プロジェクトD 第1話

 ――これは、人間を堕落させる道具を作ることに、日々心血を注ぐ魔界の企業戦士達の物語である。

第1話

 ここは、魔界の大手企業、マジック・クラフト・エンジニアリングの商品開発部極東エリア担当第2製作課。第2製作課は主に、人間界で日本と呼ばれている国向けの商品を開発している。今日行われているのは、新商品開発のためのミーティングである。

「課長!この日本刀は斬った人間の血液を認識し、その血液を持った人間、すなわち斬った相手を操れるようになる道具であります!名付けて、妖刀ム○サメ!」
「バカもん!もうちょっと名前捻らんかい!」
 自己紹介が遅れたが、課長とは俺、大門武彦(だいもん たけひこ)
「つうか、オマエ最近いつ人間界に行った?」
「え~っと、150年くらい前ですかねえ。その時の京の都では新撰組が毎日血の雨を降らせていて、そりゃあもう、刺激的だったことったら……」
「あのな、今の日本じゃな、そんな刀持ってたら捕まっちまうの」
「ええ~!」
「……来週末までに、現代の日本に関してレポート提出。2万字でな」
「ひええ~!」
 こいつは、うちの課の伴天院祐二(ばていん ゆうじ)。見てわかるとおり、あまり仕事ができる奴じゃない。

「じゃあ、次はワタシが……、これはマシンガンタイプのブローニングMC60です。一本の給弾ベルトで100発の洗脳弾を連射可能です。今は給弾ベルトをこうしてバッテン掛けしてバンダナを巻くのが流行らしいですな」
「なんで百人単位で洗脳するんだよ、オマエは。いや、そもそも、それもネタが古いし。だいいち、マシンガンも持ってたら捕まるっての」
「なんとぉ!」
 こいつの名前は、倍紋大介(ばいもん だいすけ)。もちろん仕事はできる方ではない。

「もう、伴天院さんも倍紋さんも、今じゃ、魔界のネット配信で人間界のテレビ番組見ること出来ますから、人間界行ってなくてもそういうので情報仕入れたらいいのに。あ、じゃあ、次俺ッスね。これはですね、インロウというらしくて、これ自体がものすごい洗脳道具みたいですね。なんせ、それまで斬りつけてた奴らが、これ見たとたんに土下座していいなりになりますからね」
「あのな、オマエ、それテレビで仕入れた情報だろ。なんか変じゃなかったか?時代設定が伴天院のレベルと変わらんぞ」
「え~、でも、ものすごい人気ある番組みたいッスよ。1日に2回やる日もありますから。でもあれおかしいんですよね、夕方ではお付きの若い奴やってるのが、夜では爺さんやってるんですよね~」
「夕方の再放送から見るな!てか、その時間は業務時間内だろ!」
 ……こいつは波留間浩平(はるま こうへい)。以上合わせて、第2製作課の3バカトリオである。

「先輩方、新商品開発の基本は、いかにして消費者の購買意欲をそそるか、ですよ。その商品を欲しい、使ってみたいと思わせる事が肝要なんですよ。そのためには、休みの日だからって遊びほうけてないで、人間界に行って最新の流行を調べ、どういう商品が人気があるか、どういう商品なら流行りに乗れるか考えないと」
 この生意気な奴は倭文淳(しとり じゅん)。うちの課では一番の若手だが、仕事は一番できる。というか、うちの課はこいつでもっているといっていい。

