第9話 捕食
「おかしいわね・・・」
「どうしたんですか、先輩?」
「うん、ちょっと、ね・・・」
メイデン・ホワイトのバトル・スーツをメンテナンスしていた蘇我皐月(そがさつき)は、研究員の北条由香里(ほうじょうゆかり)にそう答えた。
メイデン・フォースのバトル・スーツは、特殊な分子を転送しスーツを構築するシステムになっている。
戦闘後は、スーツを分子に再分解し回収するのだがその際、空気中の微量分子を巻き込んでしまう。
このため戦闘後は、その微量分子を除去し、損耗したスーツの分子を補充する、メンテナンスが必要なのだ。
バトル・スーツは皐月の恩師が基礎理論を構築し、その愛弟子である皐月が応用・発展させた技術であるため、バトル・スーツの維持・開発は皐月が一手に担っている。
『しかし、どうしてこの成分が・・・』
その皐月は、心中でそう呟く。
このところメイデン・ホワイトの回収分子だけが、この『微量』分子を大量に含んでいた。
その分子の解析結果が出たのだが、ある成分のみ突出している。
それは妖魔の『体液』-
妖魔との戦闘で体液が飛び散ることは当たり前のことであるが、メイデン・ホワイトのそれは他の戦士達と比較して、ワン・オーダーから場合によっては、ツー・オーダーも異なる値を示しているのだ。
戦闘に直接参加することが少ないメイデン・ホワイトにしては理屈の上からも、考え辛い数値なのだった。
『どうしたものかしら・・・』
メイデン・ホワイトは戦闘に直接参加することが少ないうえ、情報解析・司令が主任務であるために、リソースに余裕を持たせる意味でもバトル・スーツの自動記録の基本設定はオフにしているのだが・・・
『・・・そうね、今度設定を変えてみましょうか』
今度、メイデン・ホワイトの戦闘記録も取った方が良いかもしれない、そう皐月は考えていた。
「ふぅっ・・・もうこんな時間か・・・」
メンテナンスに一区切りがついたところで壁掛け時計を見上げると、時針は午前1時を少し回ったところだった。
周囲を見回すが、自分と由香里以外の姿は既にない。
大学院の研究室の後輩であり、個人的にも特別な関係にある由香里には、いつも付き合わせてしまっている。
カタカタカタ・・・
だが、そのような状況にも由香里は不満一つ言わず、作業に没頭し続けていた。
その後ろ姿を見つめる皐月の瞳に、ある情念の炎が浮かぶ。
カタカタカタ・・・
依然として作業に没頭する由香里の背後に回り込むと皐月は、
ぎゅっ
椅子の背から由香里を抱き締めた。
由香里は皐月に振り向こうとしたが、
「先輩・・・んっ」
そのまま皐月に唇を奪われる。
皐月は舌で由香里の唇をこじ開けると、由香里の舌に己の舌を絡め、唾液を由香里の口内へと流し込んだ。
「んっ、むふぅっ・・・」
由香里はそれを受け容れると積極的に舌を絡め、皐月との濃厚な接吻を堪能する。
皐月と由香里は言わば『恋人』の関係にある。
研究室の先輩と後輩であった時代から、バイセクシュアルである皐月の『愛』を由香里は受け容れてきた。
「・・・ちゅっ・・・んふふふ、由香里の唇はいつも美味しいわ」
由香里から唇を離した皐月は、そう言いながら唇についた唾液を舐め取ると、
チュク
「はぁんっ、せんぱぁいっ!」
由香里のショーツに軽く触れる。
「ふふ、由香里のここ、もうこんなにビチャビチャよ」
由香里の秘所はショーツ越しにも解るほど濡れており、それを軽く押し込むと、皐月の指に愛液の滴が絡んだ。
皐月はそれを指先でニチャニチャと伸ばし、その感触を楽しみながら、
「由香里」
由香里の口に含ませる。
「あむっ、むっ・・・ちゅっ・・・」
乳児が乳を含むように、由香里は皐月の指をしゃぶりながら、己の滴を舌先で味わう。
その姿をうっとりと見つめながら皐月は、
『今日はどんな風に可愛がってあげようかしら』
そう思いを馳せ、自らも秘所を潤ませるのだった。
ビー
「緊急通信?」
研究室内にけたたましいブザー音が鳴り響き、内線電話のランプが明滅する。
無粋な機械音で情事を強制的に中断された皐月は、途端に不機嫌な顔になった。
だが不機嫌ながらも、責任感からかその内線電話に皐月は出ようとする。
「あ、先輩、私が出ます」
内線に出ようとした皐月を制し、由香里は受話器へ走り出した。
「・・・はい・・・はい・・・」
頷きながら二言三言、言葉を交わした由香里は受話器を置くと、
「部長、雪さんからです」
少し緊張した表情でそう、皐月に告げた。
それとともに、皐月も表情を引き締める。
由香里の皐月の呼び名が『先輩』から『部長』に変化した。
それは自分達の出番であることを示す、由香里なりの切り替えなのだった。
「どうしたの?」
「サンプルを採取したので、こちらに向かうそうです」
「サンプルを?わかったわ、貴女も準備して頂戴」
「わかりました」
妖魔の残留物や死体は、対妖魔研究には欠かせない。
通常であればメイデン・フォースの戦闘後、警備部が隠蔽工作を兼ねて回収してくるのだが、呪術的な封印が必要な時や警備部の出動が間に合わない場合は、メイデン・フォースの戦士達が直接回収・転送してくることもあるのだ。
サンプルは腐敗が早く、保存が利かないため、早急に分析する必要がある。
皐月は雪の名にチクリ、とするものを感じたが、先程までの疑念を振り払い、サンプルへの対応を優先させることにした。
「しかし、いつ見ても気色悪いわね」
「そうですね・・・」
くぐもった女達の声が、マスク越しに響く。
白色の防護服を着込んだ皐月達は、『サンプル』と向き合っていた。
P4レベル対応の生物実験室の中には今、皐月、由香里の2人が居る。
今回、雪が回収してきたサンプルはラフレシアのような形状をした、植物型の妖魔だった。
血のように赤い花びらと青い蔦状の触手が、毒々しさを強く感じさせる。
そしてその妖魔の表面は、艶やかにしっとりと濡れていた。
「なんだか新鮮ね・・・ちゃんと死んでるんでしょうね?」
まるで生きているようなその姿に、思わず息を飲みながら、皐月はそう由香里に問い掛ける。
「ええ、雪さんからはそう報告を受けていますが・・・」
死んでいなければ保安上、マニュピレーターによる解剖に回すところなのだが、雪が死んでいる、というのであればまずは間違いはないのだろう。
兎に角、急いで解剖してみよう。
妖魔研究は部外秘であるため、賞賛を浴びることも、その研究成果で富を得ることもない。
この組織に皐月が所属しているのは、未知の生命体に対する興味、その1点のみである。
久しぶりの珍しい検体に、科学者としての知的好奇心を刺激された皐月は、興奮でやや震えつつも、解剖用のメスを手に取った。
その時だった。
「え?」
シュルシュルシュル
驚く間もなく、皐月の手首に青色のツタが巻き付いていた。
見ればそれは、サンプルの中から伸びている。
皐月は慌ててメスを持ち替え、
ザクッ
それを切り落とすと、メスとは反対側の手で由香里の手を掴み、ドア口の滅菌スペースへと駆けだした。
あそこまで行けば、こちらのスペースとの内扉が自動で閉まるはずだ。
そう期待の念を込めて皐月は由香里とともに滅菌スペースへ駆け込んだ。
妖魔は活性がまだ低いのか、ニョロニョロと辺りを探るように、ゆっくりとツタを本体から伸ばしては、周囲の器具に巻き付いている。
これなら逃げ切れる。
それを見た皐月は、そう安堵した。
だが、
「・・・ちょっと、どうしたのよ!」
自動で閉まるはずの内扉は、反応の素振りすら見せない。
そして、閉じることのない内扉に対して、
「・・・駄目です、ロックが開きません!」
外へ続く外扉はロックが解除できない状態にあった。
「どうして、ロックが外れないの!」
ドア口にあるコンソールを懸命に叩く由香里に、皐月はそう苛立ちをぶつけた。
由香里は焦りで頬を紅潮させながらも懸命に入力を続けていたが、液晶モニターが映し出したメッセージに血色を失った。
「・・・外部から、ロックの命令!?」
「外部から?・・・まさか妖魔が!?」
由香里の言葉に、皐月はそう驚愕する。
妖魔は力に勝るが、技術的なことは不得手-
その妖魔が、鉄壁とも言えるネットワークに侵入したかもしれない、その事に皐月は驚愕を隠せない。
「そんな・・・」
コンソールからの操作で何とかロックを外そうとしていた由香里が、そう呟いた。
「どうしたの?」
矢張り、これは妖魔によるものなのだ。
由香里の反応を見た皐月は聞き返しつつも、そう断じる。
だが由香里から返ってきた答えは、想像だにつかないものであった。
「メイデン、ホワイトです・・・」
「・・・!?・・・そんな馬鹿なっ!」
有り得ない由香里の回答に、皐月はそう叫ぶ。
新種の妖魔が何らかの妖術でネットワークを乗っ取った、そのほうがまだ現実的だ。
