帝国軍特別女子収容所 FILE 6

FILE 6

 台本では頬を打つところを、胸を揉み込む行為に変える。腕を捻り上げるところを、腿に手を入れて撫で上げる行為に変える。
「き、汚いわ! ふぁっうっ!」
 後ろではカメラが回っている。セシルは無様なことができない。
「こんなことしても時間の無駄だ、と言いたいのかもしれんな。だが、レジスタンスの連絡員であることは既にわかっているんだ」
 俺はセシルのセリフも全て奪って、台本通り続ける。
 セシルは口を開くと喘ぎ声が出てしまうので、懸命に歯を食いしばる。
「言っておくが、本気で尋問すれば女を吐かせるくらい簡単なんだぞ」
 ついに股間に手を伸ばした。セシルは身体をよじって逃げようとする。しかし椅子に縛り付けられている状況では、ほとんど逃げることはできない。
 丁寧にショーツの上からスリットに触る。
 くちゅり……。
「うっくっ……」
――なかなかイイ濡れ方だ。
 それなりに経験があるのだろう。19歳なのにしっとりとした大人の女の役もこなしていたから、生娘ではないだろうとは思っていたが。
「なぜ、それほど帝国に刃向かうんだ? レジスタンスが勝てないことぐらいわかってるんだろう」
 俺はショーツの隙間に指を差し込み、潤った秘部に指を這わせた。
 ぬぷ……。
「んふぅぅぅぅぅん……」
 ため息と、喘ぎ声が一緒になったような声だ。
「こんな……ことをしても、ふぅふぅ、私はレジスタ……ンスだとは、んふぅ、み、認めない……」
「そんなセリフはないぞ」
「薬だって、台本にないでしょう!」
「確かにそうだ」
 くちゅ、くちゅ、くちゅん。
 俺は指を掻き出すように動かす。愛液がとろとろと出てくる。
「うっく、ふぅふぅ、んっふ、くうぅぅ……」
「早く吐いた方が、苦しまずに済むぞ」
「――」
 俺のセリフに何か反論しようとした呼吸を読んで、指でクリトリスを引っかいた。
「んくうぅぅぅっっっ!!!」
 歯を食いしばったまま、なかなか喘がないセシル。大した精神力だ。
「自分なら素直に吐くのか、とお前なら言うかもしれない。確かにそれは難しい質問だ。俺はそんなふうに戦争を考えたことは無い」
 グッと指を突きこんだ。
「うぐうぅぅぅっっっ!!!」
 涙目になっても、なお喘がない。
「考えてみるべきだ、とお前が言ったとしても、俺は今は尋問の時間だと突っぱねるしかない」
 激しく指を出し入れさせる。
 ぐちゅ! ずっちゅ! ぐっちゅ、ぐっちゅ! ぬっちゅ!
「くっ! くっ! んくっ! ぐっ! うぐっ!」
 びくんびくんと身体が跳ねる。
「帝国が本当に正しいのかどうか、人間として考えてみろとお前は言うが、尋問官の仕事ではないとしか言えない」
 クリトリスを強烈に刺激した。
「くうーーーーーーーーーーーーっっっっ!!!!」
 身体を抱え込むようにしたまま、セシルは絶頂した。
 涎がトロリとひざの上に落ちる。

 俺はカメラのアングルを少し変えてから、休まずにペニスを突き入れた。
「んふうぅぅぅっっっ!!!」
 抗議のために何か言おうと、口を開けたままセシルは硬直する。
 たっぷりと潤ったセシルの中は、もの凄く熱かった。
「戦争で多くの死者を出し、建築物の被害も多い。ここまでして行う帝国の強圧的な支配が、各国の非難とレジスタンスの活動の源になっている。確かにその通りだ」
 遠慮なくガシガシと動く。
「くぅぅっっ!! あっうっぅぅぅぅっっっ!!! んきぃぃぃっっっ!!!」
 しかし喘ぐというよりは、くぐもった悲鳴のような声が低く出るだけだ。
 声をこらえると、声を出すときより自然と快感は抑えられる。俺としてはなんとしても、声を出してもらわなければならない。
――少し反則だが……。
 俺はセシルのお尻に手を伸ばして、菊門を小指で刺激した。
「!! イヤあぁっっっ!!!」
 さすがにセシルは悲鳴を上げた。
 菊門の周りは敏感だ。セシルには、今まで感じていた快感の刺激と、完全に別ルートの刺激が増えたように感じたに違いない。
――もちろん生理的な拒否反応が大きいだろうが。
 とにかく声を出した今がチャンスだった。俺はここぞとばかりに腰をマシンガンのように撃ち込む。
「んくっ! んはっ! あっかはっ!」
 セシルの中がうねる動きに変わってきた。
――そろそろイクな。
 ここが勝負だ。なんとしても声を出させる。
 俺は菊門をクニクニと刺激した。
「ああっっ!! ダメぇっっ!! んああぁぁっっっ!! ダメええぇぇぇっっっっ!!!!」
 逃げようとする身体を捕まえて、撃ち続ける。
「あああぁぁっっっ!!! 死ぬっっ!! 死んじゃうっっっ!!! やだっっっ!!!」
「まだまだっ!! 死ぬのは早いっっ!!」
「ああああああああああぁぁぁぁっっっ!!!」
 抱え込んでいた身体が、逆に海老反りになった。
 盛大に喘ぎ声を出して、爆発的な快感を受け止めたセシルは、そのまま失神した。

                                ◇

 ふと気が付くと、またあのカフェテリアだった。
 まるで映画のフィルムを巻き戻したかのよう。
 違うのは日の高さが午前のそれであり、テーブルにマイヤーズがいないことだった。あと尋問官の横に映画のカメラが置いてある。
「昨日の台本をまた変えた」
 正面に座った尋問官は、前置き抜きで台本を机に置く。
「まだこんな、おまま事を続ける気?」
 だいたい何が台本だ。昨日のアレはただのレイプではないか。
「君が沈黙したままだったので、今度のレジスタンスは黙秘を貫く設定だ」
「昨日のことは世界に訴えるわ。あんなことが許させると思わないことね」
「昨日のアレが映画として完成したんじゃ、君も納得いかないだろう?」
 あのポルノ映画まがいを、外に出すというつもりだろうか? 確かに見たがる男どもは多いだろう。
「そんなことで怯んだりしないわ。私はレイプされて泣き寝入りするような女じゃないの」
「満足な演技ができなかっただろう、と言っているんだが」
「ふざけないで! なにが演技よ!」
 私は思わず声を張り上げた。
「沈黙の演技は素晴らしかった。見てみろ」
 尋問官は横に置いてあったカメラを指差した。電源コードは店から引っ張っているらしい。
「イヤよ」
「見ればわかるが、レイプしているようには全然見えない」
「なんですって?」
 私は立ち上がって、カメラのレンズを覗き込んだ。

