おやぢ 増殖 2日目

増殖- 2日目 -

 バシィィィッ!!!
「ヒャウゥゥゥゥゥッッ!!!」
 空気を切り裂くような音が部屋に響き、少女の悲鳴がそれに続く。
「さあ、もっと鳴きなさい。あなたの声をもっとよくきかせるのよ!」
 美女が振り下ろしたものは、1メ一トル丈のプラスティック定規。
 バシィィィッ!!!
「ヒャウゥゥゥゥゥッッ!!!」
 再度繰り返された打擲(ちょうちゃく)に、少女がまた悲鳴を上げる。
 少女は四足の獣の姿勢をとり、尻を高々とかかげていた。
 その白い素肌はいくつもの赤い線でいろどられ、痛々しくも淫美な化粧をほどこされている。
「まったく、こんなに濡らして一体どういうつもりなのかしら?」
 そういいながら美女は、少女の股間に定規をねじ込みグリグリと動かす。
「あうぅぅぅぅっ!」
 少女が耐えかねたように、甘く淫らしい声をだす。
「答えなさい。あなた、こういうことをして欲しかったのでしょう?」
 ビシッ!
 今度は、さっきよりもゆるめにお尻をたたく。
「ひいっっっ!」
 少女が再び声をあげた。
 でも、今度は緩かった分悲鳴というより喘ぎ声に近い。
「きりこさまぁぁぁっ。も、もっと……もっとあたしに罰をお与えくださいぃぃぃっ」
 少女はさらに高々と尻を差し上げ、赤く染まったそれを懸命に振っている。
「なんて、いやらしい娘。でも、あなたはこんなもので満足できるのかしら?」
 そういいながら美くしい女……安藤桐子がその尻に向けて、さっきよりも遥かに強い力で定規を振り下ろす。
 バチイイイッッッッッ!!!!!
「ア゛ア゛ア゛ア゛ヴヴヴッッッッッ!!!!!」
 少女のお尻と悲鳴のハーモニーが室内に満ちる。
「さぁ、おいいなさい。あなたの一番欲しいものがなんなのか……」
 少女の前に回った桐子が定規の先端を頤(おとがい)に当て、顔を自分の方に向かせる。
 少女の可愛い顔は涙と涎と鼻水にまみれ、その表情は淫らな欲望におぼれきっている。
 その表情を満足げに眺める桐子もまた、その表情を淫欲に耽らせていた。
「あ、あれを……。あれを……くださいぃぃっ……」
 欲望にまみれ、うつろな瞳を桐子に向けて少女がねだる。
「ふふっ……。あれってこれのこと?」
 そういって定規とは反対側に握っていたモノを少女に見せる。
 両サイドが男のペニスを象った玩具。
 双頭ディルドーだった。
「は、はいぃぃぃっ……。き、きりこさまぁ……おねがいですぅ……」
 少女が願う。
「そう……。でも、困ったわねぇ? あたし、これの使い方を知らないのよ。あなた、わかるのかしら?」
 という桐子のセリフ。もちろん大嘘である。
 満面に浮かんだ淫らしい笑みが、そのことをはっきりと物語っている。
「そ、そんなぁ! き、きりこさまぁぁぁ!!! 亜衣、どうにかなりそうですぅぅぅ!!!」
 そう懇願する少女の目から、涙があふれる。
「た、たすけてくださいぃぃぃっ! きりこさまあぁぁぁぁ!!!」
 懸命にお尻を振りたくる少女亜衣。
 股間から淫汁が床の上に飛び散った。
「だったら、どうして欲しいのか、はっきりとお言いなさい。ただお願いだけじゃわからないでしょ?」
 そう言って、桐子は亜衣の目の前で双頭ディルドーを振ってみせる。
 ポタポタと亜衣の口からだらしなく涎がしたたった。もちろん、股間の淫らしい部分からも。
「あああああ……あそこにぃ……亜衣の一番いやらしいとこにぃ……突っ込んでくださいぃぃぃぃ! ぐりぐりねじこんで、かきましてくださいいいいいっっっっっ!!!」
 そう言った亜衣の言葉の後の方は、殆ど叫び声だった。
「いいわぁ! あなたに、これをぶち込んであげるわ! あなたのあそこが壊れるくらい、力一杯ぶちこんであげるわあぁぁぁ!」
 桐子は手にした双頭ディルドーの片方を自分の中にねじ込むと、愛子の背後に回って後ろの方から双頭ディルドーのもう片方をぶち込んだ。
「あああああうううううっっっっ!!!!」
 亜衣の口から悲鳴のような声が漏れる。
「い、い、い、ああぁぁぁ!」
 桐子が耐えかねたように、嗚咽のような声あげる。
 2つの女体のぶつかりあう音が響き、2つの女体の体液が周囲に飛び散る。
 その姿は、まさにケダモノ。
 肉欲のままにお互いをむさぼりつくさんとする、性に飢えた淫らなケダモノであった。
 もっとも今の二人に、そのことを認識できるだけの理性は残されていないだろう。

 一体何が起っているのか?
