聖十字性戦 第五幕 後編

第五幕 後編

 ・・・・・ズゴガガガガガガンンンッッッッ!!!!!

「な、なに!?今の音は?」
 私は多大なる疲労によって寝ていたところを強制的に起こされた。
 ・・・・しばらくすると音は鳴りやんだのだが・・・・また誰かが侵入したのだろうか・・・・・さすがに気になる・・・・だけど、ここ最近の疲労のため瞼は重くなり、すぐに私の意識は闇に落ちた。
 ・・・・思えば、このときになにかしらの行動していれば未来は変わっていたのかもしれない・・・・・・・

 数刻後、私は全身が異様な力に包まれるのを感じ取り、再び目を覚ました。
 いや、包まれると言うよりどっぷりと浸されると言った方がいかもしれない。
 気づいたときには私の体は震え、冷たい汗を体中から噴きだしていた。
 きっと鏡を見れば、そこには顔面蒼白な私が映るだろう。
 そして、私の感覚はものすごい速さで近づいてくる力の源を敏感にキャッチしていた。
 近づいてくればくるほど、私の体は震え、汗のたまることなくは流れていく・・・・・
 その時、私はそれが本能で感じる根源的な“恐怖”だということを気づけなかった。
 そして、その力が私のいる部屋とその周りをより濃厚に覆い尽くした。

 ゴガアアアアアアアアンンンンンッッッ!!!

「いようっ・・・・こんな現れ方で悪いな・・・・・」
 壁を破壊して無礼な入室をしてきたのはもちろん、あの男だ・・・・・しかし、私は文句の言葉は一つも出てこなかった・・・・・あの男は以前見たときよりも力と威圧感が数千倍にもなっていた・・・・たとえるなら、そう、以前が砂山。今はまるで、標高何万kmもある山脈のようだ・・・・・ただ、それだけではなく、男の気にはいままでにない激しい怒気が含まれて、顔には眼から血の跡が涙のように残っていた。
「・・・・悪いが今回の相手は予定を繰り上げて、この俺様だ・・・・文句はないな・・・・・」
 有無を言わせぬ迫力に私は怯え、凝視することしかできなかった。
「・・・・・声もでねぇか・・・・まぁ、知ったこっちゃねぇがな・・・・」

 バチィィィィンンンッ!!!

 とても指を鳴らしただけとはとうてい思えないほどの音がした。
 それと同時に、
「アギィィィィィアアアアアアアアアアッッッッ!?!?!?」
 昨日、一昨日の高ぶりが津波のように戻ってきた。
 正気に戻されているおかげで快感の激震が手に取るようにはっきりとわかってしまう。
 いっそ、狂っていればわからなかったかもしれない。
「ウギィィィアアアアア、ウグアアアッ!!!!」
 私は肛尻を中心にほとばしる快感に、その身を激しく焼かれてベッドの上で悶える。
「・・・・悪いが、気分がすこぶる悪くてね。とてもじゃないが、やさしくはできないからな・・・・・」
 伯爵はそう言うと、闇色の触手を何十本も展開させ、もがき続ける私を縛り上げてきた。
「うぐっ・・・・かぁぁぁ・・・・んぐぅ・・・・ひぃあぅ・・・・」
 ギチ、ギチ、ギチ、ギチ、と体を締め上げる触手に私は息苦しさと関節への痛み、そして、苦痛に紛れて襲う怪しい快感が存在しているのがわかった。

 ・・・・・ピチャリッ、

「ンファッ!?」
 いきなり、伯爵が私のあそこを舐め上げた。
「ふん、この濡れ具合なら前戯なしでいけるな・・・・・さぁ、潔く堕ちなっ!!」

 ズブゥゥゥリッッッ!!ブチブチブチィッ!!!!

「ヒギアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!」
 なにかが引きちぎれる音と共に、赤く染まった鉄の棒に貫かれたかのような感覚が私の体を襲った。
 私は数秒の間、いまだ出続ける叫び声が痛みではなく、快感の叫びだったというのに気がつかなかった。
「ハハハッ、悪い悪い♪ 痛み止めの暗示はしてなかったっけかなぁ? けど、こいつは結構いい名器じゃあないか!!」

 グジュッ、グジュ、ズブジュッ、ニジュニジュ・・・・

「ヒギィッ・・・・クアッ・・・・ンギィ・・・・」
 私の膣壁の激痛による脈動が気に入ったのか、伯爵の動きが除々に激しくなっていく。
「ふふっ、次はこっちもだ・・・・」
 私の膣内を貫く巨根が一旦停止して、ズゥルゥリッ、と闇色の細い触手が伸びてきた。
 触手は私の菊口の周りをなぞり始め、微細な快感の波を送り続けてくる。
「クフゥ・・・ンハゥ・・・・・ンンン・・・・」
 膣を貫いている巨根の圧迫感もさることながら、いままで開発され続けてきた肛尻を嬲る触手の動き妖しい快感を紡いでくる。
「そろそろ、挿入れてやるよ・・・・・・じっくりと味わえ・・・・」

