第一話:プロローグ
今の世の中は大・小の犯罪はあるにしても、基本的に平和とされている…
しかしその裏側では平和をおびやかす者達、そしてその者たちから平和を守る者達が存在する。
ここはKUNOICHI・A部隊
「明日香! 唯! 美香! 今すぐ来て!」
そう呼びかけたのは、整った顔立ち・抜群のスタイルを誇る二十代半ばぐらいで凛とした感じの女性だ。
「どうしました!? 緑隊長!」
足早にやってきたのは、キリっとした顔で、無駄な肉の無いいかにも体育会系というような女性だった。歳は十代後半ぐらいのようだ。
「明日香、あとの二人は?」
「美香はもうすぐ来ると思います! 唯はまだ…ちょっと…」
そうこうしているうちに、
「遅れてすいません!」
少し遅れてきたのは、長い髪で才女のようなな女性だった。彼女も十代後半ぐらいのようだ。
「かまわないわ。ところで唯は?」
「起きているのでもう少しで来ると思いますわ」
「ふぅ… しょうがないわね~…」
緑がため息をつくと、
「しょうがなくないです! たしかに唯の戦闘の実力は認めます。 でもこんな生活態度じゃA部隊として他の部隊に示しがつきません!」
「まぁいいじゃないですか。 明日香さん」
「もう! 隊長も美香も唯に対して甘いんですよ~!」
そんなやりとりをしているうちに、
「おくれてすいませ~ん… どうしたんですか緑隊長? あ、明日香ちゃん、美香ちゃんおはよう」
だいぶ遅れてきたのは幼く、かわいい顔つきと、そして顔と不釣り合いな大きな胸をもった女性。歳は十代半ばぐらいに見える。
「まぁ、あいさつならさっきしましたわ」
美香が笑顔で答えた。
「そうだったね~」
美香と唯がほのぼのとやりとりをしていると、
「唯! あんたちょっとはシャキっとしなさいよ!」
「ごめ~ん!明日香ちゃ~ん!」
「もう何回目なの! たまには反省しな…」
そこへ
「明日香、もういから。 唯も気をつけなさい」
「「すいません…」」
と二人がほぼ同時に言った。
そして明日香が、
「ところで集まった理由はなんですか? 隊長?」
「そうだったわね… みんな、よく聞いてね。 さっきKUNOICHI本部から連絡があったの… その内容は… サクリファーの本部が見つかったらしいの!」
「「「サクリファーの… 本部!」」」
サクリファーとは四年ほど前に突然現れた地球外生命体で、地球人よりも遙かに優れた力と科学力、そして地球人が全く備えていない魔力までもっていた。
サクリファーはその科学力と魔力を使い、地球人を洗脳し、獣化させ、地球人を襲わさせていた。
KUNOICHIとは、地球のある科学団体が、サクリファーが侵略を始める前にサクリファーの存在に気づき、その対策として、地球の科学力を駆使し、人間に人工的に魔力を与えた。
その人工的魔力は、二十歳前後の女性だけに適応し、その魔力を持った女性だけで形成された組織・また人工魔力を持った女性隊員がKUNOICHIである。
緑を隊長とするここKUNOICHI・A部隊はトップクラスのKUNOICHIが集められ、ここ三年の間に、苦労の末、サクリファーの四天王全員を倒してきたのである。
「隊長!本当ですか!」
明日香が驚きながら聞いた。
「ええ… もうすぐ敵の本部の座標が送られてくるわ… KUNOICHI本部はA部隊に任せると言っているんだけど… ……行ってくれるかしら…」
「もちろん!」
「いいですわ。 もうこれで最後にしましょう」
「いいよ~! 行っちゃおう!」
「…わかったわ… みんな… ありがとう!」
そこへ、モニターに二十代後半ぐらいの美人だが、少しキツい感じの顔の女性が映し出された。
「緑部隊長はじめKUNOICHI・A部隊のみなさん。 この任務を遂行してくれますか?」
「「「「はい!」」」」
「わかりました。 では今から座標を送ります」
「座標が送られてきたわ。 みんな、いそいでマジカル・ドレスを装着して!」
「「「はい!」」」
明日香、唯、美香が返事をしそれぞれが腕時計のボタンを押した。
すると突然、
明日香の体は赤く輝きだし、
唯の体は青く輝き、
美香の体は黄色に輝きだした。
そして、輝きがおさまると、それぞれ輝いた色のドレスを身にまとっていた。
「みんな… 頼むわね!」
「「「はい!」」」
「明日香さん、唯さん、途中で落ちないようにしっかりつかんでおいてくださいね」
「「うん」」
「では、行きますよ。ライト・スピード!」
美香がそう叫ぶと、3人とも一瞬のうちに空の彼方へ飛んで行ってしまった…
< 続く >