「きゃ~っ! だれっ!」
武彦は理沙にお湯を引っかけられた。
「僕だよ・・・ひでぇなぁ・・・」
「と・・・智宏・・・どして?」
「だって、覗いてもいいって言ったのは姉ちゃんじゃないか」
「そ・・・そうだっけ・・・?」
誤植ではない。理沙と話をしているのは武彦だ。
武彦はバスルームの引き戸を10センチくらい開けて中を覗いていた。見つからない方がおかしい。
◆
話のはじまりは今日の下校時のことだ。武彦は道端にうずくまる老人に出くわした。
「おじいさん、大丈夫ですか?」
武彦は思わず声をかけた。数ヶ月前、日課にしている散歩の途中で心臓発作を起こして逝った祖父のことを思い出したからだ。誰かがすぐに気がついて救急車を呼べば助かる可能性もあったらしい。
「あ・・・すまんな。足をくじいてしまって・・・歩けんのじゃ・・・」
「どうしよう。痛みますか? 救急車を呼んだ方が・・・」
「いやいや・・・それほどのことではない。しかし困った。立つこともできん」
「おじいさん、二丁目の洋館に住んでいるんですよね? もし帰る途中なら僕が送っていきましょうか?」
顔を上げた老人の顔に武彦は見覚えがあった。近所の古い屋敷に一人で暮らしている老人だった。
「おお、そうしてもらえるか。ありがたい」
「はじめて入ったけど、すごい家ですね」
老人に肩を貸して武彦は古めかしい洋館の扉を開けた。手が凝った作りで、知識のない武彦にもそれが高級なものだとわかる。
「うむ。儂の代で絶えてしまうがな・・・」
「えっ・・・?」
「なぜか儂には子供ができんかった。報いかもしれんな・・・」
「報い・・・ですか・・・?」
「見たところ、お前は最近の若者には珍しく素直な心根を持っているようじゃ。助けられた恩があるからではなく、儂はお前を気に入った。もし、お前が望むなら秘伝を授けようと思うが、どうじゃ?」
「秘伝って・・・?」
「わしの家は代々の呪術医なんじゃ。歴史の裏側で秘薬を作ってきた。一子相伝の秘法なのだが儂には子供がおらんし絶えさせてしまうのも惜しい。無理にとは言わんが」
「いっしそうでんって・・・」
「一人にしか術を伝えんということじゃ。秘法ゆえ・・・」
「どんなことができるの?」
「うむ。いろいろじゃ。主に人を操ることができる」
「ほんとに?」
「疑うのは無理もない。試してみるのが一番じゃが、もう隠居の身なので手元にあるのは影武者薬だけじゃ」
「影武者薬・・・?」
「秘薬は人の奥拉を利用する。この赤い玉を飲んでから身代わりにしたい者に白い玉を飲ませれば他の者には入れ替わったように見えるのじゃ」
「よくわかんないけど・・・魔法みたいだね・・・」
「うむ。そうかもしれん。影武者薬という名は、この薬を昔の武将が使ったことからそう呼ばれておる。赤い玉を飲む者が主で白い玉が従になる」
「つまり・・・僕が赤い玉を飲めば、白い玉を飲んだ人と入れ替われるんだね?」
「そういうことだ」
「ちょっと試してみたいな」
「なにか思いついたことがあるようだな。赤い玉を飲んだ者の言葉は強い暗示となる。なんでも言うことを聞くようになるんじゃ。秀才を身代わりにして試験を受けさせることだってできるぞ」
「おじいさん。ぜひ、その薬を使わせてください」
老人の言葉を聞いて武彦の態度の真剣さが変わった。
武彦の家は近所の建て売り住宅だ。同じ作りの隣には親友の智宏が住んでいる。というか引っ越してきたのが十年前、武彦が小学校へ上がるタイミングだった。隣の井上家にも同い年の男の子がいて、それが智宏だった。二人は気が合い仲よくなって同じ高校へ進学した。智宏には理沙という二つ上の姉がいる。小さいころから可愛い女の子だったが、いまは超が付くほどの美少女になっていて武彦の憧れだった。そして武彦にも深雪という四つ上の姉がいる。かなりキツイ性格だが智宏にとっては理想のお姉さんらしい。
武彦は智宏と入れ替わって理沙のプライベートを覗きたくなったのだ。智宏だって賛成してくれるはずだと思った。
「では試してみるがよい。まず、お前が赤玉を飲んでから目の前で相手に白玉を飲ませるのじゃ。でないと奥拉が入れ替わらん」
「オーラって・・・」
「人間が発する気のようなものだ」
「ふ~ん・・・」
「くれぐれも言葉に気をつけるように。赤玉を飲んだ者の言葉は暗示となって深く心に刻み込まれる。影武者は主人のために命をかけることもあるから暗示は強力なんじゃ。薬を飲んだ関係者にも言葉の効果が出る。奥拉が近い者、つまりは親兄弟じゃな。効果は三日間、それが過ぎれば元に戻る」
そう言って老人は引き出しから紙袋を取り出して武彦に渡した。
「わかった。ありがとう。おじいさん」
「ふむ。効果を確かめたら、ふたたび儂のところへ来るがよい。いや、そうなるじゃろうな」
そう言って老人は笑った。
こうして武彦は老人から薬を受け取り、その足で智宏の家を訪ねた。
◆
「ホントかなぁ? なんか怪しくね?」
話をすると智宏は乗る気がなさそうに答えた。
