花の帝国 4

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8月9日(土)
琴子26日目
千沙13日目
美冬さん13日目
両親13日目
川島シゲル6日目

 明日まで女子バスケ部の中休みなので、今日は琴子、千沙、美冬さんの3人に僕の家に集合してもらって、丸一日エッチなことをしていました。植村さんの言葉に影響されたのかもしれませんが、確かに琴子や千沙の胸の大きさや、肌の綺麗さが、少し変化しているような気もしました。そして美冬さんは相変わらず肌の調子が良いと、上機嫌でした。

 琴子に正直に答えるように指示したら、いつものブラジャーがキツくなっていると、恥ずかしそうに認めます。千沙は、胸のシコリみたいな部分が時々痛かったり疼いたりするけど、ブラはまだそれほどキツくないと、若干残念そうに答えてくれました。そこで、琴子と千沙には上着とブラを脱いでもらって上半身裸で向かい合わせて、おたがいの胸をマッサージ。女子同士で面と向かって胸を揉みあうのはなかなか恥ずかしいみたいで、おたがいにうつむきながらモミモミしているので、もっとたがいの目を見つめ合って、嬉しそうにマッサージしあうように指示をしたら、2人とも仲良しレズカップルみたいにクスクス笑いながら相手の胸を揉み合います。なかなか可愛い光景だったので、写真も撮らせてもらいました。

 美冬さんは僕が目を見て頷くだけで、嬉しそうにスルスルと服を脱いでいきます。黒いレースの下着を見せつけるように脱ぎながら、僕の視線を気持ち良さそうに体中で受けとめていました。オッパイやお尻をペチペチ叩いてみると、確かに前よりシットリとした肌の質感を感じられます。ツルツルのアソコはすぐに少し盛り上がったみたいになって、割れ目の部分がヌルヌルと開いてきました。

「琴子と千沙も、全部脱いで、こっちにおいで。みんなで僕を気持ち良くさせなさい。」

 クラスメイトたちのキュロットやスカート、パンツが絨毯の上に落ちます。1人の美人奥さんと2人の美少女。僕の可愛い召使いたちが全裸で僕に近づいて、僕の口に、足に、胸にキスをします。3人に服を脱がされながら、僕はどこに目をやっても可愛くエッチになっている景色を楽しんで、興味にまかせて手を伸ばして、自由に触ります。右手で千沙の左胸、左手で琴子の右胸を揉んでみたり、美冬さんのウェーブのかかった髪に顔を埋めてみたり、琴子の背中をいきなりベロンと舐めてくすぐったがらせたり、千沙のアンダーヘアを急に軽く引っ張ってみたり。彼女たちは僕の好き勝手な悪戯を受け入れながら、僕の服を脱がせてくれました。

 千沙がベッドにあったタオルケットを絨毯に敷くと、僕がその上に寝っ転がります。琴子が僕の乳首に舌を伸ばしながら僕に覆いかぶさりました。美冬さんも千沙も、負けじと僕の上に乗っかって、それぞれの愛撫を披露します。気持ち良いけれど、3人の体重を受け止めると、ちょっと重かったです。そして千沙が僕のおチンチンを口に入れて、目下練習中のフェラチオの進歩を見せようとします。僕が気持ち良さそうに声を漏らすと、琴子も、美冬さんも、慌てて僕の股間に群がります。美冬さんと琴子と千沙の頭が、ゴチンッて音を立てて、ぶつかってしまいました。

「イタッ」

「うあっ」

「や~んっ」

 頭を押さえてうずくまる、全裸の綺麗どころ3人。僕はせっかくの夢見心地から、急に現実に引き戻されるような、ものたりない気分。

「ちょっと・・・3人とも、もっと協力して、連携プレーで僕を楽しませてよ。・・・じゃ、とりあえず千沙がブレーンになって、3人のベストな連携を考えて。」

「は・・・はい・・・。・・・じゃ、琴子と、美冬さん。ちょっと集合して。」

 円陣を組むみたいになって、3人が作戦会議に入ります。僕は3人の、プリプリしたお尻が、相談するなかでモゾモゾ動くのを、後ろから眺めて楽しんでいました。3人とも、全裸で膝立ちになって、真剣に会議しています。その様子が健気というか可愛らしいというか、とても面白い絵になっていました。

「じゃ、ご主人様。千沙が考えたフォーメーションで、お楽しみください。」

 寝そべる僕の頭の方にポジション取りした美冬さんが、僕に頭の上から覆いかぶさるようになって、豊満な胸を僕に押しつける。ピンクの乳首で僕の顔を撫でるみたいに、オッパイ攻撃をしかけてくる。千沙が、四つん這いで僕の体を跨ぐみたいにして、僕の脇腹や内腿を、ペロペロ舐めてきます。そして、琴子が僕の腰の上で大きく足を広げて、スクワットするみたいに股間を僕のおチンチンに近づけてきました。みんな僕に体重を乗っけないようにしながら、オッパイで、ベロで、そしてオマ○コで僕に奉仕を始めます。

 ボリューム満点の美冬さんのオッパイは、僕が顔を動かす度にポヨポヨと反応を返してくれる、あったかくて柔らかい水風船みたいで、形を変えながら僕の顔に押しつけられます。千沙の舌は僕がくすぐったがる部分を鋭く発見しながら、気持ち良いと、くすぐったいのギリギリの境界線でペロペロチュパチュパと僕を挑発してきます。そして僕のおチンチンをくわえこんだ琴子のアソコは、バスケで鍛えた脚力で僕のおチンチンを、なかでギュッと締めつけてグリュグリュ上下します。確かに3人の長所が上手に絡み合った連係プレー。秀才・千沙の頭脳をエロにばかりフル活用するのは、申し訳ないような気もするけど、出来映えにはとても満足できました。