 今この部屋に入ってきて、この痴態をながめたものがいたとしたなら、そう思ったことだろう。
 あるいは自分自身の正気を疑ったかもしれない。
 ここは園長室。
 女学園という、清純さを最も尊ぶべき校舎の中心となるべき場所。
 淫臭に満ちた空気が満ちていていい場所ではないはずだ。
 なのにここにある光景は、もののみごとにそういった常識を打ち崩すものだった。
 欲望の限りにからみあう女が二人。
 そして、その様子を濁りきった瞳で観察する男が一人。
 その足元に跪き、男のものに奉仕する女が一人。
 もちろん、その男とは田所便三、足元で奉仕しているのは伊集院舞華だった。
『もっと腰をつきあげねぇか』
 ぼそっと、つぶやくように便三がいうと、桐子の腰の動きがさらにはげしくなる。
「はぁううううっっっっっ!!!」
 少女の股間からは明らかに処女の証が流れているのに、少女の口からはさらなる歓喜の声が漏れ出した。
『亜衣のけつの穴がさみしがってるぜぇ。指をぶち込んでやれよ』
 便三がまた小さくぼそっという。
 すると桐子は腰を激しく使いながら……。
「あなたのお尻の穴、なんだかさみしそうね……」
 そういって穴の周囲をなでまわす。
「わたしの指でなぐさめてあげる……」
「そ、そんなぁ……。ゆるして……」
 亜衣は助けをもとめるけど、淫らにとろけきった表情からはその言葉が本心なのか判断できるものではない。
「ふふっ。ダメよ……ほら……」
 ヌプッ。
「ひゃうううっっっ!」
 亜衣が声をあげた。
「は、はいったわぁ。 ……どう? 気持ちいいでしょう?」
 腰の動きに合わせて尻の穴も、ぐにぐにとねぶりながら桐子が聞く。
「ひぃぃぃぃうぅぅぅぅぅ! いいいいっですぅぅぅぅぅ! いい、いいいいいいぃぃぃ!」
 亜衣の返事は、到底まともな言葉とはいえない。
 前の穴と後ろの穴の両方を攻め続けられる亜衣。
 まともに息もつけないほど、激しく責めつづける桐子。
 淫らな欲望をあらわにしたレズの攻め合いは、いつ果てることもなくただひたすら続く。
 なぜなら、二人とも一番の望みを叶えていなかった。
 イクこと。
 激しく思いっきり、イッてしまうこと。
 いくらでも、高みに上っていってもけして二人は達することができないのだ。
 だからたとえ気が狂ったとしても、二人の行為は終わることができない。
 終わることが許されないからだ。
 それをもたらすことができるのは、この世にただ一人、便三だけだった。
 それ以外の終焉とは、命が尽きるまでよがり狂うことしかない。
 便三は、二人にそういう処理を施していた。
「そろそろ限界みてぇだな……」
 二人の様子をみていた便三がつぶやいた。
 これ以上ほうっておけば、まず精神が崩壊する。
 さらにほうっておけば、そのままヤリ狂っていることだろう。
 食事もとらず、死ぬまで、だ。
 便三としては、せっかくの手駒をそう簡単に失ってしまうわけにはいかない。
「おい、いつまで咥えてやがる。とっととどかねぇか!」
 便三は自分の一物をしゃぶり奉仕していた舞華を蹴飛ばした。
「きゃうっ……」
 蹴飛ばされた舞華は、一瞬うれしそうな表情をした後、なごりおしそうに悠然と立ち上がっている便三のイチモツをながめていた。
『さあ、そいつを俺さまのところに連れてこいや』
 また、声を落として口の中で呟くように便三がいう。
「いゃあああっ!」
 突然亜衣が悲鳴のような声を上げた。
 それは、桐子が双頭ディルドーをいきなり股間からひきぬいてしまったからだ。
 犬が尻尾を振るみたいに、懸命になって尻を振って見せる。
 けれど、桐子はそれを無視した。
「何のつもりか知らないけど遊びは終りよ……。さあ、こっちにきなさい!」
 桐子がいきなり亜衣の髪を掴む。
「いうっ?」
 驚く亜衣。一体なにをしようというのか?