そう考える皐月は、有り得ない回答を返した由香里の肩を、反射的に掴み、コンソールを覗き込もうとした。
だが、
『皐月先生、由香里さんが仰っていることは本当ですよ』
いつの間にか、生物実験室の遠隔オペレーション室に姿を現したメイデン・ホワイトは、その答えを肯定したのだった。
「雪、貴女何を考えているのっ!早くここを開けて頂戴!」
見ればメイデン・ホワイトのヘルメットの側頭部からコードが延びている。
恐らくそれは情報端末に接続されているのだろう。
その光景が、彼女の言葉が冗談ではないことを雄弁に物語っていた。
ドンッドンッ
「お願い、開けてぇっ!」
由香里は絶望的な状況に半狂乱になりながら、そう外扉を叩き続ける。
だがその扉は、びくともすることはない。
万が一の場合に備えて、この生物実験室は防爆仕様になっており、戦車砲の直撃があってもビクともしない程度、堅牢な構造になっている。
本来であれば皐月達を守るはずのそれは、致命的な結果を彼女達にもたらそうとしていた。
「ひぃっ、助けてっ!」
「由香里っ!」
由香里の足にツタが巻き付き、妖魔は猛烈な勢いで彼女を自分の元に引き寄せる。
ガシャンッ、ガシャン
由香里は実験器具や分析機器にぶつかりながら、床を引きずられてゆく。
ガンッ、ビッ、ビリッ
そしてその途中、倒れた機器の角に防護服がひっかかり鉤裂きに破け、下地ごと由香里のフードが外れてしまった。
それをまるで待っていたかのように、
ブシュゥッ
妖魔は花芯のような部分から、黄色いガスを吹き出し始める。
「ごほっ、げほっ!」
由香里はそれを思い切り吸い込んでしまい、咳き込みながら妖魔の元へ辿り着いた。
「嫌ぁっ!」
キシャァァッ
妖魔は小さな牙がびっしりと生えそろう口をぱっくり開くと、ツタを引いて下半身から由香里を飲み込む。
「・・・由香里っ!」
由香里の叫び声に皐月はそう叫びながら、由香里に向かって走り出した。
だがそれも虚しく、
ズリュッゴリュッ
「ひぎぃっ!」
由香里は妖魔の奥へ奥へと飲み込まれてゆく。
「由香里ぃっ!、由香里っぃ!」
皐月は必死に由香里の手を掴み、妖魔の胎内から彼女を引き摺り出そうとする。
しかし由香里の体はビクともせず、
「い、嫌ぁっ!私の中に、中に入って来ないでぇっ!・・・い、痛いっ、痛いよぉっ!」
妖魔は由香里の肉体を貪り、異質のものへと変えてゆくのだった。
「由香里っ!・・・雪、お願い、もうやめさせて!」
由香里の手を懸命に引きながら皐月は、ガラス窓の向こうの雪にそう叫ぶ。
『大丈夫ですよ、皐月先生・・・もうすぐ終わりますから』
だが雪は涼しげな声でそう答えるだけだ。
「終わるって、何が・・・」
丁度皐月がそう問い返した時、
ズルッ
「きゃぁっ!?」
突然手応えが無くなり、由香里が妖魔から引き出された。
皐月はそれに喜色を浮かべ、由香里に向き直るが、
「・・・由香里っ!・・・えっ!?」
由香里の身に生じた異変に言葉を詰まらせる。
由香里の下半身は、血管が緑の蔦に置き換わったように変質し、変化のない上半身とのコントラストが変容ぶりを際だたせていた。
その姿は最早人間ではなく、妖魔そのものとすら言える。
そしてその変容した由香里は、
「せ、せんぱぁい・・・・」
ニュルニュル・・・
秘所からビチャッ、ビチャッと粘液を吐き出しつつ、茎のような触手を生やし、皐月に覆い被さってきた。
その意図を察し皐月は、
「やめて、由香里・・・」
腕で由香里を遮ろうとする。
だが、
「その半妖、いえ『由香里さん』でしたね・・・餌は牝の愛液なんですよ。どうもお腹がすいているみたいですね・・・ふふふ、餌をあげないと、餓死しちゃうかもしれませんよ?」
雪のその言葉に、抵抗を止めた。
『餓死』、という言葉が妙な重さを感じる。
「うぅっ、せんぱい・・・」
それに呼応するように、僅かに理性が残った由香里は、触手を皐月に押しつけながら苦悶の表情を見せた。
「いいのよ、由香里・・・ちょっと待って」
皐月は意を決し、防護服を脱ぎにかかる。
ビリッ、ジィッッ・・・
手袋を固定するテープを取り除くと、防護服のファスナーを降ろし、スポーツ・ブラとショーツだけの姿になる。
防護服を着る時は動きやすいように、いつも服は身に着けていない。
「うっ・・・」
防護服を脱ぐと、青臭い香りが鼻腔を刺した。
皐月は思わず、手で鼻を押さえにかかる。
だが嗅覚とは裏腹に、
じわっ
秘所は熱を帯びてゆき、みるみるうちに皐月のショーツの中心は湿ってゆく。
『催淫ガス・・・『餌』を吐き出させる、ってわけね』
皐月はそう断じ、鼻から手を離した。
「うぅっ・・・」
「来て、由香里」
そう言いながら皐月は手を広げ、優しい笑顔を浮かべながら、呻き続ける由香里を迎え入れる。
少しでも由香里の罪悪感を和らげたい、そう考えたからだ。
「せんぱい・・・」
由香里はそう呟くと、再び皐月に覆い被さり、皐月の臀部を撫で回す。
「んっ・・・」
手のひんやりとした感覚は、いつもの由香里のものだ。
微妙なタッチに悶えながらも、人間の部分がしっかり残っていることに、皐月は安堵した。
「せんぱい、もうだめ・・・がまんできない・・・」
暫く臀部を撫で回していた由香里だったが、そう苦しそうに言うと、
シュッ
皐月のショーツに指をかけ、下へとずらす。
露わになった皐月の秘所は、既に愛液でビショビショになっていた。
そこへ、
「ん・・・」
由香里は触手を宛がい、
ニュルッニュルッ
前後へ揺らす。
「んっ、はぁっ・・・」
その感覚に、由香里と双頭バイブで繋がった時の事を思い出し、皐月の性感は一層と高まった。
性感が高められたのは皐月だけではない。
「ふーっ、ふーっ・・・」
クチュックチュッ
由香里は獣のように荒い息をつきながら、腰の動きを早めてゆく。
そして、
「ふーっ、ふーっ・・・う゛ぅーっ!」
唸り声を上げたかと思うと、
ズブズブズブッ!
腰を突き出し、皐月の秘孔へ剛直を突き立てた。
「ん゛っ・・・深いぃっ!」
「ふーっ、ふーっ!」
グチュッグチュッ
由香里は恍惚に満ちた表情で本能の赴くまま、溢れるように湧き出す皐月の愛液を肉棒から吸収し、『恋人』を蹂躙する。
今彼女に理性の光はなく、下等な妖魔の下僕として『空腹』を満たすために、思い人の肉を貪るのだった。
武装を解除し、ボディー・スーツのみの姿になった雪は窓越しに二人の交合を見て、
「うふふふ、あんなにがっついて・・・正に獣ね・・・んっ、ふぅっ」
左手を胸に、右手を秘所に差し入れ自慰を始めた。
クチュクチュ
既に彼女の胸の突起は痛いほどに勃ち、秘所はしとどに濡れている。
「んっ、はぁんっ・・・邪水晶様ぁ、淫亀様ぁ・・・」
雪は、邪水晶と淫亀に前後の孔を抉られる己の様を妄想し、悦楽に耽る。
その瞳には、皐月と由香里が、獣欲のまま互いを貪る様が映っていた。
「すーっ、すーっ・・・」
皐月から生きるための養分を摂取した由香里は、絶頂と共に眠りについていた。
その安らかな寝顔を見つめながら皐月は、由香里の頬を撫でる。
「ふぅ・・・」
落ち着きを取り戻した皐月は、解れた髪を直しながら、
「それで、私達をどうする積もりなの?」
努めて冷静に、雪にそう尋ねた。
『皐月先生には我々の仲間、邪界の下僕になって頂きます』
その問いに雪はそう、短く答える。
『なるほど、やはり、ね・・・』
雪の振る舞いを見れば、或る程度予想できた答えだ。
「・・・いいわ。下僕にでも何にでもなってあげる。だから、私と由香里をここから出して頂戴」
皐月は降参した、そうジェスチャーを送るように、両手を挙げて雪にそう答える。
『ふふふ、そんなに慌てないでください。上辺だけ仲間になってもらっても意味がありませんから・・・皐月先生には身も心も下僕になって頂かないと』
「・・・そんな簡単に人の心を変えられるものかしら?」
皐月は勝ち気な眼差しで、窓の向こうの雪を睨み付ける。
『さあ、どうでしょうか・・・そうそう、言い忘れていましたが、由香里さんの体はこのまま何もしなければ、一月ほどで朽ち果てます』
だが雪はそれを軽く受け流すと、聞き捨てならぬ言葉を口にした。
「一月って、どういうことなのっ!?」
その言葉に、平静を装っていた皐月は色を失った。
しかし雪はそんな皐月とは対照的に、
『もともとその妖魔、【妖花】(ようか)は、生物を取り込んで改造し、自分の餌を集めさせる習性があるんです。そして最後には改造した生物ごと養分として取り込む・・・ただ、無尽蔵に下僕を増やし過ぎると餌場を壊してしまいますから、一月だけしか寿命を与えないんです』
そう、事務的に由香里の状況を説明するのだった。
「そんな・・・何か手はないの?」
悲嘆に暮れた表情で皐月は、そう雪に尋ねた。
『ありません・・・ですから皐月先生自身が、その方法を探るんです』
「私が?」
何故そのようなことをさせるのか?
