武器よさらば(後編) 月が出ていた。 湾岸の、工場、倉庫が建ち並ぶその一帯は、昼間でも訪れる人はそれほど多くなく、日が暮れればほとんど静寂につつまれる。 その建物は、外観上はただの倉庫といったところで、周辺の倉
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超越医学研究所HML 武器よさらば(前編)
武器よさらば(前編) 東京湾岸の、人影もまばらな埠頭の一画に、一隻の船が停泊していた。全長20メートルほどの大型 クルーザーで、一見したところ、何の変哲もない民間の船舶である。 しかし、その中では……。 「副官、作業
もっと読む超越医学研究所HML JINBO電撃作戦(後編)
JINBO電撃作戦(後編) 皆さん、超越医学研究所・主任研究員の神保美紀です。 私ともと子ちゃんは、キャシー竹橋さんの病状の原因を探るべく、オーストリア・ウィーンにあるエリノア財団の本部にやってきました。 財団の理
もっと読む超越医学研究所HML JINBO電撃作戦(前編)
JINBO電撃作戦(前編) 皆さ~~ん、私、超越医学研究所主任研究員・神保美紀で~~~す! 今回は、な、な、なんと海外出張ですの。 それは、研究所の、平和な昼下がりのことでした。 この時間、所長は所内のジムで
もっと読む超越医学研究所HML イブの悲劇
イブの悲劇 ――被験者、猿楽一郎。超越医学研究所研究員。身長170センチ、体重59キロ、やや猫背、近視ぎみ……。 ――目標補足。猿楽研究員です。 「よっしゃ悦っちゃん、ランチャーかまえ、や!」 「はい、先生!」
もっと読む超越医学研究所HML 女兵士キャシー
女兵士キャシー ――1―― ケイン、グエン……それに、ミスターMの部屋が爆破された時にジョナサンがやられた。 あたし達の数はあと10人。 電源の落ちた薄暗く狭い通路が延々と続き、無数のダクトや配管がうねっていた
もっと読む超越医学研究所HML 海へ、see you
海へ、see you うふ、うふ、うふふふふ……。 ここは海水浴客がよく利用する海辺の旅館の和室。 一人の女性が床の間を背に正座している。 旅館の東向きの部屋には、朝の日差しが差し込んで、女性の眼鏡のレンズをギラ
もっと読む超越医学研究所HML 中華怪談腹嬢虫
中華怪談腹嬢虫 ああ、感激だなあ。 ここが僕の職場だ。 超越医学研究所―――。 世のため、人のためになりたいと医学をこころざし、苦学を重ねて、国家資格を取り、僕はようやく医者としての第一歩を踏み出したんだ! み
もっと読む超越医学研究所HML いけないリラクゼーション
いけないリラクゼーション 夕刊紙の風俗欄の三行広告を見て、僕はピンと来たんだ。今日のお遊びはここに決めた。 被験者求む! 当方美人看護婦多数在籍 電話 ○○○-×××× 超越医学研究所 文脈からすると、イメク
もっと読む超越医学研究所HML 隔離病棟
隔離病棟 ――1―― 「神保くん、何だね? その格好は?」 「はいっ! 対感染症用の防護服です!」 「防護服を着ていったいどこへ行くのかね? 神保くん」 「もちろん、隔離病棟ですっ!」 「わしはまた、生物化学兵器が投入さ
もっと読む超越医学研究所HML プロローグ
プロローグ 皆さ―――ん、今日も健康な一日をお過ごしでしょうか? こちらは、超越医学研究所で―――す。 東京都内某所に施設を構えておりますの。 「超越医学」という単語について、おそらく皆さんは初めて耳にされること
もっと読む超越医学研究所HML 砂の記憶(後編)
砂の記憶(後編) ――皆さん、私は超越医学研究所・主任研究員神保美紀です。 私は、決心しました。キャシーさんのために。自分自身の信念のために……。 大学時代の友人、秋葉君からの連絡を受けた私は、大佐と呼ばれる人
もっと読む超越医学研究所HML 砂の記憶(前編)
砂の記憶(前編) 暗闇の中を飛んでいくような軍用ヘリのプロペラの音が、耳にこびりついて離れない。 ヘリに乗り込んだ仲間達は、死人のように青ざめた顔をしている。 リンダ、ジェシカ、ケイン、ジョナサン、スティーブ……。
もっと読む超越医学研究所HML カメレオンガール
カメレオンガール 「点呼を取ります! 番号、いち!」 「にィ!」 「さん……」 「キャシーさん! 元気がありませんわ!」 怒られちまった……。 よお、みんな、元気かい? あたしはすこぶる元気がない。 あたしの名
もっと読む超越医学研究所HML 女の戦い
女の戦い ――神保主任の海外出張が伸びたんやて? ――するといま、キャシー竹橋はどないなっとるんや? ――つまり、ノーマークっちゅうわけやな。 ――えらい好都合やんか。 ――試して、みるか? チロチロチロと水
もっと読む温泉宿
あ~あ、女三人で温泉になんか来るんじゃなかったよ。 そりゃあ世間は温泉ブームとかいって、女性客を狙った温泉は雑誌とかでもたくさん紹介されている。 それなりにお洒落な温泉地もあるし、若い女性のグループでも安心して旅行
もっと読む琴音の店
琴音の店を訪れるのは久しぶりである。東京都内でも有数の盛り場の一角に、彼女の店が入居している雑居ビルがある。 ビルの前の通りでは、花売りの婆が商売をしていた。ちょうどいい、俺は適当な花束をみつくろって金を払った。
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