第4話 新しい家族
そして、それから……。
「おーい、さくら、腹減ってるんじゃないか。俺とセックスでも……て、うわっ!?」
そろそろさくらが腹を空かせてる頃だと思って誘ってみると、いきなり顔を近づけてきて舐め回すようにくまなく俺の顔を見つめてくる。
「うん、血色もだいぶいいわね……。いいわよ、エッチしよ!」
……て、なに、そのチェックは?
さくらの許可が下りなければセックスできない同棲生活が続いていた。
で、許可が下りない日はというと……。
「じゃ、美弥子さんのとこに遊びに行こ!」
「て、おい、さくら!」
「いいからいいから!……美弥子さーん!さくらでーす!」
「……あら、いらっしゃい、さくらちゃん。慎介くんも、さあ、上がってちょうだい」
「はーい!」
当然のように上がり込むさくらを、美弥子さんがにこやかに迎え入れる。
そうやって、さくらの腹が減っても俺の体力が回復してないと判断されたときは、美弥子さんとエッチするのが当たり前になっていた。
その日も、お昼過ぎからお邪魔して、いつものようにさくらが先に美弥子さんの精気を吸う。
「きゃふぅううん!イクイクッ!あたしっ、もうイッちゃうよぉおおおっ!」
「私もよっ!一緒にイキましょうっ、さくらちゃん!……んっ、んふぅうううううううっ!」
互いに後ろ手をついて、アソコとアソコを擦り合わせていたさくらと美弥子さんの腰がクッと浮かび上がった。
そのまま体が小刻みに震えるのに合わせて、丸見えのおっぱいもふるふると震えている。
いや、何度見ても女同士でやってるのってすごいエロいと思う。
特に、美弥子さんもさくらもおっぱいのボリュームがあるからなかなかの迫力だ。
ていうか、このふたりのエッチを見て息子を勃起させてるのに慣れてしまってる俺もどうかと思うけど……。
「……良かったわよ、さくらちゃん。じゃあ、次は慎介くんね」
「はっ、はい……わっ、美弥子さん!?」
絶頂の波が収まった美弥子さんが這い寄ってくると、そのまま俺を押し倒した。
「今日は私が気持ちよくしてあげるわね……」
そう言うと、美弥子さんは俺の上に跨がってきて勃起してるチンポを握った。
そして、ゆっくりと手を上下させて扱きはじめる。
「ふふふっ!もうこんなに大きくして……もっと大きくしてあげるわね」
嬉しそうに微笑んだ美弥子さんの表情が、ヤバいくらいにエロい。
さくらの話だと、美弥子さんには別に特別いやらしくなるようにはしていないらしい。
俺たちを家族だと思うことと、家族同士でエッチなことをするのは当たり前のことで、どれだけエッチをして気持ちよくなっても全然恥ずかしくないし気持ちいいことはそれだけ仲がいいことだと思っているせいで、今まで理性とかモラルとか常識とかで抑え込んでいたものが俺たちの前では解放されてるからなんじゃないかとさくらは言っていた。
たしかにさくらの言うとおり、美弥子さんがこんなにいやらしいのはこうしてるときだけで、普段は前と全然変わらないように見える。
まあ、いつもニコニコ微笑んでいた人なんだけど。
でも、こうやってエッチしてるときの笑顔は、普段の笑顔よりもずっときれいだ。
美弥子さんはこれまで、女手ひとつで娘さんを育ててきたんだ。
自分の欲求不満や、いろいろ溜まっているものは全部後回しにして。
だからきっと、こうしているときはただの女に戻れるんじゃないのかな?
「ほら、慎介くん……慎介くんのおちんちん、すごく大きくなった。じゃあ、そろそろ入れるわね。……んっ……はんんんんっ!」
いったん膝立ちになった美弥子さんが、ひねりを加えながらゆっくりと腰を沈めてくる。
するとたちまち、チンポが熱くうねる感触に包まれていく。
「ああんっ、やっぱり、慎介くんのっ、固くて熱くてすごくいいわっ!んっ……んんっ!……慎介くんも、気持ちよくなっていいのよっ!」
「あうっ……はいっ、美弥子さんっ……すっごく、気持ちいいですっ!」
美弥子さんは、まずは俺のチンポを味わうようにゆっくりと腰をくねらせる。
じっさい、それだけでもチンポいっぱいにヌメッと熱いものが絡みついてきて気持ちいい。
そのままうっとりとした表情でじっくりと腰を揺らしていた美弥子さんが、少しずつ上下の動きを加えはじめる。
「んっ……あんっ、このっ、奥に響く感じ、んふっ、いいわっ、いいわよっ、慎介くんっ!」
いっぱいに快感を求めるように美弥子さんの動きが激しくなっていく。
同時に、チンポがアソコにぐいぐい締めつけられて、はち切れんばかりに膨らむのがわかる。
「んふぅうん!またっ、また大きくなったわっ!んっ、あんっ!」
夢中になって美弥子さんが腰をくねらせている、その時だった。
「ただいまー!」
表の方から、声が聞こえた。
……ひょっとして、これって!?
春奈ちゃんだったっけ?
……美弥子さんの娘さんが帰ってきたのか!?
「んっ……あら、春奈が帰ってきたのね。……んっ、はんっ!」
「ちょっ、ちょっと!美弥子さん!?」
娘さんが帰ってきたっていうのに、美弥子さんは慌てる様子もなく腰を振り続けていた。
たぶん、今の美弥子さんはさくらの力のせいで、家族同士でいやらしいことをするのは当たり前だって思ってるから娘さんの前でこんな姿を見せるのもなんとも思ってないんだ……。
いや、でもこれはマズいって!
