渡来商店 七色丸薬編 プロローグ

【プロローグ】

 僕の名前は、浅木優(あさぎゆう)、私立正光学園に通う1年生だ。今僕は10万円を持っている。なぜ僕が10万円を持っているかというと・・・それを話すには、まずは私立正光学園について話したほうがわかりやすいだろう、私立正光学園は、元々は私立正光女子学園だったのだ。私立正光女子学園は、政治家や大金持ちのご令嬢が通うお嬢様校なんだ。それがどういう理由かは知らないけれど、今年から男女共学の私立正光学園になったのだ。そして僕はそんなことも知らずに、母に進められるまま、私立正光学園に入学した。

 しかし・・・今年入学した男子生徒は・・・・僕一人だったんだ・・・・。僕一人だけが男性だと言う理由だけで、僕は毎日のように、女子生徒達からあの手この手で嫌がらせをされてきた・・・つまり虐めだ。そして昨日、この学園の生徒会長で僕を虐めている集団のリーダー的な存在である、北都百合(ほくとゆり)さんに、50万円を持ってくれば、もう二度と手出しはしないと言われたんだ・・・・そして、僕は色々と工面をして10万円だけ、やっと用意できた。でも、五分の一の10万円じゃ、百合さんは許してくれないだろうな・・・・

「いらっしゃい」
「え!?」
 僕が悩んでいると突然誰かに声をかけられて驚いた。

 あたりを見回してみると、左右に色々な品物が並べられた棚が並んでいて。前のほうには、カウンターで腕を組んで、こっちの方を見ている、このお店の人らしき、20代くらいの男性が座っていた。どうやら、僕は悩んでいる間に、何かのお店に入ってしまったようだ。

「何をお求めでしょうか?」
 お店の男性が話しかけてきた。
「いや、何って・・・その・・・・」
 どうしよう、やっぱり、お店の中に入っちゃった以上、何か買わなきゃまずいだろうな・・・
「ところで、お客さん、あなたの所持金はいくらですか?」
 お店の男性が尋ねてきた。
「え!?所持金?今、封筒に10万円と財布に520円入っています」
 て・・なんで、答えちゃんだろう、所持金を全額を・・・
「10万ね・・・・なら、この商品をどうぞ」
 お店の男性は、それぞれ別の色がついた七つの飴玉みたいな物が入ったガラスの箱を取り出した。
「これは?」
 僕はそのガラスの箱を手にとって、お店の男性に尋ねた。
「七色丸薬(ななしょくがんやく)」
 お店の男性は答えた。
「七色丸薬?なんなんですかこれ?」
 僕はお店の人に尋ねた。
「これは、あなたの願いを叶えてくれる、魔法の丸薬ですよ」
 お店の男性は答えた。
「え!?それって、どういう意味ですか?」
 僕にはお店の男性の言っている意味がわからなかった。
「買うんですか、買わないんですか?」
 お店の男性は聞いてきた。
「・・・・じゃあ、買います」
 なんだか怪しいけど、ちょっと買ってみようかな。
「10万円になります」
 お店の男性は言った。
「え!?10万円!?」
 高いよ、確かに僕は今、10万円持ってるけど・・・やっぱりこういう物は買わないほうがいいよね。
「ありがとうございました」
「え!?」
 ありがとうって?・・・あ!?
 お店の男性は、いつの間にか僕の持っていた10万円が入った封筒を持っていた。
「あのちょっと!!」
 いつの間に、お金を?返してもらわないと。
「それでは、またのご来店をお待ちしています」
 お店の男性が、そう言うと、次の瞬間・・・
「え!?」
 急に僕の目の前が真っ暗になって、僕は気を失った。

 そして、次に僕が気がついた時には、学校の裏庭で横になっていた。

【次回の商品CM】
渡来商店 七色丸薬編
「皆さんこんにちわ、私は渡来商店の店長の渡来陽(とらいよう)です。今回紹介する商品はこちら、商品No.01:『神経支配の青玉』。この商品は、飲むことによって相手の神経伝達を思い通りに操作できるようになる丸薬です。ただ使用すると、内気な人間ほど自分の本能に忠実になってしまうかもしれませんが。ちなみに、この物語の次回のお話は、優君が女の子の服を脱がすだけです。え!?もっと詳しい、次回の話を説明しろだって?これは次回予告じゃなくて、次回の商品CMなので、あくまでメインは商品の紹介です。あしからず」

< つづく >

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