星蘭高校科学部実験ファイル ファイル003

ファイル003<奈々子>

 星蘭高校科学部・・・
 この部は、科学分野のエリート集団として国内はおろか国際的にも名が知られている。
 部内には校内でもトップクラスの自然科学、社会科学、人文科学などのエキスパート達が顔を連ねている。
 その中でも、2年生の佐々木 誠(ササキ マコト)は自然科学分野の中の特に化学分野でのエース的存在であり、3年生や顧問教師からも一目置かれている存在だ。
 そして今や、学内裏組織マッドサイエンス軍団のリーダーでもある。裏組織と言ってはみたものの、誠を含め3人だけの極小組織ではある。しかしその力の強大さは、過去のファイルを読んでいただけている読者諸兄には周知いただけていることであろう。

「なぁ、真一。お前さ、幽体離脱って知ってるか?」
 ある日の放課後、誠は傍らに座って、新しく購入したデジカメ一眼レフの調整をしているマッドサイエンス軍団の一人である須藤真一に問い掛けた。この真一ともう一人、鈴木圭太の3人でマッドサイエンス軍団を結成しているのだ。真一と圭太はカメラオタクであり、同校写真部を実質的に束ねている。
「あぁ、知ってるよ。身体から魂だけ抜け出して、自分を見下ろしているって感じのやつだろ?」
「ああ。…実はさ、ちょっとオカルトチックな話になるけど、その装置開発しちまってさ」
「はぁ?何それ!?幽体離脱装置!?」
「ああ。ラットでの実験は済んでるぜ。見るか?」
 あまりに現実離れした話の切り口に、言い出した誠自身が照れくさそうではあるが、こと発明の話においては嘘や誇張をする奴ではないことを、親友兼裏組織構成員の真一はよくわきまえていた。照れくさそうにしながらも、しっかりとした手応えを持っているその雰囲気に期待を感じながら、真一は誠と共に科学部実験室に向かった。

「いいか?まずこのラットにこの試薬Aを飲ませて、んでこっちのカエルには試薬Bを飲ませるだろ。で、この黒い箱の登場だ」
 それぞれの生き物に試薬を飲ませた誠は、真一の目の前にボックスティッシュ大の黒い箱を置いた。箱上部の真ん中に赤いボタンが付いており、長方形の箱の両端には何やら電極のような突起がついている一見シンプルな装置である。
「この箱をラットとカエルの間に置いて…いいか、見てろよ。この赤いボタンを押すと…」
 誠が装置のボタンを押した瞬間、バシッ!っと両端の電極が音を立てて光ったかと思うと、すぐに止んだ。何か変化が起きたのか?…と真一が疑問を抱き始めた刹那、彼は異様な光景を目の当たりにした。
 なんと白いラットが形こそ違うが、カエルのように垂直飛びを始め、入れられている小さなクリアケースから飛び出そうとしているのだ。カエルの方は死んだように動かない。
「ま、誠…これって…」
「そういうこと。カエルの魂がラットに入り込んだ…ってとこか。で、ラットの魂はこの箱の中って寸法だな」
「マ、マジで!?」
「目の前の現象が信じられれば、マジだと思う」
「お前…ついに霊能者まで超えやがったな…怖ェェ…」
「おいおい、人を化け物見るみたいな目で見るなよ。もう一度ボタンを押せば、ほら元通りに両方とも活動し始めただろ。でな、これを裏組織的に使うとだな…」
 それからしばらくの間、二人の密談が続いた。

 その週の土曜日の夜に誠、真一、圭太の三人は、近くの歓楽街にあるラブホテルが立ち並ぶ路地付近に佇んでいた。
 実験披露の時にいなかった圭太にも、既に発明品の説明と今回の計画の詳細は話してあった。今回は誠自らが試薬を飲むことにしている。さすがに魂を扱う発明品で親友二人を人体実験一号にするわけにはいかなかったし、今回の計画は自分が最初にこの試薬を飲むことにポイントがあるのだ。

 三人の前を多くのカップルが通り過ぎ、そして夜のホテル街へと消えていく。三人は目の前を通り過ぎるカップルをまるで値踏みするような、また獲物を見つけるような眼差しで見つめていた。
 待つこと数十分…。
 向こうから歩いてくるカップルを見て、三人ともお互いの顔を見合わせアイコンタクトでこれだ!と思いを一つにした。
 そのカップルは大学生カップルのようで、女性の方はまさに清純美少女を絵に描いたような少し巻きがかかった黒髪がよく似合う女性で、ファッションも白いミニのフレアースカートをポイントに、白とピンクですっきりとまとめられており、マッドサイエンス軍団三人衆の歪んだ欲望に一気に火を付けた。迷わず計画実行である。