彼女達の意図が解らない皐月は困惑する。
だが、
『賭をしましょう、先生。この一月の間に、由香里さんを生き長らえさせる方法を見つけられたら、皐月先生の勝ち。私達はもう手出ししません・・・どうなさいますか、皐月先生?』
雪のその言葉に皐月は確信した。
間違いなく、これは罠だ。
だが今の自分に選択の余地はない。
「わかったわ・・・その賭、乗りましょう。それで、条件は?」
『流石は皐月先生、物分かりが良くて助かります。ルールは一つだけです。私達とこの事を口外しないこと・・・もし口外すれば、由香里さんは妖花の餌 になるだけです。それに、邪界の下僕は私だけとは限りませんよ・・・』
雪がこんな大胆な策に出るのだ。
当然、組織の中に彼女以外の裏切り者がいてもおかしくはない。
「・・・わかったわ」
皐月が溜息混じりそう答えるのと時を同じくして、
ピー
間抜けな音を立て、扉のロックが外れた。
全ては手遅れだと言うのに-
皐月は恨めしい表情で扉の方を見つめるのだった。
2日目-
「はぁっ、はぁっ・・・」
皐月は荒く息をつきながら、下着に足を通す。
由香里に『餌』を与えるため、己の身を差し出したのだ。
「済みません、先輩・・・」
その皐月に、由香里が俯きながら弱々しい声で謝罪する。
『餌』を与えると暫くの間は、人間としての理性を取り戻すようだ。
そのことに皐月は、一筋の光明を見出した気がした。
「いいのよ、由香里。私達の仲じゃない」
チュッ
皐月は、由香里の心を紛らわそうと、彼女の唇に軽いキスをする。
それに由香里は、僅かに頬を綻ばせた。
生物実験室は特別実験のため当面、皐月と由香里以外の立ち入りを禁止する、との措置を取った。
生物関連では元々、皐月と由香里が主担当であったことが幸いし、他の研究員から異論が出ることもなかった。
これも奴らの計算のうちなのだろうか?
そう思うと、心が重くなる。
「ここまで進行してるのか・・・」
CTや理化学検査の結果、由香里の妖魔化は内臓にまで達しており、外科的な手法は取り得ないようだ。
それならば、まずは投薬に頼るしかない。
しかし-
皐月はちらり、と椅子に腰掛ける由香里の顔を窺い見た。
その表情には、不安の色が浮かんでいる。
彼女に投与する薬の候補はいくつか思いついている。
だが、細胞やマウスに注射するのとはわけが違うのだ。
自分が直接投薬していいものか-
この状況においても皐月は、そう躊躇いを感じていた。
プシュッ
「「え?」」
その時、何の前触れもなく、扉が開いた。
皐月と由香里は驚きながらも、扉に視線を向ける。
その視線の先には、
「礼菜!?」
白衣に身を包んだ礼菜の姿があった。
「礼菜、貴女も・・・」
雪の言葉通り、裏切り者は一人ではなかった。
それも組織の上層にまで食い込んでいる、その事実に皐月は愕然とする。
だが、礼菜はあくまで穏やかに、
「ええ、淫虎様-貴女には、『雪』って言ったほうが解りやすいかしら・・・あのお方から、医学的なサポートをするように仰せつかったの。人間への医療行為については私がするから・・・どう、安心した?ふふふ・・・」
そう皐月に笑いかけたのだった。
「ええ、心強いわ・・・投薬を手伝ってくれるの?」
だが気丈にも、皐月はそう答える。
「ふふ、流石皐月ね・・・そうよ。それに必要とあらば、手術だって手伝ってあげるわ」
それに対し、礼菜はどこか満足気に、そう応じるのだった。
「今は投薬だけでいいわ・・・それじゃあ、この薬を由香里に打ってくれる?」
それに皐月は不快なものを感じ、薬瓶を礼菜に押しつけると再びモニターに目を落としたのだった。
3日目-
「私に、注射を?」
「ええ、昨日今日と体が敏感になっているでしょう?」
礼菜は現れるなり、皐月に注射を勧めてきた。
確かに由香里に抱かれている時、感じ易くなっている気がする。
「どういうことなの?」
「この妖魔、いえ由香里さんの出す粘液は、媚薬効果の他に中毒性もあるの・・・餌を得やすくするためにね。彼女のSEX奴隷になりたくないのなら、この抗体を打ちなさい」
そう言うと礼菜は、小さな小瓶を皐月に見せた。
『用意がいいこと・・・』
そう皐月は心中で舌を鳴らす。
事ある度に、自分が彼女達の掌中であることを見せつけられるのは、気分が良いものではない。
しかしここは、従わざるを得ないだろう。
「・・・わかったわ。お願い」
皐月はそう言うと、白衣の袖を捲り、腕を礼菜に差し出した。
10日目-
「・・・くそっ!」
ダンッ!
皐月は検査結果が映し出されたモニターを見つめながら、机を叩いた。
モニターが示す数値は、明らかな状況の悪化を示唆している。
「う゛ーっ、う゛ーっ・・・」
由香里はそう呻きながら皐月ににじり寄ると、
ピチャピチャ
椅子の下からショーツ越しに、皐月の秘所を舐め上げる。
「んっ・・・由香里・・・ごめんなさい、ちょっと待ってくれるかしら」
愛液を啜り取ろうとする由香里の頭を撫でながら、皐月はそう諭した。
「う゛ーっ、うぅっ・・・せんぱい、ごめん、なさい」
すると、由香里はそう謝罪し、のそのそと椅子の下から退くのだった。
由香里が理性を失う時間は徐々に長く、そのスパンは短くなり始めていた。
確実に妖魔化が進行している-
そのことに、皐月は焦りを感じていた。
これまでの研究成果から得られた抗癌剤や治療薬を次々と礼菜の助けを得て投与してきたが、効果は極めて限定的だ。
どうすれば-
皐月は思案に暮れ、頭を抱えた。
その時、茶色の試薬瓶の一つが目に飛び込んできた。
『E-03』
その試薬瓶にはそう手書きのラベルが貼られている。
『E-03』-
それは妖魔の細胞から抽出した試薬。
妖魔の驚異的な回復力を研究する過程で産み出されたものだ。
マウス実験を行い、その結果を得ている。
しかし、
100%の確率で細胞を活性化し、著しい細胞再生能力の向上を認めるが、20%の確率で妖魔化を生じさせてしまう-
それがこの試薬の実験結果だった。
由香里の中に残る人間の細胞に、この試薬を投与すればもしや-
そう考えた皐月は、その試薬瓶に手を伸ばそうとした。
「駄目よ、リスクが大きすぎる・・・」
だが、そう思い直し、伸ばしかけた手を引っ込める。
由香里は、既に一部が妖魔化しているのだ。
この試薬の投与が、その部分に影響を及ぼす可能性は十分に考え得る。
それに妖魔化を抑制する手段がないから自分は悩んでいたのではないか-
冷静に考えてみれば、自己矛盾もいいところだ。
そう考えた皐月は頭を振って、馬鹿な考えを振り払うと再び、椅子に座り直した。
ガタンッ!