 ツプリッ・・・・・・・・

「ヒゥッ!」
 ゆっくりと細い触手が私の腸内に侵入してきた。
「まだまだ・・・・」
「フゥッ!?」
 腸内に侵入した触手は後方になるほど太くなっていき、私の直腸を拡げ始めた。
 そのとき、私は自分の体がなにやら蠢くのを感じた。
「んん?・・・・どうした?そんな物欲しそうな目をして? 肉体もなんか引き込むような感じがするぞ? ひょっとしてもっと太いのが欲しいっていうんじゃあないだろうな?」
 伯爵の言葉に私に体は、ビクンッ、と一瞬の痙攣で反応を返した。
 私の体が求めてるの!?いやっ、ちがう!そんなの欲しくないっ!はやく抜いてっ!!
「ああ、忘れるところだった・・・・・」
 私は頬を両手で挟まれ、ぐいっと、力ずくで顔を合わせられた。
「ンウッ!?」
 伯爵と向き合った瞬間、伯爵が私の口を塞いできた・・・・・それも自分の口で。
「ンンッ!!」
 私は慌てて振り払おうとしたが、力んで思い切り両目を開いてしまった。
 目を開いたそこには紅く光る伯爵の両眼があった。
「あっ・・・くぅ・・・・・」
 ・・・ダメ・・・・見ちゃダメ・・・・・ダメなのに・・・・・目が・・・・・吸い寄せられる・・・・意識が・・・・目が・・・・マワッテイク・・・・・・
「ふはっ、催眠導入完了だな・・・・・さて、今からとっておきを仕込んでやる。 よく聞けよ、お前は・・・・・・・・・・・・・・・・だ」
 伯爵は私の耳元でなにか囁いてきた。
 でも・・・・私には・・なにを言って・・・いるのかわからな・・・・いよ・・・・・
「さて、覚醒しろ」
 伯爵の言葉に私は我に返った。
 そして、私は自分になにがされていたのかを理解した。
「な、なにをしたの・・・・・」
「な~に、ちょいとした暗示の改変さ。 この前掛けていたヤツをいったん解いて別の上書きしたんだ。 まっ、大きく変わりはしないんだがな・・・・・」
 そう言われたときに気づいた。
 私の体の疼きがいくぶんか収まっていたことに・・・・・。
「・・・・・そうだな、少しは教えてやるよ・・・・まず、リリーの担当する罠の暗示の上から俺の担当する暗示を組み合わせた。内容もかなり変わった。これ以上サービスは必要ないな。知りたかったら直に味わって自分で確かめろ」
 再びエナメル質の黒い触手が伯爵の背後に展開した。
 触手たちは様々な動きをしながら、私の体を這いずり始めた。
「・・・ふぅ・・・んぅ・・・ひぅ・・・・」
 最初のときより感度が落ちたのか、なんとか嬌声を叫ばずに耐えていられる。
 でも、快感の波が除々に高くなっていくのがはっきりと感じてしまう。
 伯爵の触手たちはその身から出る粘液で私の体を汚しながらまとわりついてくる。
「くぅん・・・・ふぅあっ・・・ひうっ・・・・・ひあうっ!?」
 まとわりついていた触手たちがいっせいに私の体を締め上げ、宙づりにされた。
 触手はさらに動き続けて私の体を赤ん坊のような格好で空中に固定された。
「クカカカカッ、ドロドロのオ○ンコがよく見えるぜ」
 必死の抵抗もむなしく私の体は伯爵の目の前で赤ん坊のような格好、つまりはM字開脚を強制させられた。
「くぅ・・・み、見ないで・・・・ハウッ!?」

 グリュグリュ・・・・・・

「そんなこと言っても、どこもかしこも敏感になってるぜ。特にこのビンビンになってるクリ○リスがよぉ」
 伯爵は再び、私のクリ○リスを嬲り始めた。
「い、いやぁ・・・クゥ・・・ンハァウッ・・・・ンヒィ!?」
 伯爵は私の反応がおもしろいのか、クリ○リスを様々な方向へ引っ張ったり、押しつぶしてきた。
『・・・・・ああ・・・すごい・・・・やわらかくて・・・・・でも、かたくて・・・・・・・・なんかゴムみたい・・・・わたしの指で・・・・・こんなに・・・・・・・いやらしい声が・・・・・』
 ・・・・・?
 今、誰かの声が聞こえたような・・・・・
「ほぅら、よく見ろよ・・・・・お前のマ○コすっかりビショビショのドロドロで物欲しそうにヒクついてんぜ」
『・・・・・うわぁ・・・・すごぉい・・・・隊長のおマ○コってこんなになってるんだ・・・・・・・』
 ・・・・まただ・・・・また、誰かの声が聞こえた・・・・それもさっきより
 はっきりと・・・・・
「クカカカカッ、次は俺様達の栄養補給といくか・・・・・な!!」

 ガブリュッ!!

「イギアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!」
 伯爵はいきなり私の秘所に噛みつき、そこから血を啜りだした。
「ぷはっ、やっぱ処女膜破り立ての鮮血は格別だな・・・・・そうそう、首から吸わなきゃ吸血鬼にはならないから安心しろ・・・・それじゃあ、もう1回いくかな」

 ガブヂュッ・・・・・ジュジュジュジュ・・・・・ゴクリッ・・・・・

「・・・あぎっ・・・・くがぁ・・・・うぅ・・・」
 痛みは噛まれる一瞬だけで、後は体からなにかが抜け出る喪失感しか感じなかった。
『・・・・ああ・・・・・ほんとうに・・・・すごい・・・・・体に・・・・・とても強い・・・・・脈動が・・・・・流れ込んでくる・・・・・・・』
 私は一瞬の激痛と流れ出ていく喪失感のせいで聞こえてくる声に思いをはせることはなかった。
「キィッハハハハハハハハハッ、次はそのいきりたった“お豆ちゃん”から吸ってやるよォ!!!」
 処女の鮮血を大量に取り込んだためか、伯爵は珍しくハイになっていた。
 こんな状態の伯爵は見たことがなかった。
 伯爵はわざと緩慢な動きで私のクリ○リスに、その長い牙を近づけていく。
「や、やめ・・・・」

・・・プチュリッ・・・・・

「ヒギィッ、アアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
 私は一瞬の激痛と響き渡る永遠とも言える快感に連続的に達した。
 伯爵はその嬌声を無視して私のクリ○リスを責め続ける。
「ほらほら、どうした?まだまだ序の口だぜ?お次は口唇を犯してやろう」
 私のクリ○リスから牙を抜き、代わりに黒い触手をあてがい、伯爵は自分の牡棒を私の口に押し込んだ。
「むぐぅ!?」
「カカカカッ、こっちはまだ犯ってなかったからなぁ、しっかりくわえてろよ」
 伯爵は一言言うと激しく注挿を開始した。

 ヂュグッ、ヅチュッ、グチュッ、ニヂュッ・・・・・・

「んぶぅっ・・・んぐぅ、ふぶぅ・・ぅんむぅっ、」
「さっさと舌を俺のチ○コに絡ませた方が賢明だぜ」

 ズヅュッ、グブブブゥッ・・・・・・・

「んごふぅ・・・・」
 伯爵はむりやり、私の奥へと牡棒を押し込んでくる。
「んぢゅふっ・・・・・・むぐぅっ!?」
 私は息苦しさに耐えかね伯爵の牡棒に舌を這わせた。
「そうだ・・・・それでいい・・・いくぞ・・・・・」

 ドヂュグッ!ヅュグッ!

