誰が為に銃声は鳴る エピソード0「暗黒の暴竜」(前編)

エピソード 0 「暗黒の暴竜」(前編)

プロローグ

 ―――――くそっ、くそっ、くそっ・・・・・・。
 レックスは腹を押さえ、おぼつか無い足取りで森の中を彷徨いながら毒づく。
(ジュリアス・レットとか名乗りやがったか?あのクソッタレのクソ野郎め・・・・・・)

 普段はなんでもなく跨げるような木の根に足を取られ、転ぶ。
「ぐぅっっ!!」
 激痛に顔を歪める。起き上がれない。レックスは自分の体力が限界に近づいている事を感じていた。

 そのまま木の根元に座り込み、自分の腹を見る。
 下腹部は包帯でグルグル巻きにされていたが、右の下腹部の前と後ろからじわりと血が滲み出し、包帯に汚い染みを作っている。

 医者に行く事は出来なかった。レックスは賞金首だ。モグリの闇医者は何人か知ってはいたが、全員がとてつもない額の料金を請求してくる。
 今のレックスには逆さに振ってもそんな金は用意出来なかった。払えなかったら人体実験の後、豚の餌だ。
 
 考えた末、レックスは自ら死を選ぶ事にした。だが、町の中では死なない。
 町のチンピラや賞金首連中に自分の死を知られるのは許せなかった。
(聞いたか?レックスの野郎くたばったんだってよ)
(一人で、跳ね回ってるからだ。いいザマだぜ・・・・・・・)
 自分より遥かに劣るクズ共に、したり顔でそんな事を言われるのは耐えられない。

 レックスは一人で誰にも知られず死ねるように、誰も近づかない深い山の中へ分け入っていった。
 適当に頂上の方を目指し、道なき道を行く。・・・そして今レックスはここにいる。

 辺りは完全な静寂に包まれ木漏れ日が差し込み、木々の緑が目に眩しい。
(死ぬにはいい場所かもな・・・)
 ぼんやりしてきた頭でレックスは考える。・・・・なんでだ?俺はどこで間違えた?

(あのクソ野郎に撃たれて・・・・・・いや、違うな・・・三年前だ。あの隊商襲撃が上手くいってりゃ・・・・・あの強盗団も俺の物になる筈だったのに・・・・・・あれから何もかも上手くいかなくなって・・・・・・俺は誰の下にもつかねぇ・・・・・・そういや、レミィとかいうガキがいたな・・・・・もう死んでるだろうけどな・・・・・・・)

 取りとめも無く、考えが広がる。
 森林生活など経験の無い都会育ちのレックスは知らなかった。森がこれだけ静かなのは何か理由があるのだという事を。
 最も、知っていたとしても今の混濁しかけた意識ではその事に思い至らなかっただろうが。

 ふいにガサガサと草を踏み分ける音がし、彼の血の匂いを嗅ぎつけて来たのかレックスの前に、一匹の巨大な熊が姿を現す。
 レックスは咄嗟に銃を抜き・・・・・・苦笑してそれをしまう。

(死にに来たのに、いまさら身を守ってどうする?)
 弱者がより強いものに喰われて滅びる。それは自分の死に様に相応しい気がした。
 弱肉強食、それはレックスにとって絶対の真理だった。
(ま、俺が誰だか分からねぇように、せいぜい綺麗に喰い散らかしてくれよ・・・)
 皮肉げに唇を歪める。

 熊が立ち上がりレックスを威嚇する。

 ブウウゥゥゥゥンン!!