「う゛ーっ!う゛ーっ!」
「由香里っ!」
皐月が椅子に座るのと時を同じくして、由香里が突然苦しみ始めた。
「由香里、気をしっかり持って!」
皐月は由香里を抱き締めそう励ますが、苦しみが収まる気配はない。
それどころか、
「う゛うぅっ!」
ビクンビクン
由香里は皐月の腕の中で痙攣し始める。
「由香里、由香里ぃっ!」
皐月は必死にそう呼び掛けるが、症状は悪化の一途を辿ってゆく。
「どうしたら・・・」
皐月は悲嘆に暮れながらも、この状況を打破する手段がないか、室内に視線を巡らせた。
「!!」
その時、先程の試薬瓶が皐月の視界に入る。
皐月は由香里を床に寝かせると薬品庫に駆け寄り、その小瓶を握り締める。
すると皐月は、由香里に向き直り、血色を失いつつある彼女の顔色を見た。
『早く、早く対処しなきゃ・・・!』
再び視線を巡らし、礼菜が置いていった注射器を見つけ針を小瓶の中に漬けると、シリンダーを引いた。
この状況下で礼菜を呼んでいる余裕はない。
自分が由香里を助けるのだ。
そう決意した皐月は由香里のもとに戻り、
「由香里、我慢してね」
「う゛ーっ、う゛ーっ・・・」
由香里の腕に、震える手で注射器を突き立てると、恐る恐るシリンダーを押し込んでゆく。
・・・チュッ
全ての薬液を由香里の体内に送り込んだ皐月は、静かに注射器を由香里の腕から引き抜いた。
すると、
「う゛ーっ・・・」
由香里は落ち着きを取り戻し、やがて、
「・・・すーっ、すーっ・・・」
安らかな寝息を立て始めた。
「・・・成功、したみたいね」
ほっと安堵の溜息をついた皐月は、ぺたん、と緊張した体の力を抜くと、安らかな寝顔を見せる由香里の頭をそっと撫でる。
由香里の顔には血色も戻り始め、腕の中から確かな生気を感じる。
私の手で由香里を助けることができた-
皐月はそのことに、確かな達成感を感じていた。
12日目-
「・・・やった、やったわ!」
由香里の検査結果を映し出したモニターを見ていた皐月は文字通り、椅子から飛び上がらんばかりに狂喜する。
モニターに映し出された数値は、由香里の中の人間の細胞が活性化され、妖魔化が抑制されていることを示していた。
「先輩、有り難う御座いました・・・」
由香里は人としての理性を取り戻し、微笑みながらそう礼を皐月に述べた。
だが微笑みながらも、その表情はどこか複雑だ。
以前『E-03』のヒト細胞実験を行おう、と提案した皐月に、猛然と反対したのは由香里だったからだ。
マウス実験で妖魔化が見られる以上、ヒト細胞実験は結果が予想できず危険だ、というのが表向きの反対意見だった。
だが本音としては、人類の敵である妖魔そのものを人間の一部に投与する、そのことに抵抗を感じたからだ。
それが自分に投与され、救われた-
その事に、素直に喜べない自分がいる。
しかし、皐月の喜びようを見ていると、それに水を差す気分にはなれないでいた。
自分を救ってくれたことは事実なのだから。
「由香里、気分はどう?」
上機嫌の皐月は由香里の心中など知らず、そう笑顔で尋ねる。
「ええ、気分は良いで、うっ・・・」
由香里もそれに笑顔で答えようとしたが、体に感じた違和感に、腹を押さえて蹲った。
「どうしたの、由香里!?」
それに皐月は慌てて由香里に詰め寄るが、
「先輩、あの・・・」
そう言い淀む、由香里の秘所には、
ムク
逞しく勃起した触手がそそり立っていたのだった。
「これは、あの・・・」
そう言いながら羞恥に頬を染める由香里。
「くすっ、『お腹がすいた』のね・・・いいわ、『食事』にしましょう」
それに皐月は微笑みながら、優しく由香里の肉茎を手の中に包みこむと、その暖かさを確かめるように握り締めた。
15日目-
「せんぱい、もっとぉ・・・」
「由香里、ちょっと休ませて・・・」
ニュル
更なる快楽を求めて腰を振ろうとする由香里を制し肉茎を引き抜くと、皐月は床に横たわった。
由香里の吐き出した粘液で、皐月の下半身はビチャビチャに濡れている。
由香里の細胞の活性化には成功したもののその反動か、『食欲』が旺盛になり過ぎてしまったのだった。
皐月が日に1回、己の体を与えるだけでは、由香里は満足できない体になっている。
E-03を投与した翌日から『食事の量』が増加し、昨日からは、その増加した量で日に2回程度、体を与えなくては満足できない。
今日は朝から体を与えたのだが、渇望する『量』も、昨日に比べて劇的に増加しているようだ。
「まずいわ・・・」
由香里の細胞片の分析結果を見た皐月は、そう呟き、眉間を抑えた。
昨日から、細胞の活性度を示す数値が急激に低下している。
十分な『餌』を与えないことによるものによることは想像に難くない。
ストレスによるものか、それとも『餌』の絶対量が足りないのか。
いずれにせよねこのままでは由香里は・・・
取り敢えず餌を与えたことで落ち着いたのか、大人しく解剖台の一つで眠る由香里を見ながら皐月は思案に暮れる。
暫く苦悶の表情を浮かべていた皐月だが、意を決すると、机上の受話器を取り上げ、ある番号をダイヤルした。
「全く、あのタコ課長・・・」
進藤祐子(しんどうゆうこ)は残業を命じた上司に悪態をつきながら、家路を急いでいた。
帰宅間際に企画書の提出を命じられ、結局終電間際まで足止めを食ってしまった。
「これだから嫌だったのに・・・」
祐子は目の前の光景を見つめると、大きな溜息をついた。
今彼女の眼前には、長いトタン板の壁が続いている。
数ヶ月前、この壁の向こうにあった工場が潰れてしまい、今は灯りさえまばらだ。
それに通勤時間であればまだ多少の人通りがあるのだが、このような時間では人通りなどあるはずもない。
「気味が悪いけど仕方がない、か・・・」
本来であればこのような道は避けたいところだが、これ以外のルートは大幅な遠回りとなる。
兎に角ここは早く通り過ぎたい-
その一心で、ヒールの靴音を響かせながら、その歩み早めた。
「あれ?」
丁度道程の半ば程まで来た時、少し先の街灯の下に、異様な装束を纏った何者かが立っているのに気付いた。
「・・・コスプレ?」
それは子供の頃に見た、アニメのキャラクターのような出で立ちをしている。
顔は長い耳のようなものが突き出たヘルメットで見ることはできないが、体のラインから、スタイルの良い女性であることは解る。
スポットライトを浴びるように照らし出されたその『彼女』は、じっと祐子の方を見つめているのだった。
「ちょっと、何よ・・・・」
不気味なものを感じた祐子は、そう言って踵を返そうとする。
ヒュンッ
「え?」
だが風を切り裂くような音とともに、自分の近くに何かの気配が迫るのを感じるのと同時に、
プシュッ
「うっ!?」
顔面に何かが吹き付けられた。
それとともに、急速に意識が薄れてゆく。
「ごめんなさい。でも、貴女が必要なの・・・『餌』としてね。ふふふ・・・」
若い女性の声がそう言うのを聞いたのを最後に、祐子は意識を失った。
『ん・・・む・・・』
体の裏側に感じる冷たい感覚に、祐子は目を覚ます。
何者かに殴られたかのように、頭が痛い。
『全く何よ・・・』
そう言って体を起こそうとする祐子。
だが、それが声になることも、起き上がることもできなかった。
その途端、意識を失う直前の記憶も蘇り、祐子はパニック状態に陥った。
「ふぐーっ、ふぐーっ!」
両手両足を縛られ、猿轡を噛まされたうえにマスク、そしてヘッドホンまで被された祐子は、声ならぬ叫びを発しながら、不自由な四肢を動かし、その窮状を脱しようと試みる。
だが手足に金属質のものが当たり痛みを感じるだけで、体は思うように動かない。
「・・・」
そんな祐子を皐月は、苦痛に満ちた表情で見つめていた。
祐子は分娩台のような解剖台に頭部を除いて、全裸で拘束されている。
由香里の『餌』の供給源として働いてもらうためだ。
由香里に治療の目途が立った際には、彼女を解放する積もりでいる。
だからそれまでは、皐月達の正体を明かすわけにはいかない。
それに、彼女はあくまで皐月を休ませるための存在。
自分の体に支障が無い限り、自分が由香里の相手をするのだ。
目を背けたいほどの罪悪感に苛まれつつも、皐月はそう考えることでこの状況を、無理にでも割り切ろうとしていた。
「せんぱい・・・」
『空腹』で理性を失いかけている由香里だが、この状況に、不安と罪悪感を感じぜずにはいられないようだ。
「いいのよ、余り深く考えないで・・・彼女はアルバイトなの。だから貴女は何も気にしなくていいの・・・ほら、いらっしゃい」
皐月は立ち尽くす由香里の手を取ると、分娩台の前に由香里を立たせ、勃起する触手を掴んだ。
「あっ、はぁんっ・・・」
そしてそれを祐子の秘所に擦りつける。
「はぁんっ、はぁっ・・・はーっ・・・」
忽ちのうちに、由香里の表情は牝のものへと変じ、口の端から涎を垂らし始めた。
今の彼女の理性は脆く、『空腹』に逆らう力はない。
やがて、
「・・・はぁーっ、もうがまんできないよぉ・・・はぅぅっ!」
そう叫ぶと、祐子の秘所に挿入した。
「!?」
グチュッグチュッ
「はぁぁっ、きもちいいよぉっ!」
「むごっ、むごぉっ!」
