誰が為に銃声は鳴る エピソード1「大地の守護者」(後編)

エピソード 1 「大地の守護者」(後編)

第2章

 レックスは<操作>の魔弾の力でユーナの意識を飛ばすと軽々と肩に担ぎ上げ、表の給水ポンプに向かった。ポンプのバルブを捻り、汗や小便、精液で汚れきったユーナの体を洗い流す。ポンプの水は川の水を吸い上げて使う循環式なので、水が腐っている心配は無い。
 ついでにそこら辺に生えてる草から茎の硬いものを選び、ギザギザに切り裂き歯も磨いてやる。
 別にユーナの体が心配だった訳ではない。スラム出身のレックスが自らの体験上、汚いという事を嫌う性質だっただけだ。

 意識の無いユーナをまた牢獄に放り込み、レックスは外で食事を始める。とりあえずここまでは順調だ、とレックスは考える。
(プランからは外れてねぇ。しかし……)
 同じ能力使いを洗脳するのは始めての経験だ。ちょっとやそっとで堕ちる精神力では無いだろうし、かといってやりすぎて壊れられても困る。
 しばらく逡巡したが、結局予定通りに進める事にした。
(ま、ぶっ壊れたらその時はその時だ)
 レックスは残りのジャーキーを頬張ると獲物の待つ穴蔵へと戻っていった。

 牢獄に戻りユーナの意識を戻す前に<恋慕>の魔弾をユーナに撃ち込む。全ての準備が整ってからレックスはユーナを目覚めさせた。

「!……なんで……ユーナ……こんな格好……」

 その疑問は尤もだった。咄嗟に体を隠そうとするユーナだったが、レックスは<遮断>の効果でそれを封じる。ユーナの体は四つん這いになり、レックスの方向に尻を高く突き上げた姿勢のまま固定されてしまった。首だけは動かせたがそんな姿勢で充分に振り向く事など出来ず、必死にレックスを見ようとする澄んだ黒色の瞳は自然と流し目になり、まるで男を誘い入れようとしているようだった。
 羞恥に染まりみるみる真っ赤になっていくユーナにレックスが問う。

「で、どうだ?降参する気になったか?」
「誰が!お前が何してもユーナは絶対……」
「屈しない。……だろ?そりゃあもう聞き飽きたぜ。ボキャブラリーの貧困なガキだ。ま、せっかく誘ってくれてんだ、無理矢理ってのは好きじゃあねぇが抱いてやるか」
「!いやだぁっ、やめろっ、ユーナに、ユーナに近づくなぁっ!」

 性知識は皆無に等しいユーナだが、セックスの意味くらいは分かる。怒りと恐怖で半狂乱になり、叫びだす。

「まあ、どうしても嫌なら止めるけどよ。俺の弱点だろ、セックスは。お前にとってはチャンスじゃねぇのか?」
「弱点……それはそうだけど、なんでそれユーナに教える?」
「まぁな、お前の真っ直ぐな生き方を見てたら恥ずかしくなってよ、俺も正々堂々とした勝負って奴を挑んでみたくなったんだ。……そんな理由じゃだめか?」

 レックスの言葉を聞いてユーナの心にかつて感じた事のない感情が拡がる。
(……こいつ完全な悪魔じゃないのかも知れない。仲間の仇だから絶対に殺すけど)

「分かった。ユーナにセックスしろ。これで貸し借り無し、本当の勇者の決闘だ」
「分かってくれて嬉しいぜ。ああ、俺の動きで感じた時は感じた動きが出来る。あとは気持ちよかったら正直に喋れよ」
「お前のする事で気持ちいい事なんか無い!さっさと始めろ!」
 
 言葉ではそう言ったがユーナの胸は早鐘のように高鳴っていた。男の手がそういう目的で体に触れるなど初めての事だったし、昨日の自慰行為で得られた快楽は筆舌に尽くし難いものだった。