 その時、突然の風切り音が響く。
 レックスは空気を切り裂いて飛来した銀色に輝くトマホークが熊の喉元深く食い込み、地響きを立ててそれが仰向けに倒れるのを呆然と見ていた。

 草を踏み分け現れたのはインディアンの少女だった。
「・・・お前、大丈夫か?」
 真っ直ぐな瞳で見つめてくる。レックスの目にはまだ12、3才程度に見えた。

(こんなガキがあのクソでけぇ熊を一撃で仕留めたってのか?・・・・はは、神だか悪魔だか知らねぇが、最後の最後にくだらねぇ夢を見せやがる・・・)
 その考えを最後にレックスはゆっくり意識を失っていった。

第1章

 ―――――夢を見ていた。

 少年はスラムで生まれた。
 少年には名前が無かった。
 彼を育ててくれた女は機嫌のいい時は『あんた』、機嫌の悪い時には『お前』としか少年を呼ばなかったし、少年もそれが普通だと思っていた。
 女には愛人がいてその男がやって来ると、少年を物置に放り込み情事に励むような人物だった。
 暗い物置で恐怖に震えながら、少年は女の嬌声を聴いて育った。
 その女も少年が8才の時に性病で亡くなり、少年は一人で生きなければならなくなった。

 泥水で服を洗い、他人の残飯で飢えを凌ぎ、食う金欲しさに10才の頃には人も殺していた。

 少年は考える。
(・・・・・・なんでだ?なんで俺は虐げられる?なんで俺を見る連中は見下した目をして、汚いものでも見るように俺を見やがる?)

 答えに辿り着くのに時間はかからなかった。
(・・・・・・俺に力がねぇからだ。力の無い奴は何をされても文句は言えねぇ。・・・・・・俺は力が欲しい・・・!!)

 少年は町のチンピラから買った銃の練習を始める。もちろん代償として何人かの殺害も命じられたが、それは少年の実戦経験を磨いていった。
 元々の才能もあってか18の頃には銃の腕で少年に勝てる者はいなくなっていた。

 そして少年は自分の生まれた町を出る。ここでは少年の素性を知るものが多すぎて、大きな力を得ようとすると必ずその前に潰される。

 頭の良かった少年は独学で読み書きを学び、ある隊商の護衛に潜り込む。
 そこで実力を認められ24の頃には隊商の護衛団団長を任されるまでになっていた。

 だが、もちろんそこで終るつもりなどない。人の下で満足するなど愚か者のする事だ。
 近隣の町で一番の勢力を誇っていた強盗団に連絡を取り、密かに襲撃の準備を進める。いずれはその強盗団も乗っ取るつもりだった。

 より高く、より上に、少年・・・いや、もう青年になり、適当につけた強そうな名前、レックス・ガルシアーノを名乗る男の望みはそれだけだった・・・。

 

 レックスは跳ね起きる。体は汗でくっしょりと濡れていた。・・・何か嫌な夢を見ていた気がする。
 そして自分の寝ている場所に気づく。
 簡素なテントの中だった。真ん中に太い柱を一本立て、それを支柱に布を四方に延ばし、布の先端をくさびとロープで固定している。
 そして自分の寝ているベッド・・・とはとても言えない、干草に寝藁をひいただけの簡単な寝床を見る。

 そこまで観察した所でテントの中に一人の女性が入ってくる。
 レックスが気絶する前に見た少女ではない。二十歳位だろうか、黒髪を肩の辺りで切りそろえ、バンダナを巻いたなかなかの美女だった。
 その女性はレックスが起き上がっているのを目を丸くして見つめ、慌てて駆け寄ってくる。

「まだ、動いちゃダメ。あなた、三日も寝てた」 
 たどたどしい英語で一生懸命、もう一度レックスを横にさせようとする。
 レックスはその言葉に素直に従う。腹がズキズキと痛んだからだ。見てみると包帯は新しく清潔な物に取り替えられ、傷口の辺りがこんもりと盛り上がっている。

「婆様、秘伝の薬と薬草つけた。でも寝てないと治らない。・・・私、ターニャ。あなたは?」
 ターニャは笑顔で言う。
「・・・・・・レックスだ」
 レックスは仏頂面で答える。
 どうやら自分は生き残ったらしい。それはラッキーだ。しかし他人の世話になるなど真っ平だった。