「あのー、すみません。僕ら○○大学の写真部の者なのですが…」
 まず真一と圭太がアプローチを仕掛けた。大学名こそ偽名であるが、写真部となると二人とも堂に入ったものであり、持参している機材も本格的であるので、自分達の身分を相手に認識させるには申し分のない様子であった。
「え、あ…何ですか?」
 男性の方が女性を庇うようにして応対してきた。
「突然すみません。実は現在写真部と○△ビバレッジの合同企画で、“街のベストカップル”を特集しようとしていまして、お二人が最高にお似合いのカップルに見えましたので、声をかけさせていただきました。で、よろしければ男性の方の方にこのドリンクを飲んでいただいた感想と、お二人の写真を撮らせていただきたいのですが…いかがでしょうか?もちろん、大学と○△ビバレッジの方から謝礼金として5万円ほど用意させていただいております」

 有名飲料会社の名前はやはり騙りではあるが、謝礼金は二人の目の前に実際にちらつかせているので本当である。今やそれぞれのエリート部を代表する彼らだけに、それくらいの金額を部費から工面することは、容易いことであった。
「エッ!そんなに?」
 明らかに目の前の5万円に心動かされた様子である。ドリンク試飲して写真モデルになって即5万円とは、かなり割のいい話であろう。
 カップルの男女はほんの少しの間話し合って、二人揃ってオッケーを出してきた。どうやら周囲も公認のカップルなのであろう。その雰囲気にマッドサイエンス三人衆兼彼女いない三人衆は揃って羨ましく思いつつ、その後のお楽しみに食いついてきた餌への攻撃心にますます火が付いた。

「では、このドリンクを一気に飲んでください」
 手渡したドリンクを一気に飲み干した男性は、少し刺激的な味に一瞬顔を歪ませた。
「○△ビバレッジが、今度のウチの学祭でモニター販売する新しい栄養ドリンクですが、いかがでしたか?」
「うーん…かなり刺激的な味だけど、飲めないこともないし、効きそうって感じですね」
 月並みな返事を返してきた男性を見つめながら、三人とも「掛かったな…」心の中でそうほくそ笑んでいた。その後、計画上では単なるお飾り的な写真撮影を終えてカップルを見送った。しかしただ見送るだけでなく、どこのホテルに入っていくかの尾行も兼ねての見送りだが…。

 そのカップルは既に入るホテルが決まっていたのか、迷うことなく近くのホテルの中へと入って行った。
 同時に素早く三人は次の行動を開始した。誠は鞄から例のブラックボックス装置を取り出し電極の一方を自分へ、そしてもう一方を二人が入って行ったホテルへ向けてから、自分の発明に絶対の信頼を持っているのかのように、迷いもせずに赤いボタンを押した。事前に誠はもう片方の試薬を抜かりなく飲んでいる。

 一瞬のきらめきの後、誠の目の前には先ほどの黒髪の美少女が立っていた。
 女性の名前は渡辺奈々子、20歳、△△大学外国語学部3年…誠の頭の中には彼女のパーソナルデータが次々と浮かんでくる。それだけではない、これまでのその男性の脳の記憶が全て分かるのだ。これは脳科学への大きな発見かもしれない…魂が抜けても脳のデータは残っているのだと…。
「シュンちゃん、どの部屋にする?」
 奈々子が誠…いや、入れ替わった男性である“高橋俊介”に聞いてきたのだ。
 奈々子はその一瞬の入れ替わりには全く気付いていない。今やここにいる俊介は外身だけで、中身はマッドサイエンス軍団の棟梁、佐々木誠とも知らずに…。今ごろ誠の抜け殻は、真一と圭太によって近くのビジネスホテルの一室に運び込まれているはずである。

「うーん、迷うねー。この前はこの部屋だったろ?」
 どうやら二人は泊まりデートの度に、このホテルを定宿にしているようだ。そんな記憶までスラスラ出てくるのである。
「もうけっこう入り尽くした感じだよねー。お!?奈々子、あのさチャレンジでここにしてみない?」
 そう言って誠(本来は俊介であるが、紛らわしいので入れ替わっている最中も誠で統一する)が指差したのは、このホテルに一室だけあるSM部屋であった。
「エッ!?シュンちゃん、本気!?」
「まぁね、使う使わないは別としてさ、怖いもの見たさっていうか社会見学のような感じでさ、どう?」
「エー…ちょっと怖いけど…でもどんな感じになってるか見たい気はあるかも…でもこういうプレイはお断りよ!」
「オッケーオッケー、じゃあ決まりね」
 誠はこれほどの大発明の成功と計画のスムーズな進行状況に、表向きではクールを装いながら、内心ではかなりはしゃいでいた。