「自分なら素直に吐くのか、とお前なら言うかもしれない。確かにそれは難しい質問だ。俺はそんなふうに戦争を考えたことは無い」

 尋問官の言葉が聞こえるが、ほとんど私のうめき声は聞こえない。懸命にこらえていたが、これほど入っていないとは思わなかった。

「考えてみるべきだ、とお前が言ったとしても、俺は今は尋問の時間だと突っぱねるしかない」

 右手は派手にいろいろ動いているが、肝心の左手の動きは映っていなかった。
 さらに見ていくと、レイプのシーンではカメラの位置が微妙に変わり、バストショットに変わっている。
 私のうめき声が聞こえるが、今度は右手で胸倉をつかんだり、引っぱたくマネをしているお陰で、うめき声はそのせいに見える。
 そう言えば、挿入してからは胸を触ってこなかった。このせいだったのか。
 お尻を触られているのは、当然映っていない。

「あああぁぁっっっ!!! 死ぬっっ!! 死んじゃうっっっ!!! やだっっっ!!!」
「まだまだっ!! 死ぬのは早いっっ!!」
「ああああああああああぁぁぁぁっっっ!!!」

 なんてことだ。最後は錯乱して絶叫しているように見える。
「死ぬ」ではなく、もっと他の言葉を言うべきだった。
「次はイクって言うんだな」
 尋問官が皮肉げな表情で言ってくる。
「そうね。次はもうちょっとレイプされてるように演技するわ」
『痛みは我慢できる』と最初に言われたから、死に物狂いで喘ぎ声を我慢したのだ。こんなふうに撮影されるなら、しっかり悲鳴を上げるべきだった。
 私は後悔して、思わず唇を噛む。
「ところで、このレジスタンスの連絡員は、恋人を帝国に殺され復讐心に燃えているという設定がある」
「陳腐な設定ね」
「そうだな。しかし陳腐に思えるのは、実際そういう人間が多いからだ。彼らにとっては陳腐では済まない」
 む。今のは私のミスだ。
「とにかく今回そういう設定だ。君の素晴らしい演技を期待している」
「よく言うわよ」
 尋問官は、また蝋燭に火をつけた。
 この蝋燭に何か意味があるのだろうか?
 ジリリリリ。
 突然ベルが鳴った。
 まただ。またあの時計が鳴っている。
 これも意味不明だ……。

                                ◆

 2日目の尋問。
 昨日と同じく囚人服に後ろ手の手錠は変わらない。
 後方ではカメラが軽快に音を立てている。
 時間通りにセシルが目を覚ました。
「昨日は、俺ばっかりセリフを言ってて疲れたので、今日は黙ってるだけでいいように変えたんだ」
「沈黙も演技なんだけど……」
「その辺は任せる」

 ふっと視線が泳いだ。
 礼によって、記憶が飛んだに違いない。
「演技で、1つしないで欲しいことがある」
「悲鳴を上げないでって言うんでしょう?」
 反応が早い。記憶がない状況でも、気にならなくなっているようだ。
「違う。喘ぎ声だ。絶対に喘ぎ声を上げないで欲しい」
 俺の言葉に一気に表情が鋭くなる。
「今回の主人公は、毅然として黙秘を続けている。喘ぎ声を上げたら一気に映画がダメになる」
「上げないわよ。バカにしないで頂戴」
 氷のような鋭い意思。大声を上げたりはしない。しかし静かな言い方でも怒りがはっきり伝わってくる。マイヤーズでは到底手の余る女だ。

「レジスタンスであることを白状しなければ、身体に聞くことになる」
 俺はゆっくりと腿に手を這わす。
 目を閉じたまま、ピクッとセシルが反応した。
 それなりにセックスを経験しているセシルだ。媚薬はかなり効くはずである。
 昨日の強引な愛撫と違って、今日は触れるか触れないかの微妙な愛撫を繰り返す。
「むっ……ふっくっ……んっ……」
 じわじわと首筋の白い肌が、官能のピンク色へと染まっていく。
「帝国の方法は、少々強引だと言えるだろう。しかしこの地域の度重なる内戦の歴史を見れば、帝国の開放政策が平和をもたらすことはわかるはずだ」
 俺は1度離れてセシルの周りを歩いた。
 昨日は俺が取調べ室に入っても動じてなかったのに、今は薄目でこっちの動きを確認している。
「今の時点では、レジスタンスがかえって平和を乱しているとは思わないのか?」
 言いながら、ちょっと服のすそを引っ張った。
「くふっ……」
 乳首が引っかかって揺れる。それだけでセシルはヒクヒクと震えた。

 かなり欲情している。
 それもそのはずだ。昨日はひたすら耐えていたので、快感を押さえ込むことができていた。
 しかし今日は悲鳴を上げようと、こっちが触る瞬間を待っている。触覚に集中しているので、感覚を敏感にする媚薬の効果をモロに受けてしまう。しかも触れるか触れないかの微妙な刺激が、ますます感覚を敏感にする。
 弓矢の弦がキリキリと引き絞られるように、セシルの身体は張り詰めていっているのだ。

「かつてはキリヌ地区も、カノーナ王国の支配領だった。それが国境問題紛争の時に占領され、今に至っている。つまり同じなのだ。占領し、占領される。歴史の一つと言えるだろう」
 30分が経過した。
 相変わらず微妙な愛撫が続く。
 セシルといえば、背筋をピンと伸ばして美しい姿勢が印象的だったが、今はあごを突き出すようにして荒い息を吐いている。
 目は閉じたり閉じなかったりだ。これは本人は薄目を開けているつもりなのかもしれない。

