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『お願い、探して!』
学校の帰り道。
路上に見慣れない白い四角の箱が落ちていた。
『いきなり何ですか? 石丸先生』
俺はそれに近づき拾い上げる。すると箱の裏には蓋のようなものがついていた。
『今開発中の試作品を無くしちゃったの。何処かに落としちゃったみたい。あれが悪用されると大変なことになるのよ。お願い探して!』
それを開けてみると、中には二つに折り畳まれたメモ用紙と、これまた二つ折りにされた一台の白い携帯ゲーム機みたいなものが入っていた。
『何でそんな大事なものを……。いったい何処に、心当たりは無いですか?』
僕はそれに興味を惹かれ、それを手に取り、縦に開いてみた。
『それがわからないの。気づいたら鞄が開いていて、中を確認したら、それだけ無くなっていたの。何処かに落としたのかしら? もしかしたら盗まれたのかもしれない』
すると、勝手に画面が起動し、文字が表示された。
【登録してください(あと一名)】
『はぁ、困ったな……。それで、いったい今度はどういう代物ですか?』
「どうしたの?」
「あ、千鶴。ちょっとね」
『あれはまずいの。こう、見た目は一見DSみたいな形をしていてね。ただのゲーム機みたいなのだけど、中身はとんでもないの。開くと対象の登録認証が始まるようになっていて』
【早乙女千鶴、こちらの方で宜しいですか?】
(え、なに?)
僕は少し驚きながらも、思わず親指に触れていた決定ボタンを押してしまった。
『誰でも一人に自由に登録することができていてね。そのとき自分の名前を登録してくれたらまだ良いのだけど、もし他の人を登録してしまった場合』
【登録しました】
「え、なに?」
するとそこには、彼女の姿が映し出された。
『その登録した人の身体を、好きに作り変えることができるの』
―――○○な彼女シリーズ=画面越しな彼女―――
(何だろう、これ)
「どうしたの? 哲也、ぼけぇっとしちゃって」
長い髪を後ろで縛り、眼鏡をかけている彼女。彼女の名前は早乙女千鶴(さおとめちづる)、身長153センチ、47キロ、お尻安産型、ん? 何でそこまで知っているって? これからわかるよ。性格は少しおっとりしていてスタイルはぁ……っていまは良いか、これからを考えると微細な事だ。実は幼い頃からの知り合いで家も近い。
「ああ、これ何だろうなあって」
「これって、どれ?」
「見えないの?」
不思議に思い、彼女の前に持っているモノを上げる。
「その手がどうかしたの?」
「ああ、いやなんでもない」
どうやら、それは俺以外には見えないらしい。
その後、俺はそれを鞄の中にしまうと、そのまま彼女と一緒に帰宅した。住宅街にある彼女と俺の家は隣同士で、二階の俺の部屋からは、彼女の部屋を覗くこともできた。
小さい頃はよく窓越しに話していた事もある。しかし、最近はそういうことは一切せず、道端や学校で会うと少し話す程度の関係になってしまった。互いに色々変わってしまった、顔なじみだからといって、いつまでも同じ関係が持続するわけではない。
その後、家の前につくと、挨拶をかわし、彼女とは別れた。
―――自室にて―――
帰ってきてから、自分の部屋で横になると、早速拾ってきたモノをもう一度開いてみた。
すると、画面には彼女の部屋に私服で髪留めを外し、床にごろんっ、と転がりながらマンガを読んでいる千鶴の姿があった。
そして、とりあえず画面に触れてみたのだが、そしたら画面が千鶴の顔に近づいた。
いや、正確には千鶴の顔をアップで映し出したのだ。鼻の穴やほっぺたの汚れもくっきり見える。毎日ちゃんと顔を洗っているのだろうか。
もしやと思い画面に色々触ってみたら、千鶴を様々な角度、位置、大きさで捉えることができた。更に上手く調整していくと、千鶴の服の中も、下着の色や特徴も、肌の細かさも、秘所も、全て覗くことができた。
なので、俺は当初この機械? は、登録した相手を24時間好きな位置、角度からいつでも監視できるのかと思っていた。
しかし、メモを見て更に解釈が変わる。
内容は纏めると以下の通りである。
搭載済み。
上下反転、サイズ変更、内部視認、衣服画面微調整、画面着脱、肉体修正、両性、趣味、特技、食物嗜好、好きな事、その他対象により随時追加される場合を確認。
微少の思考盗聴成功。正し不安定、不具合多く不十分で信頼に欠ける。今後要調整。
肉体修正は大幅な変更は危険、人体に危険を及ぼす場合有り、確認済み。
両性は現在調整中、実験は慎重に行う必要有り。
___以上である。
正直まさかと思ったが、画面とボタンやら十字キーやらを色々操作していくうちに確信に変わった。
画面には千鶴以外に、彼女の事が縦長に表示されている。それを下にスクロールさせていくと順に、名前、生年月日、体重、性別、スリーサイズに肌の色、髪の色、長さ、特徴、身体の特徴、腋毛や体毛の量、はては臭いについての項目まであった。更に身体についての記載が終わると、その後に両性欄というのがあり、その先には彼女の趣味、特技、好物や嫌いな食べ物が記載されていた。その先にも色々記載されているのだが、その量は正直当の本人が見たら恥ずかしくて卒倒してしまうくらいの情報量だった。
そして、気づいたこと。
まず画面の彼女の服に軽くタッチして、そのままずらしてみると、衣服がはだけていく。
それだけでなく、服に触れたまま決定ボタンを押すと、それを画面から消すことができた。それをどんどん繰り返すことで、部屋に全裸で横たわりながら普段通りに読書をする千鶴の図が完成した。
正直少し悪いような気もしていたのだが、画面の中の彼女の反応から、あくまでこちらの画面の中だけの事だと思い、少し安堵、そしてがっかりした。
しかし、スリーサイズの項目をいじったところで、事態は変わる。
そこにはB83、W57、H78と書いてあった。
更にそこに文字入力が可能だったので、興味本位でBに1追加して決定ボタンを押してみた。
すると恐ろしいことが起きた。
「ん、ん、ん? うわっ! え、え、え? な、何これっ?」
突然の事態に画面の中の千鶴が驚きの悲鳴をあげた。
見ると彼女の胸がムクムクと凄まじい速さで大きくなっていったのである。そこで俺は、慌てて1を消して決定ボタンを押した。