 突然の桐子の変化に戸惑っているようだ。
「さあ、こっちよ」
 そういうと、桐子は応接セットのソファでふんぞりかえっていた便三の足元に、亜衣をズルズルと引きずるようにして連れてくる。
 ちょうど、便三の股の間で手を放した。
「き、桐子さまぁ? いったい……?」
 まるでわけが分からないといった様子で、桐子にたずねる亜衣。
 周りを見回してみても、亜衣には変った様子がないようにしか見えなかったのである。
 もちろん、自分たちのことはおいておいてだ。
『もういいぜぇ。そいつにもよぅ、真のご主人さまが誰なのかしっかりと教えてやれや』
 また便三が、ソファの上にふんぞり返ったままつぶやいた。
 すると、桐子はしゃがみ込み、亜衣の耳元に口をよせる。
「さぁ、目を閉じなさい」
 亜衣がすなおに目を閉じる。
 それを見た桐子は、亜衣の首筋を左手で掴む。
 もちろん絞めているわけではない。頚動脈を圧迫して、脳に流れる血液の量を制限しているのだ。
「さあ、あなたは今から深いところに落ちてゆくわ。どんどん、どんどんおちてゆくの」
 桐子がそう語りかけたとたん、亜衣の表情から淫らがましいものが綺麗に消えていた。
 正確にいうなら、すべての表情が消えていたと表現すべきだろう。
 でも、元々亜衣にあった表情は、すべて淫猥なものしかなかったのでそれでも間違いではない。
「あなたは、おちてゆきながら、あなたのすべてがドンドン剥ぎ取られてゆくの。あなたが生まれてから後、その心に纏ってきたすべての衣がはぎとられてゆく……」
 甘く囁きかける桐子の言葉。
 はたから聞いていれば、とんでもなく淫らしく聞こえ、どうみても妖しさいっぱいなのだけど、亜衣はすべてを受け入れた。
 もうすでに一度受け入れていたし、かりに理性がわずかばかり残っていたにしても、血量を物理的に制限された状態で抵抗することなど不可能だ。
「恐れる必要はない。あなたは、すべてを脱ぎ捨てて生まれ変るの。それは、とっても気持ちのいいことなのだから……」
 桐子がそこで亜衣に口付けをする。
 もちろん、舌をねっとりとからませるディープキス。
 二人の涎が糸をひいた。
「あなたはわたしと、とても気持ちのいい体験をした。でも、これからあなたは、それよりも何倍も気持ちのいいことを体験することになる……」
 再び耳元に唇をよせ、桐子が囁いた。
「落ちて行く先に、そろそろ小さな光が見えているはずよ? ……ほら、見えてきた!」
 一度たずねた後に、すかさず断定してみせる桐子。
 すると、亜衣の表情がかすかに動いた。
 歓喜の表情に……。
「さぁ、あなたの中にあるすべてものを脱ぎ捨てなさい。そうすれば、その光はどんどん大きくなってくる。どんどん大きくなる!」
 桐子の誘導が進むにつれて、亜衣の歓喜の表情もまたはっきりとしたものになってくる。
「わたしが、今からみっつ数を数える。すると、あなたは心の中にある、すべてのものを脱ぎ捨てることができる。そして、光の満ち溢れる世界に辿り着くの……」
 桐子がカウントダウンを始める。
 最初は小さく。
「さん……」
 次は、少し大きく。