「歴史の輪廻の中で、1つの国が終焉を迎えた。しかし人は生きている。帝国はなにも奴隷制を復活させて、この国の人間に地を這うよう強いるわけではない。税の行き先が変わるだけの話だ。自治区として独立する方法もある。現実的な手段を取るべきときだろう」
 1時間が経過した。
 相変わらず微妙な愛撫が続く。
 セシルの興奮は端から見ても、はっきりわかるほどになっていた。たぶんカメラにもちゃんと映っているに違いない。
 時々、痙攣するようにブルッと身体を震わせる。椅子には雫が床に落ちるほど、愛液が滴っている。

「この国の不屈の精神があれば、帝国の中でも生きていくことは難しいことではない。レジスタンスという短絡的な方法以外も模索するべきだろう」
 1時間30分が経過した。
 もうセシルの限界が近い。自分でもわかっているらしく、俺の微妙な愛撫にわざと脚を開いて誘ってくる。
 視線も熱っぽく潤んで、媚びるような色が見える。
 たぶん「触られて、悲鳴を上げれば終わる」と、それだけを考えて耐えているのだろう。
 汗だくで肌に張り付いた囚人服は、硬く尖った乳首の位置がはっきりわかる。
 俺は正面にしゃがんで、セシルの顔を覗き込んだ。
「触られたいか?」
 小さな声で囁く。
 一瞬セシルの眼に力が戻った。チラリとカメラの位置を確認する。
 俺の身体でレンズは見えないはずだ。昨日の経験から、今ぐらいの声ならマイクに入らないこともわかってるだろう。
「ええ。触って。早く」
「よく我慢した。たいしたもんだ。これだけの時間我慢したのは、お前が初めてだよ」
「そう」
「ああ、誰もお前には勝てないな」
 セシルが笑おうとした。「笑み」は身体を弛緩させる効果がある。
 俺はその瞬間、両手で両方の乳首をつまんだ。
「あくあああぁぁぁぁっっっっっ!!!!!」
 電気ショックを受けたように、物凄い勢いで仰け反るセシル。
 視線が外れた隙に、開いた脚の付け根に手を伸ばし、ショーツの上からわかるほど硬くなった敏感な秘豆をひっかいた。
「きひいぃぃぃぃぃぃぃっっっっっっっっ!!!!」
 甲高い悲鳴を上げて、セシルは絶頂の壁を飛び越えた。
 仰け反ったまま、さらに仰け反ろうと腰が浮く。
 プシャーッ! と音がして盛大に失禁した。張り詰めに張り詰めていた弦が、ピチっと切れた瞬間である。

 俺はさらに痙攣する腿を逃げないように掴んで、秘豆をぐりぐりと人差し指で刺激した。
「あひゃあああああぁぁぁぁっっっっっっっっ!!!! ひゃ、ひゃ、ひゃひいぃぃぃぃぃぃぃっっっっっっっっ!!!! い、い、いひゃあああああぁぁぁぁっっっっっっっっ!!!! 」
 悲鳴を言わせる暇を与えず、イかせまくる。
「ひゃはあああああぁぁぁぁっっっっっっっっ!!!! かひゃあああああぁぁぁぁっっっっっっっっ!!!! いひゃあああああぁぁぁぁっっっっっっっっ!!!! 」
 セシルの意識が飛び始めた。
 俺はショーツを剥ぎ取って、セシルの身体を抱き起こし、代わりに俺が椅子に座る。
 ペニスを出して、セシルを腿の上に乗せて、背面座位の体勢で一気に貫いた。
 ぐちゅうっっっ!!!!
「あひいぃぃぃぃぃぃぃっっっっっっっっ!!!!」
 セシルの股を大きく割って、カメラによく接合部が見えるようにする。
「もう子宮が降りてきてるじゃないか。こうすると気持ちいいだろ?」
 子宮口をペニスの先でグリグリ刺激した。
「ひゃひいぃぃぃぃぃぃぃっっっっっっっっ!!!! ら、らめえぇぇぇぇっっっっっっっっ!!!! 狂うううぅぅぅぅっっっっっっっっ!!!! 狂っちゃうっっっっっっっっ!!!!」
「なんで狂うんだっ? 気持ちいいからかっ!?」
「ひゃひあああああぁぁぁぁっっっっっっっっ!!!!」
 あっという間に絶頂した。
「気持ちいいからかっ!? 言わないともっと刺激してやるっ!」
 俺はむき出しのセシルの秘豆を、ぐりぐりと刺激した。
「あぐわあああああぁぁぁぁっっっっっっっっ!!!!」
 またイッた。
「気持ちいいからかっ!? 言えっ!! セシルっ!!」
「き、気もひいいっっっ!!! 気もひいいのおぉぉぉっっっ!!! 気もひ良ふぎて、狂うううぅぅぅぅっっっっっっっっ!!!!」
――よし、言わせた!
 俺は難しい体勢ながら、腕でセシルの腰を持ち上げるようにして下から突きまくった。
 ほっとしたお陰で、快美感がペニスを直撃した。
「あひゃああぁぁぁっっっ!!! 死ぬうぅぅっっっ!!! ひぬうううぅぅぅぅっっっっっっっっ!!!!」
「イクぞおぉっっ!!」
 俺は全てを解放し、セシルの中に放出する。
 どぴゅっ! どぴゅっ! どぴゅっ!
「んほあああああぁぁぁぁっっっっっっっっ!!!!」

                                ◇

 またあのカフェテリアだ。
 身体には、セックス後特有の気だるさが残っている。
「昨日の、見るか?」
 正面に座った尋問官が、ちらっとこっちを見上げて聞いてきた。
「いいえ。結構よ」
 見なくてもどんなものが映っているかわかる。なんという屈辱だ。あんなのは本当の私じゃない。
「笑いたければ笑えば?」
「台本どおりの演技をしてくれないと、実に困る」
「演技ですって?」
 この男はいまさら何を言っているのだろうか? あれは演技なんかじゃない。心の底から感じてしまった。
「……違うのか?」
 尋問官は眼を細めて、探るような目つきになる。
「はいはい。演技よ。決まってるわ」
 何考えているのか知らないが、こっちだって認めるつもりはさらさらない。
「そのフィルム、どうするつもりなの? 帝国軍人の中で楽しむつもり? 私を破滅にできて楽しいかしら?」
「俺は君のファンだよ。破滅にするつもりなんて、さらさらないさ」
「あれだけヒドイことをしておいて、何をいまさら」
「あれは映画だ。君だって今の君と、舞台での君は違うだろう?」
「そうね。全く違うわ」
「じゃあそういうことだな」
 信用できない男だ。本当に。
「で、昨日の撮影に合わせて、また台本を変えた」
 尋問官は台本を取り出す。