「それじゃレックス、また後で」
 嬉しそうにターニャは出て行く。それを黙って見送ってからレックスはこれからの事を考える。
(とりあえず、白人だからぶっ殺そうって連中じゃあねぇみたいだな。・・・どっちみちもう少し体が動くようにならねぇと、どうしようもねぇが)
 自分の無力さに怒りを覚えつつ、レックスは瞼を閉じる。・・・無力感。それはレックスが一番嫌う感情だった。

 レックスが起き上がれるようになるまでそれから数週間がかかった。
 その間何人かのインディアンが姿を見せ、挨拶をしてくる。レックスの予想通り、特に敵意剥き出しと言う感じの人間はいなかった。
 だからといって好意が感じられる訳でも無かったが。
 話を聞いてみると全員合わせても20人に満たない、村というより集落のような場所らしい。
 動けるようになって、ターニャの付き添いで集落の中を散歩する振りをし確認してみたがそれは本当のようだ。

 基本的に集落の人間は怪我が治ったら早く出て行って欲しいという態度だったが、ターニャだけはレックスが嫌がっても甲斐甲斐しく世話を焼き、彼を閉口させた。
 包帯を取り替える時などレックスの鍛え上げられた腹筋を見て頬を赤らめる。彼女が彼の事を気に入っているのは誰が見ても明らかだった。

 実際レックスは目に険がある事を除けば、それなりのハンサムだったので女性から言い寄られた事も何度かある。
 しかしレックスは一度も女性に対して愛情などを感じた事はない。
(女なんか力さえ手に入れば、掃いて捨てる程寄って来やがる)
 彼にとって女性とは欲望を満たための道具に過ぎなかった。

(だが、この女は使えるな)
 レックスには確かめなければならない事があった。
 まだ寝たきりの状態だった時不意にテントを覗き込み、彼を意志の強そうな瞳で見つめると、無言で去って行った少女、ユーナの事を。
 森で見たあの時の光景は、まだ現実にあった事だとは信じられない。・・・・・・しかし、もし本当だったとしたら・・・?

「なぁ、あのユーナって奴の事なんだけどよ」
 夜の食事を運んで来たターニャはその言葉を聞いた瞬間、怯えたように身を竦ませる。
「・・・ごめんなさい。あの子の事、聞かないで」
 無理矢理笑顔を作ると、急いで食事を並べていく。
(バカな女だ)
 レックスは心の中で嘲笑う。そんな答え方をしたら、何か重大な秘密があると喋ってるのと同じだ。

(久しぶりに使ってみるか)
 そう考え、レックスは出来る限りの優しい笑顔を浮かべターニャに言う。
「今日の夜中、もう一度ここに来てくれないか?・・・大事な話があるんだ」
 何を考えたのかターニャは頬を赤くし、恥ずかしそうに肯く。
 食事の片付けを終え、彼女が嬉しそうに出て行くのを見ながらレックスは彼が学んだある技術を思い出していた。

 催眠術。
 独学で勉強をしていた時偶然目にしたその体系は、彼の心を捉えて離さなかった。
 他人を意のままに操り使役する。その考えはレックスの嗜好に非常に合っていた。
 実際に学んでみるとそんなに簡単なものではなかったが、それでも多少の心得はある。
 レックスは用意を整えながら、獲物が網に掛かるのをゆっくりと待つのだった・・・。

「呪(まじな)い?」
 自分の期待していた事とレックスの言動が一致しなかった為だろう、やや不満そうな顔をしてターニャは聞き返す。
「ああ、そうだ。お前たちインディアンに呪いがあるように、俺たち白人の間にも呪いがある」

 適当な嘘をつきながらレックスは、蝋燭に火をつけ煙を逃がす為にテントの小窓を開ける。
「俺はお前に凄く世話になった。・・・ちょっとでも恩返しをしたくてよ」
 その言葉には嬉しそうな反応を見せたが、訝しげにターニャは尋ねる。

「・・・白人の呪いなんて効くの?」
「凄くよく効くぜ?お前たちが普段吸ってる麻薬なんか比べ物にならない位、リラックスして幸せな気分になれる」
「本当?・・・じゃあ掛けてみて」
 レックスの予想通り麻薬という単語はターニャに興味を抱かせるには充分だった。実際インディアンの作る麻薬は上物が多い。