「にい……」
 最後は、天鈴のごとく。
「いちっ!!!」
 さらに、桐子は言葉をたたみかける。
「さあ、あなたは今、すばらしい世界にいる。ここにはあなたのすべてを満たしてくださる方がいらっしゃるわ」
 桐子の声が亜衣の心の一番深い場所に、甘くささやく。
「あなたの喜びは、その方にお仕えすることよ。その方にご奉仕することでしか、あなたは喜びを感じられない」
 ゆっくりと首から手を離すと、顔を便三のほうへ向けてやる。
「さあ、また数をかぞえるわ。みっつよ。みっつ数えたら、あなたは目を開くことができる。そうしたら、ご主人さまにお会いする。そのことが、うれしくてうれしくてたまらない!」
 強くいったあと、今度は耳元でそっと息を吹き込むように話かける。
「ひとつ……。どんどん、逢いたい気持ちが強くなってくる……」
 次はもう少し強い声で。
「ふたつ……。もっと逢いたい、逢いたくてたまらない。後ひとつで逢うことができる!」
 声は、あとになるほどはっきりと、そして大きくなってゆく。
 それに従い、亜衣も明らかにはっきりと歓喜の表情を浮か始めている。
「ひとつ! ほら、目が開いた!!!」
 強く言った後、また声をひそめて囁きかける。
「さあ、見えるでしょう? 口に出して言ってごらんなさい。あなたが、今一番言いたい言葉を……。呼びかけなさい、目の前のお方に……」
 その言葉に、恍惚の表情を浮かべていた亜衣がゆっくりと口を開いた。
「……さま……」
 最初の言葉は、のどの奥につまったかのようにかすれてしまった。
 けれど、すぐに亜衣はふたたび呼びかける。
「ごしゅじんさま……」
 その言葉をはっきりと口にしたとき、亜衣の表情は歓喜に満ちた。
「ごしゅじんさま……ごしゅじんさま、ごしゅじんさま……あいの、ごしゅじんさまあぁぁぁ!!!」
 歓喜が歓喜をよび、その言葉をいうだけで亜衣の体はエクスタシーを感じている。
 なんて、すてきなのだろう……。
 それが、亜衣の頭の中に浮かんでいることのすべて。
「くくくっ……。いい仕事してんじゃねぇかよ」
 その様子を見ていた便三が、満足げに嗤った。
「さぁ、てめぇの淫らしいケツを俺さまに突き出せや。そうすりゃあよ、こいつをくれてやるぜぇ?」
 強大なイチモツを少女の目の前で見せびらかすように振りながら、便三がいうと。
「あ、ありがとうごさいますぅ。ごしゅじんさまぁ。どうか、あいの淫らしいとこに、ごしゅじんさまのそれをぶちこんでくださいませぇ!!!」
 さっきまで、ひたすら桐子を求めていたのがうそのようだ。
 そばにいる桐子のことなど、もう完全に目にも止まらないようだ。
 見つめるものは、便三のイチモツだけ。
 それこそは便三にご奉仕できて、なおかつ自分も気持ちよくなれる魔法の肉棒(スティク)だった。
 亜衣は今、本当はむしゃぶりついて、口の中でねっとりと味わいつくしたかった。
 でも、そんなことなどおくびにもださない。
 なぜなら、便三の命じたことは別のことだからだ。
 便三の命令は他のどんなことにも優先されなくてはならないからだ。