「んぐぇ、ふぶぅっふ、・・・・・おぐぇ」
『・・・・ああ・・・いい・・・・・隊長の・・・・口もいい・・・・』
 伯爵は私の事を気にもせずに激しい注挿を繰り返す。
「へへへへ、こいつはなかなか具合がいいぜぇ・・・・・出すから全部飲めよ。ほぅらっ!!」

 ドプリュッッ!!

『フゥアゥッ!』
「んぐぅっ!?」

 ドビュル、ドビュル、ビシャッ!

「うげぇっ・・・・」
「全部飲めっつてんだろうが!!」
 バシッ!伯爵はこぼしたのが気に入らなかったのか、私の顔をはたいた。
「くぅっ!?」
「まぁ、いい・・・・次にいくぜ」
 また、エナメル質の触手が蠢き、私の体制を強制的に変えていく。
「次はバックからだ・・・・・知ってるか? 後背位っていうのはオマ○コとアナルが両方ともよく見えるんだぜ」
 ギリギリギリッ・・・・・私は締め付けてくる触手のせいで羞恥的行動を全て封じられて、顔を赤らめるだけでなにも言い返せなかった。
「・・・・そろそろこいつの出番か・・・」
 その言葉を不思議に思い、肩越しに振り返ると・・・・
「なっ、なんで、に、2本もッ!?」
 私は驚愕した。なぜなら、伯爵の股間からもう1本の牡棒が生えていたからだ。
 コレが回りに蠢いているエナメル質の触手と同じなら、驚きはしなかった、だが伯爵の股間から生えたモノは周りに蠢いている黒くエナメル質の触手とは違い、いたって普通に見える人間のモノのような牡棒だった。違うのは長さくらいだろうか?
「・・・・・こいつはとあるヤツからの借りモノだ・・・・・」
 その一瞬、伯爵の瞳に悲しみの表情が見たような気がしたが、伯爵の眼にはすでにサディスティックな色が充満していた。気のせいだったのだろうか?
「カカカカカッ、まずは前だぜ・・・」

 ずにゅり・・・・

「ウクゥッ!!」
 快感漬けにされたおかげか二度目の挿入に痛みは感じなかった。
「・・・はひぃ・・・ふぅん・・・」
「うん?どうだ、二度目だからそんなに痛みはないだろう? それに今までたっぷりと経験を積ませてやったから、体も自然に反応してくるぞ」
 確かに私の体は伯爵の牡棒を待ち望んでいて、今やっと与えられたモノを愛おしい者のように締め付けている。
 だからと言って、それを言葉にして認めてしまえば、私の負けだ・・・・・・・いや、待って・・・・・・・・私はいったいなにを考えてるの?・・・・・認めようとしているの?・・・・・・なんで?
「・・・くぅ・・・さすがに借り物のイチモツじゃあ快楽の度合いが違うなぁ・・・・・もう出そうだよ・・・・・」
『・・・・ああ・・・・いい・・・も、もうイきそう・・・・・・』
「い、いやぁ・・・・・・な、なかは・・・・・ゆるし・・・・てぇ・・・・」
「ん~・・・・・・・イヤだねッ! とりあえずは後ろにも挿入れて同時にイかせてやるよ」

 ・・・ぐにゅり・・・・・ズブッ、ズリュズリュ・・・・・

「・・・・ふぅ・・・くはぅ・・・・かひぃ・・・」

 ・・・・ズブ・・・・ジュブリ・・・・ズジュジュジュ・・・・

「ハハハハハッ、嫌がってる割にはすんなり入ったぜ・・・・・全く貪欲なもんだ・・・・・」
「ふひぃっ・・・ち、ちがっ・・・・」
「どこが違うってェッ!?」

 ジュパンッッ!!

「くあんッ!?」
 口答えを封じるついでとばかりに伯爵は思いきり腰を打ち付けてきた。

 ジュパッ、ブジュブジュ、グチュウ、ズチュズチュ・・・・・・・・・

「ハハハハハッ!なぁ、どこが違うのか教えてくれよ! 違わないんだろう!? 気持ちよくてもっともっと動いて欲しいんだろうがッ!!!」
 二つの牡棒が私の肉壁を押し合い、強烈な快感を脳に送り込んでくる。
『・・・ああ・・・・イイ・・・・ホントに・・・隊長・・・・・・・の中・・・・ 気持ちいい・・・・ご主人様の・・・モノと・・・・・・擦れ合って・・・・とてもイイ・・・・・』
「ひぃ、ふぅぐっ、かひぃ、くふぅっ!」
 伯爵の動きは激しい・・・・・だが、私の膣と腸で動き回る二つの牡棒にはどこか、違和感があった。
 なんというか・・・・こう、根元がない感じなのだ・・・特に腸を犯している方が・・・・。
『アフゥッ!デ、デルゥ!』

 ビュリュリュリュルッ!!

