プロジェクトD 第4話

第4話

 結局、あれから、仕事が休みの度に、人間界に行って幸と会う、という生活がもう1ヶ月半ほど続いている。まあ、俺も楽しんでいるわけだから、別に嫌なわけじゃないんだが……。
 とにかく、幸の方は糸を使えば洗脳を解除することもできるだろう、今のところその気はないが。
 問題はあの兄貴だ。あの場は勢いで使ってしまったが、解除できない波留間のダーツを使ってしまったのはまずった。あれじゃ、いつまでもあのまんまだぞ……。
 それにしても、なんなんだ、この2ヶ月くらいのめまぐるしい状況は。仕事が仕事だから、人間界に行って道具の実験をすることは何度もあったが、前はこんな事はなかったぞ。
 しかし……考えてみれば、その大半は、己の人間の、いや、悪魔の弱さが原因のような気もするが……ああ、頭が痛え。

 俺は、軽くこめかみを押さえながら、とりあえず仕事にとりかかることにする。
 俺の個人的な状況はともかく、ディー・フォンの売り上げは絶好調だ。
 悪魔向けに発売された対魔獣用アプリがきっかけで、爆発的に魔界での売り上げが伸びたのだ。それも、使い魔用という俺たちの思惑を越えて、取り込んだ魔獣同士を戦わせてどっちの魔獣が強いかというゲーム感覚でだ。
 しかも、対戦で負けた魔獣を相手から奪うというルールらしい……。使うのが魔獣かカードかの違いで、やってることが人間と変わらんじゃないか。
 しかも、うちの会社がそこに目をつけて、いつでもどこでも、いろんな場所、状況での対戦を選べるヴァーチャル対戦機能や、通信対戦機能、集団対戦機能を付けたアプリ、<魔獣バトラー>や、コレクションした魔獣を強化できるアプリを発売したらこれがまた売れること売れること。
 で、案の定、巷では、ドラゴンを撮りに行って潰される奴や、まだ見ぬレヴィアタンを探して海に出向き、帰ってこなかった奴とかが出てるいらしい。ホントに、人間と、しかも小学生と同レベルだな……。

 その一方で耳に挟んだ噂では、ディー・フォンを使って人間の性欲を高め、自分の栄養補給に利用している淫魔もいるらしい。
 ディー・フォンに操られているときの人間の、あの限度のない淫乱ぶりと絶倫さを知っている俺としては、単なる噂や冗談として笑えないものがあるが……。
 ともかく、会社の業績は跳ね上がり、お偉いさんの機嫌もいい。この分なら、うちの課に回る予算も上がるんじゃないか。
 いや、予算はいいから、せめて、使える人材がもうひとりは欲しい。そうすれば、俺ももう少し幸と遊ぶ時間が……いや、余裕を持って仕事ができるんだが。

