中編
Online Part 2
――翌日。
前の晩、遅くまでひとりエッチをしてたせいで寝坊したあたしは、遅刻ギリギリで教室に駆け込んだ。
だからリサちゃんとは挨拶する余裕もなかったんだけど、授業中にリサちゃんがちらっとあたしの方を見た。
それだけで昨日のことを思い出してしまって、あたしは真っ赤になって視線を逸らせてしまう。
そして、お昼休みになるとリサちゃんがあたしの机までやってきた。
「カナ、昨日はどうだった?」
「えっ……あ、いや、それはっ……」
「私もね、初めてリーボに行った時は気を失って強制ログアウトしちゃったのよね。でも、気持ちよかったでしょ?」
「ちょっ……リサちゃん!」
もちろんリサちゃんは他の子に聞こえないように小さな声でしゃべってるけど、あたしは耳の先まで熱くなってあたふたしてしまう。
「ホントにカナったらかわいいんだから! でも、昨日カナがログアウトした後で、みんなもカナのことをかわいい子だねって言ってくれてたよ」
「……ねぇ、リサちゃんは誰の紹介でリーボに入ったの?」
「昨日一緒にいたマコよ。私、前はDNLに行っててね、そこでマコと友達だったの。それが、急にメールもお知らせも来なくなって、DNLに来てないのかなって思ってたら、ある日マコから招待状が届いたの」
「へぇ……そうだったんだ」
「それはそうと、今日も来るんでしょ?」
「……うん」
リサちゃんの言葉に、真っ赤になりながら首を縦に振る。
だって、あんなの知っちゃったらまた行きたくなっちゃうよ。
あんなに気持ちのいいこと知っちゃったら、もうあそこから離れられない。
あたしは気持ちのいいことが大好きなんだもん……。
だからその日も、お風呂から上がって髪を乾かすとすぐにリーボにログインする。
「あっ、カナが来たわよ」
「いらっしゃい、カナちゃん」
ログインすると昨日のあの店の中にいて、先に来ていたリサちゃんやユキさんが迎えてくれる。
……そういえば、昨日は頭の中がふにゃふにゃになっててはっきり覚えてないけど、リサちゃんがそういう設定にしてくれたんだっけ?
「あの……こんばんは」
ペコリと頭を下げると、みんなは笑顔で迎え入れてくれた。
……そういえば、あたし、今日も制服を着てる。
「ねえリサちゃん、なんであたしの格好って学校の制服なの?」
「ああ、それはね、特別招待アカウントでログインするとその人の記憶を読み取って、普段よく着てる服のアバターを作るのよ」
「あ、だから制服なんだ」
「そうそう。私も最初に来たときはそうだったもの。だから、ログインする時に他のSNSとはちょっと違ってたでしょ」
「うん、頭の奥がジーンって熱くなるような感じだった」
「それは、リアルの世界のカナの脳と深くリンクしてたからよ。そのおかげで、初めてのログインにかける時間があんなに短縮できるみたいよ」
「そうだったんだぁ……」
「それに、服装くらいすぐに替えられるわよ。やる?」
「うーん……後でいいや。どうせすぐに脱いじゃうもん」
「やだもうっ! カナったら!」
あれ? あたし、なにか変なこと言った?