すると、彼女の胸は、一瞬で元の大きさに戻り、彼女はそのままとすっと床に落ちた。
「な、なに今の?」
どうやら画面越しに彼女の話し声まで聞こえるようだ。便利である。
そして、今ので、書き換えた事が、おそらく本人にも影響ある事が判明した。
更に、衣服を元に戻してみてわかったが、胸の周りがあまりの大きさで破けてしまっていた。ブラも前と後ろが左右に外れ、彼女の左右横に落ちていた。正直彼女に少し悪いことをしたような気になったのだが、これはあくまで画面の中の千鶴であって、現実の千鶴には効果が無いのではないかと思った。それならそれで、好き放題できるのだが、影響があるのか無いのか、俺は気になった。窓を見ても彼女の部屋はカーテンが閉められていて中が見えないし、わからない。まあそれも、次の日の学校で判明するのだけどね。
話変わるけどお互いに誰かが見ている場所で実験をしなくてよかったと思う。
以後、俺は肉体の大幅な変更は危険と肝に銘じて、二度と同じことはしないと誓った。
ただ大幅で無ければ良いのだろうと思い、その後もあれこれ弄ったのは言うまでもない。
折角手に入れた特殊なアイテム。落とし主には悪いがもっと使ってみたい。その後俺はその機器に没頭していくことになる。
___以上で俺からの淡々とした説明は終わり。この後他にも弄って色々大変なこともあったのだけど、それは今後のお楽しみということで、よろしく。
……しかし、バスト831、一度触ってみたかったなあ……。
―――1週間後―――
はじめまして。
私、早乙女千鶴と言います。
これでも結構ふざけた事大好きなのですが、周囲からは少し地味だとか、真面目すぎるとか、しっかりしているって言われます。
この間なんて私が少しボケただけで男子生徒から『大丈夫?』って言われました。
これってどういう意味でしょう? 失礼だと思います。
(いや、きっとみんなギャップに驚いただけだと思う)
そんな私ですけど、最近、色々変わりました。順番に話していきますね。
私六年制の学校に通っているのですけど、今は学校のロッカーで、着替え中です。それで、少し気になったことがあります。
身体のほうですが、どこか今までと違うような気がするんです。
着ていた服も胸の辺りが最近少しきつくなったような気がします。
(勿論、身体は俺の仕業だけどね、心が読めるって酷いけど便利で良いよね)
あ、ちなみにうちは全員に個別ロッカーがあって、登下校は制服。室内は学校指定の服に着替えることになっています。でも着たい服か個人で私服の申請をして、許可が降りれば他の服を着ることも可能です。
その為、中には学校生活を私服で行っている生徒もいます。
(そう、何故かあるの、そのシステム。不思議)
わたしは申請を出していないので、胸に学校の校章が入った白い襟付きの洋服と、黒い生地に縦横に金色の線が入っているスカートを着用しています。
(勿論俺も申請していないので学校指定の授業服)
「どうしたのだ、千鶴殿。顔色がさえぬぞ」
「あ、静さん。いえ最近少し太ったかなって」
(静さんいるの? 今着替え中? ああ、声だけじゃなくて他の人も映ったらなぁ)
彼女、静さんですが、一つ上の先輩で、例の申請をされている一人なのですけど、今日の静さんは華やかな和服ですね。いつも和を感じさせる格好なのですが、今日のは、身体の輪郭線は肩と腰だけに現れ、他の部分はほぼ平面的に覆い隠されています。でもとっても綺麗で、正に大和撫子ですね。
(何だ、もう着替え終わっているのか、残念)
静さんは先輩って呼ばれるのが大の苦手らしくて、いつも後輩の方には他の呼び方を強要しています。頭の回転も速く成績優秀で、詳しくは知りませんがある流派の免許皆伝らしくて運動神経も凄いです。先生や生徒の間でも評判が高く人気者。静さん本人は気にしていませんが、男女ともによく憧れの目で見られたりしています。
(そう、何せ隠れファンクラブがあるくらいだからね、俺も静さん大好き、綺麗なだけでなく胸大きいし、万能だし、何より)
「ぬぅ、お主がそのような事で嘆いておっては、皆が泣くぞ。お主の守護霊も後ろで『我が姫がご乱心なされたぁ、ご乱心なされたぁ』と酷く嘆いておるではないか。安心せいっ。そちは寧ろもっと肉をつけた方が良いと思うぞ。それに、あまり身体を酷使させるべきではない。あまり守護霊を泣かせるものでもないぞ。守護霊殿も困っておるではないか」
「あはは、わたしの守護霊、ほんとにそんなことしているんですか?」
「うむっ。更にお主の霊はこう囁いておるぞ『千鶴よ、わしの言葉を伝えた偉大にして崇高なる静殿には、丁重に感謝と御礼の贈り物をするよう、努々忘れるではないぞ。しかるに御礼は駅前のパン屋さんで今朝新発売されたという、チョコアーモンドドーナッツがよかろう。彼女のために、帰りに買って差し上げるがよかろう』とな……。そういうわけで千鶴殿、帰りに奢っては貰えぬか? 今朝見かけたときから無性に食べたてみたくての。今は闇夜の住人に財布の中身を渡してしまい懐が寒いのだ。一つで良い、頼む。わしを助けると思って恵んでは貰えぬか? この通りじゃ」
(これ! この独特の感じ。突然仰々しく話し出したり芝居ががった口調になったり、そうかと思えばひょうきんになったり、おどけてみせたり、本人は好み分かれるって言っていたけど、個人的に大好きだ)
「あははっ。良いですよ。3つくらいで良いですか?」
「ま、まことか、お主」
「はい、帰りですね。校門の前で待っています」
(俺で良ければ100個でも奢るのになあ。ファンクラブの連中がこれを知ったら店ごと買い占めるかも、奴らの行動力は凄まじい)
―――そして廊下にて―――
いつも思うけど、静さんって凄く綺麗な人です。胸も大きいし、大人気なのもわかります。ロッカーを出てからも、静さんと一緒に歩いていたら、静さんの胸が気になってしまって、歩きながら少しじっと見てしまいました。
「ぬ? どうした、わしの胸に何かついておるか?」
「いえ、大きいなぁって」
「左様か? いつも言っておる気もするが、あってもあまり良いことは無いぞ」
「いえそんなこと無いですよ。私ももっと大きかったらなぁって思います」
(そう? なら大きくしてあげようか)
「そうか? そういうお主も……ぬ?」
「えっ? きゃっ!」
あれ、私の胸、こんなに大きかったっけ、何か重いと思ったら、何これ!