 千沙が僕のタマに吸いついたところに琴子のお尻が降りてきちゃったり、美冬さんと琴子の愛撫のリズムが合わなかったりと、最初のうちこそギクシャクするところもあったけれど、全員が『協力して、連係プレーで僕を楽しませて』という命令の遂行に全力を尽くすうちに、きちんとタイミングも合ってきました。最後には琴子の上下運動と千沙の舌の左右運動、美冬さんの8の字のようなオッパイの揉み上げ挟み込み運動が見事に連動して、僕の快感をぐんぐん頂点まで高めていきます。最後に僕が足先まで力んで、琴子のなかで思いっきりイッた時には、琴子もほぼ同時に昇天していました。琴子のあごがツンと天井を向いてあがると、僕の膝回りに、小さな粒がパラパラと落ちてきます。また種を収穫することが出来ました。

 僕の反応をしっかり学習しながら、適切なフォーメーションを考えることができた千沙にも、ご褒美のセックスをあげます。千沙の性感帯は宿題とペッティングの合間に全部正直に暴露させてきたから、僕もそれなりに学習できています。

「千沙は頭の上で両手を組んで。美冬さんと琴子は千沙の脇の下を優しく舐めてあげてね。」

「はっ・・・そこはっ・・・ぁあんっ・・・。駄目っ、ご主人様っ。」

 今度は僕の腰のところに千沙を乗っからせて、下からズボズボと攻撃。両手を頭の上で組んだ千沙が、両方の脇の下を琴子と美冬さんに舐め上げられるたびに、ビクンビクンと体をクネらせます。僕の空いている両手で、微乳のオッパイを揉み上げたり、ツンッて起き上がった乳首を軽く指で弾いたりしながら、腰を突き上げます。

「ほら、千沙も僕とタイミング合わせて腰振って。」

「はっ・・・はいっ・・・あぁっ・・・もうっ・・・・・もうっ!」

「千沙、イクときにはバンザイして、イキますって叫んで。」

「そっ・・・そんなの・・・恥ずかす・・・ぎ・・・・・あっ・・・・はああっ・・・・もっ・・・・もうっ・・・。」

 真っ赤な顔をした千沙が、頭で組んでいた両手をピンッて天高く伸ばして、バンザイします。

「イキまーーぁぁっす!」

 授業中も休み時間でも、落ち着いた物腰が印象的だった優等生が、まるで選挙で当選した政治家みたいにバンザイして、意外なくらい大きな声を張り上げます。最後は声が裏返って、肩で息をして、ガクッと頭を前に降ろすと、僕のオヘソ回りに、パラパラと小さくて固い粒が落ちてきました。

「琴子と千沙とで疲れちゃって、さすがに3回目はすぐにはイケなさそうだから、美冬さんは2人で苛めてくれない?」

「そ・・・そんなぁ、私も、孝典君と・・・琴子ちゃんや千沙ちゃんみたいな激しいのが・・・。」

「大丈夫、2人に任せて。2人とも、激しく美冬さんを苛めちゃってよ。」

「もう・・・待ってたのに~。」

 悲しそうな美冬さんに、ついさっき昇天したばかりで、目が少しイッちゃってる2人が立ちはだかる。

「美冬さん、ゴメンね。こんなことしたくないんだけど。」

「命令だから・・・覚悟してね。」

 最後の美冬さんは、顔に千沙のお尻を押しつけられて、両足は全開まで開かれます。謝りながら電気アンマの技をかける琴子の足が、ズブ濡れになるくらいの潮を噴いて、美冬さんはイカされていました。千沙がお尻を上げると、幸せ絶頂のドMの素顔を晒して、美冬さんは笑顔で白目をむいていました。絨毯には種が10個近く、ばら撒かれていました。

 今日は1日で26粒の種を収穫することが出来ました。形や色、大きさでだいたいグループ分けをして、これまでに見たことの無いグループはサンプルをお送りしますので、よろしくご確認願います。

。。。

 8月10日、日曜日。川島シゲルは浜浦海水浴場へと向かっていた。一緒に行くメンツはそれほど悪くない。シゲルのパシリだった平賀孝典とクラスメイトの穂波琴子。琴子は、もともと顔は可愛かったが気が強い体育会系。女子のグループのなかでは喧しい奴だったからそういう目では見てこなかったが、最近ぐんぐん女っぽくなってきていて、一緒にいるだけでいい感じだ。おなじくクラスメイトの香村千沙は、成績抜群の優等生だったからシゲルとは住む世界が違う相手だったけれど、夏休みの間に、少し肩の力が抜けたような、いい女になりつつある様子。おまけに、保護者がわりか知らないが、同行する小松美冬という孝典のお隣さんが非常に魅力的だ。最高のプロポーションと穏やかな顔立ちで、シゲルの股間を刺激する、オトナの女。このメンバーだけ考えると、最高の海水浴も想像できるのだが、最近のシゲルの役回りは、妙に調子が狂った感じになっている。今日も、どでかいクーラーボックスと、みんなの荷物を背負い込んで、ヨロヨロと歩く荷物持ちだ。

 物事がいつも通りの具合に運ばない理由は大体わかっている。シゲルのパシリだったはずの孝典が、ここ何日か、シゲルに対して、ああしろ、こうしろと、偉そうに指図してくるのだ。そしてシゲルは、なぜかそんな孝典の言うことを大人しく聞いている。どうして自分がそんな境遇を受け入れているのか、考えれば考えるほど腹立たしいので、正直言ってあまり考えたくもないことなのだが、とにかく孝典がシゲルになにか偉そうな命令をしてくると、シゲルは従ってしまうのだ。抵抗しようとするのも面倒くさい。もう、何も考えたくなくなって、気がつくと孝典の言うとおりに行動している。悔しいし腹立たしいが、ジタバタするのも無駄だという気分になってくる。