リサちゃんがキャッキャと声をあげて笑うけど、あたしにはなにがそんなにおかしいのかわからないんだけど。
おまけに、ユキさんもクスクス笑いながらあたしの体をぐいって抱き寄せた。
「それじゃあ、カナちゃんもすっかりやる気だし、歓迎会の続きをしましょうか」
「えっ!? 歓迎会って昨日だけじゃないんですか?」
「だって、一番のメインイベントがまだ終わってないもの」
「一番のメインイベントって?」
「それはその時になったらわかるわよ。とにかく、まずは乾杯しましょうか」
そう言ってユキさんが合図をすると、奥の方からあの特製ジュースが運ばれてくる。
そして、みんながジュースの入ったグラスを手にする。
よく見たら、メンバーが入れ替わっているのか、昨日はいなかった子もけっこういるみたい。
特別招待アカウントの人って、けっこう人数多いんだ……。
そんなことをぼんやり考えてると、クルクルってウェーブした淡い色の髪のお人形さんみたいにかわいらしい子があたしの隣に来た。
「昨日はマコとユキさんたちがカナちゃんを独占してたから、今日はあたしとしようね」
……この子は、たしか昨日挨拶してもらった……あ、そうだ、カリンちゃんだ。
「うん、いいよ、カリンちゃん」
「嬉しい! あたしの名前覚えててくれたんだぁ!」
名前を覚えていてもらったのが嬉しいのか、カリンちゃんが人なつっこい笑みを浮かべる。
「楽しみだなー、いっぱい気持ちいいことしようね、カナちゃん!」
「うん!」
あたしとカリンちゃんがグラスを手にして笑い合っていると、ユキさんの声が聞こえてきた。
「みんな、準備はいい? それじゃ、乾杯!」
「かんぱーい!」
みんなで一斉に乾杯をして、一気にグラスを空にする。
すると、すぐにおかわりが運ばれてきた。
「今度はあたしが飲ませてあげるね、カナちゃん……」
カリンちゃんがそう言うと、ジュースを一口飲んであたしにキスしてきた。
「ちゅ……んっ、ん……」
「んっ、んっく、んぐ……」
口伝いに流し込まれる特製ジュースを飲み込むと、あたしの方からカリンちゃんの方に舌を忍び込ませる。
「んちゅ……んむ……んんっ!? んぐむむぅっ!?」
今日はあたしの方からもっと気持ちいいことをしようと思ったのに、カリンちゃんの舌がすぐに押し返してきてあたしの舌に絡んできた。
「んふふ……んっ、れるっ、んむっ……」
「んふぅっ! んっ、んんんっ! んんんーっ!」
楽しそうに目を細めて、カリンちゃんの舌があたしの舌や口の中をくすぐるように刺激してくる。
それだけでゾクゾクと痺れるような快感が駆け抜けて、あっという間に頭の中がふわってなってその場にへたり込んでしまった。
昨日のリサちゃんもそうだったけど、みんななんでこんなにキスが巧いんだろ?
「カリンちゃん、キスがすっごい上手」
「うふふっ、カナちゃんも積極的。大丈夫、カナちゃんもすぐに巧くなるから」
そう言って、カリンちゃんが楽しそうに笑う。
「それじゃ、始めよっか?」
「……うん」
はっきり言われなくても、そのひと言で十分だった。
あたしは、自分から服を脱ぎ始める。
もう、昨日みたいな戸惑いは全然ない。
だって、そのためにあたしはここに来たんだから。
そのまま裸になると、カリンちゃんと抱き合ってもう一度キスをする。
「んむ……」
「ちゅむ……」
「もう、ふたりだけの世界に入っちゃダメよ」
「ん……ふえ?」
いきなり後ろから抱きつかれて振り向くと、長い髪をポニーテールに結ったお姉さんがいた。
あたしよりちょっと年上かな?