「試してみなきゃわからないじゃないか。お前、深雪姉ちゃんのすごい恰好見たくないの? Tシャツにパンツ一丁みたいな恰好で家の中を歩き回ったりするんだぜ」
「マジっ!?」
寝ころんでいた智宏がガバッと起き上がった。
「見たくないんだったらやめるけど」
「見たい!」
智宏は武彦の両手を握って頭を下げた。
「じゃあ、俺、薬飲むから。いいな?」
武彦の言葉に智宏は何度もうなずいた。
薬を飲んでしばらくすると不思議な高揚感を武彦は覚えた。スポーツをして勝ったときの気分と似ている。なんというか万能感があるのだ。
「なんにも変わんないじゃん」
後から薬を飲んだ智宏は反対に不満を漏らす。
「そう・・・だな・・・」
十分ほど経っても入れ替わる感じはなかった。
「やっぱな。そんな話ないと思ってたよ」
期待が大きかったのだろう。智宏はポツリと言った。
「うん・・・俺・・・帰る・・・」
なんとなく申し訳ない気分になって武彦は立ち上がった。
「智宏。武彦君がいるのに、どこ行くの?」
玄関でスニーカーを履いていると智宏の母さんが声をかけてきた。
「へっ?」
武彦は咄嗟に答えられない。
「まだ、武彦君、部屋にいるんでしょ?」
「あ・・・いや・・・ええと・・・」
「それから、おつかい忘れないでね」
「な・・・なんだっけ?」
「もう。忘れちゃったの? 重いからお父さんのビール、ワンケース三河屋さんから持ってきてって言ったじゃない。
「あ、うん。わかった」
そう答えた武彦はあわてて智宏の部屋に戻った。
「替わってるぞ。いま、お前の母さんに間違えられた」
「なにがだよ?」
「俺にビール運べって・・・俺のことお前だと思ってる・・・」
「またぁ・・・いいよ、もう・・・」
「ちょっと来いよ」
武彦は智宏の腕を持って部屋の外へ連れ出す。
「母さん、僕、武彦と用があるからビールちょっと待ってて」
武彦が智宏の母親に向かって言う。智宏は自分のことを「僕」と言ってるから真似をした。
「いいけど、夕方までにはお願いよ」
智宏の母親は武彦に向かって答えた。
脇で智宏は呆気にとられた顔をしている。
「俺にはお前がお前にしか見えないけど、ほかは違うみたいだ。とにかく、俺ん家行って確かめてみよう」
武彦は小声で智宏に言う。
智宏はただうなずくだけだった。
「ただいま~」
武彦は自分の家のドアを開ける。
「あら、トモ君。なんの遊び?」
声を聞いて深雪が出てきた。深雪は智宏のことを「トモ君」と呼ぶ。小さいころから遊んでいる仲だから、またふざけていると思ったらしい。
「あ・・・あの・・・」
「もう。タケったらなんなのよ?」
智宏がどもると深雪は智宏のことを「タケ」と呼んだ。そう、いつも武彦のことをそう呼んでいるのだ。
「あの・・・深雪さん・・・武彦ったらおかしいんです。深雪さんにお願いがあって、深雪さんじゃないとダメなんですって。まるで恋するオトコノコみたい」
「なにそれ? きもい~」
深雪は顔をしかめる。
「だって、深雪さんが言ったそうじゃないですか。いつでも、なんでも武彦の願いは聞いてあげるって」
武彦は言葉が暗示になるという老人の言葉を思い出して言った。
「あっ、そうだった。で、武彦はどうしたいの?」
深雪の態度が変わって笑顔になる。
「あ・・・う・・・」
智宏は答えられない。
武彦は暗示の効果に舌を巻いていた。
「深雪さん。武彦ったら悩んでいるんですよ。女性の体がどうなってるのか知りたいそうなんです。今夜、武彦に身をもって教えてくれるんですよね?」
「なんだ、そんなことか。じゃあ、夜になったらあたしの部屋においで。教えてあげるから」
深雪は当然のように答える。
「お・・・おい・・・いいのか?」
深雪が階段を上っていくのを見て、智宏は声を震わせて聞いた。
「見たくなかった?」
「そ、そうじゃなくって・・・」
「ここまで来たら度胸を据えろよ。お前は俺として振る舞ってアネキの裸を鑑賞すればいいんだ。見たかったんだろ?」
「うん。わかった」
智宏の口調が変わった。「度胸を据えろ」という言葉が暗示になったらしい。
その態度を見て、武彦は、かなりのことができそうだと思った。
二人は、これからのことを大雑把に打ち合わせをした。もちろん家の鍵も交換する。お互いに、よく知った家なので、それほど不都合はなかった。
「じゃあな。三日間楽しもうぜ」
そう言って武彦は智宏の部屋に戻り(?)ビールのおつかいを済ませると智宏のベッドに寝転がって計画を練った。
武彦は、いままでのことを頭の中で箇条書きにして整理していた。
・赤い玉を飲んだ者は主となって白い玉を飲んだ者と客観的には入れ替わる。
・赤い玉を飲んだ者の言葉は関係者に強力な暗示を与える。
・効果は三日続いて元に戻る。
・これらは老人が言っていたオーラに関係があるらしい。
・暗示をかけた深雪は夜になると智宏に身をもって女体について教える。
・智宏はうろたえていたが、「度胸を据えろ」のひと言で態度が変わった。
これらのことをふまえて、いままでの妄想を現実化するために自分はどうすればいいのか?