 昨日の夕方、孝典からの電話を受けて、シゲルは今日のための買い出しに奔走した。飲み物に保冷剤にタオルに日焼け止めクリーム。シゲルの貯金がここ数日で目に見えて減っていく。なかでも屈辱的だったのが最後の買い物だ。XLサイズの女子用スクール水着。ちゃんとシゲルの体が入るかどうか、試着までした。店員のドン引きした視線を感じながら、シゲルは苛立ってショッピングモールを後にする。そしてその、腹立たしい女子用スクール水着は、みんなと電車に乗っている、シゲルの服の下にしっかり着用されている。電話越しの孝典の指示だったのだから、逆らえない。

 それでも、全てが嫌なことばかりかと聞かれると、シゲルにとって役得が全く無いわけでもない。一昨日の花火大会。クラスの可愛い女子2人。穂波と香村が孝典の指示通り、浴衣の上から下着を脱いでいくところをチラッと拝ませてもらった。美冬さんという美人妻の、浴衣がはだけたところも、一瞬だがガン見させてもらった。夏の夜の白い肌の露出。シゲルは昨日、しっかり抜かせてもらっていた。思い出すと、身につけているスクール水着がキツく締めつけるほどに股間が固くなってくるのだった。

「暑いね~。」

 電車を降りて、改札口を通ってすぐに、孝典が不平を口にする。千沙と美冬が、甲斐甲斐しく団扇を仰いで、孝典に左右から風を送る。琴子が日傘で孝典に日陰を提供しているのに、まだ文句を言っている。もともとインドア派の孝典は、海水浴など似合わないのだ。浜浦海岸駅から13分ほどの移動距離も、サンダルをズルズル引きずりながら、ウザったそうに歩く。大荷物を背負って後から歩く、シゲルにとっては、見るだけで腹の立つ光景だ。

「もう、砂浜も近いよね。みんな、服は脱いじゃって、水着になったら? ビーチ気分を盛り上げていかない?」

 暑さにへばりながら、孝典が勝手なことを言い始める。

「え? ・・・だって、まだちょっと砂浜まで歩くみたいだし・・・。」

「まだ、ここらへんから水着になってる人、他にはいないよ。・・・せめて出店とか出てきてから・・・。」

「もう決めちゃったの。・・・みんなここから水着になりましょー。」

 孝典が決めてしまった。琴子も千沙も、はっきりと指示を口に出されたら、逆らうことが出来ないようで、しぶしぶ服を脱ぎ始める。ボーダー柄のシャツ、水玉模様のスカート、右肩を出しているTシャツ、コットン地のキュロットを脱いで、下に身につけていたビキニ姿をお披露目する。クラスメイトの水着姿を間近で拝むことが出来るチャンスは余り無いので、シゲルにとっても美味しい瞬間だ。もっとも、シゲルも同時にTシャツとバギーパンツを脱ぐと、紺色の女子用スクール水着が出てきて、琴子と千沙の冷ややかな視線に晒されているが。

 そしてサマードレスを脱いで、美冬さんが迫力満点の白ビキニを披露してくれる。琴子や千沙という女子中学生のガキとは違い、美冬さんは水着になるのも少し嬉しそうだ。白い布地が隠しきれない豊かなバストが揺れる。シゲルのスク水の下の部分が、股間の盛り上がりをはっきりと示してしまった。

「あれっ、シゲルが君たちを見て、勃起しちゃってるよ。琴子、シゲルのチンコをデコピンみたいに弾いてあげて。」

「えっ・・・やっ・・・・ほんとに?」

「うん。シゲルも避けないでね。」

 その場で直立不動の気をつけの姿勢になってしまうシゲル。琴子が嫌そうな顔で近づいてきて、しゃがみこんでシゲルの股間を、デコピンの要領で容赦なく弾いた。

「うっ・・・痛えっ・・・ひでえな、穂波。」

「わっ、私だって、触れたくもないんですけど、あんたの・・・こんな・・・。」

 股間を抑えてピョンピョン跳ねるシゲル。汚いものに触れたかのように手をパーにしてブラブラと左右に払っている琴子。1人でケタケタ笑っている孝典。シゲルは、ずいぶん性格悪い奴に服従してしまっているようだった。

「ほら、海も近いよ。千沙も嬉しいでしょ? もっと全身で、ウキウキ気分を表現しながら行こうよ。」

「えっ? ・・・わ、わかりました・・・。キ・・・・キャッホーッ・・・。海よー、海よー。」

 唖然とするシゲルの前で、いつもはすました優等生的な振る舞いをしている香村千沙が、顔を赤らめながら、スキップをして、キャピキャピとはしゃぎまわる。耳まで赤くなっているし、台詞が若干、棒読みに聞こえるのだが、遠くから見れば、海の近くでテンション上がってしまった子のように見えなくもない。

「イェーイ。海よー。ウキウキよーっ。うーみーはー、ひろいーなー、おーきーなー。」

 華奢な体に赤地に白い星柄のビキニで、陽気に振舞う千沙は、傍目から見れば優等生が一気に弾けて青春を謳歌しようとしているように見えるが、シゲルには孝典の仕業であることは想像出来た。シゲル自身が、なぜかはわからないが孝典の言葉に一言一句、逆らえずにいるからだ。きっとシゲルも、孝典からここで一言命令されれば、周囲の目や失笑も無視して、千沙と一緒にスキップしながら、ハモって歌って、はしゃぐことになるだろう。

 駐車場の呼び込みや出店が並ぶ中を、4人の中学生と1人の人妻のグループが歩いていく。ビキニがあまり似合わないスレンダーな体型の優等生が顔を赤らめながらスキップでみんなを煽りながら誘導。ニコニコして歩く、海の似合わなさそうなインドア学生。少し不貞腐れて歩くビキニの女子。ダイナマイトボディの人妻、そして大量の荷物を背負う、女子スクール水着を身につけたマッチョ男子。異様な光景は、周囲の好奇の視線を集めていた。