「ヒキャアアッ!?」
 突然、腸の方の牡棒が射精した。
 なま暖かい奔流が私の腸を駆け上ってくる。
 だが、それでも伯爵は腰の動きを止めなかった。

 ぐちゅっ、ずりゅっ、ずにゅり、どちゅぅっ・・・・・・

「チッ、やっぱり早かったか・・・・・制御もできなくなってきたし、終わらせてやるよ」
 そう言うと伯爵は腰の動きを加速させてきた。
「ヒィアアアアアアアッッ!?
 や、やめてぇぇぇ!!こ、こすれるぅぅぅぅぅ!!!」
 あっ、だめぇ・・・・・頭がァ・・・・真っ白にィ・・・・・・・
「アヒィンッ!?そ、そんな動ちゃあ、ダメェ」
 伯爵は動きに腰の回転を加えながら、ピストン運動を繰り返してくる。
「ん~?なんだ、ひょっとして気に入ったか?」
 伯爵はその反応を見て、さらに左へ右と動きを加えてくる。
「アィッ!しょっ、しょこはぁ・・・・・・」
 膣道に挿っているモノと腸を占領しているモノが別々の動きをして私のお腹の中を激しく攪拌してくる。
 あたかも2つの穴を1つにしようとするかのように、その動きは確実に私の理性を削っていく。
「とっ、とけりゅっ、とけちゃうううッ!!
 わ、わらしぃ、のなかぁ、1つになっらうぅッ!」
「いいぜッ!溶けてもよう!
 溶けたら、俺がもう一度練り直してやる!そうしたら、俺の完全な人形だなッ!!!」
 伯爵の動きがさらに激しくなっていく。
 この時、私の理性は完全に瓦解していて、伯爵から与えられる快楽にすがりつく雌犬になりはてていた。
「う、うん!なりゅ、なりゅよぅ!か、かんじぇんな人形にぃ、なりまひゅうううう!! だ、だかりゃ、もっろぉ、えぐってくだひゃいいいいい!!!」
「そうだ、それでいい・・・・・・俺の言うことが聞くのが快楽への近道だ。 疑問に思うな・・・・・真実と事実は違う・・・・真実は己の心のみ・・・・・真実は意思ある生物の数あれど・・・・・・・己の真実とは唯ひとつ・・・・・己の心に従う事・・・・・」
 伯爵は激しい動きの中、何度も私に囁いてくる。
 その小さな囁き声は不思議で、私の嬌声をすり抜けるように脳にしみ込んでくる。
「アヒィンッ!!も、もうイク、イッチャウゥゥゥ!!!!」
「たっぷりイけ!!自分を解放しろ!!白く染まり、闇を抱け!!!」

 どぴゅり、どぽどぷどぷどぽぽ・・・・・・・

「ハギイイイイイイイイィィィィィィ!!!!!!!」

 ビシュル、ビシュビシュル・・・・・・チョロロロロロロロ・・・・・・・
「ハヒィ・・・・で、でひぇる・・・・膣で・・・・・あふぅ・・・気持ちいい・・・・」
「ハッハッハッ、小便までもらすとはなッ!
 いいか、お前はもう神官なんかじゃねぇ、俺様の奴隷だ!!」
「・・・・・・ハイ・・・・・ド、ドレイ・・・・・ワタシ・・・・ドレイなの・・・・・」
 

「・・・・・あ・・・・あれ?・・・・」
 私が目を覚ました場所は天蓋付きでフカフカのベッドの上だった。
 そして、私の体にはなんの異変も感じなかった。
 体自体は虚脱感でだるかったが、体の疼きはなくなっていた。
 その虚脱感のおかげで、あの恥ずかしい言葉、体の動き、そして強烈な快感が本当に私の身に起きたことだと実感させられる。
 今思い出すだけでも赤面してしまうほどの恥辱だった。
 それなのに、暗示を仕込まれた上であそこまでの痴態を見せてしまったのに・・・・なんで体になんの異変もない?・・・・・・思考も正常に働いていて、おかしなところはないと思う。
「やっと目を覚ましたか・・・・・」
 声のした方向を見ると案の定、そこには伯爵がいた。
 伯爵はその身に月明かりを浴びながら、大きな窓から外を、いや正確には夜空を見上げていた。

