汁と汗

-1-

 見るからに猪だった。一見、脂肪に包まれたそのブヨブヨの巨体は豚のようにも見えるが、しかしその土色したどす黒い肌と、人の心を抉り取るような鋭い目付き、そして無頼漢的な横柄な態度が、豚というより野生の猪に近かった

 権藤万之助、53歳。

 幸福ファミリーの教祖。全国に60万人の信者を持つ新興宗教のトップだ。

 万之助は巨大新興宗教組織のトップでありながら、裏ではねずみ講に霊感商法、闇金から違法乗っ取りまで、銭が儲かる事ならばあらゆる犯罪にも手を染め、途方もない巨額の富を獲ていた。その金で、権力・暴力・政治力を手に入れた万之助には、この世でもう手に入らぬ物はなかったのだった。

「勝又!」

 東京の一等地、巨大な庭園にダミ声が響き渡る。

 権藤家のいつもの朝の第一声だ。

 すかさず「はっ!」と真っ青な空に勝又の声が響き、庭の渡り廊下を走り抜ける勝又の足音に池のほとりのスズメ達が一斉に逃げ出した。

「おはようございます」

 開け放たれた障子の手前で片膝を付いて頭を下げる勝又。まるで時代劇のサムライだ。

「・・・昨日のアレ、なんだありゃ?」

 20帖はあろうかと思われる大きな座敷の真ん中で、猪のように獰猛な男が経済新聞を片手に朝からビールを飲んでいた。

「・・・お気に入り召しませんでしたか・・・」

 勝又が恐る恐る顔を上げる。

「ありゃあどこの女だ?」

 万之助はそう言いながらジョッキに残っていたビールを飲み干した。

「京都の有名老舗料亭で女将をしている女でございまして・・・」

 勝又は少し納得いかない表情でそう答えた。昨日、勝又が用意したその女というのは、有名映画スター達が必死で奪い合ったと噂される程の美女で、実際、勝又もその女を目の前にした時はあまりの美しさにおもわず勃起したほどの美女なのだ。

「なにが・・・いけなかったんでしょうか・・・」

 納得できない勝又が恐る恐るそう聞く。

 万之助は分厚い唇を歪めながら、一言「臭せぇ」と呟き、昨日のそのニオイを思い出したかのように不快な表情をした。

「で、いくらだったんだ・・・」

 万之助は読んでもいない経済新聞をペラリと捲った。

「は、はい・・・300万で・・・話しを付けて参りました・・・」

 勝又が恐る恐るそう答えた瞬間、底に泡が少しだけ残っている空のジョッキが宙を舞った。

 ジョッキは勝又の頬をすれすれで通り過ぎ、びっしりと苔の生えた大きな庭石に激突すると鈍い音を立てて砕けた。因みにその苔の生えた巨大な庭石は現役総理大臣から送られて来た物だ。権藤家の庭には政治家やヤクザや一流企業の社長から送られて来た財宝で溢れている。それもこれも万之助がそれだけ彼らに資金援助をしたという証拠だ。

「300万だと!貴様、信者たちが血の滲むような思いでお布施した大事な金をなんだと思ってるんだ!」

 万之助が怒鳴る。

「も、申し訳ございません!」

 勝又が床に額を擦り付けて詫びる。

 権藤家のいつもの朝の風景だった。

 黒光りしたセンチュリーに万之助が乗り込むと、見送りに出て来ていた執事達が一斉にお辞儀をした。

 助手席の勝又が、センチュリーの前後にピッタリとくっ付いている2台のセルシオに向かって無線を飛ばす。

「よし、行け」

 前方のセルシオがゆっくり動き出すと、巨大な正門の観音扉がギシギシと音を立てて開かれた。

 門の前に溢れていた信者達が、正門を潜るセンチュリーに向かって一斉に合掌する。

 そんな信者達を、真っ黒なスモークガラス越しに鼻糞をほじりながらぼんやり見ていた万之助が、いきなり「くわっ!」と目を開き、「勝又!」と叫びながらクッションから飛び起きた。

 万之助が叫ぶなり、助手席の勝又が「はっ!」と後ろを向いた。

「アレ!アレだアレ!」

 万之助が指差す先には、合掌する信者達が蟻のように群れていた。

「アレ!アレ!あの赤いセーターの女!」

「赤い?・・・・セーター?・・・」

 走り過ぎて行く後方を必死に見つめながら勝又が赤いセーターを目で探す。

「おいおい!巻き戻ししろ巻き戻し!」

 万之助が運転席をガボッ!と蹴った。

 慌てた運転手がハザードを付けると、勝又がセンチュリーを挟む2台のセルシオに「バックするぞ」と無線を飛ばした。

 正門の前でセンチュリーが止まると、一瞬信者達がざわめき、そして執事たちが慌てて正門から飛び出して来た。

 今までに万之助が乗るセンチュリーがバックして来るなど一度もなかったのだ。

 助手席から勝又がスッと降り立った。

 小走りの勝又が大勢の信者達に向かって行くと、信者達は一斉に勝又に向かって合掌し、なにやら意味不明なお経を唱え始めた。

 勝又は皆と同じように合掌する赤いセーターの女の前で立ち止まった。

 特売で買ったと思われるセーターの袖は伸びきり、スニーカーも黒く汚れていた。勝又はそんな貧乏臭い女を見つめながら(昨日の女よりもこっちの女の方がどれだけ臭そうか・・・)と思い、再び昨日の女にあげた300万円が惜しくなり、こんなことならあの女に100万だけ渡して200万ピンハネするべきだったと今更ながら激しく悔んだ。

 合掌していた女が自分の目の前で勝又が足を止めた事に気付き、急に戸惑いながら周りをキョロキョロし始めた。

「教祖は言いました・・・貴女から特別な光が発していると」

 勝又がそう告げると、周りにいた信者達から「おおぉ」っという驚きの声が洩れ、赤いセーターの女は信じられないといった表情で目に涙を浮かべた。

「特別に教祖直々の『お撫でり』を施して頂けるそうだから、さ、車に乗りなさい」

 信者達から「わあっ」という声援が上がり、その中を赤いセーターの女は膝をガクガクとさせながらセンチュリーに向かって歩いたのだった。

 因みに、この「お撫でり」(おなでり)。

 つまり、一般的に言うと「お浄め」というものだ。

 万之助を教祖とする「幸福ファミリー」というなんだか保険会社のキャンペーンのような名前のこの教団は「お撫でり」を業としていた。

 教団の教義によれば、この世の人間のあらゆる不幸現象のうち、80%が「悪い霊魂によるもの」としており、幸福の業(こうふくのわざ)、つまり「お撫でり」でその霊魂が取り除かれるとしている。

 この「お撫でり」とは、その悪霊が取り憑いているとされる場所に手の平をあてながらお経を唱えるというもので、ここの信者達は互いに悪い場所(例えば癌に侵された部分)をナデナデと撫でながら神の力を信じているのだ。又、この教団は、「お撫でり」は人だけでなく、食品や水、動物、機械その他に施しても効果があり、死にかけた動物がよみがえったり、動かなくなった機械や時計が動き出すなどと、実にイカサマ臭い主張を真面目にしているのだった。

 センチュリーの後部ドアが開けられると、奥に猪のような万之助がふんぞり返っていた。

「教祖様!」

 赤いセーターの女はすかさず万之助に向かって合掌し、変なお経を唱え始めた。

「いいから、さ、乗りなさい・・・」

 勝又が女の背中を突く。

 女は大粒の涙を特売のセーターにボトボトと垂らしながら、感動で崩れ落ちるかのように後部座席に乗り込んだのであった。

-2-

「いつものホテルへ行きなさい」

 万之助は、みすぼらしい女の姿を舐めるように見回しながら、助手席の勝又に言った。

「・・・しかし・・・30分後に文部大臣との会合が控えておりますが・・・」

 勝又が脅えた野良犬のような目をして後部座席を覗き込んだ。

「何を言ってるんだキミは。今、この不幸な娘が幸福になろうとしているのだ。文部大臣など待たせておけばいい。私は幸福ファミリーの教祖として、日本の教育よりも1人の信者を救いたいのだ!」

 万之助が大袈裟な声を張り上げそう言うと、隣の娘がわっと泣き出し、助手席の勝又がアホらしっと前を向いた。

 この時間のいつものホテルは、チェックアウト後の静けさが厳粛な雰囲気を醸し出していた。

 大理石の床を踏みしめながらエレベーターへと向かう。

 赤いセーターを着た娘は、この豪華なホテルに明らかに場違いだった。

 エレベーターを待つ間、万之助が勝又を呼び寄せた。

「あのキンカン頭の文部大臣にな、権藤が急に熱を出して来れなくなったからと言って、300万ほど小遣いやっとけ」

 耳元でそう囁かれた勝又は、また300万かよ・・・とうんざりしながらも、「はっ」とサムライのように返事をした。

 万之助とみすぼらしい娘がエレベーターに乗り込むと、それを1階ロビーで見送った勝又は、上がって行くエレベーターの表示板を見上げながら、教祖の女の趣味がまたしてもわからなくなってきた・・・と呟いた。

 勝又はエレベーター前に置いてある椅子にさりげなく腰掛けると、昨日の女はハリウッド女優並の美しさだったと、昨日の女を思い出してはつくづくそう思った。

 それは昨日の女だけではなかった。半年前に万之助の秘書に就任した勝又は、その半年の間に合計二十人以上の蒼々たる美女達を万之助の前に連れて来たが、しかし、どの美女も万之助には気に入ってもらえず、その度に朝のビールジョッキが総理大臣の庭石に砕けた。

 勝又はあらゆるルートと大金を使っては、全国から美女を集めたつもりだった。その中にはミスなんとかと呼ばれる美女からテレビタレント、女優、ファッションモデル、などなど、一般人では到底手が出ない美女も大勢交じっていた程なのだ。

 しかし万之助はそんな美女達をことごとく「臭せぇ!」と毛嫌いする。

 もしかしたら万之助は派手な女が苦手なのではと思い、わざわざ京都まで出向いては古風な老舗料亭の女将を口説いて来たのだが、しかしそんな日本的美女にも万之助は「臭せぇ!」と一喝した。

 それでいて、今日のあの小便臭い赤いセーターの娘だ。

「あのおっさんの趣味はいったいどーなってんだよ・・・」

 勝又はエレベーター前の椅子で頭を抱えた。

 そしてなにげなくポケットから出した携帯電話をパカッと開き、アドレスを操作した。

 携帯のディスプレイに『中崎』という名が表示された。それは教祖の前秘書だった。

 勝又は中崎に電話をして万之助の女の趣味について聞いてみようかと考えた。

 中崎は20年間万之助の秘書を務めた男だ、この男ならきっと万之助の女の趣味を知り尽くしているだろうと思ったのだ。

 しかし、勝又はゆっくりと携帯電話を閉じた。半年前に秘書を退職した中崎は今は地元の精神病院に入院しているからだ。

 勝又は大きな溜息を付きながら椅子を立ち上がった。これから銀行に行って教団の口座から300万円を下ろし、その尊い金を腐った役人にやらなければならないのだ。

 重い足取りを引きずりながら車へ向かう勝又。ホテルの前に堂々と駐車されている黒光りセンチュリーを見つめながら、もしかしたら数年後の自分は精神病院のベッドの上にいるかも知れないとふとそう思ったのだった。