 やっと砂浜に辿り着く。途中から孝典に、「シゲルはサンダル無しで歩いて」と言われて、焼きつくアスファルトと砂浜の中を、重い荷物を背負いながら、足の裏が焼ける思いで踊り歩いてきたが、ようやく目的地まで到着することが出来た。シゲルがパラソルを500円でレンタルしてきて、設置している間に、孝典は女子チームと仲良く日焼け止めオイルを塗りあっている。孝典の指示が出ているのか、4人がオイルを塗りあっている様子は、仲良くというよりもベタベタとイチャつきすぎていて、まるで風俗か何かのサービスのようだった。ココナッツの甘ったるい香りと4人の体を使ったオイル塗りあいのねちっこさのせいで、シゲルは早くも熱射病にでもかかったように頭がクラクラした。

「じゃ、僕は適当に見てるから、みんなで張り切って準備体操してね。元気よくラジオ体操の歌を歌いながら体操して。」

 自分に甘い孝典は、4人に本格的なラジオ体操をさせながら、早くもクーラーボックスのジュースを開ける。大声で歌いながらラジオ体操をしている美冬、琴子、千沙、シゲルのグループは、あきらかに周りの注目を集めていた。オイルでヌルヌルのビキニ姿で体を大きく捻るたびに、琴子のしなやかな体つきや千沙の大人しめの曲線がはっきり晒される。手足を開いたり閉じたりして美冬が飛び跳ねるたびに、大きな胸とお尻の肉がブルンブルンと揺れる。シゲルの、スクール水着を押し上げる股間の膨らみも、通りすがりのお姉ちゃんたちの失笑を買っていた。

「そろそろいいかな? ・・・みんなで走って海に入ろう。・・・あ、シゲルはお留守番ね。荷物を見てて。暇だったら、砂でお城でも作ってなよ。」

「お・・・おう。」

 別に孝典と海で遊びたいわけではなかったはずだが、ここまで来て、海へ駆けていくクラスメイトたちから置いてけぼりにされると、少しシゲルはへこんだ。水を掛けあったり、抱きつきあったりして、海ではしゃいでいる4人。しばらくそれを眺めていたが、退屈してきたので、シゲルは孝典に言われた通り、砂でお城を作ることにした。

 30分もたっただろうか。シゲルが3つの塔を持つ、かなり大掛かりなお城を完成させた頃に、孝典たちが戻ってきた。琴子の足取りがふらついているのと、千沙が口の横に白くてネバっとしたものを垂らしているのと、美冬さんがビキニのトップを結びなおしながら戻ってきているのが気になるところだったけれど、孝典はご満悦の様子だった。

「じゃ、みんなでビーチバレーしよっか? シゲルはボールが遠くに飛んでいっちゃったら拾ってくる役ね。」

 海水浴に来慣れていないのか、妙にテンションの高い孝典が、珍しくスポーツをやりたがる。ビーチバレーと言ってもフェンスがないので、砂浜の空いている場所で、4人で向かい合ってレシーブやトスを回し続ける遊びをした。ボールが転がるたびに走って取りにいくので、シゲルが一番運動量が多い。孝典の指示で、拾ってきたボールは片膝をついて手渡しする。まるでホストのような役回りだ。

 ボール遊びに(孝典が)疲れたら、みんなでパラソルの下に戻って、お弁当を食べる。シゲルが運んだ手提げ袋の中から、千沙が作ったオムライス、美冬さんの芸術的なキャラ弁当。そして琴子の豪快な握り飯が出てきた。3人にかわりばんこに食べさせてもらって、口をアーンと開けてるだけの孝典。シゲルはパセリとセロリだけ、おすそ分けをもらった。それだけではとても空腹がおさまらないので、海の家でアメリカンドックを買ってきて食べた。

「じゃ、食べたあとですぐに泳ぐと体に悪いから、みんなの水着の品評会をしよっか。この前、告知したとおり、1番セクシーじゃない水着の人が罰ゲームね。」

 3人の女の子とシゲルが、孝典の前に並ばされる。気分を盛り上げるためにと言われて、全員、グラビアモデルみたいなセクシーポーズを取らされた。もはや、変な学生グループとして周りに認知されているシゲルたちには、酔っ払いのオジサンや、家族連れの外人さんたちから指笛が吹かれたりする。千沙たちは強張った笑顔のまま、顔を赤くしていた。

 白くて布地の面積が少ないビキニの美冬さん。トップは首の後ろでしばるデザインになっている。千沙のビキニは赤地に白い星の柄。琴子のビキニは紺と白のボーダー柄だった。

「うーん、美冬さんが1抜けかな? シゲルも変態チックなのがまあまあとして、千沙と琴子が最下位争いだなぁ・・・」

 千沙と琴子の周りをグルグル回りながら、孝典審査委員長が偉そうに品評する。

「でも、もともとのスタイルとしては琴子の方が胸があるよね。それでも2人が最下位争いしてるっていうことは、水着としてのポテンシャルは・・・。発表します。琴子が最下位決定です。」

「うわーっ。なんだよっ。やだっ。もうっ。」

 琴子が頭を抱えてしゃがみこむ。美冬さんがガッツポーズ。千沙とシゲルは胸を撫で下ろした。

「罰ゲームは、今すぐ海の家で、もっとセクシーな水着を買ってきて、ここで着替えることです。3分間はバスタオルで壁を作ってあげるから、急いで買ってきてね。・・・シゲル、琴子に財布渡してあげて。」

(おっ、俺にとっても罰ゲームじゃねえかっ!)