(93にしてみた。これなら十分大きいに入るだろう)
「すみません。これで失礼します! では放課後!」
「あ、うむ。では、放課後にな」
そういうと私は無性に恥ずかしくなり、胸を抑えて慌ててトイレに向かいました。
「…………ふむ」
そしてわたしはトイレに入って、急ぎ鏡に映っている自分の姿を確認しました。
すると、胸がやっぱり大きく膨らんでいました。服が少しきついです。
恐る恐る触れてみましたけど、間違いなく自分の胸ですね。
うわぁ、ほんとにこれが私の胸……? 大きい。静さんにも負けてない、かな? 凄い……。不思議だなぁ。何でこんな風になるのだろう。最近、不思議なことばかり起きる気がするよ。この間の授業中だって、突然大きくなったし。
(そう、あれ俺も驚いた)
そうだ折角だし、少しくらい……良いかな。
私は、突然大きくなった胸が気になって、そのままトイレの個室に入りました。
中は結構広くて、お湯がでたり、消臭できたりと、色々便利ですよ。私は鍵をかけて鞄を棚に置くと、下着をずらして座りました
(おいおい、いまやるつもりか?)
そして、上着の中に手を入れると、ブラをずらし、その胸に直接触れてみました。
「んっ、んんっ、ふぅっ」
私、最近オナニーが趣味なんです。
一週間前から好きになりました。
いつも弄っているうちにどんどんとまらなくなります。
今は大きくなった胸に興味がわいたから早速してみたいなって、良いよね、少しくらい。
(困ったな、俺まだ移動中だよ。せめて俺もトイレ行かせて)
くちゅっ。
やだ、もう濡れてる。最近早いなぁ。心なしかいつも濡れているような気がするよ。
(だってそうだもの)
「んっ、ふぁっ……ぁんっ……」
ほんとに大きくなっている、柔らかい。マシュマロ? もう手におさまらないよ。すごいなぁ……あ、乳首たってきちゃった。何か変な気持ち……手が止まらない。急がないと、また朝のホームルームに遅れちゃうよ……。どうしよう……早くやめないと、いけないのに……っっつ!!
(遅れて良いよ。それよりじっくりやってね)
「ふぁっ、あっ……んむっ……ちゅっ……ぅみゅっつ……」
ああっ、気持ち良い……これおっきい胸……悪くないかも、凄く気持ち良い、おまんこもぐちゅぐちゅになってきた。え、恥ずかしい? そんなこと無いよ、誰も見ていないし、聞いてないよ。それにおまんこって言った方が私も気持ちいいから。
「あっ、はぁんっっつ!!」
いけない、大声あげちゃった。静かに、バレないようにしないと、んっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、あぁ……ぁ……ぁ……あ……あっ……ぁあっつ!!
私の座ったまま声を殺して胸とおまんこを激しく弄りながら、全身を震わせました。
すると、おまんこからこぽこぽと愛液が溢れ出してくるのを感じました。
ぴしゃぁっ。
あ、やだっ。またしちゃった。最近緩いのかな? イったあとはいつもこうだよ。
痙攣したときにおしっこがでちゃった。止まらないよ、もう。
あっ、んっつ……ふぅっつ。最近おしっこをだすのもかなり気持ちよくなっちゃったなあ。わたし、もう完全にヘンタイさんの仲間入りかな?
結局、ホームルームは遅れちゃった。
(こっちもいろいろ間に合わなかった、トイレには入れたのに、くそう)
―――そして放課後、帰り道―――
静さんと二人での登下校。静さんはいつも誰と帰るとか特に決まっていないようです。
帰りの静さんは制服姿になっていました。
申請がある生徒なら登下校も自由なはずだけど、静さん偉いなぁ。
「どうした千鶴殿。顔があまりさえぬぞ」
「いえ、大丈夫です」
何しているのかなぁ、わたし。
大きい胸があまりに気持ちよかったのと最近オナニーに嵌っちゃったせいで授業中も休み時間も弄りたくなってきちゃった。おかげで今日だけでもう十三回はイっちゃったよ。
パンツはびしょびしょで穿き替えるしかなくなっちゃったし。
あ~、替えの下着持ってきておいて良かった。最近いつも五枚入れているの。これでも足りないくらいかな。
でも何かスカートの中が切ないよぅ。何だろう。また弄りたいのかな。
「そうなのか。良ければ相談にのるぞ。何か悩み事を抱えているようであるが」
「いえ、ほんとに大丈夫ですから」
(思ったけど、今アレをしたら、もしかして?)
「左様か。実は懐が寂しいのであれば遠慮は要らぬぞ」
「いえ、ほんとに問題なっ……くはぁっつ!!」
この感じ! くるっ!
「千鶴殿? どうした?」
「すみません! 少しそこのトイレ行ってきます!!」
「あっ、千鶴殿っ!」
私は静さんに目もくれず、一目散に近くの公園のトイレに駆けだした。
そこは男女分かれているけど、中は汚い和風トイレ。
でも私はそんなの構わず急いで中に入った。
「はぁっつ! きちゃうっ! んっつ! っくるっつ!!」
私は部屋に入ると、息を乱したまま、下腹部に意識を集中しました。
下腹部に込み上げてくる熱くて独特な感覚……アレがくる……。
私はトイレの中に入るとその場でドアノブを後ろ手に閉めたままソレが現れるのをじっと身悶えしながらまった。
……ひぁっつ……ふぁっ……やぁっ!!…………はぁ……きた、おちんちん。
正確に言えば違うかもしれない、私のそれはクリトリスが大きくなったものだから。
(いや、それはペニスです。それも、俺のペニス)
こんなところ、静さんに見られたら……どうしよう……。
(寧ろ見られてよ。そのあとを期待していたのに)
「千鶴殿、ご無事か?」
やだ、外に静さん! どうしよう! どうしよう! これいつも突然なくなるの。自分では治せない。どうしよう、どうしよう、どうしよう。
(うーん、これじゃ失敗かな?)