「ああ、倭文、このあいだの赤い糸って、取り出すことはできないのか?」
「あー、できないことはないですけど、時間も手間も結構かかるんですよね。まぁ、そのままでもいいんじゃないですか、体の方に悪い影響はないハズですし……」
「ハズとか言うなぁ!」
「いや、冗談ですって!ホントに体に影響はないのは確認済みですから、そのままでも心配ありませんって」
「……まあ、確かにあればあったで便利なんだがな。で、この眼鏡だが、やっぱり、今のままじゃ、洗脳用の道具としては少ししんどいぞ。確かに、相手の好感度を数値化できるってのは、別な道具の実験をする時には便利だがな」
「やっぱりそうですか。僕も、試作品の実験の時にこの眼鏡を使ってるんですがね」
 そう言って倭文は、自分の黒ブチ眼鏡をクイッと持ち上げる。
「それじゃ、おまえのその眼鏡も」
「ええ、しかも僕仕様の黒ブチです。で、結局この眼鏡のネックは、課長もおっしゃってたとおり、相手の好感度が低いと使えない事なんですが、とりあえず、まだ眼鏡に組み込むのは成功してないんですよね。でも、代わりにこんなものを作ってきました」
 倭文が取りだしたのは、水色の宝石だった。
「ん?なんだ、これは?」
「名前は、<反転のささやき>とでもいっておきましょうか。この宝石を使って言ったことの、反対の感情を相手に持たせる効果があります」
「どういうことだ?」
「日本に、謙譲の美徳、とか、謙遜、とかいう言葉がありますよね。へりくだったり、控えめに言うことが、逆に相手に好印象を与えるという文化に基づいたものですが、それを極端にしたようなものです。自分のことを悪く言えば、相手は自分に対して良い印象を持ち、自分のことを汚く言えば、相手は美しく思ってくれる。逆に、これを使って自分のことを良く言うと、それと反対の効果がありますが」
「なんかひねくれた道具だな」
「課長がおっしゃていた、自分に対して好印象を持っていない人間、もしくは敵意を持っている人間に対して、どうすれば効果的か考えたんですよ。自分に敵意を持つ人間に対しては、下手に高圧的にかかるよりかは、自分を卑下した方が案外効果的なものです」
「そんなもんか……。で、どう使うんだよ、この宝石」
「この、<反転のささやき>を体に取り込み、この石に灯りを点すようイメージするとスイッチが入ります。反対に灯りを消すイメージでスイッチが切れます。こればっかりは、常時機能してるとかえって困るので、スイッチが入ると、視界全体に青みがかかるようになっています。スイッチを切ると元に戻りますので、それでスイッチが入ってるかどうかわかるようになっています」
「ふうん……つうか、どうして最近体に取り込むタイプの道具ばっかり考えて来るんだ?」
「ある意味、ディー・フォンのアンチ・テーゼですね。ディー・フォンはたしかに、相手を操るのも簡単ですし、様々なアプリを活用できて利便性に長けています。しかし、ディー・フォンはそれ自体が強力であるがゆえに、持ち主が相手を操るというよりも、ディー・フォンが相手を操っているという感は否めません。仮に、ディー・フォン本体を奪われてしまった場合、登録を解かれてしまう可能性も出てきます。それに対して、この間の赤い糸やこの<反転のささやき>のように、使用者自身の体内に取り込むタイプだと、奪われる心配はまずないですし、必然的にこれらの道具を使った相手との関係も断ち切りにくくなります」
「なるほど」
「まぁ、ディー・フォンはたしかに強力ですけど、ハードウェアに頼りすぎるのは、不安要素も大きくなります。それよりも、こういった道具で相手に自分を認識させながら墜とす方が、より深く従属心や依存心を相手に植え付けることができます。なにより、ディー・フォンはいろんな意味で即効性重視ですからね。たしかに理論上は、複数のターゲットを支配下におくことができますが、そこまで耐えられる人間はまずいないでしょう。あれは、基本的には、使用者とターゲットの2名をさっさと快楽に溺れさせて命を落とさせ、ふたつの魂を手っ取り早く回収するためにあそこまで強烈にいやらしい設定にしたんです。それに対して、前回今回と、使用者がじっくり取り組めば、かなり多くの人間を支配下におくことができるでしょう。時間的には長いスパンはかかりますけど、最終的には一度で沢山の魂の回収が見込めます」
 そう言うと、倭文は眼鏡のフレームをつかみ、クイッと持ち上げた。