 シゲルも頭を抱えながら琴子に財布を渡す。琴子はビキニ姿で海の家までダッシュ。赤面しながら右手に新しい水着、左手に財布を持って駆け戻ってきた。

「おっ、早い。あと1分もあるよ。」

 孝典に指示されて、千沙と美冬さんとシゲルがバスタオルで目隠しを作ってあげる。シゲルは顔を上げて、入道雲を見つめるように言われた。それでも、30センチ先でクラスメイトが水着を着替えていると思うと、興奮してしまった。

「はい、あと40秒。」

「わーっ、タオルが風でめくれるっ。美冬さん、ちゃんと押さえてて。・・・・シゲル、こっち見んなよっ!」

「あと20秒。」

「ひえーっ、サイズが合ってないよ~。」

「10秒。」

「紐が結びにくいっ! もっとシンプルにしとけばっ・・・ぁああああっ。」

「はい、バスタオル撤去っ。琴子はセクシーポーズっ。」

「はいっ・・・、ごめん、琴子。」

「はいっ・・・・なんと・・か・・・なってない? ・・・やだっ」

 シゲルも命令を受けて、闘牛士みたいに勢い良くバスタオルを取り払う。豹柄のビキニに着替えた琴子は確かにセクシーさが増していた。右手を後頭部、左手を腰に当てて、少し腰を曲げてセクシーなポーズ。それでも良く見ると、ビキニのパンツが綺麗に穿ききれていなくて、股の布地から毛が何本か、チョロンとはみだしてしまっていた。そして、結びが緩かったのか、ビキニのトップの紐がゆっくりとほどけてきて、トップがペロンとめくれて裏返しになる。家族連れや若者が沢山遊んでいるビーチで、琴子の形のいいオッパイが完全に晒されてしまった。

「駄目-っ。」

 琴子の顔が青くなるけれど、ポーズは指示があるまでやめられない。千沙が駆け寄ってバスタオルで隠そうとするけれど、孝典が鋭く「おすわりっ」と声をかけると、その場に正座してしまった。孝典が余裕の様子で近づいて、琴子の後ろに回り、水着を付けなおして、紐も結んであげた。

「急いで結んだのもあるけど、サイズがちょっと大きめだから解けやすいのかな? 二重に結んでおいてあげるね。ま、水着にポロリのアクシデントはたまにあるものみたいだよ。マンガとかにも良く出てくるし。はいっ。セクシーポーズ止めていいよ。お疲れ様でした。良く頑張ったね。」

「はっ・・・・はいぃぃいい。」

 琴子はグラビアモデルみたいなポーズをやめると、耳元で孝典に褒められて、急に顔を赤くして、内股になって震えると、砂の中に膝をついた。公衆の面前で恥ずかしい思いをして、ショックだったはずなのに、砂浜でピクピク痙攣しながら横になる琴子は、少し嬉しそうな緩んだ笑顔になっていた。美冬さんが妙に羨ましそうな目つきで眺めている。正座してピンッと背筋を伸ばしていた千沙も、孝典に言われて自由に動けるようになった。孝典が提案すると、また4人はベタベタしながら日焼け止めオイルを塗りなおす。

「じゃ、みんなでもうひと泳ぎしてから、帰ろうか?」

 シゲルが肺を限界まで酷使して、ゴムボートを膨らませる。2人乗りのゴムボートと浮き輪を持って、5人で海に駆け込む。シゲルがバタ足でボートを押して、琴子と千沙を運ぶ。孝典と美冬さんは1つの浮き輪のなかで抱き合うみたいに体を密着させて、モゾモゾしている。水の中で何をしているのかシゲルには気になるところだが、今はボートのエンジン役を務めているので、それに集中しなければならない。

 少し沖に出ると、孝典もゴムボートに乗り換えて、千沙の膝枕で横になる。足が疲れたみたいで、琴子にマッサージをさせている。まるで王様の海遊びのような光景だった。

「美冬さん、琴子と交代してこっちに来てくれる? ・・・シゲルと琴子で、またシンクロ見せてよ。」

 ふくれっ面の琴子がシゲルに近づいてくる。2人してアドリブで、シンクロナイズドスイミングの真似ごとをする。2人とも運動神経が良いのでなかなか様になっているが、途中で琴子の、サイズが大きい豹柄ビキニがズレはじめる。それでも琴子は、全開の笑顔でシンクロを続けなければならないようだ。時々、琴子のお尻やオッパイが、直にシゲルに触れてしまう。演技の途中なので謝ったり距離を開けたりしている暇がない。シゲルはシンクロを披露しながら勃起することしか出来なかった。

「じゃ、最後に記念撮影して帰ろっか。」

 夏の思い出にと、みんなで記念撮影。ただし演出家の孝典の振り付けは絶対だ。雌豹のポーズや胸を寄せてあげるようなポーズをとりながら写真を撮られたり、3人の女子が横になってる孝典を持ち上げるような写真を撮ったり。孝典の好き放題、水着女子たちの撮影がされていく。シゲルはスクール水着の股間を食い込ませてハイレグにしてポーズをとったりと、お笑い写真の担当をさせられた。

「はいっ。じゃあ、全員。水着の上を取っちゃって、手で胸を隠そうか。背中の角度から撮るとセクシー度が増すね。」

 遠巻きに、ギャラリーが増えている。孝典は、美少女と美女、それに子分の男を見せびらかすことが出来て、自慢げだった。シゲルはスクール水着の肩紐から腕を抜いて、腰まで降ろす。男として、上半身裸は別に恥ずかしいことではないはずだったが、なぜかこのシチュエーションだと赤面してしまった。

「じゃ、そのままみんなで海までもう一度ダッシュしよっか。」

 カメラを構えながら、孝典が追いかける。手で胸を隠しながら、千沙、琴子、美冬、シゲルが海まで駆けていく。孝典の指示のせいで、全員張りついたような笑顔。いや、美冬さんだけがナチュラルな笑顔に見えた。