武彦はあれこれと考えてはシミュレーションを組んでいった。
「智宏~、ごはんよ~」
気がつかなかったが、ずいぶんと時間が経っていたらしい。智宏の母親がドアを叩いてそう言った。
階段を下りてダイニングへ行くと父親と理沙もいた。カレーの匂いがする。いつもと変わらぬ団らん風景らしい。武彦は空いている席に座った。
「いっただきま~す」
武彦はカレーを食べはじめた。
「ねえ、母さん」
「なに?」
「父さんも」
「ん?」
「二人とも、今日はずいぶん疲れてるみたいだね」
武彦はベッドの上で考えていた計画を実行に移す。
「そうかな?」
「そう?」
二人が同時に答える。
「そのぶんじゃ、ごはん食べ終えたらバタンキューになっちゃうね。きっとなにがあっても朝まで起きられないよ」
「うん。今日は会社で大変だったからな」
父親はごく自然に答える。
「そうね。主婦も大変なんだから」
母親も相づちを打つ。
そのやりとりを、理沙はなんとなく不思議そうに聞いていたが、取り立てておかしいと思っている風はない。
武彦は心が躍った。計画を実行するには両親の存在が邪魔だ。外堀を埋めるという言葉が頭に浮かんだ。
「父さんと母さんが寝たら、姉さんは風呂に入ってね」
「あっ・・・うん・・・」
なにかを考えていたのか理沙の答えが一瞬遅れる。
ニヤリと笑った武彦の表情に気がつく様子はなかった。
こうして武彦は、智宏の両親が寝てしまったのを確認してからバスルームへ向かった。
◆
「きゃ~っ! だれっ!」
武彦は理沙にお湯を引っかけられた。
「僕だよ・・・ひでぇなぁ・・・」
「と・・・智宏・・・どして?」
「だって、覗いてもいいって言ったのは姉ちゃんじゃないか」
「そ・・・そうだっけ・・・?」
「そうだよ。女の人の裸に興味があるって言ったら、姉ちゃんが覗いてもいいよって言ったんじゃないか」
「あっ・・・ごめん・・・」
理沙は裸であることを忘れているように泡がついた身体を隠そうともしなかった。
ギャルっぽい深雪とは違って理沙は真面目な清楚系だ。でもお椀を伏せたように丸いバストは深雪より大きかった。肩まで垂らした黒髪が濡れている。そして下腹に生えるヘアーに武彦は目を奪われる。
「かわいい弟のためなら恥ずかしいけど平気だって言ったよね」
「う・・・うん・・・」
これは武彦がよくオカズに使っていたシチュエーションだった。風呂を覗くのは武彦の夢だったのだ。
「なのに、ひどいよ。こんなに濡れちゃったじゃないか」
「ご、ごめん・・・」
「いいよ。どうせ濡れちゃったから一緒に入ろう。僕が姉さんの身体、洗ってあげるよ」
いつも深雪のことを「姉ちゃん」と呼んでいたが、智宏は理沙のことを「姉さん」と呼んでいたので言い直した。その方が理沙を相手にしている実感が湧く。
「だ・・・だめだよ・・・そんなの・・・」
「どうして?」
武彦は服を脱ぎながら聞く。本当は暗示をかけて覗き続けるつもりだったのだが気が変わった。
「だって、私たち姉弟なんだよ。おかしいよ」
「ええっ、姉弟で風呂に入ったっていいじゃないか。家族だもん」
「そ、そうだよね・・・でも、恥ずかしいから・・・」
「うん。そうやって恥ずかしがってる姉さんってかわいいよ。さあ」
武彦は全裸になって理沙をバスルームに押し戻した。
「きゃっ・・・」
小さな悲鳴を上げながらも理沙は抵抗しない。
「一緒に入るのはひさしぶりだね。びっくりだよ。いつの間におっぱい、そんなに大きくなってたの? ちょっと触らせて」
武彦が手を伸ばす。
「あっ・・・だめだったら・・・だめ・・・」
理沙は身をよじらせて逃げる。
「ええっ、だめなの? そうなんだ・・・」
武彦は哀しそうな顔をする。
「だって・・・でも・・・智宏・・・そんなに触りたいの?」
「うん・・・夢にまで出てくるんだ・・・」
「だって・・・智宏・・・深雪さんのことが好きなんじゃないの?」
「なんで? 深雪さんよりずっと姉さんの方がきれいだよ」
武彦は本音で答えた。
「じゃ・・・じゃあ・・・ちょっとだけなら・・・いいよ・・・」
どうやら、その言葉が功を奏したらしい。褒められたからなのか、対抗意識を持っていたのか、それとも本音だと言うことが伝わったのかはわからないが、理沙は胸を隠していた腕を下げた。
薄いピンクの乳首が露わになる。間近で見る理沙のバストに武彦は興奮した。
「やんっ!」
武彦の指が触れたとき理沙はビクンと震えた。
「やっ・・・やんっ!」
まだ残っている石鹸の滑りを利用して手のひらで感触を味わっていると理沙は身をくねらせる。それでも逃げ出す気配はない。
「見せろ」とか「触らせろ」と命令してしまえば理沙は言うことを聞くに違いない。しかし、武彦は最初の夜を楽しみたかった。だから理沙の羞恥を残しておくような言葉しかかけないことにした。少しくらい抵抗された方が興奮も高まると思った。
「す・・・すごいね・・・姉さんのおっぱいってマシュマロみたいだ・・・」
「だ・・・だめよ・・・すこしって言ったのに・・・」
「だって、すごく気持ちいいんだもん」
「は・・・はずかしいから・・・」
「そうだよね。でも僕のために我慢してくれてるんだよね?」
「そ・・・そう・・・はぁんっ!」
手のひらでバストを持ち上げるようにして揉むと理沙の口から甘い声が漏れた。
「姉さんも気持ちいいんだ?」
「だめ・・・そんなこと言っちゃ・・・」
理沙は身をくねらせながら言う。
「だって姉弟じゃないか。隠し事はなしにしようよ」
「え~ん・・・恥ずかしい・・・よぅ・・・」
「僕、もっと姉さんのことが知りたいんだ。聞かせてよ」
「あんっ・・・とっても・・・ヘンなの・・・ジンジンして・・・」
理沙は途端に素直になる。
「どこが?」
「あっ・・・やっ・・・」