「どうしたのだ? 失礼とは思ったのだが用を足しているとは思えなかったので声をかけてみたのだが、何か身体に異変でも起きたのか? 腹部の辺りか、何があったのだ?」
(静さん鋭いなぁ)
どうしよう! どうしたの! 帰ってもらう?! なんでこんなときに! 折角静さんと一緒なのに! どうして……私の身体、なんでこんなにおかしくなっちゃったの?
(…………)
やだっつ! ……くすん。どうしてこんなことになるの。何でよ。わたしおかしいの? ねえどうしたらいいの? ねえっつ!!…………………………、あれ、クリトリスが…………もとに戻っている。
「千鶴殿、どうした? 泣いて、おるのか? 辛いか? 痛むのか? 千鶴殿?」
「あ、静さん。ぐすっ、大丈夫です。今、開けますから」
やだなぁ、私いつのまにか泣いちゃった。恥ずかしいなぁ、きっと凄い顔しているだろうなぁ、静さんに情けないところ見られちゃう。
ガチャッ。
「あ、ちづっ……千鶴殿! どうしたのだ、その顔。何か、悪いことでもあったのか? どうした? 辛いのか? 千鶴殿?」
何だろう、静さんの心配そうな顔見ていると、自然と胸に飛びつきたくなった。
なに泣きじゃくっているのかなぁ、私。恥ずかしいなぁ、だめだなぁ。この程度のことで、こんなに迷惑かけちゃって。何しているんだろう。かっこ悪いなぁ。
「千鶴殿。言いたくないのならばそれでも構わぬ。何があったかはこれ以上詮索はしない。じゃが、辛いときは無理せず終わるまで泣き続けたほうが良いぞ。思い切り泣いたほうが、あとは晴れ晴れとするものだ」
あ、静さん私の頭撫でてる。優しいなぁ。それにあったかい、まるでお姉さん? ううん、お母さん。甘えちゃっているなぁ、だめな私。ほんと、何やっているんだか。
「わしも辛いときは泣くものじゃが、最近わかったことがあっての。そういうときは、そばに誰かがいてくれた方が安心するということに」
静さんでも泣くの? そのときそばにいた人って、やっぱり好きな人かな? どんな人なのかなぁ。人気あるけど、やっぱり誰か想う人いるのかなぁ……。
その後私は、三十分以上静さんの胸の中で静かに泣き続けた後、静さんと一緒に駅前に向かった。途中静さんはいつもと変わらない態度で明るく和やかに飄々と、何だろう。とにかく楽しかった。そして駅前のお店によると、ドーナッツを買って、私達は帰りました。
何であんなに泣いちゃったのか、今でも不思議。でもやっぱり恥ずかしかったなぁ。ありがとう、静さん。それと、心配かけてごめんなさい。
(…………俺も、ごめんな)
―――そして、夜―――
『やぁっつ……はぁっつ! ひゃあんっつ!!』
ほんとさ、何しているのかな、わたしは、静さんに慰められた後だって言うのに。
今、私は自室の机の上のノートパソコンを起動しているのだけどね。
『ふぁあっつ! あぁっつ! ご主人様ぁっつ! ご主人様のおチンポッ! とってもっ! すごく熱くてっつ! ふとくてっつ! 気持ちいいですっつ!!』
見てわかるかな?
エロゲーです。
それも私、奴隷・調教物とか、あと触手物や鬼畜系にハマっています。
(ちなみに、俺は確かに調教物だけは趣味の欄に追加したが、何故か奴隷と触手、更に鬼畜があとからついてきた。元々彼女の潜在意識にあったのだろうか)
便利な時代ですよね。最近はこうして、ネットに繋げるだけで購入できちゃいます。お店に行くのはさすがに恥ずかしいけど、こうしてネットショップで購入できるおかげで品物には困りませんでした。お店に直接出向かないと手に入らないものもありますけど、今はネットのもので十分ですし、我慢しています。一人暮らしになったら通販で買おうかな。
『ふぁぁあっつ!! きもひよすぎて……しんじゃうよぉ……』
でもさ、この使い方、変わっているかな?
(変わっていると思う。正直、少し予想外だったから)
『きも……ひぃぃぃ……しょくひゅぅ……しょくひゅちんぽぉ……あひぃ……』
これ私の、今夜の夢のオカズです。
(そう彼女、夢を見るのが上手みたいで、今見たシチュエーションを夢の中に完全に再現することができるみたい。それでエロゲーを見ていても別に何処を弄るでもなく黙々とクリックを続けるから、正直驚いたよ。彼女、見ているだけじゃ感じないみたい)
はあ、あ、場面変わったからセーブしてやめよう。
さてと、そろそろお風呂行こうかな。
(お、きたか。俺も風呂行こう)
―――風呂場にて―――
さってと、さっきは泣いちゃったけど、来るかな?
(もちろん、行くよ)
ふぁっつ。ぁっ、熱いものが込み上げてくるこの感じ、きた、きたっ、きたっつ!!
