コミュニティ 第1話

第1話 ~始まり~

 2001年12月24日午後11時。
 この日、S県で大規模な流星群が観測された。
 クリスマスのデートを楽しんでいたカップル達は思わぬ天からのクリスマスプレゼントに喜んだが、不思議なことに流星群はS県だけ、それも鈴が森市のみで観測され他の場所で流星群など影も形も見ることはなかったのである。
 天文学者達はこの不思議な現象をありえないことだと口をそろえて解説したが、鈴が森市民の大多数が目撃しているこの現象を完全に否定することはできず、そして原因を特定することもできずにいた。一時はテレビでも騒がれていたが、1ヶ月たち2ヶ月たつと人々の記憶からも薄れていった。
 ・・・そして、流星群に混ざり落下していた物のことを知る者は誰もいなかった。

 4ヵ月後
 今年の桜は例年になく早く4月には散ってしまって異常だという人もいるけれど、それでも春の訪れは嬉しい。心がうきうきする。
「センパイ!春ですよ春!」
 ミニパトの助手席の窓を開けてはしゃぐあたしを見て、運転席の斎藤美奈子センパイはあきれたように言う。
「あんたってば1年中脳みそが春なんじゃないの?」
「そんなことないですよ~」
 口をとがらせてすねてみせるあたし。自分でいうのもなんだけどかわいい仕草だと思う。
「あんたね、そういう顔は私服のときやんなさいってば。」
「はあ~い」
 首をすくめて、てへって舌を出すあたしをみて美奈子センパイは笑ってくれた。なんだかあたしも嬉しくなってニコニコしてしまう。だから「脳みそが1年中春」だなんて言われるだけど・・・。
 あたしの名前は柏木美和。
 職業、警察官。
 年齢、はたち!
 去年警察学校を卒業して、鈴が森警察署交通課に配属。
 美奈子センパイはそのときのあたしの指導巡査で、それ以来一緒に仕事をしてる。
 あたしってば自分で言うのも何なんだけど顔はかわいいと思う。でもちびだし胸小さいし童顔で私服だと高校生に間違われることもあったりする。
 その点美奈子センパイはあたしとは全然違ってて、背はすらりとしててスタイルはいいし、顔も大人っぽいっていうか・・・ま、大人なんだけどね。
 髪はショートにしててこれがまた美奈子センパイを凛々しく見せてる。すごく頼れる感じなんだな。あたしもいつかは美奈子センパイのような素敵な女性になりたい!・・・絶対無理って突っ込みは無しね。
「・・・あんた誰と話してるの?」
「何でもないです~」
 ミニパトは市街地を抜けて、公園の方へと向かう。
 鈴が森市の外れには大きい公園があって、その周辺部には違法駐車がたくさんなので週に1回は取り締まりに出かけることになっている。
「あちゃー、今日も多いわね・・・」
「本当ですねえ・・・」
 公園の脇の道路には違法駐車の車が沢山あった。いつもより多い気がするなあ。
 あたしは早速ミニパトの拡声器のマイクを持って移動を促す放送を始めた。
「こちらは鈴が森警察署です。この付近は駐車禁止区域です、駐車中の運転手さんは速やかに移動してくださ~い・・・いてっ」
 美奈子センパイがあたしの頭をぽかっと叩く。「あんたね、くださ~いはやめなさいって。威厳がないでしょ」
「無理ですぅ~」
 目をうるうるさせているあたしを見ていつものごとく呆れたのか、ため息をつく。
 実際あたしの声は迫力不足で、運転手さんに馬鹿にされることも多々あったりする。悪いのは声であって決してあたしではないのだ。そのあたりセンパイもわかってくれてもいいのになあ・・・。
 何度か放送をすると何人か運転手さんが慌てて戻ってきて、あたしたちにぺこぺこしながら車を動かす。ま、すぐに動かしてくれればいいんだけどね。
 放送しても運転手が来る気配のない車のタイヤにマーキングしたりして、30分も過ぎたころ、公園の中から女の人が走って出てきた。相当慌てているらしく自分の足でつまづきそうになりながら必死で走っていて、あたしたちの姿を見るなり「お、お、お巡りさ~ん」と絶叫しながら駆け寄ってくる。そんなに必死にならなくても逃げないってば。
 女の人は一気にあたしたちの方まで駆け寄って来ると、あたしと美奈子センパイの顔を見比べてから美奈子センパイに話し始めた。なんだ、今のは・・・あたしだって警官なんだけどなあ。
 あたしの心の中の抗議には気が付かず、女の人は公園を指差して叫ぶ。「公園の中で男の人が血を吐いて倒れました!!!」
 そこまで言って気がゆるんだのか、その場にへなへなと座り込んでしまう。
「どこに倒れてるんですか?」
「公園の中のトイレのそばです。歩いてたら男の人が急に抱きついてきててっきり痴漢だと思って突き飛ばしたらそのまま倒れていっぱい血を吐いたんです」
 そういう女の人の靴からひざのあたりまで血が飛び散ったように赤い斑点が付いている。それは血液にしてはやけにぬめぬめしているように見えて、わけもなくあたしは嫌悪感を覚えた。
「柏木さん、すぐに救急車と応援を要請して。わたしは公園を見てくるからその人をお願いね」
「は、はい!」
 美奈子センパイはすぐに公園の中へ走っていく。その姿は文句なしにかっこいい!