「ひゃんっ!」

 案の定レックスの掌が自分の尻に触れただけで情けない悲鳴をあげてしまう。ユーナは鉄の意志で自分の嬌声を抑えようと必死だった。
 一方レックスも久しぶりの十代半ばの少女の肌の質感に多少の驚きを感じていた。きめ細かく撫で回すと掌に吸い付くようだ。
 小振りだがそれでも女性らしい丸みを帯び、健康的に日に焼けた尻はレックスに改めて人種の違いを感じさせた。
 レックスは脇腹にそって指を走らすと、乳輪の淵を指でなぞる。舌は華奢な背中の窪みに沿って滑らし、右手はまだ閉じてはいるが、熱く火照った秘所に伸ばす。

「あっ、だめっ、だっ、きもちいいっ、ユーナ、すごくっ、きもちいいっ」

 ユーナの決心は氷のように解け崩れ、その小さく可愛らしい唇から、歓喜の嬌声が漏れ始めている。朝まで掛けられ続けた<発情>は幼い少女の性感を完全に開発していた。

「どうされてどう気持ち良いのかはっきり喋れ」
「むねっ、胸さわさわされるの気持ちいいっ、あんっ、舌でなめっ、背中も気持ち良いっ、首の後ろっ、吸うなぁっ、ああっ、そこも気持ち良い、アソコっ、アソコに指がっ、んぁっ、そこがいちば……ひゃうっ、やめっ、そこ弄るのっ、あっ、アソコの前のポッチはっ、すごく気持ち良いっ、あんっ、凄くっ、すごくきもちいいっ、ユーナおかしくっ、あはぁっ、乳首跳ねるの気持ち良いっ、だめっ、おかしくなるの来るっ、はぁんっ」
「そのポッチってのはクリトリスってんだ、覚えとけ。おかしくなるのはイクだ。イク時はそう言え」
「こんなのっ、嘘だっ、こんなっ、お前が無理矢理っ、気持ち良いっ、指入って来てっ、ふぁっ、気持ち良いっ、ああっ、指曲げてコリコリっ、あんっ、擦るなぁんっ、きもちいいいっ、親指でクリっ、あんっ、トリスっ、触りながら、んっ、他の指でっ、アソコの中、掻き回されてっ、あっ、気持ちいいっ、イクっ、ユーナ、お前殺すっ、はああっ、イクっ、ダメっ、がま……はああぁん、イクっ、イクぅぅっ」

 一瞬仰け反った後、体を痙攣させながらゆっくりと沈み込んでいくユーナからレックスは体を離す。
 目の焦点が合わず、全身にじっとりとした汗をかき、足の親指を反り返らしたまま荒い呼吸を続けるユーナを見下ろしながらレックスは言う。

「せっかく俺の弱点を知るチャンスだったのにだらしねぇな。ま、お前が限界だって言うならもう止めとくか」

 暫く忘我の状態に陥っていたユーナだったが、その言葉に反応し、瞳に生気を取り戻す。

「……はぁっ、誰が限界って言った。はぁ……、ユーナ、全然、平気。今すぐセックスしていいぞ……」
「だが勝手にイかれちゃあ、折角の俺の真摯な思いって奴が萎えちまうんだよなぁ」
「……勝手にイったのは謝る。戦士としてユーナ未熟だった。誇りに賭けて次は勝手にイかない、だからセックス、頼む」
「そうか、ま、そこまで言うんじゃしょうがねぇ。しかし次勝手にイったら勝負はてめぇの負けだぞ。正々堂々戦って俺の勝ちって事は、俺の方が正しいって事だ。そこは分かってんだろうな?」
「もちろん、分かってる!ユーナ絶対に負けない!」

