或る村の記録 第四章

(7)

 あのあと、弘樹はよくコンドームを使うようになった。
 生のペニスを求める女たちからは、わりあい不評で、結局つけないことも多いのだが、やはり弘樹としては、妊娠するかどうかの主導権が女だけにあるのが怖いと思う。
 コンドームをつけてのセックスが新鮮で好きだと言ってくれる人もいて、そういう人たちとよく相手をしている。
 今日は、大乱交パーティーがあるそうで、公民館に村のみんなが集まっていた。
 簡単な食事もあるが、ほんとうに簡単なもので、食事ではなくセックスが目的なのだということを示していた。
「さて、では、みなさん! 大乱交パーティーをはじめるとしましょう!!」
 そういって、村長が乾杯のグラスを取る。
 中に注がれているのは栄養ドリンクで、発情と精力増強の効果がある。
 みんながそれを飲むと、部屋が薄暗くなり、きらきらと照明が部屋を不思議に照らし、どこかから音楽が聞こえてくる。
「これもなんかの効果があるのかな」
「そうよ」
 後ろからやってきた小枝子に、弘樹はおどろく。
「もぅ。この前のトラウマになっちゃった? けっこうコンドームしてセックスしてるみたいじゃない」
「トラウマっていうか、なんていうか」
「――――愉しかったのよね?」
 後ろから抱きかかえられ、耳元でささやかれる。
 まわりを見ると、みんなも、適当な相手とくっついて、お互いにキスを交わし、服を脱がしあっていた。
 すでに卑猥な下着を下に着てきたものや、公民館の奥から運ばれてきた段ボールの中からお気に入りのコスチュームを出しているものもいる。
「もうおちんちん、こんなになって……やっぱり、愉しかったんだわ」
 くちゅ、くちゅ、と音を立てながらペニスをしごきあげ、耳元をなで、耳の穴に舌を入れる。
 あまり感じたことのない刺激に、体から力が抜けていく。
「わかるわよ。女に生チンポつっこんで、孕ませるかと思うと、征服欲で胸がいっぱいになったでしょう? それでいいのよ。我慢しなくていいの」
 手際よく、服を脱がしていき、いつのまにか弘樹は裸になっていた。
「今日は弘樹くんには特性ドリンクを渡してあるわ。薬はちょっと強いからね……ぜーんぶ、わたしに任せればいいのよ……心配ないわ。私の言うことを聞いていれば、安心なんだから……」
 その言葉が、まるで何かの甘い毒のように、弘樹の全身に回る。
 そう言って、自らも服を脱いでいく。
 いつもの性欲をかきたてるような下着ではなく、純白の清楚な下着だった。ただ、股間と乳首の部分が大きく開いていて、すぐさま挿入できるようになっている。
 人によっては、いつもの下着よりもよっぽど卑猥だと思うかもしれない。
「乳首がブラウスにすれて、大変だったのよ……早くハメたぁい、って」
 そのまま、プレイルームへと二人はなだれこむ。
「大丈夫よ、ここでは妊娠したければ女が薬を飲むのをやめるんだから、男は責任をもたなくってもいいの。好きなだけ中に出しちゃえばいいのよ。私が妊娠しても、ちゃんと育てるしね……ほら、先生の淫乱まんこ、そのおちんちんで堕としちゃいなさい。若くて新鮮なザーメンで、卵子を征服しなさい。それが、あなたの望みなんでしょう?」
 別に、そんなことは望んでないけれど。
 そんなことは望んでいないけれど、弘樹は、とにかく精子を出してしまいたい気分だった。
 それとも――本当は、そう望んでいるんだろうか?
「いくわよ」
 いつの間にか押し倒された弘樹の上にまたがり、ペニスと淫液で濡れた秘裂をこすりあわせる。
「んんんっ!! こすってるだけでいっちゃいそうっ、クリトリスにあたるっ、んんんっ!!」
 ぴたっ、と動きが止まる。
「はぁっ、はぁっ……い、いっちゃったわ……でも、まだまだ……」