 ・・・・・・・・・綺麗・・・・・・

 私は思わず、そう思ってしまった。
 元々は整った顔立ちの男(今は男の子だけど)だったから、月明かりと相見えて、よりいっそう綺麗に見える。
 伯爵はこちらに振り返り、ゆっくりとこちらに歩んできた。
 その顔には、おそらく誰にも目にしたことがなかったであろう、悲しみの表情があった。
「すまなかったな・・・・・・あんなに精神が揺さぶられるとは思ってもいなくてね」
 私はその言葉に驚愕した。
 この大陸に一人で敵対した男の言葉とは到底思えなかった。
 それに伯爵は私以外にも何人もの女性や女の子にひどい事をしてきたはずだ。
 なぜ今さら、謝られる必要がある?・・・・あっ、いや、決して、今までされた行為がイヤではなかった、とかそう言うんではない。
 嫌なものはいやだ、うん。
「あ・・・あの・・・・」
 私は先ほどの行為中に感じた違和感を伝えようとする。
 さすがに恥ずかしい気持ちはあるが、あそこまでの醜態を見せてしまったのだ。
 今さらどおってことはない。
 この時、私は相手が神への反逆の使徒だということを完全に忘れていたと思う。
 伯爵は質問する私を手で制し、自分の影からイスを浮かび上がらせ、そこに座る。
「質問したいのは、あれでしょう?俺が君と犯ってる最中に聞こえた声のことでしょう? あ、それとも、最後まで犯っちゃってるのに自由意思が残ってる事かな? あ、まさか、それとも、まさか俺の牡棒が変だって事かな?」
 言葉にいちいち動作をつけてふざけているようだが、伯爵は私の頭に浮かべた疑問を全て知っているようだった。
 もちろん、私は赤面して、顔を伏せていた。覚悟がたりなかったか・・・・・・
「くっくっくっ、今さら恥ずかしがる事もないと思うけどなぁ・・・・・まぁ、いいや君の疑問には全て答えよう。 その前にいくつか聞いておきたいんだけど、君は今までの任務で人外の魔物を殺してきたよね?」
「隊長という立場にいるのですから当然何体も浄化してきました」
「では、そのなかに家族や、大切な者を守る魔者や魔物がいるという事を知っているかな?」
「・・・・・一応生きているのですから、当然そういう者もいたでしょう」
「それらは全て人間に被害を与えてきた魔物?」
「・・・・・公式上はそうです」
「じゃあ、生まれたての『混沌の落とし子』を殺したことは?」
 ッ!?・・・・『混沌の落とし子』・・・・それは魔物に孕まされた者や魔力の不安定な土地でまれに発見される奇形の人間たちの事だ・・・・通説では彼らは元となった魔物や魔力の影響で肉体が変質し、成長すると共に精神が魔物の本能に飲み込まれ凶暴になるという。その1人のために聖炎隊が町ごと、町民ごとを焼き払ったことも、史実で伝えられている。それゆえに『混沌の落とし子』は生まれてすぐに殺されるか、どこか山の中に捨てられるとも聞いている。
「それはさすがに・・・・・」
「そうか、出会った事はないか・・・・・実は生まれたばかりの『混沌の落とし子』を人間どもが裏で売買しているのは知っていたかな?」
「そ、そんな事をッ!?」
「しているんだよ!・・・人間はねぇ・・・・特に貴族やら大臣とかはね・・・・人間は肥えすぎると普通という感覚はなくなる生物だからそれぐらいは平気でやる」
 静かに口を動かしているが内心は怒り狂っているようだ・・・・・言葉の節々に怒気が見える。
「さらには、高値で買い取った『混沌の落とし子』たちを研究のためだ、という理由で解剖し、一部分を部屋に飾ったりする連中もいる。 以前、大屋敷を襲った時に見つけた記録には成長するごとに体の一部をはぎ取っていく過程が事細かに書いてあったよ。その屋敷の主人は俺が直接火にかけて炙り殺してやったがな・・・・・・それにお前たち聖炎隊の中にもそういった奴がいるんじゃないのか?」
 いない・・・・・とは言い切れなかった。
 なぜなら、昨日伯爵に大けがを負わせた2人の内1人が、まさにその手のタイプだったからだ。
 第八聖炎隊隊長 リーゼン・ケンマッカリー・・・・その頭脳の優秀さからスカウトされ、武器制作兼魔物生態学にも通じている老人だ。
 教団内でも常に黒い噂がつきまとい評判の悪さはトップを誇る。
 以前にも布教の際に暗示性のある薬品を秘密裏に流用し、謹慎処分を受けたことや生命の禁忌術『人造生命体』を使用し、魔物を造っては悦に入っているという。
 だが、それだけ重大な事件を起こしているにも関わらず彼は教団の、それも聖炎隊隊長というトップという地位を守っている。
 噂の中には彼の研究を軍事利用し、どこかの王家に売っていると言う話もある。
 彼の頭脳は間違いなく教団でもトップで、その利益は彼の巻き起こす被害を凌駕しているということにほかならない。
「ほら、心当たりがあった。次の質問だ・・・・法位が金で買えるって知ってる?」
 伯爵は首を傾げながら聞いてくる。
「そ、そんなバカなことが!?」
「じ・じ・つ・だよ♪試しに妖しそうな地方の高位神官の元にいって直接確認してきたよ。 さらには自分の部下で優秀な者は田舎へと左遷し、好みの者は自分の手が届くところで甘い汁を吸わせ、自分の有利になるように仕立てあげる。 さあ、これでわかったかな・・・・・人には裏と表があり、資格や名声、富を必死で貪る連中がどんなに汚くて、必死に生きるための努力している奴らを嘲笑し、弾圧していることを!」
 私は少しの間、反論できなかった。
 でも、私は、
「それでも、信じることで救われる人々はいます!私は1人の神官としてそういった人々を可能なかぎり導いていきます!!」
「ハッ、それは暗にここから脱出してみせると言っているのかな? 力ずくじゃあ無理なのはわかってる? まぁ、今まで人間のやってきたことを知ればそんな気も起きないだろうけどね・・・・・」
「どういうことですか? あなたが言っていた事は1部の高位貴族たちのことでしょう・・・・・それ以外の人々には何の罪もないはずです」
「あるんだよ!例え、普段の姿が善意で溢れていても、異種族に向けられる視線は悲惨だ! お前は見たことがないからそう言っていられるッ!!とある習慣が残る、魔力が濃い村があった。そして、その村には村人が近づくのを禁止した場所があった。そこには生まれて間もない『混沌の堕とし子』の死体が数え切れないほど捨てられていたよ!しかも、墓にじゃない・・・・・ただの縦穴だ・・・・ゴミ同然に捨てられてたんだ!」
 伯爵は語った事実(少なくとも、私には嘘に聞こえなかった)に私は語る言葉が出ず、愕然とするばかりだった。
「聞きたければ、まだまだあるぞ?一応言っておくが、全てはこの俺が直接見てきたことだ。俺はそんな胸クソ悪い習慣のある村は全て地図上から消し去ってきた。そして、今度は聖都が消える番だ」
 聖都-フェルブレート・・・・そこはパトリシア教の大聖堂がある巨大で強大な都市だ。
 当然、我ら聖炎隊の本部のある場所でもある。
 一見すれば、争いもないように思えるのだが、実際には目も当てられない状態だった。
 浄化、清純、清廉潔白等々・・・・詩いあげればキリがないくらい宣伝をしているが、それはしょせん、表から見ただけの事だ。
 私は昔、一度だけ修練から抜け出して都を探索したことがある。
 表通りは勝喜に満ちていたが、ちょっとした路地に入り込むとそこには別の世界が視界を覆った。そこに拡がるのは職を失い、どこでだろうと雑魚寝する汚い身なりの人たち、残飯を漁る見窄らしい野良犬が彷徨っていた。その光景に私は怖くなり、すぐに逃げ帰った。
 今思えば、あれも伯爵の言う裏の姿の一つなのだろう。
 さらに伯爵の言葉が正しいのなら聖都にもキチガイ寸前の変態がいそうだ。
「聖都には大勢の民がいます!あなたが言っている様な輩がいたとしても無関係な人々をその争いに巻き込む権利などありません!!」
「俺は別に無関係な者を巻き込むとは言っていない」
「ですがッ!!」
「落ち着け・・・・・攻め込むとは言っても、ちゃんと警告はする。
 ただし、逃げ遅れた奴や地下とかに避難した者はすべからく血祭りだけどね。
 さて、俺の質問は終わった。次はお前の質問に答える番だな」
 伯爵はそう言うと、ベッドの上から降りて、扉へと向かっていく。
「・・・・・・・ついてこい。説明は別の場所でしてやる」
 伯爵はそのまま部屋から出ていったので私もすぐに部屋を出て追いかけた。