切れ長の目の、すごい美人。
その人が、裸であたしに抱きついていた。
「私は昨日いなかったら、これがはじめましてだね、カナちゃん。私はルミ、よろしくね」
「はい、よろしくお願いします」
「今日は私も混ぜてね」
「はい……あっ、ひゃぅうううんっ!」
ルミさんと話してると、カリンちゃんがあたしのおっぱいをペロペロッて舐め始める。
それとほとんど同時に、ルミさんの手がアソコに潜り込んできた。
「ひゃぁんっ! んんっ……もうっ、ふたりともいきなりズルいよっ……あんっ! はぁあああああんっ!」
カリンちゃんとルミさんにすっかり主導権を握られて、あたしは甘い喘ぎ声をあげながらされるままに任せるしかできなかった。
そして結局、その日も気がつけば意識を失って強制ログアウトしていた。
* * *
それから、次の日も、その次の日もリーボに行って、みんなといっぱい気持ちいいことをした。
だけど、いつも最後には気を失って強制的にログアウトされてしまう。
だって、みんなエッチが上手すぎるんだもん。
あんなの、気持ちよすぎて意識が飛んじゃうよ。
でも、あたしがここに来るようになって10日目のことだった。
「ひゃううっ! イクイクッ! またイッちゃうううううううっ!」
大きな波のような快感が体中を駆け巡って、目の前がチカチカと光る。
もう、これで何度イッたのか自分では覚えていない。
とにかく、とうの昔に頭の中は気持ちのいいのでいっぱいになってて、それ以外のことは考えられなくなっていた。
「これで何回目?」
「えっと、軽くイッたのも入れると15回かな」
「そう、じゃあ、やっとね」
「はい」
すぐ目の前で話をしてるユキさんとリサちゃんの声が、どこか遠くから聞こえるみたいな変な響き方をしてる。
「それじゃ、行こうか」
「えっ? ふえぇ……?」
ユキさんたちがふたりがかりであたしの体を起き上がらせると、両脇から肩を抱えるようにして立ち上がる。
「行くって……どこに?」
「これから、カナちゃんの歓迎会のメインイベントをするのよ」
……あ、そうか。
一番のメインイベントってまだだったんだ。
何度もイッた後でうまく働いてくれない頭で、前に言われてたことをぼんやりと思い出す。
「カナちゃんは気持ちいいことが大好きでしょ?」
「うん……好き……」
「だったら、きっと気に入ってもらえるわ。これから、ここで一番気持ちいいことをしてもらえるんだから」
……そうなんだ。
「ね、カナちゃんも、もっと気持ちいいことして欲しいでしょ?」
「……うん」
両肩を支えられてふらふら歩きながら、あたしはぼんやりと頷き返していた。
頭の中は甘くて熱くてのぼせたみたいになってるし、何度もイッて足元もおぼつかない。
だからふたりに身を任せて、そのまま奥にある扉の方に連れて行かれていた。
そして、ユキさんが扉を開けると。
「……ふぇ?」
そこでは、先に中に入っていた子たちが拍手であたしを迎えてくれていた。
その、かなり大きめの部屋の真ん中に立派なソファーがあって、それを取り囲むように裸の女の子たちが立っている。
そして、そのソファーにひとりの男の人が座っていた。
「……あの人は?」
ずっと、ここには女の子しかいないと思っていたから、思いがけない男の人の姿にあたしは戸惑ってしまっていた。
「あの人はタツヤさん。私たちにとって、ここで一番大切な人なのよ」
「そうそう。私たちがここでこうしていられるのもタツヤさんのおかげなんだから」
あたしの両側から、ユキさんとリサちゃんがそう説明してくれる。
すると、その言葉に応えるみたいに男の人が立ち上がってこっちに向かってきた。
「大丈夫よ、カナちゃん。タツヤさんはとてもいい人だから」
思わず体を強ばらせたあたしを落ち着かせるように、ユキさんが優しく囁いてくれる。
でも、すごく恥ずかしい……。
だって、あたし裸なんだもん。
あ、でも、それはみんなも一緒か。
他のみんなも裸なんだからと思って恥ずかしいのを紛らわせようとしているうちに、その男の人はあたしのすぐ目の前まで来ていた。
「リーヴォルへようこそ、カナさん。ここは気に入ってもらえましたか?」
その人、タツヤさんが柔らかい声で話しかけてくる。
タツヤさんは眼鏡をかけたおじさんで……て言ったら失礼かな? あたしよりは年上だけど、お父さんよりはずっと若い感じがする。
丸顔で、でもそんなに太ってるわけでもなくて、髪はぼさぼさだけどニコニコ笑っていて、ユキさんの言ったとおりすごくいい人に見えた。
「はい。あたし、ここに来て良かったと思います」
「そうですか、それは良かった。僕も、カナさんみたいなかわいい子に来てもらえて嬉しいですよ」
あたしの返事を聞いて、やっぱりタツヤさんはニコニコ笑っていた。
「かっ、かわいいって、そんな…………ううっ!?」
言葉の途中で頭の奥に痛みに似た感覚を感じて、思わずうずくまりそうになった。
この、頭の中が芯から熱くなってくるような、痺れるような感じ、どこかで……。
あっ、そうだ!