-3-

 2205室のドアを開けると、甘いフルーティーな香りがモワッと2人を包み込んだ。

 テーブルの上には、ホテル側が事前に用意しておいた万之助の好物のメロンやマンゴが瑞々しく輝いている。

 22階の窓に広がる東京の風景と、この豪華な部屋とその瑞々しい高級果物に、おもわず娘が「うあっ」と驚く。

「好きなだけ喰え・・・」

 万之助は娘にそう微笑むと、歩きながら革靴を脱ぎ捨てては窓際のソファーへと進み、そのままドスンと巨体をソファーへ沈ませた。

 娘はペパーミントグリーンに輝くメロンをジッと見つめ、まるで漫画のように「ゴクッ」と唾を飲んだ。

 その音を聞いた万之助がいきなりガハハハハハ!と大声で笑った。

 娘の顔がポッと赤くなる。

「・・・メロン。好きか?」

 ソファーにふんぞり返りながら万之助が娘にそう聞いた。

 娘はモジモジとしながら、「緑色のメロンは・・・食べた事ないんです」と、恥ずかしそうに照れ笑いした。

 どれどれ・・・と万之助がテーブルの上のメロンに手を伸ばす。

 ペシャっ・・・・

 まるでスイカにしゃぶり付くようにそれを一口で飲み込んだ万之助は、唇に溢れるメロンの汁をスーツの袖で乱暴に拭いながら、娘を見上げて「うめぇぞ。さぁ、喰え」と金歯を光らせた。

 目の色を変えてメロンにむしゃぶりつく娘を眺めながら、万之助は、やっぱり女子○生は可愛い、と密かに頷きながら、またしてもガハハハハハっと笑った。

 娘は万之助のマネをしているのか、フォークを使わず直接齧り付いていた。

 万之助は目を細めながらそんな娘を見つめ、「・・・ワシがメロンを初めて喰ったのは30歳の時だった。あれはワシが社会人になって初めて大儲けした時だったな・・・」と昔を懐かしむように語り始めた。

 娘が再びメロンにしゃぶりつきながら「何をして儲けたんですか?」と興味深く聞いた。

「あぁ、株だよ。株で大儲けしたんだ・・・うん」

 本当は保険金詐欺だった。20年前、暴力団と結託して繁華街のビルを放火し、グルになっていたそのビルのオーナーから火災保険の一部を報酬として受け取ったのだ。それが万之助の初めての大儲け。その金を元手に万之助は今の巨額の富を得たのだ。

「ところで、キミはどうして幸福ファミリーに入信したんだね」

 万之助は話題を変えた。

「はい。お母さんが、教祖様を信じていればきっと幸せになれると教えてくれたからです」

 娘はしゃぶり付いていたメロンを静かにテーブル上に戻し、万之助と同じように赤いセーターの袖で唇を拭うと、目をキラキラと輝かせながらそう答えた。

「お母さんも信者かね?」

「はい。ウチは家族全員が信者です」

 万之助は大きく頷きながら「それはよろしい」と布袋様のような顔をして笑った。

「お父さんの仕事は?」

「お父さんはいません。四年前に蒸発しました」

 娘は笑顔を浮かべながらハキハキとそう答えた。

 万之助はいつも不思議に思う。信者達はどうしてこうも自分の不幸を嬉しそうに語るのかと。

「私は末期ガンです!」と威張る老婆や、「自己破産しました」と笑顔で答える中年親父、「昨日、旦那を交通事故で亡くしまして」と、まるでスーパーの特売に間に合わなかった程度の残念さで答える主婦。そんな信者達を見る度に、万之助は「こいつら、頭がおかしくなったのか?」と思ってしまうのだ。

 そこで万之助は丁度いい機会だからと思い、どうしてそんなに暗い話しを明るく話すのかと、この娘に問い質してみた。

「だって、不幸な時こそ幸福に振舞いなさいって・・・」

 娘は戸惑いながらも、万之助の問いにそう答えた。

「誰がそんな事を言ったんだね」

「・・・・教祖様です・・・・」

 万之助はおもわず噴き出しそうになった。

 そういえば、数年前の大会で大地震の被災者達にそんな事を説いた覚えがあるとふと思い出したのだ。

 慌てた万之助は、「その通りです。よく覚えていましたね」と誤魔化し笑いをしながら、「ささ、マンゴはいかが?」などと娘にマンゴを勧めたりしたのだった。

 ベッドに寝かされた娘は、特別に教祖様からお撫でりをしてもらえるという事で、胸が爆発しそうなくらい緊張していた。

 通常、教祖様からお撫でりを受ける場合、最低でも500万のお布施が必要だといわれており、しかし例え1千万円払っていてもまだお撫でりの順番が回って来ない信者も沢山いた。

 そんな中、特別にタダでお撫でりをしてもらえるなんて、この娘にしたらまさしく夢のような話しだった。

「それでは、今からお撫でりを始めるからね・・・目を瞑って肩の力を抜いてリラックスするように・・・」

 万之助はベッドに寝転がる娘の横にあぐらをかきながら、ゆっくりと目を閉じる娘の顔を見ていた。

 娘が目を綴じた瞬間、万之助の背筋がゾクゾクと震えた。

(可愛い・・・・)

 ツルンとゆで卵のような白い肌。大きな目と整った鼻筋。そして何よりもそのプニプニとした唇が堪らなく可愛かった。

 万之助はドキドキしながら娘の顔を覗き込んだ。娘の唇に鼻の頭が当たりそうなくらいギリギリまで覗き込む。ふいに娘の唇からメロンの汁の香りが漂い、万之助はその余りの可愛さに悶え苦しんだ。

 視線を唇から斜め上へと移動させると、ショートカットの毛先がふんわりと首筋に広がっていた。

 少女の小さな耳の穴を覗き込む。奥の方に小さな耳糞がぶら下がっているのが見えた。

 万之助は深い息を吐きながら、ゆっくりとあぐらの姿勢に戻った。

「キミの体からは恐ろしいパワーの幸福の光が溢れ出ているのだが・・・しかし何かがその光を遮っている・・・」

 万之助は独り言のように呟いた。

 そして勃起している股間をスリスリと擦りながら、「その遮っているものを取り除けば・・・キミは大生位になれるくらいのパワーを持つのだが・・・」と残念そうに呟く。

 娘が目を閉じたまま「ホントですか!」と叫んだ。

 信者は目を綴じろと言われれば、例え大地震が来ようとも絶対に目を開けない。お撫でりの最中に目を開けると、体内に宿る幸福のパワーが全て消えてしまうと教えられているからだ。

 ま、もちろん、これも万之助が考えだしたデタラメであり、お撫でりの最中に目を綴じさせておけば好き放題悪戯ができるという、実に卑劣な考えから思い付いた「教え」なのであった。

「本当だとも。ざっと見た所、キミの体内には6000ヘルポほどの幸福パワーが宿っているよ」

「えぇ!」

 娘はギュッとめを閉じたまま絶叫した。

 ヘルポというのは、これまた万之助が勝手に考え出したデタラメな単位だった。

 この幸福ファミリーと言うデタラメ教団の信者は、それぞれ自分が持っている幸福パワーの量によって位づけられていた。

 その位というのは、下から、下生位(1000へルポ以上)、中生位(3000へルポ以上)、大生位(6000へルポ以上)、と「生の位」があり、これが一般信者達の位である。

 その上になると「天の位」という幹部信者のランクがあり、それは、下天位(1万へルポ)、中天位(3万へルポ)、大天位(6万へルポ)と、たちまちヘルポ数が跳ね上がるのだった。

 このヘルポ数が高ければ高いほど幸福になれると信者達は信じていた。

 因みに、教祖である万之助の位は、天の位の更に上の「神の位」という地位で、万之助はその中でも二番目に位が高い中神位を取得している。中神位は300万へルポ以上のパワーが必要とされ、その上をいく大神位になると、それはもはや「神」となるのだった。

 これら信者のヘルポ数を上げるのには、「神」にあと一歩の万之助の承認が必要だった。

 万之助がヘルポ数をあげる基準。

 もちろん、言うまでもなくお布施の額だった。

 1千万のお布施をしてもヘルポはたった1000へルポしか上がらない。

 世間一般の幸福を望むならば、最低でも3000へルポは必要だと、教団が発行する「幸福新聞」にも書いてある。

 だから信者達は必死になってお布施をするのだが、この不景気ではヘルポ数を上げるという事はなかなか難しい事なのだった。

 そんな中、この娘はいきなり教祖様から6000へルポの承認を頂いた。

 6000へルポといえば幹部一歩手前の大生位であり、一般幸福を遥かに上回った量なのだ。

 この貧しい娘が絶叫するのも当然なのである。

 万之助は、両目をギュッと閉じたままワクワクしている娘の赤いセーターの匂いを嗅いだ。

 セーターには家庭のニオイが漂っていた。

 そのままクンクンと鼻を鳴らしながら下へ降りて行く。

 安っぽいデニムのミニスカートは微かに石油ストーブのニオイが感じられた。

 ミニスカートから伸びる生足。その真っ白な肌は万之助にクラクラと目眩を与えた。膝っ小僧が妙に白くカサカサとしていた。そこは無臭だった。

 万之助の鼻は更に下へと降りて行った。

 脹ら脛を包み込む白いハイソックス。その先端は微かに黒ずみ、足の裏を見るとひどく汚れていたため、もしかしたら学校で上履きを脱いで走り回っていたのか?と思ったりしたが、しかし今日は日曜日だった。

 その黒ずんだハイソックスを豚のようにクンクンと鼻を鳴らして嗅いでみた。

 男のようなツーンと漂う足臭はまったく感じられず、どちらかというと埃っぽい臭さが感じられた。

 しかし、爪先は少し違っていた。そのニオイは明らかに「足の裏」のニオイなのだ。

 万之助はそのニオイを嗅いぎ、堪え切れず勃起したペニスをズボンの上から握った。

 舐めたい!人間のニオイを舐めたい!

 そう悶える万之助は、両目をギュッと閉じたまま、まだワクワクしている娘の顔を見た。

「しかし、せっかくのキミのパワーも、何かに遮られているためにそのパワーを充分に発揮する事が出来なくなっているんだな・・・・今のままだと、キミのパワーは500へルポに満たない・・・」

 万之助がそう言うと、それまでワクワクしていた娘の表情がいきなり暗くなった。

「・・・その遮っているものって・・・なんですか?・・・」

「いや、それは調べてみないとわからない・・・」

 娘は目を閉じたまま淋しそうな表情をした。

「調べてみるか?」

 万之助がそう言うと、娘の表情がパッと明るくなり「調べてもらえるんですか?!」と叫んだ。

「いいだろう。キミの持っているパワーは特別に強い。もしかすると1万へルポを越すかもしれん・・・これは教団にとってもヘルポアップに繋がる重要な課題だ。是非とも原因を追及して、キミのパワーを遮っている何かをすぐにでも取り除こうではないか」

「ありがとうございます!」

「よろしい。では、まずは何がキミのパワーを遮っているのかを調べるから、その赤いセーターとスカートを脱ぎなさい・・・」

 万之助は猪のような鋭い目で娘を見つめながら、ズボンの中で爆発しそうになっているペニスを激しく摩擦させては、ハァハァと臭い息を吐いたのであった。

-4-

 娘は何も疑う事なく何の躊躇いもなく素直に赤いセーターを脱いだ。

 娘の貧乳を包んでいる、やけに使い込んだブラジャーに万之助は目眩を感じた。

 脱いだセーターを丁寧に畳む娘。

 勝又がいつも連れて来る「オマンコの為だけに生まれて来たセックスマシーン」のような下品な女達とは大違いだと、万之助は密かに感動した。

 セーターを畳んだ娘は、スカートのボタンに手を掛けた瞬間、一瞬チラリと恥ずかしそうに万之助を見た。

 娘のその仕草に万之助の顔がとたんにカーッと赤くなる。

(えぇい!たかだかこんな貧乏娘に何を狼狽えているのだ万之助!俺様は裸一貫で天下を手に入れた今秀吉と呼ばれる男だ、こんなジャリの1人くらいで血迷うでない!)

