第2話・~亀鑑~
龍正は由紀の半端な行為のおかげで、より性について知りたいと思っていた・・・
そんな中、教師が今日は4分遅れてやってくる。
虐めを止めなかった間抜けな担任・・・しかも都合のいいことに女・・・その先に待ち受けるのは地獄か悪夢か。
(「ライブラリー」発動!)
担任の図書館は、子供のそれとは違ってやや広いようだ。
記憶の量や知識の違い、経験の違いなどがそうさせるようだが。
「今は記憶を探っている時間は無い!強行策だ!」
龍正はとりあえず走り回る。
「何か短時間でこの担任の動きを止めないと!」
とりあえず動きを封じ、それから「調整」したい。
そのころ、現実では担任が混乱していた。
「これは!何が起こってるの!?」
龍正はなるべくゆっくりと喋る。
「初めまして。瀬川遼子先生28歳。敬吾の兄の龍正と申します。以後お見知りおきを」
皆の呆けたような様子に気を取られていた担任・遼子は、そこで初めて龍正に気が付いた。
「あ、敬吾君の・・・」
(何で結城君のお兄さんがここに居るの!?)
「え~っと。まあ、僕がここに居るのはおかしいと思いますよね。では簡単に言いますと・・・これは僕がやりました。まあお察しの通り敬吾への虐めに対する復讐です」
「え?あ、あなたが・・・」
「勿論先生もご存知ですね。敬吾が何度か相談に行ったそうですから。しかし・・・」
(お前は何もしなかった!手を打たなかった!)
「わ、私は!」
「そうですね。対処しようとした。でも人間なんて脆いもんですね。柳川財閥の権力に恐れ、見て見ぬ振りをしていたんですから。笑顔で敬吾に接しながら・・・それを信じた敬吾って馬鹿みたいじゃないですか・・・本当に・・・」
龍正の怒りがこもった視線に、遼子は威圧される。
「違うわ!私本当に!」
(彼には・・・お、お見通しなのね・・・全部・・・・)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「おっと・・・ようやく見つかったか・・・」
「え?何のこと?」
-キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン-
「こっちの事ですよ・・・一時間目は貴女の授業ですよね。ゆっくりお話させていただきます」
すでに30分が経過・・・だが先は長い・・・
遼子は自分のことを責められ、龍正を問い詰める事を忘れて自分をかばっていた。
また、この重々しい空気は授業によるものだと、廊下を通る誰もが信じて疑わなかった。
図書館で龍正が見つけたのは「状態」の本。これは一冊しかない。
心拍数、呼吸数、発汗量など、数値的な現在の情報がせわしなく書き換わっている。
まるで証券取引所のようだ。
総合的なページには「軽い混乱状態」と書かれている。
龍正はこれを「発情」などと書き換えてみるが、やはり互換性が必要なようで、すぐに消えてしまった。
(つまり、何とかしてじわじわと変えていかないと書き換わらないという事か・・・しかしこんな広い図書館を走り回ってたら時間が足りるわけは無い。探すのだけで30分かかったんだぞ!・・・・まて、現実の俺と協力する事は出来ないか?例えば・・・)
更に10分が過ぎた・・・残り35分・・・
「まあ言い訳はもう結構ですよ。虐めの内容も全て知ってますし、結果的にあんたも共犯なんですよ。虐めによって一人死ぬなんて担任として最低ですよね」
痛いところを突かれた遼子は、ついに観念した。ただではすまないと。
「!!わ・・・私は何をすればいいの?」
「何?・・・まあ周りを見ればわかると思うけど、瞬時に記憶を消す力はあるんですよ・・・あんたでも一瞬でね」
「!!そんな・・・」
普通なら信じないだろうが、クラス全員が呆けている現状を見れば信じるしかない。
(今だ!よし!恐怖心が強まった!)