初めてここにログインした時や、この店に来た時に感じたのと同じ。
だけど、あれよりももっと強烈で、痛いくらい。
「心配しなくて大丈夫ですよ、カナさん。今、あなたの体とアバターとのリンク率を限界まで上げただけですから。なに、すぐに慣れますよ」
頭を押さえて呻いているあたしに、タツヤさんは穏やかに話しかけてくる。
やっぱりあの時と同じで、あたしの体とアバターとのリンク率を上げてるんだ。
でも、リンク率を限界まで上げるとどうなるんだろう?
そんなことを考えているうちに、タツヤさんの言ったとおり痛いような感覚はすぐに治まってきた。
まだ、頭の奥が熱くてじんじんする感じはするけど、もうだいぶ楽になってきてる。
そんなあたしの様子を見守っていたタツヤさんが、微笑みながら口を開いた。
「もう大丈夫みたいですね。それでは、カナさんに大切なお話があります。実は、リーヴォルの世界でもっと楽しいことをするにはカナさんが僕を受け容れてくれないといけないんですが、そのためにはカナさんの同意が必要なんですよ。そこでお尋ねしますが、カナさんはここの世界をもっと楽しみたいですか?」
「はい」
「では、僕を受け容れてくれることに同意してくれますか?」
相変わらず穏やかな笑みを浮かべて、タツヤさんが丁寧な口調で訊いてきた。
それは、ここでもっと楽しいことをしたいけど、でも、タツヤさんを受け容れるってどういうことなんだろう?
そう思って返事をするのをためらってると、ユキさんが耳許で囁いてきた。
「なにも心配しなくて大丈夫よ。タツヤさんに任せていたらみんなでいっぱい楽しいことができるの」
それに合わせるように、反対側からリサちゃんも囁いてくる。
「それに、カナは気持ちいいことが大好きなんでしょ?」
「うん、好き……」
「だったらタツヤさんを受け容れるのよ。そうしたら、今までここでしてきたどんなことよりも気持ちいいことができるようになるんだから」
「どんなことよりも気持ちいい……」
リサちゃんの言葉で、ここでやってきたいろんな気持ちいいことを思い出してアソコがきゅんって疼いたような気がした。
でも、それよりももっと気持ちいいことがあるんだったら……。
そんなに気持ちいいことがあるんだったら絶対にやってみたい。
あたしは気持ちいいことが大好きなんだから、そんなチャンスを逃すわけにはいかない。
だから……。
「はい。あたしはタツヤさんを受け容れることに同意します」
タツヤさんに向かって、あたしはそう答えていた。
「ありがとう、カナさん。これで始めることができるよ」
「始めるって、なにをですか? ……うっ!」
タツヤさんがなにを始めるつもりなのかわからなくて首を傾げていると、また頭の奥がじーんと痺れた。
でも、それも1分くらいで治まる。
「うん、もう終わったよ」
「え? 終わったって、なにが?」
「きみに対するアクセス権限の、僕への移行さ。……ほら、バンザイをして」
「えっ? えええっ!?」
急に、自分でそうしたわけでもないのに両手が上がっていって、バンザイをするみたいな格好になった。
もちろん、あたしはそんなつもりなんか全然なかった。
だって、男の人の見てる前で裸でバンザイするなんて恥ずかしいじゃない。
でも、あたしの意志とは関係なしに体が動いた。
「アクセス権限の移行っていうのはつまりこういうこと。きみのアバターに対するすべての権限が、きみ自身から僕に移ったんだよ。もちろん、きみ自身もそのアバターの管理者だからきみの意志でアバターを動かすことができるけど、僕はより上位の管理者になるから、その権限の下ではきみの意志は無効になるんだ」
「そ、それって、どういうことなんですか?」
アクセス権限って?