 部屋に入った二人は、その異様な光景に一瞬言葉を失った。
「す、すげ…本格的だね、奈々子」
「う、うん…ちょっと引くかも…」
 部屋の中央には産婦人科にある分娩台のように、乗った者の両脚を大きく開かせたまま固定する椅子が鎮座しており、壁にはムチ、首輪、鎖などの小道具類が豊富に掛けられている。また部屋の隅にはベッドの他に、まるで中世のギロチン台を連想させるようなものまであり、首を入れる穴の両脇に小さな穴が開いており、そこに手首を通すのであろうことは、簡単に想像がつく。ここに首と手首を挟まれたら、立ちながらに無抵抗状態とさせられてしまうだろう。
「ま、まぁ、もう入っちまったからなぁ、今更出るわけにもいかないしね。まぁ、これはこれで刺激的じゃん。最近マンネリ気味だったからさ、たまにはいいんじゃない?」
「も、もう…シュンちゃんったら…まぁ、でも仕方ないもんね」
「さ、じゃあシャワー浴びちゃおうぜ」
「うん…」
 最初に二人でシャワーを浴びる、その中で適当に愛し合ってからベッドイン…このカップルのいつもの生態が、まざまざと記憶の中に浮かんでくる。しかもそれを“誠”の感性で客観視も出来るのだ。他人の記憶をハッキングしている状態である。生まれた時からの記憶を全てハッキング出来てしまうこの装置が世に広まれば、誠は即どこかの国の軍部にでも引き抜かれてしまうかもしれない…なにせこれを使えば、各国要人のセキュリティなど皆無に等しくなってしまうのだから。

 風呂場でプロポーション抜群の奈々子の身体をくまなく拝見し、誠の欲望のテンションは最高値まで張り詰めていた。
「ハゥゥ…シュンちゃん…なんかいつもよりスゴイかもぉ…アァン…」
「(そりゃそうだ、この身体にマンネリを感じてる最近の俊介じゃないんだぜ、今の俺は…それにしてもこの身体…さすがに現役女子大生だな…ウチの女子よりも適当に熟れてて最高だぜ…違う男の感性で責められているとも知らずに、この女…フフフ…)」
 シャワーそっちのけで奈々子の全身を舐めあげながら、誠はそんなことを考えていた。俊介という身体を隠れ蓑にかなりやりたい放題ができることいいことに徐々にその行動もエスカレートしていく。
「あぁ…奈々子、今日は何だかやけに燃えてくるよ。なんかさ、奈々子のことが無性に愛しいんだ。今日は今まで以上に大胆にしてもいいよね?」
「アハァ…ウン…いいよ。私もシュンちゃん大好き…今日はいっぱい愛してね…」
「(おお、おお、甘ったるいね~、このカップルは。まぁ、俊介も最近飽きてたようだしね。きっと奈々子もそれを感じてたのかな。だから俺の積極さが新鮮で嬉しがってるよ。いいねー)」
 誠の執拗な愛撫に、目を閉じて恍惚の表情を浮かべている奈々子は、本当に嬉しそうに見える。
「アァ…ね、ねぇ、シュンちゃん…サ、サオリのこと…心配しなくてもいいの?…アゥッ」
「(ああ、俊介が二股かけようとしてる女か…この前そいつとデートしてるところ友達に見られてチクられて喧嘩したのか…)もちろんだよ、今日はそのお詫びのつもりで愛してるんだよ。サオリなんかに惑わされた俺がバカだった。ごめんな。愛してるよ…奈々子」
「アアアアァァ…嬉しい…私もぉ…愛してるぅ…シュンちゃん…」
 そう言いながら、奈々子は誠に強く抱きついてきた。誠は我ながらよくもまぁこんな恥ずかしいことを口に出来てるもんだぜ…と、心の内で恥じらいを感じながらも、今は俊介という役を、こちらの都合がいいように演じきらなくてはと自分に言いきかせていた。

 シャワールームでの甘い時間を過ごし、ベッドで奈々子と身体を重ねた後も、誠の攻撃欲は止まるところを知らない。奈々子もそんな誠の情熱的且つ積極的な態度がとても久しぶりのようで、自らも大胆さを増してきて自分から誠の上に跨ってきて、大きく腰を動かしまくる程なのだ。
「(へぇ、最近の奈々子には見られなかった態度だな。いいよ、いいよー、最高に乗ってきてるねー、奈々子ちゃん。違う男にこんな痴態を見られてるとも知らずに…それに、この後の過酷な試練のことなんか全く知らずにね…)」
 完全に大胆になっている奈々子は、誠がイキそうだと訴えると、自ら「今日は安全日だから大丈夫…中に頂戴…」とまで言う始末である。
「(では遠慮なく…)」
 現役女子大生の体内に誠の欲望の塊を一気に放出した。とはいえ、身体は俊介のものなので、発射された精液自体も俊介の遺伝子で埋め尽くされているわけだが…。しかし、感覚だけはしっかりと認識できる。中出しの瞬間の快感は、これまでで最高のものに感じられた。