「お母さん、いるのー?」
俺たちのいる寝室のドアがバタンと開けられて、セーラー服姿で短めの髪の女の子が入ってきた。
「ちょ……っ!」
驚いて声も出ないのか、きれいなかまぼこ型の目を大きく見開いてその場に立ち尽くす。
そりゃそうだろう。
学校から帰ってきたら、自分の母親が知らない男の上に跨がって腰を振ってたんだから。
誰だってショックに決まってる。
「おかえりなさい、春奈」
「おかえりなさいじゃないでしょ!お母さんったらなにしてるのよっ!」
「なにって……セックスじゃないの。……んっ、ああんっ!」
「ちょっと、美弥子さん!?……おわっ!?」
いくらなんでもこの状況はマズいと思うけど、美弥子さんはどいてくれないし、腰をくねらせてチンポを扱くのも止めようとしない。
「そんなっ……!その人たちはいったい……誰……なの……?」
「……さくら?」
それまで黙っていたさくらがすっと立ち上がると、春奈ちゃんの前に立った。
すると、今にも泣きそうだった春奈ちゃんの顔から表情が消えた。
ぼんやりと、虚ろな表情をしてその場に立ち尽くしている。
さくらのやつ、吸血鬼の眼を使ったのか?
俺の位置からだと、さくらの後ろ姿しか見えないから確認はできないけど間違いない、春奈ちゃんのあの反応はさくらが眼を使ったんだ。
「驚かないで。これは、当たり前のことなんだから」
「当たり前の……こと……」
「そうよ。あなたのお母さんは、すごく当たり前のことをしてるだけなの。いい?あなたのお母さんの言うことをよく聞くのよ。お母さんの言うことは、絶対に間違いはないんだから」
「お母さんの言うことは……絶対に間違いはない……」
「そう。もし、あなたがおかしいって思っても、正しいのはお母さんの方なんだからね。絶対に言うことを聞かなきゃだめ」
「私がおかしいって思っても……正しいのはお母さんの方だから……絶対に言うことを聞かなきゃだめ……」
虚ろな表情で、春奈ちゃんはさくらの言葉を繰り返す。
「さくらちゃんの言う通りよ、春奈。ここにいるのはみんな家族なんだから、なにも恥ずかしいことはないの。……んっ、はんっ!」
「ここにいるのはみんな家族だから……なにも恥ずかしいことはないの……」
俺とのセックスに夢中で春奈ちゃんの様子がおかしいのに気づいていないのか、美弥子さんは腰をくねらせながらさくらの言葉に乗っかってきた。
ていうか、今、春奈ちゃんは美弥子さんの声にも反応してなかったか?
さくらの力って、そういうこともできるのかな?
あっ、今、さくらのやつクスッて笑っただろ?
あいつ、わかってやってやがるな……。
ゆっくりと、さくらがこっちに振り向く。
その目は、もういつも通りのくりっとしたさくらの目だ。
そして、同時にぼんやりと突っ立っていた春奈ちゃんに表情が戻る。
「ちょっと!お母さんったらなんでそんなことしてるのよ!?」
「だから言ったでしょ、ここにいるのはみんな家族だって。家族同士でいやらしいことをするのは当たり前のことじゃない」
「そんな!?」
「そうよ。家族同士でいやらしいことをしてお互いに気持ちよくなるってことは、それだけ家族の仲がいい証拠なんだから」
「そんなの……だいいち、その人たちが家族だなんて……」
て、いやいや春奈ちゃん?
家族同士がいやらしいことをするのが当たり前ってところは否定しないの?
……うーん、さくらの力恐るべし。
ていうか、美弥子さんは美弥子さんで俺に跨がったままだし。
「ごめんね、春奈。もう少ししたらあなたにも紹介しようと思っていたのよ。彼は松井慎介くん、で、彼女が妹のさくらちゃん。お向かいのうちのアパートに住んでいて、私たちの新しい家族よ。……慎介くん、さくらちゃん、この子が娘の春奈よ。仲良くしてあげてね」
と、美弥子さんは春奈ちゃんを俺たちに紹介する。
……って、この状況で紹介されても困るんだけど。
「そんな……新しい家族って言われても……」
「ねえ!?春奈ちゃんはあたしたちと家族になるのは嫌なの!?」
「きゃっ!?さくら……ちゃん……?」
飛びついてきたさくらに見つめられた春奈ちゃんの目が、また虚ろになる。
どうやら、さくらがまた吸血鬼の眼を使ったみたいだ。
「ね?家族になろうよ?あたしたちは本当の家族じゃないけど、本当の家族になれるように、頑張って仲良くしよ?」
「……うん」
さくらの言葉にぼんやりと頷くと、春奈ちゃん目に光が戻ってくる。
「ねえ?あたしたちと家族になるのは嫌?」
「え……と……嫌じゃ……ないけど」
「じゃあ、家族になってくれるの?」
「う、うん……」
「ありがとうっ!春奈ちゃん!」
「きゃっ!?さくらちゃん!?」
半ば強引に同意を取り付けたさくらが春奈ちゃんに抱きつく。
「わかってくれたのね、春奈。でも、さくらちゃんは受験生なんだから、あなたよりもひとつお姉さんなのよ。それに慎介くんも大学生だし、お兄さんよ」
さくらと春奈ちゃんを見て、美弥子さんも嬉しそうに目を細める。
さくらが適当に言ったあの言葉をちゃんと覚えてるんだな。
つうか、大学の下見に来ていつまでもここにいるのもおかしいとか思わないんだろうか?