「全員、海に向かって仁王立ちになって、両手を腰に当てようか。いいよっ。青春って感じだよ~。」

 泳いでいる人たちには、千沙、琴子、美冬のオッパイは完全に見えてしまっている。千沙は固い笑顔のまま、プルプルと体を震わせていた。

。。。

(中略)

 帰りは海の家で、シャワー室を借りたんですが、僕と美冬さん、琴子、千沙とで一緒に入りました。さすがに1人用のシャワールームに4人で入るとギュウギュウになっちゃったんですが、みんなで洗いあっこするのは、いつも楽しいです。今日は荷物持ちに荷物の番にと、シゲルに色々と仕事をしてもらったので、最後の最後、ちょっとだけ良い目にも会わせてあげました。僕の家に帰ってから、全員の日焼けの跡の確認会に、シゲルも参加させてあげたのです。

 美冬さん、千沙、琴子とシゲルを僕の部屋で横1列に整列させて、全員に服を脱がせます。日焼け止めのオイルを2回も塗ったのですが、それでもビキニを着ていたところがわかるくらいには、みんなちょっと日焼けをしていました。千沙は体質のせいか、白い肌が赤くなっていました。彼女の場合は、日焼けにならずに、数日たつと赤みが消えるみたいです。やっぱり一番面白かったのは、シゲルです。彼は日焼け止めを塗らせなかったので、女子用スクール水着の跡がばっちり残っていました。全員気をつけの姿勢のまま、ゆっくり時計回りに回転してもらいます。シゲルは他の3人の裸を、目を見開いてガン見していました。全裸なので、股間は完全に勃起しています。琴子と千沙はホラー映画を見せられたみたいな顔をしてシゲルから目を背けていました。それでも、シゲルを3人の前に立たせて、ボディビルダーみたいなポーズをとらせると、さすがに3人も笑ってしまいました。完全に勃起しながら、スクール水着の形に白い肌が残っている体でポーズを取るシゲルは、これまでに何べんも彼からもらった腹パンチよりも強烈に、僕の腹筋を攻撃してきました。

 シゲルに服を着せて、一足早く帰宅させました。そのあとは、残った3人と整理体操。日焼けの跡にアロエのローションも塗って、最後にもう一度、4Pをしました。小学校の頃以来の、最高の夏の思い出が出来ました。僕には一生縁がないと思っていた、可愛い子たちとのビーチパーティー。本当に魔道植物のおかげです。

。。。

≪≪ガーデナーさんからのアドバイス≫≫

 孝典君、夏を満喫しているようで何よりです。既に2度目の種の収穫もあったようで、琴子さん、美冬さん、千沙さんの花は完全に育ちきったと言えるでしょう。これからは成長日記に何日目と記さなくても良いかと思います。

 その2度目の収穫ですが、着実に花の種類が増えています。喜ばしいことですね。これは今回、孝典君だけでなく、色んな花を持つ女性たちも絡み合ってセックスをしたからだと思います。魔道植物はそれだけで、種の掛け合わせが可能です。もともと大元はタカノリア・マザリアから枝分かれしている花たちですしね。

 新しい種、小粒で色の薄いものはタカノリア・セルウス・ピュピレだと思われます。これは千沙さんから収穫された種でしょうか? セルウス・ディシプレからピュピレが獲れることが多いので。ディシプレの千沙さんがペルベルタの美冬さんと絡んだことで、掛け合わされて出来たのかもしれません。

 ピュピレの特徴は、マザリアを持つ孝典君が伝えることを、ピュピレを生やした相手に完全に信じ込ませることが出来るということです。状況に応じて理性的な判断力を吸収する特性はペルベルタと似ていますが、これ以外にも、懐疑心や正確な状況認識を取り込んで、かわりに信頼感や納得感に作用する成分を分泌します。まるで小学校1年生の生徒たちが、信頼する先生の言うことを信じ込むように、孝典君の言葉を素直に純粋に信じてくれます。五感を捻じ曲げるほど、この作用は強力です。純粋なセルウスと比べると命令遵守のための責任感、義務感の分泌は弱いのですが、相手の考えに影響を与えることが出来る、このピュピレという種はなかなか業界でも需要が高いのですよ。

 もう一つの種類の種は、おそらくセルウス・ドーラではないでしょうか? これは、セルウス・ロボタと同じく、命令に服従する作用がありますが、命令された時のことや命令に従って行動している際の記憶を、花を生やしている相手は持たないようです。他の種よりも成長がずっと早く、促成栽培が可能な種です。命令を矢継ぎ早に与えてあげれば、それを養分として、ぐんぐん育ちます。15分もあれば最初の効果が出始めて、命令を3つも出せば、30分以内に育ちきります。ただし、枯れてしまうのも早くて、2週間程度で枯死してしまう種です。

 セルウス、ペルベルタ、セルウス・ディシプレ、セルウス・ロボタ、セルウス・ピュピレ、セルウス・ドーラ。タカノリアの花もずいぶんと種類を増やすことが出来ましたね。それぞれの特性をよく踏まえて、栽培の経験をつんでいって下さい。

 それからもう一つ、ディシプレの話をしたところで、前回、セルウス・ディシプレの効能で説明し漏れていたことがあったのに気がつきました。セルウス・ディシプレを持つのは、千沙さんでしたね? 千沙さんは、マザリアを持つ孝典君に代わって、タカノリアの花を植えたり、育てたりすることが出来ます。花々は孝典君の声からマザリアの存在を認識して養分として命令を吸収しているのですが、ディシプレを持つ千沙さんの声も、タカノリア・マザリアの出している信号のような成分を乗せることが出来るのです。だから、千沙さんに種を撒いてもらって、千沙さんが命令をすることで、孝典君の召使いを増やすことも可能なんです。伝えるのを忘れていて、ごめんなさい。タカノリアの種の一層の繁栄を期待しています。

。。。

8月11日(月)