 あたしは女の人をミニパトに乗せると、すぐに署活系無線で救急車の要請をした。おお、まるで警官みたい!・・・ってもとからお巡りさんなのでした、あたしは。

 男性の死因は不明。女の人は自分が突き飛ばしたせいじゃないかって気にしてたけど、外傷もないことから可能性はなし。
 身元だけは免許証を持っていて判明した。
 名前は増田洋二さん、37歳。鈴が森市外れの集落に住んでいるらしい。
 と、あたしが教えてもらったのはそこまで。交通課のお嬢ちゃんの出る幕じゃないしね。
 それでも刑事課の現場検証の立ち合って、署に戻ったのはもう退勤時間を大幅に過ぎてしまっていた。一緒に戻ったけど、美奈子センパイは何か心ここにあらずといった感じで何を話しかけても上の空。もしかしたら死体を見て気分が悪くなったのかなあ。
 それを言うと「大丈夫。ちょっと考え事してただけだから。悪いけどちょっとやることがあるから先に帰ってくれるかな?」との返事。何かいつもの美奈子センパイじゃないみたいだけど用事があるならしょうがないか。もしかしたらデートかな?ふと歩いていく美奈子センパイの足を見ると血がついているのが見えた。あ、あれをどこかで洗うつもりなのかな。
 警察署というのは基本的に24時間無人になることはないけど、夜になると当直の署員以外は帰ってしまうし、昼間に比べると人はだいぶ少なくなって静かになってしまう。昼間は賑やかなだけにすごく寂しく感じる。
 特に更衣室のある階は出勤、退勤時間は人が大勢いるけどこの時間になると人が近寄ることがあまりない。あたしはこの静かな更衣室って苦手だから美奈子センパイと一緒に帰りたかったんだけど。
 更衣室の中は案の定、誰もいない。
 自分のロッカーを開けて制帽をしまう。
「あー疲れたなあ」
 我ながらおっさんっぽく独り言を言いつつ上着を脱いだ時、美奈子センパイが更衣室に入ってきた。あ、用事終わったのかな。
「センパイ、用事終わったんですか?」
 美奈子センパイはあたしの問いかけに答えもせず、更衣室のドアに寄りかかってあたしを見つめていた。「ど、どうしたんですか・・・?」
 あたしはほっぺが熱くなるような気がした。もしかしたら真っ赤になってるかもしれない。美奈子センパイの表情はすごく色っぽくて、全然別人みたい・・・。
「美和ちゃん、今日はお疲れさま」
「あ、はい。センパイも・・・」
 あたしの顔をじっと見つめながらセンパイは近寄ってくる。その歩き方がまたいつものセンパイとは全然違っててお尻の動きを強調してるような感じ。
「セ・・・センパイ?」
「ふふ、美和ちゃん。かわいいわ。」
 あたしの心臓がどきどきいってる。
「わたしのこと好き?」
「え、え、え、その、あの、あたし・・・」
 あたしは制服の上着をぎゅって抱きしめて、美奈子センパイの顔を見つめ返した。確かにセンパイは綺麗で素敵であたしの憧れだけど、でもあたしはレズってわけじゃなくて・・・。
 すっかりパニックになったあたしの頬を美奈子センパイの細い指がそっと触れた。その瞬間全身に電気が走ったような快感が走る。
「センパイ・・」
 思わず上着を落としてしまう。
「ね、わたしのこと好き?」
 センパイの言葉を聞いていると頭の中に靄がかかったように何も考えられなくなる。あたしは自分でもわからないうちにこくりと頷いていた。
「ふふ、うれしいわ。わたしも美和ちゃんのこと好きよ。」
 センパイの顔がゆっくりとあたしの顔に近づく。そして、やわらかな唇があたしの唇に重なる。
 ・・・ファーストキス。
 そう、実はこれがあたしのファーストキス。今まで男の子と付き合ったこともなくて、正真正銘のバージンだったりもする。