 そう答えたユーナだが、レックスの戦士としての堂々とした振る舞いにほんの少し畏敬の念を抱いていた。
(卑怯者の屑、最低の悪魔だと思ってた。……でもちょっと違うかもしれない。やっぱり戦士は死力を尽くして戦い合わないと本当の姿って分からない)
 だからレックスの体がのしかかって来た時、さきほどまでの嫌悪感をユーナは感じる事が出来なかった。
 当然、全てはユーナに撃ち込まれた<誤認>、<恋慕>の魔弾の効果によるものだったが。
 そしてこの勝負はユーナにとって余りに不利なものだった。イったばかりのユーナの体はレックスの愛撫によってたちまちその火照りを取り戻す。
 陰核はぷっくりと膨らみ、ぴったりと閉じていた淫裂はだらしなく口を開け男を迎え入れる準備を整えていた。

「んっ、ふぅっ、んんっ、ふぅっ」

 始めは口を閉じ、耐え抜こうと考えたユーナだったが、<操作>の効果はそれを許さない。口はレックスの指示を実行しようと自然に開き、結局さっきと同じ状況になってしまう。

「んふぅっ、太腿撫でられるの、気持ちいいっ、耳たぶ噛まれるのもっ、いいっ、乳首クリクリされるのもっ、あっ、アソコ縦になぞられるのもっ、みんなみんなっ、ぜんぶきもちいいぃっ」

 レックスは自分で陰茎を掴み上げると、既に充分濡れそぼったユーナの秘所に狙いをつける。
 しかしユーナのその場所はレックスの剛直を受け入れるには余りに小さすぎるように見えた。
 いや、愛撫の最中から思っていたが、ユーナの肉体はレックスの想像以上に華奢だった。斧を振り回す活発なイメージのせいで、実際よりサイズを大きく見積もっていた事を思い知らされる。
 抱きしめれば折れてしまいそうな体、レックスの半分強程の太さしかない二の腕、今朝、軽々と担ぎ上げた細い腰、まだ大人になりきれてない少女の色香がレックスの獣欲を刺激する。
 レックスは腰を屈めゆっくりと剛直をユーナの体内に沈めていった。
 最初は抵抗感があったが意外な程するするとレックスのモノは飲み込まれていく。
 どうやらレックスの予想通り処女膜は無いようだった。普段から激しい運動をしているせいだろう。乗馬をよくやるという娘を抱いた時、同じ状況だった事を思い出す。もちろん今となっては処女だと言い張ったあの娘の話の真偽などどうでもいい事だが。
 狭い入り口を潜り抜け、更に奥へと陰茎を突き入れる。圧迫感が心地いい。柔らかな肉襞が絡みつき、ユーナが甘い声を上げる。
(ガキもそんなに悪くはねぇな)
 そんな事を考えながらゆっくりストロークを開始する。しかしユーナの方はそれどころでは無かった。

「あっ、くぅっ、ふっ、ふぅっ、あっ、ああっ、くるしっ、ふぅっ、でっ、たりっ、はいったりっ、はぁっ、してるっ、ひきだされっ、るぅっ、ふっ」

 レックスの荒々しいストロークに苦しげな悲鳴を上げる。しかし何度か抽送を繰り返す内、声音に別の響きが混じり始める。

「はっ、はぁっ、あっ、へんだっ、あんっ、ユーナっ、おかしいっ、さっきまで苦しかったのにっ、あんっ、んっ、くるしくなくってえっ」
「苦しくなくてなんだよ」
「きっ、きもちいいっ、レックスのっ、ズボズボでたりっ、はいったりしてるのぉ、あぁんっ、きもちいいっ、きもちいいっ、きもちいいっ」

 レックスはその言葉を聞き、ますますストロークを速める。ユーナの蜜壷からはとろりとした粘液が溢れ、太腿まで滴っていた。レックスが腰を打ち付けるたび、結合部から淫靡な音が漏れる。
(そういや、こいつに名前を呼ばれたのは初めてかもしれねぇな)
 ぼんやりと考えるレックスだが、ユーナの膣内の狭さは思った以上に具合が良く限界が迫っていた。
 強弱をつけ、腰をグラインドさせユーナを絶頂に導いていく。