・・・・・コツッ、コツッ、コツッ、コツッ、・・・・・

 私は螺旋階段を下りていく伯爵の背後から付かず離れず距離でついてきた。
 だが、階段を下りだして、もう30分以上たつ・・・・・いいかげん疲れてきた。
「あの、いったいどこまで降りていく気ですか?」
「もう少し下まで行かなければ、目的地にはつかない」
「そう・・・・・それにしても、こんな長く深い地下空間があったなんて・・・・よく調べましたね?・・・・・ここって王族のみが知る秘密の空間のようなものでしょう?」
「アホか。俺は蝙蝠を従える吸血鬼だぞ。地上の暗闇で俺の知らないところなんざないさ」
 たしかにそのとおりである。
「まぁ、それ以前に自分で造った城の構造を忘れるようなアホはいないだろ?」
「ハッ?」
「俺が造ったんだよ、この城は。
 もっとも、100年ぐらい放置しておいたら、かってに人間が住み着いて改装されてたけどな」
「そ、そうなのですか?」
「この地下空間は元々、次元の狭間から流れ出す魔界の邪気を城内に循環させるため造ったからな。それゆえにここに入った魔のモノは力を増幅させる」
「なるほど、あなたの力の源はこれですか」
 私は少し確信に近づいたような気がした。
「残念だが少し違う。たしかに俺が発生した当初は人間どもに狩られないようにここにしばらくの間、住み着いて力を蓄えていた。だが、その分他の魔物からも狙われたよ。まぁ、単純に力を試す上ではちょうどよかったが・・・・・とにかく数年の間この土地で腕を磨いた後、知識の収集に出て、また数年後ここに来て当時のボスを殺して、再び俺はここの主になった。それから近くの魔のモノを一掃してここに城を築いた。まぁ、その数百年後、また旅にでたところお前らに追われたけどな・・・・・今の力を手に入れたのはごく最近だ」
「・・・・ここを乗っ取ったのもここの力を解放するためですか?」
 どうやら、精神構造の違いか、あまり直感は効かないらしい。
「それは完全な邪推だ。邪気目当ての下等な魔物がうっとおしいからな、解放する気はさらさらない。それに魔物がウジャウジャいたんじゃ獲物に困るんだ。だから、城が大きな損傷をしないように奪った」
 たしかに吸血鬼の食事である人間が近くにこないのであっては城にこもる意味は全くない。
「さて、ついたぞ。この部屋だ」
 そこはちょうど階段の中腹あたりだった。そこはちょっとした広場になっており、その奥には巨大な門があった。
 よく見ると門の左右には悪魔を象った石像が門番のように佇んでいた。
 伯爵は重そうな扉を片手で開け、中に入っていった。すぐに私も後を追う。
「うっ、くぅ・・・・・」
 中にはいるとそこにはどす黒い邪気が充満していた。慣れていない人間では数十分も精神を保つことはできないだろう。
「こっちだ」
 中には大きめの魔法陣が描かれていた。目にしたことのない術式だったが、部屋がこの魔法陣だけ、と言うことは転位の魔法陣なのだろう。
 私が伯爵と一緒に魔法陣の中心に立つと魔法陣は輝き始めた。
 
 
 一瞬の瞬きの後、目の前に拡がるのは大きなイス、外を見渡せるガラスのない窓、そこから見えるのは闘技場(コロシアム)ようだった。
 場所から考えて、ここは王族席なのだろう。
「・・・・・そろそろ教えてくれてもいいんではないですか?あなたは時間をかけすぎています」
「そうだな・・・・・時間もギリギリだしな・・・・・まずは闘技場のほうを見ろ」
 私はそう言われて遺憾ながらも闘技場の全体を見渡せる位置に移動した。
「なっ、こ、これは!?」
 私は思わず、鼻と口を両手で覆ってしまった。
 闘技場にはおびただしいほどの血と元人間と思われる肉塊が複数転がっていたからだ。
 それだけなら今までの任務でも幾度か経験をした。
 しかし、ここは邪気が充満した密閉空間である。邪気と入り混じった血臭はひどく五感を刺激する。狂った獣でもここまではしないであろう、と言うありさまだ。
 さらに中央を注視すると、武器か何かに寄りかかっているモノが、おそらく二人いた。
 その二人はお互いを睨み合っているようで、緊迫感がここまで漂ってくる。
「あ、あれは・・・・・」
 位置的に遠くて見にくかったが、その二人にはどことなく覚えがあった・・・・・いや確実に見知った者たちだった。
「そう、お前のよく知っている『第八聖炎隊隊長リーゼン・ケンマッカリー』と『第三聖炎隊隊長 モーガン・ガウセル』だ。そして、その周りの肉塊はその部下約193人だ。あいつらは生き残るために自ら殺し合いを始めた」
「そ、そんな・・・・」
「残念だが真実だ・・・・・・どんなに徳の高い人間でも自分の命がかかるとこうまで浅ましい。そして、長々と連中の戦略に引っかかっていた俺が甘かった代償がこれだ」