 ファーストキスの余韻に浸る間もなく重なった唇の隙間からセンパイの舌が入ってきてまるで別の生き物のようにあたしの口の中を動き回る。あたしもおずおずと舌をからめる。
 センパイの舌が触れるところから絶え間なく快感が全身を駆け巡る。あたしの身体から力が抜けてしまって、立っていられずキスをしたまましゃがみこんでしまった。
 ふいにセンパイが離れる。
「美和ちゃんの唇おいしかったわ・・・。」
 あたしの前にセンパイがかがみこんで、今度は耳に息を吹きかけられる。
「きゃうん」
 わけのわからない声を出してしまう。センパイが耳に囁いた「美和ちゃんはいやらしいのね・・・。」そんなことないもん・・・
 そのまま唇が首筋を這い回る。あたしは初めての感覚にどうしていいのかわからないままセンパイの愛撫に身を任せることにした。
「美和ちゃん、もっとして欲しい?」
 肩で息をしているあたしの顔をセンパイが覗き込む。
「ほら、わたしの目を見なさい」
 言われるままセンパイの目を見ると、そこから目が離せなくなった。きっと、まばたきも忘れたまま見ていたのだと思う。
「もっとして欲しい?」
「・・・はい」
「気持ちよくなりたい?」
「・・・はい」
 頭の隅で誰かが警告する。駄目だ、目をそらすんだ
「わたしの奴隷になれば最高の快楽が味わえるわよ。」
「・・・はい」頭の中は美奈子センパイに気持ちいいことをしてもらいたいってことしか考えられなくなってる。
「奴隷になると誓いなさい。身も、心もわたしに捧げるの」
「・・・はい、誓います。あたしは美奈子センパイの奴隷です。」そう答えているうちに全身にぞくぞくするような快感が走ってゆく。「気持ちよくして下さい・・・お願いします・・・お姉さま」
 また頭の隅で誰かが叫ぶ。自分をしっかり持つんだ、負けちゃいけない。
 でもあたしは美奈子センパイ・・・いえ、お姉さまの奴隷になることがすごく気持ちよくて、そう考えているだけでもすごく気持ちよくて快感をむさぼることしか考えられなくなっていた。
「ふふ、いい子ね。それじゃ、まずはスカートをめくってくれるかしら?」
 あたしは制服のゆっくりスカートをめくって見せる。わざとゆっくりしたわけじゃなくて、やっぱり恥ずかしいから・・・。
 スカートを完全にめくるとお姉さまはあたしのはずかしいところを覗き込む。息が下着を突き刺すように絶え間なく肌に刺激を送ってくるような気がする。
「子どもっぽい下着なのね」
 あたしの顔はさらに真っ赤になっているに違いない。こんなことならもっと大人っぽいのはいとくんだった。勝負下着くらい持ってるんだから!・・・ま、実際使ったことはないけど。
 お姉さまの指が、下着のラインをなぞるように敏感な部分に触れていく。あたしはスカートをまくりあげたまま息を荒くしていた。
「ん・・・はあ・・・んっ」
 ・・・あたしってばこんなえっちい声が出せるんだ
 ぼんやりとそんなことを考えていると指が下着の中へ入ってくる。思わず身体を固くするとお姉さまは微笑んで「大丈夫よ、わたしに任せなさい」と言ってくれる。その笑顔に違和感を感じたけどでもそんなことはすぐにどうでもよくなってしまっていた。あたしの恥かしいところは自分では気がつかなかったけどすごく湿っていて、お姉さまの指が動く度にちゃ、ねちゃと音がする。指がすっと引き抜かれてあたしの目の前に出される。
「ほら、美和ちゃん御覧なさい。あなたの蜜がこんなに」そう言うとお姉さまは自分の口にそれをもって行き真っ赤な舌を出して舐めとる。「ふふ、とってもおいしいわ」
 あたしはそれが恥かしくて、それでも嬉しくて、お姉さまが自分の指を舐めている姿に見とれてしまった。
「あなたのすべてをちょうだい」
