一本目
俺の名前は、海多屋 創(うるたや はじめ)
ごくごくご普通な人生を送る学生、ただ今思春期まっさかり、発情期とも言う
たった今帰りのホームルームが終わった所。
隣の席では下条の周りに女子が群がり始めていた。
下条 なつき(しもじょう なつき)
髪はロングで今時には珍しい黒髪で身長も高く顔も可愛い
出るとこも出てクラスの女子の中心人物であるが
授業の間も周りと喋り続けるような脳ミソの腐ったアホ女。
今もまた群がった女子達と、トランプをしながらキーキー鳴いている最中だった。
アホらしい、俺はさっさと帰路についた。
「ジャンプでも立ち読みしていくかな・・・」
そんなことを思いつつ俺は横を自転車で通り過ぎていった女子2人組みを眺めていた
後ろの学校証明のシールが緑だから3年生だな―――どうでもいいか。
そしてローソンの前にさしかかった辺りで携帯が震えた、母からだった
「もしもし」
「あー創君?」
「あい」
「悪いんだけど今日も帰れそうにないのよねだから」
「飯と洗濯に風呂掃除だろ」
「解ってるね君も、さすが自慢の息子」
「へいへい」
「あと冷蔵庫にプリンあるから食べていいよ、あっ私の分も残しといてね」
「いらねぇ、つうか歳考えろ」
「プリンはいくつになっても魅力的な食べ物だよ」
「もう切るよ」
「もー親子なんだからもっと会話を ブツっ 」
最後まで聞かずに切ってやった。
時計を見ると5時を少し回っていた、ジャンプを読んで帰るか迷ったが米炊きの事を考えると結局読まずに帰ることにした。
家に着きリビングに入ると、
黒 服 の 怪 し い 男 が テ レ ビ を 見 て い た
しかもドラえもん、歳を考えろ
いやそうじゃないだろ
ツッコミなんか入れてる場合じゃない。
男は俺が帰宅した事に気付いていない様子だ
気付いているかもしれないがずっとテレビを見ている。
どうする、どうするよ
1、落ち着け電話で助けを呼ぶんだ
2、そうだバットがアソコに
3、お客様にお茶を出そう
などと考えている内に
「おや?帰ったのかい早かったね」
気付かれた
「ジャンプ立ち読みしなかったのだね、まぁ私はあの雑誌が嫌いだから結構だがね」
しかも何かバレバレだし
「まっ座りたまえよ、飲みかけで悪いがお茶でも飲むかい?」
お茶まで差し出された
「だ・・だれだよアンタは!」
「あぁそういえば、つまみにビスケット頂いたよ少し湿気っていたが美味しかった。」
「だから誰なんだよアンタ!」
「そう騒ぐなよ、まぁなんだ座りたまえ」
「ここは俺の家だ!!」
「知ってるさ、いいから座りなよ知っているかい?常に笑ってる人間は長寿らしいぞ」
俺は座らなかった
「まソレでもいいがね本題に入ろうか」
「本題?」
「まずは当選おめでとう、と言って置こうかな?おめでとう」
当選・・何か当ったったってことか?
あぁ大分昔に出したハワイ旅行の懸賞だろうか
いや、そんな訳無い
懸賞なら態々出向く意味が無いソレに・・・するべきではない
「ホラ受け取りたまえ」
黒いケースを投げ渡された
開けると中には鉛筆が数本入っていたそれも2B
「HBがよかったかな?」
「なんだよコレ」
「今から説明するさ、ソレの使い方」
「使い方も何も馬鹿にしてるのかアンタ」
「いいから聴けよ人の話を聞かないな、君は」
・・・・・・・
「単刀直入に言うとソレは 人の精神を書き直す事が 出来る素敵なえんぴつだ」
は?
今なんと言った
この男は真面目な顔して何と言った?