上位の管理者ってどういうこと?
タツヤさんの言ってることの意味はよくわからないけど、たしかなのはタツヤさんかバンザイをしてって言ったらあたしの体が勝手にバンザイをしたってこと。
「それはつまり、今、カナさんのアバターは僕の思いのままってことだよ。だから、ほら……」
「え? ……ふあっ! ひぁああああああっ!」
タツヤさんが手を伸ばしてあたしの頬に触れた瞬間に、ゾクゾクする快感と一緒に目の前がふわぁって白くなった。
そのまま腰が砕けそうになったのを、ユキさんとリサちゃんが支えてくれる。
あたし、ほっぺた触られただけでイッちゃったの?
タツヤさんの手が触れただけですごく気持ちのいい感覚が駆け抜けていって、軽くイッてしまっていた。
驚いて見上げると、楽しそうに笑っているタツヤさんと目が合う。
「今みたいに、僕が口にしなくてもカナさんはそんな風になっちゃうんだよ。だから、こんなことも……」
「えっ? 今度はなに!? ……ああっ! あぁうううぅんっ!」
あたしの手がタツヤさんの手を取ると、おっぱいに思いきり押しつけた。
そんなこと、自分ではしようなんて思ってないのに。
「やだっ……あたしなんでっ!? ああぁんっ、ふぁあああああっ! どっ、どうしてっ!?」
自分でそうしようとしてるわけじゃないのに、すごく気持ちよかった。
タツヤさんの手のひらを自分のおっぱいに押しつけてるのが、またすぐにイッちゃいそうなくらい気持ちいい。
自分の体が勝手に動いちゃうコワさと戸惑いと、この気持ちいいので頭がおかしくなりそう。
そんなあたしに、タツヤさんがぐっと顔を近づけてくる。
「なにも怖れたり戸惑ったりすることはないんだよ。だって、きみは僕のことが大好きで、僕とこういうことをしたいって思ってるんだから」
タツヤさんのその言葉で、あたしの中のスイッチが切り替わった、そんな気がした。
タツヤさんの顔を見つめたまま、目を逸らすことができない。
そうしてると、心臓が飛び出しそうなくらいバクバクと高鳴ってくる。
その顔を見てるだけで息苦しくなるくらい切ない気持ちになる。
あたし……タツヤさんのことが好き。
ううん、好きなんて言葉じゃ収まりきらない。
どれだけ好きって言っても足りないくらい大好き。
さっきまでそんなことを思ってもいなかったことに疑問を挟む余地もないくらいに、あたしはタツヤさんのことを大好きになっていた。
だから、もっともっとこうしていたい……。
「ああぁん……タツヤさぁん……」
あたしは、自分の意志でタツヤさんの手をギュッと掴んであたしのおっぱいに押し当てていた。
さっきと違って、あたしの体が自分の思うように動いてくれる。
だから自分の手をタツヤさんの手と重ねて、おっぱいを揉みしだくように動かす。
これ、本当に気持ちいい……。
あたし自身の手で、タツヤさんの手を感じやすいところに導いてあげて触ってもらう。
そうすると自分がトロトロに溶けてしまいそうなくらいに気持ちいい。
「あん……タツヤさん……ちゅむ、ん……」
すぐ目の前にあるタツヤさんの唇に、半ば反射的に吸いつく。
すると、切ない気持ちが満たされていって胸がポカポカしてくる。
ここの女の子たちはみんなキスが上手で、それはそれで気持ちよかったけど、それとは全然違う。
大好きな人とキスするのかこんなに幸せなことだったなんて想像もしてなかった。
「んんっ! んむむむむむむむうっ!」
幸福感に包まれていると、いきなり目の前が白く弾けてあたしはイッてしまっていた。
キスしているだけでイクなんて、自分でも完全に不意打ちだった。
「んんんんんっ! んふぅうううううううっ!」
イッてるあたしの体をタツヤさんが抱きしめて、またイッてしまった。
あたし、タツヤさんのことが大好きすぎて、なにをしてもイカされちゃう……。
「ふううううぅ……」
ようやくキスを終えて、タツヤさんの腕に抱かれて見つめ合う。
「もっと気持ちいいことをしたいかい?」
「はい、したいです」
タツヤさんの言葉に、あたしは素直に頷いていた。
すると、タツヤさんも頷き返す。
「うん、それじゃセックスしようか?」
「セックス……ですか?」
「そうだよ。大丈夫だよね。ここはSNSの世界で、僕たちはアバターなんだから」
あっ! そうか!