「ふぁっ、はぁっ、あんっ、きもちいいっ、ユーナだめっ、だめにっ、はんっ、なるっ、もうっ、うごくなぁっ、ああんっ」
「いいのかよっ、それじゃてめぇの負けだなっ」
「だめだっ、ユーナっ、負けないっ、あっあっ、絶対っ、ユーナ、イかないっ、あっ」

 ユーナは泣きそうな顔で必死に耐えているが、限界をとうに超えているのは明らかだった。
 最後の一押しとばかりにレックスはユーナの淫核を摘まむ。

「あっっ!はぁっ、イクっ、イきたくなっ、あっ、イクっ、イクぅぅっ!」 

 さっきより激しい痙攣を繰り返し、ユーナはぐったりと崩れ落ちる。汗が噴き出し、全身が薄桃色に染まっている。
 レックスは陰茎を抜くと素早く回り込みユーナの顔面にぶちまける。
 ほぼ失神状態だったユーナは顔になにかが降りかかる感触で僅かながら意識を取り戻し、それが自分の大好物である事に気づくとのろのろと手を動かし旨そうに嚥下していく。

「ふぅっ、美味しい、ユーナの薬、凄く美味しい……」
「おい、暢気に人のザーメン飲んでんじゃねぇ。いいか、お前は負けた。……つまり俺が正しかったってことだ、分かったか?」
「ん……ッあっ!」

 夢うつつの状態からユーナは跳ね起きようとしたがその行動は〝許可〟していない。代わりに顔を驚愕の形に歪めただけだった。

「……そうだ、ユーナ負けた……レックス、間違ったことしていない……」
「そりゃどうも。で、どうすんだ?」
「……でも、だからってレックスのした事、許せない。正義は無いかもしれないけど……、皆の方が間違ってるかもしれないけど……やっぱりユーナ、部族の為、レックス殺さなきゃならない……」

 一応そう宣言したユーナだったが、どことなく歯切れは悪かった。真っ直ぐ、人の深淵まで見通す様な漆黒の瞳も今は憂いの影に満ち、不安げに視線を彷徨わせる様はさっきまでと同一人物とはとても思えない程だった。
 人というのは自信の有無でこれほどまでに変わるのだ。今のユーナの意識は長年信じてきた価値観、倫理観を根底から揺す振られ、グラグラと揺れる地表の上で右往左往する表層の残滓に過ぎない。
 そしてこれこそがレックスの待っていた瞬間だった。
 傍らに投げ出してあった銃を取りシリンダーを回し、ぼんやりとこちらを眺めるユーナに狙いをさだめる。
 そして言う。

「魔弾NO.6<洗脳>」
 
 レックスは立って、ユーナは寝転んで……姿勢の差こそあれど、お互い裸のまま向き合った状態で発射された弾はユーナの眉間に吸い込まれる。
 焦点を失い、虚ろになった瞳のユーナにレックスが語りかける。

「ユーナ……ユーナ、俺の声が聞こえるか?」
「……聞こえる……」
「なんでお前が負けたのか、分かるか?」
「……分からない、ユーナ、分からない…」
「……お前が本当は集落の連中を憎んでいたからだよ」
「そんなッ、そんな事無いっ、集落の、部族の仲間、大事な家族!ユーナ憎んだりしない!」
「本当にそうか?いいか、ユーナよく思い出せ、本当にお前は家族として扱われていたか?皆のお前を見る目を思い出せ、あそこに暖かい家族の愛はあったか?お前を体の良い便利屋程度にしか見てなかった、あの連中がか?」
「ちがっ、そんな事……」
「集落の連中は奇妙なモノを見る目でお前を見なかったか?誰かと心から打ち解けて話をした事はあるか?…………ユーナ、お前に友達はいたか?」
「!………………」
「結局、お互い様さユーナ、連中はお前を憎んでいたし、お前は連中を憎んでいた、そうだろ?」
「……ユーナ皆を……憎んで……いた?……」
「そうだ、ユーナ、その言葉を繰り返せ。繰り返すほどお前は今までで一番満ち足りて幸せな気持ちになる。そしてその言葉はお前の中で真実になっていく」
「……ユーナ……皆を……憎んで……いた…………ユーナ皆を……憎んで……いた……ユーナ皆を……憎んでいた……ユーナ皆を憎んでいた、ユーナ皆を憎んでいた、ユーナ皆を憎んでいたっ、わぁっ、わぁぁっっっ!!」