 全然萎えていない、だらだらと我慢汁を出し続けるペニスを、小枝子の膣が迎え入れる。
「んふふっ、どうかしら? いいでしょう、生オマンコ?」
 ぐちゅ、ぐちゅ、ともてあそぶように腰を動かす。
 その絶妙の動きは、あと数回動かされたら、射精してしまいそうだった。
「あん、小枝子先生、ずるいですよ、弘樹くんを独り占めなんて」
「ちょっと、美香先生、邪魔しないでくれる? 今、彼のザーメンを子宮にうちこんでもらうところなんだから」
 二人の教師を見て、弘樹はペニスを小枝子から抜く。
 そして、ぐいっ、と荒々しく小枝子の口にペニスをつっこむ。
「んぐううっ!?」
 いつもと違った荒々しい動きに、小枝子が狼狽する。
 それにかまわず、弘樹は小枝子の頭をつかんで、前後にゆする。
「じゅ、じゅるるるる、じゅるるる、ずぞおぞぞぞぞお、じゅぷっ、じゅるぷっ」
 まるで小枝子の口をオナホールのように使って、自分の腰を動かす弘樹。
 続いて、それを美香の口の中にもいれる。
「ん、んんーっ!! んっ、んっ、じゅる、じゅぽっ、じゅずずずっ!!」
 美香も最初はびっくりするが、徐々に慣れてきて、口の中で大きくなっているものを必死に吸い込む。
「あぁっ、出る……」
 すぐに限界が近づき、美香の口の中で射精しようとしたとき。
「ずるいわっ!」
 小枝子が横から手を伸ばし、自分の方にペニスを向ける。
 びゅるっ、びゅるるるるるっ!!
 小枝子の中に勢いよくザーメンが飛んでいく。
「あーっ、ひどいっ!!」
 美香も負けじと、横からペニスを銜え込み、残りの精液を最後の一滴までしぼりとる。
 二人の女は、それでも納得がいかないようで、お互いにキスをして、精液をむさぼりあう。
「ん、んじゅ、じゅるっ、じゅぷっ……」
「ちゅっ、れろっ、じゅるっ、ちゅっ……」
 しかし、精液と唾液を舌でからませているうちに、二人の美女がザーメン交換キスをしている光景にあてられた男たちが、二人の女を後ろから犯し始める。
 しだいに、弘樹の精液で喧嘩していたことなど忘れ、男たちの性欲を喜んで迎え入れるようになる。
 それを見て、弘樹もペニスを大きくさせはじめた。
「やっほー、楽しんでる?」
 少々ギャルっぽい恰好をした委員長が、弘樹の前に姿を見せた。
「えへへ。普段真面目なかっこしてるから、エロくない?」
 ノーパンミニスカートに、ニーハイソックス、そしぴったりと体にはりついたビキニのトップスは、触れると乳首がわかるくらいに薄い。
「ビッチ風委員長、一丁お待ち~ってね」
 にこやかに笑いながら、キスをする。
「ちゅっ、む、あむっ、ちゅっ、んんっ、れろっ、んんっ」
 上のほうではキスをしながら、下のほうでは、恵美子の手が、勃起したペニスをいじくっている。
 弘樹の手も、恵美子の足の間へと伸び、濡れたあそこを刺激する。
「んっ!」
 そこに触れると、恵美子は一瞬、甘い声をあげて、動きを止めた後、さきほどよりも激しくキスをする。
「んっ、んんっ、んちゅーっ、ちゅっ、ちゅっ、じゅるっ、んじゅるっ、じゅるるっ!」
 ぷはぁ、と唇を離すと、どちらからともなく、横になる。
「き、来て……」
「ああ」
 ぬるっ、と音が出るくらいのなめらかさで、弘樹のものが恵美子に埋め込まれる。
「おおっ……いいね、このみっちり埋まってる感じ、んんっ、ああっ、動くっ!」
 足を高く抱え込んで、弘樹は奥まで腰をうちつける。
「おっ、おおっ、んっ、それいいっ、奥までっ、んんっ、来るっ、いいのっ、おおんっ、おおおおおんっ!!」
 獣じみた声をあげて、悦びをあらわす恵美子。
「んんっ、いいよぉっ、そこいいっ、大好きっ、弘樹くんのおちんちん気持ちいいっ!!!」