「そこで、これです」
「お!iPho○eじゃーん!」
「……さすがにテレビ好きなだけあってよく知ってますね、波留間先輩は。いや、まぁ今日本ではこういうタイプのケータイが流行ってるみたいですし、大手はどこもこういうのを出してるみたいなので、別に特定の機種に限るわけではありませんが、まぁ、魔界の商品なので、悪魔の電話Devil’s Phone、すなわちディー・フォンとでもしておきましょうか。機能の基本となるのは、ディー・フォンで写真を撮った相手を操れるようになるというものです。まぁ、それだけならこれまでにも類似する商品はありましたが、ディー・フォンのキモは、取り込んだ相手をディー・フォンのアプリと連動させることができる点です」
「というと」
「一番基本の機能は、取り込んだ相手に言語信号で命令を与え、操る機能です。他のメーカーのは知りませんが、ディー・フォンの仕組みは、写真に撮った相手の魂の情報をデジタル化して取り込むことにあります。これは、一種のメルアドや電話番号のような意味合いを持ち、それによって、メールや電話で相手に命令を与えることができます。ただし、これは言葉が通じる相手に限られます。今入れているアプリに自動翻訳機能は付いていないので、使用者を仮に日本人として、外国人を取り込んだときに、こちらが相手の言語を話せるか、相手が日本語を話せるかでないとせっかく取り込んでも命令が通じないことになります」
「なるほど、しかし、さっきオマエが自分で言ったことだが、そういう商品はこれまでにもあっただろう」
 俺がそう言うと、倭文は指で眼鏡を押し上げながら頷く。
「その通りです。そして、従来の商品との違いが、ディー・フォンのディー・フォンたる所以です。ディー・フォンは、本家と同じく、多くのアプリをいれることができます。そのアプリによって、従来の商品にない多彩なシチュエーションで取り込んだ相手とのプレイを楽しむことができるのです」
「例えば?」
「まぁ、着せ替えアプリや性格改変アプリなどは、ニーズも高いでしょうが、まぁ、これは、これまであった商品にも近いでしょう。ほかには、ゲームや小説をダウンロードして、そのシチュエーションであんな事やこんな事を……」
「なに~!それだとブロック崩しでもいいのだな!」
「ブロック崩しで女の子と何をするんですか、伴天院先輩?」
「いや、俺の趣味だ!」
「……どういう趣味かは敢えて訊きませんが。とにかく、ディー・フォンの最大の利点は、アプリを利用したその汎用性の高さにあるといっていいでしょう。基本原理は写真に撮った相手の魂を拘束することなので、誰でも扱えますし、入れるアプリ次第では男女関係なくニーズに応えることができます。さらに、今の段階では言葉が通じる相手に限られますが、翻訳アプリの導入でその問題も解決できますし、利用の仕方次第で、魔界での需要も見込めます」
「魔界での需要って、別に、こういう機械を使わなくても悪魔には、力の強弱はあれ人を操る力はあるだろう?」
「いえ、ディー・フォンの基本は、撮った相手の魂の情報を取り込むことですから、対魔獣用アプリなどができれば、写真に撮るだけで強力な使い魔を手に入れることができるでしょう。魔獣は大抵言葉を解しますから、通常の獣や動物よりも対応アプリは作りやすいはずです。自力で屈服させるよりも手軽に強力な使い魔を従えられるとなれば、それだけでもディー・フォンを買う悪魔もいるでしょうから」
「いや、理屈はそうだろうけど、そう簡単に魔獣の写真が撮れるか?」
「それは自己責任ということで。まぁ、小学生レベルの奴がドラゴンを撮ろうとして、ブレスで焼かれようが踏みつぶされようがそこまでは責任持てません」
「おまえ悪魔だろ!」
 と、伴天院がボケにしかなってないつっこみをいれる。
「すくなくとも、今まで従えることができなかった魔獣を使い魔にできるのは魅力だと思いますよ。それに、対人操作にしても、アプリによって簡単にシチュエーションを変えることができるのも、単なる催眠ではできないですからね」
「なるほど、で、どの程度まで実用可能な段階まで仕上がってるんだ、これは?」
「写した相手を取り込み、メールのメッセージ、及び、通話機能で相手を操作するまではすでに実験済みです。あと、試験的に作ってみたアプリをいくつか入れてあります。あとは、商品開発部のプレゼンに持っていけるレベルかどうかの最終チェックをお願いしたいんですが……」
「要は、俺が人間界に行って実際に使ってみりゃいいわけだな」
「はい」
「あ~、課長なんかずるいッスね~」
「じゃあ、もうちっとマシな商品案を出してこいよ。新商品開発のためなら別に人間界にどんどん行ってきてもいいんだぞ」
「あ、ハイ~!」
「……オマエ、遊んで来る気だろ。ともかく、倭文、次のプレゼンに間に合うようにチェックしとくわ。聞いた感じだと機能的には問題なさそうだから、ネックは他のメーカーと比べてどれだけ独自性が出せるかだな」
「はい、お願いします」

 そういうわけで、今、俺は人間界にいる。外見は30代前半、サラリーマン風にスーツを着ている、という格好。今の日本では、このくらいの年齢、格好だと、どの時間帯にどこにいてもそれほど怪しまれはしない。昔は、悪魔が人間界に来るときの格好といえば、老人、女、子供だったんだが、時代も変わるものだ。楽しみは後回しにして、まずは簡単な機能チェック。とりあえず通りすがりのサラリーマンにコマネチを10回ほどさせてみた。カバンで隠すようにディー・フォンを向けてシャッターを切るとサラリーマンの体が小さく震えてダランと腕が下がる。見ると、ディー・フォンのアドレス帳に相手の詳細な情報が入ってきている、が、男の情報には全く興味はない。ともかく、性別に関係なく操作できるのは間違いない。ま、男を操っても面白くとも何ともないが。
 実験の結果では、通話による命令は、相手の返事が聞けるので状況を把握しやすいが、人目の多いところでは通話してるこちらが怪しまれる可能性がある。そういうときはメールで命令を出す方が便利だろう。ひととおり機能チェックが終わると、データを消去して男を解放する。サラリーマンは再びびくっと震えると、憑き物が落ちたように辺りを見回し、首を傾げながら去っていった。なるほど、取り込んだ相手の解除も簡単というわけか。ついでに、寄ってきた猫を撮ってみる。シャッターを切ると猫も動かなくなるが、アドレス帳に入ってくる情報は完全に文字化けしている。もちろん、操作することは不可能。動物でも魂の情報を取り込む事は可能のようだが、専用アプリがないと動物を操るのは無理なようだ。
 で、いよいよ本命。公園のベンチに腰掛けて手頃な女の物色を始める。夕方の時間帯を選んできているので、部活帰りの女子学生や仕事帰りのOLが通っていくのを眺めていると……、すらっとした長身、おそらく175㎝くらいだろうか、にグレーのスーツに腰まである黒髪の美人が目をひいた。細い顎のラインに、切れ長の目と長い睫毛が印象的で、いかにもできるOL風に颯爽と歩いている。

(……この女で試してみるか。)

 怪しまれないようにこっそりとディー・フォンを向け、その姿をフレームに納めてシャッターを切る。すると、ピクッと女の体が小さく震えて動きが止まる。ディー・フォンに入ってきた情報を見る。名前は高梨冴子(たかなし さえこ)、26歳、某大手商社のOL、この近くで一人暮らし……か、実験相手には好都合だな。早速、通話機能を使って冴子に命令する。