 レックスの言う通り繰り返す事でこの上ない多幸感を味わっていたユーナだったが、突然記憶がフラッシュバックする。それはかつてユーナが暮らした集落、そこの仲間、ターニャとジルの会話を偶然立ち聞きしてしまった場面だった。集落の中では二人とも年が近く、ユーナはまるで実の姉のように二人を慕っていた。
(姉さん、あたしユーナの事が怖いの……)
(あの力の事でしょ?どうしてあんな事したんだか……確かに気味が悪いわね……)
(誰も頼んでないのに、あんな薄気味悪い力を使って、これからはユーナが村を守るなんて言われても……)
(でもあの子の力は確かに使えるわよ……上手くご機嫌を取って村の為に働かせれば……)
 もうそれ以上聞いていられなかった。ユーナは集落を飛び出し、盲滅法走り始めた。気がついた時には樹齢千年はあろうかという大樹の根元に佇んでいた。
 ユーナが幼い頃、流行り病で亡くなる前の父が連れてきてくれた思い出の樹。ユーナはそこで泣いた。
 思い出した。今日レックスに泣かされる前、最後に泣いた記憶。封印していた忌まわしい記憶。
 ユーナはあれから誰とも積極的に関わろうとしなくなった。

「……あぁっ、あああああああぁっ!」
「落ち着け、落ち着けユーナ!」
「ちがうの、ゆーなはみんなをまもりたかっただけなの、みんなにおせわになってるから、みんなにめいわくかけてるから、だからゆーなは、ごめんなさい、たーにゃ、じる、ゆーなをきらわないで、ゆーなおとなしくするから、みんなのためにいっしょうけんめいがんばるからっ」
 
 部族語はレックスにはほとんど理解出来なかったが、ユーナのパニックの見当はついた。そしてユーナをレックスにしては出来る限り優しく抱きしめる。
 ユーナの体がビクンと震える。

「大丈夫、大丈夫だユーナ。落ち着け、お前は悪くない」
「……ゆーな、わるく、ない?……」
「そうだ、悪いのはお前の村の連中だ。悪いのは力の存在を認めず、平和に暮らすのが一番とかふざけた事を抜かして、ゆっくり滅んでいく道を選ぶ馬鹿どもだ」
「……村の皆が悪い、力を認めないで滅ぶ馬鹿……」
「そうだ。さっきも言ったろ。お前と俺は似てんだよ。手段も目的も違うがな。根っこは一緒だ」
「ユーナとレックス、似てる……」

 だが、とレックスは考える。似ていようが似てまいが結果は一緒だ。
 いや、似ているからこそ反発を招くのはよくある話だ。俺とお前は同時に存在出来ない。俺とお前は同化しなきゃならない。

「いいか、よく聞けユーナ。これから俺が話す事は、お前にとって命よりも大切な幸福だ」
「レックスの話……命より大切……」
「お前は俺の為に生きる。俺の行動はどんな事でもお前の幸せだ」
「……レックスの為に生きる、レックスの行動はユーナの幸せ……」
「俺の言う事、する事に間違いは無い。お前はそれを疑問に思うことも無い」
「……レックスのすることに間違いはない……疑問になんか思わない」
「お前の心も体も俺のものだ。お前はその全てを捧げつくす事が嬉しくてたまらない」
「ユーナの全部はレックスのモノ……捧げるのが、嬉しくてたまらない……」
「お前は一生をかけて俺に尽くす。俺の悦びがお前の悦びだ」
「ユーナ一生レックスに尽くす。レックスが悦ぶ事がユーナの悦び、はぁぁ……」