尋問官「連絡員なら暗号を知っているはずだ。早く答えた方が身のためだぞ」
捕虜 「さっき私の身体を見てたでしょ? 私が欲しいんじゃない?」
尋問官「尋問中だ。ちゃんと答えろ」
捕虜 「んふ。かわいいじゃない」

 捕虜が色香で尋問官を惑わす設定だった。
 最終的に尋問官は帝国を裏切り、女を逃がしてしまう。
 毎度毎度、あまり帝国にとってよろしくない内容の台本だ。
「昨日の『演技』に合わせるなんて、皮肉のつもり?」
「まさか。こっちは君に合わせるだけだよ」
「ふん」
「で、今度の捕虜には、大事な恩師が帝国に殺されたという過去がある。復讐のためにレジスタンスに参加してるわけだな」
「恋人が殺されただの、恩師が殺されただの、誰かを殺さないとダメなわけ?」
「でも説得力があるだろ? なんの理由も無いよりは」
「理由ならあるわ。自分の国が占領されているんだもの。それで十分じゃない。なぜ誰か殺されなければ、抵抗運動に参加できないのかしら?」
 私の言葉に、尋問官はびっくりしたようだった。
「そういう考えをしたことは、なかった」
「あなたって、意外と想像力が貧困ね」
 それから一通り台本の読み合わせをした。ばかばかしい時間である。

捕虜 「たかが女の癖に、あまり調子に乗らない方がいいぞ」
尋問官「あら、私が怖いの? 私は縛られてる。あなたに何かすることなんて、できないのよ」

 この台本の女はしたたかだ。女の武器を使いつつ、見事に罠をはめた。
 私といえば、尋問官にいいように振り回されている。
 プライドを掛けて、このまま済ますわけには行かない。
 私がこの男に勝てるのは何か? もちろん演技力だ。だからこの男は妙な薬を使って、私に演技させないようにしている。
 演技? そうだ。この男は、私に演技されるのが一番困る。
 つまり演技すればいいのだ。なんのことはない。観客がいないだけで、いつもと変わらないではないか。
 しばらくすると、例によって尋問官が蝋燭に火をつけ、目覚ましが鳴り響き、私の思考は途切れた。

                                ◆

 3日目の尋問。
 たとえセシルがレジスタンス参加していたとしても、俺にはその理由がわからなかった。
 セシルほど裕福で、人気もあるなら、わざわざレジスタンスに参加して危ない橋を渡る必要は無いはずなのだ。
 そこで台本の捕虜の設定で、「恋人が死んだ」といったら、「陳腐だ」と即答した。両親が健在なのは芸能新聞に載っていたのでわかっている。だから理由は恋人かと思ったが、違うらしい。
 さらに「恩師が殺された」と設定したら、「単なる義憤でなぜ悪いのか」と返してきた。
「単なる義憤」で、アイドル的存在の人間が、こんな危ない橋を渡るのだろうか?
 いくら完璧主義でも、これは予想の範囲を超えている。しかし俺が驚いていたら、勝ち誇ったような顔をしていた。
 本当だと思うしかない。
 セシルはレジスタンスに参加している。そしてそれは、復讐など感情の絡まない、純粋な義憤からなのだ。

 尋問室の隅で、これまで撮ったフィルムを整理して振り向くと、じっとセシルが見ていた。
 何か決意を秘めた眼である。記憶がなくなる現象は起きてるはずなのに、もう適用してしまったらしい。
「そのフィルムはなんなの?」
「昨日までのヤツだ。見るか?」
「いいえ。さっさと始めましょう」
 腹を括ったらしい。眼から迷いが消えてる。俺はちょっと不安になりながら、撮影を始めることにした。

「連絡員なら暗号を知っているはずだ。早く答えた方が身のためだぞ」
「さっき私の身体を見てたでしょ? 私が欲しいんじゃない?」
「尋問中だ。ちゃんと答えろ」
「んふ。かわいいじゃない」
 落ち着いている。開き直って自分を取り戻したらしい。
 媚薬は効いているはずだが、それが逆に妖艶な雰囲気を作っている。
 完全な演技勝負になったら、こっちに勝ち目は無い。
 なんの問題も無く撮影は進んでいく。

 最後にキスするところで、抱きしめるだけでなく尻に手を這わせて、強烈に愛撫する。
「んふぅぅん、あふぁぁ……」
 うっとりと喘いだ後、すっと顔を離して悪戯っぽく微笑んだ。
「焦っちゃダメよ」
 人差し指で俺の鼻を押さえてから、ズボンチャックを開けペニスを引っ張り出した。
 器用に指を絡めてペニスを愛撫しながら、身体を寄せてくる。
 セシルの方から、潤った媚肉にペニスを突き刺した。
「はあぁぁぁん、そう、もっと楽しませて……」
 こっちの愛撫を、適当にアドリブを入れながら楽しんでいる。
 その余裕を崩すために、ガシガシ強引に動いた。
「あっ、あっ、あっ、そう! いいわ! いいっ!!」
 腰をくねらせて悶えるエミリア。本気で感じてるはずなのに、こっちがいいように操られている気がする。この女は天才だ。
「あぁぁっっ!! 飛ぶ! 飛ぶぅっ!」
「イクって言え。イクって」
 すると、耳元に口を近づけささやいた。
「イクだと色気が無いわ。飛ぶが正解」
「!」
「ああぁぁっっ!! 飛ぶっ! 飛ぶっ! くあああぁぁぁっっっ!!!」
 セシルは絶頂した。俺もつられて放出する。
「あはん……」
 蕩けた眼をしながらも、さりげない動作で自分の涎を拭き、セシルは身体を離した。
「ご褒美は終わり。約束どおり逃がしてもらうわね」
 余裕たっぷりの表情で、セシルはしっかりと演技を終えた。
 キスだけだった台本が、俺のアドリブで最後までやってしまったが、結局主導権を取り返すことはできなかった。

