第2節
「いやぁぁ!」
スパァアン!
「うわぉぉぉぉ!!」「きゃあああああ!」
心地よい音が響いた瞬間、静まっていたギャラリーはまるで狂ったような興奮と共に発狂した。
ざわざわ「やっぱり、阿久津はすげーよ」「相手はあの加藤だぜ!」「加藤君って全国行ったんだよね?」
「それまで!勝者・・・阿久津!」
皆の視線を浴びていた二人はお互い会釈をし両端に割れていった。
そう、それは体育の剣道の時間だった。
余り実力が突飛していた剣道部の全国ベスト16の加藤 真と帰宅部の阿久津 秋也。
二人が誰とやってもやる気を出さずに適当にやっていたので体育の教師の正岡はこの試合の舞台を作ったのだ。
そして誰もが緊張して見守っている中、帰宅部の秋也は加藤をストレートで勝ちを決めたのだ。
胴着を脱ぎ終えた加藤は胴着を着る事に不慣れでまだ脱ぎきれてない阿久津に近寄って来て言った。
「おい、阿久津」
その様子を見ていた周囲の者達は途端に緊張し、静まり返った。
その様子に気付いてないのか気付いているのか秋也は胴着を脱ぎながら悪気なさそうに聞き返した。
「ん、なに?」
加藤は秋也の前に腕を差し出しこう言った。
「良い勝負だった!サンキュ」
やっと胴着を脱ぎ終えた秋也は屈託のない笑みを作りその手を握り握手をした。
「ああ、俺も久々に緊張して面白かったよ、またやろーぜ」
その行動を見た固まっていた周囲の者達はみんな安心したようで自分達の話しに戻っていった。
加藤は秋也の手を離し、話しを続けた。
「なあ、やっぱり剣道部に入んねーか?剣道やった事ない奴にこの俺が負けるんだお前なら次の大会までに全国トップ間違いねーぜ?」
「いや、俺は基本的に努力は好きじゃねんだ。こういうスポーツはさ、たまに遊び気分でやるのがいいんだよ。だから誘いは嬉しいけどやめとくよ」
「遊びって。俺はマジで倒すつもりでやったんだがな~。ひでーよなー」
「あ、わり。そんなつもりで言ったんじゃないって。俺だってさっきはマジでやったさ、手を抜いたら俺がやられてたって」
「あはは、焦んなよ。あれが手を抜いてたなんて俺が思いたくねーよ、一応プライドあんだぜ。ったくお前はなんなんだよ。サッカーやらせても野球やらせても空手やらせてもその部のエースを倒しやがる。そのでたらめな才能をなんかに生かそうとか思わねえのか?もったいね~」
「欲がないの。あとは面倒臭がりなんだよ」
「自分で面倒臭がりとか欲がないなんて言うな!まあ、いーや。またやろうぜ、今度は倒すけどな」
「ああ、腕を磨いてろよ。俺はいつ何時誰の挑戦でも受けてやるよ」
「言ったな!待ってやがれよ。次は倒す!じゃな」
「ああ。じゃっ」
会話が終り加藤が席を外すはぼ入れ替わりに醍醐が加藤の背後から秋也にチョップを打ち下ろした。
「天誅!食らえ!」
醍醐が振り下ろしたその腕を秋也はまるで力を加えてないようにパシッという音と共に受け止めた。
秋也は突然襲ってきた醍醐に対し言った。
「おいおい。いきなり何するんだよ?俺が何した?」
「うるさい!もてない男達のひがみの一撃だ!大人しく食らっとけ!」
「勘弁してくれよ~。そうかそうか、俺がもてすぎるのがいけないのかかわいそうな俺」
「きーむかつく!ったく、またかよ!また目立ちやがって。君は少しは大人しくはできないのか」
「いやね、目立とうとは思ってないんだけどさ。なんつーの?宿命?みたいな」
「お前のそのセリフはいったい何人の男を敵にしたと思う?俺は泣きたくなってきたよ」
「ははは。わかった。俺が悪かった。」
「まあ、許してやらん事もないがその代わり学食の肉うどんな。」
「なぜ?俺が奢らにゃならん?」
「さあ、なんでだろ?」
「俺が知るわけないだろ!と言うわけで奢りはなし!」
「チッ!以外と冷静でいやがる。」
その時横から正岡の野太い声が響いた。
「おい、醍醐!次はお前だ。くっちゃべってる暇があればさっさと胴着をつけろ!」
秋也は満面の笑みを浮かべておちょくるように言った。
「だってさ。頑張ってね!皆見てるよ」
「おーし俺も活躍してくるか!」
すると正岡は続けた。
「んじゃあ、相手は・・・・・・加藤。もう休めただろ?お前だ」
それを聞いた醍醐はヨロヨロとやる気のなさそうに道場へ向かった。
まあ、その勝負の結果は言うまでもないだろう。
「礼!」「「ありがとうございました!!!」」
授業が終り、正岡が秋也を呼び出した。
「ちょっと、いいか?阿久津」
「なんすか?」
「ああ、あのな。本当に剣道部入らんか?優遇するぞ?」
「だから俺は面倒なのはちょっと・・・・遠慮しときますよ」
「そうか、残念だ。気が変わったらすぐに言ってくれよ」
「はいはい」
「ねえ。聞いた?また失踪事件起きたんだってよ」