 ……なんか、巧く言いくるめられた気もするが、またもや、人間界に来てしまった。
 てか、なんでまた俺は幸と待ち合わせしてんだよ!こいつに<反転のささやき>使うわけいかねぇだろ!どうすんだよ、実験は!?
「……?どうしたんですか、武彦さん?」
「いや、ちょっと仕事で疲れててな……。さて、どこ行きたい、幸?」
 いつものごとく腕を俺に絡めるように組んで来る幸と歩き始めたその時。
「幸!」
 背後からの声に呼び止められて幸の足が止まる。
 そこには……、ジーパンにTシャツ姿の少年……いや、女か、が立っていた。
 そのいでたちと、すらっとして、凹凸の少ないボディーラインとショートヘアに一瞬惑わされるが、その整った目鼻立ち、何よりさっきの声は明らかに女のものだ。
 大きな黒目がちの目をやや怒らせ、口許をきゅっと堅く結んでいるのが全体に凛とした雰囲気を与え、ますますボーイッシュな感じを醸し出している。
「……薫ちゃん?」
「この子どなた?幸?」
「望月薫(もちづき かおる)ちゃん、子供の頃からの友達です」
「ああ、そう……あ、俺は大門、大門武彦。よろしく……」
「あんただな!幸をたぶらかしたのはっ!」
「はい!?」
 いや、まあ、たぶらかしたっていえばそうなんだけど。
「薫ちゃん!なんてこと言うの!武彦さんは……」
「幸は黙ってて!」
 強い口調で幸を制すると、彼女は俺を睨み付けてくる。
 俺はちらっと眼鏡で確認する。好感度は-2900。マイナスの数値が幸の兄貴より1000も多いじゃないか。ここまで来ると完全に憎悪ってもんだぞ。なんだってこんなに……あ、しかし、これは使えるんじゃないか。
「このところ、幸の様子がおかしいから聞いてみたら、彼氏ができったって言うじゃない!しかも公園で一目惚れしたって。幸に限って初対面の人に一目惚れって、そんなのありえないわ。だから、弘志さんに相談したら、弘志さんも何か変だし。あんたいったい何をしたのよ!」
 ……弘志、幸の兄貴ね。まぁ、幸と子供の頃から友達ってんなら不思議はないか。それにしても……。
「絶対あんたがおかしな事をして幸と弘志さんをたぶらかしてるのよ!さあ、幸を返してもらうわよ!そのために今日は幸の後をつけてきたんだから!」
 こいつ、ひょっとして……。
「……そうだな、まあ、ここじゃ人目がある。もう少し静かなところに場所を移さないか」
「いいわよ。でも、おかしな事をしようとしたら大声を出すわよ」
「ああ、かまわんさ」
 歩き出した俺の腕をつかむ幸の手に、ギュッと力がこもる。見ると、不安げなまなざしで俺の方を見上げていた。俺は空いている方の手で幸の頭をなでてやり、安心させるように微笑む。さてと、どういうふうに仕掛けるかな……。

 ここはいつもの公園の片隅。この時間帯は、たまに向こうを人が通る程度だ。
 俺は、幸と腕を組んだまま、望月薫、という少女と向き合う。
 今の格好だと、美少年といっても通るが、女としても充分に美人だ。
 俺は、事前に取り込んでいた<反転のささやき>にスイッチを入れる。
 すると、青いセロハンを通して見たかのように、視界全体に薄い青みがかかる。なるほど、これで、<反転のささやき>が起動したということか。薫が、焦れたように口を開こうとした瞬間、機先を制してこちらから切り出す。
「すまん!おまえの言うとおりだ!俺は幸をたぶらかして自分のものにした悪人だ!人として最悪な男だ!」
「「そんなことないわ!!」」
 幸と……そして薫が同時に声をあげた。
「え?いや、私なんでこんなこと言っちゃったの!?」
 うろたえている薫の数値が一瞬グンッと跳ね上がり、そしてまたもとの数値近くに戻る。
「武彦さんは私をたぶらかしてなんかいないわ!一目惚れしたのは私の方なんだし……」
「だから!それはこの男が幸に何かおかしな事をしたのよ!」
「ああ!俺は最低だ!生きている価値もない男だ!怪しげな事をして幸を手に入れた下衆野郎だ!」
「そんなことない!あなたは立派な人よ!……て、いや!私またこんなこと!?」
「そうよ薫ちゃん!武彦さんは優しい人なの!今もこうして、みんなが傷つかないように自分が悪役になろうとしている」
「い、いや……そ、そんなことない……だって、この男はっ……」
 薫が動揺しているのが手に取るようにわかる。<反転のささやき>を使った俺の言葉に、擁護する幸の言葉がいい援護射撃になっている。
「ああ!俺は腹黒い悪人だ!自分の欲望のままに幸を手に入れ、その兄貴までたぶらかした大悪党だ!」
「そんなこと言わないで!あなたはいい人なのよ!……きゃあ!どういうことなの!?」
「ああ、薫ちゃん。わかってくれるのね」
「ち、違う!だって、わ、私は……」
 さっきから、眼鏡の示す数値がプラスとマイナスの間でめまぐるしく動き、正確な数値はつかめない。しかし、心なしか、マイナス記号が付いている時間が短くなっているような気がする。
 それにしても、自分をけなす言葉がこんなにすらすら出てくるなんて、俺もなぁ……。
「おまえが俺から、幸を取り返しに来たのも当然だ!俺がいると幸が不幸になる!」
「違うわ!幸を幸せにできるのはあなただけよ!あ……違う、それも違う!」
「俺みたいな最低な奴は幸にはふさわしくないんだ!」
「だから、あなたは幸にふさわしいって言ってるじゃない!……あ、ああ」
「俺みたいな男、おまえにも幸にも嫌われて当たり前だ!」
「そんな、誰もあなたを嫌ってなんかいないわ……」
「しかし、おまえの親友におかしな事をして自分のものにした悪人だ。おまえが俺のことを憎むのは当然じゃないか。」
「あ、ああ……あなたは何もおかしな事はしていないわ。そ、それにあなたを憎んでいるなんて……」
「こんな最低な奴、大嫌いだろ?」
「ち、違う、そんなこと……ない。」
「俺みたいな男を好きになるわけはないだろう?」
「あ、いや……私は……あなたのことが……好き……なの?」
「え?か、薫ちゃん?」