 お姉さまが自分のスカートのホックを外し、それがすとん床に落ちるとあたしはびっくりして息を飲んだ。お姉さまは下着を付けていなかった。でもそんなことでびっくりしたのではなくて股間には隆々とした男性のシンボルがついていたのだ。もちろんあたしの記憶にあるモノは小さい頃お父さんとお風呂に入った時見たモノでこんな大きくなったのは見たことがなかった。もちろん知識としてこうなるということは知っているけど、実際見るのは初めて。
 でも、違う。
 というのも大きさも長くて太いっていうこともあるけど、表面はこげ茶色で無数のいぼのような突起に覆われていて、頭は・・・ぬめぬめとした透明な液体が絶え間なく流れていて流れ落ちた液体が床に水溜りを作っている。こんなのが普通なはずない!・・・なんて思う余裕は全然なくて、あたしの口の中には何時の間にか唾液がたまってしまっていて、思わずそれをごくりと飲み込む。そのとき頭にあったのはお姉さまのモノを触りたいってことだけだった。
「触りたいんでしょ?触っていいわよ」あたしの心を見透かしたようにお姉さまが微笑み、再び椅子に座って誇示するように自分のモノを触る。「はい・・・」あたしは跪いて、お姉さまのモノにそっと手を触れた。表面がぬるぬるしてて一瞬手が引けたけど両手でにぎって上下させる。そして我慢できなくなってそっとモノにキスをする。「さあ、美和ちゃん。舌を出して舐めなさい。わたしの蜜を・・・おいしいわよ」あたしは言葉通り舌を出して、ちろちろと舐めはじめる。ぬるぬるした液体は味わってみると驚くほど甘くてまるでアイスキャンディーを舐めるような感覚で表面に舌を這わして、お姉さまに気持ちよくなってもらえるように一所懸命愛撫する。あたしの左手は何時の間にか自分の股間に伸びて自分で敏感な部分を刺激していた。
「さあ、今度は口に含みなさい。そのかわいいお口に入るか心配だけど」
 お姉さまが言うとおり、あたしの口には大きすぎる気がした。でもあごが外れるくらい口を開きそのまま口の中に含む。そして頭を上下させた。上下させながら中で舌を動かし、絶え間なくお姉さまを刺激する。口を犯されているのにまるであそこに入っているような感覚・・・モノがこすられる感覚がすべて快感に直結していて、あたしは夢中で頭を動かした。お姉さまが髪の毛をやさしくなでる。「もうすぐよ、全部飲みなさい・・・」
 一瞬口の中のモノが膨れたような感じがして、あたしの喉に何かが吹き出る。その瞬間、気が遠くなるような快感がかけめぐる。オナニーをしたときとは比べ物にならないほどの感覚・・・これが『イク』ということなのかな・・・。
 むせそうになりながらも、吹き出たものを全部飲み込む。最後の一滴まで飲み干し、お姉さまのモノから口を離す。
 あたしの身体に劇的な変化が訪れたのはこの時だった。
 身体の中を何かが這い回るような感じ、皮膚の下を小さな蟲が這いまわっているようなざわざわとした感じ。痒いところをそっと触られているようなフシギな感覚。
「・・・ああっ」
 ざわざわがあたしの身体の中で絶え間なく快感を送っている。でも強烈なやつじゃない、むずがゆいような感じ。それがもどかしくてあたしは自分で胸をもみ、乳首を刺激した。そうするとざわざわは胸に集まってきて、それが快感を何倍にもしている。「あん・・・くっ・・・気持ちいい・・・」夢中になってオナニーをする。普段はこんな強烈な感覚はなくて、胸とあそこを触って気持ちよくなる程度なのに、自分の手の刺激も制服の布がこすれる感覚もすべてが気持ちいい。右手で胸を刺激しながら左手をあそこに移動させる。そこは下着の上から触ってもびしょぬれで、まるでおもらしをしたような感じ。下着の上から触ると、くちゅって音がする。もどかしくなって下着を脱ぎ捨て、直接触る。ざわざわは今度はあたしのクリ○リスに集まってくる。もうすでに固くなっているその突起にちょっと触れると瞬間的にあたしはイってしまった。それでも身体は落ち着かないでさらなる快感を求めている。あたしの目に椅子に座ったままこっちを見ているお姉さまが写った。    股間のモノはまだそそり立ち、ぬらぬらと光っている。