 真っ赤な顔をした万之助は心でそう叫びながら自分を戒めた。

 娘はスルスルっとデニムのミニスカートを下ろすと、それも丁寧に畳み始めた。

 ベッドの上で天井を見上げ意味不明なお経を一心不乱に唱えていた万之助の目が、ゆっくりゆっくり娘の尻へと下がる。

 白い布のパンツに包まれた小ぶりな尻がキュンと天井に向かって反り立っていた。

(た、堪らんばい・・・)

 万之助は生唾を飲み込みながら再び天井を見上げ意味不明なお経に没頭したのであった。

 ブラとパンツとソックスだけを身につけた娘がベッドの上に静かに横になると、部屋中に響いていた気味の悪いお経がやっと止まった。

 万之助が目をゆっくりと目を開けると、ベッドに寝転ぶ娘とふいに目が合った。

 娘の目に脅えや恥じらいは見られなかった。娘は教祖様に全てを委ねているのである。

 しかし万之助の目は違った。あきらかに動揺し欲情し馬鹿になっている。

そんな万之助の不審な目に娘は気がついた。

「どうかなさいましたか?・・・」

 額から脂汗を垂らしてはハァハァと唸る万之助を心配そうに見つめる娘。

「い、いや・・・キミの体から溢れるヘルポが・・・凄すぎるのだ・・・」

 万之助はそう誤魔化しながら、娘の汚れなきその大きな瞳にタジタジになっていた。

「とにかく、お撫でりを始めよう。では・・・・」

 焦った万之助はさっそく手の平を娘の肩にソッと置いた。

 それによって娘もその大きな瞳を静かに綴じた。娘の視線から逃れられた事で、ひとまず万之助はホッと肩をなで下ろしたのであった。

 それにしても・・・・と、万之助は娘の真っ白な肌を優しく撫でながら思う。

 なんて綺麗な娘なんだ・・・・。

 万之助は娘の細く品やかな腕をいやらしく撫でながら、その使い古したブラジャーにそっと鼻を近づけた。

 微かに石鹸の香りがした。それが娘の体を洗った石鹸の香りなのかそれともブラジャーを洗濯した洗剤の匂いなのかはわからなかったが、とにかくそこからは庶民的な香りが漂っていた。

「うむ・・・因臭が感じられる・・・」

 娘の胸付近をクンクンと嗅ぎ回る万之助はそう呟きながら娘のアゴの下や肩甲骨を嗅ぎ回った。

「インシュウ・・・ですか?」

 目を閉じたままの娘が聞き慣れないその言葉に首を傾げた。

「うむ。因臭だ。キミの前世の匂いがまだ残っているということだ・・・」

「前世の匂いって・・・・なんですか?」

 娘は脅えた。

「つまり、キミが前世で犯した罪がまだ償われていないという因果だ。その因果が匂いとなって現世のキミの体から発せられているのだ・・・。どうやら、キミがヘルポを発揮できないのはこの因臭が原因と考えて間違いなさそうだな・・・」

 娘は慌てて、「私は・・・」と言い掛けて言葉を止めた。

 ブラの隙間を覗き込んでいた万之助が「なんだ」と聞く。

「私は・・・前世で何か悪い事をしたのでしょうか・・・」

 娘は恐怖のあまりに小さな鼻をヒクヒクさせながら呟いた。

「ふふふふふ。心配するな。人間誰でも過去に罪は犯しておる。だからこうして現世で修行し罪を償っておるのじゃ」

 万之助はそう言いながら、ブラの隙間からチラリと見えたピンクの蕾みに目眩を感じていた。

 万之助は「因臭の根源を探す」などとデタラメ言いながら、娘の身体中をくまなく嗅ぎ始めた。

 両腕を万歳させると、腋の下には脇毛の剃り残しがまるで寝起きのオカマの髭のようにポツポツと目立った。

 勝又が連れて来る女達の腋は、エステで脱毛しているらしく、まったく「ワビサビ」が感じられず万之助は不満だったのだ。

 しかし、この娘の腋は・・・・100店満点だ。

 ポツポツと生え残っている短い脇毛に顔を近づけると、そこはじっとりと汗が滲んでいた。

 匂いは無臭だった。

 万之助はそこに唇をソッと触れさせ、「因汁が出ているな・・・」と、またしてもデタラメをほざいた。

「インジル?・・・」

 腋の下を執拗に嗅がれる娘はくすぐったそうにそう聞いた。

「うむ。要するに因臭の友達みたいなもんだ」

 万之助はいい加減にそう答えながら、「この因汁を撤去する」と呟き、娘の腋の下をベロリと舐めた。

「キャハッ!」

 娘がくすぐったそうに腋を締める。

「こらっ!」

 腋に顔を挟まれた万之助は娘の腋の中で叫んだのだった。

娘の腋から滲み出た塩っぱい汗を存分に舐め尽くした万之助は、(女子○生の生汗が俺の胃袋の中で溶けて行く・・・)と、安物の官能小説のようなセリフを心で叫びながら悶えた。

 万之助は舌は、娘の白い肌を滑らかに下り、娘のキュッとひきしまった腰に到達した。

 娘の毛穴から滲み出る汗はまろやかな塩っぱさで、主治医から「塩分を控えるように」と言われている万之助にとっては好都合だった。

 万之助の舌が太ももに差し掛かると、娘は堪え切れず「きゃははははは!」と声を出して笑った。

「ちょっとくすぐったいかも知れんが我慢するんだ。まずはこの因汗が噴き出る毛穴を、300万へルポの私の唾液で洗浄しなければ、因臭は消えないのだ・・・」

 万之助はそうブツブツと呟きながら、ムチムチの太ももに舌を這わせ、そして念願の足首にまで到着した。

 万之助は娘のソックスをゆっくりと脱がした。

 ツルンとした娘の足の裏が輝いている。

 美しいが、しかしどこか庶民っぽい指。その先にさりげなく付いている小さな爪。指の間を広げて覗くとソックスの毛玉が溜っていた。

 ハァハァと荒い息を吐きながら、娘の指に鼻を近づけた。人間の匂いがプ~ンと漂って来る。

(これはズック靴の匂いだ・・・女子○生のズック靴の匂いに違いない・・・・)

 ズック靴を連発しながら娘の足の指の匂いを嗅ぎ、そしてズボンから捻り出した勃起ペニスに娘のソックスを被せた。

 人間臭い指の香りとザラザラしたソックスの感触が万之助に襲いかかる。

 もう我慢ならん!と指にむしゃぶりついた。とたんに娘がキャハハハハ!っと悲鳴をあげる。

 指の間に万之助の赤黒い舌がまるで生き物のように蠢いていた。唾液でダラダラに輝く娘の指に、どさくさに紛れてペニスを押し付けてみた。

 娘はただくすぐったそうに笑っているだけで何も気付いていない。

 万之助は唾液でヌルヌルになった両方の足の裏でペニスを挟ませた。いわゆる「足ズリ」というヤツだ。

 人間臭い娘の足の裏に包まれたペニスは、唾液でクチャクチャと音を立てながら上下にシゴかれる。

 ひっくり返ったカエルのようにガニ股に開いた娘の股間からは、白い綿のクロッチが早くおいでとばかりに万之助に手招きしていたのだった。

-5-

 ホテルの特別ラウンジで、勝又は白ナマズのような顔をした文部大臣の顔をジッと見つめながら、この男に300万円全額渡すべきかどうかを悩んでいた。

 この300万円はどうせ領収書のいらない裏金だ。しかも万之助が後から文部大臣に渡した金額を聞く事もまずありえない。

 だから200万だけ渡して100万円ネコババしたってバレないのである。

「ぬほぬほぬほ・・・そうかね、権藤君は風邪をひいたのかね・・・・ぬほぬほぬほ・・・」

 このぬほぬほと笑う妖怪のような笑顔の裏には、「ならば金をくれ」といわんばかりの本当の顔が潜んでいるのを、幸福ファミリー教祖秘書の勝又はよく知っていた。

 勝又はおもむろにカバンを取り出し、白ナマズに見えないようにカバンの中をガサゴソと漁ると、銀行名の入った封筒の中からこっそり100万円抜き取った。

 そして200万円の入った封筒を白ナマズにソッと差し出し、「こちらは教祖からの寸志でございます」と言うと、白ナマズはまるで稚魚をペロンの飲み込むかのような素早さで、その封筒を懐に飲み込んだのであった。

 一方、万之助は娘の足の裏でイキそうになったペニスを「えいやっ!」と寸止めし、目を瞑っている娘を悪戯に脅えさせていた。

「教祖様・・・私の因臭は消えたのでしょうか?」

 娘は眉間にシワを寄せながら恐る恐る聞いた。

「いや、まだまだこれからだ・・・キミの因臭はかなりの因果を背負っておるようだ・・・」

 娘は起き上がらんばかりに慌て「えっ!えっ!」と困惑した。でも目だけはしっかり閉じている。

「キミは何代か前の前世で、赤子を堕胎しているふしがあるな・・・」

「だたい?・・・ってなんですか?」

「うむ・・・いわゆる・・・妊娠中に腹の子供を意図的に殺してしまうという罪だ・・・」

 娘は「えっ!」と絶句した。しかし目はちゃんと閉じたまま。

「キミの性器から唯ならぬ妖気が感じられる。この妖気はまさしく成仏されぬ赤子の魂に他ならない・・・」

 万之助は再び「えいやっ!さーっ!」とデタラメに絶叫すると、娘が横たわるベッドに飛び乗った。

「・・・その妖気があると・・・どうなるんですか?・・・・」

 娘は既に半泣き状態だった。

「成仏されない赤子の妖気をこのまま子宮の中に宿しておくと・・・・将来、生まれて来るキミの子供はきっと・・・ジャイケル・マクソンのような顔をした猿だ・・・・」

 キャーっ!と娘が悲鳴をあげた。

「しかし安心しなさい。私が最強のヘルポを子宮に注入し、赤子の邪悪な魂を安らかに成仏させてやる」

「お、お願いします!!」

 娘は、ジャイケル・マクソンのような猿をどのように想像したのか、必死の形相でそう絶叫したのだった。

 白い綿のパンツは、いかにも垢抜けていない女子高生そのものだった。

 しかし万之助にはそんな毛玉だらけの使い古したパンツがどうにも堪らない。

 万之助は娘の足をM字に開かせると、娘の股間に顔を近づけそのクロッチをジロジロと見つめた。

 所々に毛玉がくっ付くクロッチには、薄らと黄色い縦線が走っていた。それはあきらかに娘のオリモノだった。

 そんな黄色い縦線にソッと鼻を近づけてみた。

 ツーンっと小便の匂いが万之助の鼻を襲った。

(さすがだ・・・さすがだぞ女子○生・・・・)

 万之助はそう頷きながら娘のパンツに手を掛けた。

 ピクン!と腰を震わせた娘が「あのぅ・・・・」と恐る恐る声を掛ける。

「・・・なんだ」

「シャワーを浴びて来たら・・・ダメですか?」

「ふざけるな!」

 万之助はおもわずそう叫んでしまい、慌てて言い直した。

「いや・・・因臭を洗い落としてしまうと、その根源がわからなくなってしまう恐れがある・・・だからこのままでよろしい・・・」

 娘は諦めたのかもう何も言わなくなった。

 ただ、パンツがスルスルと下ろされる時、ギュッと目を綴じながらも微かに「うっ」と恥ずかしそうに唸ったのを万之助は見逃していなかった。

 そんな娘の「恥じらい」に激しく悶える万之助は、足首から抜き取ったパンツを、目を閉じる娘の前で堂々と開いては覗き込んだ。

 白いクロッチには、まるでバターを塗られたトーストのように黄色いオリモノがベットリと付着していた。

 それはとんでもないニオイがした。

 これぞまさしく鼻が曲がらんとする強烈なニオイなのだ。

(こいつは・・・マンコの洗い方をまだ知らネェな・・・・)