龍正は恐怖心を強く強く徐々に徐々に書き換えていった。
おかげで今、遼子は泣きじゃくって土下座までして詫びている。
「何でもするからぁっ!」
「わかってないなぁ遼子さん。今この状況でどっちが立場上なのよ?言ってみな?」
段々と龍正の口調も変わってきている。
「り、龍正君・・・です・・・」
「・・・様だ」
「!龍正・・様です・・・何でも致しますので・・赦して下さい」
「ふうん。じゃあさ・・・脱いでよ」
「!?ここで?」
そりゃそうだ。誰かが廊下を通るかもしれない。龍正としても見られるとまずい。
だが、屈服させる事に意味があるのだ。
「わかりました・・・」
遼子はコートを脱ぎ、ブラウスに手をかけた。大きなふくらみが目立つ。
「スリーサイズはいくつだ?正直に答えたら許してやる」
遼子は口をわなわなと震わせていたが、観念して喋り始めた。
「・・・86・・・59・・・84です・・・・」
「残念はずれだ!84!64!88だろうが!」
他人が知るはずも無いスリーサイズを言い当てられ戸惑う遼子。
それもそのはず。本人ですら85・63・87と思っていたからだ。
「こんな時まで見栄張ってんじゃねえぞ!その性格がだめだっつってんだろうが!!」
「ど・・・どうして・・・」
龍正は焦っていた・・・残り10分で休み時間に入る。誰かが入ってくるかもしれない。
「約束どうり脱いでもらうわけだが、そんなに見られたくないのだな?」
「え?は、はい!」
「お情けをやる。だったらお前が場所を選べ・・・」
「!」
遼子は迷っていた・・・
(この隙に誰かに助けを・・・でももしばれたら・・・それに・・・他の人に見られないならその方がいいかも・・・)
「第2体育館の準備室なら・・・今日はどのクラスも使わないので・・・」
「わかった。行くぞ・・・もし変な真似したら全生徒の前で屈辱を与えるからな」
遼子は薄いブラウスのまま廊下を歩く。
誰か気付いてくれないかな・・・
「誰かに気付いて欲しいだろ?・・・敬吾もそうだったかもな」
冷たく、軽く言った龍正だったが、確実に遼子は心を痛めていた。
しかし敬吾の事では泣かない・・・これが龍正には癪に障るらしい。
さっきは自分の身を心配して泣いてたのに・・・
準備室に入ると、チャイムが休み時間を告げた。
だが生徒が遊んでいいのは第1体育館のみだ。
準備室と言うのは本当に念のためだろう。
(やっぱり自分が大事か・・・俺には分からん感情だな)
遼子は観念して一息つくと、一気に上下を脱ぎ去った。
「・・・お前俺を馬鹿にしているのか?下着まで取るに決まっているだろう」
「!は・・・はい・・・」
遼子はためらってなかなか脱がない。
「じゃあやっぱり教室で裸をさらしてもらうとするか・・・」
「!!ま、待って!!脱ぎます・・・」
裸になった遼子は真っ赤な顔を背け、右手で恥部を、左手で胸を隠していた。
額からは汗が噴出し、身体をつたう。
その目は泣くのを必死に我慢している。
そんな遼子にムラムラするものを感じた龍正。
(!やばい・・・これが性欲というやつか・・・)
初めてである龍正は激しくそそらされた。
隠しているとは言っても、その胸はより強調され、恥部にはちらりと毛が・・・
「クイズだ。正直に答えられないと、きつ~いお仕置きが待っているぞ」
突然クイズを始めた龍正に遼子はわけが分からない。
「第1問!貴女の性行為はどこまで進んでいる?」
「そ・・・そんな・・・」
「A、まだ処女・・・B、1人でセックスまで・・・C、2人でコスプレセックスまで・・・」
「D、5人目の彼とSMプレイでいたぶられながらアナルセックス」
「!!!!!」(そ、そんな・・・どうして?・・・彼が喋ったの?・・・)
「さあどれ?10・9・8・7・6・5・4・3・」
「・・・D・・・・」
「Dの?」
「ひ・・・酷い・・・もう殺してよ・・・」
ついに遼子は屈辱に耐え切れずに涙を流した。それがまた龍正をそそる。
(子供にここまで弄ばれるくらいなら、死んだ方がマシよ・・・)
「・・・俺はいいけど。本当にいいのか?ほら、自分が死ぬ事を想像してごらん・・・」
龍正は既に遼子に死への恐怖を植えつけていた。
「!嫌っ!怖い!」
「だろ?許してって言って許すんなら敬吾は死んでないさ」
再び遼子は罪悪感を感じる。
(こんなことに耐えられないなんて・・・きっと結城君はもっと酷い目に・・・)
「・・・Dの5人目の、彼と、SMプレイでいたぶられながら・・・アナルセックス」
「正解!凄いね!いろんな意味で」
遼子は羞恥心から両手で顔を覆い、龍正から逸らした。
龍正は同じようなクイズで羞恥心をあおり、一方である操作を続けていた・・・
3時間目が始まったチャイムが聞こえる。
「ラストだ。貴女の今の気持ちは?A、恥ずかしい・・・B、抵抗したい・・・C、死にたい・・・」
「・・・」
「D、実はさっきから恥ずかしい気持ちより性的な快感を得始めていて戸惑っている」
「!!!そんな・・・いやあぁ・・・」
遼子の体は淡い赤に色づき、呼吸も荒く、鼓動も早かった。
それは最初は羞恥心によるもののはずだった・・・が、似た状態であるため、徐々に徐々に誘導されていった・・・
(どうして・・・こんなに・・・気持ちいいの?)