 ユーナは圧倒的な幸福感に包まれていた。今まで誰にも見せた事の無い陶酔した表情を浮かべ、うっとりと笑みを零す。

「俺がお前の全てだ、ユーナ。……俺の剣になれ」
「レックスがユーナの全て。ユーナ、レックスの剣になる!」
「いままでの言葉を深く頭に刻み込め、ユーナ。……<洗脳>解除」

 <洗脳>の効果がユーナの身体の隅々まで行き渡るのを確信すると、レックスは<恋慕>以外の魔弾の効果を全て解除した。
 ユーナの瞳に徐々に光が戻り、レックスの姿を捉える。
 彼女は可愛らしく微笑むと、突然レックスに飛びついてきた。

「レックス、レックス、レックスぅ」
「……なんだよ」
「レックス、ユーナを捨てないで、ユーナを嫌わないで?ユーナなんでもするからっ、レックスの言う事なんでも聞くからっ!」
「なんでもすんのは当たり前だ。お前は俺の奴隷なんだからな。俺の機嫌を損ねない限り捨てたりはしねぇよ」
「そうだ、ユーナ、レックスの奴隷!なんでも命令して!」
「そうだな、とりあえずあんまり馴れ馴れしくすんな。俺の事はご主人様と呼べ」

 そのことばを聞くなりユーナは飛びすさり、恐る恐るレックスの顔色を窺う。

「ごめんなさいっ、ユーナ調子乗って……ご主人様、ユーナ嫌い?」
「ま、最初だからしょうがねぇな。……おら、仲直りの印だ、舐めろ」

 そう言って素足をユーナの前に投げ出す。
 ユーナは嬉しそうな表情を浮かべるとレックスの足元に急いで這いずり舌を伸ばす。
 これ以降ユーナの精神に足舐めが仲直りの印という事が深く刻み込まれる。
 レックスの足を指の間から何から一心に舐め続けながら、ユーナは思う。
(ご主人様すごく優しい。ユーナが間違った事しても怒ったりしないし、ユーナ本当に幸せ)
 その様子を見ながらレックスは興奮が沸き立ってくるのを感じていた。
(昨日まで俺を殺すとかほざいてた女が、このザマだ。全く便利な力だぜ)
 自分でも痛いくらい陰茎が硬くなっていた。レックスはユーナに最初の命令をだす。

「おい、ユーナ抱いてやる、こっちに来い」

 ユーナはレックスの足の指からちゅぽんと音を立てて口を離し、心底嬉しそうな顔をする。

「ありがとう、ご主人様っ、ユーナの事、一杯可愛がって!」
「さっきと同じじゃ面白くねぇな、髪ほどけよ」

 朝、水浴びさせた時は水を適当にぶっかけて拭いただけだ。多少ほつれてはいるものの、ユーナはまだ三つ編みのままだった。
 気分を変える為なんとなくそう発言したレックスだが、髪をほどいたユーナを見て少々驚く。
 三つ編みの型がつき、毛先にゆくに従って柔らかくウェーブがかかった濡羽色の髪は、華奢なボディラインと相まってまるで人形のようだった。
 ユーナは恥じらいを含んだ微笑を浮かべながら、ゆっくり近づいてくる。そして慈愛と期待を込めた潤んだ黒い色の瞳でレックスを真っ直ぐ見つめる。

「キスをしろ」
「はい……」

 そのキスは昨日までとは違う。まだまだ上手いとはいえないがレックスを悦ばせる為に必死になっているようだ。
 レックスが口を開けると躊躇なく舌を突き入れ舐め回す。

「んちゅぅっ、えろっ、ちゅ、くちゅっ、ぴちゃっ」

 キスをしたままレックスはユーナの胸に手を伸ばす。ユーナは避けるどころか胸を押し付けてきた。そしてレックスの愛撫に身を任す。

「あんっ、あっ、ふぁっ、ご主人さまぁっ、あっ、凄く、ユーナ、あんっ、きもちいいっ」

 充分にユーナの胸を弄んだあと、下半身に手を伸ばしかけたレックスはひとつのアイディアを思いつく。
 姿勢を入れ替えユーナを反対向きにし、尻の割れ目に沿って指を走らせ中指で肛門を撫ぜまわす。