お預けを食らっていた獣のように由香里は、祐子の肉体をひたすら貪り食らう。
「・・・」
由香里の嬌声と祐子のくぐもった悲鳴が響く中、皐月はただ顔を伏せるだけだった。
20日目-
「はーっ、はーっ」
「はぁんっ、もっと、もっと深く突いてぇっ!」
グチュッグチュッグチュッ
犬のような交尾を続ける由香里と祐子。
礼菜に予防接種を頼んだものの効き目が無かったのか祐子は、由香里のSEX奴隷となってしまっていた。
今では、逃げる可能性もなくなったため、枷もマスクも全て外してある。
その祐子は自由になった手足を使って由香里に抱きつき、より深い悦楽を得ようとしているのだった。
その二人の牝の姿を、皐月は苦々しげに見つめる。
これではもう、祐子を元の生活に戻すことは出来ない。
彼女にはここで過ごしてもらうしかないだろう。
これはもう仕方のないことなのだ。
「どうしたらいいの・・・」
その一方で、皐月は苦悩の日々を過ごしていた。
E-03の投与により細胞全体の活性化には成功したものの、妖魔の本能の抑制まではできないでいる。
由香里の生態と細胞を観察して解ったことだが、『空腹時』はヒト細胞の活性が極度に低下してしまう。
その結果、人としての理性が消滅し、妖魔の下僕としての本能に支配されてしまうのだ。
両刃の剣-
その言葉が皐月に重くのしかかる。
さらに悪いことに、強力な快楽と理性の揺り戻しを繰り返した結果、由香里の精神に歪みが生じ始めていた。
「んふふふ、ちんぽきもちいいのぉ・・・はーっ、はぁーっ・・・」
このままでは肉体以前に、由香里の人としての精神が崩壊してしまう可能性が高い。
だが、E-03以外に有効な手だては今のところ思いつかないし、他の手段を取るにしても時間が不足している。
由香里の嬌声を聞きながら、皐月は頭を抱えた。
「どうやら、お困りのようね」
「!!」
いつの間にか礼菜が皐月の傍らに立ち、微笑みながら見下ろしていた。
考え込んでいたせいか、彼女の気配に気付くことがなかった。
だがそれ以上に、その余裕の態度が癪に障る。
「礼菜・・・貴女だったら、この状況をどうにかできると言うの?」
皐月は、思わずそう吐き捨てた。
「いいえ、私ではどうにもできないわ・・・貴女、私達の主にお会いしてみる気はない?」
「貴女の、主?」
思わぬ礼菜の提案に、そう言って皐月は彼女の顔を見返した。
相変わらず余裕の表情を見せているが、その奥の真意は測ることができない。
「ええ、『我々の』主・・・あのお方だったら、解決する手段をお持ちかもしれないわ」
皐月の考えを見透かしたように、礼菜はそう答えると、再びその顔に微笑を湛えたのだった。
礼菜に連れてこられたのは東京郊外の、打ち棄てられた社。
鬱蒼とした鎮守の森が宵闇をより深くし、陰鬱な空気を濃厚なものにしている。
ジャリ
「うっ・・・」
皐月は境内に入るなり、思わず口元を手で押さえた。
この社の中には、濃密な邪気が満ち溢れていた。
「遅かったですね」
「雪・・・」
朽ちかけた石灯籠に身を預けていた雪が、そう感情のこもらない言葉で、皐月達を出迎えた。
巫女装束に身を固めた彼女の前の参道には、禍々しい魔法陣が描かれている。
霊力が皆無に等しい皐月が邪界へ渡るには、妖魔に取り込まれでもしない限り、それなりの儀式が必要なのだ。
「それでは始めましょうか」
シャン
「・・・」
鈴を持った雪は禁忌の呪を唱えながら、神楽を舞始めた。
ザザザ
それにあわせて、生ぬるい風が吹き、葉鳴りの音が一層大きくなる。
シャン
「うぐっ・・・」
それとともに、邪気は息もできぬほどに濃度を増してゆく。
パァァッ
やがて、魔法陣が青白く輝きだし、
ズズズズズ・・・
妖魔が魔法陣の中からその身を現しはじめる。
邪気で霞む視界の中、皐月はその姿を凝視していた。
漆黒の羽に、整った顔・・・魔法陣から産み出されるように、その妖魔は形を取り始める。
恐ろしいながらもその美しい姿に、皐月は思わず息を飲んだ。
やがて妖魔は魔法陣からその身全てを現した。
それと同時に雪は舞をやめ、
「・・・邪水晶様、ようこそおいでくださいました」
礼菜とともに膝を折り、その妖魔に臣下の礼を取ったのだった。
「ふふふ、淫虎、ご苦労様・・・貴女が蘇我皐月ね」
そう言って邪水晶と呼ばれた妖魔は魔法陣から歩み出すと、皐月の前までやってくる。
その妖艶な姿と圧倒的な邪気に、皐月は気圧されるが、
「貴女がこの連中の首魁ね・・・お招き頂き有り難う、というところかしら?」
半ば掠れる声で、どうにかそう言い返す。
邪水晶はその切り返しに、
「ふふふ、気丈な女は好きよ・・・手折り甲斐があって」
そう、凄みのある笑顔で答えると、皐月の頬を撫でた。
「!!」
それに皐月は、恐怖で動くことができない。
そんな皐月の姿に、邪水晶は微笑むと、
「お前に私の『印』を与えてやるわ・・・それで邪界に渡ることができるようになる・・・さあ、私を受け容れなさい」
そう言って皐月を抱き締め、
「むっ、ちゅっ」
皐月の唇を徐に奪う。
そしてそのまま、唾液を皐月の喉奥へと大量に流し込んだ。
「んっ、ぐっ!」
皐月は咳き込むこともできず、ただそれを嚥下してゆく。
苦しい。
窒息しそうな状況下では、それしか感じることはできずにいた。
だが、
ドクン
突如として、それとは別の感覚が皐月の中に生まれる。
熱い。
下腹部から灼けるような熱と、秘所が潤む感覚が、皐月を襲う。
「ちゅっ、ちゅぅっ」
邪水晶が皐月の唇を吸い、舌を捏ねるだけで、電撃のような快楽が皐月の背を走った。
「ぷはっ・・・」
それを見越したように、邪水晶は皐月から唇を離す。
「貴女、私に、何を・・・」
皐月は邪水晶にそう問いただそうとしたが、
「ふぅっ」
「ひゃうんっ!?」
邪水晶に息を吹きかけられただけで、軽い絶頂に達してしまうのだった。
「ふふふ、準備はいいようね・・・今度は力を抜くのよ・・・さもないと、裂けちゃうから」
邪水晶は皐月のその反応に満足気な表情を浮かべると、皐月の秘所にイチモツを当て、
ズブズブズブッ
一気に皐月を貫いた。
「・・・がっ、はぁっ!!」
膣口を押し広げ、膣内を蹂躙する凶器の暴力に、皐月は組み伏せられる。
目には火花が散り、肺からは空気が押し出され、口からは、
「ひゅー、ひゅー」
と息を吐き出すことしかできない。
ズグッズグッ
性交と言う名の虐待、そう表現したほうが良い状況であったが、
ドクン
皐月の中で一つ、スイッチが切り替わると、
「・・・イヤ、何コレ、何コレぇっ!」
由香里との性交とですら感じ得なかった快楽に、皐月は悶絶する。
「ふふふ、私の唾液の味はどう?・・・少しは私も楽しませて頂戴」
ズチュッズチュッ
邪水晶の唾液による強力な媚薬効果で潤んだ皐月の秘所を、邪水晶は容赦なく突き上げた。
「あっ、はぁっ、はぁぁっ!」
それに皐月の視界と思考がバチバチとスパークする。
邪水晶が数度突き上げただけで、
「ひゃぐっ、ひぐぅっ!」
性感の限界に達した皐月は、鼻水と涎を垂らしながら、全てを邪水晶に委ねるだけの木偶人形になってしまった。
「もうお終い?仕方ないわね、今回はこれが目的ではないし・・・そらっ、私の『印』をあげるわっ」
その皐月の様子に邪水晶はピッチを早め、
ビュルッビュルッビュルッ!
皐月の子宮深くへ激しく射精する。
「ぎゃはぁっ、ひゃぁっ!?」
それに皐月はビクビクと体を震わせ、白目を剥いて悶絶した。
ポウッ
それと同時に、皐月の下腹部に、黒水晶の文様が浮かんだ。
「ふふふ、それでは行きましょうか、我が世界へ・・・・」
邪水晶はそう言うと皐月と繋がったまま、再び魔法陣の中へと姿を消したのだった。
「・・・起きなさい」
「ん、むぅ・・・」
女の声に、皐月は目を覚ました。
目を開いた先には、先程自分を犯した邪水晶と、それに傅く雪の姿があった。
「ここは・・・」
皐月が連れてこられた部屋は、大きな穴蔵のような部屋であった。
その部屋の中には、見たこともない妖魔の標本や、妖しげな薬品が所狭しと並べられている。
そのどれもが目を惹き思わず、前のめりになる皐月。
「ふふふ、興味があるようね」
椅子に座り、鎖を握る邪水晶は、皐月のその姿にそう微笑みかける。
「そうでもないわ・・・」
皐月は努めて、そう無関心を装うが、サンプルや機材に目線が行くことを止めることができない。
理性が警鐘を鳴らしながらも、皐月の中の知的好奇心が、それを上回るのだった。
「ふふふ、無理しなくてもいいのよ・・・貴女にこの研究室を任せるわ。研究用のサンプル、機材、何を使ってもいい。何か用があれば、この奴隷・・・イツキを使うといいわ」
そう言うと邪水晶は手にした鎖を引き、『イツキ』という名の女奴隷を皐月の眼前に立たせる。
その首輪に鎖を繋がれた女奴隷は、額を妖魔に寄生され、虚ろな目をしていた。
着衣は殆ど隠すところのない下穿きのみで、胸の大きさに不似合いな大きさの乳首を曝している。
恐らく、妖魔によって邪界に引きずり込まれた、女性のなれの果てなのだろう。
皐月はイツキに対する憐憫の情よりも、魅力的な提案に対する研究者としての好奇心が先に立ち、思わず、
ゴクリ
と唾を飲んだが辛うじて、