 ・・・・・ドチャ、ドシャリッ・・・・・・・

「い、いやあああああああああああああ!!!!!!」
 伯爵が身につけていた漆黒のマントを広げ、そこから何かが転がり落ちた。
 それは今日私の相手をするはずだったリリー・ラーフェの血に塗れたパーツだった。
「な、な、なな、なんで?なんで?こんな・・・・・・・」
 私は自分で自分の体重を支えきれなくなり、座り込んでしまった。
「・・・・・あ・・・た・・たいちょう・・・・・・・」
「リリー!?」
 私はすぐにリリーの近くに駆け寄り、頭部を抱え上げた。
「・・・・・す、すみま・・・・・せん・・・・たい・・・ちょう・・・・ふ・・・
 不覚を・・・・・とり・・・ま・・・・」
「そんな事はいいからしゃべらないで!!」
「どっちにしろ無駄だ。すでに肉体の損失が8割を越えている。いくら魔物と一体化したからといってこの傷ではそうそう保たない」
「あなたなら・・・・・あなたならできるはずです!!
 お願い!私はどうなってもいいからこの娘を、リリーを助けて!!!」
「無理だ・・・・・合成を行うにしても魂の残存量が少なすぎる。俺と肉体的に繋がっていたからこそ、ここまで留まっていられたんだ。それに今この状態で合成を行えば弱まっている魂は吸収されるだけだ。つまり、もうそいつを留めておく事はできない」
「そ、そんな・・・・・そんな事って・・・・」
「・・・・・た・・・たい・・ちょう・・・なか・・・ない・・・で・・くだ・・・・さい・・・ここ・・・ま・・で・・・・もった・・・のも・・・・ごしゅじ・・・んさ・・・まの・・・・・おかげ・・・・なんで・・・・・すから・・・・・」
 驚きの目で見つめる私を無視し、リリーは語り続ける。
「・・ご・・しゅ・・じんさま・・・・・・は・・・・たす・・・から・・・・な・・い・・わた・・・・しの・・・・ね・・がい・・をかなえて・・・その身にうけ・・・いれて・・てくだ・・さい・・・まし・・・た・・・・・・」
 私はリリーの最後の言葉を一言一句聞き逃さないように静かに聞いていた。
「・・・・おか・・げ・・・で・・・た・・いち・・・ょう・・・・・とも・・・・はだを・・・・・かさね・・・る・・・・・ことが・・・・・でき・・・ました・・・・私は・・・・・・満足・・・・で・・・す・・・・・」
 そう言うとリリーは視線を伯爵に移した。
「・・・・ご・・・しゅ・・・じ・・んさ・・・ま・・・わたし・・・・・は・・・・ダメ・・・・・・な・・・ど・・・れい・・・・でし・・・た・・・・すみ・・・せ・・・ん・・でし・・・た・・・・」
「確かにお前はダメな奴隷だったな」
 私はすぐに伯爵に殺意を向けた。しかし、
「まったく、お前は俺の所有物。俺のおもちゃだぞ。自分で壊れるおもちゃがいったいどこにいる?所有物が勝手に壊れるのは前代未聞だな」
 伯爵は有無を言わせぬまま、一気に言葉を紡いでいく。
「・・・・・は・・・・・・い・・・・・・・・すみ・・・ま・・・・・・せ・・・ん・・・」
 言葉の間が大分長くなってきた。もう、もたないのだろう。
「だが、お前とともに過ごした月日は短かったが、確かに有意義だったぞ。そしてその記憶は俺が生きている限り、永遠に覚えていよう。約束だ」
「・・・ほ・・・・ほん・・・と・・・う・・・・・で・・・・・すか・・・・・・?」
「調教とはアメとムチだ。お前は今ムチを味わった。次はアメの番だ。
 主従の盟約において誓おう。俺はお前の事を、この命尽き果てるその一瞬まで覚えている事を今ここに約束しよう。ああ、後、俺様の所有物に手に掛けた礼もちゃんとしてやるから安心しろ」
 伯爵の眼からは赤い涙、いや血を眼から流していた。
「・・・・・あ・・・・あ・・・・・り・・・が・・・と・・・・・ござ・・・・・・・・ま・・・・・・す・・・・・・」

 どしゃぁぁぁ・・・・・・・・・・

 礼を言い終えた、その瞬間にリリーの頭部は黒い液体となり私の指の間からこぼれ落ちた。
「リリィィィィィイイイイイ!!!!!」

 私は黒い液体の前で涙を流していた。
「・・・うっ・・・うっ・・・・なんで・・・こんな事に・・・・」
「これがお前たちのところで言う『神の裁き』なんじゃないのか?」
 私はその言葉に伯爵を思いきり睨み付けた。
 でも、言葉は出てこない。いまだ流れ続ける涙が私の声を邪魔する。
「教団の一節にこうある『神の使徒。それは白き光。堕ちし黒き輝きしものは、その白き光にて焼かれるであろう。信ずべきは白き光なり』ってな。俺が言うのも変だが、自業自得と言うヤツではないのか?これは『裏切りしものには制裁を』と聞こえるがね」
 確かにその通りだ。他からの信頼を裏切るのは人としては最低に値する。だが意識を操られ、人形にされた者は果たして裏切りと呼べるのか?例え、堕ちた者でも、大切な者を殺されても耐えろと言うのか、神は!!
 伯爵は口の端をつり上げながら、
「まぁ、俺の解釈では『我にのみ従え、従わぬものには死を。我以外の神は全て邪神なり』って、ようは汝らの神に全てを捧げろ、我を崇め、我に安寧を与えよって駄々こねてるだけなんだよ」
 ・・・・確かにそう言う解釈もできないことはない。
「その証拠に現実をみて見ろ。今ここでおこった現実を。どこに神の慈悲がある?俺がこれほど卑劣な事をして、教団の中にも同じぐらいかそれ以上のゲスがいやがる。なぜ神は俺やそいつらに裁きを下さない?これでもお前は神がいると本当に思うのか?」
「・・・・・・・・・・・・・・」
 この空間の邪気が影響しているのか、はたまた伯爵が私になにかしたのか、私の中で暗い思考が除々に渦巻き始める。
「所詮は精神論。ああ、確かに確立した自我を持つ奴は強いぜ、強いなぁ。だが自我だけじゃあ勝てない。最後にものを言うのは純粋なる“力”だ。だから“力”のないリリーや教団のザコ共は死んだ。そして“力”のあるゲス共はあそこで生きていやがる。
 さあ、俺の導きはここまでだ。お前は今何がしたい?」
「・・・・・・・・・・・・・・」
 今私がしたいこと。それは・・・・・・・・・・
「言っておくが連中は自分の欲望や願望を神の示す行為だ、と薄っぺらな嘘で包んでいるぞ。まぁ、欲望は活力を生むからわからなくはないけどな」
「・・・・・・・・・・・・・・」
 欲望が力を生む・・・・・今私が望むもの・・・・・・・私がしたい事・・・・・
「・・・・私はあの二人を殺したい・・・・・」
 黒い炎が私の心に灯った瞬間、私の心の奥底からどんどん黒い炎が沸き立ってくる。
「・・・・・リリーを殺したあの二人が私は憎い、殺したい、憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い・・・・・殺したい、いや絶対に殺してやる!!」
 いまにも飛び出そうとする私の前に伯爵が立ちふさがる。
「まぁ、待てよ。今のまま行っても無駄死にするだけだぜ?」
「道連れにしてでも殺します」
「くくく・・・・だが、果たしてリリーはそれを望んでいるのか?リリーがお前に死んでほしいとでも思っているのか?」
 リリーは私に死んでほしいとは思っていない・・・・・・でも、行かなければ私は自分が保てない気がする。
「俺ならお前に力を与えられる。それなら、リリーの思いを妨げる事はないし、お前も復習を果たせて、なおかつ生きていく事ができる。だが、俺に与えられる力はただ一つ。それはもちろん」
「教団を裏切る事になる。それも自らの意思で・・・・・・・でも、そんな事私にはもう、どうでもいい。今の私には関係ありません。だから、私に力をください」
 渦巻く黒い炎がどんどん勢いを増して、私の心や理性を飲み込んでいく。
 ああ、これが負の感情と言うものなのか、真っ赤に溶けた鉄のように熱く、どんな汚物よりも汚くドロッとしている。そして、その流れに身を任せるのはどことなく心地イイ・・・・・・。
「いいだろう!力をくれてやる。ただし、それなりのお願いの仕方というのがあるだろう」
 私はすぐに片膝を床につき、
「今この瞬間より、私はあなたさまの忠実なる牝犬となります。だから私に」
 伯爵、いやご主人様の眼が赤くなっている気がするが、それもどうでもいい・・・・・・
「私に復讐のするための力をください、ご主人様!!」
「・・・・・・・・・・・・」
 私は何か変な事を言ってしまったのだろうか?ご主人様はじっと黙ったままだ。
「クククク・・・・ハハハハハハ!!!神の使徒が、いくら下地があったとは言え、ここまで自ら宣言するとはなぁ・・・・・そうだな、忠誠の証しとしてそいつを殺してみろ」
 ご主人様が目線で示したその先には私に好意を寄せていたと言う第七聖炎隊隊長グリン・ラントードが横たわっていた。
「すでにそいつの呪縛は解けている。もう少ししたら目を覚ますだろう」
「・・・・うっ・・・くっ・・・・」
 時間を見計らったかのようにグリンが起きた。
「・・・くぅ、ここは?あっ!い、いかん、ネリア!そいつから離れろ!!」
 グリンはよろけながらも立ち上がり、私のほうに向かってきた。
「ネリアには指一本触れさせ」
「ごめんね」