「お願いします、お姉さまのをあたしに入れて下さい!」
 ざわざわが送り込んでくる快感に全身を震わせながらどうしようもなくなってお姉さまにすがりつく。そしてそのままお姉さまのモノにしゃぶりついた。そうするとざわざわの動きが落ち着いてきたけど、今度は逆に全身がすごく熱くなってしまう。これを入れてもらわないとあたしは気が狂うかもしれない。
「あら、美和ちゃんはバージンでしょう?それなのに初めてがわたしでいいのかしら?」
「お姉さま、あたしの初めてをもらってください」
「ふふふ、嬉しいわ。横になって足を開きなさい」
 あたしは言われた通り床に横になると足を広げてお姉さまにあそこが見えるようにした。恥かしくてしょうがなかったけど、これで何だかわからない疼きが止まるのかと思うと我慢できる。お姉さまは自分のモノを右手でこすりながら近寄ると、そのままあそこに押し当て一気にあたしの中へ入ってくる。バージンを失った痛みが一瞬走ったけどそれも次の瞬間には快感に変わっていた。「ああ・・・はうん・・・くう・・・はあ・・・はあ・・・」お姉さまのモノが動いてあたしの身体は快感の波に奔走されてしまう。必死に抱きついて、そしてキスをねだる。舌がからまり唾液があたしのあごを伝わって床に流れていく・・・。
「我々は仲間を欲している・・・」
 ふいに誰かがあたしに話し掛けてくる。意識が朦朧としながらも見るとそれはまぎれもなくお姉さまの口からでた言葉だった。その声は全然別人のしわがれた声。「この女はすでに仲間だ。お前も我々の仲間になれば人間同士では味わえない快楽を与えてやろう」
 不思議だと思うこともなくあたしは頷いていた「もっと、もっと気持ちよくして下さい」お姉さまの口が笑うようにゆがみ、目が赤く光っていた。
「あああああああーーーーーーーー!」
 あたしの中でお姉さまのモノが果てた瞬間、あたしも絶頂を迎えていた。中に入ったままであたしの顔をぺろっと舐めたお姉さまの顔が急に苦痛にゆがみ、あたしの身体から離れてしまった。
「ぐうぉあああああああああ!!!!!!」
 まるで怪獣のような悲鳴をあげて、更衣室の中を苦しみのたうち回るお姉さまを呆然と見つめるあたしの頭の中で誰かが話し掛けてくる。その声はやさしく、そして威厳に満ちていて心が安らかな気持ちで満たされるのを感じた。
「我が名は魔樹(まき)。古の契約により柏木家を守る者也」
「・・ま、魔樹・・・?」
 お姉さま・・・いえ美奈子センパイはさらに苦しみ、そしてひときわ大きな絶叫を放つと同時に口から茶色い塊を吐き出した。それは床にべちゃっと落ちたかと思うと一瞬にして煙になり消えてしまっていた。そして美奈子センパイは床に崩れ落ちる。
「セ、センパイ!」
 慌てて駆け寄り、倒れているセンパイにすがり付いた。目を閉じて全然息もしてなくてまるで死んでいるみたい・・・「センパイ・・・?」呼んでも返事をしてくれない。
 まさかセンパイは死んじゃったの・・・?
「センパイ、センパイ、美奈子センパイ、死んじゃやだあ!」
「うっせーなあ、俺がそんな簡単にくたばるはずねえだろ」
「へ!?」
 美奈子センパイがむくっと立ち上がった。それはそれで嬉しいことなのだけど・・・まるで男の子みたいな話し方は何!?