「きっと、あそこだよね? 僕だってこんなになっちゃったもん」
武彦は天を向いた屹立を見せつける。
「きゃっ! な、なにそれ・・・」
本当に初めて気がついたらしい理沙は悲鳴を上げながらも目を離せない様子だった。
「姉さん・・・僕もたまらないんだ・・・ちょっとだけでいいから触ってみて」
「あ・・・うん・・・」
興味があったらしく理沙はためらいながらも手を伸ばした。
「なにこれ・・・熱いし・・・硬い・・・どして?」
「姉さんの身体がきれいなのがいけないんだ。だから握って鎮めてよ」
「こ・・・こう・・・?」
理沙は言われたとおり屹立を手のひらで包んだ。
「すごい・・・ビクビクしてる・・・」
「り、りさ・・・姉さん・・・もっと強く・・・しごいてみて・・・」
思わず理沙の名を呼んでしまったが、それを不自然とは感じていないようで、武彦の言うとおりに理沙は屹立を握ってしごいた。
「すごい・・・気持ちいい・・・ねえ・・・お願いだよ・・・先の方を・・・舐めて・・・欲しいんだ・・・」
「うん・・・」
理沙はしゃがんで武彦のものに顔を近づける。
理沙の息を先端に感じたとき武彦の昂ぶりは頂点に達した。
舌先が触れたのを見て弾けた。
「きゃっ!!! なに!?」
勢いよく放出したものが理沙の顔面を直撃した。
「やだぁ・・・これ・・・精液でしょ・・・?」
理沙は顔についたものを指ですくって眺めた。
「うん・・・我慢できなかった・・・」
「智宏ったら・・・私のこと触って・・・エッチな気分になっちゃったの?」
「そうだよ。姉さんだからだよ・・・こんどは僕の番だ。ねえ、顔洗って。姉さんの部屋で・・・姉さんの身体をもっと見たいし・・・触ったりしたいんだ。きっと、いまの何倍も気持ちよくなれるはずだから」
「だめよ・・・そんなエッチなこと・・・」
「いいじゃないか。姉さんだって僕にしたんだ。不公平だよ」
「そう・・・かな・・・?」
「そうだよ」
「わ・・・わかった・・・わ・・・」
いくら理不尽なことを言っても、それを当たり前のことだと受けとめてしまう理沙がおかしかった。
「姉さんの部屋で待ってるよ。服なんて着なくていいからね」
出してしまって少し気分が落ち着いた武彦は、身体を洗うと、そう言い残して先に出た。
◆
「この部屋ひさしぶりだなぁ」
小さいころは一緒に遊んだものだが、中学に入るくらいのタイミングから武彦たちを部屋に入れなくなった理沙だった。見た目はガーリーなのに、部屋の中にはヌイグルミなどは置いていない。ピンク系のカーテンが女の子の部屋らしかったが、それ以外は整理されて落ち着いたたたずまいだ。
「なに言ってるの。昨日だって参考書借りに来たじゃない」
「そうだっけ・・・あんまりいい匂いがするんで忘れてた」
つい久しぶりだという本音が出てしまったので話題を変えて誤魔化す。
「また、女臭いって言いたいんでしょ」
「そんなことないよ。いい匂いだ」
武彦はクンクンと鼻を鳴らす。じっさい花のような香りがするのだ。
「やめてよ、恥ずかしいから」
そう言って顔を赤くする理沙はバスタオルを巻いただけの姿だ。意識はしていなくても武彦の望み通りにしている。
「姉さん」
「なに?」
「そんなもん取ってよ」
「えっ?」
「バスタオル」
「だって・・・」
「取って、そこに寝て、僕によく見せて」
武彦はベッドを指さす。
「うん・・・」
「姉さんは恥ずかしいけど僕がなにをしても逃げられないんだ。僕の手は魔法の手。感じれば感じるほど感度が上がって気持ちよくなる」
「えっ・・・?」
「横になって」
理沙は言われたとおりベッドに横になる。ドライヤーで乾かした髪がシーツに拡がった。
「力を抜いて」
「あっ・・・ダメだよ・・・智宏・・・」
武彦は胸元で留めてあるバスタオルの端をつまんで拡げようとしていた。
「ダメ・・・恥ずかしい・・・」
理沙は両手で顔を覆ってしまう。バスタオルの下にはなにも着けていない。暗示が効いているのだ。
武彦は理沙の肌の美しさに目を見張った。滑らかで、美味しそうだと思った。
「きれいだ・・・姉さん・・・」
そう言って、下腹からバストまでを撫で上げていく。
「やん・・・」
理沙がヒクリと震えた。
バスルームではわからなかった触感に武彦は感動していた。あのときだって柔らかさと弾力に感激したが、こんどは手のひらに吸い付いてくるような滑らかさが加わっていた。
「あっ・・・とも・・・ひろ・・・だめ・・・」
指先で軽く弾くと硬くなっていく理沙の乳首。
「あんっ! ともひろ・・・なに? ああっ! だめぇ!」
理沙が顔を隠している手をどけて下を見ると武彦が乳首を口にふくんでいた。
「だめ・・・あっ・・・あぅんっ!」
舌先で硬くなった乳首を転がすと理沙の身体が跳ねた。
「だめ・・・だよ・・・わたしたち・・・姉弟なんだよ・・・」
理沙は武彦の頭を押し退けようとする。しかし暗示のせいか力が入らない。
「姉弟だから、もっと姉さんのこと知りたいんだ」
武彦が顔を上げて言う。
「それに、さっき僕を気持ちよくしてくれたから、こんどは僕が姉さんを気持ちよくする番って言ったじゃないか」
それだけ言うと武彦はふたたび乳首を口にふくむ。
「ああんっ! だめ・・・だよぉ・・・あんっ」
抗う声は甘さを含んでいる。
「ああっ! だめっ! そこ! いやぁっ!!」
武彦の指先が這うようにして秘肉へ到達していた。
「いやっ! いやぁっ!!」
グニュッとした触感、さらに指を進めていくと理沙は悲鳴を上げた。
「こんなになってる・・・」
秘肉はじゅうぶんに潤っていて指先を濡らした。
「はぁんっ!」
硬くなった突起を見つけると理沙は甘い声とともに身体を震わせた。
「僕、知ってるよ・・・ここ・・・感じるんだよね?」
武彦は、その部分を集中的にいじる。