にゅるっ。
ふぁっつ、はぁはぁ、また大きくなったよ、クリトリス。
これも一週間前からなの、はじめてこうなったのは教室での授業中だから困ったなぁ。
(そう、あれは授業中、両性についてのところをいじっていたとき、ふたなりって言葉があったのさ、それで面白そうだからね、その項目をONにした。そしたら特徴や大きさ、長さを聞いてきたのね。正直面倒だなと思って、駄目元で俺と全く同じって書いてみたんだ。するとさ、俺のペニスに何か刺激的な物が当たる感触がしたの。何かわかる? 彼女の下着。驚いちゃったね、全く同じって書いたら、まさかこんなことになると思わなかったよ。彼女も驚いたみたいでさ、どうしようか戸惑っていたね)
それでね、驚いちゃったけど、誰にも言えないから、怖かったけど少し触れてみたの。
(でさ、彼女の下着の中だってわかるとなんか異様に興奮しちゃってさ、慌てて先生に断ってトイレに向かった。あ、説明遅れたけど彼女と俺は同じクラスだからね。それでさ、トイレに入って、その感触を味わいながら抜くことにしたんだ。すると画面の中の彼女は、それに指を触れたの。突然女性の手が触れてきたんだ。そりゃ感じちゃうよ。でね、驚いたのは、彼女も気持ちよさそうに身体を震わせていたんだ。恐ろしい効果だと思ったね)
そしたらビクって変な気持ちになったのだけど、その後触れてもいないのに何かにつかまれて激しく上下にこすられている感じかな。はじめての刺激だけど気持ちよくって、同時に不安だった。だって授業中だよ。こんなところでこのまま続けたらどうなるんだろうって。
(瞬間、俺も少し困ったよ。彼女と俺のペニスの全ての感覚を共有している。凄いと思ったけど、このままイくと、彼女の方からも射精してしまうんじゃないかって。そしたら彼女はクラスで精液をだすことになっちゃう。正直困ったんだけど、少ししたら彼女も動いたんだ)
それで、仕方ないから先生に一言言ってから、トイレに行ったの。
恥ずかしかったなぁ、立ち上がったとき、歩いているとき誰かに気づかれていないか不安で仕方なかったよ。
それで個室に入って鍵をかけると、すぐに下着を脱いでそれを視認したの。
びっくりしたよ、わたしのクリトリスがこんな形になるなんて。
(彼女がトイレに行って俺も助かった。けど下着を脱がれたのは少し残念だった。でもこれって気持ちも共有していたのかな。彼女は意外な反応にでたんだ)
それでね、何故かわからないけど、パンツが触れていたときの方が気持ちよかった気がしたの。それで、自分の下着をつかんで、大きくなったクリトリスを包んでみたの。こんな感じにさ。んっつ、そうこの感じ!!
(うぉっつ、きたっつ。いやぁあの時も正直気持ちよかったね。最高だった。彼女包んだだけで終わらずしごいてくれてさ、一回目の射精にそれほど時間はかからなかった)
ほんとに気持ちよくってさ、手が止まらなかったの。今みたいにね、はぁっ、そしたらさ、突然クリトリスの奥から何かが込み上げてくる感覚がして、その後、先端から白い液体がでてきたの。
パンツの中にべっとりとでてきちゃってね。びっくりしたよ。私の中からこんなものがでてくるんだって。でもね、それで終わらなかった。
(正直自分でパンツが動かせなかったのは歯痒かったけど、自分でペニスを動かしてみてもパンツにこすれる感触があったのは嬉しかったね。そのまま何度もしちゃってさ。凄かったなぁ。今じゃ千鶴も気持ちいいのか自らこすりつけてくる、今みたいに)
結局、授業が終わるまでずっといじっちゃっていたかなぁ。
皮のあたりとか、なんていうんだろう、裏のあたりがこすれると気持ち良いの。あと皮のめくれたところも。何度したかよく覚えてないなあ。
パンツも手もべちょべちょでね、仕方ないから……ぁっ……その日は体操着の下を履くことにしたの、でもその後も大変でね、自分の体操着なのに気持ちいいっておかしいよね。でも、それで次の時間の授業中、しばらく悶えていたら突然クリトリスは元の大きさに戻ったの。安心したけど少し寂しかった。でもね、その日の夜、お風呂に入ったらびっくり。
(正直その後も気持ちよかったさ、だけどあまりに気持ちよさが継続するからさ、ふたなりの欄をOFFに戻した。すると彼女の履物の感触は伝わってこなくなってほっとしたよ。でもさ、こんなことできるとわかったらまたしたくなると思わない? 俺は彼女がお風呂に入るのを見計らい、またふたなりの欄をONにしたんだ)
そしたらまたクリトリスが大きくなったの。でもそこは昼間の教室と違う。誰も見ていないお風呂場で、汚してもすぐ洗い流すことができる。ここならいいかなと思ったのね。
(そしたら彼女、予想以上に積極的に弄りだしたんだ。正直そりゃあもう気持ちよかったよ。彼女の手でされる感覚ってまた良くてね。彼女もどんどん上手になっていって、正直その日だけで何回出したかわからない。とにかく最高だった)
それで触ったらびくびくって凄い脈を打っていて、気持ちよかったなぁ。それで何度もこすったり弄ったり、何回したかわからないくらいだしちゃった。最高だったよ。
(そうそう、それで俺はそのとき、咄嗟に好きな食べ物に精液を追加しておいたのさ)
そうそう、それで一杯でてきた白い液体だけどね、あれってやっぱり男性の精液と同じなのかな、舐めてみたけど美味しいの、そう凄く美味しくてさ、クセになっちゃった。
今じゃだしたら必ず飲んでるよ。
うわっ、またでちゃった。正直一度コップで受けたいんだけど無理かなぁ。一度にごくごくって、あむっ、ちゅるっつ、んっ……やっぱり美味しっ♪
(画面の千鶴が飲んでいる姿ってまた良くてさ、しょうじき凄く抱きしめたくなる。でも、これは画面越し、快感を共有していることだけで我慢しないといけなかったんだ)
思いきってさ、彼氏でもできれば一杯飲み放題何だろうけど無理。私魅力ないから、それに、私だって誰でも良いってわけじゃないもの。贅沢な私。でも良いの、自分のオチンチンからでてきた精液でも、こんなに美味しいから。何? オチンチンじゃ変? 良いでしょ。これは私のオチンチンよ。それに誰も聞いてないし、オチンチンって言った方が、私も興奮できるし、気持ちよくなるの。だからこれで良いの。
(どんなに思っても画面越しの相手、直接触れることはできない。それでも俺のペニスを弄って気持ちよくなっている彼女の痴態が見られるし、一杯弄ってくれる。俺は満足だ)
さてと、まだできるよね。昼間は私を泣かせた罰として、思い切りいっちゃおう。
(ああ、思う存分射精してくれ。俺は喜んで待っているぜ)
その後も私は、自分の下着や洋服とか靴下とか、自分が着ていた物で気持ちよくなるって変だけど、正直何度イったかわからないけど、大きくなった胸を何度も弄ったりしながら、何度も何度も射精してその場でぐったり横になるくらい疲れ果てるまで弄ってしまった。するとおちんちんも、元の大きさのクリトリスに戻った。
いっそ夜中にまた大きくならないかな、ふたなりものでも見つけて夢精しちゃうのに。
(ほんと? なら夜はふたなりONのままにしちゃおうか)
根拠なんて無いけど、こう思っていたら本当に夜にまた、クリトリスがおちんちんになるんじゃないかって気がしたの。なんとなくだけどね。
その後わたしは、シャワーで身体と浴室を綺麗に洗い流し、浴槽に十分つかってからお風呂場を後にした。
ちなみに、この後ふたなり物を少し読んで、そのまま眠ったのは内緒。
勿論期待通りにおちんちんになってたよ。
(結局俺は、その日はONにしたまま眠った。ただ、夢精するのは明らかなので、少し眠り方に気を使ったけどね。いやぁ、凄い一夜だった)
―――そして、数週間後―――
(その日、俺は彼女の行動力に驚愕した)
わたし、ほんと何しているのかなぁ。
最近ずっとクリトリスがおちんちんのままで、どんどんエスカレートしちゃって、だからってこんなところに静さん呼び出すなんて……早くこないかなぁ……。
「お、ここか。待たせたの、千鶴殿。こんなところに呼び出して、一体何事かの?」
きた静さん!