 今の亜衣にとってそれは、当然のことだった。
 しかし、そんな思いも一瞬のできごとに過ぎない。
 便三がそのイチモツを、亜衣の中にいきなりぶちこんだからだ。
「いっひぃいいいうぅぅぅぅぅっっっっっっ!!!」
 たったひとつきで、亜衣はイッていた。
 さっきは……。
 桐子と愛し合ったときは、どれほど激しくからみあってもまったくイケなかったのに……。
「ご、ごひゅひんはまあぁぁぁぁぁっ!!!」
 亜衣が、そう呼びかける。
 その言葉だけで、亜衣はイッた。
 まったく、すさまじいものだった。
 便三が、亜衣に何かするたび……たとえば、尻を叩いただけでも亜衣はイッた。
 そうなったら、もうとどめるものはない。
 亜衣はイキまくる。
 魂の一番奥底に、その強烈すぎる快楽が刻みつけられてしまうくらいに……。
 もう、逃れなれない……。
 一生、死ぬまで少女は、便三のチンポさまにお仕えする肉奴隷となったのである。

「しっかし、いまいちたりねぇっ、ぜ!」
 イキつづけて、息もまともにできなくなっている亜衣を、遠慮なくつきまくりながら便三は不満をもらす。
 もちろん、何が足りないのかは、便三にはわかっていた。
 そして、どうすれば楽しくなるのかも……。
 便三は、口の中でまた呟くように話す。
『おぷしょん、ぜろいち』
 そうれと同時に、桐子に変化がおとずれる。
「あ、あなたは、なんてことを! い、今すぐやめなさい!!!」
 一瞬であれほど淫らな表情が消えうせる。
 印象としたら、まるで別人のような感じだった。
「さて? 何のことをおっしゃっていらっしゃられるのか……」
 その瞬間、便三はさらに激しくぶちこんだ。
「ひいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
 悲鳴のような声をあげて、亜衣がイッた。
「……この便三めには、とんと理解できませんですなぁ!」
 もう一撃、強烈なのを送り込む。
「いいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃんっっっっっっっっっ!!!」
 半ば失神しかけていた亜衣は、強制的に現実に引き戻され、またイかされる。
「あ、あなたが今やっていることをです! 今すぐ、やめなさい! やはりあなたは、薄汚いケダモノです!」
 ののしる桐子の言葉を聞いた便三は、じつに楽しそうに嗤った。
“この女は、いい具合に反応しやがるぜぇ”
 それが、便三の本音であった。
「おやおやぁ? このメスを、こんなあさましい肉奴隷に変えてしまわれたのは、確か学園長様でいらゃっしったはずだと、この便三めは記憶しておりますのですが?」
 しんそこ不思議そうに便三が言った。
 むろん、演技である。
「そ、それは……」
 言葉につまってしまう桐子。
 いわれるまでもなく覚えていた。
 ただ、それがそんなに大切なことだと思えなかった。
 いや、いくら考えてみても自分は当然のことをやったはずだ。
 なのに、なぜだろう。こんなに、嫌悪感を感じるのは。
 わからない……。
 なぜ、なんだろう?