 同じころ、公民館の前のほうにライトがともり、何人かの女性が出てくる。 
 みんなコスプレをしていて、ミニスカポリスや、制服を着ている人がいる。
「あの婦警のコスプレしてるの、この村の担当婦警さんだわい」
「あぁ、あの人もじゃあ、この村の仲間ってことだわな」
「おっ、警察のおじさんのところに行ったわ、こりゃあハメまくってるんじゃろうのお」
「あっ、あのナースコスプレの女は、新しく村に来た人ね」
 看護婦のコスプレをした美穂子が、みんなの前にやってきた。
 白いエナメルのような材質で出来たそれは、まるでレースクイーンかチアリーダーのようにも見えて、看護のためではなく、性的な目的のためにしつらえられたのは明らかだった。
「今日もみなさま、健康なようで、何よりです」
 みんなが元気にセックスに励むのを見て、美穂子がうれしそうに言う。
「へへへ、美穂子さ~ん。本当に健康かどうかは、下のほうの検査もしてくれねえとわかんねえぞ?」
 どこかからヤジが飛ぶ。
「うふふ。そうですわね。では、みなさ~ん! どうか美穂子のおまんこで、おちんちんの検査してくださいっ!!」
 その場で、後ろ手でよつんばいになり、大きく股をあけて男たちを誘うと、すぐに何人もの男たちが美穂子に群がる。
 一人の老人が下から美穂子をつきあげ、二人が美穂子の前にペニスを突き出す。
「んぁあっ! いいっ、いいですうっ!! おちんちん好きぃ! 大好きぃ!」
 ぎゅーっ、と腰に足をからめて、自分の膣内を欲望のままにえぐりとる肉棒に歓喜の声をあげる。
「んんっ、みなさんのオチンポ、大変健康的ですねっ……んじゅっ、じゅるじゅるっ、じゅるっ……ダブルフェラで、びんびんじゃないですか……おいしいっ…それに、わたしの中に、れろっ、ずぼずぼ出たり入ったりしているっ、んじゅっ、じゅぷっ、おちんちん、おじいちゃんのものなのに、じゅるるるっ、すごく硬いです……」
 まわりにだされた男たちのペニスを、つかんでしゃぶりつきながら、美穂子は感心した声をあげる。
 美穂子のむっちりとした尻をつかんで、上下に動かしているのは、頭のはげあがった老人だった。
 以前の美穂子なら、絶対にセックスなんてお断りするようなタイプだったが、共同体の連帯意識の中、あまり気にならなくなっていた。
 むしろ、老人が自分に性欲を感じ、激しく生殖器をそそりたて、欲望を自分にぶつけてくれることに、メスとしての自信と誇らしさを感じていた。
「こりゃあ、とんでもなくわしごのみのメスじゃでのぉ。そそりたってしもうたわい」
 そう言いながら、懸命に美穂子の尻を自分のペニスにひきつけ、うちつける姿に、美穂子は愛情のようなものを感じてしまう。
「うれしいですわ、おじいさんっ……おじいちゃんの元気の証、たーっぷり美穂子に、村のメスに、そそぎこんでくださいっ!!」
「い、言われなくとも、もう我慢の限界じゃっ!!}
 びゅっ、びゅるるるるっ!!
 老人から出たとは思えないほど、激しい射精が、美穂子の膣内で起こる。
「んっ、んん~~っ! で、出てるの、わかりますぅ……んじゅっ、じゅるるっ」
 下からの突き上げによる快感で、しゃぶるのを一旦停止していたが、またもやフェラチオを開始する。
 片手で、精液がこぼれおちそうな性器をぐちゅぐちゅといじりながら、二本のペニスを横笛を扱うようにしゃぶる。
(んんっ、しっかり精液を塗り込んでおかなくちゃ。こぼれおちちゃうなんて、もったいない……妊娠しないはずなのに、膣内に精液が染みこんでいく感じ、雄に屈服するみたいでゾクゾクしちゃう。ちょっとマゾなのかしら)
 一人の男が、美穂子を押し倒し、正常位でピストン運動をはじめる。
 もう一人の男は、上から美穂子の口にペニスをつっこみ、美穂子になめさせる。
「んじゅっ! んじゅっ! んんんっ、じゅるっ、じゅるるるっ!! んんんんんーーー!!」
 快感の声も、勃起したペニスにはばまれ、満足に出せない。
 しかし、それがまたたまらなく心地よい。
 上の口も下の口も、雄の欲望の具現化したシンボルによって、ぴっちりと埋められていることが、自分のメスとしての価値をすごく高めてくれるようにも思え、また、求められている自尊心を満たしてくれる。
 もちろん、それだけでなく、みっちりうまった男性性器が、美穂子に純粋な快感を与え、生の粘膜同士がこすれあうさまは、美穂子にメスの幸福というものがなんなのか、直接体験として伝えてくれる。
「あっ、ああっ、美穂子さんっ」
 すぽんっ、とペニスが抜かれ、乳房にペニスが埋まる。
「ああっ、そんなっ……」
 これはパイズリというものだろう。
 だけど、そんなことは武彦にもしたことがない。
(はじめてのパイズリ、村の男の人にささげちゃったんだ……)
 そう考えると、ますます自分が村のメスとして一歩踏み出した気がして、美穂子は興奮する。
「あぁっ、すっげー、巨乳すっげーっ……」
 ぐにゅぐにゅとペニスを美穂子のバストではさんだあと、限界ぎりぎりだったのだろう、男が叫ぶ。
「く、口に出させてくださいっ……!」
 その言葉を聞いて、美穂子の口をペニスでふさいでいた男が下がる。
 すぐに、その口は、若い男のペニスで埋まり、とんでもない量の射精がはじまった。
「んぐっ!? んぶっ、んぼぁぁっ!?」
 のどの奥にうちつけられる欲望に、思わず軽くむせかえってしまう。
 いきおいで、思わず精液を飲み込んでしまった。
「ん、んぐ、お……っ、ごっ、くん」
 ねっとりと濃い味。
 ぷるぷるの固形物のような食感。
 のどにからみつくしつこさ。、