だめだ、笑ってしまいそうだ
「信じないならそれでも構わないがっ・・・・?」
だめだ、愉 快 し く て 笑 っ て し ま い そ う だ
こんな転界、こんな奇怪、待っていた
「信じるさ、ここまで手の込んだギャグもないだろう」
「意外な反応だな、まぁいい説明するからよくよく聴いときたまえ」
この鉛筆は他人の精神、記憶、常識等を書き換えることが出来る。
書き換え方は、まず鉛筆の尻の部分1面を削り書き換えたい人物の名前を入れる。
そして書き換える内容を紙に書き込む
「これでいい」
「・・・・それだけ?」
「お、ソレいい反応だねでもまだ・・・」
「まだ注意事項がある・・・だろ?」
「なんだつまらないな、まぁいい説明しよう」
この鉛筆にはルールがある
ルールを守らないと効果は現れない
ルール1
鉛筆の尻部分に精神を書き換える人物の名前が書かれていなければ
内容は適用されない
一本ににつき最高6人まで書き換える事ができる
ルール2
精神を書き換えるには対象者が鉛筆に触れた事がなければいけない
触れた事がなければ内容は適用されない
ルール3
一本の鉛筆に複数の人物の名前を書いた場合
書き換えた内容は全員に適用される
個別に書き換えるには別の鉛筆で書き換えなければいけない
ルール4
書き換えた内容を変更する場合は
変更したい部分を塗りつぶし、
新たに書き換える内容を書き加える
「まっこんなところかな」
「オイ、なんだよそのいい加減な感じ」
「気にしないことだ、大丈夫この中に嘘のルールはまじっていないから」
しっかりジャンプ読んでやがるじゃねぇか
クソ読んでおいたほうがよかったか
「で、つまりは俺がこの鉛筆の被験者になったってわけね」
「そう言う訳だ、それではそろそろ私は引き上げるとしよう」
男は立ち上り玄関えと歩いていき
あっそうそうと思い出したように振り返った
「ご飯炊いておいた、醤油も切れていたぞ」
しっかりしたまえと付け加えて今度は本当に出て行った
あの野郎、コンセント入って無いんだよ
いや、ワザとか・・・・仕込みが多い野郎だ
そして午後8時
「さて、どうするかな・・・・」
俺は自室で考えていた
たしかにこんな転界は待っては居た待っては居たが
“本当に効果はあるのか”
そう考えていた
そんな所へ
「お兄ちゃん何か新刊入った?」
妹が―― 言い忘れたが俺には妹が居る名前は詩舞(しまい)――突然入ってきた
丁度いい
「あぁDグレが入ったな」
「マジ?貸してむしろ借りるっていうか略奪」
「いいよ持っていけ、そうだ詩舞ちょっと」
「何?」
「コレもって」
「なんでよ」
「いいから持って」
「えー面倒臭い」
「貸さないぞ」
詩舞はしぶしぶ鉛筆を握りしめた
よし
「持ったけど・・これで?」
「いや、そんだけ」
「死ね」
鉛筆を投げつけられ
ズンッ!
足も踏まれた
「じゃ借りていくからね」
「あいよ」
詩舞は部屋から出て行った
さてっと・・
鉛筆を削り尻の一面に詩舞の名前を書き入れる
「どうしてやろうか・・・・ありえないのがいいかな」
そして俺はノートに詩舞の“常識”を書き込んだ
・マンガを読む時は服を全て脱ぐ
・兄に素肌を見られることは素晴らしい
・兄の言う事には絶対服従する
・兄のすることは全てが幸せ
・兄のことはお兄様と呼ぶ
「とりあえず箇条書きでいいものか」
どれくらいで効果が現れるのか解らなかったので
10分待ってそれから詩舞の部屋に行った
ノックして・・
「もしもーし」
なんてな
「詩舞ドアを開けろ」
ドアが開いた
「お兄さま、なんでしょうか」
詩舞は一切服を着ていなかった
決まりだ、決定打、バッター2アウト満塁空振り3娠、1RのKO勝ち
「そのまま中腰になれ」
命令した
詩舞は何も言わずまっすぐ腰を落とし
俺を見上げた
「そのまま股を開け」
やはり詩舞は何も言わずに
股を開き、嬉しそうな顔で見上げる
「そのままでいろ」
俺は一歩後ろに下がり
思 い 切 り 股 ぐ ら を 蹴 り 飛 ば し た
「ウギぃい」
詩舞が後ろに倒れた
頭も打った
悶えている
少し痙攣している
そして
「アぇ・・・えへ・・・ふっふふ・・・ふヒ・・えへヘ」
笑っていた
「詩舞今すぐに立て」
立ち上がる詩舞
すこしヨロついたが気にしない
「今すぐオナニーをしろ、そうだな30回イったら寝てしまえ」
「ハイ、お兄様」
「こっちに来い詩舞」
「ハイ」
顔を平手で殴ってやった
喜んでいる
癖になりそうだった
それから軽くキスをしてやり部屋を出た
「さぁ明日が楽しみだ」
< つづく >