 ボォンッッッッ!!!!

 強烈な爆音とともにグリンは物言わぬ肉塊となって闘技場の方にバラバラに吹き飛んだ。
「これでいいでしょうか?ご主人様」
「ああ、それでいい・・・・・それじゃあ、これが最後だ。俺に傅くと言うことは、俺の牝奴隷になると言う事だ。そこはわかってるな?」
「はい」
「それなら、お前の口で奉仕してみろ。俺をイかせたその時にお前に力をくれてやる」
「わかりましたご主人様」
 ネリアはすぐに跪き、伯爵のズボンを外して力のない牡棒を取りだした。
 だが、その表情はどことなく無感情だった。
「・・・・・」
 ネリアは無言で伯爵の牡棒を舐め始めた。

 ・・・・ピチャピチャ、チュパ、クチュクチュ・・・・・

「ほう・・・」
 確かにネリアは無言で奉仕をしているが、決して雑ではない。むしろ娼婦のような舌使いだった。今までの調教の成果が出ていると言う事だ。
 おそらく、今は復讐への執念が、主人への献身の心より勝っているのだろう。
「はくぅ・・・・」
 ネリアが口を大きく開け、牡棒を飲み込んでいく。
「んぐぅ、んふぅ、むぅ・・・・」
 牡棒を奥まで飲み込んだネリアは、苦しそうに呻きながら喉で牡棒を刺激し始めた。
 ネリアはそのまま顔を前後に揺らし、リズミカルにこすっていく。
「・・・・・・ふぅはぁ・・・・」
 しばらく行為を続けてあまり変化がないのを悟ったのか、今度は胸の前をはだけておしつけてきた。
 そして、そのまま胸を上下にこすり始める、それと同時に鈴口も舐めていく。
「人間のままの技巧も結構乙なものだな。そろそろ出すぜ」

 どぴゅるるる、どぷどぷどぷ・・・・・・・・・ごくり、ごくり、ごきゅり・・・・

 ネリアは吐き出された精液も全て喉を鳴らし、嚥下していった。
「ウグフッ、はぁふぅう・・・・」
「よくやった。これで合格だ。約束通りお前に力をやろう。」
「ゲホッ、あ、ありが」

 がぷり・・・・・ぶじゅるるるるるぅぅぅぅぅぅ・・・・・・・

「ハアッ、ガアアアアアアァァァァァァァァ・・・・・・・・・・」
 返事が終わる前にいつの間にか後ろに移動した伯爵が吸血を開始した。
 ネリアの体は凄まじい痙攣と絶頂を繰り返し、やがて、その顔が一瞬で紅潮しすぐに蒼白になり、やがて床に倒れた。
「・・・・・・・・・・・・」
 数百秒待ったが一行に起きてこない。本来は十数秒で吸血鬼化は完了するのだが・・・・・意外とショックが強かったのだろうか?
「なんかメンドくさいな・・・・・・おい、さっさと起きろ」
 するとゆっくりとだが起きあがってきた。その起き方からみて自分の意志ではなく命令に反応して起きあがったようだ。
「お前は何だ?」
「・・・・私はご主人様の牝奴隷・・・・・ネリアです・・・・・」
「お前の今したいことは?」
「リリーのための復讐です・・・・」
 話せば話すほど、口調がはっきりしてくる。
「よし、好きなだけ暴れてこい!」
「ハイッ!!」

 ヒュゴォッッッ!!!!

 ネリアは呪文を唱えず、一瞬で風を纏うと闘技場に飛んでいった。
 その数秒後、

『ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!』

 闘技場に二つの断末魔の叫びが鳴り響いたのだった。

 アハハハハハハハ・・・・・・意外と堕とすのは楽だったな・・・・・ああも見事に堕落してくれるとはね・・・・・・・・あの連中も俺の玩具に手を出すからこんな事になる。
 しかし、こんなにも感情がストレートに出るとは、あまり子供の姿でいるのはよくないな・・・・・・さて、次はどんな面白い玩具を手に入れるとするかな・・・・・・・・恋人ゴッコをするというのもいいな。こういう時は人間たちの書物が意外と約にたつ・・・・・今から楽しみだ。

< 第五幕後編 了 >

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