                                ◇

 やっと自分を取り戻せた気がする。
 テーブルの向こうに座っている、尋問官の表情も冴えない。ざまあみろだ。
 返すがえすも残念なのは、一昨日の失態である。屈辱だ。屈辱と言うほかに言いようが無い。
 尋問官に悔しさを悟られないようポーカーフェイスをしているが、私の中では自分への怒りと後悔が猛り狂っていた。
 なんとか、あのフィルムをなかったことにする方法は無いものか。いや、無いものとしなければならない。
「今度はラブロマンスなのね」
 台本は、捕虜と尋問官という立場の違いにも関わらず、互い愛し合ってしまうという内容で、最後に尋問官は捕虜の「お願い」を聞いて逃がしてしまう。
 毎度毎度よくちゃんと作ってくる。

捕虜 「私が仲間を裏切るのは不可能よ。あなたが帝国を裏切れないと同じように」
尋問官「俺は裏切れるぞ。俺は……」
捕虜 「そんなことを言ってはダメ。お願い困らせないで……」
尋問官「時が過ぎて、平和になったらもう1度会おう」
捕虜 「私はここで死ぬ運命よ」
尋問官「そんなことは俺がさせない」
捕虜 「馬鹿なことは考えないで。あなたが無理をして死んでしまうことを、私が望むと思うの?」

 戦争が始まってから、純粋なラブロマンスを演じることはめっきり減った。あるのは勧善懲悪の他愛ない話ばかりである。これが帝国の作る映画でなければ、どんなに良かったか。
「一昨日のフィルムを、破棄してもらうわけにはいかないかしら?」
「フィルムは帝国の財産だ。俺の自由にはできない」
「こんな場所で尋問……打ち合わせしたり、結構自由にやってるじゃないの」
 目の前の尋問官、通称アルファと言ってたが、かなり自分の要望を通せる男に見える。
「映画を撮る件に、全面的に協力すると言ったら?」
「今も協力してもらってるだろ」
「妙な薬使われて、協力も何も無いでしょう?」
「……ふむ。考えておこう」
 尋問官は言いながら蝋燭に火をつける。
 私はまたかと思いつつ、あのフィルムを処分するための方策をグルグル考えていた。

                                ◆

 4日目の尋問。
 部屋の隅に並んだフィルムは3本になった。
 セシルは、そのフィルムをじっと見ている。
 一昨日の激しくイキまくってしまったことが恨めしくて仕方が無いに違いない。
 昨日の会心の演技があるから、なおさらだ。
 だが最後の手段としてこのフィルムは使うつもりだ。今のところ唯一切り札と言えるものなのだから。

「なぜ君みたいな人が、レジスタンスなんかに関わったりしたんだ?」
「私の祖国が踏みじられて、何もしないでいられると思う?」
 俺のセリフにセシルは、完璧に合わせてくる。さすがだ。
「しかし余りに危険だ。レジスタンスに参加しなくても、もっと他の方法があるんじゃないか?」
「そうね。あなたには理解できないかもね。アルファ」
「!」
 急に名前を呼ばれて、びっくりした。
「……確かに理解は難しいかもしれない。俺ならもっと安全な方法を探すだろう」
「アルファ、人には絶対に譲れないものがあるのよ」
 まるで俺を諭すかのようにセシルは続ける。本気なのか、演技なのかは全くわからない。
「レプ湖の美しさも、メムシュの森の荘厳さも、自由というスパイスがあってこそ輝くの。アルファ、想像の羽を伸ばしてみて」

「リノの下町では、マイスターの祭りがあるの。私は6歳のときにお姫様をやったわ。素晴らしい経験だった。私の演技生活の最初は、その時始まったのよ」
「俺は帝国の辺境、ミムザットの出身でね。さっきも言ったとおり6人兄弟の末っ子だから、当然機械工になるんだろうと思われてた。なにしろ夕飯のスープにも機械油が入ってるような、機械工の町だからな」
 もう台本なんて、あってないようなものになってきた。
「機械工には見えないわね」
「機械は好きだったが、動かすよりその仕組みを理解したかった。何度も分解して怒られたよ。そのうちきっちり勉強して、技師になろうと思った。だから大学に行きたかったんだ」
「行けなかったの?」
「金が無くてね。勉強したかったら士官学校に奨学金狙いで入るしかなかった」
「それで、入れたわけね」
「入ったはいいが、貴族のボンボンばかりで閉口したよ。会っていきなり『君の手は汚れてるね。教科書を汚さないために手袋をしたらどうだい』なんて、言われるような学校だ」
「うふふ、眼に浮かぶわ」
 セシルは、楽しそうに笑う。

「そう、そう。右、右、左、左」
「足を踏みそうだ」
「結構筋がいいわよ」
 いつのまにやらダンスのレッスンになっていた。セシルは手錠で自由にならない手を、俺の首の後ろに回して、身体を密着させてくる。
「もうちょっと離れた方が良くないか?」
「なにを今更。3回もした癖に」
 くっくっとセシルは笑う。俺もつられて笑った。まるで恋人のように。