(これ、絶対、溜めてきてたわね……)
「じ、実は、俺、美穂子さんのファンでっ……美穂子さんとやるために、一週間ザーメン溜めてきたっす!」
 その言葉に、うれしくなってしまう。
「ふぁ、ファン? う、うれしいわ」
「つっ……。か、かわいいっ……い、一発じゃおさまんないっす!」
 そのまま、自分でしごきあげたペニスを、美穂子のくちびるにあてがう。
「え? え? ――――!!」
 とまどう美穂子の中に、すぐさま射精する。
 今度は、新鮮で、のどにもあまりからみつかない、しかしたっぷり濃厚な一発だった。
「ん、ん……」
 美穂子は、ゆっくりと口の中で味わう。
「―――ね、見て――」
 ぱっくりと美穂子は男に向けて口を開ける。
 飲み込んでいない精液の海に、卑猥な軟体動物のような舌が見え隠れする。
 次の瞬間、ぴったりと口が閉じられ、ルージュの塗られた淫液でぬらぬらとてかるくちびるが真一文字に結ばれる。
「――――ごっくん」
 ぱっくり。
 ふたたび開けられた口からは、きれいに精液がなくなっていた。
「一発目は、どろっどろでゼリーみたいな精液だった。味は濃すぎるけど、わたしのために溜めてきてたんだよね? うれしかったよ。二発目は、健康そのもの。また飲みたいな。というわけで、エッチな美穂子ナースさんの健診結果は――異常なし、ですっ」
 ちゅっ、と相手のペニスにキスをして、にっこりと笑う。
「また、エッチしようね」
「は、はいっ!」
 元気よく頭をさげて、若いオスは別のメスを求めて他のところに行く。
「ずいぶん、慣れてきたようですね、美穂子さん」
 ぐいっ、と後ろから胸をもまれて、耳元でささやかれる。
 残っていたもう一人だ。
「あ、あなたは……?」
「弘樹くんの同級生の父親ですよ」
 そう言いながら、両手で胸をもむ。
 美穂子は自然に、首をうしろにかたむけて、その男とくちづけを交わす。
「どうです、楽しいですか?」
「ええ、楽しいわ。最初はびっくりしたけど、この村に来てよかった……」
 心からの感想を美穂子がもらす。
「私も、最初は戸惑いました――娘も最初はいやがってね。でも、こっそりオナニーしてたんですよ」
「わかります……弘樹の部屋のゴミ箱、ある日、こっそりのぞいてみたら、すごく濃いにおいのするザーメンが入ったティッシュがたっくさん……」
 ふたりは、ふふっ、と笑いあう。
「でも、自然に、娘もみんなとセックスするようになって……父親としては、うれしいやら悲しいやら」
 そう言って、男が指をさす。
「ほら、ごらんなさい。私の娘とあなたの息子さん、大変楽しそうだ」
 指の先では、弘樹と美恵子がセックスしている。
 二人とも、性欲にまみれた顔をしていて、楽しそうだ、と美穂子も思った。
「どれ」
 前のめりに倒され、お尻をあげたところに挿入される。
「ん、んんっ!? ど、どうしたんです?」
「美穂子さん、子どもたちにも見せてあげましょうよ――私たちのセックスを」
 かあっ、と羞恥心で顔が熱くなる。
 でも、それだけではない欲望が、美穂子の中には確かにあった。
「恵美子、楽しんでるか?」
「あっ、あっ、んんっ、お、お父さんっ、んああっ!? た、楽しんでるよっ、そ、そっちは?」
「ああ、楽しんでる」
 弘樹によって後ろから突かれている恵美子と、美穂子を後ろから突いている父親が、言葉を交わす。
 後ろにあおむけに倒れることで、美穂子は騎乗位で、恵美子の父親のペニスにまたがる格好になる。
 息子の見ている前でコスプレセックスをする。
 そのことに、美穂子はすばらしい解放感を味わっていた。
 自分で腰の動きを止めることはできないし、止める必要もない。
 だって、セックスは悪いことじゃないんだから。
「んんっ、ひ、弘樹っ、見えるっ? お母さんのおまんこに、恵美子ちゃんのパパのたくましいオチンポがズボズボ入ってるのよ! すっごく気持ちよくて楽しいの!」
 恵美子も、弘樹を押し倒し、美穂子に結合部を見せる。
「ふふっ、弘樹くん、興奮してるみたいです。さっき、おちんちんが一回り大きくなりましたもん。弘樹くんのオチンポ、すっごく硬くて、すばらしいですよ」
 二人の女が、お互いに結合部を見せ合いながら、のぼりつめていく。
「んんっ、恵美子ちゃんのパパオチンポ、すてきっ、んあっ、ああっ、ああああっ!」
「美穂子さん、いっちゃいそうなんですか? わ、わたしも息子さんのオチンポで、い、いっちゃいそうですっ、ああっ、おおっ、おおおおんっ!」
 美穂子も恵美子も、どちらからともなく、笑顔を浮かべる。
「ああっ、いくっ、いくっ、いっちゃうわぁあああっ!! パパチンポでいくうううううううっ!!!}
「わ、わたしも、いくっ、息子チンポでいく、いく、いくうううううっ!!!」
 二人の女が、痙攣して、ぎゅっ、と膣内が痙攣し、そのまま射精を導いた。
 四人の男女が、荒い息をついて、けだるげな快感にたゆたう。
 お互いに、オーガズムのけだるさの中で、抱き合っていると、クラスの女子たちがやってくる。
「ねえ、弘樹くーん、最近ごぶさただったでしょ?」
「わたしたちともしようよー」
 委員長が、笑いながら弘樹の肩をたたく。
「いっといで。わたしはしばらく横になるわ」
 ぎゅっ、と委員長の手をにぎると、弘樹は他の女の子たちとのプレイに混ざっていった。
 恵美子のところにも、クラスの男子がやってくる。
 美穂子のところには、武彦や、男たちが。
 そして最後の一人には、村のおばさん連中がやってくる。
 夜はまだまだ終わらない。