どうやらさくらが力を使うと、自分がなにかおかしなことをされてるとか、状況に食い違いがあっても、そういうことへの疑問を持たなくなる効果があるみたいだ。
「……さくらお姉ちゃんと……慎介お兄ちゃん?」
「うんっ!そうだよ、春奈ちゃん!」
まだ戸惑いを隠せないでいる春奈ちゃんを、笑顔で抱きしめるさくら。
「春奈がわかってくれて良かったわ。……じゃあ、続きをしましょうか、慎介くん?……んっ、はうんっ、ああっ!」
そんなふたりの様子に安心したのか、美弥子さんは俺を見下ろして微笑むと再び腰を大きくグラインドさせはじめる。
「あんっ、いいっ!いいわよっ、慎介くんっ!はうっ、ああんっ!」
「ちょっと……お母さん!?」
「どうしたの、春奈?家族同士なんだからこういうことしててもなにも不思議じゃないでしょ?……あんっ、大きいっ!」
春奈ちゃんを諭すような口調で美弥子さんが言うけど。
……でも、普通は家族でこういうことはしないよな。
「やだ……お母さん、やっぱりいやらしすぎるよぉ……」
「春奈ったらなに言ってるの?セックスはいやらしいに決まってるじゃないの」
「で、でもぉ……」
「よく見ておきなさいね、私と慎介くんのセックス。……んっ、はんっ、はうっ、あああっ!」
まるで、セックスのやり方を押し当てあげるとで言うような口調でそう言うと、美弥子さんは俺の腹に両手をついて大きく腰を上下させていく。
「んっ、はうっ、ああっ、気持ちいいわっ!ねっ、慎介くんも気持ちいいっ!?」
「くうっ、きっ、気持ちいいです!」
「よかった……もっとっ、もっと気持ちよくなりましょ!ああんっ、んっ、いいわっ、すごくいいのっ!」
うっとりとした表情で顔を反らせ、おっぱいを揺らせて美弥子さんは跳ねるように激しく腰を動かし続ける。
そんな美弥子さんの姿を、顔を真っ赤にしながらも春奈ちゃんは食い入るように見つめていた。
「……そんなに気持ちいいの……母さん?」
「ええっ、気持ちいいわよ!慎介くんとのセックスは特に気持ちいいの!……んっ、はうんっ!」
「そう……なんだ……」
ん?
なんか、俺たちを見てる春奈ちゃんが両足をもぞもぞさせてるような気が?
「春奈ちゃん!もしかして、エッチな気分になってない?」
「きゃあっ!?」
さくらがいきなり後ろから抱きついて、セーラー服の上から春奈ちゃんの胸を掴んだ。
「ほらー、こんなに乳首が固くなってるよー!興奮してるんだねっ?」
「やっ……そんなこと、ないですっ!……ひゃううん!?」
さくらが耳に息を吹きかけると、春奈ちゃんはピクンと震えて体を縮こませる。
「やんっ……ひゃっ!……な、なんでこんな!?」
「それはね、春奈ちゃんが興奮して感じやすくなってるからだよ!」
「そんなっ!私……感じやすくなんかっ!……ひゃああっ!」
ペロッとうなじを舐められただけで感じてしまったのか、春奈ちゃんはその場にへたり込んでしまった。
「んっ、はんっ!かっ、隠さなくて、いっ、いいのよ春奈……セックスしてるのを見て興奮するのは、当然のことなんだから!……あんっ、すごいいいっ!」
「そーだよ!エッチな気分になってるのも、春奈ちゃんが健全な証拠なんだから!」
「そっ、そんなぁ……やあっ!そこはダメだよぉ!」
さくらが春奈ちゃんのスカートの中に手を潜り込ませて、悪戯っぽい笑みを浮かべる。
「ほらぁ、ショーツが湿ってるよー。やっぱり興奮してるんじゃないのー」
「やっ、違っ、そんなことぉっ!」
「もうー、自分でわからないの?ほら、こんなに濡れてるじゃない?」
「あんっ!そんなとこっ、擦っちゃダメだよ!」
スカートの中に入れた手をさくらが動かすたびに、春奈ちゃんの体がビクッ、ビクビクッと震える。
「うふふー!春奈ちゃんったらかわいいー!……そうだ!お兄ちゃんとお母さんが終わるまで、先にあたしたちで気持ちよくなっちゃお♪」
「きゃっ!?さくら……お姉ちゃん!?」
「ふふふっ!いいからいいから」
春奈ちゃんを床に押し倒して、さくらはセーラー服をたくし上げさせる。
そしてブラも押し上げると、その下から美弥子さんやさくらのよりもだいぶ小さいけれども、その分可愛らしいおっぱいが顔を出した。
「うわぁ、春奈ちゃんってばおっぱいもかわいいー!それじゃ……はむ……んちゅっ!」
「やんっ……ああんっ!」