 そう思った万之助は嬉しくて「海ゆかば」を唄い出したいくらいだった。

「・・・つかぬ事を聞くが、キミはまだ処女かね?」

 酸味を含んだオリモノをチロチロと舐めながら万之助が聞いた。

 娘はコクンと頷き「はい・・・」と返事をした。

 万之助の頭の中に「処女の激カワ女子○生」というタイトルがパノラマサイズでドーン!と浮かんだ。

 まだ男根を食らい込んでいない純粋なシミに益々興奮した万之助は、唾液でネトネトになったクロッチをペニスの先に擦り付けたのだった。

「さて・・・」と、何が「さて」なのかわからないが、娘の脱ぎたてパンツで散々楽しんだ万之助は、そう呟きながらゆっくりと娘の股間へと移動した。

 真っ白な太ももの中心にゴワゴワとした淫らな陰毛が炎の如く蠢いていた。その陰毛の奥にはやや黒ずんだ小さな唇が侵入を拒むかのようにキツく口を閉ざしていた。

(かわいいマンコだ・・・)

 万之助は感動を覚えながら、その小さな唇に鼻を近づけた。

 クロッチのシミよりは悪臭は漂って来なかった。しかし、それは口を閉ざしているからであり、その唇を開ければどんな強烈なニオイが飛び出してくるかも知れない。

 万之助は静かに娘の小さな口に指をあてた。

 娘の全身がピクン!と小さく痙攣する。

「正直に答えなさい・・・キミは、自分の指でココを触った事はあるかね・・・」

万之助は溢れるハァハァ息を懸命に堪えながら聞いた。

「・・・はい・・・あります・・・」

「どんな時に?」

「・・・・お風呂とか・・・お手洗いだとか・・・・」

 娘がそう呟くと、すかさず万之助が「そんな事を聞いているんじゃない。キミは自分でココを慰めた事はあるのかと聞いているのだ!つまりオナニー!」と叫び、興奮ついでにババブピ!という奇怪な音の放屁もした。

「・・・・・・・・」

 無言となった娘の顔を見ると、オナニーと言う言葉に反応したのか、娘は顔をカーッと赤く染めていた。

「・・・いや、恥ずかしがらなくてもよい。思春期には誰でもやることじゃ。ただ、キミがどんな風にそれをしたのか詳しく知りたいんだ。その方法によってはキミのせっかくのヘルポパワーが消滅している恐れがあるからなんだ・・・」

 万之助はデタラメ言いながら、娘の陰毛を手の平でサワサワと触っていた。

「・・・あのぅ・・・実は・・・昨日・・・・」

「昨日?!」

 万之助は少し嬉しくなって、まだ少し腹の中に残っていたガスをパスっ!放屁した。

「・・・はい・・・昨日の晩、お風呂で・・・・」

「お風呂でどうやったんだ?詳しく教えなさい」

「・・・石鹸で洗っている時・・・指で・・・弄りました・・・」

「どこを!どこを弄ったと言うんだね!ここか?」

 万之助は小さな唇に人差し指を押し付けた。

「違います・・・もっと・・・上です・・・」

「上?ならばここか?!」

 万之助は小さく突起しているクリトリスを指腹でギュッと押した。

「あっ!」と娘は腰を反らした。

「ここか?ココなんだな?キミがクリクリと弄ったのはこのお豆さんなんだな?」

 万之助がそう言いながらクリトリスを指腹でクリクリと捏ねくり回すと、娘は下唇をギュッと噛みながら「はい」と返事をした。

「で、それからどうした?もっと詳しく教えなさい」

「・・・・それから・・・シャワーで・・・・」

「シャワー?シャワーでどこをどうしたんだ、ん?」

 万之助は少女の股間をクンクンと嗅ぎつつ、剥き出したペニスを堂々とシゴきながら尋ねる。

「シャワーを・・・そこにあてて・・・」

「そこ?そことはどこだ?ここか?それともここか?」

 万之助は手当り次第に娘の性器を触りまくった。

 そして「うぅぅん・・・」と唸りながらも、娘が「そこです!」と叫んだのは、ムンズと唇を閉じた性器のど真ん中だった。

 万之助は「よしよし・・・では中を調べてみよう・・・」と呟きながら、閉じていた小さな唇を静かに指で開いた。

 そこは恐ろしい程にピンク色に輝いていた。

今まで数々の女のマンコを見て来た万之助だったが、これほどまでに鮮明なピンク色のマンコを見たのは初めてである。

 おもわず「おぉぉ・・・」と唸った万之助は、他犬のウンチを発見した野良犬の如く、本能でソコに鼻を近づけ、クンクンと嗅ぎ始めた。

 娘のソコは由緒正しい女性器のニオイがした。勝又が連れて来る女達のような、あたかも前夜に中出しされた精液が発酵しているのを隠すべく匂いのキツい香水で誤魔化すようなそんなフシダラなニオイは微塵も感じられなかった。

 人間のニオイ。汚れを知らない処女のニオイ。そう、娘の性器からは性器本来が持つ「淫臭」が実に正確に漂っていたのだ。

 その匂いを表現するなら「スーパーの鮮魚売場の生魚の下でトロトロとその身を溶かしている氷の水」とでも表現しようか、一見清潔そうではあるがしかしそのトロトロと溶け出した氷の水は生魚の生臭ささをふんだんに含み、その生臭い水が滴る排水口にはハエが集りゴキブリが這い回る。

 そう、娘の淫臭に鼻を近づけ悶える万之助は、ハエやゴキブリと同じなのだ。

「うむ・・・やはりここから大量のへルポが漏洩しておるな・・・」

 万之助がピンクの濡れ肉を見つめながらそう告げると、娘は泣きそうな声で「ごめんなさい・・・」と呟いた。

 その娘の声が堪らなく可愛く、おもわず興奮した万之助はその桜色に輝く肉穴をペショッと舐めた。

「ひっ!」と娘の身体が縮んだ。

「もの凄いヘルポ漏れだ・・・一刻も早くこの穴を塞がないと、せっかく体内に宿ったキミのヘルポはなくなってしまう」

 万之助は大袈裟にそう叫びながら、そのままペニスをぶち込んでしまおうかどうしようか悩んだ。

 このまま「穴を塞ぐぞ!」と叫びながらペニスを挿入した所で娘は何も怪しまないだろう。いや、むしろそれは下級信者にすればとんでもなく光栄な事であり、怪しむどころか歓喜の悲鳴を上げるはずだ。

 しかし万之助は、ここで簡単に貫通させてしまうのは少しもったいない気がした。これほどの美少女で処女でしかも何でも言う事を聞く馬鹿な信者は滅多にいないのだ。

(もっともっとゆっくりと時間を掛けてこの貴重な処女を頂くとするか・・・・)

 そう思った万之助は、その日の貫通式を断念した。

「今はヘルポ漏れの症状が酷すぎる。ここで強引に治療するのは危険だ。だから今日の所はとりあえずヘルポ漏れを緩和させる『汁』を塗り込んでおこう・・・」

 万之助はいつしか医師のような口調になっていた。

「その汁でヘルポ漏れは治るのでしょうか?・・・」

 娘は悲願するかのように眉間にシワを寄せながら聞いた。

「キミがシャワーや指で弄らない限り悪化は防げるだろう」

 万之助はそう言うと、娘の両足をM字に開かせ、正常位の形になった。

 娘は両手を万歳させられ、ポツポツと脇毛が生える腋の下をおもいきり開かされた。

 娘の白魚のように細い体に万之助の猪のような醜い巨体がゆっくりと重なる。

 万之助は娘のプクリと膨れた貧乳に頬擦りしながら、娘のワレメの前でシコシコとペニスをシゴいた。

「もうオナニーはしたらダメだぞ・・・」

 万之助がそう呟きながら貧乳の先でピコンと立っている桜色した突起物を、メロンにむしゃぶりつくかのようにベショっと舐めた。

「・・・はぃ・・・もうしません・・・ごめんなさい・・・」

 万之助は、少女の「ごめんなさい」という声に激しく欲情し、もっと少女の「ごめんなさい」を聞きたいが為に、娘の貧乳から腋の下へと舌を這わせ、ザラザラとするソコを舐めながら、「もう何をしないんだ?はっきり言いなさい」と聞き直した。

「はぃ・・・もうオナニーは・・・しません・・・ごめんなさい・・・」

 娘のプルプルとした可愛い唇から、新たにオナニーという卑猥な言葉を聞いた万之助は、脳天をクラクラさせながら興奮し、娘の細く品やかな腰を左手で強く抱きかかえながら、右手でペニスをシゴきまくった。

「そんな小さな声では信用できないなぁ・・・もっとはっきりと『もうオナニーしません。パンツを汚しません、ごめんなさい』と私に誓いなさい・・・」

 万之助はそう言いながら娘の白ネギのような細いウナジに顔を埋め、そして上下にシゴくペニスの先を娘のワレメにグリグリと押し付けた。

「・・・もうオナニーはしません・・・パンツも汚しません・・・ごめんなさい・・・」

 万之助は枕元に転がっていた娘のパンツを手にし、それを広げては黄色いシミに鼻を押し付けた。

 強烈な小便臭がたちまち万之助の脳を蕩けさせる。

「それでは誠意が伝わらん。もっと何度も言いなさい!」

「はい!・・・もうオナニーしません。パンツを汚しません。もうオナニーしません、パンツを汚しません・・・・」

 娘はお経を唱えるかのように何度も繰り返しそう言った。

 そんな娘の唇に鼻を近づけ、ほんわりと漂うメロンの息をクンクンと嗅ぎながら万之助は射精した。

 万之助のペニスから飛び出した精液は、娘のワレメにピュッピュッと飛び散った。その精液が飛び散ったワレメに亀頭の先をグニョグニョと擦れ付けながら、万之助は幼い娘の身体の上で蕩けていったのであった。

 

-6-

「勝又!」

 小鳥達がさえずる権藤家の朝の庭に万之助のいつもの声が響き渡る。

「はっ!」

 喉の先で言葉を破裂させたような返事をする勝又が、サムライのように渡り廊下を駆け巡る。

「・・・今日の予定は?・・・」

 万之助は読みもしない経済系の新聞を象牙の座卓の上に大きく広げながら、グビグビと朝のビールを飲んでいた。

「はっ。本日の予定は、10時から全日本医師友の会会長の松永氏との懇談がございまして、午後からは関東笹暮一家の爪切総長との会合、そして夕方5時からは赤坂の料亭で」

「もういい」

 万之助は座卓の上にガッ!とジョッキを置きながら勝又の言葉を切った。

 そして勝又の目をジッと見つめたまま、ガボォォォっという象の鳴き声のような長いゲップをひとつすると、「それ全部キャンセル」っと呟き、煎餅をバリバリバリっと獰猛に噛み砕いた。

「いや、しかし、全日本医師友の会の懇談会は1年も前からの約束でして・・・」

「なら、もう1年延期すればいい」

 万之助は口の中一杯の煎餅をプップッと吐き出しながらそう言った。

「しかし、それではあまりにも松永氏が・・・」

「んなもん、一本ほど包んどけばいいだろ」

 万之助がいう一本とは1000万円を意味していた。

「では、笹暮一家は・・・」

「ヤクザ者がワシと会う何ざぁ100年早いと言ってやれ・・・」

「・・・・・・・」

 勝又は青ざめた。関東笹暮一家とは全国に名の売れた武闘派組織で、たかだか60万人ぽっちの新興宗教など赤子の手を捻るかのように簡単に潰せるだけの力を持っていた。そもそもそんな危険な笹暮一家を幸福ファミリーの親衛隊にしたいと言い出したのは万之助なのである。だから勝又は政財界のあらゆるツテを辿ってやっとこの度、笹暮一家の総長との会合を実現させる事にこぎ着けていたのだ。