「よし、それじゃあ、この蝋燭の火をじっと見つめてみろ」
 言われた通りにするターニャをレックスはゆっくりと催眠状態へ誘導していく。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
 ・・・・・・・・・・・・・・。

「お前の名前は?」
「・・・ターニャ・・・」
 虚ろな目をしながら、ターニャは微笑んで答える。
 今の彼女はレックスの声しか聞こえず、彼の質問に正直に答える事で素晴らしい幸福感を得るようにされていた。

「ターニャに質問だ。・・・・・・ユーナ・・・あいつの力は一体何だ?」
「・・・・・・それは集落の秘密なの・・・」
「ターニャ・・・ここには今、お前しかいない。聞こえている声は自分の心の声だ。・・・独り言なら秘密を話した事にならないだろ?それに話したくて堪らない。話せば話す程、楽しく幸せな気持ちになれるぞ」
「・・・心の声・・・話したくて堪らない・・・」
「そうだ。お前は話したくて堪らない・・・その気持ちが抑えられない」

「・・・あの子、聖なる禁忌の谷に行って帰って来た・・・」
「聖なる禁忌の谷?」
 ターニャは幸せそうに微笑みながら答える。人に話しているという歯止めがなくなったのでぺらぺらと喋り始める。
「私たちの部族、元々聖なる禁忌の谷を守るために出来た。・・・長い年月で人、ずいぶん少なくなってしまったけど、それでも近づいてはいけない神聖な場所と教えられて育つ」

「それがユーナの力にどう関係があるんだ?」
「聖なる禁忌の谷に行った者、皆帰って来ない。・・・それでも凄くたまに帰ってくる者いる。その人達は必ず人ではない力身につけて、部族の英雄になる」
 普段のレックスなら嘲笑していただろう。彼は神だの悪魔だのの存在を全く信じていなかった。
(もし本当に神なんてもんがいたなら、俺みたいのが生まれてくる筈無いじゃねぇか)
 だがレックスも実際に見た、ユーナの力は本物だった。

「その聖なる禁忌の谷とやらでユーナは力を身につけて帰って来たんだな?」
「ユーナは部族の英雄の話、大好きだった。・・・10才の時、こっそり集落を抜け出して聖なる禁忌の谷に行き・・・あの斧持って帰ってきた」
「そこで何があったかユーナは話したか?」
 ターニャは静かに首を振る。
「ユーナ力を手に入れて、実際それを見せてくれたけど詳しい事、話さない。・・・だから・・・怖い・・・・・・」
「怖い?」
「ユーナその力で皆守ってくれる。それは感謝してる。でもやっぱり・・・・・・人じゃない感じがする」

(なるほどな)
 レックスは得心する。村の中を散歩した時たまたま、ユーナと屈強そうな大男が話をしている光景を見た事がある。
 その時、怯えた、卑屈な笑顔を浮かべていたのは大男の方だった。

「・・・それで、貰える力ってのは必ず斧なのか?」
「ううん。銀牙(シルバー・ファング)使えるのはユーナだけ。伝承の中、弓使いも槍使いもいたし、それぞれ別の能力だった」
「シルバー・ファングってのかあの斧は。・・・で、その能力は?」
「あの斧身につけてる間だけ、ユーナ、凄い身体能力使える。それに投げても自然にユーナの手に戻ってくる。・・・でも斧、両方とも体から離すと運動が人よりちょっと出来る、普通の女の子」
 
 レックスの心は歓喜に沸き立っていた。いくら銃の腕があろうとそれは所詮、人の力だ。いつかもっと腕のいい奴に敗れる事もあるだろう。・・・事実この間は危ない所だった。
 だが、誰にも覚える事の出来ない人を超えた力が手に入る可能性がある。・・・・・・レックスは決意する。
(手に入れてやるぜ・・・・・・例えどんな犠牲を払ってもな!!)