「やっぱり奈々子は最高だよ…」
「嬉しい…今日のシュンちゃん、最高に大好き…」
「今夜はもっともっと愛していいかなぁ」
「もちろん…私ももっと大胆になっちゃうかもぉ…」
「(バカだなぁ…奈々子。いいのかなぁ…俊介以外の男にこんな痴態見せちゃってさ…このノリだと、このまま次の展開に持っていけそうだな…)…俺も奈々子に今日はもっと大胆になって欲しいな…なぁ、あれ、あれにさ…乗ってみない?」
 そう言って誠が指差したのは、ベッドの傍らに鎮座している例の開脚椅子であった。
「エッ…ウソ…あれに?」
「うん…今日はとことん愛したいんだ。いいよね?」
「…うん…わかった、いいよ」

 奈々子は唐突な初体験に恥らいながらも、その存在だけでも破廉恥極まりない開脚椅子に固定されてしまった。
「シュ、シュンちゃん、…これ、ホントに動けないね…」
 今や奈々子は、座りながらにして手足を大きく大の字で開かれ、足首、太もも、肘、手首がそれぞれバンドで固定され、全く身動きできない状態になっていた。またこの椅子の機能として、脚の開き幅は180度近くまでの可動式であり、背もたれもインクライン&デクライン設定が可能で、今は分娩台のように頭の方が高くなっているが、デクラインに持っていくと頭の方が下がり、股間の方が上になってしまう。
「うわー、こうなっている奈々子を見ると、より可愛らしく見えるよー」
「きゃー…言わないでよぉ、そんなことぉ…もう!」
 恥じらいながらもおどけた顔で笑顔を見せている奈々子…この後訪れる悲劇も知らずに…。

「じゃあ、準備オッケーだな。さてと…」
「???(あれ?…シュンちゃん?)」
 完全に固定された奈々子は、それを見届けた後の誠の微妙な気質の変化に、得体の知れない違和感を覚えた。誠は先ほどまでの気持ちの昂ぶり加減が失せたかのような落ち着きようでベッドに座り、さらに携帯を取り出して、誰かに電話を掛け始めたのだ。
「(……シュンちゃん?…やだ…こんな格好のまま放置しないでよぉ…)」
「あ、真一?俺だよ。って言っても声違うけどな。ハハハ…準備整ったからオッケーだよ。フロントで例のスプレー使うの忘れないようにな」
「シュ、シュンちゃん?…どうかしたの?…それにこんな格好、恥ずかしいよ…」
「ゴメンゴメン、ちょっと友達に急用があってさ」
「フロントで例のスプレーって?」
「うん、ほらさっきの写真の連中と同じように、俺らも学祭近いでしょ。俺らのグループでスポーツバー開こうと思っててさ、アルコール制限はあるけどね。その装飾のことだよ。…それよりほら、今夜は少し大胆にいくんだからさ、ちょっと責め気味でいくよ。ほらこれでも咥えてさ」
「ン…ウグ…」
 誠は少し強引に奈々子の口の中に一物を押し込んだ。少し元に戻った誠の雰囲気に安堵したのか、奈々子も器用に舌を使い始めた。同時に誠も大きく開かれた奈々子の股間に手をのばし、秘所をまさぐり始める。
「ンゥウッ…ハグ…プハァ…アッアッ…」
 再び本格的な喘ぎをし始めた奈々子の耳には、フロントでしか操作できないドアのオートロックがカチャッと解除された音など、聞こえなかった。

「よぉ、誠、お楽しみだねぇ。おー彼女もいい格好じゃないの」
「いいねー、このシチュエーション、ヒュ~、最高!」
 これまで二人きりの甘い空気しか漂っていなかった室内に、一気に澱んだ空気が流れ込んできたかのように訪れた男達の声に、奈々子はその動かない身体はそのままに顔だけドアの方向に向け、
「キャッ!キャーッ!!だ、誰なの、あなた達!イヤーッ!出てって!!」
「おお、おお、誠、けっこう元気のいい彼女だね~。名前教えてよ」
 奈々子の悲鳴にも全く動じないといった風で、真一は誠に語りかける。圭太と言えば、早々と奈々子の股間近くに寄っていって、彼女の秘所をしっかりと眺めている始末である。
「ああ、彼女は渡辺奈々子って言ってね。20歳の△△大学外国語学部3年生だぜ。よろしくな」
「(!!!)…シュンちゃん!?ヤダッ!どうしたの!?エッ!?誰なのこの人たち!?」
「ああ、俺の友達の真一と圭太だよ。まっ、その開いた股で歓迎してやってよ」
「ちょっ!ちょっと!!イヤーッ!!シュンちゃん!?こんなのヤダーッ!!これ外して!お願い!!」
 必死に手足のバンドを外そうともがくが、本格的なSMプレイ用固定器具が、か弱い女性の力でどうなるものではなく、かろうじて動く胴体部分をよじらせるばかりである。しかし肝心な部分を隠すには至らず、その動きがかえって淫靡さを増し、訪れた野獣たちの攻撃心を煽り立てた。