寝ようとした俺に話しかけてきたのは前の席に座している小林だった。
俺は寝ようとしていたがそこまで眠いわけじゃいし少し興味があったので話しに付き合う事にした。
「また起きたのか?失踪事件って奴ぁ」
「今回は相当近くだよ、谷津第八公園だってさ~」
「え!?谷津第八公園?おいおいおい勘弁してくれよ~。俺のバイト先の近くじゃね~かよ」
「そうなの?あ、そっか。ここ地元なんだよね。なるほどね~」
「昨日の夜、俺も危なかったってことじゃね~か」
「でもでも、阿久津君は大丈夫でしょ~、男の子だしね。それに何処の誰が阿久津君を倒せるの。よ!武道の達人!」
「さすがに犯罪者相手に体育みたいにうまくいくわけねーだろ。刃物でズドン!で終りだよ」
「ハハハ。さすがの阿久津君でもそんなに弱気になっちゃうんだね~。それにやっぱり噂どうり吸血鬼のせいなのかな?ちょっとわくわくしちゃうよね~。吸血鬼vs阿久津!みてみたいな~」
「無理言うなって!大体吸血鬼な訳がないだろ、んなもんいないよ。もし仮に吸血鬼がいたとしたら、今頃どっかの研究所にでも入れられてるだろうし。」
「そっかな~。阿久津君は夢がないね。サンタクロース信じてなかったでしょ?吸血鬼、みてみたいな~、吸血失踪事件ってのもカッコイイ感じだしね!」
「だから、ただの失踪事件だって。吸血なんて訳わかんね~言葉つけるな!」
「だって血だよ?血!しかも結構な量の!なんで単なる誘拐とかならそんなのないじゃん」
「だからほら。あれだよ、あれ。捕まる時に暴れたから傷つけられたのかもしれないだろ?」
小林はつまらなそうな顔をしたがすぐに表情を戻して言った。
「ん~、ま、いいや。けど人にしろ、吸血鬼にしろ。私が襲われたら阿久津君、勿論私の事助けてくれるんだよね?」
「気が向いたらな」
「え~!愛しの由紀子がピンチなのに?」
「誰が愛しのだ!」
「助けてくれなきゃ、祟っちゃうゾ!」
「おいおい、俺がその場にいる可能性なんて低いんだぞ?」
「だ~め。それでも助けんの!その代わり助けてくれたら私をあ・げ・る♪」
「いらないから助けない」
「んじゃあ、祟る」
「勝手に人を祟るな!大体、襲われるか!お前みたいなのが!」
「んもう、んじゃ私が今度阿久津君を襲っちゃう事にするよ♪」
ちょうどタイミングを計ったようにいつものハスキーボイスが聞こえてきた。
村上だ。俺は背中に汗が吹き出ているのを認識した。これは危険信号だ。
話がこじれる前に退散しなくてはならない。
「由紀子~。その時は美紀もいれてね!」
「OK!んじゃ、夜這いでもかけますか!」
「いいね~。」
「おいおい!夜這いってのは男が女にするものだろ!お前等がやってどうする?」
「んじゃあ、阿久津が美紀たちの事襲ってくれるのかな?自慢できるぞ~、阿久津に襲われたら♪」
俺は即座に言った
「却下!」
「え~なんで?阿久津の意気地なし~」
「意気地とかの問題じゃないだろうが!」
村上は少し考えると今日一番のスマイルを浮かべた。
「ああ~なるほどね」
俺はこれが村上が何かを思いついた時に出る笑みだと知っていたので特別警戒体制に入ることにする。
「な、んだよ。」
「阿久津ってさ・・・もしかして」
汗が背中にでているのが解かる。これから村上の言う事が恐ろしくて堪らないのだ。
何が怖いって言うとこの二人のコンビネーションだ。単体なら可愛いもんなのだがこいつ等が手を組むと手がつけられない。
「だから、なんだよ!」
「阿久津って・・・・インポなの?」
「え~!阿久津君ってインポなの!まじ!信じられない」
「ば、馬鹿!何を根拠にそんなこと言ってやがる!俺は断じてそんなことはない!」
「だってさ~大の女が二人も阿久津を誘っているんだよ~?それでなんのアプローチもなし?インポじゃないなら・・・ホモ?そっか・・・女に興味ないんじゃしかたないか・・・」
「なんだ。阿久津君ってホモだったんだ。前々からそんな気がしてたんだけどまさかね~」
「待て!待ってて!俺はホモじゃないしインポじゃない!女だって好きだ!しかも俺はホモは許さない派なんだよ!」
「んじゃあレズは?」
「可愛ければ良し!あれは絵になる。だから俺をホモ呼ばわりするのだけはよしてくれ。そもそもなんでこんな話になってるんだ?」
村上はハッとした感じで言った。
「あ。そういえばなんでだっけ?」
よし。こっちのペースが戻ってきてる。このまま押し切れば逃げられる。
その時、小林が口を開いた。
「あ、阿久津君が私の事助けないって言うからじゃん?」
俺は参謀の村上が口を開く前に言った。
「んじゃ、助ける!俺は小林のピンチの時に助けてやる」
村上が例のスマイルを出しかけているのに気付いた俺は頭脳をフルに動かした。
(マズイ!何が足りないんだ?)