「聞こえるか、冴子?」
「……はい」
 ディー・フォンの通話口越しに生気のない声で返事が聞こえる。
「おまえの右手にある公園のベンチに座っている男が見えるか?」
 すると冴子がこちらを向き、虚ろな瞳が俺を捉える。
「……はい、見えます」
「いいか、その男の方に行き、その後ろについて行くんだ」
「……はい」
 冴子は、体をこちらに向けゆっくりと近づいてきた。

(いいですか、課長、ディー・フォンで写真を撮り、魂を取り込んだだけでは、相手は命令通りに動くだけの人形と変わりません。)
 俺は、倭文の言っていた言葉を思い返していた。
(ディー・フォンの真価を発揮するためには、ディー・フォンの使用者を相手に登録して、使用者と相手との関係を確立させなければなりません。)

 冴子を人気のない場所に誘導して、ディー・フォンの登録機能を使う。あらかじめこのディー・フォンには俺の情報が登録してある。あとはこれを冴子に送信すれば……て、なんだよ、登録オプション彼女・奴隷・女王様って。……ああ、相手との関係の立ち位置設定ってとこか?まぁ、後から登録変更も可能だろう、とりあえず、「彼女」に設定して送信する。すると、虚ろだった冴子の瞳に光が戻ってくる。

「……うん、私いったい何して……、あれっ?どうして武彦さんがここに?」
「大丈夫か?今日は冴子の部屋行くからって、駅で待ち合わせただろう。で、おまえの家向かう途中に、目眩がするとか言って急に倒れたんじゃないか」
「あ…れ、そうだったっけ?うん……もう大丈夫。ちょっと満員電車に酔っただけみたい」
 そう言うと、冴子は俺を見て微笑む。うん、登録はうまくいったみたいだが、なんか、取り込む前のできるOLの印象からえらい雰囲気が変わったな。
「……どうしたの、武彦さん?」
「いや、なんでもない、それよりホントに大丈夫か?」
「大丈夫大丈夫!外の空気吸ったらもうすっかり元気になったみたい!それより早く行こ!」
 そう、腕を広げて大きく深呼吸する格好をすると、冴子は俺の手を引っ張って歩き出した。
「それにしても、なんでこの道に来ちゃったんだろう?駅から家までの道から少し外れてるのに?」
「あれ、なんか、寄って買いたい物があるとか言ってなかったか?」
「そうだっけ?まぁ、いいや!買い物はまた今度で!」
「おわっと!」
 冴子が俺の手をつかんだまま、小走りになるのに引っ張られて、俺も足早についていく。

「武彦さーん、上着掛けておくからこっち貸してー」
 マンション5階にある冴子の部屋、リビングに通した俺に、左手にハンガーを持ち、冴子が右手をこっちに差し出す。
「お、おう」
 ポケットからディー・フォンを抜き、上着を冴子に渡す。部屋の中は機能的に整えられており、男の部屋と言っても通りそうな感じだ。それにしても、この歳で一人暮らしのOLが2LDKとは、バブル全盛期のドラマの中ならともかく、このご時世じゃ豪勢な話だ。こいつそんなに稼ぎがあんのか……。
「じゃ、座って座って」
 俺の上着に続けて、自分の上着も脱いでハンガーに掛けてから、冴子は俺をソファーに座らせる。晩飯の準備をする間ここで待ってろってことか……、と、冴子が俺の正面に座り込み、俺のベルトを外してズボンをずり下げ始める。
「ちょ、ちょっと冴子!何を……」
「もう、動かないで、武彦さん」
 そういうと冴子は、俺のモノを咥え込む。冴子の舌が、なにか意志を持った生き物のように俺のモノにからみつくと同時に、とんでもない快感が走る。こ、こいつ巧すぎ!てか、なんだよ、これ展開早すぎるだろ!
「い、いや、冴子、おまえ仕事終わりでまだ飯も食ってないんだろ……」
 あまりの快感に声をうわずらせながら言うと、冴子は一瞬動きを止め、上目遣いにこちらを見上げる。
「だぁからぁ、今食事してるんじゃない」
 そういった冴子の目は完全に欲情して潤んでいる。……エロイ、ディー・フォンのせいなのか、こいつがもともとこういう奴なのかはわからんが、この状況はエロ過ぎるだろ!
「……んっ、んふ……じゅ……くちゅ」
 冴子が唇をすぼめて、モノをしごくように頭を前後に動かし、俺のモノは一気に極限まで持って行かれる。
「あっ、ふ、ふごい、……はだ、おほひくなっへる」
 いや、何言ってるかわかりませんよ冴子さん。などとこんな時に冷静につっこみを入れる俺。
「ふん……さきっほから、ぬるぬるしたのが……ん、じゅる」
 そういって、モノの先っぽを舌先ですくうようになめる冴子。あ、やべ、そろそろ限界。
「んく……たへひこ…さんのぶるぶるって……もう…でるのね……ん……じゅぶ」
 そう言うと冴子は、いったん頭を後ろに引き、口をきつめに絞ってそのまま一息に奥までモノを滑り込ませる。その動きに俺のモノがしごきあげられたかと思うと、目の前に火花が飛ぶような感覚と共に俺は盛大に射精した。
「んッ!んくッ!んん……こく…こく…ちゅる……んん」
 冴子は、俺のモノを深く咥え込んだまま、むせもせずに精液を飲み干していく。
「ん、おいし……」
 射精が止まり、ようやく俺のモノから口を離した冴子の顔は、上気して目は潤んでいた。口の端に少しこぼれかけた白濁液をペロッと舌ですくい取る。