「どういう魂胆なの・・・」
そう、声を絞り出すことができた。
「雪から貴女が手詰まりになっている、と聞いて、手助けしてあげようと思ったの・・・ふふふ、この答えでは不満かしら?」
そう言うと邪水晶は、皐月の反応を窺うように、余裕の表情で頬杖をついた。
その人を食った、そして研究者としての自分を侮辱する答えに皐月は、ぎゅっと拳を握り締める。
しかし、彼女の言うとおり、由香里の処置は手詰まりの状況にあるのだ。
ここにある機材やサンプルを使えば、その状況を打破することができるかもしれない。
それに、メイデン・フォースでは入手できないサンプルを使って研究すれば、どんな成果が出るのか-
そう思いを馳せると、興奮で体が熱くもなる。
「・・・それで、どうするのかしら?」
皐月の複雑に火照った感情に、邪水晶のその一言が冷や水を浴びせた。
その言葉で現実に戻された皐月は、はっ、とし、邪水晶へと向き直ると、彼女の漆黒の目を見つめた。
「・・・」
邪水晶の答えが本心である筈はなく、何かの罠であることは間違いない。
それに加え、妖魔の実験施設で作業することに、罪悪感を抱くのも確かだ。
だが、今自分に選択肢はない-
そう結論に至った皐月は、
『これは個人的な興味じゃない・・・全ては由香里を助けるため・・・それだけなのよ』
そう心の整理をつけると、
「・・・貴女の心遣いを受けるわ・・・それで条件は何なの?」
そう邪水晶に答えたのだった。
「条件はないわ・・・ただ貴女のような霊力の無い人間が邪界と人間界を行き来するためには、妖魔の『印』が必要なの・・・だから、その『印』が馴染むまでは毎日、私の精を受ける必要があるわ」
邪水晶のその答えに、皐月はそれが条件ではないのか、そう思ったが、言葉を飲み込むと、
「・・・それではこの研究室を使わせて貰うわ」
そう答えたのだった。
22日目-
「なるほど・・・」
妖魔文字をイツキに翻訳して貰いながら、邪謀という妖魔が残した研究記録を読み解いてゆくと、自分が疑問に思っていたことが幾つも氷解してゆく。
この邪謀という人物は特に、人体や妖魔の改造に長けていたようだ。
由香里への対処方法も、ここでなら得ることができるかもしれない。
そう皐月は、強く思うようになっていた。
「イツキ、そのサンプルにこの試薬を10ml加えて頂戴」
「はい、皐月様・・・」
イツキは命じられたままに、サンプルに試薬を加えてゆく。
その見た目と異なり、イツキは優秀な助手であった。
単純な指示であればほぼ着実にこなし、手先も器用な彼女は、皐月の実験に必要不可欠な存在となっている。
「・・・ふぅっ」
手際よく試薬を加えてゆくイツキの後ろ姿を見ながら皐月は、触手の塊で構築された椅子に、深く背を預ける。
そしてゆっくりと首を巡らせながら、不気味なサンプルや器具に満たされた室内を見回した。
イツキの存在に加え、この3日ここで作業し慣れたせいか、不気味なこの空間にさえ愛着が湧きつつある。
興味の尽きない研究材料に、優秀な助手-
それが揃えば満足してしまう自分の研究者気質に皐月は、
『【学者バカ】って、私のためにある言葉なのかしら・・・』
心中でそう苦笑する。
だが決して不快ではないその響きに皐月は思わず、頬を緩めるのであった。
25日目-
「・・・はっ、ああんっ・・・子宮が、子宮がゴリゴリいってるぅっ!」
ズプッズプッ
皐月は邪水晶に抱き抱えられながら、激しく突き上げられていた。
「ふふふ、皐月ったら、そんなによがって・・・大夫、膣肉もこなれてきたわね」
ここ数日、邪水晶に犯されたことで皐月の体も徐々に、邪水晶との交合を受け容れられる肉体へと変化しつつあった。
犯された当初は苦痛であったものも今では、脳天を焦がすような快楽に感じられるまでになっている。
「・・・はっ、ああっ、・・・もう、ダメェ・・・イ、イキそうなのぉ・・・」
邪水晶に子宮口を散々に犯された皐月は昇り昂ぶらされ、邪水晶にそう甘えた声で訴えかける。
それに邪水晶は、
「そう・・・じゃあそろそろ『印』を与えてあげましょうか・・・さあ、皐月、受け取りなさいっ!」
そう答えると、腰を突き出し、
ビュクッビュクッビュクッ!
皐月の子宮へ精を多量に叩きこんだ。
「はぁぁっ、子宮の中があづいぃっ・・・イ、イクぅっ!」
ビクンビクン
皐月はそれに全身を振るわせながら絶頂に達したのだった。
「はぁはぁはぁ・・・」
ゴプッゴプッ・・・
子宮に飲み込みきれない精を膣口から吐き出しながら、皐月は絶頂の余韻に浸る。
この洞穴のような空間に吹く風が、火照った体に心地よい。
邪水晶は皐月の傍に再び歩み寄ると、
「ふふふ、皐月、今日は良かったわよ・・・さあ、綺麗にして頂戴」
そう言って、二人の滴に濡れたイチモツを突きだした。
「・・・はむっ・・・ちゅぅっ」
皐月は無言で邪水晶のモノを頬張ると吸い付きながら、舌でそれを清めてゆく。
肉体が邪水晶を受け容れるようになったのと同様に、邪水晶との交合に嫌悪感も抱かなくなりつつある。
「・・・ちゅっ、ちゅっ・・・ちゅぅぅっ」
皐月は邪水晶のイチモツに奉仕しながら、興奮で熱の籠もった視線を上目遣いに送った。
淫魔という妖魔の特性なのか、それとも彼女が元来持つものなのかは解らないが、その美しい容姿に生物としての力強さ。
それを眺めながら、皐月はうっとりとなる。
聞けば、彼女も元は人間であったらしい。
人間であっても、妖魔に上手く変化すれば、この様な存在になれる-
そこまで考えた時、
「!!」
皐月はあることに思い当たった。
「もういいわ、皐月」
邪水晶はそう言うと、奉仕していた皐月の頭を掴み、優しく離した。
邪水晶のモノは皐月の唾液で清められ、妖しく濡れ光る。
「・・・」
だがそうされても皐月は惚けたように、動きを止めていた。
「どうしたの、皐月?」
邪水晶のその言葉にも皐月は動じることはない。
-今まではひと、ヒト細胞の活性化、それだけを考えてきた。
だが逆に、妖魔の細胞をコントールできれば、由香里は由香里でいられるのではないか?
完全な妖魔にならないとしても、妖魔の部分を固定化してしまえば、『生物としては』安定するはず-
皐月はそう考えたのだった。
そうだ、これならば由香里を確実に救える-
そう思った皐月の顔に、自然と微笑が浮かぶ。
「ふふふ・・・」
その皐月の姿を見ていた邪水晶の顔には、邪な笑みが浮かんでいたのだった。
「妖魔細胞の固定化か・・・薬物よりも、移植が確実ね・・・」
邪謀の研究記録を読み返しながら、皐月はそう結論づけた。
邪謀の研究によれば、妖魔と妖魔の細胞であれば、親和性が高い。
それは、皐月の経験の中でも言えることだ。
問題は、ヒト細胞と妖魔細胞との親和性、そしてそれをどうコントロールするか。
だが、由香里に移植を直接試すには、リスクが高過ぎる。
E-03のような失敗はもう許されないのだ。
まずは他の被験体に-
そう考えたところで、皐月は頭を振った。
「何を考えているの・・・」
『被験体』-即ちそれは人体実験に他ならない。
由香里を助けるために、誰かを犠牲にする-
それは人として許されざる行為であり、あの由香里が、それを喜ぶはずもない。
「でも、他にどうしたら・・・」
再び思考がスタートに戻り、皐月は苦悩する。
「皐月様、器具の洗浄が終わりました」
その皐月の元に、作業を終えたイツキが姿を現した。
「有り難う、イツキ」
皐月はそう言って微笑みながら、
この娘なら-
そう一瞬考え、強く頭を振った。
この娘は助手として必要な人材だ。
それに、由香里に対するものと同質の感情も芽生えつつある。
『人であって人ならざるもの』
二律背反するその命題に、再び皐月は苦悩するが、ふと、あることに思い当たった。
人ならぬ『被験体』なら居るではないか-
そう考える皐月の顔は、邪に歪んでいた。
「いひゃぁぁ、チンポ、もっとちんぽぉぉっ!」
ジュクッジュクッ
祐子は由香里の抽送にあわせ己の腰を激しく振り、より深くその交合を味わおうと狂乱している。
だがその花弁は赤く腫れ上がり、膣肉の締め付けも緩みを生じ始めていた。
『性的虐待』とも言える、由香里との交合を連日、そして過度に重ねた結果、祐子の精神は崩壊してしまっていた。
妖魔の与える媚薬で愛液を垂れ流す肉壺-今や彼女はその程度の存在にまでその身を堕としている。
「哀れなものね・・・」
その姿を見た礼菜はそう眉を顰めた。
「由香里、今のうちに一杯『食べて』おくのよ」
その一方で皐月は、由香里にそう囁いた。
「あー、はぁーっ・・・うん、せんぱい、いっぱいたべるのぉ・・・」
由香里はその言葉を理解したのか、
グジュッグジュッ
祐子の膣肉を一層激しく抉るのだった。
「すーっ、すーっ・・・」
『食事』が終わり、『満腹』になった由香里は、穏やかな顔で眠りについている。
その一方で祐子は、力尽きたように、肢体をぐったりとさせ、解剖台に仰向けに横たわっていた。
その四肢は解剖台に拘束され、点滴や手術用の器具が取り付けられている。
「・・・」
手袋越しに由香里の頬をゆっくりと撫でていた皐月は立ち上がると、解剖台の脇に立つ。
そして祐子に一瞥を呉れると、
「・・・礼菜、始めて」