「いやっ! いたい・・・強くしないで・・・」
「ごめん。痛かった?」
男とは感覚が違うようだと思い、武彦は押さえるような動きを止める。ネットで調べていたから知識はじゅうぶんだと思っていたのだが、それは独り合点なのだと知り、ちょっとだけ武彦は謙虚になった。
「姉さん」
「な・・・に・・・?」
「下手でごめん」
「・・・」
理沙は答えられない。
「あのさ・・・」
「・・・」
「見せて欲しいんだ」
「もう・・・こんなに見てるくせに」
「そうじゃなくって、どうやったら気持ちよくなるのか見せてよ」
「ええっ・・・?」
「姉さんが自分でしてるとこ見たい」
これなら理沙の身体を鑑賞しながら愛撫のやり方を覚えられる一石二鳥の方法だと武彦は思った。
「む・・・むり・・・」
「たのむよ」
武彦は床に正座して手を合わせた。
「・・・」
「姉さん! 答えて」
武彦は口調を強くする。
「は・・・い・・・」
命令と感じたのか理沙が返事をした。
「ねえ、教えて・・・」
「そ、そんな・・・」
「自分でしたことあるでしょ?」
「・・・」
「答えてよ!」
強く言うと理沙はためらいがちにうなずいた。
やっぱするんだ、と、武彦は心の中だけでつぶやいた。憧れの理沙が自分を慰めていたなんて、どうしても見たいと思った。
「だったら見せて。お願い!」
武彦はまた手を合わせる。
「そんなに・・・見たい・・・の?」
「うん。お願い」
こんどは理沙の潤んだ瞳を見ながら言った。
「あっ・・・」
理沙の表情が変わった。
「どしたの?」
「智宏がそこまで言うなら・・・」
急に素直になった理沙を見て、目を見てものを言うと暗示が強くなるのではないかと武彦は思った。
「ありがとう。姉さん」
武彦は、目を合わせることを意識しながら言った。
「いいの。智宏がよろこんでくれるなら・・・」
理沙の頬が真っ赤になる。
そして股間に手が差し込まれた。
「はぁん・・・」
かすかな声とともに理沙は身体をくねらせる。それはそれで、かなりエロい眺めではあるのだが肝心の部分が見えない。
「ふ・・・ふぅん・・・」
理沙は左手でバストを揉みはじめる。
「ね、姉さん・・・」
「な・・・に・・・?」
「いつも・・・そんなふうに・・・してるの?」
「いつも・・・じゃない・・・とくべつ・・・ともひろが・・・見てくれてる・・・から・・・」
「そうなんだ・・・だったら、もっと見せて」
「えっ・・・?」
「脚、開いてよ。姉さんのあそこが見たい」
バスルームでも、ここでも触りはしたがヘアーの奥にある憧れの場所はまだ見ていない。
「智宏の目・・・コワイくらい・・・もう・・・負けそうだよ・・・」
そう言いながら理沙は脚を開いていく。
「もっと・・・見えるようにして」
ベッドの足元に上がった武彦は理沙の股間を覗き込む。
「こう?」
理沙が膝を立てた。くすんだ色の秘貝が開いてピンク色の秘肉が露わになった。
「すごい・・・こんな近くで見られるなんて・・・感激だ」
「グロテスクでしょ? 恥ずかしい・・・」
「そんなことないよ。とってもきれいだ」
「ほんとに・・・?」
「うん。だから・・・また触って・・・どうやったら気持ちよくなるのか教えてよ」
思い入れが強いからか理沙の秘所はネットで見るものより美しく感じた。
「うん・・・」
理沙は人差し指と中指でクリトリスを挟むようにして、ゆっくりと円を描くように動かしはじめた。
必死で声を抑えているのがわかる。
「そっか・・・そうやるんだ・・・」
「いや・・・恥ずかしいから・・・言わないで・・・はぁんっ!」
しゃべってしまったせいか、ついに甘い喘ぎを漏らす理沙。
「聞かせて・・・何を考えながらしてるの?」
「いや・・・智宏が・・・あん・・・見てるから・・・」
理沙の言葉は答えになってない。
「僕が見てると感じる?」
「ああ・・・恥ずかしくて・・・ヘンな気分に・・・あんっ!」
「だったら、もっと見ちゃおう。きっと、どんどん気持ちよくなるよ」
武彦は両手の親指を使って秘貝を押し拡げた。
「いやぁぁん・・・」
蜜壺が口を開けて愛液が糸を引く。喘ぎにシンクロしてヒクヒクと動いている。
「こんなになってるんだ・・・」
複雑にからみ合うピンク色の秘肉に武彦は見惚れた。
「だめ・・・そんなに見たら・・・ああっ・・・」
声とともに潤いが増したように感じた。
「姉さん・・・」
「いやぁぁぁぁっ!!」
武彦は指を挿入していた。
「すごい・・・クニュクニュしてて・・・」
「いやっ! ああんっ! ああっ!」
リサの声は悲鳴に近い。
「痛い?」
「ちっ・・・ちがうけど・・・ああっ! だめっ・・・だよぉ・・・」
「姉さん、声がエロい」
武彦は内部の感触を確かめながら言う。
「はんっ! そこ・・・だめっ!!」
上側というか前側なのかザラついた部分があって、そこをこすると理沙は激しく反応した。もう自分で触るのを止めてシーツを握りしめている。
「さっきのお礼」
武彦は指を入れたままクリトリスを舐めた。
「いやぁぁぁっ!」
理沙は腰を浮かせながらビクンビクンと痙攣した。
その反応に気をよくした武彦は舌先でクリトリスを転がしながら、例のザラザラした部分をこすり続けた。
「やっ! やんっ! ああっ! あぁぁぁぁっ!!!」
理沙が痙攣しながら叫ぶ。
「姉さん、いっちゃった?」
「あんっ・・・わかんない・・・こんなの・・・はじめてなんだもん・・・ひどいよ・・・智宏・・・」
理沙はまだヒクヒクと震えている。
たぶんだが、自分の手で理沙を絶頂に追いやったのだと思い、武彦は感動していた。
「すごくエロくて、でもステキだった・・・」
「ばか・・・もう・・・これ以上は・・・だめ・・・だからね・・・」
恨めしげだが、ひどく色っぽい目で見上げる理沙の視線に武彦はゾクゾクした。