右手は滲み出した愛液を隠す為、強く栓をするように押さえている。
「さあ・・・ラスト問題だ・・・頑張って答えないと・・・オーディエンスする?皆に見られるけど・・・テレホン?電話無いけど・・・フィフティフィフティ?どうせ答えは分かってるから意味無いよね」
「く・・・・・・」
「・・・・Aよ・・・」
「Aね・・・どうだろう・・・」
龍正は遼子の胸に手を伸ばす。
「嫌っ!」
左手だけでは簡単に抵抗は防がれる。それでも防ごうと右手を離した瞬間・・・
-クチュッ-
「っ!!!あッ!」
「糸引いてるじゃん・・・ってことはDだね。興奮してたんじゃん。先生って変態なんだねぇ。不正解だ。罰として・・・」
龍正はズボンを脱ぎ、そそり立つイチモツを指差して言う。
「ヌいてよ。遼子がいいと思う方法で・・・」
遼子の心には、フェラをした時の記憶が鮮明に甦った。
「ああっ!・・・あ・・・」
とどめだ・・・最後の一押し。「激しく発情」
遼子の心で何かが壊れた・・・遠くで休み時間を告げるチャイムが鳴っている・・・
遼子は舌を突き出して貪りついてきた。
「うっ・・・」
アッと言う間に一発。
(これがフェラチオっていうやつか・・・凄い・・・まずい、このままじゃペースが・・・)
初心者にはきつかったようだ。
「ほ、褒美をやろう。ケツをこっちにむけろ」
龍正はバドミントンのラケットを手に取り、グリップを強引にあてがう。
「ちょっとそんなの・・・入ら・・・」
「大丈夫さ。テーピングはしてあるぞ」
「そうじゃなくて大きさ・・・」
-グッ-
「ああっ!やめっ・・・」
「さすがに彼氏と週3でアナルセックスしてるだけあるよなぁ。すんなり入ったぜ。大きさがどうだって?小さすぎるってか」
遼子は墓穴を掘ってしまったようだ。
龍正はどんどん感度を上げて、前後に動かした。
「あっ!アッ!いいっ!」
(どうして・・・どんどん敏感になってく・・・ダメ!これ以上は!)
「これで終いだっ!」
「いっ!・・・・くうぅぅぅっっっ!!!」
-ビクッ、ビクッ-
身体を大きく反らし、イった。息が止まっている。
というよりうまく呼吸が出来ていない。
「?大丈夫なのか?」
龍正が胸に手を置くと、激しい鼓動が感じ取れた。
「っ・・・はあっ!・・・はあっ・・・」
(へぇ。これが達する・・・イくって言うのか)
気を失ったのか、静かな呼吸をしている。
「さて、お前は今日の記憶を忘れてもらおうか」
龍正は担任から今日の記憶を消し去った。
催眠療法だろうとショック療法だろうと調べる事は出来ない。
そんな記憶は元から無いのだから・・・
思い出せない・・・それは不適切な表現だ。
記憶を消す事も、真実の記憶を調べる事も可能な能力。
本人さえ知らない記憶・・・例えば真のスリーサイズなど。
その点ではこの能力を超える力は無いだろう。
「だがさすがに疲れた・・・4時間目もあと15分ほど・・・帰るか」
龍正は体育館の壁側の扉を開き、外へ出た。
「・・・これからは自由か・・・」
外は土砂降りの雨・・・これが何を意味するのか・・・
望まない復讐への敬吾の悲しみ・・・廃人と化した子供達の嘆き・・・これからの波乱・・・
その後、他のクラスの子供達の知らせで、廃人と化した子供達は病院へと送られた。
治療の甲斐も無く、当時の記憶は戻らない。
特に一部の子供は意識すら戻らない。
これから10年遅れで新たな記憶、人生を積み上げていくのだろう。
せめて次はまっとうな人生を、と思う龍正。
行方不明の瀬川教師の捜索も行われ、裸のまま尻にバドミントンのラケットを突っ込んで失神していたのを保護された。同じく病院で事情を聞かれている。
催眠療法などで記憶を探ったりもしたそうだが、その記憶はついに分からなかった。
その後放火犯があの少年であるという証拠も得られ、一連の怪奇現象はその少年が原因であるという説が広まった。勿論、確証は無い。
クラス中がその話題で持ちきりだ。その主役の龍正はこの街を離れていた。
「心を殺す」これがこの先、龍正の運命に大きく関わってくることとなる。
< つづく >