そう礼菜に声をかけた。
「わかったわ・・・」
そう答えた礼菜は、祐子に無針注射器を当てると、
プシュッ
麻酔薬を打ち込んだ。
「ぐっ!」
一瞬祐子は肉体を硬直させるが、直ぐに再び、四肢を弛緩させた。
「次はこれね・・・」
礼菜の手には、妖花から採取した肉片が握られている。
祐子には麻酔薬の他に、E-03や邪謀の研究室で得た薬品が投与されていた。
これで拒絶反応と癒着の速度を制御できるはず-
その期待を胸に、皐月は礼菜の手許を見つめる。
「それじゃ、いくわよ・・・」
礼菜はそう言うと、緊張して震える手で、未だビクビクと脈打つそれを、腹部に切り開いた術野に押しつけた。
ビキビキビキッ
妖花の細胞が祐子の細胞に癒着し、その範囲を急速に伸ばしてゆく。
ビクンビクンッ
それとともに、祐子は激しく痙攣を繰り返す。
由香里が妖花に始めて取り込まれた時、恐らくその中ではこのような反応が生じていたのに違いない。
花弁の中の牙はさしずめ、改造用のメスと注射器の役割を果たしていた、というところか-
麻酔をかけられているのにも拘わらず、ビクビクと体を震わせ苦しむ祐子を前に、皐月はそう冷静に分析する。
マウス実験の時と同じように-
「・・・礼菜、抑制剤を投与して頂戴」
癒着が進行し、腹部全体が妖魔細胞に侵されたところで皐月は、礼菜にそう指示を出した。
この抑制剤は、邪謀の研究室から持ち出したものだ。
「・・・」
礼菜は黙って頷くと、細い注射器を取り出し、癒着部に突き立てる。
礼菜が注射器のシリンダーを押す瞬間、ゾクゾクする感覚が背中を走った。
「ちょっと、皐月・・・」
その瞬間、皐月は礼菜から注射器を奪っていた。
「・・・私がやるわ」
そう言いながらも興奮した皐月は、手早く注射器のシリンダーを押す。
その瞳は、期待と未知の実験に対する好奇心で輝いていた。
皐月がシリンダーを全て押し込むと、祐子の癒着部に変化が現れる。
急速にヒト細胞を侵食していた妖花の細胞がその速度を緩め、やがて拡大を停止した。
術野を見る限り、細胞は完全に融合し安定しているように見える。
サクッ
すかさず皐月は、その一部をメスで剥ぎ取ると、顕微鏡の元へと急いだ。
「・・・完全に融合してる・・・それに細胞の自己増殖も止まっているわ・・・やった、やったわ!」
期待した通りの結果に、皐月は狂喜する。
自分の立てた理論と手法が勝利を収めたのだ。
それも、未知のものを使って-
ここ暫く感じることのできなかった科学者としての喜びを満身に、皐月は感じていた。
「良かったわね、皐月」
礼菜はそう、喜ぶ皐月の肩を、ポン、と叩いた。
「ええ、有り難う、礼菜!・・・これで、これで由香里を助けられるわ」
狂喜に震える皐月は、礼菜の手を握り締め感謝の言葉を口にした。
そんな皐月に礼菜は微笑み掛けると、
「そう、それは何よりね・・・それで、彼女はどうするの?」
そう、祐子に視線を流した。
それに皐月は、
「ああ、アレね・・・そうね、取り敢えず縫い合わせておいてくれないかしら・・・後で別の実験をしたいし」
興味を失った玩具のようにそう言い放つと、再び喜色満面で顕微鏡に視線を戻すのだった。
「・・・ふふふ、わかったわ」
その姿に、皐月とは別の意味で微笑むと礼菜は、『物』になった哀れな存在の縫合に向かうのだった。
27日目-
「う゛ーっ、う゛ーっ・・・」
祐子は首だけを残して、完全に妖魔と化していた。
創造主たる皐月には従順なようで、大人しく傍らに侍っている。
だが、既に壊れていた知性までは回復することができず、意味のない喘ぎ声を漏らすだけだ。
「・・・ふん、まあまあね」
その姿を、皐月はつまらなそうに見つめた。
礼菜が腹部を縫合してからも何種類もの薬物を祐子に投与し、由香里の手術には十分な実験データを得ている。
もう用途的には妖魔の餌にでもするしかない存在に堕してはいるが、命令通り単純作業をこなす程度の能力は残っているので、手術後の掃除程度 には使う積もりだ。
「由香里、今度こそ助けてあげるからね・・・」
皐月は、麻酔で眠る由香里にそう声をかけた。
由香里は下半身だけ妖魔にし、上半身は今のままの姿を保たせる予定だ。
「う゛ーっ、う゛ーっ」
「黙りなさい、この畜生!」
皐月はそう祐子に怒鳴り散らすと、再び由香里に視線を戻した。
そう、由香里はこの木偶の坊のように、下等な存在にはしない。
彼女は皐月の『パートナー』として、これからも生きてゆくのだ。
今、皐月の手の中には妖花の本体部分と、精巣と呼ぶべき部分の細胞片がある。
そして実験室の片隅には、雪がバラバラにした妖花の残骸が横たわっていた。
邪謀の研究資料の中に妖花が自分を維持するため部位が記されており、由香里が自立して生きてゆくためには、その部分の移植も必要なのだ。
もう後戻りはできない。
だが皐月には確固たる自信があった。
「さあ、始めるわよ・・・」
そう言うと皐月は一人で、由香里に対する施術を始めたのだった。
28日目-
「せんぱぁい・・・」
由香里は甘えた声で、そう皐月を誘う。
だがその声音の弱さとは反比例に、肉棒は滾りきり、天頂を向いている。
「ふふ、由香里ったらそんなに甘えた声を出して・・・いいわ、楽しみましょう」
それに皐月は微笑んで答えた。
皐月の施術の成功により、由香里の下半身は完全に妖魔のものとなる一方で、上半身は今までの由香里の姿を留めていた。
知性も回復し、『餌』を与えれば以前と変わりない知力と人間性を発揮できるまでになっている。
更に妖花の自己保持の細胞を移植したことにより、エネルギー効率が高まり、普通の女性の性欲を満たす程度で満足できるようになっていた。
愛しい思い人を取り戻した皐月は、
「うふふふ、甘えん坊ね、由香里は」
そう言うと躊躇いなく、由香里に跨り、
ジュプッ!
「・・・くぅんっ!」
その肉茎を自ら胎内へと納める。
ジュクッジュクッ
「はぁんっ!・・・由香里ぃ」
皐月は由香里に跨りながら、変容した彼女の姿を満足気に見つめていた。
それは、彼女を助けられたことだけが理由ではない。
己の知識と技術を駆使して一つの生命をコントロールできたことに、無上の喜びを感じるのだ。
それは究極の支配欲、というべきものかもしれない。
この技術さえあれば、何でもできる-
そう至福の喜びを感じながら皐月は、由香里の肉の味を堪能するのだった。
29日目-
「うふふふ、素敵よ、由香里」
「有り難う御座います、先輩」
皐月は、若干豊かになった由香里の胸と、乳首の先に光るリングを眩しそうに見つめた。
その視線をうっとりと、由香里は受け止める。
皐月による改造は肉体だけではなく、由香里の精神にも大きな変化を及ぼしていた。
妖魔細胞を取り込んだことにより、思考法が妖魔に近いものとなったうえ、
『創造主』にも等しい皐月への依存性は絶大なものとなっている。
完全な人間であった時と同様の知性を取り戻したもののその実態は、皐月の奴隷にも等しいもの-
皐月の理想とする『パートナー』となっていたのだった。
今、由香里の下半身には爪先から腰の上まで薄手のスウェット・スーツ様のものが、身に着けられている。
それは、メイデン・フォースが仕様しているボディー・スーツの技術を応用したものだ。
半妖魔と化した由香里がこの研究室の外に出るためには、本部に張り巡らされた結界を潜る必要がある。
ボディー・スーツには破邪の効果があるのだが、皐月はそれに手を加え、邪気が由香里から漏れないようにしたのだった。
これで由香里は今まで通り『自由に』、皐月のために働くことができる。
「それじゃ、行くわよ、由香里」
「はい、先輩」
一月ぶりとなる外出。
ピクニックでも出掛けるような気軽さで、二人は実験室を後にする。
しかし、二人が後にした実験室の中に、祐子の姿はなかった。
『東東京臨海公園』
ベイフロントにあり夜景が美しいこの公園は、夜になるとアベックが数多く訪れるデートスポットになっている。
神保亜矢(じんぼうあや)と藤田伸也(ふじたしんや)もそんなカップルの一組であった。
だが時間は午前2時を過ぎ、海からの夜霧に包まれた公園に、彼等以外の姿はない。
「ねぇ、誰も居ないし、何だか気味悪いよ」
「だからいいんじゃねぇか・・・ほら、早く脱げよ」
ドライブに行こうと車に誘い込み、渋谷からわざわざこのためにここまで来たのだ。
今更そんな話をするな、とばかりに伸也は亜矢の服のボタンに手を掛けた。
「あら、彼女の言うことは聞いてあげるものよ」
「何だ・・・お前等?」
お楽しみを中断され、伸也はあからさまに不機嫌な視線を無粋な闖入者に向けた。
見れば女の二人連れ。
しかもどちらも上玉揃いだ。
「お前等も混ざりたいってか・・・オラ、こっちに来いよ」
伸也は亜矢のボタンから手を離し、そう言いながら皐月達ににじり寄った。
その様子を汚物でも見るように眺めていた皐月は、
「五月蠅いゴミね・・・由香里、こいつは要らないわ。処分して頂戴」
そう由香里に言い放つ。
「わかりました、先輩」
それにそう答えた由香里の下腹部から、
ニュルニュルニュル
数多の触手が伸びる。
そしてそれは瞬く間に、
ヒュンッ
「ぐええぇえっ!?」