「そんな! これからじゃないか!」
武彦は身体の位置をずらして腕立て伏せのような姿勢で理沙の上になる。
「えっ・・・?」
理沙の怯えたような表情が武彦の興奮をいっそうのものにしていた。
「うそ・・・うそでしょ・・・?」
「ううん、うそじゃない」
「だって、私たち姉弟なんだよ・・・」
「わかってる」
武彦は理沙の目を見ながら顔を近づけていく。
「えっ! あっ! だ・・・んんんっ!!!」
最後まで言わないうちに唇が重ねられていた。
最初は手で武彦を押し退けようとしていた理沙だが、舌が差し込まれ口内を這いまわるようになると力が入らなくなった。つい無意識に反応して舌を絡めてしまう。
武彦は感動しまくりだった。夢にまで見たファーストキスの相手が理沙なのだ。粘膜のふれ合いに陶然としながら手のひらでバストの感触を楽しむ。
どれくらい、そうやって楽しんだだろう。武彦は身体を浮かして位置を整える。そして唇を離して理沙の目を見つめた。
「と、智宏・・・だめ・・・ゆるして・・・」
なにをしようとしているかを察した理沙は必死で懇願する。
「姉さん、初めて?」
理沙は怯えたようにうなずく。
「うれしいよ」
武彦はニッコリ笑う。
「お願いよ・・・こんなの・・・いけない・・・こわいの・・・」
そんな言葉を意に介さず武彦は屹立に手を添えた。
「あうっ! いやぁっ!」
先端で秘肉をなぞって位置を探るだけで理沙は喘ぎとも悲鳴ともとれる声を上げた。
「だめっ! それだけは・・・ゆるしてぇっ!」
必死でずり上がって逃れようとする。
しかし、位置を定めた武彦は理沙の背中へ手をまわして両肩をつかんだ。
「いくよ」
武彦の真剣な目を見て理沙は唇を震わせる。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
先端が入り込む感覚に理沙は絶叫した。
「あぁぁぁっ・・・いあぁぁぁい・・・いたい・・・ゆるして・・・」
武彦がジリジリと進んでいくと理沙は泣き叫んだ。
「大丈夫。奥まで入れば痛みはなくなるから」
あまりの痛がりように武彦はかわいそうになり暗示をかける。
「ああっ! だめ・・・だめぇっ!」
「ほら、根本まで入った。もう、ひとつになったんだ」
「あぁぁぁぁっ・・・」
言葉の意味に気がついた理沙の瞳から涙がこぼれ出す。
「僕が動くと気持ちよくなるから」
武彦は暗示をかけて動き出す。
「ああっ! だめぇっ! 奥まで・・・あたってるぅ・・・いやぁっ!」
「姉さん・・・僕は・・・すごく気持ちいい・・・姉さんとひとつになれたから・・・」
武彦にだって、処女はやさしく扱うくらいの知識はある。風呂で一発出したばかりだし、暗示の効果を疑っていないので精神的にも余裕があった。
「ど・・・どうして? だめなのに・・・ああっ!」
「姉さんも・・・気持ちいいんだね? うれしいよ」
明らかに甘くなった理沙の声がうれしかった。いくら暗示が効いているとはいえ激しくしてはいけないと本能が告げていた。武彦は理沙の快感を探るように慎重に動く。
「あ・・・熱いの・・・奥が・・・ああっ! だめぇ・・・」
「姉さん・・・大好きだよ・・・」
武彦は理沙を思いきり抱きしめた。密着した肌から弾力と体温が伝わり、それが新たな快感を呼んだ。
「あんっ! とも・・・ひ・・・ああんっ!」
それは理沙も同じらしかった。抱きしめられた途端、声の質が変わった。
「り・・・理沙! りさぁぁぁぁっ!」
その声が引き金になり、武彦は夢中になって、つい理沙の名前を呼んでしまう。
「ああっ! ともひろ・・・名前・・・呼んで・・・くれるんだ・・・おかしく・・・なっちゃう・・・よぉ・・・」
もう、二人とも理性を失いかけていた。
「理沙!」
武彦はもう一度叫んで理沙の唇を貪る。
痛みがなくなると暗示をかけられた理沙は下半身が溶けてしまうような快感に身を委ねた。
二人は同時に登り詰めていく。
「んっ! んっ!!」
声にならない声を上げて理沙の身体が大きく跳ねる。
それに釣られるように武彦も放出した。
武彦は終わっても理沙を抱きしめ続けた。
◆
同じ頃、武彦の家でも全裸になった深雪が、その身体を智宏に見せつけていた。武彦がかけた暗示で、智宏を自分の部屋に連れ込んで、いきなり服を脱ぎはじめたのだ。
「み、深雪さん・・・」
荒い息をしながら智宏は深雪の名を呼ぶ。
「あんたさぁ、なんで、さっきから、あたしのこと名前で呼ぶの?」
「あっ・・・すいません・・・」
「で、タケはこれが見たかったんだよね?」
ベッドに座った深雪はM字に脚を開く。
「うわっ! すごい・・・」
「大きな声出すんじゃない。母さんたちにバレたらどうすんだよ?」
「はい・・・」
「見るのはいいけど、触っちゃダメだからね」
「も、もちろんです」
「で、教えて欲しいことってなによ?」
「あ・・・あの・・・一番感じる場所ってどこですか?」
「その、なにげにキモイ敬語やめてくれる」
「ごめんなさい・・・」
「あんた、おかしいよ」
「だって・・・うれしくて・・・」
「そりゃそうだよね。こんなに美人の姉ちゃんの裸が見れるんだから」
「はい」
「クリだよ」
「えっ?」
「クリトリス。知らないの?」
「名前・・・だけなら・・・」
「ここだよ」
深雪はベッドの背もたれに寄りかかってM字に開いた脚の外側から両手をまわして秘裂を拡げた。
「この上にある小っちゃいのがクリトリス」
「ぬ、濡れてますね」
たしかに深雪の秘肉はグッショリと濡れていた。
「しょ、しょうがないだろ。なんでか知らないけど、あんたに見られてるって思ったら興奮しちゃったんだから」
「そうなんだ・・・やっぱり、そういうときは一人でエッチしたりするんですか?」
「う・・・うん・・・まあ、そうかな・・・」