 もはや、好感度を示す数値にマイナス記号は全く見られない。
 そろそろ、仕上げといくか。俺の読み通りならこの方法は効くはずだ。俺は、組んだままの腕から零距離で幸に糸を伸ばし思念を送る。
{薫と一緒に武彦に愛されることになったらどんなに素晴らしいだろう}
「薫ちゃん……薫ちゃんも武彦さんのことが好きなのね」
「あ、う……み、幸……」
「ねぇ、薫ちゃん。薫ちゃんも武彦さんのこと好きになっていいのよ」
「え!?だ、だって!大門さんは幸の……」
「いいのよ、私と一緒に武彦さんに愛してもらいましょう」
「な、何言ってるの、幸!そ、そんなこと」
「そうだな、そもそも、幸を愛する資格もない俺だ。おまえを愛する資格もないに決まっている」
「自分のことをそういう風に言うのはやめて!あなたには充分その資格はあるわ!」
「それでも、幸とおまえと、二人分の愛を受けとめるなんて、そんなこと俺なんかにはできないだろうな」
「できるわよ!あ、あなたなら……」
{薫も武彦の愛を受け入れてくれたら、武彦と薫と、三人一緒でずっと幸せでいられる}
「ね、薫ちゃん、武彦さんは心の広い人だから大丈夫よ。薫ちゃんが武彦さんの愛を受け入れてくれたら私と薫ちゃん、そして武彦さんの三人でずっと一緒にいられるのよ」
「ずっと……一緒……。幸と大門さんと……」
「さあ、薫ちゃん?」
「でも、み、幸の気持ちは……?」
「私は大歓迎よ。だって私は薫ちゃんの親友じゃない」
「み、幸……」
「ね、薫ちゃん。」
「う、ううう、えぐっ!うあああぁ……」
 もういいだろう。俺は、<反転のささやき>のスイッチを切り、幸と一緒に、膝を折って泣き崩れる薫に歩み寄る。
「さ、立って、薫ちゃん」
「ひっく……み、みゆきぃ……」
「さあ、涙を拭くんだ、薫。」
 そう言って俺はハンカチを差し出す。
「だ、大門さん……。」
 まだ涙の止まらない薫を、俺と幸は優しく抱きしめてやる。