春奈ちゃんのおっぱいを見て歓声を上げると、さくらはその先っぽに吸いついた。
「ん、ちゅっ……うふ♪春奈ちゃんの乳首、こんなにコリコリになってる♪」
「さくらお姉ちゃんっ、こんなことしたらダメだよぉ!」
「なに言ってんの?いいに決まってるじゃない。なんたって、あたしたちは家族同士なんだから!」
そう言ってにやっと笑うさくら。
と、今度は手際よく春奈ちゃんのスカートを脱がせはじめた。
「さてと、じゃあ、あたしといっぱい気持ちいいことしようね!」
さくらの弾んだ声が響く。
しかし、そんなふたりの様子を窺っていることができたのもそれまでだった。
「もうっ!慎介くんったら!そんなの若い子がいいの?」
「おわっ!?……美弥子さん!?」
「春奈とさくらちゃんの方ばっかり見て!こっちにも集中してちょうだい!」
「はっ、はいっ!わわっ、うおっ!」
どうやら、あまりにさくらと春奈ちゃんの方に集中していたために、美弥子さんの機嫌を損ねてしまったらしい。
拗ねたように唇を尖らせて、チンポをぎゅっと締めつけてひねりを加えながらグイッグイッと腰を前後に揺さぶってくる。
「ねえっ、慎介くんも動いてちょうだい!」
「は、はい……こうですか?」
「んふぅううう!そっ、そうよっ!あんっ、奥にっ、奥に来てるぅううう!」
俺が下から腰を突き上げると、美弥子さんの体がガクガク震える。
だけど、すごく嬉しそうだ。
それに、美弥子さんのアソコがきゅっと締まって俺もすごく気持ちいい。
だから、そのまましばらく美弥子さんとのセックスに集中することにした。
「あんっ、これいいのっ!慎介くん!すごいっ、すごくいいわっ!あんっ、はぁああん!」
「くううっ!美弥子さんっ、俺、もうすぐイキそうです!」
「いいわよ!一緒にイキましょう!」
ズンズンと美弥子さんのアソコを突き上げているうちに、俺も限界が近づいてきていた。
それに、さっきからさくらと春奈ちゃんの甘い声が聞こえてきている。
「あんっ!やっぱり恥ずかしいよぉ!」
「大丈夫、恥ずかしくないから!春奈ちゃんのアソコ、すっごくきれいだよ!……ぺろっ、ちゅるるっ!」
「やあっ、そんなとこっ、舐めちゃダメぇ!」
そのふたりの声がまた、俺の射精感を煽る。
「うおおっ!出るっ!」
「いいわよっ!出してっ、慎介くん!一緒にイッて!あああっ!はぁあああああああっ!」
射精の瞬間の、頭の中が真っ白に弾けるような感覚。
それと同時に、ほとんど一緒に絶頂した美弥子さんが体を大きく仰け反らせた。
そのまま、心地いい気怠さに包まれながら余韻に浸る。
しかし、隣から響く喘ぎ声にすぐに我に返った。
「あんっ!気持ちいいよっ、春奈ちゃん!」
「やだっ!女の子同士でこんなのおかしいのに!」
見ると、さくらと春奈ちゃんが互いの足を交差するようにしていた。
アソコとアソコを擦り合わせて、さくらは完全に精気を吸う体勢に入っている。
「全然おかしくないよっ!春奈ちゃんは気持ちよくないのっ!」
「ううんっ、気持ちいいっ!気持ちいいから変なの!こんなのっ、ダメなのにぃいい!」
激しくアソコ同士を擦り合わせながら、春奈ちゃんは恥ずかしそうに顔を覆っていた。
「……もう、春奈ったら」
ようやく体を起こした美弥子さんが、そんな春奈ちゃんの姿を見てふっと表情を緩める。
そして、ゆるゆるとした動きでベッドから降りるとふたりの側まで這い寄っていく。
「ごめんね、春奈。母さん、あなたのことをいつまでも子供だと思っちゃってたわ。本当は、こういうことを母さんが教えてあげなくちゃいけなかったのにね。……ちゅっ」
囁くようにそう言うと、顔を覆っている手を退かせて春奈ちゃんの頬にキスをする。
「か、母さん……?」
「あなたももう、こういうことがわかる年頃になったのよね。だから、いいわ。今日は、さくらお姉ちゃんにしっかりと教えてもらいなさい」
「……いいの?私、こんなにエッチでいいの?」
「もちろんじゃない。ここにいるのはみんな家族なんだから。家族だからこそ、なんの心配もなくエッチなことできるんじゃないの」
「お母さん……あんっ!やあっ、さくらお姉ちゃんっ、そんなに激しくしたら!」
「でも、気持ちいいでしょ?」
「ふあああっ、気持ちいいっ!気持ちいいけどっ、なんか変だよぉ!頭の中が熱くなってっ、なんかふわふわしてるの!」