タツヤさんのことは大好きだしセックスしたいけど、あたしは初めてだからそのことがちょっと気になってた。
でも、よく考えたら今のあたしはアバターだからなんの問題もないよね!
やっぱりヴァーチャル・リアリティーってすっごい便利!
「どう? セックスする?」
「はい! します!」
もう、セックスするのにためらいはなかった。
それよりも、早く経験してみたくてたまらないとすら思う。
「それじゃ、こっちに来て」
「はい」
そう言って、タツヤさんがソファーのある方にあたしを誘う。
そして、あたしをそこに座らせるとタツヤさんはズボンを脱いでいく。
「……すごい」
初めて見る男の人のおちんちんに、あたしは思わずそう口に出していた。
それは、大きくなるって聞いたことはあるけど、こんなに大きくなるなんて思ってもいなかった。
こんなに大きいのが、本当にあたしのアソコに入るのかな?
タツヤさんとセックスするってことは、このおちんちんがアソコの中に入ってくるってことだよね?
でも、本当にこんなのがアソコに入ってくるのか不安なくらいに大っきかった。
そんなあたしを安心させるように、タツヤさんが優しく笑いかけてくる。
「大丈夫だよ。カナさんのここはもう準備万端みたいだからね」
「ひゃうっ! はうううぅんっ!」
タツヤさんの指がアソコの中に入ってきて、クチュクチュとかきまわす。
あそこからものすごくエッチな、湿った音が聞こえてきて、ゾクッとする快感が背筋を駆け上がってくる。
そう、あたしのアソコはもう何度もイッてたせいですっかりぐしょぐしょになってしまっていた。
それに、アソコからタツヤさんの指が抜けた後の、このすごく切なくて寂しい感じ。
もっと欲しくって、アソコがヒクヒク震えてるのが自分でもわかる。
「それじゃあ、始めようか?」
タツヤさんがあたしの体に覆い被さってきて、そう言った。
「はいっ……はうううぅっ!」
あたしが頷き返すとすぐに、アソコの入り口に熱いもの当たる感触がした。
それだけでビリビリって電気が走って、思わず大きな声を上げていた。
だけど、もちろんそれだけで終わるわけがなかった。
「さあ、行くよ」
「きゃふっ!? くふぅううううううっ!」
はっ、入ってる!