 桐子の心に浮かんだ疑問。
 でも、その答えがすぐに見つかった。
 否。最初からわかっていた。
「……ご主人さまのためです。だからそのようなこと、いますぐやめなさい!」
 矛盾だった。
「これは、こまりましたでございますねぇ、学園長さま。こうやって、学園長さまのあそこをお付きして差し上げようと、そう思っておりましたでございますのにィ!」
 そういうと、今までより遥かにつよい一撃をはなった。
「イッ…………………………………………!!!!!」
 亜衣は、まともに声もあげることができずに失神してしまう。
 そうしておいて、便三は桐子に見せ付けるようにゆっくりと亜衣のあそこから、黒光りする節くれだったイチモツをひきぬいた。
「あっ…………!」
 思わずそれに見とれてしまう桐子。
 なんと汚らしく醜く不快で……素敵なものなのだろう……。
 こんなものなど嫌悪しか感じない……なのに、見ているだけでときめいてしまう……。
 桐子の心は矛盾に満ち溢れていた。
 でも一番奇妙なのは、そのことを当然のこととして桐子が受け入れてしまっているということだ。
 二つの相反する感情と行動に、桐子はまったく疑問を感じていなかった。
『オナニーしろや。俺さまに、よくみえるようにしながらなぁ』
 また、便三が口の中でつぶやいた。
「まったく、そんなものをみせられたところで……。なに?」
 桐子は仰向けになり、股を大きく開く。
 自分の指を使って便三にあそこを、奥のほうまで見えるように開きながら、かき回しはじめる。
「な、あうっ……なんでぇ……わたしいいいっうっ……こんなこと……あいっ……してる……のおうっんっっっ!!!」
 よがりながら、自分のやってることに疑問を感じているみたいだ。
 でもそれはすぐに、よがり声だけになってしまったけど。
「いいいうううっ……。い、い、ううううっ!」
 意味不明な言葉を話すだけになってしまった桐子に、便三はいらだったように舌打ちをする。
「ちっ。こいつ、おぼれやがった」
 淫らな快楽にふける桐子を、便三は冷たく見下ろす。
 濁った瞳に映ったものを、はたして人間として認識しているのか……。
 でも、今ひとつ言えることは、桐子は貴重な実験動物であり、この学園を支配するための大切な手駒でもあった。
「まぁいい……。おいてめぇ、いまのうちに経過を調べろや」
 そういって、すぐ横でものほしそうに便三のモノを眺めていた舞華を蹴飛ばす。
「ご、ごめんなさいぃっ。ご主人さまぁ」
 理不尽なしうちにも、ただあやまって許しを乞うことしかできない舞華。
 舞華の心はそういう具合に作り変えられたのだから。
 そして、それはこの学園に通う少女たちの未来の姿でもあった。
 舞華は床の上でひとりHにふける桐子のそばに這いよると、耳の後ろを確認する。
 そこには、かなり気をつけてみないとわからないけど、1センチ幅くらいの傷がある。
 手術の後だった。
 もちろんそれをやったのは舞華である。
 昨日、少女が倒れたという話を聞いた便三は、そのことにかこつけて舞華を呼び寄せた。
 桐子にちょっとした手術を施させるためである。
 骨振動式のマイクロスピーカー。
 頭蓋骨を直接振動させ、鼓膜を通すことなく弦音器官に伝える。
 つまり、桐子にしか聞こえない音をだすことができる装置。
 それに対応するマイクは、便三の歯の中に埋め込んだ。
 スイッチも同じ場所にある。
 つまり、さっきか小声で話していたのは、この装置をつかっていたのだ。
 薬の力と便三の強力な暗示によって、桐子の深層心理は無条件で便三の言葉を受け入れる。
 表層意識がどれほど拒もうと無駄である。
 なぜなら、便三の言葉は桐子自身の意思となってしまうから。
 桐子には、便三の命令と自分の意思の区別がつかないのである。
 もはや桐子は便三の奴隷というより、便三の分身というべき存在になっていた。
 その装置のテストをするのに、便三は倒れた少女を使うことにした。
 それが亜衣である。
 桐子を使い、亜衣を肉奴隷に堕とさせてみたのだ。
「傷はすでに塞がっています。問題はありません」
 舞華が診断をくだした。
「こいつで、いろいろ遊べそうだなぁ……くくくっ、ふっふはははっ」
 たいして大きくもないのに、便三の不快な嗤い声は部屋中に響いた。

「まったく、なにをやっているのかしら? こんなこともまともにできないなんて」
 生徒たちの目の前で、桐子が便三をしかりつける。
 便所の水道の修理をしていた。
 うっかりして、元を止めずに配管をはずしてしまった。
 当然のように、便所の中には噴水が出現することになった。
 集ってくる女生徒の前で、桐子から説教を受けることになったのだ。
 もちろん、これはトラップである。
 じきに、その女生徒達は張り巡らせた蜘蛛の糸に絡み取られていることを、思い知らされることになるだろう。

< つづく >

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