「うふふ……それは春奈が感じてるからよ」
「ふえ……?母さん?」
「春奈が気持ちよくなってるからそうなるの。ほら、もっと感じていいのよ。さくらお姉ちゃんにいっぱい気持ちよくしてもらいなさい。……ん、ちゅむ」
「んっ、んむ!?んふ……ちゅっむ!」
美弥子さんが春奈ちゃんの唇を塞いで、乳首を指先でつまむ。
春奈ちゃんは一瞬驚いたように目を丸くしたけど、すぐにトロンと蕩けた表情になって美弥子さんのするままに任せていく。
そのまま、さくらと美弥子さんに下と上から責められてピクッピクッと体を震えさせている。
それにしても、なんだな……。
女の人が3人で体を絡み合わせてるのってすごいよな。
それも、みんな美人だし。
大人の女って感じの美弥子さんと、ツインテールでちょっとロリ系のさくら、そして、レイヤーの入った短めの髪で活発な感じのする春奈ちゃんが体を絡め合っているのを見てるとすごくエロくて興奮してくる。
さっき出したばっかりだっていうのに、息子がまたムクムクと起き上がってくる。
「……ふう、かわいいわよ、春奈」
「お母さん……んっ、はぅううんっ!やだっ、なにっ!?なんかっ、今、目の前がピカピカッて!」
「それはね、春奈がイキそうなのよ」
「イク?」
「そうよ。さくらちゃん、春奈、もうイキそうだって」
「んんっ!あたしもっ、もうすぐイキそうだよ!はんっ、ああんっ!」
「じゃあ、ふたりでイッちゃって」
「うんっ!……あふっ、はんっ、ああっ、春奈ちゃんっ!」
美弥子さんの目配せに応じるように、さくらが腰の動きを激しくしていく。
「ふぁあああああっ!くるっ、なにかくるのっ!」
「あたしもっ、もうイキそうだよぉ!あんっ、ああんっ、んっふぅうううううううっ!」
「ああっ、だめぇっ!くるっ、すごいのくるぅうううううううううう!」
互いの足を抱え込むような体勢で、さくらと春奈ちゃんの体が痙攣した。
そのまま体をビクビクと震わせた後で、ふたりともクタッとなる。
「ふぁあああ……春奈ちゃんの、美味しい……」
「ん、んんん……私、イッちゃったの……?」
放心状態で、トロンとした視線を泳がせているふたり。
と、さくらの視線が俺の方を捉えた。
「お兄ちゃん、まだやり足りないんだね?」
「……え?」
悪戯っぽくさくらが見つめる視線の先には、すっかり元気になった俺のチンポがあった。
「あっ、いやっ、こ、これはだな!」
「ふふっ、隠さなくてもいいんだよ。……ねえ、春奈ちゃん。今度は、慎介お兄ちゃんにしてもらおうか?」
「……ふえ?慎介……お兄ちゃんに?」
「なっ!?」
「慎介お兄ちゃんと……エッチするの……?」
春奈ちゃんが、まだ半ば放心したような焦点の定まらない視線を俺の方に向ける。
……て、まんま美弥子さんのときと同じパターンかよ!?
さすがに、美弥子さんの前でそれはマズいんじゃないか!?
と、さくらが俺と春奈ちゃんの間に体を割り込ませるようにして、春奈ちゃんの顔を覗き込む。
「さっき、美弥子さんとお兄ちゃんがしてたみたいに、お兄ちゃんにいっぱい気持ちよくしてもらおうよ」
「……慎介お兄ちゃんに……いっぱい気持ちよくしてもらう……うん」
こっちからはわからないけど、春奈ちゃんの力のない声。
さくらのやつ、間違いなく吸血鬼の眼を使ってるな……。
「春奈ちゃんもお兄ちゃんにしてもらいたいよね?」
「……うん……して欲しい」
「じゃあ、春奈ちゃんからお兄ちゃんにお願いしようか?」
「……うん」
で、そこでさくらが体を退ける。
「慎介お兄ちゃん……」
俺を見上げて名前を呼んだ春奈ちゃんの目は、熱っぽく潤んでいた。
「ねえ、慎介お兄ちゃん。お母さんとしてたみたいに、私ともセックスして。私、慎介お兄ちゃんに初めてを貰って欲しいの……」
「……ぶっ!?」
下半身裸で、セーラー服をはだけさせてそうねだってくる春奈ちゃんの姿は最高にヤバかった。
しかし、それよりもっ!
「初めてって!?」
「うん、私の初めてを貰って欲しいの」
「えっと……さすがにそれは……」
いくらなんでもそれはマズいと思って、おそるおそる美弥子さんの顔色を窺う。
「私からもお願いするわ、慎介くん」
「……美弥子さん?」
……て、ちょっとちょっと。
そこは親として止めるとこじゃないんですか!?