俺はすぐさま口を開いた。
「村上も助ける。約束しよう。」
しかしその答えははずれだったらしい。村上のスマイルは完成していた。
「助けさせて頂きます。・・・じゃないの?」
「は?なんで俺がそんなことを・・・」
村上は俺に反論をする暇を与えずに言った。
「んじゃ、これからはホモ夫君て呼ぶね♪」
「え?ゲイ太郎の方が可愛いんじゃない?美紀」
俺は負けを悟った。こいつ等なら人の前で平気でその呼び方を使うだろう。
いや、あえて人の前だからこそ使うに決まってる。だから俺の負けだ。俺は負けを宣告した。
「参りました・・・」
村上は満足した顔をして言った。
「んじゃあ・・・いう事あるよね?」
俺は屈辱にまみれながらも自分を殺し、言った。
そういう事が解放への最大の近道なのだ。
「小林と村上が襲われた時は、助けさせて頂きます」
村上は満足した顔になり、言った。
「うむ、よろしい。これからは頼むぞ。阿久津」
小林はその口調を真似していった。
「うむ。よろしいぞ。襲われた時はよろしくね。阿久津君。」
俺は安心し、眠ることにした。
「おう、んじゃあお休み」
「あれ?阿久津!もっと話そうよ~」
俺はその声を無視して眠りに入って行った。
キーンコーンカーンコーン
やっと放課後だ。
「秋也!起きなよ、放課後だよ」
みやかが俺に話しかけてきた。
「ああ、起きてるよ。んで今日も部活なのか?」
「うん、今日もだよ。秋也は今日もバイト?」
「いや、今日はないよ。家に帰るだけだよ」
「そっか、んじゃあ今日は部活終ったら久しぶりにお料理作ってあげよう」
「まじで?助かるよ。んじゃ、飯食わないで待ってるよ」
「わかった。期待して待ってね。紀枝さんによろしく言っといてね」
紀枝さんとは俺の叔母の事で医者をしている。みやかとは結構仲が良かったりする。
「いや、今日も紀枝さんは帰ってこないと思うよ。最近忙しいらしいからな」
「そっか、残念。んじゃ。また後でね!」
みやかはそう言うと踵を返し俺に背を向けた。その時俺はふと思いたつ事があったのでみやかに声をかけた。
「あ、ちょっと待て。一言言っとくよ。」
みやかは俺の言葉を聞き首だけ俺に向けて聞いてきた。
「なになに?」
「ん~と、気をつけて来いよ。危ないからな・・・この頃」
「あはは、大丈夫だよ。けどありがと!んじゃまた後で!」
「おうよ」
俺はそう言うと学校を後にした。
(ここらへんも物騒になったな~。連続失踪事件なんてよ~)
俺はそんな事を考えながら歩いてるとふと男の二人組みが女に話しかけてるのを見た。
(ナンパか・・・よくやるよ。それにしても女の方嫌がってんじゃね~か。っていうか村上じゃん・・・ま、いいや。そのうち誰かが止めるだろ)
俺は俺は極力村上に気付かれないようにその横を通りすぎようとした時、俺は声をかけられた。
「阿久津!無視して行くのはひどいんじゃない?女の子がピンチなんだから助けるってのが男ってもんでしょ?」
(ばれた・・・か。はぁ、だり)
俺は諦めて男にからまれてる村上にまるで今気付いたかのように話しかけた。
「お、村上じゃん。なにやってんの?」
「見ればわかるでしょ?しつこい奴らに付きまとわれてるの。何とかしてよ」
すると男の二人組みは口々に言った。
「何々?彼氏?それとも友達?」
「いいじゃん。あんな奴ほっといて俺達と良い事しようよ~」
「そこの男も怪我する前にとっとと帰ったほうが良いよ~」
俺はそれを聞き言った。
「だってさ、村上。んじゃあ、お言葉に甘えて俺、帰るわ」
それを聞いた男たちは調子に乗って言った。
「だってさ、あんな腑抜け頼りにしてないで俺達と遊ぼうってば」
「あんな坊ちゃんがやる気出したところで何にもできないよ。俺達強いんだからさ~」
ピクッ!
俺は少しその言葉に反応したがあえて流すことにした。そして男たちに背を向け歩き出した。
それを見た村上は少し声を大きめに言った。
「ちょ、ちょっと、さっきの約束忘れてるの?助けないと・・・」
(あ~めんどくせーな。)
俺はその言葉を聞き振りかえり言った。
「OK。皆まで言うな。助けるよ。・・・と言う事でそこのお二人さん。その子、解放してくれると嬉いんだけどな」
「嫌だって言ったら?」
「おいおい、そんな事言わないでくれよ~。穏便に済ませたいんだからよ~」
「お・ん・び・ん?カハハ!そりゃそーだよな~。二人と一人じゃ分が悪いもんな~」
「いや、そー言うわけじゃないけど。無駄に体力使うの嫌だし。怪我させるの嫌だしさ~。ね、解放してくれる?」
「怪我すんのはどっちだっての。んじゃあそんなに解放してもらいたかったら裏に来な」
(あ~あ、結局こうなんのかよ。ついてねー)
俺はそう思いながらも大人しく二人の後について行った。勿論二人の手には村上も一緒にいる。俺は言った。
「な~んでこんなとこに来るの?(わかってるけどね)」
「いやさー俺らさ~。最近ついてねーんだよ。な!アコ」
アコと呼ばれた二人組みのうちの一人が答えた。
「ああ、彼女に振られるし、昨日は昨日でついてねーしよ~」
俺は二人に対して言った。
「そっか、それは可哀想に。んで?ここまで連れて来て気がすんだ?解放してくれるんだろ?」
二人はニヤニヤしながら言った。
「ここまで来てそれはねーべよ?」
「俺らの相手・・・してくれるんだろ!!なっ!」
そう言うとアコは俺に向けて拳を振り上げた。
ビュ!
俺はそれをなんなくかわすと、二人組みから間合いを取り、言った。
「おいおい。いきなりなにすんだよ。喧嘩って事?俺に攻撃したって事は覚悟は出来てるんだな?」
「覚悟?お前がだろ?まぁ、覚悟してなくてもお前が女を諦めなきゃやめねーよ。いや、もう諦めても遅いけどね」
「ミヤは空手で全国、俺はボクシングで全国行ってるんだ。もう諦めてぼこられな!」
ミヤと呼ばれた奴は俺に向って左の突きを繰り出してきた・・ビュ
俺はミヤの攻撃を冷静に見た。
(なるほど、ワン・ツー・スリーだな。これは威嚇で右・次に蹴りか。)
俺が一撃目をかわすと読みどうり右の上段突き・左の蹴りが来た。
俺は右をかわし、蹴りをいなすとそのままミヤの左へ回り蹴りを放った後の無防備な左サイドに手加減をした掌底を打った。
ボグ。
「んが!」
ミヤがよろけてるのを見たアコはボクシングの構えになりステップを踏み俺に近寄りラッシュをかけてきた。
(一つ一つのパンチは速さの乗ったジャブ程度なもの。当たっても大丈夫だろう)
俺はそれを落ち着きながらかわせるものはかわし、避けきれないものは掌で受け流した。
(・・・ここで、でかいのか)
アコは俺の考えどうり思いきりのよい左ストレートを俺に出してきた。
ビュゴ!