「しかし教祖、笹暮一家は・・・・」

「うるさい!」

 万之助の手から飛び出したビールジョッキは勝又の頬をスレスレに通り抜け、庭に置いてある大きな庭石にガシャン!とぶつかり無惨に砕けた。

「そんなヤクザ者、とりあえず一本渡しておけばいいんだ。やい勝又!」

「はっ!」

「貴様、この俺様を誰だと思ってるんだ・・・」

「はっ。幸福ファミリーの教祖様でございます」

「阿呆!この俺様はなぁ、幸福ファミリーの教祖でありながらも、この日本の闇を牛耳るフイクサなのだ!そんなヤクザモノの1人や2人、ケツ紙の1000枚でもくれてやって飼い犬にしてしまうがいい!」

 勝又は心の中で「それを言うならフィクサーだろアホ」と呟きながらも、そんな万之助のバカな演説を延々と聞かされていたのだった。

 結局、全ての会合をキャンセルする事となった。その尻拭いは全部勝又がしなければならなかった。

 肝心の万之助はというと、例の娘を連れて熱海の別荘へ雲隠れしてしまったのだった。

医師友の会の会長に散々嫌味を言われながらも、なんとか一本で会長を宥める事ができた勝又だったが、しかし笹暮一家が問題だった。

 笹暮一家の総長が待つ赤坂のホテルへ行くと、既にロビーにはその筋とわかるゴロツキ共がウヨウヨと待機していた。

 そんなゴロツキ達の中を風呂敷に包んだ一本を手に、総長が待つ部屋へと向かう勝又の足は震度6強に匹敵する揺れが延々と止まらなかった。

 部屋に入るなり、ソファーに座る総長の前へ風呂敷包みを置いた。

「・・・なんだこれは?」

 総長は三本しか残っていない指で濃紺の風呂敷包みをギュッと押し、その金額を測っていた。

「実は・・・・」

 勝又が急な発病で教祖が来れなくなった旨を総長に伝えると、総長の隣に座っていたゴルゴ13のような男が「キミ達はボク達をなめてんのかな?」と子供をあやすかのように勝又の顔を覗き込んだ。

 結局、キャンセル料と言う事で合計3000万円の請求をされた勝又は、二つ返事でそれをのみ、命からがらの思いで赤坂のホテルを逃げ出したのであった。

 一方その頃、万之助はというと、制服を着たままの娘を布団の上に寝かせ、まるで犬のように娘の身体中をクンクンと嗅いでいた。

「この制服からは・・・かなりの因臭が漂っているが・・・もしかしてこの制服を着たままオナニーをしたなんてことはないだろうね・・・・」

 万之助は娘に『いつも学校に着て行く制服』を持参するように事前に言っておいた。熱海の別荘に着くなり娘はその制服を着るように命じられていたのだ。

「・・・・ごめんなさい・・・・」

 娘は布団の上でジッと目を閉じたまま、そう小さく謝った。

「という事は、この制服を着たままオナニーした事があるということか?」

 万之助の声がうわずった。

「・・・はい・・・・」

「いつ!どこで!どうやって!」

 万之助はそう叫びながらミニスカートの制服の中をジッと覗き込んだ。

「一ヶ月ほど前・・・・学校のトイレで・・・・ごめんなさい・・・・」

「ごめんなさいではわからん!もっと詳しく説明したまえキミ!」

 ミニスカートの中のモッコリと膨らんだ白い股間に微かな縦割れシワを見つけ、それに欲情した万之助がそう叫んだ。

「はい・・・お昼休みに、トイレでオシッコして・・・ココを紙で拭いてたらなんだかムラムラしちゃって・・・」

「オッシコか・・・」

「・・・はぃ・・・」

 万之助は覗いていたスカートからゆっくり顔を出し、そして目を閉じたままの娘を布団の上にゆっくりと起き上がらせた。

「オシッコ・・・ちょっと調べてみよう・・・」

 万之助はそう言いながら目を閉じたままの娘の手を引いて、熱海の町が全貌できる大きなバルコニーへと連れ出した。

「どうすればいいんですか?・・・」

 まるで全盲者のように頼りない足取りで万之助に誘導される娘は、不安そうにそう呟きながらパルコニーの隅に立たされた。

「うむ・・・とにかくキミのオシッコを採取しよう。調べるのはそれからだ」

万之助は娘のミニスカートの中に手を入れると、指に伝わるその感触を味わうように慎重に娘のパンツを下ろした。

「出るかなぁ・・・」

 自信なさそうにそう言いながら娘がゆっくりとしゃがんだ。

 ノーパンミニスカートでしゃがむ女子高生の股間を、バルコニーの床に顔を押し付けながら覗き込む万之助は、燦々と太陽の光が降り注ぐ下で見る娘のワレメを素直に美しいと思った。

 万之助は、目を閉じたままの娘の股間の下にこっそりと手の平を開いた。娘のワレメから飛び出すオシッコを掬い取ろうという魂胆なのだ。

「さ、早くしなさい・・・」

 準備万端の万之助がそう言うと、娘は下唇をギュッと噛みながら「ふっ」と力んだ。

 パックリと開かれたワレメがヒクッとしたかと思うと、急に「チロッ!」っと少しだけ黄金水が飛んだ。

 生暖かい感触が万之助の手の平に広がる。万之助は素早くそれをペシャリと舐めると、すぐさままた股間の下に手の平を開いた。

 万之助の口の中に甘くて塩っぱい「娘の味」が広がった。

「あっ、出ます!」

 娘がそう小さく叫んだ瞬間、ワレメの上部にある尿道がクワッと開き、シュッ!と音を立てて小便が飛び出した。

 シャァァァァァァァァ・・・・・・・

 娘のおしっこは四方八方に雫を飛ばしながら、万之助の手の平の上に迸った。その噴き出る水圧におもわず驚く万之助は、(さすがは処女だ・・・)と密かに感動した。

 万之助の手の平に溜る娘のオシッコがドボトボトボ・・・っという音に変わって来た。手の平から溢れては床に滴り落ちる黄金水を、万之助は素直にもったいないと思った。

 万之助は好奇心から、そのオシッコが噴き出している尿道に指をあててみた。

「ひやっ!」驚いた娘は、条件反射からか「ヒクッ!」と膣を痙攣させながら小便を止めた。

 急にピタリと小便を止めた娘の膣を覗き込みながら、万之助は「ほう・・・」と驚く。

 昔、万之助は向島の芸者と同棲していた事があるが、その芸者はオマンコのシマリを良くする為にと、小便の最中に何度も何度も小便を止めては膣筋を鍛えていた。しかし35を過ぎたその芸者は上手く小便を止める事が出来ず、いつも太ももやくるぶしを小便でベタベタに濡らしていた。

 そんな芸者は小便の飛び散ったくるぶしを拭きながらいつも言っていた、「アタシも若い頃はピタッ!と止めれたもんだけどねぇ・・・こうも使い過ぎてユルユルになってたら、もうどーしょーもないよ」と。

 そんな芸者の言葉をふと思い出した万之助は、そのピタリと小便を止めた娘の膣を見ながら、さぞかしシマリ具合は良さそうだ・・・とニヤリと目をギラギラさせながら微笑んだ。そして手の平に掬っていた生暖かい娘の小便をズズズッと飲み干すと、しゃがんだままの娘の股間に顔を押し込み、小便で濡れたワレメに舌を捻り込んでは、娘のその膣筋を舌で確認したのだった。

-7-

 夜の8時。

 呼び出された勝又が熱海の別荘に到着すると、制服姿の娘が別荘から出て来た。

 娘は勝又の車のドアを開けると「お願いしまーす・・・」と元気よく叫び、助手席にスッと乗り込んで来た。

 ハンドルを握る勝又が車を発進させると、助手席の娘が「いつも送ってもらってすみません」と可愛く囁いた。

 勝又が娘を自宅へ送り届けるのはこれで4度目だった。

 その度に、あの垢抜けなかった貧乏臭い小娘が、みるみると可愛くなっていくのにはさすがの勝又も驚きを隠せなかった。

「で、今日はどんな『施し』を頂きましたか?」

 勝又がチラッと娘を見ながらそう聞いた。因みに「施し」とは、幸福ファミリーの教団用語で、信者が教祖様からパワーを与えてもらうという意味だ。

「はい。今日はオシッコの出る穴を『お撫でり』して頂きました」

 娘は何の疑いもなくそう答え、勝又はおもわず噴き出しそうになった。

「という事は、まだ『汁』は頂けなかったの?」

 娘は「はい・・・」と少し残念そうに返事をした。

「汁」とは、教祖の体液を示す教団用語で、つまり簡単に言えば精液。「汁を頂く」というのは、要するに教祖に中出しされるという意味だ。

「それは残念だったね・・・・」

 勝又はそう答えながらも、あの糞ジジイはこの小娘をどこまで引っ張るつもりなんだと、とたんに苦々しく思った。

 教祖がこの小娘にウツツを抜かしている間、また今日みたいな勝又が恐ろしい目に遭う可能性は高いのだ。

 一日も早くこの小娘に飽きてくれればいいのにと勝又は思いながらも、しかし反面、この娘がいるおかげで、あの忌々しい女集めをさせられなくて済むという安心感も同時にあった。

 車は熱海の温泉街を通り抜け、夜の国道に出た。

 ビュンビュンと飛ばす大型トラックに無謀な追い抜きをされながらも、勝又は制服姿の少女のミニスカートから伸びる真っ白な太ももをチラチラと見ていた。

(処女か・・・一度でいいから処女とヤってみたいよな・・・)

 勝又はそう思いながら娘のハイソックスをソッと見つめ、その清純な女子高生の足にムラムラと欲情しながらも、教祖がここまで処女の娘を大事に引っ張っている理由がわかったような気がした。

 それにしても、教祖がこの娘にウツツを抜かすようになってからというものいったいいくらの金をドブに捨てた事か・・・・

 勝又はそう思いながら、教祖がこの娘の為にスッポカした「詫び金」を計算してみた。今日の笹暮一家の3千万と医師友の会への1千万、そして代議士と弁護士へ払った金を合計すれば、これまでの損害は軽く1億を超えていた。

 おもわず頬をブルブルっと震わせた勝又は、再び娘の顔をチラッと眺め、(1億円の処女か・・・すげぇなぁ・・・)と大きな溜息を付いたのだった。

 と、その時だった。

 突然、助手席の暗闇で、娘が「うふふっ」と嬉しそうに笑った。ふと勝又が見ると、娘は何か紙切れのような物を眺めてはニヤニヤと嬉しそうに笑っている。

「なんだいそれは?」

 勝又は後でパッシングしてくる大型トラックに道を譲りながら娘に聞いた。

 娘は慌てて「バッ!」とその紙を背中に隠した。そして大きな目を更に大きく広げながら「なんでもないです」と酷く狼狽している。

 瞬間に怪しいと感じた勝又は、すぐ目の前にあった潰れたドライブインの駐車場に車を滑り込ませ、エンジンを掛けたまま仮眠している大型トラックの間を擦り抜けては駐車場の一番奥で車を止めた。

 ギギギッとサイドギァを引くと、娘が狼狽えたままその紙切れをバッグの中に仕舞おうとした。

 それを素早くサッ!と勝又が奪い取ると、娘が「ダメ!」っと叫んだ。

 紙切れを奪い返そうと娘が猛然と襲いかかって来た。勝又はそんな娘を払い除けながら、ルームライトを付けその紙をライトに照らした。

『井上弥生氏に1万へルポを授ける』

 そう乱暴に書かれたメモ用紙には、教祖の直筆の署名がされてあった。

 メモを摘んでいた勝又の手がガタガタと震えた。

 1万へルポといえば「天の位」である。秘書の勝又でさえ4000へルポであり、教団で1万へルポと言えば3人の幹部信者しかいないのである。それは一般信者からしたらもはや神に近い存在なのだ。