ザシュッザシュッザシュッ
伸也の体に吸い込まれていった。
「きゃあぁぁっ!」
眼前で血の華を散らし、肉塊へと変わる伸也を見て、絶叫する亜矢。
返り血がビチャッ、ビチャッ、と水色の服を染めてゆく。
ジョォォー
亜矢は恐怖の余り、失禁してしまった。
「あらあら、仕方がないわね・・・由香里、綺麗にしてあげて頂戴」
「はい、先輩」
腰を抜かす亜矢の前に、ゆらり、と由香里が立つ。
「お願い、殺さないでぇ・・・」
涙と鼻水で顔をくしゃくしゃにしながら亜矢はそう、由香里に懇願した。
そんな惨めな姿で命乞いをする亜矢に対し、由香里は満面の笑顔で、
「そんな、殺したりなんかしませんよぉ・・・でも、気持ち良すぎて死んじゃうかも」
そう言うと、スカートの端を持ち上げた。
「・・・ひぃっ!?」
持ち上げられたスカートの下には極太の触手がそそり立ち、その周囲には細い触手が密生している。
その触手はいずれも興奮しているのか、先端から粘液を滴り落とし、地面に大きな染みを作っていた。
「それじゃぁ、いただきまーす」
由香里は弁当を前にした幼児のように、そう楽しそう笑うと、亜矢に覆い被さった。
ズヌズヌズヌッ
前戯もなしに、亜矢の秘所へ極太の肉棒を挿入する由香里。
メリメリメリィッ
その太さに耐えきれず、亜矢の肉の一部が裂かれてゆく。
「ひぎゃぁぁっ!」
下腹部から襲う激痛に、亜矢は堪らず絶叫した。
「駄目よ由香里。大事な『被験体』なんだからもっと大切にして貰わないと・・・もう、しょうがないわね」
それに、姉妹の悪戯を窘めるように微笑みながら、そう皐月は由香里に語りかける。
由香里の媚薬が回り、嬌声を上げ始めた亜矢に、その声は届くはずもなかった。
30日目-
「うーん、適合性が余り良くないみたいね・・・」
「こちらの試薬を試してみてはどうでしょう?」
邪界の研究室で被験体を前に、皐月と由香里の二人が実験の手順を検討し、その脇で、イツキが甲斐甲斐しく二人の作業の介添えをしている。
『被験体』である亜矢は手術台に乗せられ、腹部に妖魔の細胞を移植されていた。
しかし、その一部はどす黒く変色し、壊死が始まっている。
人間の治癒能力を劇的に向上させるための実験を行っているのだが、中々上手くいかない。
投与している薬品の適性も問題だろうが、この被験体の特性による部分も大きいようだ。
比較データを得るためにも、もっと『被験体』を入手する必要があるかもしれない-
そう皐月は考えていた。
「・・・少し休憩にしましょう」
「はい、先輩」
「畏まりました、皐月様」
取り敢えず亜矢に延命措置を施し、実験に一区切りをつけた皐月は、由香里とイツキにそう声を掛けると、お気に入りの触手椅子に腰を掛けた。
「・・・ふぅっ」
実験で疲れてはいるが、心地良い充実感が皐月の中に満ちている。
次はどんな実験をしてみようか-
それを考えるだけでワクワクしてしまう自分に皐月は可笑しさを覚え、思わず頬を緩ませた。
そこに、一人の女が姿を現した。
「皐月先生、お久しぶりです・・・今日で丁度、一月ですね」
「雪・・・」
皐月はその雪の言葉に、一月前の『賭』の話を思い出す。
『由香里を生き長らえさせる方法を見つけること』
それがこの賭の条件だった-
たった一月前のことではあるが、遠い記憶のように思えてくる。
「賭は私達の負けです・・・約束通り、皐月先生と由香里さんは自由になさって構いません・・・皐月先生、どうなさいますか?」
雪のその言葉を聞いた皐月は、由香里を見遣る。
確かに雪の言う通り、『由香里を生き長らえさせる』ことには成功した。
しかし、それ以上の果実を今自分は手中にしている。
邪謀の残した研究成果、実験材料、そして誰にも邪魔されない研究環境・・・
馬鹿馬鹿しい倫理規定や、くだらない正義に縛られたメイデン・フォースの中などにいては、いずれも得ることの出来ない、素晴らしい環境。
これを今更手放せるものか-
そう考えた彼女の答えは、一つだった。
「いいえ、私の負けよ。もう私は、この環境から抜け出すことはできない・・・邪界の奴隷にも等しいわ・・・だから、心からの忠誠を誓わせて・・・いいえ、忠誠を誓 わせてください」
皐月はそう言うと、雪の足下に跪く。
その皐月の姿を、雪は微笑みながら見下ろし、
「そうですか・・・ですが、皐月先生が忠誠を誓う相手は、私ではありませんよ・・・邪水晶様」
奥に控える主人に声を掛けるのだった。
「ふふふ、皐月、良く決心してくれたわね」
皐月はその姿を見ただけで、子宮の奥を熱くさせた。
最早毎日彼女の『印』を受けなくとも条件さえ揃えば、邪界と人間界を自由に渡れるようになった皐月ではあったが、彼女に犯された感覚は、体の奥深くまで染みついている。
その胸中を察しているのか、邪水晶は跪く皐月に歩み寄ると、
「それでは主従の契りを結びましょう・・・皐月。そこに手をついて、尻をこちらに向けなさい」
そう命じたのだった。
「は、い、邪水晶様・・・」
皐月は潤んだ瞳で邪水晶を見つめながら床に手を突き、尻を邪水晶に突き出すように持ち上げた。
獣が服従の証を立てるような屈辱的なポーズだが、皐月の秘所は期待の滴でしとどに濡れ、下着越しにその形がくっきりと浮かび上がる程になっている。
「忠誠を誓うだけで、こんなに濡らしていたの?・・・ふふふ、はしたない女ね、皐月」
邪水晶はその様子に満足し、皐月の尻を撫で回した。
「申し訳御座いません、邪水晶様・・・」
邪水晶にそう謝罪しながらも、彼女に詰られ、尻を撫で回されるだけで皐月は絶頂に達しそうになる。
掌越しに、皐月の体の震えを感じ取った邪水晶は、
「ふふふ、いいのよ。奴隷としては寧ろ上出来だわ・・・さあ、奴隷の喜びをじっくりと味わいなさい」
そう言って、皐月の中へゆっくりと
ズヌヌ
挿入していったのだった。
「はぁんっ、あついっ!あついのぉっ!」
極太の焼け火箸を体の中心に通されたかのような感覚に、皐月は堪らず身悶える。
由香里とのSEXですら味わえない、至上の快楽。
これもメイデン・フォースでは決して得ることの出来ないもの。
皐月は邪界に屈した悦びに、その身を浸らせる。
「んふふ、皐月先生ったらあんなに・・・邪水晶様のチンポ・・・締め付け、てぇっ」
チュク、チュク
雪は、邪水晶と皐月の交合の様子に淫らな気持ちを刺激され、自慰を始めていた。
左手で胸を、右手で秘所を弄る。
だが、それだけでは満足できない雪は、
「『皐月』・・・私のここを、舐めて」
皐月の鼻面に己の秘所を突き出すと、そう命じたのだった。
奴隷戦士のコスチュームに強調されたそこは、蜜をその奥から泉のように湧き出させている。
その噎せ返るばかりの牝の臭いは、皐月の淫らな気持ちを更に刺激する。
「はい、雪、様・・・」
皐月は命じられた通り、雪の蜜を舐め取ろうとするが、雪は皐月の前から腰を引いた。
そして、
「違うわ、皐月。私は雪ではなく、淫虎。邪水晶様の忠実な僕になったのならば、正しい名で呼んで頂戴」
そう皐月に求めると、再び腰を突き出すのだった。
「わかりました、淫虎、様・・・ちゅっ、むっ」
皐月はそう名を呼び変えると、淫虎の秘所に舌を伸ばし、蜜を掬い取り始める。
舌先に広がるその味は、この上ない甘露に感じるものだった。
「はんっ、皐月ぃ・・・いいわぁ、もっと、もっと奥まで舐めてぇっ!」
拙いが懸命な皐月の舌技に淫虎は堪らず、股間を皐月に押しつけた。
愛液に塗れた淫虎の秘所は、皐月の顔を白色に染めてゆく。
だが皐月は、それを心地良く感じていた。
「はぁっ、せん、ぱい・・・」
皐月達の狂宴を遠巻きに眺めていた由香里は、
ニュクッニュクッ
秘所から男根を生やし、その切なさを慰めていた。
「・・・」
彼女の横ではイツキが無表情に、主達の狂乱を見つめている。
その横顔を見つめた由香里は、無性な情欲に駆られる。
「・・・イツキ、私のも、舐めて」
そう言うと、既に先走りの液で濡れた己のイチモツを、イツキに突きだした。
「・・・わかりました、由香里様・・・はむっ、ちゅっ」
イツキは命令を忠実に受け容れると、由香里のモノを口腔へと包み込む。
「はあっ・・・イツキ、イツキィ!」
グジュッグジュッ
その絶妙な感覚に由香里は、イツキの喉奥へと己を叩き込んだ。
「むぐっ、ふぐっ」
相変わらずその瞳は虚ろだが、イツキの頬は僅かに、紅が差していた。
邪水晶は皐月の胎内を、
グチュッグチュッグチュッ
じっとりとその巨根で嬲りながら、皐月の魂が闇に囚われつつあることを感じ取っていた。
『倫理観』という名の薄皮を一枚一枚剥がされてきた皐月の心は、やがて剥き出しの欲望に染まるに違いない。
「はぁんっ、邪水晶様ぁ・・・もっと、もっと、奥まで・・・グチャグチャにしてぇっ!」
皐月は、己の身で進みつつある事態を無意識に自覚したかのように、そう邪水晶に懇願する。
邪水晶は皐月のその言葉に、邪な笑みを浮かべ、
「ふふふ、お望み通り、グチャグチャにしてあげるわ・・・貴女の心も体も」
そう言い放つと、皐月の心に楔を打ち込むが如く肉棒を、皐月の奥深くへ突き込む。
それを皐月は、至福の悦びを感じながら受け容れるのだった。
< 続く >