 今までに育てた花は成長が安定したようなので、植村さんのアドバイスに従って、植えてからの日数を書くのは省略することにしました。確かに、今手許にある30粒近くの種を全部植えて日数を記録していたら、それだけで日記をつけるのが大変な作業になってしまうと思いました。栽培の基本はわかりましたので、初歩のステップは省略して日記をつけることにします。

 今、手許にある種を、一度整理してみます。

 タカノリア・セルウス 8粒
 タカノリア・ペルベルタ 2粒
 タカノリア・セルウス・ディシプレ 4粒
 タカノリア・セルウス・ピュピレ 11粒
 タカノリア・セルウス・ドーラ 3粒

 以前からあった種の残りぶんと、土曜日に収穫できた新しいもの。そこから植村さんに送ったぶんが引かれて、合計28粒の種が、今、僕の手許にあります。種類が増えてきたので、それぞれの効果も、混乱しないようにまとめておこうと思います。それから、外国語辞典を使って、名前の意味も調べてみたので、間違っていたら教えてください。(これってスペイン語ですか? イタリア語ですか?)

 タカノリア・セルウス (従者/奴隷?) : マザリアを持つ、僕の言うことを聞くようになる。褒められると快感や幸福感を味わう。

 タカノリア・ペルベルタ (倒錯者?) : 特殊な性癖や性欲を持つようになる。マザリアを持つ、僕の指示でコントロールしないと、日常生活が危うくなる。

 タカノリア・セルウス・ロボタ(ロボット?) : セルウスに似ているが、褒められて快感を覚えることはなく、ただ命令に服従するだけ。

 タカノリア・セルウス・ディシプレ(使徒?) : セルウスに似ているが、自分で考えながら、大きな命令に従うことに適性がある。マザリアのかわりに、僕の召使いを作ることが出来る。

 タカノリア・セルウス・ピュピレ(生徒?) : セルウスに似ているが、マザリアを持つ、僕の言葉を信じる(?)

 タカノリア・セルウス・ドーラ(人形?) : ロボタに似ているが、僕の指示を実行している時の記憶を持たない(?)

 下の2つは、まだ効能を僕自身の目で確認していないので、(?)をつけてみました。こうして整理してみると、僕の成長観察日記を振り返っても、反省すべき点を思いつきます。セルウスとペルベルタとディシプレ。それぞれ性質、特徴が違うのに、琴子と美冬さんと千沙を同じように扱って、遊んできたことが多いです。せっかくなので、新しい種類のピュピレやドーラは、色々と違う育て方、使い方を試してみたいと思います。

 今日から琴子の女子バスケ部が夏合宿の後半をスタートさせます。早朝に琴子と千沙を家に呼びました。眠そうな目をこすって恨めしそうに正座をしている琴子を無視して、千沙に僕の作戦を伝えました。

「だから、この新しい種、ピュピレっていうのを5粒くらい持って、琴子に同行して欲しいんだ。何日か様子を見ながら、色々と命令をして、女子バスケ部の中でピュピレを栽培して欲しい。そうしたら、琴子を合宿の途中で抜けさせたりするのも、楽になると思うから。」

「わかりました。・・・でも、5粒って足りなくないかな? 私にはこの種って、チラチラ点滅するみたいに時々見えなくなるから、無くしちゃう可能性もあるし、それに・・・女バスって、10人以上いたでしょ?」

 千沙が、横で正座する琴子を見ると、琴子はムスッとしたまま答える。

「合宿に参加して無い、幽霊部員除いて12人。あとは顧問の稲尾先生に、それから時々ちょっかいかけにくる、OGの壬生先輩。14人は体育館や合宿所にいるよ。」

「じゃ・・・、用心するなら、14粒は種が欲しいな。全部ピュピレじゃなくてもいいから。」

 僕は千沙の提案を受けて、ちょっと心配もあったけれど8粒のピュピレと5粒のセルウス。それから1粒のディシプレの種を千沙に預けました。僕の手持ちの種が半分になってしまいましたが、頭の良い千沙なら、ちゃんと花を育てて、種も増やしてくれるんじゃないかと思いました。

「それじゃ、僕はドーラの種を試してみるから。また結果を報告しあおうね。」

 10時過ぎまで二度寝した僕は、ファミレスでシゲルにランチを奢ってもらうことにしました。もうそろそろシゲルの貯金も底を尽きそうだし、これ以上財布がわりにするのも可哀想かと思いました。それでも、もしドーラの栽培に成功したら、ちゃんとシゲルにも見返りをあげればいいと思いついたで、ランチはやっぱり奢ってもらうことにしました。

「冷やし中華とカツ丼。あと、ドリンクバー2人分。」

「冷やし中華とカツ丼。ドリンクバーお2人様ですね。かしこまりました。少々お待ち下さいませ。」

 愛想の良い店員さんが接客してくれます。なかなか可愛くて、清楚な雰囲気のお姉さんだったので、ドーラの種を試すのは、さっそくこの人にしようと決めてしまいました。実は、オーダーのためのボタンを押さずに、可愛い店員さんが近くを通り過ぎるのを、もう10分くらい待っていたのです。

 丁寧にお辞儀する店員さんの頭に、セルウスよりも小ぶりの、ドーラの種を放り投げます。種はスッと髪の中に入っていきました。

 お姉さんが厨房へ戻って行きます。すぐあとで、ドリンクバー用のグラスを2つ持ってきてくれました。

「こちら、温かい飲み物やスープの器はドリンクバーの横にございますのでお使い下さい。」

 名札を見ると、沢口さんと書いてありました。

「ありがとうございます。あと、すみません、フォークを落としちゃったので、新しいの持ってきてくれますか?」

「かしこまりました。」

 ニッコリ笑って、沢口さんがお辞儀をしてくれます。考えると、レストランって魔道植物を育てるのに、とても都合が良いと思いました。不自然じゃないかたちで、最初のうちの「お願い」を色々と与えることが出来るから・・・。

 沢口さんがフォークを持ってきてくれます。そろそろ5分たつくらいでしょうか?