 気がつくとレックスの陰茎はジーンズの中ではちきれそうになっていた。そういえばもう一ヶ月以上、女を抱いていない。
(こいつで遊ぶか)
 集落の外れにあるこのテントと他のテントはかなりの距離がある。多少声が漏れても大丈夫だろう。
 蝋燭を吹き消し、テントの小窓を閉めてから、レックスはターニャに命じる。

「いいか、ターニャ?お前の体はもう指一本動かせない。でも不安はない。凄く満ち足りて安心した気持ちだ」
 ターニャがリラックスした表情を浮かべるのを確認して、レックスは続ける。
「これから、誰かの手や舌がお前の体に触れるが、お前にはそれが誰かは分からない。誰だか分かりたいとも思わない。・・・でもその愛撫に身を任せると今まで感じたことも無い、快感と幸福感を味わえる」

 そういうとレックスはターニャの唇にキスをしつつ、胸を柔らかく焦らすように捏ね回す。
「んぅ・・・あぁ・・・あぁん・・・」
「凄く気持ちいいだろう、ターニャ?その誰かの口や指が触れた場所はそれが離れても、ずっと弄って貰ってる感覚がのこるぞ。・・・凄く気持ちがいい、体が宙に浮いていくような気分だ」
「ああんっ、あっ、あっ、気持ちいい、気持ちいいよぉっ、あはぁっ」
「そうだ、最高の気分になっていくぞ、ターニャ。この声の言う事を聞いている限り、いつでもお前はその気分を味わえる」
 言いながらレックスは自分のズボンを下ろし、ターニャの服を脱がせていく。

「んあぁっ、言う事聞くっ、聞くからもっと・・・もっと気持ちよくしてぇ!」
「・・・ああ、いいぜ。お前の体は自由に動くようになる」  
 淫蕩に染まったターニャの目の前に、レックスは自分の肉棒をちらつかせる。
「凄く美味しそうな肉があるぞ?お前はこれを食べたくて堪らない。・・・でも歯を立てたらダメだ。この肉は丁寧に舐めしゃぶって食べるものだ。・・・しゃぶればしゃぶるほどどんどん美味しくなって、気持ちがよくなる」

「ああん、美味しそう、ターニャに食べさせてぇ」
 ターニャは躊躇いも見せずレックスの陰茎にむしゃぶりついて来る。
 ぢゅぷぢゅぷと淫靡な音を響かせ、口の端から涎を垂らしながら熱心にレックスのチンポを舐めしゃぶっていく。
「美味いか?ターニャ」
「うんっ、あっ、こんな美味しいぃっ、じゅぷっ、お肉っ、ターニャ食べた事っ、はあぁぁっ、無いっ、あぁっ」
「そろそろ肉の先から、肉汁が飛び出すぞ。・・・この肉汁はお前が今まで食べたどんな食べ物より美味しくて、気持ちのよくなる肉汁だ」

「あっ、出してぇっ、美味しいの、ターニャにいっぱい食べさせてぇっ!」
 次の瞬間、レックスの陰茎から大量の白濁液が放出される。しばらく出していなかったせいでそれはゼリー状に固まり、固形物といってもいいものだった。
「んぅっ!あぁっ、あはあああぁぁぁぁん!!」
 レックスの暗示によって絶頂に達しながらも、ターニャは必死にそれを飲み下していく。

 あまりの精液の濃さに咳き込み、鼻から精子を噴き出しながらも、それすらすくい取って一心不乱に飲み続ける。
「ふぁぁっ、こんなの、こんな美味しいの、はっ、あん、ターニャ、初めて・・・」

 一度出してもレックスの陰茎はまだ勃起したままだった。レックスは冷笑を浮かべながらターニャに告げる。
「美味かっただろ?だがこの肉はもっと美味い食べ方があるんだ・・・お前の下の口に食べさせると美味しさも幸福感も、そして快感もさっきとは比べ物にならない位感じる事が出来る」