今日は巫女さん姿ですね、やっぱりとっても似合ってます。
(そこは、放課後の屋上裏の用具置き場、屋上自体元々鍵がかかっていて普段は入れないのだが、その日は俺がこっそり鍵を持ち出して、予め開けておいたのだ)
放課後、屋上に来てほしいって静さんに頼んだの。それで制服に着替えて来てみると、偶然鍵があいていたのね、ほんとは屋上の前で良かったのだけど折角だから、誰にも見つからないようこの部屋に入って待つことにしたの。ああ緊張する。どきどきしてきた。
「じ、じつは相談したいことがありまして、その、誰にも、見られたくないんです」
「む、良いぞ。このあいだの事と、何か関係があるのかな? 期待通り、誰にも言わぬと約束しよう」
「は、はい、じつは、これ、何です」
ええと、ええと……えいっつ。
バサッ。
「なっ、お主、それは」
(千鶴は、恥ずかしがりながらも一気にスカートを捲り、下着をしていない下半身を静さんに見せつけた)
「わ、わたし、最近、おかしくて、たまにクリトリスが、こっ、こんな風になるようになっちゃったんです。そ、それで、それで私」
「落ち着け千鶴殿。実は以前、これに似たようなものを拝見したことあってな。大丈夫。安心せい。それで、私にどうしたいのだ?」
(これを見た? ふたなりを? うっそぉ、まさか、この機械が他に出回って?)
「じ、実は私、これを何度も弄っているうちにどんどん気持ちよくなって、それで――」
「それで、女性器に挿れてみたくなり、それでわしを呼び出したのか?」
「ッツツ!!! はっ、はいっつ!」
「ひとつ訪ねるが、それはまことに千鶴殿の意思か?」
「は、はい。もう我慢できなくて、それに、それに……」
「……ふぅ、べつに構わぬぞ」
「ほ、ほんとですかっ!!」
(正直びっくりしたね。彼女にこんな行動力があるなんて思わなかったから。それに承諾した静さんにも驚いた。何でこんなあっさりOKしたんだろうって)
「断って他の者のところに行かれても困るでの、それは構わぬのだが、あくまで今回だけは、その熱意に免じて特別に許そう。ただし以後は無いぞ」
「は、はいっ! ありがとうございますっ!」
ほんとに良いのかな、憧れの静さんと、ほんとに。
(本当に良いのだろうか。それとも千鶴が女性だからOKしたのだろうか。俺は困惑していた)
「しばし、待っておれ。すぐに用意する」
そういうと静さんは、あらかじめ知っていたかのように部屋の奥から、体操用のマットをとりだし、足元に広げた。そして、わたしにそこに寝転がるよう促した。
「あ、あの静さん。ひょっとしてはじめてじゃないんですか?」
(まさか! 誰かが告白してもいつも断っていて、以前集団で襲いかかられた時は全て撃退したって聞いたぞ。それとも、まさかそっちの趣味が?)
「うむ。ここでするのははじめてではない。ああそういう趣味があるわけではないぞ。つい最近もこの場所で殿方と肌を合わせた事がある」
(えっ! マジ?)
「え、えっと、彼氏さんですか?」
「いや、何と説明すれば良いかのう。おぬしらには理解が難しい間柄でな」
「その人の事、好きですか?」
「勿論じゃ。心の底から心酔しておる」
(え、うそ、誰?)
「それよりお主等の事じゃ」
(いや気になるって!)
「え、お主等?」
(あ、そういえば)
「わからぬか、お主じゃよ」
(え?)
「え、いったい?」
「千鶴殿のことではない、おそらく本人も理解しているはずじゃ」
(まさか、俺のこと?)
「情けないとは思わぬか。このようなおなごの身体を玩び、あまつさえお主の気持ちを代弁させるとは、これは本来、お主の望みであろう」
「え、えっと、静さん?」
誰とはなしているのかな?
「すまぬな、千鶴殿、少し待っておれ」
「えっ! ふぁっつ! …………」
(あれ、千鶴?)
「千鶴殿に聞かれてはまずいと思ってこうしたまでのこと、おぬしも自身の存在を気づかれてはまずいと思っているのであろう?」
(完全に、気づいている)
「おそらくこれはお主の男性器であろう。感覚を共有していて、千鶴殿も、お主も感じてしまう。図星であろう」
(…………)
「おそらくは心まで操っておるわけでは無いのであろうが、千鶴殿もさぞや気持ちよかったのであろう。こんな行動にでるとはの、お主も内心意外であったろう」
(確かに驚いた。千鶴にこんな行動力があるなんて、それに答えた静さんにも。これは我慢できなくなったらヤらせてくれって言っているようなものだ。無茶無謀にもほどがある)
「そうじゃな、正直言うと、わたしも少し困っておる。で、あるが、それでもお主には、彼女を責める謂れは一切無いと思われる。違うか」
(えっ?)
