのお話はひとまず終わりです。
(ちなみにタイトルのεは「誤り率」として使用しています)

< END >

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