俺はそれを下にくぐると腕を掴み一本背負いの形で投げた。
ドム。
「ぐあ!」
ミヤは掌底のダメージから回復したらしく、俺に投げられたアコに走りよった。
「おい!アコ。大丈夫か?」
ミヤはアコに手を差し出した。
「ああ、大丈夫だ。すまねえ」
アコはミヤの手に掴まり起きた。俺はそれを見て言った。
「もう、やめないか?実力が違うのはわかったと思うんだけど・・」
「ああ、あんたの実力は手加減してちゃ危ないって事は解かったよ。もう手加減はしね~」
「んじゃ、今から本気って事?んじゃあ俺も次は手加減はできないよ?」
「ミヤ!右に回れ!俺は左に行く!」
「はぁ、君等の本気は二人がかりって事か、けど賢い!そうしないと俺には勝てないもんな!」
俺がそう言いきると左右にいるミヤとアコが同時に俺に掴みかかってきた。
俺はそれを後方に避けるとまずは体格の良いミヤの方へ詰めよった。
ミヤはそれに気付くと前げりを放ってきたがそれを難なくかわすとミヤはその足をそのまま上へ持っていき右の上段を放った。
俺はそれを前かがみでかわすとかがんでいた上半身を起こすと同時に右の裏拳をミヤの顎先にスピードを乗せて打った。
スパァァン!
ミヤが倒れるのを俺は確認せずに、後ろから右のストレートを俺に向い出しているアコの方を向き、ストレートを避けた。
アコはファイティングポーズをとりなおすとさっきのとは比べ物にならない位の速さとスピードの乗ったジャブのラッシュを俺に向いだした。
(全て避けるのは少しキツイな。本気で行かなくちゃな)
俺はジャブを避け受け流してた。俺はアコのモーションが一瞬変わったのを見逃さなかった。
(左アッパーの後・・・左ストレートか・・・)
ビュ!ゴッ!
アッパーを後ろに少し反り避け、ストレートをいなすと俺はその勢いで後ろに回りアコの首めがけて当身を食らわせた。
ドッ!
アコはそのまま倒れた。俺はそれを確認すると倒れてるミヤを確認した。
(おし。やっと終った・・・ふぃ、疲れた)
そして俺は言った。
「これで良いか?村上!」
・・・・・
「ん?おい!」
俺は回りを見渡したがそこには村上の姿が無かった。
「ちっ!人が苦労してる時に逃げやがって~、学校であったら説教してやる!」
俺は独り言を言ってるのが虚しくなったので家路についた。
トゥルルルルルル♪トゥルルルルルル♪
「はい、もしもし。阿久津です」
俺が家に着き一息ついていたときに電話がかかってきた。
「「あ、私、秋也さんのアルバイトしているエーピーの店長の葛西と申しますが秋也さんはご在宅でしょうか?」」
「本人ですが、何か?」
「「あ、秋也君?良かった通じた。あのさー今から暇?」」
「なんでですか?」
「「あのさーほんとに言いにくいんだけど・・・バイト・・・出てくれないかな?」」
俺は悩んだふりをしたが答えは決まっていたので言った。
「今日はちょっと用事があるので勘弁してください」
「「そこをなんとかならないかな?」」
「今日のバイトの君島はどうしたんですか?」
「「実はさ・・・例の失踪事件に巻き込まれちゃったらしいんだよね。それで流石にそうなると代役は女の子には頼めないでしょ?だから秋也君だけがたよりなんだ。バイト代今日は二人分出すから!ね?」」
「まあ、確かに女には頼めないしそこまで葛西さんがおっしゃるなら今日は出ますよ・・・夕番でいいんですよね?」
「「ありがとー!そう夕番!それじゃ、お願いね!」」
「わかりました」
「「それじゃ!」」
ガチャ。ツーツーツー。
(はあ、めんどくせーな。あ、そうだミヤかが来るとか言ってたな。けど俺いないしな。玄関に手紙かいとくか・・)
俺は簡単なみやかへの手紙を玄関のドアにはりバイト先に出かけた。
バイト先につくと店長の葛西 真一がいた。
「おお!来てくれたね。助かるよ~!」
「まあ、困った時はお互い様ですよ。ま、バイト代の方、よろしくお願いしますよ」
「そっちの方は任せておいてよ!私は店長だよ!んじゃあ、あとは任せたよ」
「任されました。お疲れ様です」
「お疲れ様~。あ!帰り・・・気を付けて帰るんだよ。秋也君にもいなくなられたら困るからね~」
「わかりました~。・・・いらっしゃいませ!こんばんわ!」
(今日はみやかには悪いことしたな~、明日なに言われるか分からないな~。)
考え事をしてると、客が来た。
「いらっしゃいませ!こんば・・・」
その客を見てみると小林だった。
「んだよ、小林かよ。てかなんでこんな時間にこんなとこにいるんだ?」
「ちょっとね~。友達の家にね~。それより阿久津君!なんだは「んだよ」じゃないの?一応お客様よ?」
「どーせ、冷やかしだろ?そんなのは客じゃね~よ。」
「あらら、ひどいのね。ま、いーや。暇になっちゃったから遊ぼうよ!このバイト何時に終るの?」
俺は時計を見た。時間は意外とたっていて10時半を回っていた。
「あとー30分かな?けど悪いがお前と遊んでる暇はないな。帰れ帰れ!」
小林はあからさまに不満そうな顔をして言った。
「え~。酷いよー。遊ぼうよ。よるに女の子が遊びに誘ってるって言う事はどう言う事分からないの?」
「はいはい。すごいね、周りの事気にして冗談を言えって何度言えばわかるのかね?君は」
「ぶ~!冗談じゃないやい!阿久津君のいけず!もう良いもん!帰る!じゃね」
「おう!じゃな、気を付けて帰れよ。」
「優しいじゃん。んじゃあ気を付けて帰るよ」
そう言って小林は店から出て行った。