「フロントであのスプレー使ったのか?」
 最愛のガールフレンドであるはずの奈々子の悲痛な叫びなど気にも止めない様子で、誠は真一に問い掛けた。
「ああ、よく効くな~あれ。フロントのおばちゃんの目がトロンとしてさ、何の疑いも持たずに部屋のロック外してくれたよ」
「だろ?まぁ、5分もすればその行為のことなど全く忘れて、今ごろ普通の状態に戻ってるよ」
 本来、ラブホテルの部屋に男二人連れで、しかも使用中の部屋に入るなどということは不可能なことであるのに、ここにこの二人がたどり着けた訳は、誠が予め何らかの化学薬品を彼らに与えていたこととは、この一事を持ってみても明白であろう。
「シュンちゃん!どういうこと!説明してよ!ヤダーッ!こんなのイヤーッ!」
 奈々子はこの状況がいまだに把握できずに、涙を流しながら泣き叫ぶばかりである。
 そんな奈々子を隅々まで見つめまくっていた圭太が、
「しっかし、ホントに可愛いよなぁ…奈々子ちゃんってさ。いいねー年上のお姉さま♪なぁ、さっそく頂いていいの?」
「ああ、俺はたっぷりと彼氏彼女の間柄で、この身体を堪能させてもらったからな。順番はジャンケンででも決めろよ」
「!!!イヤーッ!!!(シュンちゃん…やめて…助けて…)」
「イヨッシャー!真一、ジャンケンしようぜ!」
「オッケー」
 このお気楽な野獣二人組みは、奈々子の泣き声を尻目に元気にジャンケンを始めた。
「おお!俺の勝ちな!真一、悪いねー」
「チェッ、仕方ねーな。早く済ませてくれよ」
「んじゃ、そう言うことで、奈々子さん、いっただっきまーす!」
 ジャンケンに勝った圭太は、瞬速で下半身の衣服を脱ぎ去り、既に屹立しまくっている一物を開かれた奈々子の股間にあてがっていく。

「ヤダッ!やめて!ダメーッ!!」
「うおぉ…入ったぜぇ…俺を迎え入れる為にさっきまで濡らしまくってくれてたんだろ?イヤとは言いながら、最高にスムーズな滑り込みだったぜ。おおお…このこすれる感覚…たまんねぇ!!」
「ヤダってばぁっ!!アゥッ!!…やめて…シュンちゃん助けてよぉ…」
 助けを求められているはずの誠は、真一たちが持ち込んできたバッグの中からビデオカメラを取り出し、助けるどころかなんとこのレイプシーンを撮影し始めたのだ。
 この行為で奈々子は今や完全に誠にはめられたことを悟り、且つもう彼が自分の味方でないことを痛感した。
「アゥッ!…アッ…ひ、ひどい…こんなの…ひどいよ…俊介…」
 圭太の野獣のような激しいピストン運動に貫かれながら、何度抵抗しようとしても自分の力ではこの拘束から逃れられないことも実感していた奈々子は、次第に諦めの境地に至り始めていた。
「おおおおお!…もういきそうだぁ!ま、誠!どこで出す?」
「今日は安全日だから、中で大丈夫って言ってたぜ。俺もそうしたし」
「マジで!?おおお!最高!んじゃ、遠慮なく!」
「!!…やめて!それだけは!お願いだから!」
 中出し…という言葉を耳にして、奈々子は再び抵抗の力を漲らせ、無駄とは分かっていても何とか逃れようと身をよじらせる。こんな見ず知らずの野獣達の汚れた体液が自分の中に放出されるおぞましさに、本能的に思考が逃れようとするのだ。しかし…