「お主は一体何をしていた? 最近彼女の肉体に急激な変化を感じるのもお主の仕業であろう。あまつさえ一人の肉体を好き勝手玩び、ただそれを眺めていただけではないのか。しかし彼女は自らの心に従って動いているに過ぎぬ。非常識でも構わぬ。その彼女の行動力こそがおぬしとの致命的で決定的な差といえる」
(…………)
「何より千鶴殿がかわいそうとは思わぬか? これで如何に心を満たしたとしてもそれは男性としての歓び。肝心の女性としての歓びが少しも満たされてはおらぬではないか」
(……たしかに)
「今回のこの事態、本来なら断るところだが彼女の熱意に免じて特別に許す。二度目は無いぞ、しかし、もしまた、此度のような事が起きるようであれば……そのときは…………」
(うわっ!! なにこれ! 姿は見えないけど、何か凄い悪寒を感じる)
「そうなれば、それがし! 若輩者なれど必ずやお主の居場所を探り出し! その方の悪行の数々、その身で持って存分に味合わせてやろう!!!」
(っつ!!! これって、まさか、殺気!!!)
「偽造は不可能と思え、逃亡も不可能、必ずや、お主を追い詰めてみせる。せいぜい恐怖に脅えながら身の破滅を待つが良かろう」
(冗談じゃない……この人は本気だ!!! 本気で殺しにくるっ!!)
「…………しかし、それも二度目があれば、の話じゃ。今後は彼女の事をもっと考えてやってはもらえぬか」
(はぁ、はぁ、はぁ、殺気がおさまった?)
「折角手に入れた特異な能力。なにかアイテムでも構わぬが、それを使うなとは言わぬが、使うときはもう少し千鶴殿の事を考えては貰えぬか?」
(え、これから使ってもいいの?)
「能力を封じるなどもっての外。どんな能力も有効活用してこそ意味がある。どんな能力も使い方次第、少し考えれば、何とかなると思うぞ。何事も挑戦あるのみじゃ」
(使い方か……)
「なので、今後は彼女の女性としての歓びを満たしてやっては貰えぬか? いっそお主が彼女のよき伴侶となれば良かろう。千鶴殿が幸せなら、諸手を挙げて賛同するぞ」
(簡単に言ってくれる……)
「そう難しく考えることでもないぞ、お主は彼女をずっと見ておったのであろう。なら、彼女のことをおそらくは誰よりもわかっておるのではないか」
(……あ、それは、そうだ)
「あとは、お主次第じゃ。なあに、お主が持つ少しの愛と勇気をだせば、なんとかなるのではないか? 何事も、まずは行動あるのみじゃ。さてと、そろそろ彼女を起こすぞ」
(……ありがとう、静さん)
「あれ、静さん。わたし」
「すまぬの、千鶴殿。では横になったまま、身体の力を抜いてくれぬか」
「あ、はい、こうですか」
「うむ、そしたら少し待っておれ」
何だろう、静さん口の中が何か動いているけど。
(え、それってもしや)
「失礼するぞ」
「ふあっつ。あ、あの静さん……恥ずかしいです」
うわぁ、静さん見てる……、何だか恥ずかしいよぉ……。
ぬるっ。
「ふぁっ!!」
うわっ! なにこれ、静さん、これって……。
(何だこれっ! 思わずのけぞりたくなるほどの快感が全身を走り抜ける。これ、まさか静さんの口の中?)
「ふふっ、どうしたのだ。かわいい声をだしおって」
「いやっ! だってこんなに気持ちっ!! はぅっ!」
(静さんの舌テクやばっ! 舌が見事に絡み付いてきて、口の中もぬるっと温かくて、これは……やばいっ!!)
「静さん……わたし……もうっ!」
だめッツ! 我慢できない……。
「む? うっ……千づっ?」
どぴゅっ……! どびゅどびゅっつ!!
はぁ、はぁ……、いけない、顔にかけちゃった。射精しちゃまずいと思って身体をずらしたのに……、静さん片目瞑っちゃってるよ。
(はぁ、はぁ……。顔射、しちゃったの?)
「す、すみません静さん」
「よい。それは構わぬが、それより髪や顔より口の中でして貰った方が良いのだが、できれば手のひらの上が良いな。後処理が面倒なのだ」
「あ、はいすみません! 以後気をつけます」
「いや、以後があっても困るのだが……、ふふっ、少しおかしな気分じゃな」
「え?」
「いや、ところで、感覚を共有するというのはどのような気分なのかの。少し興味深いな。わたしも一度、体験してみたいものだ」
あ、静さんが自分の衣服に手を、ついにっ…………。
(マジかっ!!)
「じつは、本来ならば断っているであろうはずなのにこのような事までしている自分が不思議での。無論このような状況だからではあるが、結果として千鶴殿も、わたしも、いいように操られてしまっているのかもしれぬと思っての。少しおかしくなったのじゃ」
(え、操った? 俺が?)
え、え、え?
「それより千鶴殿、忘れてはならぬぞ。今回のことでは、お主の女性器が決して満たされはせぬという事実を」
え? 静さん?