(あ、残り時間30分位なら少し待たせて駅まで送ってやれば良かったかな?物騒だしな~。ま、今さら遅いか。)
また考え事をしながら俺は30分をすごした。
俺は交代の夜勤の人と挨拶をして店を後にした。
帰りの途中に俺は谷津第八公園に差し掛かった。
(ここが例の事件があった場所か~。確かにこの林じゃ、何があってもわかんね~よな~)
俺は針葉樹林の中を少し覗いてみた。
(ん?あれは・・・)
そこには人影らしいものがあった。
(男と・・・・女か。アベックかよ。ったくあいつ等何処でもやりやがる)
そう思いながら俺は顔を見てやろうと見てみたら女の方がいやがってるのに気がついた。
レイプらしかった。幸い女のほうはまだ何もされていない状態だった。
俺は別に人以上の善意は持ち合わせているつもりはないが、さすがに目の前で犯罪行為が行われているのを見逃すほど外道ではなかったので助ける事を決意した。
(はぁ、なんか今日は散々だな。ま、急ぐか)
俺は男の方に向って走り、声を発した。
「おい!そこの!なにやってんだよ?」
男はさして驚いたそぶりもなくこちら側に振りかえった。
(思ったより小さいな、小柄だし。ま、刃物を持ってるかもしれないから気は抜けないな。マフラーとコートで顔が良く見えないな)
女が声を出した。
「助けて!襲われているんです!」
俺は聞いた事のある声に不思議に思い男の影で見えない女を少し場所をずれて見た。
(小林・・・)
そう、女は小林だった。俺はそれを確認すると声をかけた。
「小林、俺だよ。阿久津」
「あ、阿久津君?助けて、お願い」
「ま、そのつもりで来たんだ。助けるよ。ちょっと待ってろな」
小林との会話が終ると男に話しかけた。
「と、言うわけだ。このまま逃がしてくれるか?」
「貴様、邪魔をするのか?」
「まあ、そのまま続けさせるわけにゃいかないな~、人間として、友達として、男として・・・な」
男は少し間を置いて言った。
「そうか、邪魔をするのか。残念だ。なら・・・」
男はそう言いかけるとマフラーに手を掛けた。
「消えてもらう!」
そう言うと同時にマフラーを外した。
フサッ。
「え?」
俺は一瞬目を疑った。隠れていたそいつの口元には獣のような牙が生えていたのだ。
「いや~~~!」
小林はそれを見て叫んだ後に倒れた。どうやら恐怖とショックで気絶をしたようだ。
俺はようやく声が出せる位の冷静さを取り戻し言った。
「お、お前・・・なにその歯?」
男は俺の言葉を聞こえていない様に流すと言った。
「やれ!」
俺は一瞬、背筋に悪寒が走り、身体が勝手にその場からバックステップをした。
バサッ!
その瞬間、俺の元いた場所にはでかい塊が落ちて来た。
(なんだ!?)
俺はその物体を見た。
(女だな?こいつも牙が生えてやがる!え!?こいつまさか・・・)
俺はその姿に見覚えが合った。身長は俺の肩辺り、腰まで伸びた黒い髪に優しそうなきっちりとした 目元、整った顔立ちに整ったスタイル。
「葉月!なんでお前がここに?」
その落ちてきた塊は失踪したはずの俺のバイト仲間、君島葉月そのものだった。一つ違うと言えば獣の様な牙と目の光沢が赤味を帯びている事ぐらいだった。葉月は俺の事を見て話した。
「私は勇次様に使えているのです。」
「は?お前なに言って・・・」
「何をやっている、葉月。早く邪魔者を消せ」
俺が言葉を言いかけた途中で横から勇次と呼ばれた男の声が飛んできた。
葉月はその声を聞くとビクッ!っと反応をし俺に向ってきた。
「申し訳ありません!勇次様。ただ今済ませます!」
ビュッ!
葉月は右の爪で引っ掻くように俺に向って振り落としたが俺はそれをすんでで避けた。
(避けられない速さではない。女を殴るのは気が進まないがしょうがない・・・はっきり言って手加減したらこっちがやられる!)
ビュ、ビュ、シュッ!ビュッ!
葉月の斬撃は絶え間なく続いていた。俺はそれを避けるのに精一杯だった。
(ちっ!このまま行ったらいつか当たる!その前にこっちが攻めるか!)
ドッ。ボフ。
俺は思いきり地面の土を蹴り上げてその土を葉月の顔にぶつけ、すかさずその上に着ていたコートを投げつけた。
「きゃっ!」
葉月は一瞬うろたえた、俺はその一瞬を見逃さず葉月の横を通りすれ違い様に首の後ろに思いきり手刀を放った。
どん!というインパクト音と同時に葉月は前のめりに倒れた。そして起きあがってこなかった。
「悪いな、葉月。少し眠っていてくれ。」
俺はそう言うと勇次と呼ばれた奴の方に顔を向けた。
「次は貴様だ!まさか失踪犯の犯人が本当に化け物だとは思わなかったよ。葉月をこんなにしやがって覚悟しろよ!」
俺はもうさっき受けた恐怖と言う感情はもう既に心からなくなっていた。葉月の事と小林の事への今、心にあるのは怒りが恐怖と言う感情を超えていた。
勇次は俺のほうを向き淡々と言った。
「なるほど、まだなりかけとは言えこいつに勝ったのは賞賛してやろう。しかし貴様は、俺の相手をしなくてはいけなくな・・・」
俺はその言葉を最期まで聞かずに勇次の方へ突っ込んでいった。
「うぉぉぉぉ!」
勇次は慌てるそぶりもなく俺の方を睨んで来た。俺は勇次と目が合った。
ビクン!ドックン!
俺は何かを感じたが気にせず勇次に殴りかかった。
「おおお!せっ!」
ドゴッ!
俺の拳は勇次の頬にヒットして勇次を吹き飛ばした。
ズザザザ。
勇次は吹き飛んでいる途中で体重移動をして着地し、言った。
「なに!?私の眼力が効かない!?貴様・・なんなんだ?」
「がたがたうるせえ!」
ビュッ、バン!!