「プハァッ!…ふぅ…たっぷり奈々子の身体の中にプレゼントしてあげたからな。喜べよ」
 抵抗も空しく、野獣の体液を体内に迎え入れてしまった切なさに、また再び泣けてきた。
「おお、抜いたと同時に流れ出してきたよ。いやらしいオ○ンコだなぁ…」
「圭太、次俺だからよ。その流れ出てきてるモノ、出来るだけ拭き取ってくれよな」
 そう言いながら圭太と同様に下半身を剥き出しにした真一の一物が自然と目に入った時、奈々子の視点はそこで釘付けになった。誠(俊介)と圭太のものとは比べ物にならないほどの巨大で禍々しいものが天に向かって屹立しているのだ。
 そんなに多くない男性経験の中でも、これまで巨大な一物と対面したことなどないのである。
「でたー!真一の極太キングコブラ!」
 一戦を終えた圭太が、傍らで囃し立てる。
「ヤ、ヤダ…やめて…そんなの入れられたら壊れちゃうよーッ!!」
 あまりの恐怖に、抵抗どころか身が凍りつくような思いである。
「んじゃ、いきますわ。そりゃっ!」
 日頃からクールで押し通している真一は、圭太のはしゃぎようとは裏腹に、淡々とした動作で、しかし躊躇することなく一気にその巨大な一物を奈々子の中に埋めていった。
「!!ッ…アッ!アグゥゥ…ッ!…イタッ!…イタイッ!!…」
 これまでで未体験ゾーンの衝撃が全身を貫いた。
 裏切られた彼への憤り、切なさ、悲しみ…そしてこの野獣達への怒り、恐怖などが交錯して、否応なく流れ出てくる涙…動こうにも身動きできずに極太の熱棒で貫かれるがままになってる自分への情けさも、それに追い討ちをかけている。
 ついさっきまでの甘い幸福感が、一気に奈落へ突き落とされた虚脱感さえ感じる。
「誠さ、コイツ最初痛がってた割には、もう根本まで飲み込んで、中はグチョグチョだぜ」
「今夜は大胆な女になるんだってさ、可愛い顔してても今は単なる好きモノのメスだな」
「アハハハ…んじゃぁ、もっと大胆になってもらわないとね~、奈々子お姉さま♪」
 何という男共か。一人の女性を嬲り者にして快楽を得ている最低の男達…そんな蔑みの目でこの野獣達を見つめながらも、身体が彼らを迎え入れていることに何とも言えない遣る瀬無さを感じる。
「…そろそろいくぜ、奥の方に注ぎ込んでやるからな。中でしっかりと受け止めろよ!」
「…………」
 もう返す言葉もなかった。しかし、下腹部の奥の方では野獣の熱い滾りを受け止めてしまったことを、しっかりと実感させられていた…。

 もうこれで終わりなのか…一通り自分のことを弄んだ野獣達が、ようやく自分を解放してくれるのか…そう思った自分の浅墓さを、次の圭太の言葉で思い知ることになる。
「奈々子お姉さまのオ○ンコは、これで陥落~♪、なぁ、次はやっぱさ、もう一つの穴だよな?」
「(!!…もう一つって!?)」
「そうだな」
 誠が賛同して、開脚椅子の背もたれの角度を操作し、一気に頭の方を下げさせた。
「な、なにっ!?イヤッ!これ以上やめて!!」
 天と地がひっくり返ったかのような感覚で、無抵抗のまま自分の股間を天井に向けて晒す形となってしまった。
「おお、ギュッと締まってるね~♪でもオイルも持ってきてるからね~♪」
 そう言いながら、一番はしゃいでいる圭太が真っ先にバッグからローションオイルを取り出し、剥き出しになっている奈々子のア○ルに塗りたくる。
「!!…(もう一つって、そこ!?)…ダメ!そんなとこ、絶対ダメッ!!」
「ダメって言ったってさ、ほら、もう指咥え込んじゃったじゃん♪」
「痛いッ!!ヤダッ!!もうやめてっ!!」
 圭太は執拗に奈々子のア○ルを攻め立てながら、
「なぁ、俺さ、一度でいいからあのサンドイッチ…っていうやつ?あれやってみたかったんだよ。真一さ、一緒にやらね?」
「ハハハ…いいけど、どっちがその穴担当すんの?」
「そりゃあ、お前のモノをこっちに入れたらさすがに裂けちゃうだろ。俺しかいないじゃん。いいよな?誠、奈々子お姉さまはこっちはまだ処女?」
 圭太は、誠だけが持つ俊介の記憶に問い掛けた。
「ああ、俺もそこはこれまで舐めるだけだったようだな。指も入れたことないよ」
 この恐ろしい会話の内容の意味は、嫌でもダイレクトに奈々子には伝わってきていた。“この穴”という穴を執拗に責められているのは、誰でもなく自分自身なのだから。そしてその恐怖に再び全身に戦慄が走った。
 ただ、それと同時に不可解なことにも気付いていた。先ほどからこの2匹の野獣は、自分の彼氏であったはずの俊介に「誠、誠…」と語りかけているのだ。
 奈々子は際限なく襲ってくるア○ルの激痛に耐えながら、
「ウッ…ウウゥ…俊介…誠って誰なの!?ハゥッ!…あなた一体…誰!?」
「あ、ようやく気付いたみたいだね。俺、外見はアンタの彼氏の俊介でも、中身は誠っていう別人だよ。あらためて…はじめして。アンタの愛情表現…ものすごく興奮したぜ。愛情を一杯くれてありがとう。可愛いかったぜ」
「アゥッ!!…そ、それって…どういうこと!?…俊介は!?彼はどうなってるの!?」
「それ説明すると長いんだよね。それに知ってもどうすることも出来ないでしょ。それより、こいつらサンドイッチやりたいって言うからさ、これを手足に打たせてもらうよ」
 奈々子の必死の問いなど軽く受け流して、誠はバッグから4本の注射針を取り出した。
「!!…イヤッ!!何それ!!やめてよ!!怖いっ…」
「誠、それ何?」
 奈々子の叫びよりも真一の問いの方に反応した誠は、
「ん、これはまぁ、簡単に言えば局部麻酔だな。手足に打てば神経が麻痺して、自分では手足の操作は出来なくなるよ。但し、10~15分で効果が切れるからな。早めにやっちゃえよ」
 言いながら、既に注射を終えた誠は、再びカメラを抱えなおし、
「圭太、もう指3本も入れてりゃ相当弛んだだろ。もう麻酔も効いてるだろうから、手足のバンド外してやんなよ」
「オッケー♪」