大きくて熱いのが、アソコの中にゆっくりと入ってきてる。
アソコがメリメリッて広げられていくのがわかるくらいに。
「くううっ! はうっ、あうっ……!」
「大丈夫、カナさん?」
「はっ……はいっ、だ、大丈夫です……っ……」
タツヤさんの心配そうな声に、必死でそう答える。
大丈夫っていうかなんていうか、お腹の中がいっぱいになって息が詰まりそう。
痛みはないけど、とにかくきつくて苦しくて、魚みたいに口をパクパクさせる。
「痛みだけは感じないようにしてるけど、後は特になにもしてないからね。その方が初めてっぽい感じがするでしょ?」
「はっ……はい……」
タツヤさんの言葉に、そう返すことしかできない。
セックスって、もっと気持ちのいいものかと思ってたのに……。
いや、たしかにアソコの入り口の近くがじんじんして少し気持ちいい感じがするけど、それ以上にアソコの中がミチミチに詰まって、息苦しさすら感じる。
「じゃあ、動くよ」
「はいっ……くふぅううううっ……はあっ……あうっ! はうううううっ!」
アソコの中でいっぱいのそれがゆっくりと出ていって、またゆっくりと入ってくる。
あたしは、それに合わせてはぁはぁと大きく息をしてなんとか息苦しさを紛らわせようとする。
「はううううっ! あうっ、はああぁ……あうううううっ!」
「大丈夫? 本当に苦しかったら止めるから言ってね?」
「だっ、大丈夫ですっ! ……はうううっ! くふぅううううっ!」
ゆっくりと、本当にゆっくりとタツヤさんのおちんちんがアソコの中を出たり入ったりする。
それは、本当に息苦しくて気持ちよさはあまり感じないけど、そうやってゆっくりとしたペースでしてくれてるのも、あたしを気遣ってくれてるのもタツヤさんの優しさだと思うと止めてなんて言えない。
「あくぅうううううう! はふっ、はあっ……はぅううううううっ! ……はうんっ!? あふぅうううううっ!?」
あっ、あれっ!?
今、おちんちんが中に入ってくる時にビリビリッて!?
もう、何度あたしの中をタツヤさんのおちんちんが往復したのかわからないけど、不意に痺れるような、気持ちいいような感覚が走った気がした。
「はぁあああああっ! ……あんっ! ふわぁああああああっ!」
ま、間違いない!
タツヤさんのおちんちんが出ていって、また入ってくる時にアソコの中を擦る時の、このゾクゾクする感じ。
これ、気持ちいいっ!
「ああっ、いいっ! 気持ちいいですタツヤさんっ! ああっ、んふぅうううううんっ!」
あたしは自分からタツヤさんにしがみついて、そう叫んでいた。
あたしのお腹の中の、奥の方から気持ちいいのがビリビリとこみ上げてくる。
こんなの、今まで感じたことがない。
みんなや自分でアソコの入り口を弄ってる時も気持ちは良かったけど、それとも全然違ってアソコの奥でおちんちんが動いている間ずっと気持ちいいのが続いて止まらない。
アソコの中全体が敏感になってきてて、タツヤさんのおちんちんがアソコの中でゆっくりと動くのをはっきりと感じる。
本当にぴったりはまってるから、その形までわかるみたい。
タツヤさんのおちんちんにぼこって出っぱってるところがあって、入ってきたり抜けたりする度にアソコの壁に引っかかっるのがすっごく気持ちいい。
すごい……あたし、初めてなのにこんなに感じちゃってる。
さっきまで息苦しいだけだったのが嘘みたい。
今ならわかる、セックスってこんなに気持ちいいんだ。
「僕とのセックスで感じてくれてるんだね、カナさん」
「ふぁいいっ! あたしっ、すごく感じちゃってます! あんっ、ふああっ! いいっ、セックス気持ちいいですっ!」
「よかった。じゃあ、動きを速くしていくよ」
「ふぁい! ……あうっ! ひゃうぅううんっ! ああっ、それっ、すごいですぅうううっ!」
アソコの中を擦るタツヤさんのおちんちんの動きが大きくなったのを感じた瞬間に、気持ちいいのがグンと跳ね上がった。
さっきまでの、おちんちんの形がわかるようなゆっくりした動きも良かったけど、アソコのヒダヒダを引きずるように速く大きく動くと、燃えるように一気に体が熱くなる。
それに動きが大きくなると、ぶれるみたいにおちんちんがあっちこっちに当たる。
「……ひゃうんっ、そこぉっ! ふぁあああああっ!」
ああっ! 今さっき擦れたところすごく感じるっ!