(8)

「最近、どう? なんか、前ほどはセックスしてないみたいじゃない」
 加奈が、弘樹と久しぶりに話したのは、みんなとの乱交パーティーからしばらくたってからだった。
 学校の図書室で、放課後、一人本を読んでいる。
「うん、なんていうのかな、どことなく、なじめないものを感じるよ」
「そっか。不特定多数とセックスするのはイヤ?」
「イヤっていうわけでもないけど、そこまで楽しいとも思えないな。気持ちいいけどね。なんだか、すごくセックスの価値が下がって気がするよ」
「みんなが普通にしていることは、特別なことじゃないから、価値は下がるよね」
「ふつうの生活が価値あるものだって考え方もあるけど、まあ、少なくともセックスが特別ではない世界って、案外あじけないなって思ってさ。悪くはないけど」
「そうだね。わたしも、気持ちいいけど、なんかこう……ああ、うまく言えないや」
「加奈の両親のことって聞いたことないけど、順応してるの?」
「うん、全然平気みたい。そっちは?」
「うちも大丈夫だなあ」
 弘樹は、窓から空を見る。
 加奈もつられて空を見る。
「これからどうするかねえ」
 その言葉は、二人だけの図書室に消えた。

 同日同刻。
 ごぷっ、ごぷっ…ごっくん。
「んふふ。みなさんのザーメン、素敵なお味ですわ」
 そういって笑う美穂子は、フェラチオでしぼりとった精液をごっくんする。
 今日の美穂子は扇情的なビキニを着ていた。
 一応、乳首も性器も隠してはいるが、その面積の狭さは、単に男たちの欲望をあおる結果にしかならない。
「んじゅっ、じゅるるっ、んんっ」
「あっ、ああっ、武彦さんっ、いいわっ、クリトリスなめるのうまいいいんっ!!」
 その横で、武彦が女にクン二リングスをしていた。足をぴんとつっぱらせて、佐竹の母親が絶頂を迎える。
「はあっ、はあっ……クン二うまいのねえ」
「ははっ、ありがとうございます」
 すっかり、美穂子も武彦も、村に順応して、みんなとセックスを楽しんでいる。
 美穂子と武彦は見つめ合って、にっこりと笑う。
 