 これまで散々奈々子の自由を奪い続けた手足のバンドを外され、せっかくこの暴力的な椅子から解放されたというのに、今度は自分の意志で手足を動かそうにも、まったく反応しない。まるで生きた人形のように野獣達に身体を預けるしかないのだ。
 既にオ○ンコを担当する真一は、ベッドに仰向けになって、奈々子が覆い被さってくるのを待っていた。
「こ、怖い…やめて…やめてよぉ…」
 もう既に奈々子の声には先ほどまでの覇気は全く感じられない。
 あっさりと真一の上にうつ伏せに乗せられ、そして大股を開かされ、真一自身によってまた再び極太の熱棒を挿入されてしまった。
「ウッ…ウゥ…」
 もう呻くことしか出来ない。
 そんな奈々子の背後では、煮えたぎった肉棒に、たっぷりとローションを塗りたくっている圭太が迫ってきて、そして奈々子の両方の尻タブを鷲掴みにして左右に開きながら、
「では!奈々子お姉さまのア○ル処女いただきます!!」
 言いながら、ズブズブと弛んだ穴に挿入し始めた。
「ギャッ!アァァァッ!!」
 これまで聞いたことがないような叫び声を上げながら、必死に痛みに耐え、何とか逃れようとするが、手足の自由が利かない状態では、どうすることもできなかった。
「おおおおおっ!スゲーッ!!ア○ルきついね~♪最高の締まり具合!!それに、真一のキングコブラが入ってるのも分かるぜ♪」
 こうして、二匹の野獣により前後の穴を同時に責め立てられるという、若干20歳のうら若き乙女ではまず体験しないような変態的且つ暴力的な屈辱を散々に味わうことになった。

 しかし彼らも2回目の刺激で、果てやすくなっていたのであろう、5分ほどでほぼ同時に前後の穴に精を放たれて、一時この屈辱からは解放されたものの未だに手足の自由は奪われたままで、なんとも情けない格好でベッドの上に転がされていた。
「フゥ…いやーよかった♪なっ、真一」
「そうだな。やっぱ年上の身体はいいや。ところで、誠、この後どうすんの?」
「やっぱさ、このままじゃあんまりにも可哀相じゃん。だからこれからはハッピーモードで楽しまないとね」
 なんとこの野獣達は、まだその欲望の矛先を自分に向けるつもりでいるのだ。奈々子は疲れ果てた身体で横たわりながら、次に何が行われるのか…ぼんやりと考えていた。それに何がハッピーモードだ…。自分をこんな状態に弄んでおいて…そう思った途端、無抵抗の顔に何かを吹き付けられた…。

 ………………。

 次に奈々子が気付くと、目の前には慣れ親しんだ大の仲良しの遊び仲間である、誠、真一、圭太がソファに腰掛け、自分を笑顔で見つめていた。3人とも真っ裸であり、自分も当然真っ裸であるがそれはいつものことで、この4人で遊ぶ時はいつも真っ裸なのだ。そして遊びはいつも決まっている。この3人の言いなりになるゲーム。これが何とも楽しいのである。
「あ、あれ?誠、真一、圭太…私、寝てた?」
「そうだよー、つれないねー、俺らほっといて寝てるなんてさ♪」
 圭太が明るく返答する。
「ごめーん!ごめんね。もう大丈夫!ちょっと寝たらスッキリしちゃった♪早く遊ぼうよ♪」
「自分だけスッキリしやがって、いい気なもんだよな、誠」
「ああ、まったく…じゃあさ、お詫びに得意のカラオケを振り付けで歌うこと!」
「エーッ…まぁね、仕方ないか。じゃあ、しっかり聞いてなさいよー♪」
 そう言って、奈々子は得意のアップテンポな曲で、満面の笑みで元気に歌い始めた。
 もちろん全裸での歌唱ショーである。
「ヒュ~ッ♪いいぞー、奈々子~ッ♪」
 圭太の声援でさらに振り付けの勢いを増し、やや小振りの乳房を大きく揺らしながら、下腹部全面の黒々としたデルタ地帯も顕わに、恥じらいを知らぬ20歳の乙女は歌い続けた。
 もうお気付きであろう。先ほど奈々子に吹き付けたスプレーは、一時的に彼女の思考を操作するもので、吹き付けた後ボーっとしている彼女に、自分達3人が奈々子の親友であること、遊ぶ時は真っ裸が当然であること、彼らの言いなりになる遊びが大好きであること…このようなことを、彼女の思考に刷り込んだのである。