俺は勇次の言葉を流し蹴りを勇次の足元に加え、そして態勢を崩した奴に蹴りの勢いで体重の乗った裏拳を顔のど真ん中に当てた。
「ぐう。」
勇次は裏拳の勢いで後ろに倒れたがすぐに起きあがり鼻を少し抑えて言った。
「もう、貴様が何物だろうが関係ない。いくぞ!」
それだけ言うと勇次は俺に向ってきた。
ビュッ!バッ。
勇次は右のストレートの後に左回し蹴りを出してきた。
(ぎりぎり避けられる位・・か。当たったら確実に無事では済まないな)
ビュッ!ビュ!バッ!シュババ!ドゴォ!
勇次は左、右と正拳突きの後、右上段蹴りをし、その勢いで左の後ろ回し蹴りをし、勢いに乗ったまま左の裏拳を打ってきた。
俺は最後の裏拳を避けきれずにガードをしたがそのすごい衝撃でガードをした左腕の骨が折れたようだ。
(チッ!やばいな。腕が一本ないとかなりツライ!こうなったら・・・)
「うっ」
俺は腕の余りにもの痛さにひざまづいたがすぐに立ちあがった。
勇次はすぐさまに俺に向ってきた。
(・・・今だ!)
バッ!
俺はさっき跪いた時に握った、土を勇次の目元を狙い放った。
勇次はそれを難なく左に顔を傾けて避けた。俺はその避けたポイントに右の渾身のストレートを打ちこんだ。
「せい!」
ドゴォ!と言う音と共に勇次は後ろに吹き飛んだ。
(決まった・・・だろ?頼む、起きあがらないでくれ!)
俺の期待を裏切り勇次はムクッと起きだした。
俺は完全に起きる前に勇次の顔を目掛けて蹴りを打ちだした。
「おらぁ!!」
バン!
その蹴りは勇次の顔に当たる前に勇次の手によって止められていた。
「ちっ!」
俺は舌打ちをして勇次と間合いをとった。
完全に起きた勇次は言った。
「仏の顔は三度まで・・・・だ。手加減なしで行くぞ!」
シュッ!
「え?」
右から嫌な寒気がしたので、俺は左に思いっきり避けた。
ビュッ!
俺が元いた場所には勇次の鍵爪が唸っていた。
(見えなかった。)
「くそっ!」
俺はとりあえず間合いをとって態勢を整え、勇次を見た。
ズシュ!
「え??」
俺が気付いた時には俺の胸元は裂かれていた。
そう、勇次は驚くべき、俺に認識できない速さで間合いを詰め俺の胸元を一閃していたのだ。
「くそ!」
俺はその痛みを我慢し、そのまま右腕で反撃を試みた。
「そんなのが当たるわけないだろ。」
勇次はそう言うと俺の腹部に右のボディブロウをした。
「ぐはぁ!」
俺はそれに溜まらず足をまげて地面に膝をついた。
「これが、格の違いだ。まあ、人間にしては上出来だ。尊敬に値する」
「く!」
俺は裂かれた胸から出る血を両腕で受け止め凝視した。
「俺の・・・血?」
ドックン。
鼓動が聞こえる、心臓の音が段々でかくなってきている。
ドックン!ドックン!ドオックン!
意識が朦朧としてきた。
「はあ。はぁはぁはぁはぁは」
ドックドックドック!
「そろそろとどめをさそう。あまり苦しませるのも難だ」
勇次は一歩一歩近づいて来た。
ドック、ドック、ドッドッドッドッドッド!
奴が俺の前に立ち手刀を振り上げ言った。
「さようならだ」
ドックン!
ビュッ!
「なに!?」
ガシ!
秋也はその瞬間、降りてくる手刀を、間一髪で止めた。
「ふ~、間一髪だった。危ないな~」
「き、貴様!なぜ?」
勇次は秋也に対して戸惑いを隠さずに言った。秋也は自分に生えてる物を確認し断定した。
「俺も良くわからんがどうやら俺も吸血鬼らしいなぁ、ハハハ!」
秋也は自分の胸を見ると段々傷が癒えてるのに気付き、骨折した左腕も急激に再生しているのを確認した。
「ははは!なんか気分が良いなぁ。勇次君だっけ?これでお前と対等だなぁ」
「あまりいきがるな!貴様のようななりかけに私と対等になるはずがないだろうが!」
「そうか?さっきの手刀・・・遅かったぜ~、俺に当てるなら、、、さっきの倍は出さなきゃ無理だね~、あんたにだせるかな?ヒャハハハ」
「ほざくな!まあ、いい。捻りつぶしてやろう」
秋也は腕と胸の傷が完治したのを悟ると言った。
「んじゃ、行くぜぇェェェェ」
シュと言う音を立て人知の及ばぬ速さで勇次に近づいた。
「らぁ!」
どごぉ!
スピードの乗ったフックをそのまま食らった勇次は横に吹っ飛んだ。
「まだまだ!」
秋也はそのまま吹っ飛んだ勇次を追うと殴りにかかった。
どん!ボグ!ぼご!
「どうだ?わかったか?格の違いィィィィィィィィィィ!」
勇次はよろよろとおぼつかない感じで立ち言った。
「貴様・・・何者なんだ?」
「さぁ?俺も良くわからんが、とりあえず言える事はお前は俺にゃ敵わない!ヒィヒャッハ!んじゃ、とどめ・・・指しちゃおっかな~♪」
スッ!と音がすると勇次は秋也の姿を見逃した。
「何!ど、どこだ!」
勇次が焦って周りを見まわすと勇次の背後から声がした。
「焦るな焦るな、ここだよォォォォ」
その声に勇次が気がついて対処するには遅すぎた。
ズドッ!と言う音がすると勇次の胸から腕が生えていた。
「うぐ!ぐぐ・・・」
「つらいか?ハハハ!つらいよな~しょうがね~。今、楽にしてやるよ!ヒャッハ♪」
そう言うと秋也は開いている左手で手刀の形を作り勇次の首を一閃した。
シュパ!・・・・ゴト。
勇次の首が地面に落ちるとほぼ同時に勇次の身体は灰になり始めていた。
「ヒャハ、ハハハハハハ!やっぱり、灰になるのか!・・・ん?」
秋也は背後に気配を感じると振りかえった。
「勇次様を、よくも!貴様を殺してやる!」
その声の主はさっき秋也に気絶をさせられた、葉月の物だった。
「ちょうど良い所に女がいやがったァァ!いっただきま~す♪」
ヒュ!