「ひゃんっ、ああっ、ご主人様っ、そこっ」
「なにか問題あるか?」
「う、ううんっ、全然ないっ、あっ、でも汚いからっ、んっ、ご主人様、ユーナの事、嫌いになるっ」
「ならねぇよ、洗えば済む話だ。どうしてもいやなら、止めとくぜ?」
「全然っ、全然嫌じゃないっ、ユーナの身体は全部ご主人様のモノっ、好きに使ってっ」
「そうかよ。じゃ、遠慮なく使わせて貰うぜ」

 言い終わるとレックスはユーナのアナルに指を突っ込んだ。ぐりぐりと乱雑な動きを繰り返し、腸壁を刺激する。

「ふわぁっ、んぅっ、ふぅっ、はぁうっ」
「どうだユーナ、ケツの穴は?」
「んっ、変なっ、感じするっ、あっ、むずむずしてっ、はぁ、悲しいみたいなっ、嬉しいみたいなっ、あんっ、不思議な感じっ、んぁっ」
「ああ、切ないって奴か、俺は感じた事ねぇが」
「せつない?、ふぅっ、せつないっ、んっ、ユーナ切ないッ、ご主人様ぁ、ユーナぁ、切なくてぇっ、あっ、気持ちいいっ」

 レックスはアナルの指を二本に増やしながら、片方の手をユーナの秘裂に持っていく。確かにそこは濡れそぼり、愛液をポタポタと地面にたらしていた。
 これならいけそうだとレックスは判断した。秘裂を弄った方の手で愛液を掬い取り、自分のカウパーと混ぜ合わせ陰茎に塗り、潤滑油代わりにする。

「ユーナ、四つん這いになってケツを高く上げろ。お前のケツの穴にいれてやる」
「ご、ご主人様、ごめんなさい、ユーナ怖い……」
「ま、気持ちいいもんだから心配すんな。……いや、最初は痛ぇかもな。でもまぁ気にすんな、何事も我慢だ」
「……ごめんなさい、ご主人様、ユーナ我が侭言った。ユーナの身体、全部ご主人様のモノなのに……。ユーナ我慢する!ユーナは勇者でご主人様の剣!ご主人様の好きなようにユーナの身体使って!」
「その意気だ。いいか、ゆっくり息を吐け……入れるぞ」

 そう言うとレックスはユーナの肛門に挿入を始めた。入り口の狭さは膣の比ではなかった。メリメリと音を立てそうな菊座にレックスの剛直はゆっくりと飲み込まれていく。
 入り口さえ潜り抜ければ中は膣よりやや広く感じる。腸壁の襞の絡みつきは膣内とはまた違った快感をレックスに与える。

「はぁっ、はぁっ、ふうぅっ、ふぅっ、はっ、はぁっ」
「どうした?苦しいか?」
「だっ、大丈夫っ、はぁっ、ユーナ、はぁっ、全然っ、平気っ、ご主人様、動いてっ、はぁっ」
「絶対屈しないって奴か……はは、じゃ、遠慮なく動かさして貰うか」

 レックスはゆっくりと抽送を始める。肉襞が絡みつき肛門が陰茎を締め上げる。初めは動かすのもやっとだったが、やがて腸壁が滲み出してきた体液が陰茎の出し入れをスムーズにする。
 それに伴い最初は荒い息をつくばかりだったユーナにも変化の兆しが訪れる。