「だって、私たちはもう家族じゃないの。いつまでも春奈を子供扱いせずに、セックスしてあげるべきよ」
「でも、春奈ちゃん初めてみたいなんですけど?」
「それがどうしたの?知らない人に春奈の初めてを奪われるくらいなら、慎介くんに貰って欲しいわ。ね、春奈もそうでしょ?」
「うん。私は 慎介お兄ちゃんに初めてをあげたいの。だから、お願い……」
「う……」
そう言って俺をじっと見つめる春奈ちゃん。
美弥子さんも、俺の顔をじっと見つめてる。
俺が答えあぐねていると、春奈ちゃんは今にも泣きそうな表情を浮かべた。
「……ダメなの、お兄ちゃん?」
涙を浮かべてそう言われたら、もう俺には逃げ場はなかった。
「わかったよ」
「本当に!?」
とたんに、春奈ちゃんの顔に笑みがこぼれる。
「良かったね、春奈ちゃん!ほらベッドに上がって!」
「うん!」
さくらに促されて、俺が腰かけているベッドに春奈ちゃんが上がってくる。
そして、その視線が俺の股間に釘付けになった。
「すごい……男の人のって、こんなに大きくなるの?」
「いや、これでも少ししぼんでるんだけどな……」
実際、今のやり取りの間に少し萎えてはいたんだけど。
でも、春奈ちゃんには初めてまともに見たチンポはすごく大きく見えたらしい。
「でもね、こうするともっと大きくなるんだよ」
「……え?」
さくらが俺たちの方に寄ってくると、春奈ちゃんの手をとってチンポを握らせる。
そして、手を添えたまま扱きあげていく。
「なんか、ヌルッてしてて変な感じ……きゃっ!今、手の中でピクッて震えたよ!?」
おそるおそる扱きながら、春奈ちゃんはチンポを興味深そうに見つめている。
ていうかそれ、けっこうくるんですけど……。
「ほら、また大きくなった」
「すごい……こんなに大きいのがホントにアソコの中に入るの?」
手を離すと、春奈ちゃんはすっかり膨れ上がったチンポを目を丸くして眺める。
「そうね、最初は痛いかもしれないわ。でも、大丈夫よ」
「……お母さん」
美弥子さんもベッドに上がってくると、春奈ちゃんを励ますようにポンと肩に手を置く。
「それに、初めての痛みを経験しないと気持ちよくなれないしね!」
と、さくらもベッドに上がってきて春奈ちゃんに体を寄り添わせる。
「じゃあ、お兄ちゃんに入れてもらおうね!」
「さあ、春奈、慎介くんにお願いしましょ」
「うん……慎介お兄ちゃん、お願い、私の初めてを貰ってちょうだい」
両側から美弥子さんとさくらに囁かれて、春奈ちゃんは俺を見上げて足を開いた。
さっきまでさくらとやってたせいか、春奈ちゃんのそこは真っ赤になって、ひくひく震えながらトロッとお汁を溢れさせていた。
「それじゃあ、春奈ちゃん……」
「うん……」
俺が体を寄せて春奈ちゃんのアソコにチンポを宛がうと、春奈ちゃんはぎゅっと目を閉じる。
しかし、いざというときになって俺の心臓はドキドキとうるさかった。
そりゃそうだよ……。
それは、美弥子さんとの時もドキドキしたけど、初めてだと思うとちょっと春奈ちゃんに悪い気がする。
「じゃあ、いくよ」
「うん……来て……はぐっ!つぅううう!」
チンポを押し込んでいくと、春奈ちゃんは歯を食いしばって悲鳴をあげた。
さらに力をいれると、グッと押し返してくる感触を伴いながらゆっくりと入っていく。
「くうっ!くふっ、痛いぃいいいい!」
奥まで押し込むと、春奈ちゃんは悲鳴をあげながらバサバサと頭を振る。
たしかに、春奈ちゃんのそこはものすごくきつかった。
それは、さくらのもきつきつだったけど、それよりももっとガチガチに固まっているような感じだ。
「大丈夫、春奈?」
あまりに痛がる春奈ちゃんを心配して、美弥子さんが声をかける。
「あんまり痛かったらやっぱり悪いし、今日はやめようか?」
女の子が初めてをなくすのがそんなに痛いなんて思ってもなかったから、俺も不安になってくる。
「うん……でも……」
目にいっぱい涙を溜めて、はあはあと大きく息をして痛みををこらえながら、春奈ちゃんは躊躇っているみたいだった。
と、そのとき。
「じゃあ、あたしがちょっとおまじないしてあげるよ!」
そう言うと、さくらが春奈ちゃんに覆い被さって顔を覗き込む。
「そうやってると、だんだん痛みが薄れていくよ」
「……うん」
「それでね、どんどんお兄ちゃんのおちんちんが気持ちよく感じるようになるよ」
「……うん」
さくらの言葉に、春奈ちゃんがボソボソ返事を返していくのがわかる。
あいつの力って、女の子相手ならホントになんでもできるんだな。
「じゃあ、続けようか」
「……うん」
そう言ってさくらが脇へ退くと、春奈ちゃんが涙目で見上げてきた。
「お願い、続けてちょうだい、慎介お兄ちゃん……」
「あ、ああ……」
「はうっ!痛っ、つぅううう!はうっ、あんっ!……あふっ、んふぅ!?」
俺がゆっくりと腰を動かしはじめると、春奈ちゃんは固く目を閉じて歯を食いしばる。
あれ?でも、今、春奈ちゃんの悲鳴に甘い声が混じったような?