「これ・・・どうしたの・・・・」

 ブルブルと震えながら勝又がそう聞くと、娘は素早く「サッ!」とその紙切れを奪い返し、それを胸にしっかりと抱いたままジッと勝又を睨んだ。

 廃墟となったドライブインの壁に、海坊主のようなトラック運転手が小便を掛けていた。その迫力ある立ち小便の音がドボドボドボ・・・っと、少しだけ開けていた運転席の窓から聞こえて来た。

「・・・教祖様に頂いたの・・・」

 助手席で踞る娘は、下唇をキュッと噛み上目遣いで勝又を見つめながらそう答えた。

「・・・どうしてそんなにヘルポを・・・」

 勝又はうわずった声で聞いた。立ち小便をする海坊主が「北酒場」を口ずさみ始めたため、勝又は静かに窓を閉めた。

「・・・施しを受ける度に教祖様がくれるんだもん・・・」

 娘は「嘘じゃないよ!」と言わんばかりにムキになってそう言うと、暗闇の助手席の中でキッ!と目を光らせ勝又を睨んだ。

「って事は・・・今までにもヘルポを頂いていたの?・・・」

 恐る恐る勝又が聞くと、娘は少し間を置いて「コクン」と頷き、「でも内緒だよ」と心配そうに勝又の顔を覗き込んだ。

「どうして内緒なの?」

「・・・だって・・・私はまだ未成年だから、こんなにヘルポを持ってる事が皆に知れたら悪用されるかもれないからって・・・」

「教祖に口止めされたの?」

 娘は再びコクンと大きく頷いた。

 立ち小便する海坊主の隣に、新たにトラック野郎が加わり連れションとなった。

 海坊主が「腰に来ちゃってよぉ」と言うと、もう1人のトラック野郎が「やりすぎだべ」と下品に笑った。

 目の前の国道をビュンビュンと走り去って行く大型トラックの群れ。そんなトラックのチカチカと輝くネオンを見つめながら、勝又は恐る恐る口を開いた。

「今・・・どれだけヘルポを持ってるの?・・・」

 そんな勝又の質問にポツリと答えた娘。

 娘が答えたヘルポの数に、勝又はフッと一瞬意識が飛んだ気がした。

-8-

「勝又ぁぁぁぁ!」

 いつものビールジョッキに続いてクリスタルのガラス製灰皿が宙を舞った。

 ジョッキ以外に物が飛んで来たのは2ケ月ぶりで、その時飛んで来たのはテレビのリモコンだった。理由は、教祖の常備薬である「バフェリン」を買って来たつもりが、間違えて「セデズ」を買って来てしまったという、たったそれだけの理由だった。

 しかし、今回はゴツいガラス製灰皿だ。しかもそのクリスタルのガラス製灰皿は、今や世界的な映画俳優となった真壁進一がハリウッドのおみやげにとくれたもので、教祖の大切にしていたものだった。

 そんな豪華なクリスタル灰皿が総理大臣から送られて来た庭石に激突しパキッと2つに割れた。

 教祖はまるで不動明王のような目で勝又を睨んだ。

「勝手に2千万も使いやがって・・・しかもよりにもよってヤクザモノなんかに・・・・」

 勝又は、「しかし・・・」と言い掛けてやめた。教祖が座る象牙の座卓には、相撲取り組合の理事である雅勝親方から貰った巨大な湯呑みがまだ残っているからだ。ヘタに逆らってその湯呑みまで飛んで来ては敵わないと思った勝又は、畳に額を擦り付けてはひたすら詫びを入れたのだった。

「オマエは本日限り秘書を解雇。3000へルポ没収。いいな」

 教祖は眉間に深い縦皺を作ったまま、平伏した勝又を見下ろしそう言うと、「そのかわり・・・」とすぐさま言葉を付け加えた。

「あの娘の専属運転手として使ってやる。給金だけはそのままにしておいてやるからありがたいと思え」

 教祖がそう告げると、勝又は畳に顔を押し当てたまま「ありがとうございます!」と叫んだのだった。

 その後、秘書を解雇されおまけに3000へルポまで没収されてしまった勝又は、一般信者へと降格させられ、毎日毎日、女子○生の送迎に明け暮れていた。

「今日のヘルポはどれだけだった?」

 万之助が所有する伊豆の高級リゾートホテルから娘を自宅へ送る途中、いつものように勝又が聞いた。

「今日はね・・・ほら!5000へルポ!」

 娘はメモ用紙に手書きされた『井上弥生氏に5000へルポを授ける』の紙切れを運転席の勝又に見せ、無邪気な笑顔で嬉しそう笑った。

「で、今日はどんな『施し』を受けたの?」

 勝又は、何の効力ももたないその『メモ用紙のラクガキ』を横目でチラッと見ながら、助手席で「むふふっ」と嬉しそうに笑っている娘に聞いた。

「今日はね、私の身体に取り憑いている悪霊の除霊をしてもらったの」

 娘はその実に胡散臭い言葉を、何の疑いもなく素直にそう言った。

「除霊って・・・どうやって?」

「あのね、悪霊が逃げ出せないように私の足と手をロープで縛ってね、それで教祖様が『お撫でり』と『お舐めり』で私の身体を清めて下さったの」

 そう嬉しそうに話す娘の声を聞きながら、勝又は、それはただのSMじゃねぇか、と反吐が出そうになった。

「で、悪霊は除霊できたの?」

 勝又は意地悪な口調でそう聞いた。

「うぅぅん」と娘が唇を尖らせながら首を振る。

「・・・でもね、悪霊はかなり弱って来ているんだって。だから明日は教祖様の『汁』を悪霊に掛けて退治するんだって。この悪霊さえ退治できたら私のヘルポが減る事はもうなくなるんだよ」

 娘は無邪気に笑った。

 勝又はそんな無邪気な娘を横目で見つめながら、いよいよ明日、この汚れなき処女はあの薄汚い親父の糞チンポをぶち込まれて女にされるのか、とそう思い、無性にメラメラと腹が立って来た。

 そのまま勝又は国道沿いにある「つりぼり」と看板が掲げられた駐車場に車を滑り込ませた。

 その「つりぼり」は随分前に閉鎖されたらしく、駐車場の奥にある「つりぼり小屋」は無惨に荒れ果て、つりぼりとして使われていたらしき池は水も乾涸び雑草が覆い茂っていた。

 奥の小屋の前に仮眠中らしき長距離トラックが止まっていた。勝又は雑草だらけの池の横のスペースに車をバックさせ、車を暗闇の中にソッと潜り込ませた。

「また?・・・」

 エンジンを止めた勝又を見つめながら、娘が首を傾けた。

 勝又はサイドギアをギギギッと引くと、「今日は5000へルポも頂いたんだろ・・・少しくらい僕にもわけてくれよ・・・」と言いながらズボンのベルトをカチャカチャと外した。

「でも・・・私なんかの『お舐めり』で本当にヘルポ注入なんてできるのかなぁ・・・」

 娘はそう言いながら噛んでいたガムをティッシュに包んだ。

「できるに決まってるさ。キミは教祖様直々にへルポを授かってるんだぜ。キミの体内には強烈なパワーを持ったヘルポで溢れているんだ、それをちょっとだけ僕に注入してくれればいいのさ・・・」

 勝又はそう言いながらパンツの中から項垂れたペニスをボロンと取り出した。

「・・・じゃあ頑張ってみるね・・・」

 娘が運転席に寄り添った。前屈みになった娘は勝又の太ももの上で右手で髪をかきあげ左手でペニスを摘んだ。

 萎れたペニスを垂直に立て、ゆっくりと目を綴じた娘は小声でお経を唱え始める。

 膝元のそんな娘を見下ろす勝又は、娘のサラサラとする髪を優しく撫でまわし、その髪から匂って来るリンスの香りに深い溜息をついた。

 お経を唱え終えた娘は、目を閉じたままゆっくりと口を開くと、少し立ちかけて来たペニスを口の中に含んだ。

 娘の生暖かい唾液が勝又の亀頭を包み込んだ。滑らかな感触の娘の舌が勝又の亀頭を口の中でコロコロと転がし始めると、勝又のペニスは次第にマックスに達した。

 ぺちゃっ・・・くちゃっ・・・といういやらしい音を立てながら娘は勝又のペニスに吸い付いていた。

 勝又は娘の髪を撫で、そのままウナジをまさぐり、そしてミニスカートの尻を優しく撫でた。

「少し太った?」

 娘の尻が以前よりもプリプリと丸くなったのに気付いた勝又が聞く。しかし、これをあくまでも宗教儀式の「施し」として行なっている娘は、そんな勝又の俗欲的な言葉に返事をしなかった。

 勝又はミニスカートの中に手を忍び込ませ、パンティーの上から尻の谷間を弄った。

 そしてパンティーのゴムを指で掻き分け、娘のツルツルとした生尻をいやらしく擦りながら指を下らせ、少し湿った肛門に指を押しあてた。

(この無知な少女は・・・手足を縛られドコをどうやって舐められたんだろう・・・)

 そう思うと、一瞬、肛門のその湿りが教祖の唾液なのではないかと背筋がゾッとした。

 娘は、勝又に指導された通りに、右手でペニスの元をゆっくりシゴきながら唇で亀頭を締め付け、そして頭を上下に動かした。

 ゾクゾクとした快感が勝又の下半身から脳へと走る。

「あぁぁ・・・」と唸り声を上げ、運転席で背伸びするかのように足をヒーンと伸ばす勝又。

「凄いヘルポが僕の身体に注入されていくのがわかるよ・・・」

 勝又はそう呟きながら、再び娘の尻を弄り始めた。

 勝又の指が滑らかな尻のラインを滑り降りると、娘は勝又にソコを触りやすいようにせさるためか、ゆっくりと片膝を立てた。

 肛門を通り過ぎた勝又の指が背後からワレメに滑り込んだ。娘のワレメはピチャッと濡れていた。

 娘が自らの意思で片膝を立てた事により、微かに口を開いたワレメからは止めどなく汁が溢れ出て来た。一瞬、この汁は教祖のモノではないかと勝又は疑ったが、しかし教祖はまだこの娘の処女を奪ってはいない。あの変態教祖は娘の処女膜を大事に大事に保存し、それを破る事だけを夢見ては、時間を掛けて楽しんでいるのだ。

 そんな教祖もいよいよ明日、この処女膜を奪うつもりらしい。処女膜を失ったこの娘は、とたんに教祖に飽きられ、あの何の効力も持たないヘルポ承認の紙切れと一緒に闇に葬られるであろう。

 そう考える勝又は、無性にこの娘が哀れに思えてならなかった。

 勝又の脳裏に、ふとこの娘の母親の人の良さそうな顔が浮かんだ。いつも娘を自宅へ送り届けると、必ず玄関から飛び出して来る母親は、勝又の腕を引っぱっては「是非是非休んで行って下さい」と家へ招き入れるのだ。

 娘の家は貧しかった。借家の古い一軒家にはお婆ちゃんと妹と弟の5人がひっそりと暮らし、居間に掲げられている教祖の写真を家族五人は毎日毎日拝んでいた。工場で働くお母さんの給料の半分は教団に寄付され、お婆ちゃんの年金は全額寄付されていた。

 そんな貧しい暮らしではあったが、しかしなぜかこの家庭は妙に明るかった。

 勝又は粗茶を啜りながらふと教祖の写真の横に張られている紙を見た。

「辛い時こそ明るく!」

 それはかなり以前に教団が掲げていたスローガンだ。

「おかげさまでウチの娘が教祖様直々に『施し』を受ける事が出来まして・・・」

 お母さんは、何十回、いや何百回も、粗茶を啜る勝又にそう言って頭を下げていたのだった。

 そんな娘のお母さんが急に気の毒に思えた。明日の儀式が終われば、もう二度とこの娘は教祖に呼ばれる事はないだろう。

 勝又は娘の濡れたワレメにゆっくりと指を挿入させながら、このままこの奥にある処女膜を破ってしまおうかとふと思った。

 娘の上下する頭の動きが速くなって来た。時折、ペニスの竿に垂れてくる唾液をジュルジュルと啜る音が悩ましい。

(このまま入れたい・・・・このままブスッとこのワレメにペニスを入れてしまいたい・・・)

 教祖の大量の「汁」をいつもぶっかけられている娘のワレメを弄りながら、勝又は激しく悶えた。

「あっ、あっ、あっ、・・・」

 運転席でピーンと足を伸ばした勝又がそう狼狽えると、娘の舌が更に濃厚に亀頭を捏ねくり回した。

(汗と汁にまみれるのはいつも俺たち下っ端の者だけなんだ!)