「まあ、それはお主らの今後に期待することにするかのう。さてと、力を抜いてくれ――」
―――そして、数日後の朝―――
あ~あ~、またこないかなぁ。
あれから最近、少し退屈です。
クリトリス最近ちっとも大きくならないし、身体の異変も少なくなりました。
(あれから俺は、あの機械を弄らなくなった。少し考えるためだ)
ふぅ、胸大きくなったけど、重いし返って邪魔かなぁ。ってそんなこと言っていたら昔の自分に失礼か。
「千鶴」
「あ、哲也、どうしたの」
何だろう、珍しい。
(俺は知っている、彼女が俺のことを特別好いているわけではないことに)
「一緒に行かない」
「あ、良いよ、一緒に行こう」
へえ、一緒に学校に行くなんて何年ぶりだろう。久しぶりだなぁ。
(でも、嫌われているわけでもない)
「どうしたの哲也、何かあったの?」
(その時の俺は、あのとき言った静さんの言葉を思い出していた)
『なあに、お主が持つ少しの愛と勇気をだせば、なんとかなるのではないか? 何事も、まずは行動あるのみじゃ』
「あのさ、これ、見えないのだっけ?」
(でも、この機械は捨てられそうに無い)
「何、そこに何かあるの?」
「いや、何でもない」
その画面には、一人の女性が映っている。
画面の中の彼女は今、勿論俺の隣にいる。
「ねえおまえ、眼鏡かけるようになったの、何時からだっけ」
「えっと、中学二年くらいかな? でもなんで?」
「いや、ちょっと気になってね」
(確か備考欄に……)
「ふうん……ん??? ちょっとごめん」
何だろう、いきなり眼鏡の度が……、あ。
「あれ、哲也、なんかよく見えるよ」
(少し応用すればこういう使い方もあるんだよなぁ)
「そう、良かった。やっぱり違う?」
「うん、全然違うね。なんか世界が違って見えるよ」
画面越しでしかなかった俺の理想の彼女との関係は、これから始まる。
「……ありがとうね」
「ん?」
「ううん、なんとなく。ところでさ、アンタエロゲー持っている?」
どきっ。
「な、なにをいきなり?」
「うん、ちょっと、ねぇ」
「ひょっとして、何か欲しいの? 奴隷物とか」
「そうそれっ! 何でわかるの?」
「いや、なんとなく……。それより何でいきなり」
「いやあ、つい聞きたくなっちゃってさ。最近ちょっと物足りなくねえ」
訂正しよう。
画面越しにいた、外見意外変わらない昔からの千鶴。
「おっさんか。まあ、欲しいなら貸してやってもいいぞ」
「ほんと? 今日帰り寄っていい?」
「ああ、良いぞ。というか、久しぶりに話して早速それか」
「ああ、でもそうだねえ、ほんとだ……。……ねえ、哲也」
そして同じ趣味と嗜好を持ってしまった少し大胆な彼女。
「何?」
「変わらないね、私達」
画面越しに見る前から、ずっと変わらない、いつも通りな彼女との関係は、ここからまた始まる。
―――――――
「――ということなので、おそらくはもう大丈夫だと思われる」
『わかった。なら、今後は保護観察期間ということにしましょう』
「そっかぁ、静さん、ほんとうにありがとうね。おかげで助かったわぁ。その二人、上手く行くといいわねぇ~♪ 副作用とか問題も起きてないみたいで安心したわぁ♪」
『だいたい、もとはといえば石丸先生が落としたのが悪いんですよ』
「えーっ、良いじゃない。おかげで一つの関係を良い方向へ向かわせることができたのだから。きっとその二人長続きするわよ♪」
「うむ、わたしもその意見には賛成だ。今回に関しては結果としてこれで良かったのだと思う。カズヤ殿、わたしに免じて、許してやっては下さらぬか。わたしも今回は良い体験をしたと思っている。それに、カズヤ殿とはじめてした日の事を改めて感慨深く感じられ、嬉しかった」
「ねぇーっ、静さんもこう言っていることだしぃ」
『ま、まあ、静さんがそこまでいうなら、その、静さんに免じて特別に許してあげます。報告書にも作らず黙っておきます。ただし、再発防止はちゃんと心がけてくださいね』
「ほんとっ♪ ありがとうカズヤくん♪ あ、そうそう静さん、はいこれお礼♪」
「む、何でござるか? これは」
「今回の奴の完成品。後4人登録できちゃう上に、もうカズヤくんを登録しておいたから、これでカズヤくんの全てがわかっちゃう上に、好きなようにできちゃうわよ~♪」
「な、なんとっ!」
『ちょっ、おまっ! 石丸先生!! 何をっつ!!』
「えーっつ、だって今回一番頑張ったの静さんだし、ご褒美に良いかな~って。あ、そうそう、勿論試作品と比べても大幅にパワーアップしているから色々強力よぉ、好きなときに着せ替えだって性転換だってやり放題~♪ 何だったら、早速試してみる~?」
「カズヤ殿を自由に……ゴクリッ」
『ちょっ! おまっ! やめっ! やめてぇええええええっっつつ!!!!!』
――こうして、わたしはカズヤ殿のあらゆる情報を手にすることができた。
その後の関係についてはその、色々じゃ、恥ずかしくて言えぬ。
ぬ、何じゃどうした?
ふむふむ、私の本番のところが見たい?
……恥ずかしいので断る。
ただ、哲也殿には失礼を承知で、一つ言わせて貰うなら……。
果たしてあんなもので、千鶴殿は満足できるかのう。
いっそこの機械で書き換えたほうが良いのかも知れぬな。
こうすれば千鶴殿も今後行為に及ぶようなときに勘付いてしまうような事が無くなるからの、よし我ながら名案じゃ。
では早速。
―――2インチな男―――
「ん?」
「どうしたの、哲也?」
「いや、べつに……(なんか股間に違和感が)」
なんだ、何か副作用でも起きたか。
「そう……」
(それにしても、さ……)
(実は哲也の心、最近はわたしにも聞こえてくるようになっているのだけど……、何かの不具合かな?)
「ねえ哲也……」
「な、なに?(何だろう?)」
(まさか一連の犯人は哲也だったとはねぇ、今後どうしてやろうかな。目だけじゃなくって、いっそ私をナイスボディに変えてもらおうか。うーん、何か良い案無いかな…………それにしても、哲也ってずっと私のこと好きだったのね……そっか……そうなのか)
「帰り、寄りたい店あるから、奢って」
「えっ、何をいきなり」
「良いでしょ、す・こ・し・く・ら・い(にこっ)」
「(何だ、この意味深な笑顔は)まあ、少しくらいなら、良いけど」
「ほんと、ありがとう♪」
(これからは上手くこき使ってやろうっと。覚悟しなさいよ)
―――画面越しな彼氏―――
To be continued……。
< 終 >