「あっ!んんん!」
 薄暗いホテルの壁に、絡み合う3人の人影が映る。
「んんっ!ああッ!やぁッ!み、幸……そ、そんな……」
 背後から薫の耳たぶを吸っていた幸が、薫の服を脱がせにかかると、薫は吸っていた俺の唇を離し、甘い叫びを上げる。
「ん?でも薫ちゃん、武彦さんに愛されるっていうことは、つまりこういうことでしょ?」
 手際よく薫の服を脱がせながら、幸はその首筋に舌を這わせる。
「あッ!で、でも……やっぱり恥ずかしいの幸!」
「ふふ……恥ずかしがることはないわよ、薫ちゃん。ねぇ、武彦さん?」
 裸になった薫を優しく抱き、ベッドに導く幸。
「ああ、そうだな……」
 おれも服を脱いで、仰向けに寝かされた薫のもとに行き、少し筋肉質のスラリとした腿をつかむ。
「ああ……だ、大門さん……」
 薄暗い明かりの下でも、薫の頬が紅潮しているのがわかる。
「さぁ、武彦さんに愛してもらいましょ、薫ちゃん」
「み、みゆき……ん、んん……」
 幸が薫の頭に覆い被さるようにして薫の唇を吸い、舌を差し込む。俺は、薫のアソコに頭を寄せる。まだ、それほど濡れていないのが、目で見てもわかる。
「ん!んぐっ!」
 俺が割れ目の中に舌を挿し込むと、薫は幸に口を吸われたままくぐもった叫びをあげ、体がビクンと跳ねる。
「むっ!んんん!ぐ!む!むむう!んんー!…………はぁはぁ……」
 幸がようやく唇を離し、薫が荒く息をする喘ぎが聞こえてくる。
「はぁ……あ!……やッ!きゃあ!み、みゆき!?」
 次に幸は、薫の胸の小さな膨らみの頂を吸い上げる。
「あ!みゆき……あん!んん……む……ちゅぱ……」
 俺と幸に上と下から愛撫されながら、喘ぎ声を上げつつ、薫も自分の目の前に来た幸の胸に吸い付く。
「ん……ちゅ……ちゅる……」
「あ……はあ……じゅる……ちゅぱ……」
 幸と薫が互いの胸を舐め、乳首を吸う湿った音が響く。俺が吸っている薫のアソコも、粘りけのある液体が、中から溢れるほどに濡れて、生臭さと、蒸れるような臭いが充満してくる。
「よし……そろそろいくぞ、いいか、薫?」
「ん……ちゅ……あ、ん!はい…大門さん……」
 幸の胸から口を離し、薫は甘い喘ぎ声混じりの返事をする。俺は薫の両足を持ち上げて自分の腿の上に乗せ、充分に湿った割れ目に挿入する。
「ひあ!ああ!あ!……熱い!大門さんのっ!熱いのがっ!入ってる!」
 薫は、一瞬大きく体を跳ね上げて喘ぐ。
「はぁ!あん!はっ!ふうん!んん!?んんん!」
 またもや、幸が薫の唇をふさぎ、両手で薫の胸をこね回し、乳首をつまみ上げる。
「んぐ!ぐぐ!んむ!むむむ!」
 口をふさがれた薫は、くぐもった声をあげて身をよじる。その動きに合わせるように、俺は薫の腰から腿をなで回し、腰を振る。
「ぐむぅ!むう!……ぷはぁ!……だめぇ!気持ちイイの!……み、みゆき!わたし……おかしくなっちゃう!」
「いいのよ、薫ちゃん……武彦さんの前では、どれだけおかしくなってもいいの」
「み!みゆき!ん!ちゅ!んんん!んむ!」
 幸の言葉に何か吹っ切れたのか、薫は両手で幸の頭を掻き抱き、激しくくちづけをする。幸も、薫の胸を愛撫していた手を薫の頭に回し、互いに激しく唇を吸い上げる。
「んんん!むむ!」
「ふん!ぐむむ!」
 ふたりのくぐもった喘ぎ声が上がり、薫の俺のモノへの締め付けがきつくなってくる。俺も薫の腰をしっかりとつかみ、力強く突き上げる。
「むむー!んん!ふぐっ!んんんー!」
 喉の奥から絞り出すような呻きを上げながら、それでも薫は幸の頭を強く抱き、唇を離そうとしない。ふたりとも体が汗で光り、幸の髪が薫の体にからみついている。
「ん゛ー!んんー!ぐ!ぐむ!ん゛ん゛ん゛ーッ!」
「ふん゛!むむ!ん゛ん゛!むむー!」
 ずっと口を吸ったままの薫と幸の呻きが苦しげになってくる。薫が両足で俺の腰を挟み、アソコできつく俺のモノを締め付けた瞬間、
「ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ー!ぐむむむー!」
 俺の射精を受けとめた薫は、頭を幸に、腰を俺に押さえつけられているため、反らすというよりか、身を捻るようにして絶頂に達する。
「むむむ!……ぷふぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はあああぁ!はぁ!はぁ!うう!はぁ!はぁ!」
 ようやく、幸の唇から自分の口を離し、酸欠を起こしたように舌を出して大きく息をしながら余韻に浸る薫。まだ射精の続く中、ときどき体をビクッと震わせるたびに息が乱れる。