「んひいいっ!! 武彦さんっ、武彦さあんっ!!」
「美穂子っ、美穂子っっ!!」
「あーん、ラブラブでうらやましい」
「俺たち夫婦も、もうちょっとセックスの回数を増やすか」
 みんなに見られながら、対面座位で抱き合って、くちづけを交わしながら、腰をぶつけあう二人。
 そこには、性欲と愛情が、奇妙に同居していた。
「だ、大好きよ、武彦さん……」
「美穂子、愛してる……」
 お互いが、絶頂を迎える。
「あっ、ああっ、いくっ、いくううううっ!!」
「で、出るっ、いくっっっ!!」
 しっかりと精液を注ぎ込んで、二人は手をつなぐ。
「この村に来て、わたしよかったわ」
「僕もだよ。いい村だね」
 そうして、また二人はセックスを始めるのだった。

 それから、しばらく経った。
 弘樹は、セックスをまったくしないわけではないが、ふつうの人よりは、かなり少なめのセックスをして、暮らしていた。
 聞くところによると、加奈も同じような状態らしい。
 結局、自分たち二人は、この文化においてはアウトサイダーにしかなれないみたいだな。
 弘樹は最近、そう思う。
 ある日、一人で本を読んでいる弘樹に声をかけたのは、小枝子だった。
「最近、どう?」
「まあまあですかね」
「わたしと、しない?」
 ちらっ、と胸元を見せる小枝子。
「いいですね。でも、今日は」
「なんで? エッチな気持ちにならない?」
「なりますよ」
 実際、弘樹は軽く勃起していた。
「でも、ちょっとのれないかな、って」
「そ、っか」
 胸元のボタンをとめて、谷間を隠すと、
「将来、どうするか考えてる?」
「先生みたいなこと言うんですね」
「先生だもん」
 だいたい、この村の住民はこの村で生きていくらしいけれど。
「そうですね、今のところ、ここじゃないどこかで生きてみようかなって思ってます」
 それから、しばらく考えてつけたす。
「でも、わかりません。大きくなったら、また戻りたいって思うかも」
「わかったわ。でも、この風習のことは、内緒よ」
「ばらしたら、どうするつもりなんです?」
 弘樹は、いたずらっぽく笑っていった。
「そんなことするとは思えないけど、だれも信じないでしょうね」
 小枝子も、にっこりと笑った。彼女には珍しく、色気のない、さわやかな笑顔だった。
「君と加奈ちゃんは、あんまり参加しないのね」
「そうですね」
「どうして?」
 弘樹は、考える。 
 考えても、明確な答えは出ない。
 なんとなく、というのが、一番適当に思う。
 長い沈思黙考のあとで、弘樹は口を開く。
「―――――なんか、のれないなあって」
「――そっか」
 弘樹の言葉に、小枝子が何を思ったのかは、わからなかった。
「もしかしたら、これからそういう人も、増えていくのかもね」
 それは、弘樹が考えたこともないことだった。
「どうでしょうね」
「まあ、未来はわからないけど――そう思ったの」
「かもしれませんね」
 そうかもしれないし、そうでないかもしれない。
 だれにも未来はわからない。
 小枝子も去っていく。
 弘樹が一人残される。
 他人の文化に口をはさむつもりはない。
 だけど、自分は自分の道を行く。
 そういうことしか、自分にはできない。
 たぶん、ここの文化にも、自分は、なじめそうにない。
 弘樹はそう思う。
 何かまったく新しいものが欲しいのだけど、弘樹にはそれがわからない。
 一生分からないとしても、一生探していくのだろうと思う。
 でも、そういう人生は、けっこういい人生に思えた。
 そして、弘樹はまた、読書に戻った。

< 完 >

≪あとがきにかえて≫
たとえば、美少女戦士を洗脳して、性奴隷にする、なんて話がありますよね。
現実に、きれーなお姉さんを洗脳して、性奴隷にする能力があるとしましょう。もしそれを実行したら、それって興奮できるんでしょうか?
なんか、それは、少なくとも自分としては興奮できないように思います。
このファンタジーを現実にしても、興奮できないなら、自分はこのファンタジーの何にそんなに興奮するのか?