 いやぁ、エロイなぁ、と、思わず見とれていると、冴子は俺のモノを右手でつかみ、軽く刺激を加えながらこちらを見上げる。
「ね、栄養補給も済んだし、しよ、武彦さん?」
 い、いかん、このままでは冴子に溺れてしまう……じゃない、このまま主導権を冴子に握られっぱなしだと、ディー・フォンの実験にならない。ええっと……倭文が入れてる試験用アプリは、と……。

 女子高生、メイド、巫女、看護婦、女医、女教師、婦警、女囚、若妻、義母、義姉、義妹……。

 誰のAVコレクションですか、これは?うーん、冴子の雰囲気じゃ女子高生や義妹って感じじゃないなぁ……などと呑気なことを考えてる間にも、俺のモノをしごく冴子の右手に力が入っていき、快感が増していく。……どーでもいいけど、今現在の冴子の状況自体がすでにAV級だよなぁ……。

「く!」
 冴子の右手が俺のモノを強くしごいた拍子に、思わず力が入ってディー・フォンからシチュエーションが送信される。あれ、今俺何を選択してたっけ?と、冴子の服が一瞬光ると、看護婦の白衣になっていた。これは……物質変化か?
「こんなに堅くして……、それじゃ、大門さん、お熱を計りましょうか」
 冴子のしゃべり方がさっきまでと違う。そういう設定ということか。冴子がエロイのには変わりはないようだが。
「あのー、冴子さん、熱って……?」
「もう、大門さんったら……」
 そう言うと、冴子は俺をソファーに押し倒し、立ち上がってショーツを脱ぐ。たっぷり水分を吸ったそれを、ベチョ、という音を立てて床に放る。あの濡れ方は、明らかにさっきフェラしてたせいだよなぁ……人間の設定が変わろうが、衣装が物質変化で変わろうがそういうのは変わらないんだなぁ。などということを考えていると、看護婦姿の冴子は。俺をまたいで膝立ちになり、
「お熱はこうやって計るに決まってるじゃない」
 そう言うと、俺のモノをつかみ、自分の秘裂にそのまま挿入した。
「はぁ!んん!熱い!熱いわ!大門さん!」
 ああ!そうかぁ!熱を計るってそういうことかぁ!などと深く納得する間こそあれ、モノを締め上げる刺激に理性を奪われそうになる。
「ああ!もっと!もっと深くぅ!」
 腰を上下に振っていた冴子が、それだけでは物足りないといった風で、腰を大きく回すように捻って、俺のモノを奥に導き入れようとする。……ホントにエロイよなぁ。まぁ、でも俺もいちおう悪魔だしなぁ、人間には負けてられないよなぁ。とりあえずこの状況を楽しもうか。と、そう思い、下から思い切り腰を突き上げる。
「そう!そこ!いいわ!大門さん!」
 腰を突き上げられた勢いで、跳ねるように体を上下させる冴子。俺はボタンをちぎるようにして白衣の前をはだけさせ、それほど大きくはないが形の整った乳房を思い切りつかむ。
「あ!それ!す、凄い!凄くいいの!」
 俺が胸を揉みしだく度に冴子は首をのけぞらせ、アソコは俺のモノをぎゅうっと締め付けてくる。そのうち、俺が突き上げるタイミングに合わせて冴子は体を深く沈ませるように腰を振るようになり、ゴンと鈍い感触と共に俺のモノが冴子の膣の奥に当たる。
「ああ!当たってるの!大門さんのお○んちんが私の子宮口をゴンゴンって叩いてるの!」
 首を大きく振りながらよがる冴子。その度に腰まである黒髪がバサッと揺れる。ああ、看護婦の頭に乗っかってるあの帽子はこんなに激しく動いても落ちないんだなぁ。などと、射精感が高まるほどに益体もないことを考える俺。
「熱い!熱くて凄いのっ!大門さん!ああッ!私ももうイきそうッ!」
 そう叫ぶと冴子は、体を前に倒し唇を俺の口に押しつけ舌を絡めてくる。てか、さっきのフェラといい、こいつの舌使いは化け物か?
「ん!んんんっ!んむ!むむう!」
 俺の舌に自分の舌を絡ませる冴子。冴子が口づけしてきた瞬間閉じた目を開くと、頬を染め眉間にシワを寄せて俺の唇をむさぼる冴子の貌がどアップでそこにあり、その表情を見て、熱いものがこみ上げてくる。
「さ、冴子ッ!」
「んッ!んん!あッ!あああぁッ!」
 子宮にまで届こうかという勢いで射精され、俺に口づけしていた状態から一気に反対側に体を反らせて絶頂する冴子。海老反りとはまさにこういうのを言うんだろうか、ホントに海老が跳ねるみたいだよな。そして、そのまま、冴子はピクピクと体を数回痙攣させて射精を受け止めた後、またおれの上に体を倒し、名残を楽しむようにゆっくりと、舌を絡ませてきた。

 さすがに息の上がった冴子をソファに寝かせ、俺はまたディー・フォンを手に取り、看護婦モードを解除する。今の結果だと、ディー・フォンの効果なのか冴子がもの凄くエロイだけなのかよくわからんが、まぁ、ディー・フォンのせいなんだろうな。普通、どんだけ淫乱な女でもあそこまではなるはずないもんな。とりあえず、冴子を少し休ませることにする。そういえば試験用アプリでゲームもあったな、それでもやってようかな……と、なんだRPGかよ、ちょっとの時間つぶしには向かないよなぁ……、て、なんでRPGにシチューエーションセレクトがあるんだよ?て、なになに?