 勝又がそう思った瞬間、勝又のペニスの先から大量の精液が飛び出した。

ペニスを銜えたままの娘は、一瞬「うぶっ」と声を漏らし、そのまま上下する頭をスローにして行ったのだった。

「・・・悪いモノがいっぱい出たね」

 娘はティッシュに吐き出した精液を見つめながら、純粋な笑顔でそう笑った。

「・・・ありがとう、おかげで肩が急に軽くなったような気がするよ・・・」

 勝又はそう微笑みながらも、俺もあのクソ教祖と同じじゃねぇか!と、とたんに自分に吐き気がした。

「・・・明日、教祖様の『汁』が頂けたらね、私のヘルポは500万へルポに達成するんだ・・・」

 娘は捲られたミニスカートを整えながらポツリと呟いた。

 500万へルポ。

 500万へルポと言えば、もはや神の位である。教祖でさえ300万へルポの中神位であり、それを上回る500万へルポとなると、あとは大神位という最高位しか残されておらず、今の教団で大神位といえば「神」の事を指しているのだ。

 萎れたペニスをティッシュでカサカサと拭く勝又は、あの教祖がそんな大量のヘルポをこの娘に本気で承認する気はさらさらないだろう、あるわけがない、と、思いながら、インチキな教祖にムカムカと腹が立って来た。

「・・・私が500万へルポになったらね・・・きっと秘書さんをもっと幸せにしてあげられると思うんだ・・・だから楽しみにしていてね」

 娘は薄暗い助手席で顔を斜めに傾け、運転席の勝又を優しく見つめながらそう呟くと、「クスッ」と嬉しそうに微笑んだ。

 瞬間、勝又の背筋にゾゾゾっと底知れぬ感動が走った。走りゆくトラックのヘッドライトに照らされる神々しい娘の笑顔を呆然と見つめる勝又。勝又は娘のその微笑みに、確かに「神」を感じた。

(そうだ、この娘こそが神なのだ!)

 そう心で叫んだ勝又はゆっくりと娘に向き直り、両手で娘の方をグッと掴んだ。

 驚いた娘が「えっ?」と大きく目を開きながら勝又を見つめた。

 勝又は、そんな娘の澄んだ瞳をジッと見つめながら、「いいかい。これから僕の言う事をよく聞くんだよ・・・」と、ゆっくりと語り始めたのだった。

-9-

「これより、ヘルポ注入の儀式を執り行う・・・」

 万之助の野太い声が、四方を大理石に囲まれた空間にエコーを聞かせて響き渡った。

 真っ白な大理石の床に敷かれたマットの上で正座する娘は、全裸となった身体を深々と床に伏せ、正面で象牙の椅子に座る教祖に「宜しくお願いします・・・」と厳かにそう言った。

 万之助がこの儀式に選んだ場所は、巨大な幸福ファミリーの本山の中にある「中神の間」であった。

 この「中神の間」は中神位を持つ教祖の部屋として使われていた。この大理石張りの部屋には、1万へルポ以上の天の位を持った幹部信者しか入る事が出来ず、一般の信者はこの部屋を見る事さえ禁じられているのだ。

 そんな神聖な場所に一般信者が入れるのは異例だった。過去にこの部屋に入った事のある一般信者は、秘書の勝又と、そして今赤いマットの上で全裸で正座しているこの娘の2人しかいなかった。

「キミは、特別だ・・・・」

 そう微笑みながら象牙の椅子から立ち上がり、紫の教団服をバサッと脱ぎ捨てた万之助の股間には、既に破裂しそうなほどに勃起しているペニスが大理石の天井に向かって聳え立っていた。

「今日はそのまま目を開けて、この神聖な儀式をじっくりと見ているがいい・・・」

 そう言いながら万之助は、娘が正座する赤マットの上へと足を踏込んだ。

 ギンギンに勃起している万之助のペニスの先からは既に我慢汁がヌラヌラと輝いていた。そんなペニスを剥き出しにしたまま万之助が娘のか細い肩に手をかけると、娘のその桜色に輝く乳首を指で転がした。

「今までの施しにより、キミの身体は純真無垢となった・・・・後はその体内に私の『汁』を注入すれば・・・キミは強力なヘルポを身につけ、一生、いや霊界に言っても幸福を手にする事が出来るであろう・・・」

 万之助はそう呟くと、歯槽膿漏の悪臭漂う唇を、娘の桜貝のような唇に押しあてた。

 巨大なナメクジのような万之助の舌が娘の口内を隅々まで這い回った。娘の唾液を一滴残らず吸い付くさんとするその激しいディープキスは、この時をどれだけ待ちわびていたかという万之助の思いが込められていた。

 ブチョっ・・・という下品な音を立てて唇を離した万之助は、そこに正座する娘の前にゆっくりと立ち上がった。そしてビーンと天に聳えるペニスを、娘の口元に突き立てると「さぁ・・・その可愛いお口で私の肉棒を清めなさい・・・」と娘の頬を静かに擦った。

 娘が唇を開こうとすると、ふいに万之助が「舐めるのは、当然、初めてだよな?」と聞いた。

 慌てて開きかけた唇を閉じた娘は、上目遣いに万之助を見つめながら、小さくコクンと頷いた。

「よしよし・・・では教えて上げよう、とりあえずコレを口の中に含むんだ・・・あぁ、絶対に歯を立てるでないぞ・・・」

 娘はゆっくりと口を開くと、いつも勝又にやっているように万之助のペニスをペロッと飲み込んだ。

「よし・・・それでは舌で肉棒を掃除するように丁寧に舐めなさい・・・・」

 娘が口内でネチャッと舌を転がした。勝又のペニスよりも二倍はあろうかと思われるソレは、いつもよりも舐めにくいと娘は思った。

「そうだそうだ・・・上手いじゃないか、本当に初めてか?・・・・あぁぁ・・・そのまま、唇を肉棒に吸い付けながら顔を上下に動かしてごらん・・・」

 万之助に言われるまま娘が顔を動かすと、万之助は「おぉぉぉ!・・・」と身体を仰け反らせながら、慌ててペニスを引き抜いた。

「いかんいかん・・・おもわずエネルギーを洩らしてしまう所だった・・・」

 万之助はニヤニヤ笑いながらそう言うと、次は娘にマットの上に寝転ぶように指示をしたのだった。

 神聖なる真っ赤なマットに娘の真っ白な肌がポッと浮かび上がり、万之助は激しい興奮に包まれながら娘の足の裏をベロベロと舐め回した。

「キミは・・・ちゃんと約束を守っていたか?」

 娘のアキレス腱をチューチューと吸いながら万之助が聞いた。

 一瞬、勝又にエルポを与えていたのがバレたと思った娘は、狼狽えながらも「な、なにをですか?」と聞いた。

「・・・その動揺は・・・約束を破ったな・・・」

 娘の膝っ小僧をザラザラと舐めながら万之助が睨む。

「・・・いえ・・・・それは・・・・」

「ははぁぁん・・・キミはまたオナニーをしたな?」

 娘は「へ?」と力が抜けた。

「正直に言え・・・キミはまたココを指で弄ったりシャワーをあてて淫らな行為に耽ったのであろう・・・どっちなんだ、正直に答えるんだ・・・・」

 万之助はハァハァと荒い息を吐きながら、娘の股を開き、股間に鼻を押しあてた。

「いえ、絶対にあれからオナニーはしてません」

 勝又の事ではなかったと安心した娘がキッパリとそう答えると、万之助は「本当か?・・・本当か?・・・」と唸りながら、豚の如くワレメに鼻を押し付けてはクンクンと匂いを嗅いでいる。そして両手で娘のワレメを一杯に広げると、中でピンク色に輝く肉を見つめ「あぁぁぁ・・・・」と嘆きながら、それを愛おしむかのようにベロベロと舐め始めたのだった。

「よし・・・それでは、今日は特別だ・・・ヘルポのパワーを高める為に、今日だけオナニーを許してやる・・・ほら、私の前でいつもやっているようにオナニーをしてみなさい・・・・」

 万之助はそう言いながら、娘の腕を掴み、強引に下半身へと持って行った。

 娘は命令されるままにオナニーを始めた。両足をピーンと伸ばし、閉じた股間の中に細い指を押し込んではその指をグニグニと動かした。

「ほう・・・いつもそうやってヤってたわけだな・・・」

 万之助は寝転がる娘の身体をあっちこっちと走り回りながら閉じた股間を覗き込み、自分でペニスをシゴいていた。

 万之助は「うっ・・・」と声を洩らし始めた娘の顔の上に、ペニスを突き出した。そして娘の目の前でソレを激しくシゴきながら「これが男のオナニーだ・・・よく見なさい・・・」と唸り、そして我慢汁をポタポタと娘の頬に垂らした。

「あっ・・・教祖様・・・・」

 苦しそうに呟く娘は、ピーンと伸ばしていた両足をモゾモゾとさせ始める。

「イ、イキそうなのか?・・・・」

 万之助は狼狽えた。処女がオナニーで絶頂する瞬間を初めて目の当たりにする万之助は、不発を怖れ慌ててペニスから手を離した。

「あっ!・・・教祖様!教祖様!」

 娘の顔がカーッと紅潮した。ハァハァと荒い息を吐く万之助は慌てて娘の唇に吸い付いた。

「うごっうごっうー!・・・・」

 万之助の口の中で何かを叫んだ娘は、ピーンと伸ばした両太ももをピクピクと痙攣させ始め、爪先を一直線に伸ばした。

「あわあわあわ・・・・」

 大興奮した万之助は娘の身体にむしゃぶりついた。

 大きな巨体で娘の小さな身体を包み込み、桜色した乳首や汗ばんだ腋の下を必死に舐めまくった。

 そして「これだ・・・この身体をどれだけ待ち望んでいたことか・・・」と呟きながら、娘の両足をおもいきり開かせると、パックリと口を開いたピンクのワレメにむしゃぶりつき、イッたばかりの敏感なクストリスをレロレロと刺激した。

 娘のワレメからは大量の愛液が溢れ、既に挿入体勢は整っているようだった。

 万之助は我慢汁でギトギトに輝くペニスを、娘のワレメに押しあてると、いよいよ待ちに待ったこの瞬間に浸るかのようにニヤニヤしながら娘を見下ろした。

 娘はギュッと目を閉じたまま右手の人差し指を噛んでいた。

「それでは・・・いよいよヘルポを注入するぞ・・・」

 コクンと頷いた娘は小さな声で「おねがいします・・・」と言った。

 ヌプっ!