「いいねー、ケツをこっちに向けてブリブリ振ってみ~っ!」
 真一のリクエストにもウィンクで応え、3人の目の前でさっき犯され続けたはずのア○ルを剥き出しにして、ブリブリと音がせんばかりの勢いで振りまくる。
 誠は終始そんな彼女をしっかりとビデオに収めていた。

「フゥ…気持ちよかったぁ♪…ちゃんと聞いてた?」
 奈々子は、汗ばんだ身体で満足そうに彼らに問い掛ける。
「ああ、バッチリだよ。こっちに来て座りな。疲れたろ」
 真一に促されて、彼と圭太の間に座る奈々子。先ほどまであれだけ軽蔑していた2匹の野獣に今は全く抵抗感を持っていないばかりか、「は~い♪」と明るく返事をして彼らの間に割って入っていったのだ。
「じゃれつき遊び~♪」
 圭太のかけ声とともに2匹の野獣と一人の美女が、片方でディープキスをしたり、もう片方で乳房を吸いまくったりと、強烈な三つ巴のじゃれつき遊びが展開される。奈々子は自ら長く舌を伸ばし、圭太の舌を誘う始末である。

「じゃあさ、最後に飼犬遊びしようぜ。奈々子、いつものように犬になりきれよ♪」
「わーい♪それ大好き!」
 誠の提案に奈々子は大いに喜んで、さっと四つん這いになり、
「わん♪わんっ♪」
 彼らの方を向いて、可愛らしく吠えて見せた。
「相変わらず可愛い犬だね~♪」
「お手!」
「わんっ♪」
「いいねー、お姉さまの得意な芸は何でっすか~♪」
 圭太のまるで飲み会のコールのようなリズムに乗った問いかけに、
「おっしゃぶっりでーすっ♪」
 こちらも負けじとリズムに乗せて、あからさまに恥ずかしい淫語を明るく叫ぶ奈々子。
「そっかー、じゃあほら、おしゃぶりの時間だぞ、俺らのチ○ポを一本ずつおしゃぶり~始めっ!」
「わんっ♪」
 誠のかけ声に犬語で返事をし、誠、真一、圭太の順に丹念に舐め上げていった。そう、さも楽しげに、そしてさも幸せそうに…。

 数十分後…。
 今、奈々子はベッドの中でスヤスヤと可愛い寝息を立てていた。その傍らには誠が添い寝する。
「じゃあ、装置の操作頼むな」
「おう、わかった。じゃあ後で」
 そんな言葉を交わして、真一と圭太は部屋を後にした。
 それから間もなく…。

「フゥ、戻ったか」
「お帰り~って、さっきまで一緒だったけどな」
「イヤ~、マジで今回は楽しかったわぁ」
 ここは先ほどのラブホテルに程近い、ビジネスホテルの一室である。ここに誠の身体が放置されていたのだ。誠が元に戻ったと言うことは、今ごろ俊介の魂も元の彼の身体に戻っているであろう。そして、自分が何故SM専用部屋で奈々子と一緒に裸で寝ているのかを、無性に不思議がるだろう。
 それは奈々子も同じである。
 あの犬遊びの後、これも誠が発明し以前にも使用している“忘却睡眠薬”を飲まされ眠らされたのだ。だから目覚めた時には、彼女の記憶には野獣3匹に犯されたことも、その後仲良く4人でじゃれついたことも、すっかり忘れてしまっている。
 彼らカップルは、その後様々な不自然さに疑問を抱き続けるであろうが、悲劇だったという記憶は残らないはずである。
 これがこのマッドサイエンス軍団のせめてもの情け…でもあるかのように…。

 果たして、このマッドサイエンス軍団の次なるターゲットは現れるのか…そして今後彼らがどんな非情な活躍をするのか…はたまたこの物語が今後も続くのか…それはまだ誰にも分からない…。

< 完 >

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