 魔王と女勇者、魔王と囚われの姫君、悪の魔法使いと女剣士、悪の王と女剣士、黒騎士と姫君、魔人と女盗賊……。

 て、これどこのエロゲ?いや、これ絶対RPGじゃないっしょ!と、ひとりでつっこみを入れ、思わず魔王と女勇者をセレクトする。すると、周囲の風景がぼやけ、気づくと石造りの城の大広間のような所に立っていた。これは!空間転移?もしくは空間変容か!?いや、そんな上級悪魔でも使える奴が少ない能力を、こんなちっちゃな機械に組み込めるわけがない。じゃあ、これは認識操作か……。おそらく、俺がいるのは冴子の部屋のままで、俺の感覚の全てを操作して城の中にいるように感じさせてるわけだな。と、そんなことを考えていると。
「やっとおまえの所までたどりついたぞ!覚悟しろ!魔王!」
 と、俺の背後で聞き覚えのある声がしたので振り向くと……そこには勇者の格好をした冴子がいた。気づけば俺の格好もがっしりした肩あての付いたマントを羽織った格好になっている。……なるほど、衣装は実体があるのか、と、おのれの衣装をさわりつつ考えていると、
「フフフ、まさかここまでやってくるとはな、勇者サエコ。しかし、おまえの刃は我には届かぬわ」
 俺の頭の中に、芝居の台本のようなセリフが浮かび上がり、俺の意志に関係なく言葉が口をついて出る。そうか!これ、ゲームじゃなくてディー・フォンアプリのシチュエーションのひとつかぁ!と、ようやく納得する。
「ほざくな!行くぞ!魔王!」
 そう言うと、勇者サエコが剣を振りかぶって飛び込んでくる。えらい元気そうだな、さっきまでソファーの上で果ててたはずなんだが、ひょっとして、アプリでシチュエーションを変えると体力の方も回復するのか?
「言ったはずだ、おまえの刃は届かぬと」
 俺の思考とは関係なく、口からは芝居がかったセリフが流れだし、これまた俺の意志とは関係なく右手をサエコに向ける。
「な!ぐはぁ!」
 と、俺の右手から衝撃波、のようなものが発せられ、サエコの体は弾き飛ばされて、剣と鎧が砕ける。ていうか、勇者サエコ弱っ!
「くっ!殺せ!もはや貴様を倒すことも叶わぬ、ならばいっそひと思いに殺せ!」
「フッ、殺しはせぬ、これからおまえは我が軍門に降るのだ、勇者サエコ」
「だっ!誰が貴様なぞに降るか!」
 ……自分の意志じゃなくて人の筋書き通りってのに少し違和感はあるが、楽チンなのは楽チンだな、これ。
「ならば、こういうのはどうかな」
 と、俺の背中から数本の触手が飛び出し、サエコの四肢を縛って空中に釣り上げる。
「な、なにをするつもりだ!」
「これも言ったはずだ、我が軍門に降ってもらうと」
「く!そうそう貴様の思い通りにはさせぬ!ぐっ!?ぐむ!むむむ!」
 触手の中でもひときわ太いのがサエコの口に差し込まれる。
「舌を噛みきろうとしても無駄なこと。それではどこまで耐えられるか見せて貰うぞ」
 そう言って俺はサエコに近づき、砕けた鎧を下地の布ごと引き裂く。そして、触手を操ってサエコの股を大きく開かせ、これまた俺の意志とは関係なく……ということにしておきたいが、見事に屹立したモノを無造作に挿し込む。
「ひあうっ!」
 口に触手を差し込まれたままのサエコの眼が見開かれ、苦痛に顔がゆがむ。あ、でもこれいいかも。なんかすごい新鮮な感じ。
「はうう!ぐむう!」
 抽挿を繰り返す度に、サエコの喉から苦痛のうめきが漏れ、目尻からは涙かこぼれて頬を伝う。戒めを解こうとして暴れたために、手首からは血が滲んでくる。
「ぐくうっ!はう!ひああ!むふうっ!」
 何度抽挿を繰り返したろうか、そのうち、サエコのうめきには艶のようなものが混じるようになり、瞳には先程までの苦痛の涙とは別の意味で潤んできている。
「ふはは!その触手からは媚薬がにじみ出るようになっておる。気分はどうかな、勇者殿?」
 ……いやー、媚薬の効果っつうか、あの目の潤み方は、もとの冴子に戻りつつあるだけって感じな気がするが。
「さて、そろそろこれはいいだろう」
 そう言って、サエコの口に挿し込んでいた触手を抜くと、
「あああっ!ひああ!」
 明らかに快感に喘ぐ声が漏れる。
「どうだ、勇者サエコ?降参する気になったか?」
「バ、バカにしないで…誰が貴様なんかに……ああうんっ!」
「おまえの手足を戒めている触手は、おまえが快感に溺れるとはずれるようになっておる、もう大分緩んでいるのではないのかな?」
「そ、そんなこと……ないわ」
「それでは、これはどうかな?」
 そう言うと俺は、両手でサエコの尻を抱え、ひときわ深くえぐるようにモノを突き挿す。
「ふあああああ!」
 サエコが首をのけぞらせて大きく叫ぶとその手足を戒めていた触手がずるずるとほどける。すると、サエコは自由になった手足で俺に抱きつき、抱きかかえられる格好になる。
「くくく、体は嘘はつけないものだな、勇者サエコ。さぁ、我に降るがよい」
「だ、誰があんたなんかにッ!」
「ふははは、ではなぜおまえは自分から腰を振っているのだ?」
「ッ!!」
 自ら腰を振っている事実に表情をこわばらせるサエコ。俺の言葉が、それに追い打ちをかける。
「言ったであろう、体は嘘をつけぬと。心も同じくらい素直であって欲しいものだな」
「ひ、ひああああぁッ!」
 顎をガクガクと震わせ、眼を見開いて叫ぶサエコ。それでタガがはずれたのか、サエコはあからさまに快感に身を任せる。
「あああぁっ!イイのっ!気持ちイイですぅ!」
「ふははは、良い声だな、勇者サエコ、では、もうひとつサービスしてやるとするか」
 そう言って、俺は触手をサエコの背後に伸ばす。
「え!?サービスってっ?あッ!あああぁッ!そ、そんなところにぃぃッ!」
 突然後ろの穴を襲った感覚に、サエコは身を捻って避けようとするが、いかんせん俺に抱きかかえられたその体勢では避けようもない。
「い、イヤあぁぁッ!イヤだけど、イイのッ!こ、こんな!お尻の穴で感じちゃうなんてッ!」
 前後から襲う快感に、俺に抱きついているサエコの腕に、ギュッと締め上げるほどの力が込められる。それに合わせるかのように、ヴァギナとアナルが俺のモノと触手を締め上げる。俺はサエコを突き上げる動きにいっそう力を込め、触手を操ってさらに太くさせる。
「あ゛あ゛あ゛ぁぁっ!中でっ!中で大ぎぐなっでるぅッ!も、もうらめっ!わ、わらひぃっ!壊れるッ!壊れひゃうッ!」
 呂律の回らなくなった舌で叫ぶサエコ。すでに、その瞳孔は完全に開き、焦点がぼやけたかのように小刻みに震えている。
「どうだ?勇者サエコ、我が軍門に降るか?」
「は、はひっ!降りますっ!わらひはっ、魔王様の下僕になりまふっ!」
 焦点を失った瞳で、涎をたらたら流しながらガクガクと頭を縦に振るサエコ。う、いいなぁ、さっきはなかったこの征服感!うわぁ、もう、俺、悪魔だけど、魔王サイコー!
「では、我のモノになった証に、存分にイクがいい、勇者サエコ!」
 そうして、一段と深く腰をグラインドさせる。もう、ディー・フォンアプリの設定の筋書きなんだか、俺個人の意志なんだかよくわからない。
「あ゛あ゛ぁっ!サエコは魔王様のモノです!あああぁ!深いぃ!イクぅ!イキますぅ!」
 そう叫ぶと、サエコは手足を俺の体にきつく絡ませ、背中を弓なりに反そらせる。そのまま、そこに俺は前と後ろに同時に精をぶちまける。すげえなぁ、この触手射精もできるんだ。
「ひいぁあああっ!イクのッ!魔王様に前と後ろ一緒に犯されてっ、わらひッ!イっちゃうのッ!まっ、魔王様ぁぁぁっ!」
 ひときわ高い声で叫び、そのままサエコの体から力が抜け、意識を失った。