タツヤさんのおちんちんが少し斜めの角度で入ってきて、アソコの中の少し左側を思いきり擦った瞬間、頭からつま先まで強烈な電気が走った。
体が固まったみたいに足の指がピンッて伸びて、アソコがきゅうううってなってるのが自分でもわかる。
「ここが感じるんだね」
「ひゃうううううっ! やっ、らめっ、そこっ、すごすぎてっ!」
タツヤさんが狙ったように、その、ビリビリくる場所ばっかり擦ってくる。
「やぁっ、そこばっかりっ! らめぇっ、イッちゃっ、イッちゃうううううっ!」
感じやすいところを何度も何度も突かれて、あっという間に頭の中が真っ白になった。
タツヤさんにぎゅっとしがみついて、プルプルと体を震わせる。
頭の中で、たくさんの花が咲いては弾けていくみたいにいろんな色がチカチカとフラッシュする
なのに、タツヤさんのおちんちんは止まらなかった。
「ひゃうううっ! イッてるのにそんなにしちゃっ、あたしっ、またっ……!」
「何度でもイッていいんだよ、カナさんっ!」
「ひゃぁあああっ! やあっ、タツヤさんっ! ああっ、ふぁああああああああっ!」
あたし、またイッちゃった……。
頭も体もすごく熱くて敏感になってて、すぐイッちゃう。
「ふぁああああっ! しゅごいっ! タツヤさんとのせっくしゅしゅごいぃいいいっ! アソコのなかっ、おちんちんでズポズポされてっ、きもひいいのとまらないぃいいっ!」
もう、ずっとイキっぱなしになってて、自分でもなにを言ってるのかよくわからない。
とにかく気持ちよくて、さっきから意識が何度も飛びそうになってる。
きっと、このままじゃあたしまた強制ログアウトされちゃう……。
「カナさん、またここに来てくれるよね?」
「ふぁいっ、くりゅっ、きましゅっ! タツヤさんとのせっくしゅきもひいいからっ、ぜっらいにまらきましゅぅううううっ! ふゃああああっ! くりゅっ、しゅごいのくりゅうううううううううううううっ!」
タツヤさんにアソコの中を突かれてガクガクと体を震わせながら、無我夢中で叫ぶ。
次の瞬間に大きな絶頂の波が来て、あたしの意識はそこでぷつりと途切れたのだった。
* * *
「ああ……ふぁあああああああ……」
気がつくと、真っ暗な視界の端で緑色のランプが点滅していた。
いつもと同じ、イキすぎて意識を失って強制ログアウトされちゃったんだ。
ヘッドセットを外して、アソコに手を伸ばす。
ぐっしょりとそこが濡れてるのもいつもと同じ。
だけど、いつもと全然違う喪失感があった。
さっきまでアソコをいっぱいに満たして、すごく気持ちよくしてくれていたものがない。
あれはヴァーチャル・リアリティーの世界での経験なのに、本当にあたしの中にタツヤさんのおちんちんが入っていたように思える。
タツヤさんのことを考えると、締めつけるように胸が切なくなる。
「タツヤさん……んっ、あんっ……!」
名前を呼びながらアソコを弄ると、体が熱く疼いてくる。
欲しい……タツヤさんのおちんちんが欲しいよう……。
だめ……このままじゃ切なすぎてあたしおかしくなっちゃうよ……。
タツヤさんとセックスがしたい。
いっぱい気持ちよくして欲しい。
あたしの頭の中は、それだけでいっぱいになっていた。
だから、いったん外したヘッドセットをかぶりなおす。
そして、あたしはもう一度リーボにログインしていった。
< 続く >