「さてと、じゃあ、幸、次はおまえが薫の相手をしてやれ」
 完全に息の上がった薫と幸の呼吸が、落ち着いた頃合いを見計らって俺は幸に声を掛ける。
「え?私が…ですか?」
 一瞬、なんのことかわからないという表情で幸が俺の顔を見てくる。その向こうで、薫がハッとした表情でこっちを見ている。
「なんせ、薫はおまえのことが好きなんだからな。親友なら気づいてやれ」
「……そうだったの、薫ちゃん?」
 幸が目を丸くして薫の方を見る。さきほどまでの激しい行為に、まだ体から湯気を立ち上らせながら薫はシーツを掻き上げ、顔を伏せる。
「もう……大門さんの意地悪……」
 それを見ていた幸の表情が緩み、薫の方に這い寄り、頬に軽くキスする。
「ごめんね、薫ちゃん」
「み、幸……ちゅ!んんん!」
 幸は、今度は薫の口に舌を絡め、そのまま薫を押し倒す。そして、絡めていた舌を外し、そのまま首から胸、臍と舐め降ろしていき、
「ひゅあ!み、みゆきぃ!」
「ん……薫ちゃんのアソコ、武彦さんの臭いでいっぱいだわ……ちゅ……」
 一度、薫の割れ目をを軽く吸うと、体勢を入れ替えて薫の上に乗り、その股に顔を埋める。
「あ!きゅあ!みゆき!ああん!」
「ん……じゅる……ああ、ホントに……武彦さんの味がする……ふむ……じゅるる……」
「ああん!みゆき!みゆき!」
「ねぇ……薫ちゃんも……私のアソコ…舐めていいのよ……」
「ふあ!みゆき!あふん!……んん!じゅ、じゅる!」
「ああん!イイわ!薫ちゃん!……あん!……ちゅる……」
「ん……みゆきのアソコ、もうドロドロ……じゅ…じゅるる……ふあ!」
 ふーん、幸のやつ、案外攻めるタイプなんだなぁ。てっきり幸の方が受け身で、薫の方が攻めかと思ったんだが。まぁ、幸はここ何回か俺と会うたびにやりまくってるから、その経験値の差か?
「うん!ちゅるる……はん!み、みゆきいぃッ!」
 と、いきなり薫が大きく叫んだかと思うと、反動を付けて体を入れ替え、幸の上に乗る格好になる。そのまま、いったん上半身を起こして向きを変え、幸の頭を抱き寄せて唇を吸う。そして、指を幸の割れ目に挿し込み、激しく動かす。
 いきなり立場逆転かよ……こいつはなんかのスイッチでもついてんのか?
「んぐ!むむう!ぷは……はぁん!ひあうん!か、かおるちゃん!」
「みゆき!むかしから、だ、大好きだったのに!」
「ご、ごめんね!かおるちゃん!はぁ!はぁん!」
「ああ、みゆき!みゆきいいぃぃっ!」
 薫は、幸の割れ目から指を抜くと、足をしっかりと幸の体に絡みつかせ、体を反らすようにして、アソコとアソコを思い切り擦り合わせる。
「ああああぁーッ!か!かおるちゃん!」
 ふたり同時に達すると、反らしていた薫の体から力が抜け、幸の上にうつぶせて喘いでいる。