「ああっ、食べるっ、食べたいっ、早くしてぇっ」
「まぁ、そんなに焦るなよ。ここからじゃ暗くてよく見えないんだ。・・・自分で足広げてオマンコ広げて見せてくれよ」
「う・・うん」
 ターニャは恥ずかしがりながらもレックスの指示に素直に従う。足をM字に大きく開き、自分の指で秘裂を左右に広げる。
 秘所は既に愛液が溢れヌルヌルと滑る為なかなか上手くいかなかったが、強引に肉壷に指を突っ込みレックスの期待に応える。

「あっ、広げたよぉっ、あぁん、お願い、早くぅっ、くぅぅんっ」
 レックスはものも言わず、屹立した陰茎を一気にターニャの中に突き入れる。
「ひゃあぁんっっ!んっ、んぅっ」
 激しく腰を打ちつけるレックスのストロークは相手の事など全く考えていない、荒々しいものだった。
 それでもターニャに沸き起こる感情はこの凌辱を全面的に受け入れていた。

「あああぁぁっ!美味しいっ!ああっ、お肉美味しいぃっ、気持ちよくてぇっ、あはぁっ、美味しいのぉっ、あっ、あっ、あぁっ、・・・幸せぇぇ」
「お前が俺の言葉に従ってる限りっ、いつでも、この気持ちを感じる事が出来るっ」
「あぁっ、従うぅっ、ターニャ何でも従うからぁ、もっと、んあぁっ、幸せにしてぇっ、はあぁっ、気持ちよくしてぇっ、んあぅっ、美味しいっ、お肉っ、ああぁぁっ、食べさせてぇっ!!」

 ターニャの絶叫と同時にレックスは二発目の精液をターニャの中に放つ。

「あああぁぁっっっ!!はぁぁっ・・・・ああぁん・・・」
 息も絶え絶えのターニャにレックスは冷徹に暗示を吹き込んでいく。
「いいか、ターニャ。お前はここで俺に部族の秘密を喋った事を思い出す事はない。・・・独り言だったんだから当然だよな?」
「んっ、はあぁ・・・ターニャ、独り言喋っただけ。・・・喋った事、思い出さない・・・」

「そうだ、お前はここに来て、俺に白人の呪いをかけて貰って凄く幸せな気分になり、リラックス出来た。その効果は言った通り、麻薬以上だ」
「白人の呪い、凄く良く効いた。ターニャとても幸せ・・・」

「そしてお前の方から誘い、俺とセックスした。・・・・この事は恥ずかしいから誰にも話せない」
「・・・ターニャから誘ってセックス・・・・恥ずかしい・・・」

「だが、呪いもセックスもとても気持ちよくて幸せだった。またいつでもして欲しいとお前は思っている」
「呪い・・・セックス・・・して欲しい・・・」

「普段お前が覚えているのはそれだけだ。だが俺が『揺らめく暗闇』と言うと、いつでも呪いをかけられた後の状態になる事が出来る。・・・それじゃあ俺が数を3つ数えると、お前はいつものお前に戻る・・・・・・いくぞ?・・・1・・・2・・・3!」

 ターニャはしばらく目をパチパチしばたかせていたが、急に真っ赤になると慌てて服を手繰り寄せ、体を隠す。
「どうした?お前の方から誘ってきたのに、今更恥ずかしがる事はねぇだろ?」
「それはそうだけど・・・でも・・・」
 相変わらず真っ赤な顔をしてうつむきながら、消え入りそうな声でターニャは答える。
「ところでどうだった、俺の呪いは?」
「うん・・・それは、凄く良かった。ターニャまたかけて欲しい」
「セックスとどっちが良かった?」

 からかうように言うレックスの言葉に再び耳まで赤くしながら、ターニャは答える。
「・・・・・・ばか」
 そして急いで服を着るとテントから駆け出していく。しかしその顔には嬉しそうな笑顔が浮かんでいた。

 レックスはその一部始終を見ていたが、最後までその冷淡な目の光が消える事は無かった。

< 続く >

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