 首に手を回したまま、セシルは「はあぁぁぁ」っと熱い息を吐く。媚薬が効いてかなり色っぽい。
 改めてセシルを見ると、向こうも俺を見ていた。熱っぽい視線が空中で絡まる。腰がこすりつけるように動いてきた。
「アルファ……キス……して……」
 熱い囁きに、俺も応える。
 くちゅ、くちゅくちゅ。
 唾液を交換するように激しいディープキスを交わす。
 うまいキスだ。こっちも頭が白っぽくなってくる。
「ああ、きて……」
 その言葉を合図に、俺は猛った肉棒を、セシルに突き込んだ。
 ぐちゅっっ!!
 たやすく肉棒を飲み込んでしまう。
 さらにセシルの方から積極的に動いてきた。
「あっ、はっ、あっ、んあっ……」
 リズミカルに喘ぎながら、きゅうきゅう締め付けてくる。
「ああ、アルファ……アルファ……」
 キスを求めてきた。俺も熱に浮かされたように熱くキスをする。
「んっ、んっ、ぷはあぁっ、んくあっ、ああ、飛ぶっ、飛んじゃうっ」
「ああ、俺もだっ、イクぞ!」
 と、セシルが腰の動きを止めた。
「おいおい、なんだよセシル」
「んふ。したい?」
「したいよ。当たり前だろ?」
「んふふ」
 焦らすようにゆっくりと動かす。俺が動かそうとすると、身体をわざと密着させて妨害する。
「セシル……」
 我ながらエライ情けない声が出た。
「中に出す代わりに、フィルムを燃やして」
「おいおい。それとコレとは別だろ」
「ダーメ」
「アレは切り札だ」
「知ーらない」
 セシルは小悪魔的な笑みを浮かべて、焦らす。
「身体を売って、アレを燃やそうってのか?」
「映画に協力するから。それにたっぷりしてあげる。ね? アルファ」
「魅力的だが、帝国軍人が色香に負けたとあっては……うぐっ」
 キュッとセシルが肉棒を締め上げた。出そうになるギリギリで緩める。
「そ、そんなに、セックスがうまかったのかよ」
「うまくなったのよ、この3日で。あの薬の快感は、人生変えるわね。本当に」
 唇を舐めるセシル。
「ね、アルファ。舞台の合間にあなたに会いに来てあげるから。お願い、あのフィルムだけは処分して」
 大きな青い眼で、じっとみつめてきた。
 正直、天下のセシルにここまで言われたのは、俺が初めてだろう。
 俺はなんの虚飾無く媚びてくるセシルの眼に、背筋をゾクゾクとするものを感じた。
「わかった。燃やそう」
「ホントに!? 嬉しい!」
 セシルが抱きついて、ムチャクチャにキスをしてきた。
 俺たちはキスをひとしきり堪能してから、そのままの格好で部屋の隅に移動し、2日目のフィルムを取り出した。
「なんか別れの言葉は?」
「過去よ、さようなら。未来をこんにちは」
「なんだ、そりゃ」
 蝋燭をつけるためのライターで、火をつけた。
 嫌な匂いを立ち上らせて、フィルムがゆっくりと燃えていく。
「ああ、最高。最高よ、アルファ」
 セシルはうっすらと涙を浮かべてキスを求めてくる。そして遠慮の消えた腰使いで、盛大に絶頂を迎えた。
「ああっ、ああっ、アルファっ、アルファっ、飛ぶ、飛ぶぅっ!」
「最後でいい。イクって言ってくれ!」
「イクっ、ああっ、イクっ、イクっ!」
「お、俺もっ、イクっ!」
「くっはあぁぁぁぁっっっっ!!!!」

                                ◇

 やった。やり遂げた。
 フィルムは哀れケシズミと化した。
 アルファを手玉にとって、燃やさせたのだ。
 こっちの損は何も無い。適当な暇を見つけて、アルファに抱かれに行くだけだ。
 セックスの上手さは実践済みだし、乱暴なこともしない。なにより、こっちをイかすことに特別な思い入れがあるらしい。
 勝手にイってしまう大多数の男より、ずっとオトクだ。
「今度の捕虜は、別人と間違われた一般人なんだ。でも別人とわかると殺されてしまうかもしれないので、必死に本物の振りをする。色気で誘ったりして、なんとか窮地を切り抜けるコメディだ」
 心なしか、アルファも楽しそうだ。定期的に私が抱けて、嬉しいのかもしれない。それとも映画がうまくいきそうだからか。
「面白そうじゃない」
 私は朗らかに答えた。
 今日で5日目。帝国のプロパガンダ映画に出演するのは癪だが、こういう内容ならそれほど問題なさそうだ。仕事は仕事割り切って、やり遂げるしかない。
 とにかく、あと2日で自由が待っている。

                                ◆

 5日目の尋問。
「ランシャワーで、情報の受渡しをしたんだな?」
「そう、そうよ」
「どんな情報だ?」
「えーっと、どんなだったっけ?」
「……まさか、忘れたのか?」
「あー、思い出した。えーとランシャワーの刑務所を攻撃する作戦があるの」
「ランシャワーに刑務所なんてない。電話中継点ならあるが」
「そうそう。電話中継点だった」
「本当にお前、連絡員のミーシャか?」
「ほ、本当よ?」
 快調に撮影は進む。
 セシルは余裕すら感じられる悠々とした演技で、台本を消化していく。
 昨日まで心を占めていた枷が取れて、非常に解放された気分らしい。

「どうやって、連絡員と会った? 暗号でもあるのか?」
 俺が1行セリフを飛ばした。
「そんなこと言えないけど、新聞の通信欄をよく見るのね」
 セシルが平然とアドリブで対応する。
「どうやって、連絡員と会うにはどうする?」
 飛ばしたセリフを、言い直した。へんてこなセリフになるのはしょうがない。
「新聞と暗号を組み合わせるの」
「えーと、暗号で新聞と、何かを組み合わせるのか?」
 しどろもどろになった。
「そうね。新聞と雑誌を組み合わせるとわからないわ」
「ふん、もっともらしいこと言ってるが、とても信じられないな。ずっと監視していたが、本屋になんか行ってなかったしな」
「本屋でなくても買えるわ。道を歩いたことないの?」
「そうかもしれんが……とにかく監視していたということだ」
 なんか言い負かされそうだ。俺は強引に台本を飛ばして話題を変える。
「それで、レジスタンスリーダーに会ったって言うんだな?」
「そうよ」
「ランシャワーにいなかったことはわかってる。会えるはずが無い」
「そ、そうかしら。レジスタンスはどこにでもいるんだから」
 俺のセリフに楽々と合わせてくる。口先だけのレジスタンスという設定だから、どもるのも計算のうちだ。セシルが楽しんでいるのは表情を見てもよくわかる。
 結局今日は、最後までセシルの才能、全開で終わった。

 全て片付けた後、テープを再生する。
「どうやって、連絡員と会った? 暗号でもあるのか?」
「そんなこと言えないけど、新聞の通信欄をよく見るのね」
 俺のセリフとその答えを、いつものように紙に書き取っていく。
 今日、1行飛ばしたのはわざとだった。逆に飛ばしても会話が続けられるように作ってあったのだ。