「ふたりとも、なかなかよかったじゃないか。じゃあ、今度は俺も参加させてもらうか」
 そう言うと、俺は背後から薫に覆い被さる。ふたりの絡みを見ていた俺のモノはもうすっかり準備万端だ。
「え、だ、大門さん!?あ!やぁ!ち、違うの!そっちは違うの!」
「はぁ……何言ってるの、薫ちゃん。武彦さんに、お尻の穴に入れてもらうのとっても気持ちイイんだから」
「で、でもっ!ひゃあ!はあああぁ!だ、大門さんの大きいのが!き、きついのぉ!」
「ふふ、すぐに気持ちよくなるわよ、薫ちゃん。じゃあ、私もいくわね」
「はうん!ああ!あ!そ、そこぉ!みゆきぃ!」
 幸がさっきのおかえしとばかりに、薫の裂け目に指を挿し込み、乳首を吸う。
「はあぁ!み、みゆきぃ……あ!ひああぁッ!大門さん……の、が…熱いの!」
「ん……ちゅ……薫ちゃん、武彦さんの…大きくて…気持ちいいでしょう?」
「ひぐっ!イイッ!イイのッ!大門さんの!大きくて!熱くて気持ちイイのぉッ!」
 幸に耳元で囁かれ、薫が甘い喘ぎ声を上げる。
 ……幸、恐ろしい奴……俺より洗脳の才能あるんじゃないか?
「武彦さんに愛してもらうと、いつでもこんなに気持ちよくなれるのよ」
「ああっ!だ、大門さぁん!はぁん!ああん!」
「これからは、いつでも三人一緒に気持ちよくなれるのよ、武彦さんと、私と、薫ちゃんで……」
 ……あのー、どこまで墜とすつもりですか、幸さん?
「あ、ああ……だ、だいもんさんと…あふうっ!…みゆきと……さんにんで……」
「そう…ずっと……三人で……幸せでしょ、薫ちゃん?」
「ずっと……さんにんで……はん!うはぁ!……うぐっ!えっく!」
 薫の目から大粒の涙がこぼれる。……幸、また泣かしちまったのかよ。
 薫がしゃくり上げるたびに俺のモノがきつく締め付けられて気持ちはいいんだけどなぁ……。
「はああぁん!うええん!……だ、だいもんさぁん!ひっぐ!は!はぁ!みゆきぃ!」
 うわ!きつうっ!薫が、泣きじゃくりながら体を悶えさせるもんだから、俺のモノが、訳がわからんくらい締め上げられてもう限界だ。
「さあ、薫ちゃん……もっと幸せになりましょ」
 そう言うと、幸は薫の頭越しに俺を見つめ、蕩けた顔で微笑む。
 ……悪魔だ!俺が言うのもなんだが、おまえ悪魔だろ、幸!もういっぱいいっぱいだった俺のモノが、幸のその表情で一気に限界を超える。
「あああ!あづいぃっ!ああ!みゆきぃ!だいもんさぁん!ああーん!うわああああああん!」
 ほとんど大声で泣いているようにしか聞こえない叫び声を上げて、薫が体をのけぞらせる。アソコからぶしゅっ、と潮を吹き幸の腹から胸を濡らす。そのまま固まっていた体が、急にがくんと崩れ落ちた。

 短い間に3回もイカされ、薫はベッドの上にうつぶせになったままピクリとも動かない。と、幸が俺の傍ににじり寄り、やや元気をなくした俺のモノを握りしめている。
「ちょ、幸?」
「武彦さん……」
 幸は欲情に頬を染め、さっきの悪魔的な表情で俺の顔を見上げてくる。
「おねがい、武彦さん……」
 そのまま俺の顔を見つめながら俺のモノをしごき上げる。……そこまで淫らになるよう操作した覚えはないんだがなぁ。
「幸?」
「だって、私、今日まだ一回も挿れてもらってないんですもの……」
 あー、そういうことですか。そういえばそうだな……それじゃ仕方ないなぁ。俺は幸を抱き寄せ首筋に舌を這わせる。
「ああ、武彦さん……」
 ……実験はうまくいったけどよ、なんか、ますます状況が収拾つかなくなってないか?
 まぁ、悪魔のはしくれたるもの、人間の女の二人や三人相手にできる自信はあるが……倭文の奴、体をふたつにできる道具でも考えてくれんかな……。
 甘い声をあげながら、アソコを押しつけてくる幸に舌を絡ませながら、俺はそんなことをぼんやりと考えていた。

< 続く >

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