「んふぅ!?はうっ!やあっ!?なっ、なにこれ!?いっ、痛いけどっ、気持ちいい!?」
「春奈ちゃん?……おわっ!?」
春奈ちゃんの中の感じがさっきまでと変わってきて、俺もビックリしていた。
あんなにガチガチに固くて痛いくらいだったのに、だんだん解れてきてるみたいだった。
「あんっ……まだ痛いけどっ、気持ちいいかも!」
「おわっ!春奈ちゃん!」
「はんっ!感じるっ、慎介お兄ちゃんのおちんちんがお腹の中に入ってきてるの感じるの!」
まだまだぎこちないけど、春奈ちゃんは自分から腰を動かしはじめていた。
それに、春奈ちゃんのアソコのこの感じ……。
吸い付くような、締め付けるような感じで、さっきまでとはうって変わって気持ちよくなってきてる。
「ああっ、気持ちいいっ!慎介お兄ちゃんのおちんちんが中で動いてて、すごく気持ちいいよっ!ああんっ、だめっ、すごく熱くて、頭っ、くらくらしてっ、わけわかんないよぉっ!」
さっきまで痛みで泣きそうだったっていうのに、春奈ちゃんは目をトロンとさせて、口許に笑みすら浮かべて腰を動かしていた。
「ああ……すごい、いやらしいわ、春奈……はむっ」
「うん、すごくエッチでかわいいよ、春奈ちゃん……ちゅむっ!」
美弥子さんが嬉しそうに春奈ちゃんの耳たぶを甘噛みして、さくらがその乳首に吸い付く。
「やああああっ!今、そんなことされたらっ、気持ちよすぎておかしくなっちゃうううう!」
「いいのよ。おかしくなっちゃうくらいが気持ちいいんだから」
「だから、もっと気持ちよくなろうね!」
両側から美弥子さんとさくらに愛撫されて、春奈ちゃんは大きく喘ぎながら身悶えさせる。
「おわっ!?くっ……!」
いきなりアソコの締め付けがきつくなって、思わず腰が震える。
「あふぅううううん!……ああっ、今、おちんちんが中でビクビクって!」
「ふふふ、慎介くんもイキそうなのね」
「じゃあ、いっぱい出してもらおうね、春奈ちゃん」
「ふぁああああああんっ!もうだめぇ……私、真っ白だよっ、頭の中、真っ白でわけわかんないよぉっ!」
「おわわわっ!春奈ちゃんっ、そんなに激しくするとっ!」
チンポを締め付けながら、春奈ちゃんはガクガクとむちゃくちゃに腰を振る。
俺の方も目の前で白い火花が弾けて、わけがわからなくなりそうだった。
ていうか、もう限界。
「うおおおおっ!ダメだっ、出る」
「ひぁあああああんっ!くるっ、またすごいのがくるぅううううう!」
「おおおおっ!」
まるで、アソコの中が痙攣したみたいにきゅうっとチンポを扱きあげられて、限界を超えた俺はそのまま射精してしまう。
「ああっ……なにかっ、きてるっ……すごく熱くてっ、気持ちいいっ……んっ、んんっ……」
弓なりに反らせた春奈ちゃんのお腹が、ひくっひくっと痙攣する。
それに合わせて、小さめの可愛らしいおっぱいも揺れていた。
「んっ……まだっ、きてるっ……」
「ふう、ふうううぅ……」
さすがに、立て続けに2回やった倦怠感に、俺は春奈ちゃんの上に覆い被さるように体を横たえた。
体をひくつかせていた春奈ちゃんも、力が抜けたみたいにぐったりとなる。
「んん……慎介お兄ちゃん……」
「なに?」
「すごく気持ち良かったよぉ……。私、初めてなのにこんなに感じちゃって。……でも、初めてが慎介お兄ちゃんで良かった……」
俺に抱きしめられる格好で、春奈ちゃんが蕩けた表情を浮かべる。
うーん……。
さくらとはまた違った雰囲気だけど、春奈ちゃんってすごくかわいいよな。
「ふふっ、良かったわね、春奈」
「うん……」
嬉しそうな美弥子さんに頭を撫でられて、春奈ちゃんははにかんだ笑みを浮かべる。
「すごくエッチでかわいかったよ、春奈ちゃん……ちゅっ」
「さくらお姉ちゃん……んちゅっ」
今度は、横から囁いてくるさくらと唇を重ねる。
なんでこうなったのかはともかく……て、全部さくらのせいなんだけど、ともあれ、その場には、いやらしくて、それでいて満ち足りた空気が充満していた。
さすがに気怠さを感じた俺は、もう少しそのままでその雰囲気を味わっていたかった。
* * *
そして、俺たちはそのまま美弥子さんのところで晩ご飯をご馳走になって自分の部屋に戻った。
「……おまえ、春奈ちゃんも狙ってたのかよ?」
「うん、そうだよ」
部屋に戻って問い糾すと、さくらは悪びれることもなく答える。
「前にも言ったでしょ。あたしが女の人から吸える精気は、男の人からの5分の1から4分の1程度だって。美弥子さんだけじゃ足りないのよね」
「だからって、あんなことして良かったのかな……」
「へ、なにが?」
「春奈ちゃん、処女だったんだぞ」
「そうねぇ……じゃあ、責任とって、将来的には春奈ちゃんと結婚しちゃうってのはどう?そうしたら本当の家族になれるでしょ?」
「ぶっ……!」
さくらのとんでもない提案に、飲んでいた水を噴き出してしまった。
「おっ、おまえなぁっ!」
「でもさ……あたしは慎介とは結婚できないよ。ほら、あたしってば吸血鬼だし、いくら慎介があたしのこと好きでも、奇跡みたいな確率でないと子供できないし、もしできたとしてもあたしの子供はきっとシュトリーガだし、そもそも、あたしって戸籍ないからさ」
「いや、だからって!」
「でも、あの人たち、いい人だよ。精気を吸ったらわかるもん」
「……へ?」
「精気の味と心って関係あるんだよね。それは、欲望でぎらついた人の、どろっとして味の濃い精気もそれなりに美味しいけどね。でも、やっぱり心のきれいな人の精気の味には敵わないわ。……美弥子さんの精気、暖かくて優しい味がする。春奈ちゃんの精気も、まっすぐで澄んだ味がするわ。うん……あのふたりになら、もしもあたしになにかあっても慎介のこと任せることができるかな……」
「……え?今、なんて?」
だんだん声が小さくなっていって、最後のあたりが聞き取れなくて聞き返す。
「とっ、とにかく!あたしは精気をもらうだけで充分だから!慎介は慎介で幸せになってほしいの!」
んー?