それは、ファンタジーなわけです。でも、そのファンタジーは、現実の何かに対応するはずだって思うんですね。(それとも、現実に対応するものはないんでしょうか?)
自分としては、性欲というリアルが呼び覚まされるのだから、たぶん現実世界でも、このファンタジーと同じような対応物があるのではないか、と(理性ではなく)直感で思います。

それでは、リアル世界で、このMCというジャンルがもたらす刺激を得られるような環境って何なんだろう? と思って書いたのがこの作品です。自分にとっては、MCのエロさっていうのは、一種の「ギャップ萌え」なんじゃないか。「普通のスタイル」が「まったく別のスタイル」になる。これがエロとむすびついたときに、すさまじい相乗効果をもたらすのではないか。まあ、少なくとも、MCがエロい理由のひとつだと思うんですよね。
この小説の場合、「一夫一婦制」が「多夫多妻制」に(なかば強制的に)変化するってことですね。

性欲に関する考えをもりこんだために、純粋なエロ作品ではないわけですが、エロで楽しむのもよし、エロを考えるのもよし、何らかの方法で楽しんでもらえたら、それが最上です。

とはいえ。
たぶん、現実にこういうことがあったら、この小説を読んでいるようには、興奮できないだろうなとも思います。
性病も怖いですし。
それに、これが普通の世界であったら、普通にしか興奮できないよな、とも思います。
普通じゃないことをやるから興奮するのであれば、普通のことをやっても興奮できないでしょう。
そういう意味では、結局、ファンタジーとしてしか、興奮できないんじゃないかと思ったり。

まあ、現実ではやってみなければわからないわけですけども。
ちょっとシュミレーションっぽくやってみたのが、この作品であります。
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(なんか寝取られとMCってちょっと似てるところがあるな、と思ったので、おまけの論考)
寝取られに関する論考で、面白いものがありました。
http://wiki.aniota.info/1250863187/
これです。
概略をまとめると、寝取られとは、「快楽>愛」であるそうです。

「快楽はあらゆるものを支配する。性への欲望(本能)は全てを破壊する」
→『快楽(本能)>愛』(これ以前に「愛>すべて」、つまり「愛は何者にも負けない」という図式が紹介されているので、この図式を背景としていると思われる。つまり、「快楽(本能)>愛>それ以外のすべて」)

この快楽至上主義とでも言うべき「概念」に基づいた表現が、快楽>愛という図式をともなって、だれかを性的に興奮させるとき、それが「寝取られ」と表現される、とこの筆者は述べているようです。
また、もし、快楽>愛という図式を取らずに、快楽至上主義的な描写のみがあった場合、これは寝取られとはみなされないわけですが、私の場合、快楽至上主義的な描写だけでも興奮できます。

ならば、「寝取られ」は快楽を(主に)表現することにたいする性的嗜好といえるかもしれません。もしそうなら、「快楽主義的な描写に興奮できる自分は、その一部である『寝取られ』にも興奮できるかもしれない」という説明もできそうです。
逆に、いわゆる「寝取られものが好き」という人々の中には、この論考で扱っているのとは別の理由で興奮している人もいるのかもしれません。その場合、快楽描写だけでは興奮できない、あるいは快楽描写などなくても興奮できるというような人がいることも考えられます。もちろん、寝取られに興奮する理由が、「快楽の勝利」のみならず、他の理由がある場合もあります。

—————————————————————————————————–
なお、寝取られ概念をより明確にするための補足が書かれているが、特に興味深いのは、以下の二つ。

補足2(体堕と心堕)
寝取られた女は一見すると、最終的に寝取り男を愛している様に見える。しかし、従順な態度をとってその実、寝取り男を愛していない。
男が与える快楽を愛しているのである。
補足5(虚構と真実性)
寝取られの過程で表現される一連の「愛」「快楽」描写は2次元(虚構)においてのみ真実性を持つ。故に上記の理論は3次元(現実)では成立しない。(寝取られに限らず、真実性の成立については創作物一般に共通することでもある。)

補足2は、重要な示唆を与えてくれる。寝取られでは、普通、相手に従順になるのだが、それは愛ではなく、快楽に従っただけであるという。これは、たとえば、性行為などの快楽描写なしで、純粋な「心変わり」による「寝取られ」では興奮できないのではないか?という疑問になる。あるいは、快楽によって従順になった人が、何らかの理由で、その快楽を与えてくれていた人がもはや快楽を与えてくれなくなったときには、はたしてその従順さを保ち続けられるのか?といった疑問も出てくる。