「じゃあ、僕に見せてください。一人でエッチするとこ・・・」
「わかったよ。机の一番上の引き出しにローターがあるから持ってきて」
武彦から「願いをかなえる」という暗示を受けているので無意識に智宏の言うことを聞いてしまうのだ。
「こんなの使ってるんだ・・・」
智宏は取り出したローターをしげしげと眺めてしまう。
「はやく。見たくないならいいけど」
「は、はい!」
バッタのように飛び上がって深雪の傍らに来た智宏はローターを差し出す。
深雪はわりと自然な動作で受け取るとスイッチを入れた。虫の羽音のような音が部屋に響く。
「これ、もっと強くした方が気持ちいいんだけど、外に音が漏れちゃいそうでさ。これくらいなら大丈夫かな」
深雪はローターのダイアルを調整する。そして卵形の本体を秘肉にあてがう。
「ふぅんっ!」
その瞬間に身体が震え、口からは甘い声が漏れた。
「や、やだっ。なんで、こんなに・・・」
「どうしたんですか」
ベッドの足側に正座して見ていた智宏が聞いた。
「なんか、今日はヘン。いつもより感じちゃう」
口調が女の子っぽくなっているのがおかしかった。
「だから、僕はその感じてるとこが見たいんです」
「わ、わかったよ・・・」
深雪は行為を再開する。
「あっ・・・んんっ・・・はぁんっ!」
必死で声を飲み込もうとする深雪の表情がたまらなくエロい。
身体を震わせるたびに茶色に染めた縦ロールが揺れる。
ツンと尖って上を向いた乳首もかわいらしいと智宏は思った。
「きれいだなぁ・・・」
思わず智宏はつぶやいていた。
「あっ・・・やんっ・・・そんなこと言うな・・・」
「どうして?」
「だって・・・感じちゃうから・・・」
「いいじゃないですか。感じてる深雪さんはとってもエロくて興奮します」
「やぁっ・・・やめろ・・・やばい・・・ああんっ!」
喘ぎながら深雪はローターを秘肉の溝に沿わせて動かしていた。
「や、やだ・・・とまんないよぉ・・・あああっ・・・」
身体が震え出す。
「僕もしたい」
「なに・・・」
「深雪さんとおんなじに・・・」
「いいよ・・・ああんっ!」
「じゃあ・・・」
智宏はジーンズのファスナーを下ろすと屹立を取り出した。
深雪は智宏のものを見ながら右手を動かしている。
「あんっ・・・だめっ・・・いくっ・・・」
腰を突き出すようにして深雪が痙攣しだした。
「ぼくも・・・」
智宏は屹立を勢いよくしごいた。
「だめっ・・・あっ・・・ああんっ!!」
「うぅぅぅぅっ!」
深雪が大きく痙攣するのと同時に智宏が放出する。
放物線を描いて飛んだ精液が深雪の身体に降りかかる。
「ごめんなさい・・・」
「なにが?」
そう答える深雪の顔は惚けている。
「かかっちゃったから・・・」
「これか・・・」
深雪は緩慢な動作で降りかかった精液を指ですくう。
「拭きます」
「うん」
「でも」
「なに?」
「触っちゃダメなんですよね?」
「触りたいんだろ?」
「はい」
「じゃあ、いいよ・・・」
「はい」
智宏はティッシュを数枚取り出して、ていねいに深雪の身体を拭きはじめた。
「タケ・・・今日はヘン・・・」
深雪の口調からはいつもの棘が感じられない。
「えっ?」
「言葉遣いもヘンだし、あんた、隣の理沙ちゃんが好きだったんじゃなかったっけ?」
「あっ・・・いや、姉ちゃんの方がいいや」
智宏はパニクって自分が武彦と入れ替わっていたことさえ忘れていた。やっと、この段階で深雪のことを「姉ちゃん」と呼ぶ余裕ができた。
「ふぅん・・・」
「ごめん。髪にもついちゃったから、風呂入ったほうがいいかも」
「気がすんだ?」
「えっ?」
「知りたいこと。もういいの? 見るだけでよかったの?」
「いいと言えばいいんだけど・・・できれば・・・」
「ゴム着ければいいよ」
「ええっ?」
「持ってる?」
智宏は首を振る。
「その気があるんなら自販機で買ってきな」
智宏はものも言わずに立ち上がるとジーンズをはいて部屋を飛び出した。
「買ってきた!」
十分も経たないうちに肩で息をしている智宏がドアを開けた。
その必死な形相を見た深雪は「プッ」と吹き出した。
タオルケットをかけているが、その下は裸のままの深雪を見て智宏は安堵した。
「そんなにしたいの?」
深雪の言葉に智宏は何度もうなずく。
そんな智宏に深雪は不思議な感情を抱いていた。「願いをかなえろ」という暗示のせいかもしれないが、武彦だと思っている智宏がかわいくってしかたなかった。それは智宏の一途な気持ちが通じた結果かもしれない。
智宏は大急ぎで服を脱ぐ。深雪が心変わりしたらどうしようと不安に駆られながら走ってきたのだ。まだ、その気持ちが残っている。
ぜんぶ脱いでコンドームを着けようとしたところで困った。必死で走ってきたせいで萎えてしまっているのだ。
「どしたの?」
深雪の冷たい口調。
「あ・・・あの・・・」
智宏のあたふたした様子を見て深雪の心が騒いだ。小さいころ武彦の面倒を見てやった思い出がフラッシュバックする。
「こっち、おいで」
「はい・・・」
叱られる子供のように意気消沈してうなだれる智宏。その姿にキュンとしてしまったのだ。
「これじゃ無理だね」
智宏のものを見て冷たく笑う深雪。ただ、この印象は客観的なもので、深雪本人は冷たくしているつもりはない。そういう笑い方であり、しゃべり方しかできないのだ。ゴムを着けろと言ったのは深雪独特の照れ隠しだった。
「そのまんまでいるんだよ」
深雪はそう言うと智宏の前にしゃがんだ。
「あっ・・・姉ちゃん・・・」
智宏がそう言ったときには萎えたものが口にくわえられていた。
「う、うわっ・・・すごい・・・」
智宏はそんなことしか言えない自分が情けなかった。