 万之助の獰猛な亀頭がワレメの入口に滑り込んだ。

「うっ!」

 娘が真っ赤な顔をしながら万之助の猪のような身体にしがみつく。

「痛いか?・・・痛いだろ・・・でも我慢だぞ・・・私の汁を受ければ、キミのヘルポはアップするんだ・・・」

 しがみつく娘の耳元に、そう諭すように呟く万之助は、更にヌプヌプとペニスを押し込んで行く。

「あっ!・・・・い、痛い!」

 娘の膝が万之助の巨大な腹を撥ね付けるかのように伸びた。

 そんな娘の足を太い腕でがっちりと押さえ込んだ万之助、「大人しくしろ・・・今に気持ち良くなるから・・・」と腰をグイグイと動かし始め、痛がる娘の顔を覗き込みながらヨダレを垂らした。

 娘のマンコは万之助のペニスを強烈に締め付けて来た。

 処女のマンコがこれほどまでにイイものかと思い知らされた万之助は、腰をガンガンと振りながらも、教団の中に新しく「処女の位」という地位を作り、そこに処女の娘ばかりを集めようと密かに計画した。

「痛い!痛い!」と叫ぶ娘の口から発せられる生暖かい息をクンクンと嗅ぎながら、万之助は「イクぞ!最強のヘルポを含んだ『俺の汁』をたっぷりと注いでやる!」と叫ぶと、娘にブチュ!とキスをしながら、大量の精液を噴き出したのであった。

 何もかもが真っ白だった。四方を囲む真っ白な大理石をボンヤリと見つめる万之助は、なにもかも全て出し尽くしたという達成感と共に、射精後の朦朧とした脱力感に襲われていた。

 精液を垂らしたままのペニスを曝け出しては赤いマットに寝転がる万之助は、娘の肌から漂って来る汗の香りを春の桜のような香りだとふと思った。

 赤いマットをムクリと起き上がった娘は、部屋の隅に置いておいたバッグの中からいつものメモ帳を取り出すと、グッタリと横たわる力尽きたイノシシへと近寄り、「教祖様・・・お願いします・・・」と、そのメモ帳とボールペンを手渡した。

「あ?・・・あぁ、これか・・・どれどれ・・・」

 万之助はうつ伏せに寝転がったまま、半開きの目をトロトロさせては、そこに『井上弥生氏に5000へルポを授ける』と乱暴に殴り書きし、「あいよっ!」とそれを床に投げつけると再びゴロンと仰向けに寝転がった。

(そんな紙切れ・・・なんの役に立つと思ってんだこのバカ娘は・・・それにしても・・・処女ってのは素晴らしいなぁ・・・さっそく『処女の位』を作って、処女の信者ばかりを集めてやろう・・・ひひひひひ・・・・)

 そんな事をボンヤリ考えながら突き出た太鼓腹をボリボリと掻いていた万之助は、ウツラウツラと睡魔が押し寄せて来た。

 射精後に大鼾をかいで寝てしまうのは万之助の癖だが、特に今日は処女という大獲物を頂いたという達成感と疲労感からか睡魔が襲って来るのがいつもより早かった。

「グガァァァァァァァァァァ・・・・・」

 イノシシのような万之助は、神聖なる「中神の間」に、脳梗塞レベルの大鼾を響かせた。

「教祖様?・・・教祖様?・・・・」

 娘がそう何度身体を揺すっても、万之助の大鼾は音色を変える事はなかった。

 娘は音もなくソッと立ち上がった。

 大鼾をかく万之助に何度も何度も振り返りながら、神聖な教祖の机へと足を忍ばせた。

 象牙で出来た立派な教祖の机の下に、シルバー色に輝く頑丈な金庫がズッシリと置いてあった。

 娘はソッと金庫の前にしゃがむと、金庫の扉に付いているまるで電卓のような数字ボタンを覗き込んだ。

「グガァァァァァァァァァァ!・・・・ブッ!」

 象牙の机から教祖を覗き込むと、教祖は大鼾をかいたまま、ついでに乾いたガスを放屁した。

 娘は勝又に教えられた通りの8ケタの数字をピッピッピッと打ち込んだ。

 そして最後にシャープボタンを4回押すと、金庫はカチッという金属音を響かせた。

 静かにレバーを引きながら国語辞典のように太い扉をゆっくりと開ける。

 金庫の中には、拳銃が1丁無造作に転がっていた。そして拳銃の下には、なぜか太宰治の「人間失格」が1冊置いてあった。

 金庫の一番奥の引き出しをそっと引いた。引き出しの中で何かがコロコロっと転がった。

 見るとそれは、純金に輝く幸福ファミリーを司る刻印だった。

(あった・・・これが、勝又さんが教えてくれた刻印だわ・・・・)

 娘は急いでその刻印を手にすると、昨夜、勝又に教えて貰った通り、これまで万之助が娘に渡したメモ用紙にその刻印をビタビタと押しまくった。

「グガッ!」

 痰を絡ませた万之助がいきなり鼾を止めた。

 娘の心臓が一瞬止まる。

 息を殺しそのまま金庫の前でジッと潜む娘の耳に、再び万之助の下品な鼾が聞こえて来た。

 教祖の鼾を聞いた娘がホッと息を吐いたその瞬間、娘のワレメからトロッと万之助のヘルポが垂れたのだった。

-10-

 東京に比べると大阪の夏は異様に暑かった。

 西成のドヤ街。行くあてもなくそんな埃臭い歩道を彷徨っていると、職安の前のパラソル屋台に「水だしレーコー100円」と書いてあるのをふと見つけ、勝又は額から流れる汗を拭いながらポケットを探った。

 ポケットの中の小銭を全て掴み出し、ガムの銀紙が交じった10円玉の塊を1枚ずつ手の平で数える。

「なんぼあんねん?」

 パラソル屋台の親父が、勝又の手の平を覗き込みながら聞いた。親父の息はなぜか山手線の電車の匂いがした。

「・・・74円・・・・」

 勝又が俯きながらそう答えると、親父は「ええわ。74円に負けといたる」と言いながら、クーラーボックスから氷を取り出し、それをカップの中にコロコロと投げ入れた。

 水滴の滴るカップを手に日陰を探した。しかしどこの日陰も労務者達がイモ洗い的にひしめき合い、そんな日陰は逆に暑そうに感じた。

 トボトボと歩きながら、我慢できずに一口だけ飲んだ。水の中にコーヒーを2、3滴垂らしたような薄いコーヒーだった。ストローで底を掻き混ぜると溶けきれていない砂糖がザラザラと音を立てた。

 勝又が企んでいた幸福ファミリーの革命はあと一歩だった。

 あと一歩で天下が取れた。

 しかし、あと一歩と言う所で、逆に、ファミリーの顧問弁護団からこれまでの不透明な金の流失について追及された教祖は、いとも簡単に失脚した。

 そして、それら全ての事件に、秘書である自分までもが関わっていたと追及され、詰腹を切らされる結果となった。

 わずか数週間前の出来事だった。

 あと一歩だった。本当にあと一歩だった。あの娘さえ手に入れていれば、あと一歩と言う所だったのに・・・。

 そんな後悔の念にかられる勝又は、辿り着いたこの西成のドヤ街というヤケクソな町に溢れるニオイがどうしても好きになれなかった。

 気がつくと公園の淵をトボトボと歩いていた。

 その公園を皆は「三角公園」と呼び、日雇い労働者のおっさんたちがウジャウジャと蠢いていた。

 初めてこの西成に辿り着いた三日前、右も左もわからない勝又はこの公園で労務者達から身ぐるみ剥がされ、わずかな全財産を奪われた。おまけに顔面を数発殴られ顔の右半分をボンボンに腫らしたという忌々しい公園だ。

 勝又はあの時の恐怖が甦り、公園を見つめたまま思わず足が竦む。

「兄ちゃん・・・一口くれや・・・」

 フクロウのように顔が浮腫んだホームレスが、立ちすくむ勝又を覗き込んだ。

 その男のボロボロのランニングシャツはゴミ箱そのものの匂いを放ち、耳からは大量の耳毛がまるで威嚇するかのように生えていた。

 そんな図々しいホームレスを見て呆然と立ちすくむ勝又を横目に、男は勝手にストローに吸い付くと一気に半分飲んでしまった。

「おおきに・・・」

 そう言って立ち去る男のランニングシャツの背中には日焼けした般若のイレズミが淋しそうに笑っていた。

「山崎ー!」

 いきなり公園から怒号が響いた。

 おもわずその声に反応した勝又は、なぜだか無性に走り出したくなった。

 そんな勝又の前を「はっ!」と叫びながら、サムライのように駆け抜けて行く1人のホームレス。

 なぜか黄色いヘルメットを被ったそのホームレスを目で追う勝又は、公園のど真ん中に信じられない光景を目にした。

「何度言ったらわかるんだ!俺はシャケ弁は嫌いなんだよ!こんなモン貰ってきやがって!」

 そう怒鳴る男は、手に持っていたシャケ弁を黄色いヘルメットのホームレスに投げつけた。

 しかしそのシャケ弁はホームレスの頬をスレスレに通り過ぎ、公園の隅に立っていた街頭テレビの柱に激突した。

 散らばるシャケ弁に数人のホームレスとあばら骨が浮き出た野良犬が一斉に群がる。

「申し訳ございませんでした教祖様!」

 黄色いヘルメットが公園の土の上に額を擦り付けると、どっしりとあぐらをかくイノシシのような男は「わかったらもう一度コンビニ行って生姜焼き弁当貰って来い!グズグズするなぁ!」と、公園中に響き渡るような怒鳴り声を上げた。

「うひゃあ・・・教祖はん、またご機嫌斜めやわ・・・」

 勝又の後で前歯が1本しかないホームレスが肩をすくめた。

「障らぬ神に祟りなっしや、はよ行こや」

 片割れのホームレスがそう言いながら前歯一本のホームレスの破れたTシャツを引っ張った。

「おい!そこのアイスクリーム喰ってる親父!」

 再びイノシシのような男が、公園の隅で溶けかかったアイスクリームを必死に舐めている労務者を指差した。

「そのアイスクリームお布施しろ!500へルポやるぞ!」

 イノシシがそう叫ぶと、アイスクリームの親父は「んなもんいるかボケぇ!」と叫んだ。

 勝又はおもわず「ぷっ!」と噴き出した。

 それを合図に勝又の腹の中から次から次へと笑いが込み上げて来る。

(教祖は・・・こんな所でもやっぱり教祖なんだ・・・)

 堪え切れずにギャハハハハハハハ!と笑った瞬間、万之助がジロッと勝又を見た。

「おい!そこで笑ってるオマエ!なにがそんなに可笑しい!・・・あれ?どっかで見たコトあるなおまえ?・・・まぁいい!早くそのレーコーをお布施しろ!1000へルポやるぞ!」

 万之助は、そこに立ちすくんでいる薄汚れた男を元秘書とも知らず、いつもの変わらぬ調子でそう叫んだ。

 勝又はなんだかとっても嬉しくなった。

 薄汚れた大阪の空にガハハハハハ!と久しぶりの笑い声をあげると、再び教祖が「なにが可笑しい馬鹿野郎!早くそのコーヒーをお布施しろ!」と叫んだ。

 勝又は爆笑しながら、あの時のように「はっ!」と腹の底から返事をした。

 そして笑いながら、公園の入口にある街頭テレビの柱を走り抜ける。

 その街頭テレビの柱には「幸福ファミリー」のポスターが貼られていた。

 そのポスターには、満面の笑顔で微笑む井上弥生の写真と、その写真の下に「新教祖誕生祭」と書かれた文字がギラギラと輝いていたのだった。

< 完 >

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