ここで、MC(マインドコントロール)ものという概念を取り上げてみたい。これは、大まかにいえば、相手の精神を意図的に変える、というもので、ここでも本来従順でなかった相手を従順にさせるという手法が、性的興奮を得る手段として使われている。もし、このMCに興奮する理由が、心を変えられて快楽に従うようになる、ということ「ではなく」、心を変えられること事態にあるのだとすれば、快楽描写なしでも性的に興奮できるのであろうか? もし、そうでないなら、MCものというのは、快楽至上主義的な性描写の下位分類ということにはならないだろうか。

補足5は、寝取られにおける「快楽>愛」描写が、虚構であるということを言いたいのだと思う。また、「真実性の成立については創作物一般に共通する」と述べられている。さて、それでは、創作物で表現される真実とは、いったい、現実世界とどのようなかかわりを持つのであろうか。

≪あとがき≫
この作品は、話の流れ(プロット)は最初から最後まで作ったものの、完成させずに放置していた作品を、完成させたものです。
上の<あとがきにかえて>は、作品をこの形で完成させる前に書いていたものです。上で書いたような理論的関心があって、この小説は生まれてきました。
この小説は、性に開放的な異文化に触れたら、そこに入ってきた人たちも変わっていくのかな、それともあんまり変わらないのかな、みたいなことを考えて書き始めたように思います。MCに近いと思うけど、人によってはそうは思わないかも。
あと、「これは、どこの花園メリーゴーランドだよ」と思った人もいたかしら。
まともに読んだことはないんですが、性的に開放的な社会や村についてネットで調べると、しばしばこの作品に言及されていますし、性的に開放的な村のモチーフはその作品から一部来ていると思います。
子ども同士、あるいは大人と子供との性行為に関しては、ネットで調べると、ピトケアン諸島の話などが出てきますし、チリだかペルーだかの先住民族で、お互い十二歳くらいで結婚している人たちをテレビで見たこともあります。大戦後のイギリスでの少女売春は、コリン・ウィルソンの自伝で読んだことがあります。世界的、歴史的に見ると、そんなに珍しくもないことなのでしょう。
それは子供と性行為をしているのか、むしろ大人とみなされる年齢がすごく低いんじゃないか、とも疑問が浮かんできますが、ここらへんの理論的分析は専門家にまかせましょう。
ともかく、現実世界で、わりと気軽にだれとでもセックスするような文化はあります。そういう文化に、近代西洋文化(の影響を受けた日本文化)が接触したら、どうなるかなーと思って書きました。ぼくとしては、性の点においては、近代西洋文化は、そうでない文化に基本的にひきずられそうだなと思います。
もっとも、人類の祖先と近い生活をしているといわれているらしいハッザ族なども、3年程度でカップルを変えるといいますし(死ぬまでそいとげるカップルもいます)、人間の原初に近いのは、(乱婚ではなく)数年程度でつがいが切り替わる一夫一婦制なんじゃないかなって思ってます。
この作品では、みんなが気軽にセックスを楽しんでいたら、多少はそっちに流れるよな、と思います。しかし、それはまたちょっとあじけないかもとも思いますし、なじめない人もでてくると思います。お父さんとお母さんは順応できたわけですけど、弘樹くんのほうはそうでもなかったよね、という結末。
ふつう、子供のほうが適応能力は高いと思うんですが、弘樹くんの場合、適応能力が低いというよりも、一度適応したうえで、この社会とは違うものを見たがっている、というか。
非常に安定した社会はそうでもないようですが、ある程度伝統というものが切り替わっていく社会では、だいたいにしてそれを行うのは若者であり、弘樹くんのような人間だと思うので、彼に別の世界を求める役を与えることにしました。
きわめて理屈っぽい基盤がある作品ですが、どこか楽しめたところがあるなら幸いです。

ちなみに、設定がちょっと似ている作品に、クレナイブックさんの「なのかまち」があります。
フリーでも基本線はプレイできるゲームです。ぼくはフリー版しかやってませんし、レビューを見ると、「つかみどころがない」的な指摘がけっこう出てますので、この作品とはちょっと毛色が違うかもしれませんが、はじめてプレイしたときは、ちょっと似てるかも、と思いました。ただ、プレイしたときには、すでにこの作品の原型ができていたので、まず影響は受けていないと思います。

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