しかし、憧れの深雪にくわえられていると思っただけでムクムクと甦っていく。それに、深雪の舌使いはかなりのものだった。
深雪には彼氏がいた。フェラチオのテクニックはその彼に教えてもらった。過去形で書いたのは、つい最近、振られてしまったからだ。原因は深雪のクールに見えるキャラクターだった。些細なことでケンカをした。その傷心を表に出すまいとすると、よけいにクールに見られてしまうという悪循環を生んだ。彼は別の女に走った。そんな深雪にとって血のつながった弟は癒しだと感じたのかもしれない。
深雪はコンドームのパッケージを破って智宏のものに器用に装着した。そして、上を向いてちょっとだけ微笑んだ。
「姉ちゃん」
そう言った智宏の頭の中には「度胸を据えろ」という武彦の言葉がリフレインしていた。
「きゃっ!」
小さい悲鳴を上げたのは深雪だった。いきなり智宏にお姫様抱っこされたのだ。いくら年下とはいえ、その腕と胸は逞しかった。またキュンとしてしまう。
「むぐぅ・・・」
ベッドに寝かされると、いきなりだがキスをされた。智宏の突然の変貌ぶりに驚いたが、それは不快なものではない。むしろ心地よかった。
「んんっ! んんんっ!」
バストを鷲づかみにされると秘肉が疼いた。一刻も早く武彦のものが欲しいと願う深雪だった。智宏の背中に手をまわして引き寄せる。
智宏も積極的になった深雪に驚きながら、こんなチャンスは二度とないかもしれないと思い突き進んだ。
智宏の腰が深雪の脚の間に割り込んでいく。
深雪は智宏の屹立に手を添え蜜壺の位置へ誘う。
これらの動作は唇を重ねたまま行われた。智宏はキスに夢中だったし、深雪にとっては喘ぎ声が漏れないようにするいい手段だった。
「んぐぅっ! んんんっ!!!」
智宏は入り口を察知すると一気に挿入した。たまらず深雪は背中をのけ反らせ硬直する。
深雪は智宏にすがりつきながら挿入の瞬間に絶頂を迎えていた。いや、痙攣して声が漏れそうになるので智宏にすがりついていたと言った方が正確かもしれない。
智宏は全身で深雪を感じながら夢中で腰を振っていた。
二人の頭の中では火花が散っていた。
智宏は二度目だというのに大量の精液を放出した。
深雪は奔流を感じて半ば意識を失ってしまった。
◆
こうして武彦と智宏はほぼ同時に文字通り倒錯した初体験を済ませた。
三日間、武彦は理沙の父母に暗示をかけて、理沙の身体を味わい尽くした。
智宏と深雪は両親の目を盗んでは何度も交わった。
そして倒錯の蜜月は終わった。
◆
武彦が老人の屋敷を訪れたのは五日目のことだった。
「どうじゃった? 薬は本物じゃっただろう?」
武彦の顔を見て老人は笑顔で言う。
「はい・・・」
しかし武彦の返事は元気がない。
「どうした? 困ったことでも起きたか? たいていのことなら薬で解決できるが」
「ほんとですか?」
「うむ。効能をよく知らせずに渡してしまったからな。安心せい。解決法はあるはずじゃ。話すがよい」
「はい・・・じつは・・・」
武彦は親友である智宏と入れ替わり互いの姉を交換したことを話した。
「ううむ・・・また、ずいぶん、ややこしいことをしたもんじゃの」
「そうなんですか?」
「秘伝の惚れ薬を使えば女など思いのままになるのに」
「ええっ・・・じゃあ、僕のやったことは・・・」
「無駄とは言わん。その、向こうの両親を操ったところなど、影武者薬の応用としてはなかなかのものじゃ」
「でも、困ったことに・・・」
武彦は四日目のことを話しはじめた。
「理沙は智宏に惚れ切っちゃっていて・・・智宏が帰ったら・・・求めてきたらしくて・・・それが、暗示の解けたおばさんにバレちゃってタイヘンなことになってるんです・・・」
「ふぅむ・・・そりゃ難儀じゃな」
「それだけじゃなくて、姉ちゃんも・・・僕が帰ると求めてきて・・・」
「その様子では、やってしまったんじゃな?」
「はい・・・仕方なかったんです・・・流れで・・・そうなっちゃった」
「そうか・・・」
「お願いです、元に戻す方法を教えてください」
「元に戻す?」
「はい」
「それは無理じゃ」
「ええっ・・・だって、さっき、たいていのことなら薬で解決できるって言ったじゃないですか」
武彦の口調には老人に対する不満が含まれていた。
「うむ。時を戻すのは薬の役割ではない。しかし、薬で解決する方法は大きく分けて二つある」
「どんな方法ですか?」
「一番簡単なのは影武者薬を使って、もう一度、その友だちと入れ替わり暗示をかけ直すことじゃ。しかし、影武者薬はもうない」
「二つ目は?」
「うむ。惚れ薬と忘却丸を用いる。お前の場合なら、その理沙という女に惚れ薬を飲ませ、あとは忘却丸でほかの者どもの記憶をなくす。あるいは全員に飲ませれば、ある意味、元に戻すこともできる」
「そっちの方がいいかな・・・おじいさん、その薬をください」
「ないんじゃ」
「えっ?」
「作らねばならん」
「だったら僕も手伝いますから」
「では、儂の跡を継ぐんじゃな?」
「はい。そうしないと大変なことになっちゃう」
「ただな、これから薬草を採りに行かねばならんし、秘薬の調合には時間も技術も必要じゃ。最低でも一ヶ月はかかる」
「そ・・・そんな・・・」
「それまでは儂のところに通うがよい。秘法を伝授してやる。人生が思うとおりになって楽しいぞ。それに、お前はまだ若い。したいことがあっても場所に困るじゃろう。儂の跡継ぎとしてこの屋敷を自由に使うがよい」
そう言って老人は笑った。
武彦は老人にまんまと嵌められたのではないかと思った。これから一ヶ月、迫ってくる深雪のことを考えると頭が痛かった。しかし、それでも「人生が思うとおりになって楽しい」という老人の言葉に、学園のアイドルである南川琴音や、憧れの教師である長谷川恭子の顔が浮かび、期待に胸を膨らませてしまう武彦だった。
< 終 >