「まったくおめえは昔から泣き虫だかんな。安心しろ、悪さしやがった蟲は退治してやったぜ」
 そう言って得意げにあたしを見下ろすのは美奈子センパイそのもので、声も間違いなく美奈子センパイで、でも話し方はまるで男の子みたいで・・・。
「・・・あんた、誰?」
 あたしはやっとのことでそれだけ言えた。さっきからの異常事態で頭の中はこんがらがってて何を言ったらいいのやら皆目検討もつかないんだけど・・・。
「俺?さっき自己紹介したじゃねえか。おめえのおめでたい頭はもう忘れちまったのか?魔樹だよ」
「ま、魔樹って・・・」
「むか~し昔、柏木のおっさんと契約したんだ。柏木家をずっと守るようにってな」
「そんなの知らないっ!・・・美奈子センパイは・・・美奈子センパイはどこなの!?」
「あーミナコか。今はちょいと俺の意識が強く出てるから何だけどちゃんといるぜ」
「どういうことなの??センパイを返してよ!!」
「わっかんねえやつだなあ。ミナコは別に死んだわけじゃないんだぜ、ちょっと俺様が身体を借りてる間だけミナコの意識がないだけでさ」
「・・・わけわかんない」あたしはその場にぺたんと座り込んでしまった。
「ま、おいおい説明してやるよ。とりあえずパンツだけでもはけば?」
 言われてあたしはノーパンのままだったことを思い出して真っ赤になった。スカートの裾を押さえつけて、美奈子センパイ・・・改め魔樹をにらみつける。
「そんな怖い顔すんなよ。さっきまで股広げてあんあんよがってたじゃねえか」「ちょっ・・・」
 にやにやしてる美奈子センパイの顔。本当にまるで男の子みたいだけど、センパイにはあんな顔して欲しくないなあ。
 更衣室を見回してあたしの下着が丸まって落ちているのを見つける。拾い上げてみると股間の部分が見事に濡れていて、このままはくのはどうも気持ち悪そう。
「魔樹君、後向いてて」
「なんで?」
「着替えるから」
「着替えれば?」
「あんたが見てたら着替えられないでしょ?」
「なんでえ、そんなことか!・・・美和ちゃん、女同士なんだから気にしないでいいじゃない」
「・・・急に女言葉使わないでくれる?」
「めんどくせえな、女って」
 魔樹が渋々後を向いてからあたしはロッカーから私服を取り出す。幸い今日はジーパンだからノーパンでも大丈夫。下着を丸めて紙袋に入れてジーンズをはいて上着を着て振り向くと・・・魔樹が感心した表情であたしを見ていた。
「・・・何見てんの」
「いやー感心してたんだよ。おめえ乳は小さいけどいいケツしてやがんなあ」
「ばかっ!美奈子センパイの顔でそんなこと言わないで!!」
「いいじゃねえか、気にすんな。それよかよ、俺は何着たらいいんだ?」
 今まで忘れてたけど美奈子センパイも下半身何も着てなかったんだっけ。
「もう、はやくこれに着替えてよ!」
 あたしは美奈子センパイのロッカーから私服を取り出すと魔樹に放り投げた。

 その頃。
 鈴が森市の住宅街に位置するマンション。
 そのマンションは「ハイツスズモリ」といった。
 マンションの2階、203号室の部屋の中は暗く街灯の明かりが窓から入ってくるだけであった。部屋にはベットが置いてあり、そこで2人の女が全裸になりお互いの秘所を舐めあっていた。ぴちゃぴちゃという音だけが静かな部屋の中に響く。
 窓際にはこれも全裸の女が立っており夢中で快楽をむさぼる二人を冷ややかに見つめていた。
「そろそろ欲しいんじゃない?」
 女がそう言うと、抱き合っていた女たちはお互いの身体から離れ媚びるような熱っぽい視線を女の股間に向ける。そこには大きなペニスがそそり立っていて、それは全体的に茶色く、表面にはいぼのようなものが無数にある。亀頭からは透明な液体が絶え間なく湧き上がりすでに床には水溜りができていた。
 2人が両側からペニスに舌を這わせているのを見下ろしながら、女はつぶやいた。
「・・・我々は仲間を欲している」
 その声はまるで老人のようにしわがれていた。

< 続く >

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