「はぁっ、あっ、ふぅっ、んっ、あはぁっ、んっ、ふぅっ」
「まだ苦しいか?ユーナ」
「んっ、平気っ、ご主人様、ユーナの事なんか気にっ、しないでぇっ、それにっ、あんっ、もうあんまり、ぁはんっ、くるしくなっ、いぁっ、あっ」
「そうか、ならもうちょっと派手に動かすか」
「んんぅっ!はぁっ、あんっ、きもちいいっ、ごしゅじんさまっ、あっ、ユーナ、おかしいっ、おしりの穴なのにっ、きもちよくてぇっ、あぁんっ、こわいよぉっ、あんっ、きもちいいっ」
「お尻の穴、じゃねぇ。ケツマンコだ。てめぇのケツマンコに腹一杯ぶちまけてやる。嬉しいか?」
「うれっ、嬉しいっ、あっ、ごしゅじんさまぁ、のぉっ、せいえきぃ、ユーナの、ケツマンコに、だしてぇっ、あはぁっ、イクっ、ごしゅじんさまぁ、ユーナ、あんっ、イっても、いい?はあんっ」
「ああ、イってもいいぜ。俺もお前の中に出してやるっ、イクぞっ」
「あぁんっ、イクっ、ごしゅじんさま、ユーナ、もうイクっ、あっ、ああぁっ、イクぅぅっ!」

 絶頂を迎えたユーナにレックスは大量の精液を注ぎ込む。ユーナの顔にはだらしなく笑みが広がり、口元からは涎が流れていた。

「はぁぁぁ、ごしゅじんさまのせいえきいっぱいぃ、ユーナしあわせぇ……」

 ユーナは心の底から満ち足りていた。自分を本当に必要としてくれる人が出来た。それはユーナにとって何よりも素晴らしい事だった。
 レックス……ご主人様。これからは彼の為だけに生きていけばいい。ユーナは戦士として固く心に誓う。
 ご主人様の敵は自分の敵だ。向かってくる敵は皆殺しにし、命を懸けてご主人様を守り抜こう、と。

エピローグ

 どさりと音を立てて荷物が投げ出された。ランプに明かりが灯されようやく人心地がつく。
 レックスとユーナは郊外にあるボロボロになった牧場にやって来ていた。当然住んでいるものは誰もいない。
 入り口のゲートには、傾いて何とか最後の力を振り絞って垂れ下がっているだけの看板がぶら下がっていた。
 ユーナには読めなかったが、レックスが【オークランド牧場】と読むのだと教えてくれた。
 レックスはここに何かの目的の為やって来たらしいが、ユーナにはその目的は知らされていなかった。
 ユーナはどうしてもその目的が知りたかった。
 表向きは情報を全部知っていたほうが、レックスが守りやすくなる為だと自分を納得させていたが、実のところ自分が知らないのはレックスに頼りにされてないのだと考えるのがとても恐ろしく、寂しかったからだ。意を決して訊いてみる。

「ご主人様、ここに何の用?」
「ああ?……ちょっと昔の知り合いに会いにな。後はお前と会うきっかけになった野郎の女ってのも目的だな」
「……女?」
「ああん?何だお前、いっちょまえに嫉妬してんのか?」
「!ちがっ、ユーナそんなのしてない!ちょっと気になっただけっ」
「心配すんな、俺が女を道具としてしか見てねぇのは知ってんだろ?奴隷に上も下もねぇ。皆、平等って奴だ」

 ユーナはその答えにほっとする。もちろんその奴隷の中にはユーナも含まれる訳だが、そんな事は問題では無い。
 なぜならユーナは奴隷だからだ。ユーナは奴隷の自分に絶対的な誇りを持っていた。奴隷ならばレックスの側にいられ、レックスの為に生き、レックスの為に死ねる。
 こんな素敵な事が他にあるはずがないし、他に望む事など何もない。

「さて、ちょっとは片付けるか。埃が半端じゃねえな。結核になっちまう」
「分かった、ご主人様。ユーナ手伝う!」

 普段人に見せない満面の笑顔でユーナは答える。
 愚かな人間しかいない故郷を捨ててよかった、ご主人様に巡り合えて本当によかった。

 全てはこの時の為にあったのだ、ユーナは自分の幸運に心から感謝するのだった―――――。

< 完 >

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