 義憤で動くセシルにとって、ポルノビデオまがいのテープを取られることは、プライドを激しく傷つけたに違いない。
 俺は演技力で篭絡させたくなるストーリーの台本をいくつか作った。
 なにしろ時間は7日しかない。セシルは必ずそのチャンスを逃さないと思っていた。
 一番心配だったのは、3日目。『テープなんかどうでもいい。とにかくこの尋問でレジスタンスの情報を出さないことだ』と開き直ることだったが、なんとかそうはならなかった。
 セシルがテープの破棄を目標においてくれれば、それを達成したとき必ず隙ができる。
 2日目のテープは、まさに切り札だったのだ。

――新聞の通信欄。
 台本と違う。台本では『新聞の広告』だった。
――そして、新聞と雑誌を組み合わせる。
 これも『雑誌』の単語が台本に無い。では、どんな雑誌か?
――本屋でなくても買える。
 道端の売店や駅の売店で売ってる雑誌だろう。
 しかしセシルが、道端の売店で雑誌を買う姿はちょっと想像できない。あっちこっち飛び回ってるセシルだから、駅で買うことは可能だろう。
 セシルの言葉どおり、道端の売店に絞って調べるか、それとも駅か……。

 俺はじっと考えていたが、ふと気が付いた。
――そうか。マイヤーズだ。セシルが自分で買う必要なんて全く無いじゃないか。

                                ◇

 今日はいつもと違っていた。
 なにしろ、外じゃない。
 どこかホテルみたいな所だ。窓が無いからホテルではないはずだけど。
 私は椅子に縛り付けられ、身動きができない。目の前にフレームの大きなベッドが置いてある。
 そしてそこに、裸の女と男が絡まっていた。
 男はすぐにわかった。アルファである。
 女は美人だ。金髪をポニーテールにして括ってる。大きな胸がアルファの愛撫で、ぐにゅぐにゅと形を変えていく。
「んはあぁぁもっとぉ! もっと強く揉んでぇっ!」
 恥ずかしげもなく、嬌声を上げている。
 胸の傷に気が付いた。ということは、この女性はレジスタンスの幹部クラスなのではないか? それがなんでアルファに喜んで抱かれているのだろう?
 ま、まぁ自分も他人のこと言えないかもしれないけど。
「あっ、あっ、いいっっ! いいのぉぉっっ!!」
 私がいることはわかってるはずなのに、遠慮なく媚声を張り上げている。
 でもまだ手で愛撫されてるだけなのに、この乱れ方はなんなのだ?
 アルファの腰が動いて、女性の身体震える。
「ああ、来たっ! 来たっ! 入ってきた!」
 ぐちゅ! とここまで聞こえる音がした。
「あはああぁぁぁっっっっ!!!!」
 白目を剥いて叫ぶ女性。
「これよおぉっっ!! これを待ってたのおぉっっ!!! もっとっっ!! もっとおぉっっ!!!」
 そ、そんなに気持ちいいのだろうか?
 思わず生唾を飲み込んでしまう。
「いくっっ!! ああっ! イクっっ!! イクぅぅぅっっっ!!!」
 雷を受けたように女性は仰け反った。
 快美感に当てられて、私も身体が震える。
「ああっっ!! またまたあぁぁっっ!! イクぅぅぅっっっ!!!」
 す、すごい……。
 思わず自分と重ねて、ぎゅっぅと欲情がせり上がる。
「あっっ!! あっっ!! またっっ!! またっっ!!」
 と、アルファがなにか女性に囁いた。
 女性の蕩けた眼に、妖しい光が宿る。
「ああ、おまんこに入ってるのぉぉ、たくさん入ってるぅぅぅ」

 ショックを受けた。

 そんなイヤラシイことを言うような女性ではなかったのだ。
 そこまで言うのは、違う。私が2日目に感じたとき以上の屈辱のはずだ。
 それなのに……なんで、あんなに嬉しそうなんだろうか?
 ……。

 またアルファが何か囁く。
 なんか見てはいけないものを見てる感じがしてきた。
「はぁぁ、おちんちんよぉぉぉ。おちんちんが入ってるのおぉぉぉ」
 ……。

 アルファがスパートをかける。
 肉と肉がぶつかり合う音が、ここまで届く。
「んはあぁぁ!! おちんちんがぁっっ!! おまんこに入ってるぅぅっっっ!!」
 自分でイヤラシイ言葉を言えば言うほど、女性は乱れていく。まるでそれが、快楽を増やす魔法の言葉のようだ。
「おまんこにぃぃっっっ!!! ああぁぁっっ!! おちんちんがあぁぁっっっ!!! おちんちん好きいぃぃっっっ!!!」
 でもいくらなんでも……。
「イクっっ!! イクっっ!! イクっっ!! イクっっ!! イクっっ!! イクっっ!! イクっっ!!」
 あそこまでは……。
「イクうううぅぅぅっっっっっ!!!!!!!」
 ………。