 アプリを解除すると、元通り冴子の部屋に景色が戻る。冴子は床に転がり意識を失ったままだ。股間からは2回分の精液混じりの液体がこぼれだしている。ふう、さすがに俺もしんどいな……、あとどんだけ試験用アプリあるんだよ……なに?剣術アクション?なんじゃそれは?と、気になりセレクト画面にすると、

 くのいち対邪剣士、くのいち対伴天連、くのいち対陰陽師、女剣士対忍者、女剣士対邪剣士、巫女対邪剣士、巫女対忍者、越後屋対借金のかたに連れてこられた町娘……。

 ちーがーうっ!一瞬同ジャンルかと思って読み飛ばしかけたじゃねぇか!越後屋対借金のかたに連れてこられた町娘って、全然剣術アクションじゃねえよ、それ!しかもなんだよ、そこだけやたら詳細な設定は!つうか、倭文の奴も時代劇好きなのかよ!と、思わず盛大につっこんでいると、あたりの景色がぼやけだし、和風の屋敷の一室に変わっていた。し、しまった、つっこんだ勢いで送信してしまった!いや、でも、冴子は気を失っているし……と、冴子の方を見ると、そこには、髪を結い上げ、和服に身を包んだ冴子が立っていた。……やっぱり、使用アプリ変える度に回復するんかい。それにしても冴子って意外と和風の格好も似合うんだな……。
「お許し下さい、越後屋さん……」
 そう言って、それまで顔を伏せていた冴子が、涙目でこちらを見上げる。その仕草と表情に、思わず胸がぐさっとなる。マズイ、これはマズイですよ大門さん、て誰と話してるんだ、俺。
「許すもなにも、お冴、わたしのモノになれば、きれいな服も着させてあげるし、美味しいものも食べさせてあげる。なにひとつ不自由ない生活をさせてあげるといってるじゃないか」
「でも、お父様が……」
「その父親が借金のかたに娘のおまえを差し出したんじゃないか、そんな父親といるよりわたしのところで暮らした方が幸せとは思わないかい?」
「それでも、私の親ですから、それにお父様は本当は優しい人ですから……」
 そう言うと、お冴はまた顔を伏せる。伏せた睫毛から大粒の涙が数滴落ちるのが見える。ていうか、その仕草激ヤバです。
「いいかい、優しいだけじゃ世の中生きていけないんだよ。おまえの家も昔は羽振りが良かったのに、おまえの父親の人の良さのために代々続いた店を潰してしまって、おまえも、小さい頃はいい暮らしをしていたんだろう?その後大分苦労したそうじゃないか」
「いえ、私は苦労したとは思っていません」
 ああもう、じれったいなぁ。もうこのまま帯をひっつかんで、くるくるくる「あーれー!」「ふふふ、よいではないかよいではないか」くるくるくる「あーれー!ご無体なー!」……(注:大門武彦、妄想暴走中)。
「じゃあ、こうしよう、お冴、おまえがわたしのモノになってくれたら、借金を無しにするだけじゃなく、お父さんの生活を援助してあげようじゃないか」
 うわー、妄想しながらセリフ言ってるー、俺って器用~。つうか、ディー・フォンが凄いのか?
「いえ、あの、それは……」
「どうだい?悪い条件じゃないだろう?おまえにもいい思いはさせてあげるし、お父さんの生活も楽にしてあげる。会いたければいつでも会いに行けばいいじゃないか」
「ああ、越後屋さん……」
「どうしたね、お冴?」
「…………あ、あの…」
「ん?なんだい?」
 そう言ってのぞき込むようにお冴に顔を寄せると、
「……や、優しくしてくれますか?越後屋さん?」
 ちらっとこちらを見てそう言うと、顔を赤くして後ろを向き、顔を伏せる。後ろから見てもあきらかにうなじのあたりが紅潮している。て、なに?この恥じらいは?これがヤマトナデシコってやつ?つうか、これマジであの冴子?いや、日本人で良かったぁ!俺、悪魔だけど。
「もちろん優しくしてあげるとも、お冴」
 俺はお冴を抱き寄せ、首筋からうなじにかけて口を寄せる。
「あ、そ、そんな……越後屋さん……」
「どうしたね、お冴?わたしのモノになるんだろう?越後屋さんはよしてくれないかね」
 お冴の目尻に残る涙を指でぬぐい、そのまま口づけする。
「あ……、だ、旦那様……ん、んむ!」
 口の中に入れられた俺の舌に、おずおずといった感じで自分の舌を寄せてくるお冴。もう、新っ鮮!いや、ヤバイっすよ、これは!そうしてるうちに、お冴の瞳が潤んできて、少しずつ舌の絡ませ方が積極的になってくる。お、冴子モード突入か?というところで、口を離す。ふたりの間に引いた糸が切れ、お冴の口元に垂れる。
「さ、お冴、わたしにおまえの体をよく見せてくれないか?」
「……はい」
 顔を赤らめてそう応えると、お冴は帯を解いて着物を脱ぐ。すると、その下には真っ赤な長襦袢!……待て待て待て!借金のかたに連れてこられてそれはおかしいだろ!いや、でもこの際そんなことどうでもいいや。と、またもや心の中でひとりコントをしている間にも、お冴は長襦袢も脱ぎ、一糸まとわぬ姿になる。
 いやいや、これはこれは、ほっほっほ、素晴らしいですねぇ。て、あ、俺今思考も越後屋になってた。いや、もとい、あらためてお冴の方を見やると、すらっとした長身に見合った細い手足、くびれた腰、胸は身長の割にはさほど大きくは感じないが、決して小さい方ではない。何より形がいい、欲情しているのか羞恥のためか、心もち持ち上がり、乳首が上を向いている。体全体から湯気が立ち上っているように見え、本来は白いであろう肌も、ほのかに赤く染まっている。……そりゃそうだよなぁ、本人の意識にはないだろうけど、もう2回も中出しされてるもんなぁ。本当なら腰まである漆黒の髪は日本髪に結い上げられ、もともと切れ長のはずの目尻も緩んで濡れている。そして、頬を赤く染めて、伏し目がちに少し下を向いた長い睫毛が小さく震えている。……いや、反則ですって、これ絶対反則。