なんか、慌ててごまかしてるような気がするんだけどな?
「でも、だからって結婚とか、そんなの考えられないよ」
「すぐじゃなくていいのよ。あたしは吸血鬼だからそういうのはたぶんわからないけど、きっと時間が経てば本当の家族みたいになれると思うよ」
そう言ったさくらの顔がどこか寂しげで、俺はそれ以上言い返すことができなかった。
* * *
それから、俺たちは週に何回か美弥子さんの家で、みんな一緒に晩ご飯を食べるようになった。
「ねえ、慎介お兄ちゃん!今夜はご飯の後でしていかないの?」
ご飯を食べながら、目をキラキラさせて春奈ちゃんが訊いてくる。
あれから、何度かさくらが精気を吸うときにセックスしてすっかり慣れたのか、春奈ちゃんはもう俺とするのを恥ずかしがることはなかった。
それに、本当の妹みたいに俺に懐いてくれてるし。
俺が、チラッとさくらの方を窺うと、黙ったまま小さく首を振っていた。
「いや、今夜はバイトがあるから……」
そう言って俺がやんわり断ると、春奈ちゃんはあからさまにガッカリした顔をする。
……て、なんか、美弥子さんも残念そうなんだけど。
本当は、今日はバイトは入ってない。
ていうか、こうやってしょっちゅうご飯をご馳走になってるし、美弥子さんが家賃は払わなくていいって言い出して、俺は断ったんだけど、どうしても家賃を受け取ってくれないから、実はそんなにバイトを頑張らなくてもよくなったんだけど。
ただ、俺の場合と同じで、さくらが続けて精気を吸うのを避けてるみたいだから。
まあ、さくらは俺と美弥子さんたちだけでしてもいいって言ってるけど、それもなぁ……。
だいいち、さくらなしでそれをやると妊娠の危険があるし。
「……なあ、さくら」
「ん?なに?」
晩ご飯の後、部屋に戻ってからさくらに確かめてみる。
「やっぱりおまえ、美弥子さんたちの精気をもらいすぎないようにしてるのか?」
「当たり前じゃない。あたしはあのふたりの生きていくエネルギーをもらってるんだから、それくらいは気を遣わないと」
「そっか……」
口ではいつも、自分は吸血鬼だから人間のモラルなんか持ち合わせていないとか言ってるけど、こいつは下手な人間よりもずっと優しいんだよな。
「それに、あたしにとってあのふたりはもう家族みたいなものなんだよ」
「へ?」
「あたしたちシュトリーガにはふたつ、守らなきゃいけない掟があってね。同じところにずっと住み続けない。これはわかるわよね?あたしたちは人間よりずっと長生きだし、ある時期からほとんど年を取らなくなるから、10年くらいならともかく、20年、30年って同じところにいると人間じゃないってバレるからね。で、もうひとつは子供は成長したらすぐ親元を離れること。これは、シュトリーガが集まって住んでると、そこの人間が減りすぎちゃうから」
「って、おまえら、そんなにたくさん精気を吸うのかよ?」
「まあ、そこにいるシュトリーガの人数にもよるけどね。でも、きっと慎介が思っているよりもたくさん精気を吸うのは確かね」
「じゃ、じゃあ、もしかしておまえもまだまだ精気が足りないんじゃないのか?」
「ううん……あたしが生きていくだけなら、今ので充分だから」
「でも……」
「大丈夫だって。……それに、あたし嬉しいんだ」
「嬉しいって、なにが?」
「さっき言ったみたいに、あたしが父さん母さんと一緒にいたのってずっと昔のことだし、兄弟もいるみたいだけど年が離れてて会ったことないし……。だから、こうやってみんなで楽しく暮らすのって、ずっと憧れてたの。だから、嬉しくて……」
さくらは、そう言うとはにかんだように笑う。
……そうか。
さくらはこれまで、俺たちよりもずっと長い時間をたったひとりで生きてきたんだよな。
だから、さくらは美弥子さんや春奈ちゃんにあんなに積極的だったんだ。
さくらの気持ちもわかる気がする。
今の俺は美弥子さんのことも好きだし、春奈ちゃんのこともかわいく思う。
さくらのことが大切なのと同じくらい、あのふたりのことを大切に思っている自分がいる。
みんなといるのが、本当の家族みたいに心地いい。
前に、時間が経てば家族みたいになれるって言っていたさくらの言葉が、少しわかったような気がした。
そうやってみんなで仲良くエッチなことをする平和な生活が続いて、俺がさくらと出会ってからもう半年近く経った。
……そんなある日。
「……ん?」
学校から帰ってくると、俺の部屋の前に女が立っていた。
赤毛のポニーテールで、黒いブーツに黒いスカート、で、赤と黒をベースにしたチェックの服っていう、なかなかに派手な格好だ。
「あの、なんか用ですか?」
「……ひっ!?」
声をかけると、明らかに挙動不審なほどに驚いている。
しかも、サングラスなんかかけてあからさまに怪しいんですけど。
……でも、こいつ、まだガキなんじゃ?
サングラスのせいでわかりにくいけど、俺より年下の感じがする。
「どうかしたんですか?」
「いっ、いやっ、なんでもないわよ!」
ぶっきらぼうにそう言うと、女はその場を立ち去っていく。
やっぱり、その声もかなり若いように思えた。
「いったいなんなんだ?」
逃げるように去っていく女の後ろ姿を、俺はわけもわからず見送っていた。
< 続く >