秋也は葉月の反応の出来ない速さで葉月に近づくと、葉月の両腕を掴んだ。
「え?」
そして葉月の目を見て、力を入れた!
「ふん!」
葉月は秋也と目が合うとビクッ!と一瞬身体が震えた後暴れていた葉月はピタッと動きを止めた。
「え?な、に?身体が・・・」
「動かないって?ハハハ!そのままにしてろよ!」
秋也は手をもう一度手刀の形にすると葉月の着ていた服を切り裂いた。
「止めろ!」
「いいね~。もっと嫌がってくれよ~。そっちの方が燃えてくる」
そう言うと秋也ははだけて隠すもののなくなった葉月の胸を揉み始めた。
「やっぱり、良い胸してるね~。」
「やめて!」
秋也はその言葉を無視し葉月のたわわな胸を揉みしだいた。そのうち葉月の胸の先端が硬くなってきた。秋也はそれを口に含むと舌先で転がしたり潰したり歯で軽く噛んだりした。
「はぁ、駄目。やめてよ。」
「おいおい!乳首立ってんじゃね~かぁ!んだよ感じてるのか?」
今度は秋也は開いている片方の手でやはり隠すもののない葉月の蕾に手を伸ばした。
クチュ。そこは確かに水気を帯びていた。
「ん~?何だ?ヒャハ!おい、葉月~。この液体は何なんだ?」
葉月は顔を赤くし下を向くと答えた。
「知るか・・・」
「んじゃ、もう少し調べてみるか・・・」
クチュ、クチュ。
いじっていて突起物を見つけるといきなり軽くつねってみた。
「ひゃあ!あ、くう!」
「クヒャ!おいおい、どうしたんだよぉ?ん~?」
秋也はそう言うと、もう一度今度は強めにつねった。
「きゃあああああ!ああああ。きいい」
「おい、さっきよりも濡れてんぞ?強めの方が良いのかァァァ?」
「おい、この液体はお前の愛液だよな~?はづきぃ」
「ちが・・・」
「違うはずがねえだろ?ほら!よく見てみろってぇぇ!」
秋也はそう言うと葉月の蕾の割れ目から指を少し中に入れ葉月の愛液をすくうと葉月の目の前にそれを出した。
「これは、あ・い・え・きだよな?ヒャハハハ。ほら、味わってみろよ!てめえの味だ!」
秋也は愛液のついた指を葉月の口に押し込んだ。
「やめ!うぐ!ううう」
そのまま秋也は葉月の口の中で指を葉月の舌に絡めたりディープの様に葉月の口内を舐った。
「うむむむ!うんん・・・」
秋也が指を口から出したときチュポ!と言う音が立った。
「お前ばっかじゃつまんね~。しゃぶってくれよ」
「誰がそんなことを!あ・・」
秋也は反論をしている葉月の目を見ると今度は命令口調で言った。
「しゃぶれ」
葉月はビクッと身体が震えると秋也の前に跪き秋也の股間の前まで顔を下ろした。
「あ、あ!嫌!駄目!止まって!」
葉月の手がジッパーについたその瞬間、秋也は言った。
「おい!待った!ヒャハ!手は使うな!口で物を出せ!」
「な!何を言ってい・・・」
葉月の反論がままならなぬまま、葉月は口を開け秋也の股間に顔をうづくめ、ジッパーの先端を器用に噛むとそのまま顔をスライドしてジッパーを完全に下げた。
そして葉月はそのまま歯を離し、トランクスの下にある怒張をトランクスの布を舌で剥ぎ外気に晒さした。
「ひ!」
その秋也の怒張は勇次の物の3、4周り大きく葉月は目をこじ開け呆然とした。
「どうだ?ちっと自信があるんだ。立派な物だろ?まあ、これがお前の中に入るんだ。きちんと奉仕して濡らしとけよぉぉ?ヒャハ」
「いや!そんなの入んない!止めてよ!やめ・・・」
葉月は身体の動きを拒むことが出来ず舌を出して秋也の人並み外れた怒張の先端部分を舐め始めた。
葉月の動きは段々エスカレートしていき今度はカリの部分を舐めたかと思うとサオを横に加えた。
「うん、うんん、むむむ」
「おお、いいじゃね~か!咥えてくれよォォォ!」
「ぷはっ!無理!口が壊れちゃう!いやぁあああ・・あ!」
葉月は唇を尿道にあてるとそのまま顔を突き出し口に奥深く秋也の怒張を含んでいった。
「ウグ!うぐぐ!」
口内に秋也の物が一杯になると葉月は一心不乱に顔を前後させながら口内で舌を暴れさせた。
それがしばらく続くと秋也は言った。
「おい!もういいぜ!四つん這いになれ!」
「ぷは!はぁはぁ、もうやめ・・て・・ください」
口での抵抗を虚しく葉月は秋也の前に四つん這いになった。
「ケツを上げろよ!気持ち良くしてやるぜェェェェ♪」
膝を土につけていた格好から葉月は膝を離し、真っ白な形の良い尻を持ち上げた。
「準備はいいか?いくぜぇ」
そう言うと秋也は葉月の蕾の入り口を手で少しいじり入り口を指を使って開いた。
「ん!嫌だって・・はぁ・言ってるでしょ!止めて・・よ。入れな・・い・で」
秋也はその言葉を無視すると怒張を入り口にくっつけた。
「ひっ!や、やめてぇ!お・・・願い!止めて・・・ください!」
「無理!!ヒャハハハハ!お前も感じろよ!淫乱なんだからよ!」
ずぽっ!