 失神してしまったらしい女性をベッドの脇に寝かせて、アルファが近づいてきた。
「待たせたな」
「……誰なの? あれ?」
「サハ地区リーダーのエミリアだ」
「サハ地区リーダー……」
「知ってるか?」
「いえ……」
「そうか。……見てるだけで欲情したみたいだな」
 悔しいが本当だった。変な薬を使われて、目の前であんなに激しいセックスを見せられれば、誰だって欲情する。
「ここは特別尋問室で、この部屋のことは絶対に洩れない。防音も完璧だ」
「だからって、地区リーダーがあんな……」
「まぁ、この部屋の中で起きたことは、なかったことだ。気にするな」
「そんなこと言われても……あ! ちょ、ちょっと!」
 アルファは軽々と私を抱え上げて、私をベッドに連れて行く。
「待って! 待ってったらっ! あっあっ、うっ」
 これまで毎日抱かれてきたのだ。アルファはこっちの性感帯を的確に刺激してくる。
「くあっ! ダメっ! いっうっっ! ああああっっっ!!!」
 あうっ。ダメだ。自分で思ったより欲情してる。声が止められない。
「ダメっ、ダメっ、そこっ、そこはあぁぁっっっ!!!」
 クリトリスを熱く愛撫されて、意識が飛んだ。
 ずりゅうぅぅっっっ!!!!
「んひぃぃっっっ!!!」
 貫かれた! 
 完全に隙を突かれて、抵抗もできない。
「くあっっ!! ダメっ、ホントにっっ!! 飛ぶっっ! 飛ぶっっ!!」
 お、押し寄せる圧倒的な快感。
 た、確か、身体を丸めてひたすら耐えると、結構、が、頑張れたはずっ。
 身体を倒そうとした瞬間、後ろから羽交い絞めにされた。
「んふふ。女を否定しちゃダメよぉ」
 あの女性だった。
「ちょ、ちょっと、放して!」
「だーめ。ほらこんなに乳首を硬くして……」
「くひいぃぃぃぃぃっっっっっ!!??」
 さ、触った! 後ろから! む、胸を!?
「だ、ダメ! 飛ぶ! 飛ぶ! 飛ぶうぅ!」
「イクだ。イクって言え」
「い、イヤ! は、恥ずかしい!」
「エミリア、クリトリス触ってやれ」
「ああ、ダメ! ダメ! お願い!」
「じゃイクって言うか?」
「言う。言うから!」
 ひ、必死で答える。
「い、イク……」
「もっと大きな声で」
「イクっ」
「もっと!」
「イクぅっっ!!」
「よし、エミリア。ご褒美にクリトリスを触ってやれ」
「はい」
 コリ!
「あひゃあああああああああああああっっっっっっっ!!!!!!!!!!」

 コリ!
「いひいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっっっっっっ!!!!!!!!!!」

 コリ!
「おがあああああああああああああっっっっっっっ!!!!!!!!!!」

 コリ!
「ふぎいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっっっっっっ!!!!!!!!!!」

 コリ!
「おほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっっっっっ!!!!!!!!!!」

「おいおい、エミリア」
「だ、ダ、メっ、こ、こ、こわれ、、こわ、こわれるっ、こわ、こわっ」
 コリ!
「わきいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっっっっっっ!!!!!!!!!!」
「セシル、やめて欲しかったら『おまんこ』って言え。『おまんこ』って」
「そ、それは……」
 い、いくら、なんでも、それは……。
 コリ!
「あぎゃあああああああああああああっっっっっっっ!!!!!!!!!!」

「エミリア、ちょっと待て。ほら今のうちだ。セシル」
 こ、このままじゃ、こ、壊れるからっ、い、今だけっ、今だけよっ。
「お、おまんこ」
「おまんこに何が入ってる?」
「あ、お、おまんこに、あ、えっと……」
 言うの? 言わないといけないの? ど、どうしても?
「エミリア」
「わ、わかったから! お、おまんこにっ、お、おちんちんがっ、はいってます!」
「どんなふうに入ってる?」
「ど、どんなって?」
「たくさん入ってるとか。いっぱいになってるとか。その辺はアドリブだ」
「い、いっぱいになってる」
「全部つなげて言え」
「え? あ、だ、だから、おおまんこに、おちんちんが、いっぱいに、な、なってる」
「もっと大きな声で!」
「お、おまんこに! おちんちんが! いっぱいになってる!」
「よし。よく言えた」

 アルファがいきなり強烈に突き上げた。

「ふぐぅっっ!!??」
 き、気持ちイイっっ!!! と、とぶ! 飛んじゃうっ!!
「イクのか!? セシル! イクんだなっ!?」
「ああっ、そうよっ!! イクっっ!! イっちゃうっっ!!!」
 そ、そんなっ、あたしっヘンなこと言ってる!!
「よぉしぃっ!! おまんこっ、気持ちいいかっ!?」
「き、気持ちいいっっ!! おまんこっ気持ちいいっ!!」
 ダメよ! そんなこと言っちゃ! ああっ!! でも本当に気持ちいいっ!
「ちんぽで気持ちいいんだなっ!?」
「そうよっ!! ちんぽで気持ちいいっ!! ちんぽが気持ちいいのおぉっ!!」
 と、とまらない!? く、口から勝手に出ちゃうっ!? くっっ、気持ち良過ぎてっっ、うう、うまく考えがっっ!
「俺も気持ちいいぞっっ!! もうすぐイキそうだっっ!!」
「おまんこっイクっっ!! おまんこイクっっ!! おまんこおおぉぉぉぉっっ!!」
 だ、ダメ! イ、イクうぅぅぅぅっっっっ!!!!
 どくどくどくどく!!!!
 あああああああああああああああああああああ。
 中にいっぱい……。いっぱい出てる……。おまんこにいっぱい……。

「イクのかっっ!? またイクんだなっっ!?」
「イクッッ!! おまんこまたイクっっ!! おまんこイっちゃうっっ!!」
 い、 イク!  イクっ  おまんこイク!!  またイク!  ああっ、おまんこなんて考えちゃダメっ!!
「おああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
 おまんこ、すごい気持ちいい……。ほんとにすごく気持ちいい……。
 ダメだけど……、おまんこが気持ちいいのは……確かだわ……。
 あ、やだ。ま、また動くの? あ! う、うしろからまた、乳首を!
「だ、ダメ! ああ、す、凄過ぎる! そ、そこはあぁっっ!!!」
 イ、イク! ま、また、おまんこイク! おまんこイク! おまんこイク!!!

「ちんぽがっっ!!! ちんぽがあっっっ!!! ああっっ!! スゴイちんぽがあぁぁぁっっっ!!!!」
 すごい……すご、ふごすぎる  こ、こんなに…… こ、こんな……
 どくどくどくどく!!!!
 お、おまんこが、ま、またいっぱいに……

 ら、らめになう……  あらし らめになっちゃう……
「もっろおぉぉっっっ!!! おあんこいっぱいぃぃぃっっっ!!! いっらいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃっっっっっっ!!!!!!」
 な、なにも    か……  かんがえ  かんらえなふ……  あひ……
「ああああああああああ!!!!!   ふごいふごいふごいいぃぃぃぃっっっっっ!!!!!!」

 どくどくどくどく!!!!
 ああ  あったかい   ああ       もっと       もっと       しろいの      ふごく         しろい

「ひ……は……、ひ……い……」

 お        おま     おま            んこ              お               ま

< つづく >

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