「……あ、あの、旦那様?」
「ん?ああ、いやいや、きれいだよお冴」
「そ、そんな、恥ずかしいです、旦那様」
 そう言って、さらに頬を染めるお冴。いや、いいよ!お冴ちゃん!もう、ファンになりそう。
「さぁ、こちらへおいで」
 俺は、もう一度お冴を抱き寄せ、首筋に舌を這わし、左手で乳首をつまみ上げる。
「ひやぁん!だ、旦那様!」
 お冴が、羞恥と欲情のない交ぜになった声をあげる。たまんないなぁ、この反応。もう、そのまんまの勢いで右手の指をお冴の秘部に突っ込む。
「きゃう!」
 お冴の口から嬌声が漏れる。もうアソコの中はドロドロで、かき混ぜただけで白濁液の混じった愛液が太股をつたって垂れていく。まぁ、当然だよなぁ……。そのまま、指で肉芽を探り、捻りあげる。
「ひぁッ!だッ!旦那様ぁ!」
「ん、どうしたね、お冴?」
 数段オクターブの上がったお冴の声を聞きながら、左の乳房に吸い付き、そのまま再び首筋まで舌を這わせる。
「……あああ、旦那様、だんなさまぁ」
「ん?どうして欲しい、お冴?」
 うなじに熱い息を吹きかけるようにして、お冴の耳元でそう囁く。
「……下さい……」
「ん?なんだって?」
「だ、旦那様のが欲しいです」
 お冴の頬が染まっているのは、羞恥心のためなのか、欲情のためなのか、それともその両方なのか。
「わたしの何が欲しいんだい?」
「あ、あの……だ、旦那様の……お、ぉ……ち…んが……」
「もっと大きな声で言ってくれないと聞こえないなぁ」
「も、もう……優しくしてくれるって言って下さったのに!」
「いやいや、お冴、こういうことは大事なことだからね、はっきり言ってくれないと」
 ……てか、誰の筋書きだよ、これ。
「だ、旦那様の!お、お○んちんが欲しいです!」
 いやー、顔を真っ赤に染めて、涙をたたえた目で、そう言われると、もうおじさんなんでも言うこと聞いちゃうなー。
「よしよし、よく言えたねお冴、それじゃこっちにおいで」
 と、俺はお冴を、床に敷いてある布団に仰向けに寝かせる。おそらく、冴子の部屋のソファーが物質変化したもんなんだろうけど、これがまた赤い布団なんだな。設定間違えてるだろ、絶対。これじゃあ、越後屋の屋敷じゃなくて吉原の遊郭だぜ。つうか、こっちは羞恥心のたっぷりのお冴の新鮮さに、もう辛抱たまらん状態だし、お冴のアソコも、もう充分すぎるくらいに濡れていることだし、遠慮なくいかせてもらうことにする。お冴の両足をつかんで股を広げると、秘裂から溢れた愛液で早くも布団の上に染みができている。どうせ、このシナリオの設定だとこのままやるんだろうし、そのまま臨戦状態のモノを挿し込む。
「う!ああん!……はあぁ!……だ、旦那様ぁ!」
 腰を打ちつけるたびにお冴は、頭で体を支える形で体を反らして声をはり上げる。広げられたままだったお冴の両足が俺の腰に巻きつき、より深い場所に俺のモノを招き入れる。
「こんな!お、大きな声出して!わ、わたし!は、恥ずかしいのに!ああぁ!」
 再び体を反らせたお冴えの背中に腕を回して、俺はお冴の体を持ち上げ腿の上に座らせる格好にして突き上げる。
「はっ!うん?……はぁッ!はッ!だ、だんなさまぁ……」
 形の整ったその乳房に吸い付き、もう片方を揉みしだくと、お冴は耐えかねたように俺の首筋に顔を寄せ、チロチロと舌を這わせて切なそうな声を出す。その唇に吸い寄ると先程までのためらいが嘘のようにこちらの舌に自分の舌を絡めてくる。うん、こっちの方は大分冴子モードにもどってるなぁ。
「んんん!……はぁっ!はぁっ!……旦那様?」
 俺はいったん抽挿を止め、お冴の体の向きを変えさせ、四つん這いの格好にして抽挿を再開する。
「いやぁ!はぁッ!はッ!はッ!ふうん!」
 バックから激しく突かれ、お冴は息を荒げながら喘ぐ。体を支える両手がブルブルと震え、今にも崩れ落ちそうだ。
「いやぁ!わ、私ったら…は、はしたない!こ、こんなケダモノみたいな格好でぇッ!」
 パンッ!パンッ!というリズミカルな音を背景に、お冴の嬌声が響く。俺は腰を打ちつけるスピードをさらに上げていく。
「でも!気持ちイイのっ!だ、旦那様のっ!お○んちんが!お、奥まで来てぇッ!あッ!きゃうんっ!」
 お冴の体を支えていた両手が崩れ、頭と胸で体を支える格好になる。それでも尻は高く上げたまま、腰を動かし続けている。
「ひあうっ!ううんっ!わ、私ったら!ほ、本当には、はしたない!あ、ああ、だ、旦那様ぁ……」
 お冴は、横顔を半分布団に埋めながら、俺の方を見上げる。
「お、お冴は、こ、こんなはしたない……はあっ!お、女ですけど、だ、旦那様のモノに、し、してくれますか?」
 その濡れた瞳から涙がこぼれ落ちる。
 ……も、サイコー!旦那様バンザーイ!越後屋バンザーイ!時代劇バンザーイ!と、いろんなものにバンザイを唱えながら俺も達してしまう。
「ひあああああぁッ!だ、旦那様のお恵みがっ!わ、私の中にいぃッ!あ!ありがとうございますうぅッ!」
 旦那様への感謝を叫びながら、尻を高く上げた姿勢のまま、体を硬直させてお冴も絶頂に達する。その中に最後の一滴まで放出すると、ふたりして布団の上に崩れ落ちた。
 俺、悪魔だけど、残ったディー・フォンのアプリ確かめるまで体保つかなぁ……。