「ドリンクバー行って来ます。料理が出来たら、僕らが席にいなくても、置いておいてもらえますか?」

「? ・・・もちろんです。ごゆっくりどうぞ」

 沢口さんは目がクリッとして、年上なのに可愛らしい感じのお姉さんですし、僕たち年下の男子中学生にも丁寧に接客してくれる、いい店員さんでした。シゲルに僕のぶんのジュースも取ってきてもらってる間に、店内を見回してみます。高校生らしいカップルと、子供連れの奥さん2人。あとは白いYシャツのサラリーマンと、作業服のオジサン2人組がいました。

「お先に、冷やし中華お持ちしました。あとは、カツ丼ですね。もう少々お待ち下さい。」

 沢口さんが僕の前に冷やし中華を置いてくれるので、水の追加もお願いしました。まだカルピスソーダも飲み終えていないのに、少し変な感じもしましたが、そろそろ10分がたちます。僕が冷やし中華を途中まで食べたところで、シゲルの前に、カツ丼が出てきます。暑いのに、よくそんなコッテリしたものを食べるなって思いましたが、いざカツ丼が目の前に出されると、美味しそうに見えます。僕はシゲルに頼んで、カツを2切れ、もらっちゃいました。

 そろそろ15分です。他のテーブルにドリアを持っていった沢口さんを、帰りに呼び止めます。

「お水のお替りですか?」

 笑顔の沢口さん。

「あの、・・・変なお願いでごめんなさい。お名前教えてくれませんか?」

「沢口マドカです。」

 沢口さんの営業スマイルが、一瞬だけ消えて、無表情に答えました。すぐに沢口さんが瞬きをして、周りを見回します。

「沢口さん、右向け右。」

 僕が小声で伝えると、沢口さんは、また無表情になって、体育の授業中の学生みたいにキビキビとした動きで右方向に45度、体を回転させます。数秒後に、また瞬きをしてキョロキョロしています。

「あれっ? ・・・・すみません。失礼します。」

 笑顔を取り繕って、その場を立ち去ろうとする沢口さんの背中に、もう一つお願いを投げかけました。

「沢口さん。水用のグラスにサラダバーの野菜を入れて持ってきて。」

 スタスタと立ち去る沢口さん。それでも2分後には、真顔で僕らのテーブルに戻ってきてくれました。右手には緑野菜とトマトが山盛りのグラスを持っています。

「・・・お待たせ致しました・・・。」

 ボーっとした無表情のままで、抑揚の無い喋り方でそれだけ言うと、僕の前にグラスを突き出します。そのまま様子を見ていると、沢口さんの表情に生気が戻ってきました。目をパチクリさせて、自分の持っているグラスを見ます。

「え? ・・・何? これ・・・・、あっ・・・すみません。・・・お客様、こんなオーダーって・・・されてないですよね?」

 事情がわかっていないシゲルが、呆然として沢口さんを見上げています。面白いから、もっと試してみます。

「シゲルの食べてるカツ丼、手掴みで横取りして、食べてみてよ。」

 ヒョイッと沢口さんの手が伸びて、残り少ないカツを1切れ、摘みあげて口に入れちゃいます。モグモグと噛んで飲み込むまでは無表情。その後で表情が戻ってきますが、口の中に残っている味に違和感を感じているのか、不思議そうな顔でキョロキョロします。シゲルと同じくらい不思議そうな顔をしていました。

「シゲルのカツ丼からご飯掴みとって、下着の中に入れてみて。」

 すぐに表情を無くした沢口さんは、口をポカンと開けて見守ることしか出来ないシゲルを尻目に、ご飯をドンブリからムンズと掴んでは、シャツの襟元からブラの中に、そしてスカートの裾から手を入れて、パンツの中にどんどんしまっていきます。ドンブリが空になるころには、沢口さんの服装はだいぶ乱れてしまっていました。

「あ・・・あれっ・・・私・・・何を? ・・・」

 顔を赤くして、周りをキョロキョロしながらうろたえる沢口さん。

「沢口さん、どうかしたの?」

 バイトのチーフみたいなオバサンが近づいてきましたが、沢口さんは顔も合わせられない様子で、お手洗いに駆け込みます。

「な・・・何でもないですっ・・・ちょっとごめんなさいっ。」

 ちょっとガニ股気味の、変な足取りで、トイレに駆けていく沢口さん。僕はちょっと反省して、心配そうにしているオバサンに「何でもないですよ」という表情を作ってみました。シゲルはカツ丼を半分くらいしか食べられなくて可哀想だったけれど、沢口さんみたいに可愛いお姉さんのブラやパンツをチラチラ見ることが出来たので、まあ役得だったと思います。

 僕は沢口さんがお手洗いから出てくるのを待ちながら、このセルウス・ドーラの花で他にどんなことが出来るか、何を試そうか、期待に胸を膨らませていました。

< つづく >

1件のコメント

  1. 『千沙は頭の上で両手を組んで…』

    孝典先輩の命令一つで千紗先輩の拘束完了。
    そしてさらに命令一つでバンザイ。
    命令の先取りが多い千紗先輩ですが、さすがにこの状況には為す術もなく翻弄されたようですね。

    ※※※※※※※※
    上記の文章は永慶氏の創作に刺激を受けた私が
    「花の帝国」のラストに登場した「加藤ツトム」君に扮して文章を書いたものです。シチュエーションとしては加藤君を育てようとしている孝典君がこれまでの植村さんとのやり取りを加藤君に示した上で、その感想を述べるように課題を出したとものとして、その課題に加藤君が答えたという状況を想定しています。
    永慶氏ご本人とは一切関わりのない二次創作です。

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