勢いを付けて一気に突ききった。
「淫乱なんかじゃ、きゃあああ!きひいいい!」
「良い声で鳴けよ~」
秋也は出し入れを繰り返した。
「ひっ!ひっ!ひっ!ひあっ!」
秋也は指を上のほうに持って行くと肛門の穴に親指を入れた。
「そこ!ちが!う!あああああ」
「なんだ?お前?ケツでも感じるのか?雌豚が!」
「ああああ!豚なんかじゃ!ひっ!」
「いちいち否定すんじゃね~!次否定したらこっちにぶち込むからな~!てめえはよがり狂ってりゃ良いんだ・・・よ!」
秋也はいままでで一番強く突いた。
「ひゃああああああああ!あああ!」
「軽くいったな。んじゃあそろそろ俺もいくぜぇ!」
体位を正常位にすると一気に突きこみ始めた。
「おらおらおらおら!」
「うぎぃ!ひいい!ああああ!あひ!」
「いくぜ!」
腰を一気に押しこんだ瞬間、秋也は達した。
「てめえもいけ!そしてあんたは俺の奴隷だ!ヒャハハッハハッハハ!」
そう言うと秋也は口を大きく開け葉月の首筋に牙を突き刺した。
「ああああああああああ!ひあああああ!あああああぁぁぁぁああああ!きひいいいい!」
葉月はそれと同時にこれまで経験した事のないくらいの快感と共に達した。
秋也はしばらくして突き刺していた牙を離し、首から口を離して言った。
「よう、どうだった?気持ち良かったろぉ?」
葉月はとろっとした目で言う。
「最高でした。秋也様。私なんかに秋也様のご慈悲を与えてくださいましてありがとうございます」
「ああ。まだ足りね~」
秋也はそう言うとあたりを見回した。
「ヒャハハ!ちょうど良いのがいるじゃね~か!」
秋也の目にとまったのは気絶したままの小林だった。
シュ!という音がなると同時に秋也は小林の前に立っていた。
「ヒヒヒ!んじゃあ、いただき・・・・!!!」
秋也が喋りながら前にかがむとみやかから貰った十字型の首飾りがぶら下がり、秋也の目に映った。
「え?あ?」
葉月が心配そうに声をかけた。
「どうしました?秋也様?」
秋也にはその声が届いていなく秋也はビクッと身体を震えさせ、声をあげた。
「な、何なんだ?俺は・・・この牙は、ちきしょう!なんなんだよ!」
葉月は再度声をかけた。
「どうなされました?秋也様!」
俺は声のする方向に顔を向けた。
「秋也・・様?葉月?そうだ!あの勇次とか言う奴!どこだ!」
葉月はおそるおそる言った。
「そ、それは・・・秋也様が御退治なされたじゃないですか・・・」
「俺が?・・・どう言う事だ?」
俺は葉月にその間の事を聞いた。
「・・・と言う訳です。思い出されたでしょうか?」
俺は葉月に聞いたことを整理して自分が吸血鬼と言う事の疑問を取り合えず抑えて葉月に言った。
「ってことは俺は勇次を灰にした後に、葉月を無理やり襲ったってことか・・取り返しのつかないことを・・すまん!」
俺は自分のした事が判明して葉月に頭を下げた。
葉月は慌てて俺に言った。
「そ、そんな!今じゃこっちがお礼を言わなきゃならない位に嬉しいのです。あ、頭をあげてください!お願いします!」
俺は葉月が真の底から焦りを感じているのに気付き頭を上げて言った。
「わかった、けど、敬語は止めような。あと様付けもね」
「そんな!恐れ多い事・・・無理です!」
俺は少し考えると言った。
「せめて様だけは止めてくれ」
「それではなんとお呼びすれば・・・」
「いつものでいいよ!秋也君だっけ?それでさ!」
「あ、あの。それではそうお呼びさせて頂きます。」
俺はその答えに納得すると、ある事に気付いた。
「あ、ごめん!服、ないよな・・俺が破いたんだもんな・・・」
俺はその場で服を脱ぎ、シャツとパンツの格好になった。しかし自分のシャツも破れているのを気が付くと地面に落ちているリュックからバイトの制服(コンビニだから上着しかない)を出した。
「ちょっと寒いかもしんないけど、これ、着ろよ」
俺はそう言って服を葉月に渡したが、葉月は受け取らずに言った。
「そんな!私なんかこれで結構です!秋也さ・・・君が着てください!」
「そんな訳にはいかないだろ?俺はさ、これがあるからさ。しかも様じゃないってば」
地面に落ちているコートを拾い砂を払って葉月に見せた。
「け、けど・・・」
「んじゃあ、命令!って言ったらどうかな?」
「うっ!かしこまりました。けどずるいです・・・」
そう言うと葉月は俺から服を受け取り着始めた。
「ごめんな。んじゃあ着たら帰ってゆっくりしてよ。多分親も心配してると思うしな。爪はしまえるし、牙を隠して眼鏡をすればなんとかごまかせるんじゃないかな?」
「はい。わかりました。」
「気をつけて帰ってくれよ。まあ、今の葉月に敵う男なんていないと思うけどさ~」
葉月は服を着終えると言った。
「着終わりました。それでは先に帰らせていただきます。勇次君も気をつけて下さい」
「おお!じゃ、またバイトでな!」
「そんな。バイトでなくても私は秋也君に呼ばれればすぐに現れますよ」
そう言い葉月は公園の出口に向い歩き始めた。途中で振りかえり言った。
「あ、太陽の光に気をつけて下さいね」
そう言って公園を出た。
(そういえば吸血鬼って太陽の光は駄目なんだよな。げ~!これからどうすりゃいいんだ?けど今更しょうがね~か。取り合えず明日は学校は休むか・・・)
俺は気絶している小林を見た。
(このまま・・って訳にゃいかねーよな~。はぁしょうがない。連れて帰るか)
俺はコートを羽織り、小林をおんぶすると家に帰ることにした。
シュッ!と言う音を立て人であった時は出なかったような速さで人目につかないように迅速に移動し、帰宅した。
その一連の行動を見ていた者がいた。
それはニィという音が出るような風に口を三日月形に変形させて笑った。
「やっと・・・見つけた・・・」
< 続く >