 ……結局、倭文が入れていたいくつかの試験用アプリをひととおり実験し終えた頃には、俺の目の下には地獄の闇よりも昏くて濃い隈ができていたのだった。

「ふう、さてと、帰るとするか……」

 とりあえず、完全に意識を失った冴子は寝室の方に運んである。それにしても、ちゃんと意識戻るのか?普通の人間なら確実に壊れてるぞ。つうか、悪魔の俺が壊れそうだし。ディー・フォンのアプリを起動させれば起きるはずだが、もう俺が保たない。もう一度寝室に行き、魔力を少し使って冴子の生命力を計る。うん、大丈夫そうだな、寝息も安定してるし。ひょっとしたら数日寝込むかもしれないが……。
 さて、それでは後始末とするか。ディー・フォンの解除機能で、冴子に今日あったことの記憶を消し、登録を解除する。なんかもったいない気もするが、このディー・フォンはあくまでも試作品で、俺のモノじゃないからなぁ……。商品開発に必要なデータは残すが、後々の面倒を無くすためにも、冴子の方の記憶は消して、登録は解除しておかなくてはならない。それに、いちおう登録解除の実験もしなくてはならないだろう。まぁ、部屋の場所はわかったし、もしどうしても気になるならな。と、俺は、我ながら未練たらたらで魔界へのゲートを開いた。

< 続く >

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